JP4323822B2 - 画像表示装置及び撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原画を拡大表示させるヘッドマウントディスプレイやプロジェクタ等の画像表示装置、さらにはデジタルカメラ等の撮影装置に好適な光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CRTやLCD等の画像形成素子を用い、これらの画像形成素子に表示された原画を光学系を介して拡大表示させる画像表示装置として、ヘッドマウントディスプレイ等と称される頭部装着型のものがある。
【0003】
このヘッドマウントディスプレイは、観察者が頭部に装着するため、特に装置全体の小型化、軽量化が要望されている。また、重量バランスや外観等を考慮すると、観察者の視軸方向(前後方向)に薄型であることが好ましい。さらに、表示される拡大像に迫力を持たせるために、できるだけ大きな拡大像が望まれている。
【0004】
例えば特許文献1〜4においては、画像形成素子としてのLCD(液晶ディスプレイ)と、観察光学系としての薄型プリズムとを使用し、装置全体の薄型化を図った画像表示装置が提案されている。
【0005】
図17には、特許文献1にて提案されている画像表示装置を示している。この装置において、LCD111から発せられた光は、小型の偏心プリズム112の入射面113に入射する。そして、プリズム112に形成した曲率を有した全反射面114と反射面115との間で光束が折り畳まれ、その後、面114より偏心プリズム112から射出して観察者の眼Eに導かれる。これにより、LCD111に形成された原画の虚像が形成され、この虚像を観察者が観察する。
【0006】
偏心プリズム112の反射面115は、偏心した非回転対称面(アジムス角度により光学的パワーの異なる面であり、いわゆる自由曲面)で構成されている。
【0007】
また、図18に示す光学系は、共軸凹面鏡103と眼球光軸に対して45°傾いたハーフミラー102とを用いて画像形成素子101に形成されたタイプである。図17に示す画像表示装置は、この図18に示す装置に比べて、装置全体の薄型化および観察視野の広画角化が容易である。
【0008】
また、光学系の中に回折光学面を用いることで、屈折光学系で発生する色収差と逆の色収差を発生させ、光学系全体の諸収差を抑えた高画質の画像表示装置も提案されている。
【0009】
例えば、特許文献5では、接眼光学系を構成する3面からなるプリズムの1面に回折光学面を配置し、装置全体の薄型化を残しつつ、偏心色収差の補正を行う光学系が提案されている。
【0010】
また、特許文献6には、回折光学面を配置したリレー光学系により一旦中間像を形成し、凹面鏡を有する接眼光学系を偏心配置し、画像形成素子に形成された画像を観察者に導く光学系が提案されている。
【0011】
さらに、特許文献7には、光源(LEDやLD等)で発した光を走査して画像を投影し、回折光学面を配置したリレー光学系を用いてこの画像の中間像を形成させ、更に偏心配置された凹面鏡を有する接眼光学系により観察者に導くという、少なくとも3面からなるプリズム体を含む光学系が提案されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−333551号公報
【特許文献2】
特開平8−50256号公報
【特許文献3】
特開平8−160340号公報
【特許文献4】
特開平8−179238号公報
【特許文献5】
特開2001−142025号公報
【特許文献6】
特許第2705880号公報
【特許文献7】
特開2001−004955号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
近年、画像形成素子であるLCD等の高精細化が進み、従来と同程度の画素数を有しながらもより小型化された画像形成素子が開発されている。このような小型化された画像形成素子を用いると、装置の小型化には有利になるものの、従来と同様の広画角を達成するためには、光学系の倍率を上げる必要が生じる。
【0014】
しかしながら、倍率を上げるために、光学系内で中間像を形成させると、光路長が長くなり、装置が大型化するという問題がある。
【0015】
本発明は、高倍率化が容易であり、かつ諸収差も良好に補正でき、しかも小型の光学系を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、画像表示素子と、画像表示素子が形成する原画からの光を観察者の眼又は被投射面に導く表示光学系とを有する画像表示装置において、表示光学系は、少なくとも反射作用を有する第1の面と、この第1の面で反射した原画からの光を再度第1の面に向けて反射する第2の面とを少なくとも含む複数の光学面を有し、第1の面は、第2の面から該第1の面に再度入射した中心画角主光線を、該第1の面における該主光線のヒットポイント上での法線に対して前回とは反対側に反射する面である。そして、上記複数の光学面のうち少なくとも1面を回折光学面とし、表示光学系内で原画の中間像を形成させている。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1には、本発明の実施形態1であるヘッドマウントディスプレイやプロジェクタ等の画像表示装置の光学系(表示光学系)の構成を示している。
【0018】
1は第1の光学系を構成する光学素子1であり、内部が屈折率が1より大きい透明媒質で満たされた透明体(プリズム体)上に3つの光学面A,B,Cを有する。面A(第1の面)、面B(第3の面)はともに透過面および反射面として作用する透過反射兼用面、面C(第2の面)は回折光学面としての作用を持つ反射面である。また、面A,B,Cはいずれも後述する中心画角主光線に対して偏心した偏心面である。また、面Cにおける後述する折り返し反射は、面Cに形成された反射膜による反射である。
【0019】
2は第2の光学系である。3はLCD(液晶ディスプレイ)等の原画を形成する画像形成素子である。この画像形成素子3には駆動回路4が接続されており、駆動回路4には、パーソナルコンピュータ、ビデオ、DVDプレーヤー等の画像情報供給装置5から画像信号が供給される。駆動回路4には画像供給装置5からの画像信号が入力され、駆動回路4は入力された画像信号に応じた原画を形成(表示)するように画像形成素子3を駆動する。Sは光学素子1および第2の光学系2からなる表示光学系の射出瞳である。
【0020】
図1では、画像形成素子3から発した光の例として、画像形成素子3の表示面の中心を射出して射出瞳Sの中心に至る光線(ここでは中心画角主光線という)を示している。
【0021】
画像形成素子3から発した光は、第2の光学系2を介して光学素子1に導かれる。光は面Bから光学素子1に入射し、面Aで反射された後、面Cに導かれる。面Cに入射した光はほぼ反対側に折り返し反射され、面Cでの反射前の光と逆向きに進む。
【0022】
面Cで折り返し反射された光は面Aで再反射される。ここで、第1の面である面Aは、第2の面である面Cから面Aに再度入射した中心画角主光線を、面Aにおける該主光線のヒットポイント上での法線に対して前回(面Bから面Aに入射した光の面Aでの反射)とは反対側に反射する。
【0023】
面Aで再反射された光は、面Bで反射され、面Aから光学素子1を射出して、射出瞳Sに到達し、観察者の眼又はスクリーン等の被投射面に画像を投影する。
【0024】
また、光学素子1において、光は、面B→面A→面C(折り返し反射)→面A→面B→面Aの順に各面を辿り、面Cでの折り返し反射を境に、最終の反射である面Bに至るまで、それまでの光路を逆にたどる。つまり、光学素子1内に、往路としての面B→面A→面Cと、復路としての面C→面A→面Bとが形成される。
【0025】
なお、本実施形態において(以下の実施形態でも同様)、面Cのように往路を復路に変える折り返し反射作用を持つ面を折り返し面という。
【0026】
このように、複数の偏心反射面A,B,Cで光路を折り返し、往路と復路をほぼ重複させることにより、長い光路長を小型の光学素子1内に収めることができる。これにより、表示光学系全体をも小型化することができる。
【0027】
また、表示光学系内に往復光路を形成し、面Cに、往路と復路を重複させる折り返し反射面としての作用と、色収差や偏心収差の補正に寄与する回折光学面としての作用の2つの作用を持たせることで、効率良く諸収差を補正し、良好な光学性能を得ることができる。また、表示光学系から不要な面を取り除き、表示光学系全体を小型とし、かつ面A,Bで光が屈折する際に発生する色収差を良好に補正することができる。
【0028】
そして、この表示光学系を用いて、観察者の眼又はスクリーン等の被投射面に画像を投影する画像表示装置を構成することにより、小型で画角が大きく、かつ色収差や偏心収差が良好に補正された高品位な画像を表示可能な画像表示装置を実現することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、回折光学面を面Cとした場合について説明したが、回折光学面を第2の光学系2中に設けてもよい。この場合も、表示光学系から不要な面を取り除き、表示光学系全体を小型とし、かつ色収差等を補正できるという作用効果が得られ、更には光学素子1で発生した偏心収差を補正しやすくなるため、非常に良好な光学性能を得た画像表示装置を提供することができる。
【0030】
また、本実施形態では、透明体により構成される光学素子1により往復光路を形成する場合について説明したが、光学素子1を複数のミラー部材を組み合わせて構成してもよい。
【0031】
また、面Aでの反射を光学素子1での内部全反射とすると、光量ロスが少なくなり好ましい。少なくとも面Aにおける反射する光束と射出する光束とが共に入射する領域において、反射光束が内部全反射するようにすると、反射光束のすべてを内部全反射とする場合に対して設計の自由度を上げつつ同程度の明るさを確保できる。この場合、面Aにおいて内部全反射を行わない反射は反射膜による反射とする。
(実施形態2)
上記実施形態1では、画像表示装置に用いられる表示光学系について説明したが、同様の光学系を、撮像装置に用いられる撮像(結像)光学系としても用いることができる。
【0032】
図2には、本発明の実施形態2であるデジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置の光学系(撮像光学系)の構成を示している。
【0033】
1は第1の光学系を構成する光学素子であり、内部が屈折率が1より大きい透明媒質で満たされた透明体(プリズム体)上に3つの光学面A,B,Cを有する。面A(第1の面)、面B(第3の面)はともに透過面および反射面として作用する透過反射兼用面、面C(第2の面)は回折光学面としての作用を持つ反射面である。また、面A,B,Cはいずれも後述する中心画角主光線に対して偏心した偏心面である。また、面Cにおける後述する折り返し反射は、面Cに形成された反射膜による反射である。
【0034】
2は第2の光学系で、6はCCDやCMOSセンサ等、光電変換作用を有する撮像素子である。Sは光学素子1および第2の光学系2からなる撮像光学系の入射瞳であり、この位置に絞りを置いて不要光の入射を防いでいる。
【0035】
図2においては、外界から撮像光学系に入射する光の例として、入射瞳Sの中心を通り撮像素子6の受光面の中心に至る光線(ここでは中心画角主光線という)を示している。
【0036】
外界からの光は、面Aから光学素子1に入射し、面Bで反射され、面Aで反射された後、面Cに導かれる。面Cに入射した光はほぼ反対側に折り返し反射され、面Aで再反射される。
【0037】
ここで、第1の面である面Aは、第2の面である面Cから面Aに再度入射した中心画角主光線を、面Aにおける該主光線のヒットポイント上での法線に対して前回(面Bから面Aに入射した光の面Aでの反射)とは反対側に反射する。
面Aで再反射され、面Bに向かった光は、面Bから光学素子1を射出して第2の光学系2に向う。第2の光学系2を通過した光は撮像素子6に導かれ撮像素子6の受光面にて結像する。撮像素子6の光電変換作用によって、外界像の画像信号を取得することができる。
【0038】
撮像素子6からの画像信号は、画像処理回路7により各種画像処理が施され、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスク等の記録媒体に記録される。
また、本実施形態では、光学素子1において、光は面A→面B→面A→面C(折り返し反射)→面A→面Bの順に各面を辿り、面Cでの折り返し反射を境に、最終の透過面である面Bに至るまでそれまでの光路を逆にたどる。つまり、光学素子1内に往路としての面B→面A→面Cと復路 としての面C→面A→面Bとが形成される。
【0039】
このように、複数の偏心反射面A,B,Cで光路を折り返し、往路を復路をほぼ重複させることにより、長い光路長を小型の光学素子1内に収めることができる。これにより、撮像光学系、さらには撮像装置全体をも小型化することができる。
【0040】
また、上記のように撮像光学系内に往復光路を形成し、面Cに、光路を重複させる折り返し面としての作用と、色収差や偏心収差の補正に寄与する回折光学面としての作用の2つの作用を持たせることで、効率良く諸収差を補正し、良好な光学性能を得ることができる。また、撮像光学系から不要な面を取り除き、撮像光学系全体を小型にし、かつ面A,Bでの屈折の際に発生する色収差補正を可能とする。
【0041】
そして、この撮像光学系を用いて撮像装置を構成することにより、小型で画角が大きく、かつ色収差や偏心収差が良好に補正された高品位な画像を撮影可能な撮像装置を実現することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、回折光学面を面Cとした場合について説明したが、回折光学面を第2の光学系2中に設けてもよい。この場合も、撮像光学系から不要な面を取り除き、撮像光学系全体を小型にし、かつ色収差等を補正できるという作用効果が得られ、更には光学素子1で発生した偏心収差を補正しやすくなるため、非常に良好な光学性能を得た撮像装置を提供することができる。
【0043】
また、本実施形態では、透明体により構成される光学素子1により往復光路を形成する場合について説明したが、光学素子1を複数のミラー部材を組み合わせて構成してもよい。
【0044】
また、面Aでの反射を光学素子1での内部全反射とすると、光量ロスが少なくなり好ましい。少なくとも面Aにおける反射する光束と射出する光束とが共に入射する領域において、反射光束が内部全反射するようにすると、反射光束のすべてを内部全反射とする場合に対して設計の自由度を上げつつ同程度の明るさを確保できる。この場合、面Aにおいて内部全反射を行わない反射は反射膜による反射とする。
【0045】
(実施形態3)
図3には、本発明の実施形態3であるヘッドマウントディスプレイやプロジェクタ等の画像表示装置の表示光学系の構成を示している。
【0046】
11は第1の光学系を構成する光学素子であり、内部が屈折率が1より大きい透明媒質で満たされた透明体(プリズム体)上に3つの光学面A,B,Cを有する。面A(第1の面)、面B(第3の面)はともに透過面および反射面として作用する透過反射兼用面、面C(第2の面)は回折光学面としての作用を持つ反射面である。また、面A,B,Cはいずれも後述する中心画角主光線に対して偏心した偏心面である。また、面Cにおける後述する折り返し反射は、面Cに形成された反射膜による反射である。
【0047】
12は第2の光学系である。13はLCD(液晶ディスプレイ)等の原画を形成する画像形成素子である。この画像形成素子13には駆動回路14が接続されており、駆動回路14には、パーソナルコンピュータ、ビデオ、DVDプレーヤー等の画像情報供給装置15から画像信号が供給される。駆動回路14には画像供給装置15からの画像信号が入力され、駆動回路14は入力された画像信号に応じた原画を形成(表示)するように画像形成素子13を駆動する。Sは光学素子11および第2の光学系12からなる表示光学系の射出瞳である。
【0048】
図3では、画像形成素子13から発した光の例として、画像形成素子13の表示面の中心を射出して射出瞳Sの中心に至る光線(ここでは中心画角主光線という)を示している。
【0049】
画像形成素子13から発した光は、第2の光学系12を介して光学素子11に導かれる。光はB面から光学素子11に入射し、面Aで反射された後、面Cで反射され、面Aに導かれる。面Aに入射した光はほぼ反対側に折り返し反射され、面Aでの折り返し反射前の光と逆向きに進む。
面Aで反射された光は面Cで再反射され、面Aでも再反射される。ここで、第1の面である面Aは、第2の面である面Cから面Aに再度入射した中心画角主光線を、面Aにおける該主光線のヒットポイント上での法線に対して前回(面Bから面Aに入射した光の面Aでの反射)とは反対側に反射する。また、この関係は、面Cでの2回の反射についても同様である。
【0050】
面Aで再反射された光は、面Bで反射され、面Aから光学素子11を射出して、射出瞳Sに到達し、観察者の眼又はスクリーン等の被投射面に画像を投影する。
【0051】
光学素子11において、光は、面B→面A→面C→面A(折り返し反射)→面C→面A→面B→面Aの順に各面を辿り、面Aでの折り返し反射を境に、最終の反射である面Bに至るまで、それまでの光路を逆にたどる。つまり、光学素子11内に、往路としての面B→面A→面C→面Aと、復路としての面A→面C→面A→面Bとが形成される。
【0052】
このように、複数の偏心反射面A,B,Cで光路を折り返し、往路と復路をほぼ重複させることにより、長い光路長を小型の光学素子11内に収めることができる。これにより、表示光学系全体をも小型化することができる。
【0053】
また、表示光学系内に往復光路を形成し、面Cに、光路を重複させる折り返し面としての作用と、色収差や偏心収差の補正に寄与する回折光学面としての作用の2つの作用を持たせることで、効率良く諸収差を補正し、良好な光学性能を得ることができる。また、表示光学系から不要な面を取り除き、表示光学系全体を小型とし、かつ面A,Bで光が屈折する際に発生する色収差を良好に補正することができる。
【0054】
そして、この表示光学系を用いて、観察者の眼又はスクリーン等の被投射面に画像を投影する画像表示装置を構成することにより、小型で画角が大きく、かつ色収差や偏心収差が良好に補正された高品位な画像を表示可能な画像表示装置を実現することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、回折光学面を面Cとした場合について説明したが、回折光学面を第2の光学系2中に設けてもよい。この場合も、表示光学系から不要な面を取り除き、表示光学系全体を小型とし、かつ色収差等を補正できるという作用効果が得られ、更には光学素子11で発生した偏心収差を補正しやすくなるため、非常に良好な光学性能を得た画像表示装置を提供することができる。
【0056】
また、本実施形態では、透明体により構成される光学素子11により往復光路を形成する場合について説明したが、光学素子11を複数のミラー部材を組み合わせて構成してもよい。
【0057】
また、面Aでの反射を光学素子11での内部全反射とすると、光量ロスが少なくなり好ましい。少なくとも面Aにおける反射する光束と射出する光束とが共に入射する領域において、反射光束が内部全反射するようにすると、反射光束のすべてを内部全反射とする場合に対して設計の自由度を上げつつ同程度の明るさを確保できる。この場合、面Aにおいて内部全反射を行わない反射は反射膜による反射とする。
【0058】
(実施形態4)
上記実施形態3では、画像表示装置に用いられる表示光学系について説明したが、同様の光学系を、撮像装置に用いられる撮像(結像)光学系としても用いることができる。
【0059】
図4には、本発明の実施形態4であるデジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置の光学系(撮像光学系)の構成を示している。
【0060】
11は第1の光学系を構成する光学素子であり、内部が屈折率が1より大きい透明媒質で満たされた透明体(プリズム体)上に3つの光学面A,B,Cを有する。面A(第1の面)、面B(第3の面)はともに透過面および反射面として作用する透過反射兼用面、面C(第2の面)は回折光学面としての作用を持つ反射面である。また、面A,B,Cはいずれも後述する中心画角主光線に対して偏心した偏心面である。また、面Cにおける後述する折り返し反射は、面Cに形成された反射膜による反射である。さらに、面Bには半透過反射膜(ハーフミラー)が形成されている。
【0061】
12は第2の光学系で、16はCCDやCMOSセンサ等、光電変換作用を有する撮像素子である。Sは光学素子11および第2の光学系12からなる撮像光学系の入射瞳であり、この位置に絞りを置いて不要光の入射を防いでいる。
【0062】
図4においては、外界から撮像光学系に入射する光の例として、入射瞳Sの中心を通り撮像素子16の受光面の中心に至る光線(ここでは中心画角主光線という)を示している。
【0063】
外界からの光は、面Aから光学素子11に入射し、面Bで反射され、面Aで反射された後、面Cで反射され、面Aに導かれる。面Aに入射した光はほぼ反対側に折り返し反射され、面Aでの折り返し反射前の光と逆向きに進む。
【0064】
面Aで折り返し反射された光は面Cで再反射され、面Aでも再反射される。ここで、第1の面である面Aは、第2の面である面Cから面Aに再度入射した中心画角主光線を、面Aにおける該主光線のヒットポイント上での法線に対して前回(面Bから面Aに入射した光の面Aでの反射)とは反対側に反射する。また、この関係は、面Cでの2回の反射についても同様である。
【0065】
面Aで再反射された光は、面Bから光学素子11を射出して、第2の光学系12を通過した後、撮像素子16の受光面にて結像する。撮像素子16の光電変換作用によって、外界像の画像信号を取得することができる。
【0066】
撮像素子16からの画像信号は、画像処理回路17により各種画像処理が施され、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスク等の記録媒体に記録される。
【0067】
光学素子11において、光は、面A→面B→面A→面C→面A(折り返し反射)→面C→面A→面Bの順に各面を辿り、面Aでの折り返し反射を境に、最終の透過面である面Bに至るまで、それまでの光路を逆にたどる。つまり、光学素子11内に、往路としての面B→面A→面C→面Aと、復路としての面A→面C→面A→面Bとが形成される。
【0068】
このように、複数の偏心反射面A,B,Cで光路を折り返し、往路を復路をほぼ重複させることにより、長い光路長を小型の光学素子11内に収めることができる。これにより、撮像光学系、さらには撮像装置全体をも小型化することができる。
【0069】
また、撮像光学系内に往復光路を形成し、面Cに、光路を重複させる折り返し面としての作用と、色収差や偏心収差の補正に寄与する回折光学面としての作用の2つの作用を持たせることで、効率良く諸収差を補正し、良好な光学性能を得ることができる。また、撮像光学系から不要な面を取り除き、撮像光学系全体を小型とし、かつ面A,Bで光が屈折する際に発生する色収差を良好に補正することができる。
【0070】
そして、この撮像光学系を用いて撮像装置を構成することにより、小型で画角が大きく、かつ色収差や偏心収差が良好に補正された高品位な画像を撮影可能な撮像装置を実現することができる。
【0071】
なお、本実施形態では、回折光学面を面Cとした場合について説明したが、回折光学面を第2の光学系2中に設けてもよい。この場合も、撮像光学系から不要な面を取り除き、撮像光学系全体を小型にし、かつ色収差等を補正できるという作用効果が得られ、更には光学素子11で発生した偏心収差を補正しやすくなるため、非常に良好な光学性能を得た画像表示装置を提供することができる。
【0072】
また、本実施形態では、透明体により構成される光学素子11により往復光路を形成する場合について説明したが、光学素子11を複数のミラー部材を組み合わせて構成してもよい。
【0073】
また、面Aでの反射を光学素子11での内部全反射とすると、光量ロスが少なくなり好ましい。少なくとも面Aにおける反射する光束と射出する光束とが共に入射する領域において、反射光束が内部全反射するようにすると、反射光束のすべてを内部全反射とする場合に対して設計の自由度を上げつつ同程度の明るさを確保できる。この場合、面Aにおいて内部全反射を行わない反射は反射膜による反射とする。
【0074】
上記実施形態1〜4において、光学素子1,11の折り返し面に入射した光線(中心画角主光線)が反射されて射出されるとき、該折り返し面の前後で光線が所定の角度θをなすように入射し反射される場合、角度θは、
|θ|<60° …(1)
を満たすことが望ましい。この条件を外れると、折り返し反射後の光路(復路)が往路を逆戻りせず、往復光路というよりジグザグ光路になってしまい、光学素子1,11が大型化する。
【0075】
また、好ましくは、
|θ|<30° …(2)
を満たすとよい。条件式(2)の条件を外れると、折り返し反射後の光路(復路)が往路を逆戻りすることはできるが、往路と復路が重ならず、光学素子1,11の小型化の程度が小さくなる。
【0076】
そして、より好ましくは、
|θ|<20° …(3)
を満たすとよい。条件式(3)を満たすことにより、光学素子1,11の十分な小型化を図ることができる。
【0077】
以下、本発明の具体的な数値実施例について説明する。偏心系に対応していない従来系の定義では、各光学面は、それぞれの面頂点を基準とした座標系で表される。すなわち、z軸を光軸とし、 yz断面が従来の母線断面(メリジオナル断面)であり、xz断面が子線断面(サジタル断面)となる。
【0078】
しかし、上記各実施形態で説明した光学系は偏心系であるので、偏心系に対応したローカル母線断面,ローカル子午線断面を新たに定義する。
中心画角主光線の各面のヒットポイント上で、中心画角主光線の入射光と射出光を含む面をローカル母線断面とし、ヒットポイントを含みローカル母線断面と垂直で各面頂点座標系の子線断面(通常の子線断面)と平行な面をローカル子線断面として定義する。
【0079】
各面における中心画角主光線のヒットポイント近傍での曲率を計算し、各面の中心画角主光線に対するローカル母線断面の曲率半径をry、ローカル子線断面の曲率半径rxを定義する。このとき、光学系中にある回折光学面(DOE面)において、
|ry/rx|<4 …(4)
なる条件を満たすことが望ましい。条件式(4)を満たさないようなDOE面の形状は、表示光学系または撮像光学系の色収差や偏心収差の抑制もしくは補正が良好に行えなくなる。
【0080】
[数値実施例1]
図5は,本発明の光学系の数値実施例1を示す断面図である。この数値実施例1は、上記実施形態3,4に対応するものである。光学素子11は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、折り返し面(面A)を含む3つの光学面A〜Cを有する。
【0081】
S2,S4,S6,S8は同一面(面A)であり、S3,S9は同一面(面B)である。また、S5,S7は同一面(面C)である。S6は折り返し反射作用を持つ折り返し面であり、S5,S7はDOE面である。
第2の光学系12は、それぞれ2面を有する2つの光学素子21,22により構成されている。各光学素子21、22は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体である。
【0082】
これら全ての面は紙面(yz断面)を唯一の対称面として持つ面対称形状をしている。尚、図中のx、y、zは観察者の視軸方向又は物体の観察方向をz軸、紙面内でz軸に垂直な方向をy軸、紙面に垂直な方向をx軸とした座標定義である。
【0083】
本数値実施例1の光学データを表1に示す。
【0084】
ここで、表1の光学データの見方を説明する。なお、ここでの説明は、以下に説明するすべての数値実施例に共通する。
【0085】
まず、最も左の項目SURFは面番号を示している。また、X,Y,ZおよびAは,面S1の中心を原点(0,0,0)とし、図中に示したy軸,z軸と紙面奥向きにx軸をとった座標系における各面の面頂点の位置(x,y,z),並びに、図面上で反時計回り方向を正方向とするx軸回りの回転角度a(単位:度)である。Rは曲率半径である。TYPの項は面形状の種類を表し、SPHは球面であり,FFSは以下の式に従う回転非対称面である。
【0087】
z=(1/R)*(x2+y2)/(1+(1-(1+k)*(1/R)2*(x2+y2))(1/2))+c2+c4*y+c5*(x2-y2)+c6*(-1+2*x2+2*y2)+c10*(-2*y+3*x2*y+3*y3)+c11*(3*x2*y-y3)+c12*(x4-6*x2*y2+y4)+c13*(-3*x2+4*x4+3*y2-4*y4)+c14*(1-6*x2+6*x4-6*y2+12*x2*y2+6*y4)+c20*(3*y-12*x2*y+10*x4*y-12*y3+20*x2*y3+10*y5)+c21*(-12*x2*y+15*x4*y+4*y3+10*x2*y3-5*y5)+c22*(5*x4*y-10*x2*y3+y5)+c23*(x6-15*x4*y2+15*x2*y4-y6)+c24*(-5*x4+6*x6+30*x2*y2-30*x4*y2-5*y4-30*x2*y4+6*y6)+c25*(6*x2-20*x4+15*x6-6*y2+15*x4*y2+20*y4-15*x2*y4-15*y6)+c26*(-1+12*x2-30*x4+20*x6+12*y2-60*x2*y2+60*x4*y2-30*y4+60*x2*y4+20*y6) +・・・・・・ (5)
【0088】
また、TYPの欄FFSの横に記された数値は,その面の形状が同表の下側に記載された非球面係数kおよびc**に対応する非回転対称形状であることを示している。但し、記載されていないc**の値は0である。また、e−Xは、10 −X を示す。
【0089】
TYPの項にあるDOEは回折光学面を意味し、ベース面の定義を次に述べる。ベース面の形状は、まずDOE面におけるローカルなyz平面で以下の式に従った非球面の輪郭を最初に定義する。
【0090】
z= R*y2/[1+[1- (1+k)R2*y2]1/2]+ A*y4 +B*y6 +C*y8 +D*y10
ここで、Rは曲率半径である。
【0091】
次に、同表の下側に記載されたDOE面の形状を示す欄にある、RDXの値をRdxとした場合、DOEのローカル座標のx=0、z=−Rdxを通り、DOE面のローカルなy軸と平行な軸に対して、上記で定義した非球面の輪郭を回転させたものがベース面となる。
【0092】
また各数値実施例に用いている全てのDOE面は、k=0、A=B=C=D=0である。
【0093】
さらに、ベース面に位相関数が以下の式に従って付加されている。
【0094】
φ(x,y)=2π/λ(c1x + c2y + c3x2+ c4xy + c5y2 + c6x3 + c7x2y + c8xy2
+ c9y3 + c10x4+ c11x3y + c12x2y2 + c13xy3 + c14y4+ c15x5 + c16x4y
+ c17x3y2 + c18x2y3 + c19xy4 + c20y5 + c21x6+ c22x5y + c23x4y2
+ c24x3y3 + c25x2y4 + c26xy5 + c27y6)
DOE面の位相関数は同表の下側に記載された、c**に対応する回転非対称形状であることを示している。但し、記載されていないc**の値は0である。
【0095】
Nd,νdはそれぞれ、その面以降の媒質のd線波長での屈折率とアッベ数を示しており,屈折率Ndの符号の変化はその面で光が反射されることを示している。
【0096】
また、媒質が空気層の場合は,屈折率Ndのみを1.0000として表示し、アッベ数νdは省略している。
【0097】
また、折り返し面での中心画角主光線の入射光線と反射光線とのなす角度θの絶対値を|θ|として記載している。
【0098】
また、DOE面における中心画角主光線のヒットポイントにおけるローカル母線断面の曲率半径ryと、ローカル子線断面の曲率半径rx、またryをrxで割った値の絶対値を|ry/rx|として記載している。
【0099】
本光学系を表示光学系として用いる場合において、SIを画像形成素子13の原画表示面とすると、SIからの光はS13から光学素子22に入射してS12から射出し、更にS11から光学素子21に入射してS10から射出し、光学素子11に向う。
【0100】
光学素子11に向った光は、S9から光学素子11に入射し、S8で反射し、S7で反射し、その後S6(折り返し面)で反射し、S5で反射し、S4で反射し、S3で反射し、S2から光学素子11を射出して射出瞳S1に導かれる。この際、光学素子11内で画像形成素子13の原画表示面の両端からの光線が交わっており、SIに表示された原画の中間像が形成されている。
【0101】
光学素子11内に中間像を形成することで、第2の光学系12のパワーを弱めてもコンパクトな構成とすることができ、第2の光学系12における余計な収差の発生を抑え、第2の光学系12の複雑化を防止できる。
【0102】
本数値実施例おいては、S7での反射からS5での反射の間に中間像が形成されているが、中間像は必ずしもこの間にある必要はない。また、中間像点からの発散光束を略平行光束に変換する接眼光学系部分の収差補正を容易にするように、中間像が、接眼光学系部分での像面湾曲や非点収差の発生する状況に合わせて、適宜湾曲したり非点隔差を有したりするように結像されていることが好ましい。
【0103】
また、光束がS5における反射からS2を射出するまでに、該光束に光学作用を与える面が接眼光学系部分に当たり、光学素子11でのそれ以外の部分と第2の光学系12とがリレー光学系に該当する。最終反射面として作用するときのS3は、射出面として作用する時のS2に対して非常に強いパワーを有した凹面鏡となっており、接眼光学系部分では収差を完全に補正することは困難である。このため、リレー光学系部分が接眼光学系部分での収差をキャンセルするような形の中間結像面ができるように中間像を形成することで、最終的な像観察における画質を向上させることが可能となる。
【0104】
なお、折り返し面S6と面C(S5,S7)とには反射膜が形成されている。
【0105】
また、DOE面を反射面とすることで、効率良く諸収差を補正し、良好な光学性能を得ることができる。
【0106】
本数値実施例1の長さのディメンジョンを有する数値をmmとして考えると、射出瞳径φ10mm、画像サイズ10mm×7.5mm程度で水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示する表示光学系となる。
【0107】
また、このような表示光学系において、ローカル母線断面上での最周辺画像のうち、射出瞳S1より遠い方側の最周像高f3と射出瞳中心を通る光線をf3中心光線、射出瞳S1より近い方側の最周像高f2と射出瞳中心とを通る光線をf2中心光線とする。このとき、f3中心光線とf2中心光線とが交差する点Pを通るような面を瞳結像面とする。これは全ての数値実施例において同様である。
【0108】
また、本光学系を撮像光学系として用いる場合、z軸負方向無限遠方の物点からの光束を、絞りS1を通過させて光学素子11に導き、S2から光学素子11に入射させ、S3で反射し、S4で反射し、S5で反射し、S6(折り返し面)で反射した後、S7で反射し、S8で反射し、S9から光学素子11を射出させて光学素子21に導く。光学素子21に導かれた光束は、S10から光学素子21に入射し、S11より射出し、更にS12から光学素子22に入射し、S13から射出して撮像素子16の受光面SIに結像する。
【0109】
S4,S8で反射する光束のうち、S2から射出もしくは入射する光束において、射出もしくは入射範囲で反射する光束は全反射するため、光量の損失は少ない。なお、面Cにおける反射と面Aにおいて内部全反射を行わない反射は反射膜による反射である。
【0110】
本数値実施例によれば、小型で広画角の光学系を実現することができる。
【0111】
[数値実施例2]
本発明の数値実施例2の断面図を図6に、光学データを表2に示す。本数値実施例2は、上記実施形態3,4に対応するものである。光学素子11は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、折り返し面(面A)を含む3つの光学面A〜Cを有する。
【0112】
S2,S4,S6,S8は同一面(面A)であり、S3,S9は同一面(面B)である。また、S5,S7は同一面(面C)である。S6は折り返し反射作用を持つ折り返し面である。
【0113】
第2の光学系を構成する光学素子12は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、回折光学面(DOE面)S10を含む3つの光学面S10,S11,S12を有する。
【0114】
これら全ての面は紙面(yz断面)を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0115】
本光学系を表示光学系として用いる場合において、SIを画像形成素子13の原画表示面とすると、SIからの光はS12から光学素子12に入射し、S11で裏面反射し、S10から光学素子12を射出して光学素子11に向う。
【0116】
光学素子11に向かった光は、S9から光学素子11に入射し、S8で反射し、S7で反射し、その後S6(折り返し面)で反射し、S5で反射し、S4で反射し、S3で反射し、S2から光学素子11を射出して射出瞳S1に導かれる。面CおよびS11における反射と、面Aにおいて内部全反射を行わない反射は、反射膜による反射である。さらに面Bには、半透過反射膜(ハーフミラー)が形成されている。
【0117】
DOE面(S10)を瞳結像位置の近傍に置くことで、軸上色収差を効率良く抑制できる。また、数値実施例1と同様に、本数値実施例2でも、光学素子11中に中間像が形成されている。
【0118】
本数値実施例2の長さのディメンジョンを有する数値をmmとして考えると、射出瞳径φ10mm、画像サイズ10mm×7.5mm程度で水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示する表示光学系となる。
【0119】
また、本数値実施例の光学系は、数値実施例1の光学系と同様に、SIを撮像素子16の受光面とする撮像光学系として用いることもできる。
【0120】
[数値実施例3]
本発明の数値実施例3の断面図を図7に、光学データを表3に示す。本数値実施例3は、上記実施形態3,4に対応するものである。光学素子11は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、折り返し面(面A)を含む3つの光学面A〜Cを有する。
【0121】
S2,S4,S6,S8は同一面(面A)であり、S3,S9は同一面(面B)である。また、S5,S7は同一面(面C)である。S6は折り返し反射作用を持つ折り返し面である。
【0122】
第2の光学系を構成する光学素子12は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、回折光学面(DOE面)S11を含む3つの光学面S10,S11,S12を有する。
【0123】
これら全ての面は紙面(yz断面)を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0124】
本光学系を表示光学系として用いる場合において、SIを画像形成素子13の原画表示面とすると、SIからの光はS12から光学素子12に入射し、S11で裏面反射し、S10から光学素子12を射出して光学素子11に向かう。光学素子11に向かった光は、S9から光学素子11に入射し、S8で反射し、S7で反射し、その後S6(折り返し面)で反射し、S5で反射し、S4で反射し、S3で反射し、S2から光学素子11を射出して射出瞳S1に導かれる。
【0125】
面CおよびS11における反射と、面Aにおいて内部全反射を行わない反射は反射膜による反射である。更に、面Bには半透過反射膜(ハーフミラー)が形成されている。
【0126】
DOE面(S11)を反射面とすることで、効率良く諸収差を補正し、良好な光学性能を得ることができる。また、数値実施例1と同様に、本数値実施例3でも、光学素子11中で中間像が形成されている。
【0127】
本数値実施例3の長さのディメンジョンを有する数値をmmとして考えると、射出瞳径φ10mm、画像サイズ10mm×7.5mm程度で水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示する表示光学系となる。
【0128】
また、本数値実施例の光学系は、数値実施例1の光学系と同様に、SIを撮像素子16の受光面とする撮像光学系として用いることもできる。
【0129】
[数値実施例4]
本発明の数値実施例4の断面図を図8に、光学データを表4に示す。本数値実施例4は、上記実施形態3,4に対応するものである。光学素子11は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、折り返し面(面A)を含む
3つの光学面A〜Cを有する。
【0130】
S2,S4,S6,S8は同一面(面A)であり、S3,S9は同一面(面B)である。また、S5,S7は同一面(面C)である。S6は折り返し反射作用を持つ折り返し面である。
【0131】
第2の光学系を構成する光学素子12は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、回折光学面(DOE面)S12を含む3つの光学面S10,S11(S13と同一面),S12を有する。
【0132】
これら全ての面は紙面(yz断面)を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0133】
本光学系を表示光学系として用いる場合において、SIを画像形成素子13の原画表示面とすると、SIからの光はS13から光学素子12に入射し、S12で反射し、S11で裏面反射し、S10から光学素子12を射出して光学素子11に向かう。
【0134】
光学素子11に向かった光は、S9から光学素子11に入射し、S8で反射し、S7で反射し、その後S6(折り返し面)で反射し、S5で反射し、S4で反射し、S3で反射し、S2から光学素子11を射出して射出瞳S1に導かれる。面CおよびS11における反射と、面Aにおいて内部全反射を行わない反射は反射膜による反射である。さらに、面Bには半透過反射膜(ハーフミラー)が形成されている。
【0135】
DOE面(S12)を反射面とすることで、効率良く諸収差を補正し、良好な光学性能を得ることができる。
【0136】
また、数値実施例1と同様に、本数値実施例4においても、光学素子11中に中間像が形成されている。
【0137】
本数値実施例4の長さのディメンジョンを有する数値をmmとして考えると、射出瞳径φ10mm、画像サイズ10mm×7.5mm程度で水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示する表示光学系となる。
【0138】
また、本数値実施例の光学系は、数値実施例1の光学系と同様に、SIを撮像素子16の受光面とする撮像光学系として用いることもできる。
【0139】
[数値実施例5]
本発明の数値実施例5の断面図を図9に、光学データを表5に示す。本数値実施例5は、上記実施形態3,4に対応するものである。光学素子11は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、折り返し面(面A)を含む3つの光学面A〜Cを有する。
【0140】
S2,S4,S6,S8は同一面(面A)であり、S3,S9は同一面(面B)である。また、S5,S7は同一面(面C)である。S6は折り返し反射作用を持つ折り返し面である。
【0141】
第2の光学系は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体である光学素子21’と光学素子22’とから構成されている。光学素子21’はS9(本数値実施例では光学素子11の面Bと光学素子21’とが接合されているため、光学素子11のS9と同一面とする)とS10の2面を有し、光学素子22’はS11(DOE面)とS12の2面を有する。
【0142】
これら全ての面は紙面(yz断面)を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0143】
本光学系を表示光学系として用いる場合において、SIを画像形成素子13の原画表示面とすると、SIからの光はS12から光学素子22’に入射し、S11から射出する。光学素子21’と光学素子11とはS9で接合されているため、光学素子21’のS10に入射した光はS9から光学素子11に入射する。
光学素子11に入射した光は、S8で反射し、S7で反射し、その後S6(折り返し面)で反射し、S5で反射し、S4で反射し、S3で反射し、S2から光学素子11を射出して射出瞳S1に導かれる。
【0144】
面Cにおける反射と面Aにおいて内部全反射を行わない反射は、反射膜による反射である。
【0145】
さらに、面Bには半透過反射膜(ハーフミラー)が形成されている。
【0146】
また、DOE面(S11)を透過面とすることで、格子の溝を深くすることができ、かつ寸法公差が緩いため、製造もし易い。
【0147】
また、数値実施例1と同様に、本数値実施例5でも、光学素子11中に中間像が形成されている。
【0148】
本数値実施例5の長さのディメンジョンを有する数値をmmとして考えると、射出瞳径φ10mm、画像サイズ10mm×7.5mm程度で水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示する表示光学系となる。
【0149】
また、本実施例においても、実施例1同様に撮像装置を構成する光学系としても利用できる。
【0150】
[数値実施例6]
本発明の数値実施例6の断面図を図10に、光学データを表6に示す。本数値実施例6は、上記実施形態1,2に対応するものである。光学素子1は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、折り返し面かつ回折光学面(面C)を含む3つの光学面A〜Cを有する。
【0151】
S2,S4,S6は同一面(面A)であり、S5は面Cである。また、S3,S7は同一面(面B)である。S5は折り返し反射作用を持つ折り返し面であるとともに、回折光学面(DOE面)である。
【0152】
第2の光学系は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体である光学素子2により構成されている。光学素子2は、3つの光学面S8、S9、S10を有する。
【0153】
これら全ての面は紙面(yz断面)を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0154】
本光学系を表示光学系として用いる場合において、SIを画像形成素子3の原画表示面とすると、SIからの光はS10から光学素子2に入射し、S9で裏面反射し、S8から光学素子2を射出して光学素子1に向かう。
【0155】
光学素子1に向かった光は、S7から光学素子1に入射し、S6で反射し、その後S5(折り返し面)で反射し、S4で反射し、S3で反射し、S2から光学素子1を射出して射出瞳S1に導かれる。
面CおよびS9の反射と面Aにおいて内部全反射を行わない反射は、反射膜による反射である。
【0156】
さらに、面Bには半透過反射膜(ハーフミラー)が形成されている。DOE面(C面)を反射面とすることで、効率良く諸収差を補正し、良好な光学性能を得ることができる。
【0157】
また、数値実施例1と同様に、本数値実施例6でも、光学素子1中に中間像が形成されている。
【0158】
本数値実施例6の長さのディメンジョンを有する数値をmmとして考えると、射出瞳径φ10mm、画像サイズ10mm×7.5mm程度で水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示する表示光学系となる。
【0159】
また、本数値実施例の光学系は、数値実施例1の光学系と同様に、SIを撮像素子6の受光面とする撮像光学系として用いることもできる。
【0160】
[数値実施例7]
本発明の数値実施例7の断面図を図11に、光学データを表7に示す。本数値実施例7は、上記実施形態1,2に対応するものである。光学素子1は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、折り返し面(面C)を含む3つの光学面A〜Cを有する。
【0161】
S2,S4,S6は同一面(面A)であり、S5は面Cである。また、S3,S7は同一面(面B)である。S5は折り返し反射作用を持つ折り返し面である。
【0162】
第2の光学系は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体である光学素子2により構成されている。光学素子2は、回折光学面(DOE面)S9を含む3つの光学面S8、S9、S10を有する。
【0163】
これら全ての面は紙面(yz断面)を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0164】
本光学系を表示光学系として用いる場合において、SIを画像形成素子3の原画表示面とすると、SIからの光はS10から光学素子2に入射し、S9で裏面反射し、S8から光学素子2を射出して光学素子1に向かう。
光学素子1に向かった光は、S7から光学素子1に入射し、S6で反射し、その後S5(折り返し面)で反射し、S4で反射し、S3で反射し、S2から光学素子1を射出して射出瞳S1に導かれる。
面CおよびS9の反射と面Aにおいて内部全反射を行わない反射は、反射膜による反射である。
【0165】
さらに、面Bには半透過反射膜(ハーフミラー)が形成されている。
DOE面(S9)を瞳結像位置の近傍に置く反射面とすることで、軸上色収差を効率良く抑制することができるだけでなく、諸収差を補正して良好な光学性能を得ることができる。
【0166】
また、数値実施例1と同様に、本数値実施例7でも、光学素子1中に中間像が形成されている。
【0167】
本数値実施例7の長さのディメンジョンを有する数値をmmとして考えると、射出瞳径φ10mm、画像サイズ10mm×7.5mm程度で水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示する表示光学系となる。
また、本数値実施例の光学系は、数値実施例1の光学系と同様に、SIを撮像素子6の受光面とする撮像光学系として用いることもできる。
【0168】
[数値実施例8]
本発明の数値実施例8の断面図を図12に、光学データを表8に示す。本数値実施例8は、上記実施形態1,2に対応するものである。光学素子1は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、折り返し面(面C)を含む3つの光学面A〜Cを有する。
【0169】
S2,S4,S6は同一面(面A)であり、S5は面Cである。また、S3,S7は同一面(面B)である。S5は折り返し反射作用を持つ折り返し面である。
第2の光学系は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体である光学素子2により構成されている。光学素子2は、回折光学面(DOE面)S9を含む3つの光学面S8、S9、S10を有する。
【0170】
これら全ての面は紙面(yz断面)を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0171】
本光学系を表示光学系として用いる場合において、SIを画像形成素子3の原画表示面とすると、SIからの光はS10から光学素子2に入射し、S9で裏面反射し、S8から光学素子2を射出して光学素子1に向かう。
光学素子1に向かった光は、S7から光学素子1に入射し、S6で反射し、その後S5(折り返し面)で反射し、S4で反射し、S3で反射し、S2から光学素子1を射出して射出瞳S1に導かれる。
【0172】
面CおよびS9における反射と面Aにおいて内部全反射を行わない反射は、反射膜による反射である。
【0173】
さらに、面Bには半透過反射膜(ハーフミラー)が形成されている。
DOE面(S9)を反射面とすることで、効率良く諸収差を補正し、良好な光学性能を得ることができる。
【0174】
また、数値実施例1と同様に、本数値実施例8でも、光学素子1中に中間像が形成されている。
【0175】
本数値実施例8の長さのディメンジョンを有する数値をmmとして考えると、射出瞳径φ10mm、画像サイズ10mm×7.5mm程度で水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示する表示光学系となる。
また、本数値実施例の光学系は、数値実施例1の光学系と同様に、SIを撮像素子6の受光面とする撮像光学系として用いることもできる。
【0176】
[数値実施例9]
本発明の数値実施例9の断面図を図13に、光学データを表9に示す。本数値実施例9は、上記実施形態1,2に対応するものである。光学素子1は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、折り返し面(面C)を含む3つの光学面A〜Cを有する。
【0177】
S2,S4,S6は同一面(面A)であり、S5は面Cである。また、S3,S7は同一面(面B)である。S5は折り返し反射作用を持つ折り返し面である。
【0178】
第2の光学系は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体である光学素子2により構成されている。光学素子2は、回折光学面(DOE面)S10を含む3つの光学面S8、S9、S10を有する。
【0179】
これら全ての面は紙面(yz断面)を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0180】
本光学系を表示光学系として用いる場合において、SIを画像形成素子3の原画表示面とすると、SIからの光はS10から光学素子2に入射し、S9で裏面反射し、S8から光学素子2を射出して光学素子1に向かう。
【0181】
光学素子1に向かった光は、S7から光学素子1に入射し、S6で反射し、その後S5(折り返し面)で反射し、S4で反射し、S3で反射し、S2から光学素子1を射出して射出瞳S1に導かれる。面CおよびS9での反射と面Aにおいて内部全反射を行わない反射は、反射膜による反射である。
【0182】
さらに、面Bには半透過反射膜(ハーフミラー)が形成されている。
DOE面(S10)を透過面とすることで、格子の溝を深くすることができるだけでなく、かつ寸法公差が緩いために、製造がし易い。また、数値実施例1と同様に、本数値実施例9でも、光学素子1中に中間像が形成されている。
【0183】
本数値実施例9の長さのディメンジョンを有する数値をmmとして考えると、射出瞳径φ10mm、画像サイズ12mm×9mm程度で水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示する表示光学系となる。
【0184】
本数値実施例の光学系は、数値実施例1の光学系と同様に、SIを撮像素子6の受光面とする撮像光学系として用いることもできる。
【0185】
[数値実施例10]
本発明の数値実施例10の断面図を図14に、光学データを表10に示す。本数値実施例10は、上記実施形態1,2に対応するものである。光学素子1は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、折り返し面(面C)を含む3つの光学面A〜Cを有する。
【0186】
S2,S4,S6は同一面(面A)であり、S5は面Cである。また、S3,S7は同一面(面B)である。S5は折り返し反射作用を持つ折り返し面である。
【0187】
第2の光学系は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体である光学素子2により構成されている。光学素子2は、回折光学面(DOE面)S8を含む3つの光学面S8、S9、S10を有する。
【0188】
これら全ての面は紙面(yz断面)を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0189】
本光学系を表示光学系として用いる場合において、SIを画像形成素子3の原画表示面とすると、SIからの光はS10から光学素子2に入射し、S9で裏面反射し、S8から光学素子2を射出して光学素子1に向かう。光学素子1に向かった光は、S7から光学素子1に入射し、S6で反射し、その後S5(折り返し面)で反射し、S4で反射し、S3で反射し、S2から光学素子1を射出して射出瞳S1に導かれる。
【0190】
面CおよびS9での反射と面Aにおいて内部全反射を行わない反射は、反射膜による反射である。
【0191】
さらに、面Bには半透過反射膜(ハーフミラー)が形成されている。
DOE面(S8)を透過面とすることで、格子の溝を深くすることができるだけでなく、かつ寸法公差が緩いために、製造がし易い。
【0192】
また、数値実施例1と同様に、本数値実施例10でも、光学素子1中に中間像が形成されている。
【0193】
本数値実施例10の長さのディメンジョンを有する数値をmmとして考えると、射出瞳径φ10mm、画像サイズ12mm×9mm程度で水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示する表示光学系となる。
【0194】
また、本数値実施例の光学系は、数値実施例1の光学系と同様に、SIを撮像素子6の受光面とする撮像光学系として用いることもできる。
【0195】
[数値実施例11]
本発明の数値実施例11の断面図を図15に、光学データを表11に示す。本数値実施例11は、上記実施形態1,2に対応するものである。光学素子1は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、折り返し面(面C)を含む3つの光学面A〜Cを有する。
【0196】
S2,S4,S6は同一面(面A)であり、S5は面Cである。また、S3,S7は同一面(面B)である。S5は折り返し反射作用を持つ折り返し面である。
【0197】
第2の光学系2は、内部が光学媒質で満たされた平板状の透明体である光学素子21”と、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体である光学素子22”とから構成されている。
【0198】
光学素子21”は、回折光学面(DOE面)であるS8とS9とを有する。また、光学素子22”は、3つの光学面S10、S11、S12を有する。DOE面S8の位相分布は回転対称である。
【0200】
本光学系を表示光学系として用いる場合において、SIを画像形成素子3の原画表示面とすると、SIからの光はS12から光学素子22”に入射し、S11で裏面反射し、S10から光学素子22”を射出し、S9から光学素子21”に入射してS8から射出し、光学素子1に向かう。
【0201】
光学素子1に向かった光は、S7から光学素子1に入射し、S6で反射し、その後S5(折り返し面)で反射し、S4で反射し、S3で反射し、S2から光学素子1を射出して射出瞳S1に導かれる。
面CおよびS11での反射と面Aにおいて内部全反射を行わない反射は、反射膜による反射である。
【0202】
さらに面Bには半透過反射膜(ハーフミラー)が形成されている。
【0203】
DOE面(S8)はベース面を平面とすることで、製造がし易くくなり、さらにDOE面(S8)の位相分布を回転対称とすることで、加工精度を高くすることができる。
【0204】
また、数値実施例1と同様に、本数値実施例11でも、光学素子1中に中間像が形成されている。
【0205】
本数値実施例11の長さのディメンジョンを有する数値をmmとして考えると、射出瞳径φ10mm、画像サイズ10mm×7.5mm程度で水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示する表示光学系となる。
【0206】
また、本数値実施例の光学系は、数値実施例1の光学系と同様に、SIを撮像素子6の受光面とする撮像光学系として用いることもできる。
【0207】
[数値実施例12]
本発明の数値実施例12の断面図を図16に、光学データを表12に示す。本数値実施例12は、上記実施形態1,2に対応するものである。光学素子1は、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体であり、折り返し面(面C)を含む3つの光学面A〜Cを有する。
【0208】
S2,S4,S6は同一面(面A)であり、S5は面Cである。また、S3,S7は同一面(面B)である。S5は折り返し反射作用を持つ折り返し面である。
第2の光学系2は、内部が光学媒質で満たされた平板状の透明体である光学素子21”と、内部が光学媒質で満たされたプリズム形状の透明体である光学素子22”とから構成されている。
【0209】
光学素子21”は、回折光学面(DOE面)であるS8とS9とを有する。また、光学素子22”は、3つの光学面S10、S11、S12を有する。DOE面S8の位相分布は回転非対称である。
【0210】
本光学系を表示光学系として用いる場合において、SIを画像形成素子3の原画表示面とすると、SIからの光はS12から光学素子22”に入射し、S11で裏面反射し、S10から光学素子22”を射出し、S9から光学素子21”に入射してS8から射出し、光学素子1に向かう。光学素子1に向かった光は、S7から光学素子1に入射し、S6で反射し、その後S5(折り返し面)で反射し、S4で反射し、S3で反射し、S2から光学素子1を射出して射出瞳S1に導かれる。
【0211】
面CおよびS11での反射と面Aにおいて内部全反射を行わない反射は、反射膜による反射である。
【0212】
さらに面Bには半透過反射膜(ハーフミラー)が形成されている。
DOE面(S8)はベース面を平面とすることで、製造がし易くくなり、さらにDOE面(S8)の位相分布を回転非対称とすることで諸収差を良好に補正することができる。
【0213】
また、数値実施例1と同様に、本数値実施例12でも、光学素子1中に中間像が形成されている。
【0214】
本数値実施例12の長さのディメンジョンを有する数値をmmとして考えると、射出瞳径φ10mm、画像サイズ10mm×7.5mm程度で水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示する表示光学系となる。
【0215】
また、本数値実施例の光学系は、数値実施例1の光学系と同様に、SIを撮像素子6の受光面とする撮像光学系として用いることもできる。
【0216】
また、上記各実施形態は本発明を実施した場合の例に過ぎず、本発明は上記各実施形態に様々な変更や改良が加えられて実施されるものである。
【0217】
【表1】
【0218】
【表2】
【0219】
【表3】
【0220】
【表4】
【0221】
【表5】
【0222】
【表6】
【0223】
【表7】
【0224】
【表8】
【0225】
【表9】
【0226】
【表10】
【0227】
【表11】
【0228】
【表12】
【0229】
〔発明1〕 表示手段からの光線に対し偏心して配置された反射作用を有する第1の面と、この第1の面で反射した光線を再度前記第1の面に向けて反射する第2の面とを少なくとも含む複数の光学面を有し、
前記第1の面は、前記第2の面から該第1の面に再度入射した中心画角主光線が、該第1の面における該主光線のヒットポイント上での法線に対して前回とは反対側に反射し、
かつ前記複数の光学面のうち少なくとも1面は回折光学面であることを特徴とする光学系。
【0230】
これにより、小型の光学系でありながらも光路長を長く確保でき、広画角を達成することができる。しかも、色収差や偏心収差の発生を抑制することができる。
【0231】
〔発明2〕 前記第2の面が前記回折光学面であることを特徴とする発明1に記載の光学系。
【0232】
〔発明3〕 前記第1の面および前記回折光学面である前記第2の面が、内部が光学媒質で満たされた透明体上にあることを特徴とする発明2に記載の光学系。
【0233】
本発明2、3によれば、第2の面を回折光学面とすることで効率良く諸収差を補正、特に色収差の補正に寄与し、良好な光学性能を得ることができる。
【0234】
〔発明4〕 前記複数の光学面のうち前記第1および第2の面以外の面が前記回折光学面であることを特徴とする発明1に記載の光学系。
【0235】
〔発明5〕 前記第1および第2の面が、内部が光学媒質で満たされた第1の透明体上にあり、
前記第1および第2の面以外の前記回折光学面が、内部が光学媒質で満たされた第2の透明体上にあることを特徴とする発明4に記載の光学系。
発明4、5によれば、光学系で発生した偏心収差を補正し、非常に良好な光学性能を得ることができる。
【0236】
〔発明6〕 前記回折光学面は、回転対称の曲面形状を有し、該曲面上に位相分布を有することを特徴とする発明1から5のいずれかに記載の光学系。
【0237】
〔発明7〕 前記回折光学面は、回転非対称の曲面形状を有し、該曲面上に位相分布を有することを特徴とする発明1から5のいずれかに記載の光学系。
【0238】
これら発明6,7によれば、回折光学面にパワーを持たせることができるため、不要な面を取り除くことができ、より小型化を図ることができる。特に、発明7のように、非回転対称の曲面上に位相分布を持たせることで、回折光学面でのパワーに対し自由度が増し、諸収差を適切に抑制することもできる。
【0239】
〔発明8〕 前記位相分布は、回転対称であることを特徴とする発明6又は7に記載の光学系。
【0240】
これにより、製造の負担が少なくなり、製造し易くなる。
【0241】
〔発明9〕 前記位相分布は、回転非対称であることを特徴とする発明6又は7に記載の光学系。
【0242】
これにより、諸収差を抑制するためにより適切な回折光学面を形成することができる。
【0243】
〔発明10〕 前記回折光学面が反射作用を有する光学面であることを特徴とする発明1に記載の光学系。
【0244】
このように、回折光学面が反射作用を持つことで、屈折系で発生する色収差発生をキャンセルさせ、また光学系全体の諸収差を補正し、良好な光学性能を持たせることができる。
【0245】
〔発明11〕 前記回折光学面が透過作用を有する光学面であることを特徴とする発明1に記載の光学系。
【0246】
このように、回折光学面が透過作用を持つことで、格子の溝が深くなってもその深さの公差が緩いため、製造がし易くなる。
【0247】
〔発明12〕 該光学系内で物体からの光が中間結像を形成することを特徴とする発明1から11にいずれかに記載の光学系。
このように中間像を形成することにより光学系の倍率を高くすることができる。
【0248】
〔発明13〕 前記回折光学面が、前記物体の位置と中間結像位置との間に設けられていることを特徴とする発明12に記載の光学系。
【0249】
このように、物体の位置と中間結像面との間に回折光学面を配置することにより、色収差と偏心収差を効率良く抑制し、良好な光学性能を得ることができる。
【0250】
〔発明13〕 前記回折光学面は、物体からの光の瞳結像位置に近接して設けられていることを特徴する発明12に記載の光学系。
【0251】
これにより、物体近傍に回折光学面を配置する場合に比べて格子ピッチを大きくすることができるため、回折光学面を製作し易い。
【0252】
〔発明14〕 前記第1および第2の面と、第3の面とが内部が光学媒質で満たされた透明体上にあり、
前記透明体に入射する光線は、順に、前記第3の面を透過し、前記第1の面で反射し、前記第2の面で反射し、前記第1の面で反射し、前記第3の面で反射し、前記第1の面を透過する光路又はその逆の順の光路を辿って前記透明体から射出することを特徴とする発明1に記載の光学系。
【0253】
〔発明15〕 前記第1の面で反射して最初に前記第2の面に入射する中心画角光線との反射光線とのなす角度θが、
|θ|<60°
なる条件を満足することを特徴とする発明14に記載の光学系。
【0254】
〔発明16〕 前記第1および第2の面と、第3の面とが内部が光学媒質で満たされた透明体上にあり、
前記透明体に入射する光線は、順に、前記第3の面を透過して、前記第1の面で反射し、前記第2の面で反射し、前記第1の面で反射し、前記第2の面で反射し、前記第1の面で反射し、前記第3の面で反射し、前記第1の面を透過する光路又はその逆の順の光路を辿って前記透明体から射出することを特徴とする発明1に記載の光学系。
【0255】
〔発明17〕 前記第2の面で反射して最初に前記第1の面に入射する中心画角光線との反射光線とのなす角度θが、
|θ|<60°
なる条件を満足することを特徴とする発明16に記載の光学系。
【0256】
〔発明18〕 原画を形成する画像形成素子と、
前記原画からの光線を、観察者の眼又は被投射面に導く発明1から17のいずれかに記載の光学系とを有することを特徴とする表示光学系。
【0257】
〔発明19〕 請求項18に記載の表示光学系を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【0258】
〔発明20〕 被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子の撮像面に被写体像を形成する発明1から17のいずれかに記載の光学系とを有することを特徴とする撮像光学系。
【0259】
〔発明21〕 請求項20に記載の撮像光学系を備えたことを特徴とする撮像装置。
【0260】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、小型の光学系でありながらも光路長を長く確保でき、広画角を達成することができる。しかも、色収差や偏心収差の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1である光学系を画像表示装置に適用した場合の光学系の構成図。
【図2】本発明の実施形態2である光学系を撮像装置に適用した場合の光学系の構成図。
【図3】本発明の実施形態3である光学系を画像表示装置に適用した場合の光学系の構成図。
【図4】本発明の実施形態4である光学系を撮像装置に適用した場合の光学系の構成図。
【図5】本発明の数値実施例1の光学系の断面図。
【図6】本発明の数値実施例2の光学系の断面図。
【図7】本発明の数値実施例3の光学系の断面図。
【図8】本発明の数値実施例4の光学系の断面図。
【図9】本発明の数値実施例5の光学系の断面図。
【図10】本発明の数値実施例6の光学系の断面図。
【図11】本発明の数値実施例7の光学系の断面図。
【図12】本発明の数値実施例8の光学系の断面図。
【図13】本発明の数値実施例9の光学系の断面図。
【図14】本発明の数値実施例10の光学系の断面図。
【図15】本発明の数値実施例11の光学系の断面図。
【図16】本発明の数値実施例12の光学系の断面図。
【図17】従来の画像表示装置の概略図。
【図18】従来の画像表示装置の概略図。
【符号の説明】
1,11 光学素子(第1の光学系)
2,12 第2の光学系
3,13 画像形成素子
4,14 撮像素子
Claims (10)
- 画像表示素子と、その画像表示素子が形成する原画からの光を観察者の眼又は被投射面に導く表示光学系とを有する画像表示装置であって、
前記表示光学系は、少なくとも反射作用を有する第1の面と、この第1の面で反射した前記原画からの光を再度前記第1の面に向けて反射する第2の面とを少なくとも含む複数の光学面を有し、
前記第1の面は、前記第2の面から該第1の面に再度入射した中心画角主光線を、該第1の面における中心画角主光線のヒットポイント上での法線に対して前回とは反対側に反射する面であり、
前記複数の光学面のうち少なくとも1面は回折光学面であり、
前記表示光学系内で前記原画の中間像が形成されることを特徴とする画像表示装置。 - 前記第1の面および前記回折光学面である前記第2の面が、内部が光学媒質で満たされた透明体上にあることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 前記第1および第2の面が、内部が光学媒質で満たされた第1の透明体上にあり、
前記第1および第2の面以外の前記回折光学面が、内部が光学媒質で満たされた第2の透明体上にあることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。 - 前記回折光学面が、前記原画の位置とその中間像の位置との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 前記回折光学面は、前記原画の位置よりも該原画からの光の瞳結像位置に近い位置に設けられていることを特徴する請求項1に記載の画像表示装置。
- 前記第1および第2の面と第3の面とが、内部が光学媒質で満たされた透明体上にあり、
前記透明体に入射する光線は、順に、前記第3の面を透過し、前記第1の面で反射し、前記第2の面で反射し、前記第1の面で反射し、前記第3の面で反射し、前記第1の面を透過する光路を辿って前記透明体から射出することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。 - 前記第1の面で反射して最初に前記第2の面に入射する中心画角光線との反射光線とのなす角度θが、
|θ|<60°
なる条件を満足することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。 - 前記第1および第2の面と、第3の面とが内部が光学媒質で満たされた透明体上にあり、
前記透明体に入射する光線は、順に、前記第3の面を透過して、前記第1の面で反射し、前記第2の面で反射し、前記第1の面で反射し、前記第2の面で反射し、前記第1の面で反射し、前記第3の面で反射し、前記第1の面を透過する光路を辿って前記透明体から射出することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。 - 前記第2の面で反射して最初に前記第1の面に入射する中心画角光線との反射光線とのなす角度θが、
|θ|<60°
なる条件を満足することを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。 - 被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子の撮像面に被写体像を形成する撮像光学系とを有する撮像装置であって、
前記撮像光学系は、少なくとも反射作用を有する第1の面と、この第1の面で反射した被写体からの光を再度前記第1の面に向けて反射する第2の面とを少なくとも含む複数の光学面を有し、
前記第1の面は、前記第2の面から該第1の面に再度入射した中心画角主光線を、該第1の面における中心画角主光線のヒットポイント上での法線に対して前回とは反対側に反射する面であり、
前記複数の光学面のうち少なくとも1面は回折光学面であり、
前記撮像光学系内で前記被写体の中間像が形成されることを特徴とする撮像装置。
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