JP4328298B2 - ヒューズ - Google Patents

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本発明は、車両の電気回路を保護するために用いられるヒューズに係り、詳しくは、カバーを備えたハウジング内にヒューズ本体が収容保持されるヒューズに関するものである。
従来、この種のヒューズとしては、特許文献1に開示されるものがある。図6に示すように、このヒューズ50では、上側開口部51aを有する四角箱状のハウジング51内にヒューズ本体52が収容保持され、ハウジング51上端に取着される平板状のカバー53により上側開口部51aが塞がれている。ハウジング51における外周面の上端には、横方向に張り出す張出部54と、一対の係止用突起55とが設けられている。また、カバー53の相対する周縁には一対のロック片56が垂設されている。そして、ハウジング51の両係止用突起55にカバー53の両ロック片56が係止されることで、ハウジング51の上端にカバー53が取着されるとともに上側開口部51aがカバー53により塞がれるようになっている。
このようなヒューズ50は、例えば車両のエンジン室内のヒューズボックス内に設けられたソケット状のヒューズ装着部57に上方から差し込まれることで装着される。このとき、ヒューズ装着部57に対してヒューズ50を抜き差しできるようにするため、ハウジング51の上端部とカバー53とはヒューズ装着部57の二点鎖線で示す周壁58上端よりも上方に配置される。
また、前記ヒューズ50では、ヒューズ装着部57の周壁58よりも上側に配置される部分の高さを低くするために、両係止用突起55がハウジング51の外周面上端に設けられ、また、両ロック片56の丈が張出部54の丈とほぼ等しくされている。
特開2004−6121号公報(第4,5頁、第1〜5図)
ところで、上記ヒューズ50をヒューズ装着部57から取り外すには、ヒューズ装着部57の周壁58の上端と、ヒューズ50の張出部54との間に例えばマイナスドライバーの先端を差し込む。そして、張出部54にドライバーの先端で上向きの力を加え、ヒューズ50をヒューズ装着部57から上方に押し上げる。このとき、ヒューズ50の張出部54又はロック片56には大きな力が加わる。
上記ヒューズ50では、ハウジング51の張出部54とカバー53のロック片56とが同じ高さにあるので、作業者が誤ってマイナスドライバーの先端をロック片56の下端に当ててしまう虞がある。この場合、ロック片56が係止用突起55から外れ、カバー53がハウジング51から外れることがある。この結果、ハウジング51内に塵が侵入し、ヒューズ本体52が接続している電気端子間が短絡されることが考えられる。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、ハウジングとカバーとの接合部分の丈を増大させることなく、取り外し時にハウジングからカバーが外れないようにすることができるヒューズを提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、絶縁樹脂からなるとともに上側開口部を有する四角箱状のハウジングと、透明な絶縁樹脂からなるとともに同ハウジングの上端に取着されて上側開口部を塞ぐ平板状のカバーとを備え、前記上側開口部からハウジング内にヒューズ本体が収容された状態でハウジングにカバーが取着されるヒューズにおいて、前記ハウジングにおける外周面の上端には、その全周縁に亘って横方向に張り出す張出部を設け、同張出部を含むハウジングの上端面上における4つのコーナ部には、上向きに突出する係止突起をそれぞれ一体形成し、前記カバーの4つのコーナ部には、前記係止突起を挿通可能な貫通孔をそれぞれ形成し、前記係止突起を含む前記ハウジングは、その色を前記ヒューズ本体の容量に応じて決めており、前記各係止突起を前記各貫通孔にそれぞれ挿通させ前記カバーの上側に突出した状態で同各係止突起の上端を溶融させてかしめることにより前記ハウジングの上端に前記カバーを取着固定させ、同カバーを取着固定させた状態でヒューズの上方から前記係止突起の色を視認可能としたことを特徴とする。ここで、「透明な絶縁樹脂」とは、上側開口部を通してハウジング内を目視することができるような透明度の絶縁樹脂を意味し、いわゆる半透明の絶縁樹脂をも含む。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて、前記ハウジングの上端面上には係合凸部を設け、前記カバーの内面には、前記係合凸部が係合する係合凹部を設け、同係合凸部と同係合凹部との係合により、前記ハウジングに対して同カバーを横方向において位置決めするように構成したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明に加えて、前記係合凸部は、前記上側開口部の端縁に沿って延びる係合突条であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、かしめられた前記係止突起の高さが、前記カバーの上面よりも低くなるように構成したことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、ハウジングに設けた係止突起をカバーの貫通孔に挿通させ、この係止突起を溶融させてかしめることによりハウジングにカバーを取着固定するので、ハウジングとカバーとを取着固定するための接合部分の丈をより小さくすることができる。しかも、ヒューズに上向きの力を加えるときにカバーに直接力が加わらないので、取り外し時にハウジングからカバーが外れないようにすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、ハウジングにカバーを固定するための係止突起とは別にハウジングに設けた係合凸部と、カバーに設けた係合凹部とを係合させることにより、ハウジングに対してカバーを横方向に位置決めする。このため、ハウジングに対してカバーを横方向へずらそうとする外力が係止突起に加わらないようにし、係止突起が破損しにくいようにすることができる。そして、同外力に対する強度を向上させ、ハウジングからカバーが外れにくいようにすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、ハウジングの上側開口部の端縁に沿って延びる係合突条により、上側開口部がほぼ囲まれた状態となる。このため、ハウジングとカバーとの隙間からハウジング内に水が入りにくくなり、電気回路の短絡を招きにくい。
請求項4に記載の発明によれば、見栄えが向上する。
次に、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1及び図2に示すように、この実施形態のヒューズ10は、上側開口部11aを有する四角箱状のハウジング11と、ハウジング11の上端に取着されて上側開口部11aを塞ぐ平板状のカバー12とを備えている。ハウジング11は、耐熱性・絶縁性に優れるとともにヒューズ10の容量に応じた色に着色された不透明な合成樹脂により一体成形されている。また、カバー12は、耐熱性・絶縁性に優れるとともに上側開口部11aからハウジング11内を目視できるような透明又は半透明の合成樹脂により一体成形されている。
ハウジング11の内部には、上側開口部11aから入れられた周知のヒューズ本体13が収容されている。ハウジング11の下面には図示しない貫通孔が設けられ、この貫通孔を通じて図示しないタブ端子がヒューズ本体13内に差し込まれるとともにこのタブ端子にヒューズ本体13が接続される。タブ端子は、例えば車両のヒューズボックス内のヒューズ装着部に設けられたものである。
ハウジング11の外周面の上端には、その全周縁に亘って横方向に張り出す張出部14が一体形成されている。張出部14を含むハウジング11の上端面上における4つのコーナ部には、上向きに突出する係止突起15がそれぞれ一体形成されている。また、ハウジング11の上端面上には、上側開口部11aの相対する二組の端縁における一組に一対の係合突条16aが、もう一組に一対の係合突条16bがそれぞれ一体形成されている。各係合突条16a,16bは、それぞれ上側開口部11aの端縁に沿って延びるように形成されている。そして、係合突条16a,16bは、全体として上側開口部11aをほぼ囲む略四角枠状に設けられている。この実施形態では、係合突条16a,16bが共に係合凸部である。
図1及び図2に示すように、カバー12の上面12aにおける4つのコーナ部には薄肉部17がそれぞれ設けられ、この各薄肉部17には前記係止突起15が挿通可能な貫通孔18がそれぞれ設けられている。また、図3に示すように、カバー12の下面には、前記各係合突条16a,16bが全体として係合する略四角形状の係合凹部19が設けられている。すなわち、略四角枠状に設けられた各係合突条16a,16bは、略四角形状の係合凹部19の周縁に係合する。
そして、ハウジング11の前記各係止突起15をカバー12の各貫通孔18に挿通させた状態で、各係止突起15の先端部をカバー12の上側で溶融させてかしめることにより、ハウジング11の上端にカバー12が取着状態で固定されている。
次に、上記のように構成されたヒューズ10の組立手順について説明する。
まず、ヒューズ本体13を、上側開口部11aからハウジング11内に挿入して保持させる。次に、図4に示すように、ハウジング11の上端面上にカバー12を載せるとともに、ハウジング11の各係止突起15をカバー12の各貫通孔18にそれぞれ挿通させる。このとき、ハウジング11の各係合突条16a,16bがカバー12の係合凹部19に係合し、この係合によりハウジング11に対してカバー12が横方向に位置決めされるようになっている。また、各係止突起15は、各貫通孔18に対して遊嵌状態で挿通し、薄肉部17の上面より上側に突出するようになっている。
次に、図示しない所定の溶着治具を用い、各薄肉部17の上面より上側に突出した係止突起15の先端部を溶融させて、図5に示すように、各係止突起15の先端部を各薄肉部17の上面上でかしめる。このとき、溶融された各係止突起15の高さが、カバー12の最大高さ(すなわち上面12aの高さ)よりも低くなるように構成されている。このため、張出部14の下面からカバー12の上面までの丈が、図6に示す従来のヒューズ50の張出部54(すなわちロック片56)の下面からカバー53の上面までの丈よりも小さくなる。
以上の手順により、ハウジング11の上端にカバー12が取着され、このカバー12により上側開口部11aが塞がれる。そして、ハウジング11内に収容されたヒューズ本体13が外部から隔絶される。
以上のように構成された本実施形態において、例えば車両のヒューズボックス内に設けられたヒューズ装着部から溶断したヒューズ10を取り外すときには、ヒューズ装着部の周壁の上端と張出部14の下面との間に例えばマイナスドライバーの先端を差し込む。そして、ドライバーの先端を張出部14の下面に当ててヒューズ10を上向きに押し上げる。このとき、張出部14における下面のどの位置にドライバーの先端が当てられても、ドライバーの先端がカバー12に当たることがない。このため、カバー12のみがドライバーによって押し上げられることがなく、ハウジング11からカバー12が外れてヒューズ本体13が外部に露出することがない。
また、この実施形態では、ハウジング11の上端面上に設けた各係止突起15をカバー12の貫通孔18に挿通させ、カバー12の上側で各係止突起15の先端部を溶融させた後にかしめることでハウジング11にカバー12を固定している。従って、従来のヒューズ50に比較して張出部14の下面からカバー12の上面までの丈をより小さくすることができるので、ヒューズ10をより小型化することができる。
また、日本自動車規格においては、ヒューズ本体13の容量に応じてハウジング11の色が決められている。このため、ヒューズ10をヒューズ装着部に装着した状態で、ヒューズ装着部の上方からヒューズ10のハウジング11の色を確認できることが望ましい。この実施形態によれば、ハウジング11の各係止突起15がカバー12の上側に突出した状態でかしめられているので、ヒューズ10の上方からこの各係止突起15の色を容易に判別することができ、ハウジング11の色を容易に認識することができる。この結果、ヒューズ10の製造や検査、あるいは、車両のエンジン室内のヒューズボックスへの組みつけや点検を容易に行うことができる。
また、ハウジング11の上端面上には、4つの係止突起15とは別に、係合突条16a,16bを設け、カバー12の下面には、係合突条16a,16bが係合可能とした係合凹部19を設けた。そして、係合突条16a,16bと係合凹部19との係合により、ハウジング11に対してカバー12を横方向において位置決めするようにした。このため、ハウジング11に対してカバー12を横方向にずらそうとする外力が各係止突起15に加わらないようにし、各係止突起15が破損しにくいようにすることができる。そして、同外力に対する強度を向上させ、ハウジング11からカバー12が外れ難いようにすることができる。
また、ハウジング11の上側開口部11aの相対する端縁に沿って延びる係合突条16a,16bにより、上側開口部11aがほぼ囲まれた状態となる。従って、ハウジング11とカバー12との隙間からハウジング11内に水が入りにくいので、電気回路の短絡を招きにくい。
さらに、各係止突起15の高さがカバー12の上面12aよりも低いので、見栄えが向上する。
なお、この発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・ ハウジング11に係合突条16a,16bを設けないようにするとともに、カバー12に係合凹部19を設けない構成としてもよい。この場合、ハウジング11の各係止突起15がカバー12の各貫通孔18に挿通することで、ハウジング11に対してカバー12が横方向に位置決めされるように構成する。
・ カバー12に薄肉部17を設けないようにするとともに、各係止突起15の長さをより長くする。そして、貫通孔18を挿通させてカバー12の上面12aよりも上側に突出させた各係止突起15の先端部を溶融させて、この先端部をカバー12の上面12a上でかしめる。
本発明を具体化した一実施形態のヒューズを示す斜視図。 ハウジングにカバーを組み付ける前のヒューズを示す分解斜視図。 カバーの内面を示す斜視図。 係止突起の位置でのヒューズの縦断面図。 同じく縦断面図。 従来のヒューズを示す斜視図。
符号の説明
10…ヒューズ
11…ハウジング
11a…上方開口部
12…カバー
12a…上面
13…ヒューズ本体
14…張出部
15…係止突起
16a,16b…係合凸部としての係合突条
18…貫通孔
19…係合凹部

Claims (4)

  1. 絶縁樹脂からなるとともに上側開口部を有する四角箱状のハウジングと、透明な絶縁樹脂からなるとともに同ハウジングの上端に取着されて上側開口部を塞ぐ平板状のカバーとを備え、前記上側開口部からハウジング内にヒューズ本体が収容された状態でハウジングにカバーが取着されるヒューズにおいて、
    前記ハウジングにおける外周面の上端には、その全周縁に亘って横方向に張り出す張出部を設け、同張出部を含むハウジングの上端面上における4つのコーナ部には、上向きに突出する係止突起をそれぞれ一体形成し、前記カバーの4つのコーナ部には、前記係止突起を挿通可能な貫通孔をそれぞれ形成し、
    前記係止突起を含む前記ハウジングは、その色を前記ヒューズ本体の容量に応じて決めており、
    前記各係止突起を前記各貫通孔にそれぞれ挿通させ前記カバーの上側に突出した状態で同各係止突起の上端を溶融させてかしめることにより前記ハウジングの上端に前記カバーを取着固定させ、同カバーを取着固定させた状態でヒューズの上方から前記係止突起の色を視認可能としたことを特徴とするヒューズ。
  2. 前記ハウジングの上端面上には係合凸部を設け、前記カバーの内面には、前記係合凸部が係合する係合凹部を設け、同係合凸部と同係合凹部との係合により、前記ハウジングに対して同カバーを横方向において位置決めするように構成したことを特徴とする請求項1に記載のヒューズ。
  3. 前記係合凸部は、前記上側開口部の端縁に沿って延びる係合突条であることを特徴とする請求項2に記載のヒューズ。
  4. かしめられた前記係止突起の高さが、前記カバーの上面よりも低くなるように構成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のヒューズ。
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