JP4324888B2 - 吸排気弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は給水用または給湯用配管に取付けられて管内の負圧を破壊すること、および管内の空気を排出することに用いられる吸排気弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば中、高層集合住宅などの建築物における給水システムとして、受水槽なしで直接給水が可能な増圧直結給水システムが多く採用されている。この給水システムにおいて、配管設備の保護や給水の安定化を計るためには、配管頂部に管内の負圧を破壊し、また管内の空気を排出する装置を設置することが必要であり、一部の自治体ではこのような装置の設置を義務づけている。
【0003】
そのための手段として、管内の負圧を破壊する吸気弁と管内の空気を排出する排気弁とを個別に配管に取付ける代りに、これらを一体化して配管への取付けを簡単にしたものが提案されている。
【0004】
このものは、図4および図5に示したように下端に配管への取付部51を設けた円筒形の本体52に浮子53を昇降自由に装入し、本体52にその上端開放面を塞いで装着したカバー体54に取付けた弁座55と浮子53の昇降に応じて傾動する弁体56とによって構成される排気弁57,およびカバー体54の内部に設けた弁座58と前後の差圧に応じて直線動する弁体59とによって構成される吸気弁60を具えたものである。
【0005】
そして、取付部51によって配管の頂部に直立状態で取付けることにより、本体52とカバー体54とに囲まれた吸排気室61が取付部51の連通孔62を経て配管内部と連通し、配管内の水が吸排気室61に入ってほぼ充満している状態で排気弁57,吸気弁60はともに閉弁している。
【0006】
配管内の水に空気が混入しているとき、この空気は配管頂部で分離して吸排気室61に入りその内部の水位を低下させ、或る水位以下に低下すると浮子53の下降によって排気弁57の弁体56が弁座55から離れ、空気は弁座55の弁座口63からカバー体54に形成した排気口64を経て排出されることとなる。
【0007】
一方、減水や断水により配管内に負圧が発生したときは、吸排気室61も負圧となることによって吸気弁60の弁体59が吸引されて弁座58から離れ、カバー体54に形成した吸気口65から弁座58の弁座口66,弁室67,送入口68を経て吸排気室61に空気が導入されて負圧を解消することとなる。
【0008】
尚、配管を流れる水にごみのような固形異物が混入していてこれが吸排気室61に入り、排気弁57や吸気弁60の弁座55,58,弁体56,59に付着して閉弁不良になる、という万一のトラブルを生じると排気口64や吸気口65から水が流出する。このような不測の事態に備えて排気口64および吸気口65に導管69,70を接続して流出した水を最寄りの排水溝に誘導し、水漏れ事故を生じさせないようにすることもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記の図4,図5に示したものは排気弁57と吸気弁60とを共通の本体52,カバー体54に組込んだため配管への取付けが一個所となって設置が簡単になるという利点をもっている。
【0010】
しかしながら、排気弁57を通って排出させる空気の排気口64と吸気弁60を通って導入する空気の吸気口65とが別個に設けられているので、カバー体54ひいては全体を充分に小形化することができず、場所によっては設置が困難なことがある。
【0011】
また、導管69,70を接続したものにあっては二本の管またはホースが必要であり、それらの設置スペースを確保しなければならない。加えて、異物や汚物の詰まりによって排水溝から汚水が溢れるというトラブルを発生したとき、排水溝と排気口64,吸気口65との落差によっては、排気弁57および吸気弁60殊に吸気弁60の開弁時に汚水が導管69,70を通って吸排気室61に流入し、配管内の水を汚染するという心配がある。
【0012】
本発明は排気弁と吸気弁とを一つにまとめて配管への取付けを簡単化した前記従来のものがもっている充分な小形化が計れない。設置困難なことがあるという課題およびこれらに加えて汚水流入の心配があるという課題の解決を計ったものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、前記課題を解決するために、本発明は下端に配管への取付部を有する本体と、その上端開放面を塞いだカバー体と、本体とカバー体とに囲まれて配管に連通する吸排気室に装入した浮子の昇降に応じて開閉し吸排気室に溜った空気を大気へ排出する排気弁と、吸排気室が負圧となったとき開弁して空気を導入する吸気弁とを具えたものであって、排気弁の出口側に位置して空気を排出する通路および吸気弁の入口側に位置して空気を吸込む通路をカバー体に形成した単一の吸排気路とした。
【0014】
このようにカバー体に設けられる排気用の通路と吸気用の通路とを共通の吸排気路としたことにより、カバー体ひいては本体を含めた全体を充分に小形化して狭い場所でも設置可能とすることができる。また、閉弁不良による流出水を排水溝に誘導する導管も一本となるので、その設置スペースも狭くてよい。
【0015】
特に、本発明は前記のものに加えて、吸排気路に先端を下向きの縦部とした継手管を接続するとともに、流出水を誘導する導管を縦部に接続し、且つ継手管および導管を大気に連通する通気口を縦部に設けたことを特徴とする。
【0016】
このように、通気口を有する下向きの縦部に導管を接続したことにより、汚水が導管に侵入しているときに吸気弁が開弁しても汚水を吸排気室に吸込み流入させるという心配がなくなるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明すると、図1,図2および図3において、下端に短管状の取付部2を突設した有底で上面開放の円筒形本体1に、その上端開放面を塞いでカバー体5がOリング6を挟み込んでねじ嵌合により気密に装着されている。取付部2は雄ねじ3を有しており、水道水または温水の配管頂部にねじ込み装着することにより、本体1とカバー体5とに囲まれた吸排気室7が取付部2の連通孔4を経て配管内部と連通する。
【0018】
吸排気室7には浮子8が装入されており、この浮子8は上下両端に形成した凹凸状のフランジ8aを本体1にほぼ内接させて傾くことなく昇降し、水および空気はフランジ8aの凹部8bを通って上下に流通する。
【0019】
浮子8の頂面に設けたフック9にレバー10の基部が係合しており、このレバー10の先端部に取付けた弁体11がカバー体5にねじ込み固定して吸排気室7の頂部に下向き突設させた弁座12に接するようになっている。また、弁座12を挟んで吸排気室7の頂部に設けた下向きコ形のハンガ部片13に棒状のばね部材14が取付けられており、このばね部材14は弁体11に結合されている。
【0020】
即ち、弁体11はばね部材14のハンガ部片13への取付け個所を中心として回動するものであり、カバー体5の下端縁5aに接した最大上昇位置と本体1の底1aに接した最大下降位置との間で昇降する浮子8に連動して弁座12に着座し、或いは斜めに離間する。尚、弁体11はハンガ部片13に非弾性的に取付けてもよいが、図示形態のようにばね部材14により弾性的に取付けると吸排気室7の水位変化に応じたレバー10の動きが鈍化し、弁体11を不安定にしないという効果がある。
【0021】
以上の弁体11,弁座12,ハンガ部片13,ばね部材14はレバー10を介して浮子8により開閉する排気弁16を構成する。
【0022】
カバー体5にはその一つの直径上に位置させて吸排気路17と吸気弁25とが配置されている。弁座12の弁座口15は吸排気路17に開口しており、弁体11が弁座12から離れたとき吸排気室7を吸排気路17に連通させる。
【0023】
吸気弁25は吸排気路17の奥端に設置された弁座18と、更にその奥に配置された弁体案内19に弁軸20aを嵌装して直線動する弁体20とを具えており、吸排気路17は弁座18の弁座口21,弁体20が装入された弁室22,弁体案内19に設けた通孔19a,背室23,送入口24を経て吸排気室7の頂端に連通する。弁体20は吸排気室7と吸排気路17との圧力差によって直線往復動し、通常は弁座18に着座しているが吸排気室7が負圧となったときこの負圧に吸引されて弁座18から離間するようにされており、従って吸気弁25は逆止弁である。
【0024】
吸排気路17はカバー体5の一側面に開放しており、この開口端に継手管26がねじ嵌合により接続されている。この継手管26は吸排気路17の延長上に位置する横部26aとその先端から下方へ直角に曲げられた縦部26bとからなり、縦部26bに螺装したナット部片27に導管30がねじ嵌合により接続されている。
【0025】
ナット部片27は周方向に並べた複数個の通気口28を有しているとともに、通気口28を覆ってフィルタ29が装着されており、また導管30は先端を最寄りの排水溝に向けて開口するように設置される。
【0026】
このような実施の形態に係る吸排気弁は配管頂部に直立状態で取付け、連通孔4を経て吸排気室7を配管内部と連通させて設置するものであり、排気弁16と吸気弁25とが一つにまとめられて共通の取付部2によって配管に取付けられることにより取付けが一個所でよく、設置が簡単であるという図4,図5のものと同様の利点がある。
【0027】
そして、通常は配管内の水圧によって吸排気室7の内部は水がほぼ充満しており、排気弁16は浮子8がほぼ最大限に上昇していることによって閉弁しているとともに、吸気弁25は吸排気室7,送入口24,背室23に封入され水圧と平衡している空気の圧力によって閉弁している。
【0028】
配管内の水に空気が混入しているとき、この空気は配管頂部に開口している連通孔4に入って配管内の水から分離し、吸排気室7の頂部に上昇して空気溜りを作る。この空気が増加するに従って吸排気室7の水位が低下して浮子8が下降し、或る位置まで下降してレバー10が或る角度に傾いたとき、ばね部材14により閉弁位置に保持されていた弁体11が回動して斜めとなり、弁座12から離間してその弁座口15を開放する。
【0029】
これにより、空気が弁座口15,吸排気路17,継手管26を通って通気口28から、或いは更に導管30を通ってその先端から大気へ排出される。このようにして吸排気室7の空気が排出され水位が高くなると、浮子8の上昇によって排気弁16が閉弁する。
【0030】
一方、減水や断水によって配管内に負圧が発生したとき、吸排気室7の内部も負圧となる。このとき、吸気弁25の弁体20は負圧に吸引されて弁座18から離間し、導管30の先端或いは通気口28から継手管26,吸排気路17,弁座口21,弁室22,通孔19a,背室23,送入口24を経て吸排気室7に大気を吸引導入して負圧を破壊する。負圧が解消された後は、吸排気室7の水圧と平衡する空気の圧力によって弁体20が弁座18に着座し、吸気弁25は閉弁することとなる。
【0031】
このように、排気弁16の出口側に位置して大気へ排出する空気および吸気弁25の入口側に位置して吸排気室7に導入する空気を吸込む通路を共通の吸排気路17としたことにより、カバー体5ひいては本体1を含む全体を充分に小形化することができ、狭い場所にも設置可能である。
【0032】
また、配管を流れる水に混入した固形異物が吸排気室7に入り、排気弁16更には吸気弁25の弁座12,18,弁体11,20に付着して閉弁不良になる、という万一のトラブルを生じると吸排気路17を通って水が流出する。この水がそのまま周囲に落下して水漏れ事故を生じることのないように最寄りの排水溝に誘導するため吸排気路17に接続した導管30は一本である。従って、その設置スペースも狭くて足り、設置容易である。
【0033】
更に、継手管26の基端側横部26aを吸排気路17に接続してその下向き縦部26bに導管30を接続しているとともに、吸排気路17および継手管26は導管30の先端と通気口28の二個所で大気と連通している。
【0034】
このことにより、排水溝の詰まりによって汚水が溢れ導管30に侵入しているとき、負圧破壊のため吸気弁25が開弁した場合に空気を通気口28から吸込み、排水溝と吸排気路17との落差が小さくても汚水を吸引して吸排気室7に流入させるということがない。
【0035】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、小形で狭い場所でも設置が可能であるばかりか、流出水の導管も一本となって広い設置スペースが不要となり、狭い配管スペースに容易に設置して配管を保護させることができるものである。
【0036】
また、汚水が導管に侵入しても吸排気室に流入させないので配管内の水を汚染するという心配がなく、安全に使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す縦断面図。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】図1の右側面図。
【図4】従来例の縦断面図。
【図5】図4のB−B線に沿う断面図。
【符号の説明】
1 本体, 2 取付部, 5 カバー体, 7 吸排気室, 8 浮子, 16 排気弁, 17 吸排気路, 25 吸気弁, 26 継手管, 26b縦部, 28 通気口, 30 導管,
Claims (1)
- 下端に配管への取付部を有する本体と、その上端開放面を塞いだカバー体と、前記本体とカバー体とに囲まれて前記配管に連通する吸排気室に装入した浮子の昇降に応じて開閉し前記吸排気室に溜った空気を大気へ排出する排気弁と、前記吸排気室が負圧となったとき開弁して空気を導入する吸気弁とを具えており、前記排気弁の出口側に位置して空気を排出する通路および前記吸気弁の入口側に位置して空気を吸込む通路が前記カバー体に形成した単一の吸排気路とされている吸排気弁において、前記吸排気路に先端を下向きの縦部とした継手管が接続されているとともに、前記排気弁および吸気弁の閉弁不良による流出水を排水溝に誘導する導管が前記縦部に接続されており、前記継手管および導管を大気に連通する通気口が前記縦部に設けられている、ことを特徴とする吸排気弁。
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