以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。各フローチャートの開始条件は、記載した開始条件だけに必ずしも限定されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施の形態の盗難防止装置1の電気的構成を示すブロック図である。盗難防止装置1は、盗難対象物に搭載され、盗難対象物自体や、盗難対象物が備える部材などの盗難を防止する。本実施の形態では、盗難対象物は車両によって実現され、盗難防止装置1は車両盗難防止装置1として実現される。したがって本実施の形態の車両盗難防止装置1は、車両に搭載され、車両自体、タイヤおよびエンジンなどの車両部品、ならびに車内に置かれている物などの盗難を防止する。車両盗難防止装置1は、車両に搭載される車載装置2と、車両の離間した位置から車載装置2を操作可能な送信機3とを含んで構成される。先ず、車載装置2に関して説明し、次に送信機3に関して説明する。
車載装置2は、送信機3からの指令を受信する受信部4、車両の状態を検出するセンサ部5、および警報を出力する警報出力部6、および各部を制御する盗難防止用電子制御装置(Electronic Control Unit:略称ECU)7を含んで構成される。また本実施の形態の車載装置2は、車両の振動によって出力に影響が生じる振動検出手段、たとえば侵入センサ8および傾斜センサ9を備えていない。図1では理解を容易にするため、侵入センサ8および傾斜センサ9を仮想的に示す。なお、振動検出手段とは、車両の重量変化および外力などによって発生する振動に起因して出力に変化が生じる可能性のあるあらゆるセンサを意味するものであり、単に振動を検出することを目的とした一般的な振動センサのみに限定するものではない。
受信部4は、送信機3から送信される指令を受信し、受信した指令を盗難防止用ECU7に与える。センサ部5は、車両の状態、たとえばトランクまたはドアの開閉状態および施錠状態などを検出し、検出した情報を盗難防止用ECU7に与える。センサ部5は、カーテシスイッチ(SW)10、トランクカーテシスイッチ11、ドアロック検知スイッチ12、トランクキースイッチ13およびドアロックモータ14を含んで構成される。
カーテシスイッチ10は、ドア検出手段であって、フロントおよびリアなどの乗降用のドア(以下、単に「ドア」ということがある)の開閉に応じた情報を検出し、検出した情報を盗難防止用ECU7に与える。トランクカーテシスイッチ11は、ラゲージドアであるトランクの開閉に応じた情報を検出し、検出した情報を盗難防止用ECU7に与える。
ドアロック検知スイッチ12は、ドアが施錠されたか否かに応じた情報を検出し、検出した情報を盗難防止用ECU7に与える。トランクキースイッチ13は、トランクを開閉するためのトランクキーによってトランクが解錠されたか否かに応じた情報を検出し、検出した情報を盗難防止用ECU7に与える。
ドアロックモータ14は、盗難防止用ECU7によって制御され、盗難防止用ECU7から与えられる指令に基づいて、開状態にあるドアを施錠して閉状態にし、閉状態にあるドアを解錠して開状態にする。
警報出力部6は、警報出力手段であって、盗難防止用ECU7から与えられる指令に基づいて、警報を出力する。警報出力部6は、サイレン15およびハザードランプ16を含んで構成される。サイレン15は、盗難防止用ECU7によって制御されて、盗難防止用ECU7から与えられる指令に基づいて、警告音であるアラームを出力する。ハザードランプ16は、盗難防止用ECU7によって制御されて、盗難防止用ECU7から与えられる指令に基づいて、警告ランプを点灯する。
盗難防止用ECU7は、制御手段であって、各部から与えられる情報に基づいて、各部に指令を与えて制御する。盗難防止用ECU7は、たとえばマイクロプロセッサなどの処理回路によって実現される。盗難防止用ECU7には、イグニションオフ時にトランクおよびドアが施錠されているか解錠されているかを区別するための情報が与えられる。
盗難防止用ECU7は、送信機3から送信され、受信部4によって受信される指令の識別コードが、予め定める識別コードと一致するか否かを判定し、一致する場合、指令、たとえばドアロック指令、アンロック指令またはトランクオープン指令などに従って各部を制御し、一致しない場合、指令を無視する。ドアロック指令であれば、全ドアをロックすると共に、車両盗難行為を監視するアーミング状態に設定する。またアンロック指令であれば、全ドアをアンロックすると共に、車両盗難行為の監視を解除するディスアーム状態となる。またトランクオープン指令であれば、トランクをアンロックにする。なお、盗難防止用ECU7は、アーミング状態において、正規の手段、つまり正規のキーまたは送信機3からのトランクオープン指令によってトランクがアンロックされたことをトランクキースイッチ13が検出した場合、一時的にディスアーム状態にする。その場合、トランクが再び閉じてから所定時間が経過するとアーミング状態に再設定される。
盗難防止用ECU7は、アーミング状態において、センサ部5から与えられる情報に基づいて、盗難を検出すると、警報を出力するように警報出力部6に指令を与える。
次に、送信機3に関して説明する。送信機3は、車載装置2を遠隔操作するための装置であって、複数、本実施の形態では3つのボタン3aを有する。操作者によってボタン3aが押下されると、識別コードを含む指令が送信される。送信機3は、たとえばドアを施錠するロックボタン(L)、ドアを解錠するアンロックボタン(U)、およびトランクを解錠するトランクオープンボタン(T)を備える。送信機3のロックボタン(L)が押下され、車載装置2がドアをロックすると、アーミング状態にされる。換言すると、ロックボタン(L)は、アーミング状態を開始を指令する機能も有する。また送信機3のアンロックボタン(U)が押下され、車載装置2がドアをアンロックすると、ディスアーム状態にされる。換言すると、アンロックボタン(U)は、ディスアーム状態の開始を指令する機能を有する。
次に、盗難防止装置1の動作についてフローチャートを用いて説明する。各フローチャートの動作は、車載装置2の盗難防止用ECU7によって行われる。図2は、車載装置2の盗難防止用ECU7による処理を示すフローチャートである。この処理は、イグニッションがオフであり、キーが挿入されていない場合に、繰り返し実行される。図3は、盗難防止用ECU7の動作を説明するためのタイミングチャートである。図3に示すタイミングチャートは、図2に示す盗難防止用ECU7の動作に関連している。
ステップa1では、送信機3からの識別コードを含む指令を受信したか否かを判断し、受信した場合、ステップa1に移り、受信していない場合、ステップa15に移る。ステップa2では、識別コードと車載装置2の識別コードとが一致するか否かを判断し、一致する場合、ステップa3に移り、一致しない場合、ステップa15に移る。
ステップa3では、受信した指令がドアをロックする要求であるか否かを判断し、ロック要求の場合、ステップa4に移り、ロック要求で無い場合、ステップa10に移る。ステップa4では、ロック要求に基づいて、トランクおよびドアが閉状態であるか否かを判断し、閉状態である場合、ステップa5に移り、開状態である場合、ステップa14に移る。ステップa5では、アーム準備フラグ(F)が1であるか否か、すなわちアーム準備状態であるか否かを判断し、1でない場合、すなわちアーム準備状態でない場合、ステップa6に移り、1である場合、すなわちアーム準備状態である場合、ステップa27に移る。ここでアーム準備フラグは、アーム準備状態であるか否かを示す値であり、0または1の値をとる。アーム準備状態である場合、アーム準備フラグは1であり、アーム準備状態でない場合、アーム準備フラグは0である。
ステップa6では、アームフラグが1であるか否か、すなわちアーミング状態であるか否かを判断し、1でない場合、すなわちアーミング状態でない場合、ステップa7に移り、1である場合、すなわちアーミング状態である場合、ステップa15に移る。ここでアームフラグは、アーミング状態であるか否かを示す値であり、0または1の値をとる。アーミング状態である場合、アームフラグは1であり、アーミング状態でない場合、アームフラグは0である。
ステップa7では、送信機3からのロック要求に基づいて、ドアを施錠し、ステップa8に移る。ステップa8では、アームフラグを1にしてアーミング状態に設定し、ステップa9に移る。ステップa9では、ロック要求に対するアンサーバックを行って、ステップa15に移る。アンサーバックは、たとえばホーンが音を出力およびハザードランプ16が点灯する処理である。
ステップa14では、ステップa4にてドアが開状態にあるので、ロックすることができないことをアンサーバックして、ステップa15に移る。ステップa10では、ステップa3にてロック要求ではないの、アンロック要求であるか否かを判断し、アンロック要求の場合、ステップa11に移り、アンロック要求で無い場合、ステップa15に移る。ステップa11では、送信機3からのアンロック要求に基づいて、ドアを解錠し、ステップa12に移る。ステップa12では、ドアが解錠されているので、アーム準備フラグ、アーム中断フラグおよびアームフラグを0にし、すなわち、アーム準備状態、アーム中断状態およびアーミング状態のいずれの状態でもない状態であるディスアーム状態にし、ステップa13に移る。ここでアーム中断フラグは、アーム中断状態であるか否かを示す値であり、0または1の値をとる。アーム中断状態である場合、アーム中断フラグは1であり、アーム中断状態でない場合、アーム中断フラグは0である。ステップa13では、アンロック要求に対するアンサーバックを行い、ステップa15に移る。
ステップa15では、操作者によってトランクが閉状態から開状態にされたか否かを判断し、開状態にされた場合、ステップa16に移り、開状態にされていない場合、ステップa19に移る。なおステップa15での判断は、送信機3のトランクオープンボタン(T)によるトランクオープン指令を検出するか、または、トランクキースイッチ13によってトランクキーでトランクがオープンされたことを検出すると、トランクが開状態にされたと判断する。ステップa16では、アームフラグが1、すなわちアーミング状態であるか否かを判断し、1である場合、すなわちアーミング状態中に正規の手段によってトランクが開けれた場合、ステップa17にてアームフラグを0にしてディスアーム状態とする。次に、ステップa18にて、正規の手段によってトランクが開けられたことによって一時的にアーミング状態が中断されたことを示すべく、アーム中断フラグを1にして、ステップa19に移る。
ステップa19では、操作者によって、トランクが開状態から閉状態にされたか否かを判断し、操作された場合、ステップa20に移り、操作されていない場合、ステップa25に移る。ステップa20では、アーム中断フラグが1であるか否かを判断し、1である場合、すなわちアーミング状態中に正規にトランクが開けられた後、閉状態になった場合、ステップa21に移り、1でない場合、すなわちアーム中断状態でない場合、ステップa25に移る。ステップa21では、アーム中断フラグを0にして、ステップa22に移る。ステップa22では、アーミング状態中にトランクの開閉を伴う一時的なディスアーム状態であることを示すべくアーム準備フラグを1にして、ステップa23に移る。ステップa23では、タイマをスタートさせ、ステップa24に移る。ステップa24では、所定時間の一時的なディスアーム状態が開始したことを報知するためのアンサーバックがされ、ステップa25に移る。
ステップa25では、アーム準備フラグが1であるか否かを判断し、1である場合、すなわち一時的なディスアーム状態である場合、ステップa26に移り、1でない場合、ステップa29に移る。ステップa26では、タイマの時間Tが、予め定める準備期間T1、たとえば30秒を経過した否かを判断し、経過した場合、ステップa27に移り、経過していない場合、ステップa29に移る。なお、準備期間T1は、トランクオープンによるトランクルーム内の荷物の出し入れ、またはトランクを閉じることなどによって発生する車両振動が収まるのに要する時間を考慮して設定されるものである。
ステップa27では、一時的なディスアーム状態が終了し、再びアーミング状態に設定すべく、トランクおよびドアが施錠されて閉状態であるか否かを判断し、施錠されている場合、ステップa28に移り、施錠されていない場合、ステップa29に移る。ステップa28では、アーム準備フラグを0にして、アームフラグを1にして、ステップa29に移る。これにより再びアーミング状態が設定される。ステップa29では、アームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、ステップa30に移り、1でない場合、ステップa32に移る。
ステップa30では、センサ部5から与えられる情報に基づいて、盗難検出されたか否かを判断し、盗難検出された場合、ステップa31に移り、盗難検出されていない場合、ステップa32に移る。ステップa31では、盗難が検出されたので、アラームフラグを1にして盗難発生状態にし、ステップa32に移る。ここでアラームフラグは、盗難が発生した盗難発生状態であるか否かを示す値であり、0または1の値をとる。盗難発生状態である場合、アラームフラグは1であり、盗難発生状態でない場合、アラームフラグは0である。
ステップa32では、アラームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、すなわち盗難発生状態である場合、ステップa33に移り、1でない場合、すなわち盗難発生状態でない場合、ステップa1に戻る。ステップa33では、盗難発生状態であるので、警報出力部6に予め定める警報期間にわたって警報を出力させ、ステップa1に戻る。
このように図3を参照して動作を説明すると、アーミング状態中に送信機3によって、時刻t11にてトランクを開くと、ステップa15〜ステップa18に示すように、アーミング状態が解除され、アーム中断状態にする。アーム中断状態にすることによって、正規の手段によってトランクが開けられたことによって一時的にアーミング状態が中断された一時的なディスアーム状態にされ、セキュリティ監視解除状態となる。
その後、時刻12にてトランクを閉じると、ステップa19〜ステップa24に示すように、アーミング状態中にトランクの開閉を伴う一時的なディスアーム状態であることを示すアーム準備状態となり、タイマTが作動する。その後、タイマTに基づいて準備期間T1経過後、たとえば30秒後の時刻t14にて、ステップa25〜ステップa28に示すように、自動的にアーミング状態にされ、セキュリティ監視状態となる。
アーム準備フラグが1である間、換言すると、アーミング状態中にトランクが開状態にされ、その後閉状態にされた後、準備期間T1内のアーミング準備状態中の時刻t13にて、再度ロック要求があると、ステップa5からステップa27に移り、その時点で直ちに、図3にて破線で示すように、アーミング状態とされ、セキュリティ監視状態となる。
以上、説明したように、本実施の形態の盗難防止装置1では、アーミング状態において、トランクが正規の手段で閉状態から開状態になったことを検出するとディスアーム状態にするように、盗難防止用ECU7によって制御される。これによって操作者は、アーミング状態からディスアーム状態に変更する操作をすることなく、トランクを開状態にすることができる。
またかかるディスアーム状態において、トランクが開状態から閉状態になったことを検出すると、準備期間T1が経過した後に前記アーミング状態にし、前記準備期間T1内にロック指令が与えられると、アーミング状態にするように盗難防止用ECU7によって制御される。したがってトランクが閉状態になり、準備期間T1内にロック指令が与えられないと、準備期間T1後にいわば自動的に、ディスアーム状態からアーミング状態になる。たとえば車両の振動によって出力に影響が生じるセンサを備える場合であっても、準備期間T1が経過した後では、車両の振動も停止しているので、アーミング状態にしても不所望に警報を出力することを防ぐことができる。これによって操作者は、トランクを閉状態にするだけで、特別な操作をすることなく、アーミング状態にすることができる。
また準備期間T1内に、操作者がロック指令を与えることによって、アーミング状態にすることができるので、操作者は準備期間T1内であっても、所望のタイミングでアーミング状態にすることができる。本実施の形態では、車両の振動よって出力に影響が生じるセンサ、たとえば侵入センサ8および傾斜センサ9を備えていないので、準備期間T1は不要であるが、操作者がロック指令を与えることによって、準備期間T1内であっても、アーミング状態にすることができるので、準備期間T1内の安全性を確保することができる。したがって車両の振動によって出力に影響が生じるセンサの有無に関係なく、1つの盗難防止装置1で安全性を確保することができるので、汎用性が向上し、製造コストを低減することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態の盗難防止装置1aに関して説明する。本実施の形態の車載装置2は、センサ部5が車両の振動よって出力に影響が生じる振動検出部17を含んで構成される。振動検出部17は、侵入センサ8および傾斜センサ9を含んで構成される。侵入センサ8は、たとえば超音波を用いて車内空間における超音波の反射に基づく情報を検出し、検出した情報を盗難防止用ECU7に与える。盗難防止用ECU7は、侵入センサ8からの情報に基づいて、車内への侵入者の有無を判断し、侵入者有りと判断すると、警報出力部6に警報を出力するように制御する。
傾斜センサ9は、車両の傾きを検出し、検出した情報を盗難防止用ECU7に与える。盗難防止用ECU7は、アーミング状態になったときの傾斜センサ9の出力に基づき初期傾斜角を設定し、傾斜センサ9からの与えられる情報に基づいて、初期傾斜角から所定角度車両が傾いたとき、不所望な車両の傾きがあったと判断し、警報出力部6に警報を出力するように制御する。
図4は、本実施の形態の車載装置2の盗難防止用ECU7による処理を示すフローチャートである。この処理は、イグニッションがオフであり、キーが挿入されていない場合に、繰り返し実行される。図4Aでは、ステップb1〜ステップb25までを示し、図4Bでは、ステップb26〜ステップb41を示す。図5は、盗難防止用ECU7の動作を説明するためのタイミングチャートである。図5に示すタイミングチャートは、図4に示す盗難防止用ECU7の動作に関連している。
ステップb1では、送信機3からの識別コードを含む指令を受信したか否かを判断し、受信した場合、ステップb1に移り、受信していない場合、ステップb15に移る。ステップb2では、識別コードと車載装置2の識別コードとが一致するか否かを判断し、一致する場合、ステップb3に移り、一致しない場合、ステップb15に移る。
ステップb3では、受信した指令がドアをロックする要求であるか否かを判断し、ロック要求の場合、ステップb4に移り、ロック要求で無い場合、ステップb11に移る。ステップb4では、ロック要求に基づいて、トランクおよびドアが閉状態であるか否かを判断し、閉状態である場合、ステップb5に移り、開状態である場合、ステップb14に移る。ステップb5では、アーム準備フラグ(F)が1であるか否かを判断し、1でない場合、すなわちアーム準備状態でない場合、ステップb6に移り、1である場合、すなわちアーム準備状態である場合、ステップb26に移る。
ステップb6では、早期アームフラグが1であるか否かを判断し、1でない場合、すなわち早期アーミング状態でない場合、ステップb7に移り、1である場合、すなわち早期アーミング状態である場合、ステップb26に移る。ここで早期アームフラグは、アーミング状態中におけるトランクの開閉によって生じるアーミング準備状態においてアーミング要求を受けて、本来より早いタイミングでアーミング状態になったことを示す値であり、0または1の値をとる。早期アーミング状態である場合、早期アームフラグは1であり、早期アーミング状態でない場合、早期アームフラグは0である。
ステップb7では、アームフラグが1であるか否かを判断し、1でない場合、ステップb8に移り、1である場合、ステップb16に移る。ステップb8では、ロック要求に基づいて、トランクまたはドアを施錠し、ステップb9に移る。ステップb9では、アームフラグを1にして、アーミング状態に設定し、ステップb10に移る。ステップb10では、ロック要求に対するアンサーバックを行って、ステップb16に移る。
ステップb15では、ステップb4にてドアが開状態にあるので、ロックすることができず、ロックすることができないことをアンサーバックして、ステップb16に移る。ステップb11では、ステップb3にてロック要求ではないの、アンロック要求であるか否かを判断し、アンロック要求の場合、ステップb12に移り、アンロック要求で無い場合、ステップb16に移る。ステップb12では、アンロック要求に基づいて、トランクまたはドアを解錠し、ステップb13に移る。ステップb13では、アーム準備フラグ、アーム中断フラグ、早期アームフラグおよびアームフラグを0にし、すなわちディスアーム状態にして、ステップb14に移る。ステップb14では、アンロック要求に対するアンサーバックを行い、ステップb15に移る。
ステップb16では、操作者によってトランクが閉状態から開状態にされたか否かを判断し、開状態にされた場合、ステップb17に移り、開状態にされていない場合、ステップb20に移る。ステップb17では、アームフラグが1であるか否か、すなわちアーミング状態であるか否かを判断し、1である場合、ステップb18に移り、1でない場合、ステップb20に移る。ステップb18では、アームフラグを0にして、すなわちディスアーム状態にして、ステップb19に移る。ステップb19では、アーム中断フラグを1にして、すなわちアーム中断状態にして、ステップb20に移る。
ステップb20では、操作者によって、トランクが開状態から閉状態にされたか否かを判断し、操作された場合、ステップb21に移り、操作されていない場合、ステップb28に移る。ステップb21では、アーム中断フラグが1であるか否かを判断し、1である場合、すなわちアーミング状態中に正規にトランクが開けられた後、閉状態になった場合、ステップb22に移り、1でない場合、ステップb28に移る。ステップb22では、アーム中断フラグを0にして、ステップb23に移る。ステップb23では、アーミング状態中にトランクの開閉を伴う一時的なディスアーム状態であることを示すべくアーム準備フラグを1にして、アーム準備状態にし、ステップb24に移る。ステップb23では、タイマをスタートさせ、ステップb25に移る。ステップb25では、所定時間の一時的なディスアーム状態が開始したことを報知するためのアンサーバックがされ、ステップb28に移る。
ステップb26では、早期アームフラグを1にして、本来より早いタイミングでアーミング状態になったことを示す早期アーミング状態にし、ステップb27に移る。ステップb27では、アーム準備フラグを0にして、ステップb28に移る。ステップb28では、アーム準備フラグが1であるか否かを判断し、1である場合、ステップb29に移り、1でない場合、ステップb33に移る。ステップb29では、タイマの時間Tが、準備期間T1を経過した否かを判断し、経過した場合、ステップb30に移り、経過していない場合、ステップb34に移る。ステップb33では、早期アームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、ステップb29に移り、1でない場合、ステップb34に移る。
ステップb30では、一時的な早期アーミング状態が終了し、再びアーミング状態に設定すべく、トランクおよびドアが閉状態であり、かつ施錠されているか否かを判断し、施錠されている場合、ステップb31に移り、施錠されていない場合、ステップb34に移る。ステップb31では、アーム準備フラグを0にして、早期アームフラグを0にして、アームフラグを1にして、ステップb32に移る。これにより再びアーミング状態が設定される。ステップb32では、タイマTの時間をクリアして、ステップb34に移る。
ステップb34では、アームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、ステップb35に移り、1でない場合、ステップb37に移る。ステップb35では、センサ部5から与えられる情報に基づいて、盗難検出されたか否かを判断し、盗難検出された場合、ステップb36に移り、盗難検出されていない場合、ステップb40に移る。ステップb36では、盗難が検出されたのでアラームフラグを1にして盗難発生状態にし、ステップb40に移る。
ステップb37では、早期アームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、ステップb38に移り、1でない場合、ステップb40に移る。ステップb38では、センサ部5から与えられる情報に基づいて、ドアが閉状態から開状態にされたか否かを判断し、開状態にされた場合、ステップb39に移り、されていない場合、ステップb40に移る。ステップb39では、早期アーミング状態にてドアが正規の手段以外で開状態にされたので、盗難を検出したと判断し、アラームフラグを1にして盗難発生状態に、ステップb40に移る。
ステップb40では、アラームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、すなわち盗難発生状態である場合、ステップb41に移り、1でない場合、すなわち盗難発生状態でない場合、ステップb1に戻る。ステップb41では、警報出力部6に予め定める警報期間にわたって警報を出力させ、ステップb1に戻る。
図5を参照して動作を説明すると、アーミング状態中に送信機3によって、時刻t21にてトランクを開くと、ステップb16〜ステップb19に示すように、アーミング状態が解除され、アーム中断状態する。アーム中断状態にすることによって、正規の手段によってトランクが開けられたことによって一時的にアーミング状態が中断されたディスアーム状態にされ、セキュリティ監視解除状態となる。
その後、時刻t22にてトランクを閉じると、ステップb20〜ステップa25に示すように、アーミング状態中にトランクの開閉を伴う一時的なディスアーム状態であることを示すアーム準備状態となり、タイマTが作動する。その後、タイマTに基づいて準備期間T1経過後、たとえば30秒後の時刻t24にて、ステップb28〜ステップa32に示すように、自動的にアーミング状態にされ、セキュリティ監視状態となる。
アーム準備フラグが1である間、換言すると、アーミング状態中にトランクが開状態にされ、その後閉状態にされた後、準備期間T1内のアーミング準備状態中の時刻t23にて、再度ロック要求があると、ステップb5からステップb26に移り、準備期間T1が経過するまで図5にて破線で示すように、早期アーミング状態にする。早期アーミング状態である間は、ステップb37〜ステップb39に示すように、侵入センサ8と傾斜センサ9と検出値を無効として、ドアカーテシスイッチ10およびトランクカーテシスイッチ11を用いてセキュリティ監視状態にされる。早期アーミング状態は、準備期間T1経過後は、自動的にアーミング状態に移り、すべてのセンサ部5を用いてセキュリティ監視状態にされる。
このように本実施の形態の盗難防止装置1aでは、ロック指令に基づいて準備期間T1内にアーミング状態にした場合、準備期間T1が経過するまで、振動検出部17の検出値を無効とするように盗難防止用ECU7によって制御される。振動検出部17を備える場合、準備期間T1内では車両の振動が停止していないおそれがあり、ロック指令によってアーミング状態にすると不所望に警報を出力するおそれがあるが、準備期間T1が経過するまで、振動検出部17の検出値を無効にすることによって、振動検出部17に起因する不所望な警報の出力を確実に防ぐことができる。これによって、準備期間T1経過後は振動検出部17によって安全性を確保することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態の盗難防止装置1bに関して説明する。本実施の形態の車載装置2は、警報出力部6によって出力される出力状態に特徴を有する。図6は、本実施の形態の車載装置2の盗難防止用ECU7による処理を示すフローチャートである。図6に示す盗難防止用ECU7の動作は、前述の図4に関連して説明した、ステップb34〜ステップb41までの動作に替わり、実行される動作である。
ステップc1は、前述の図4Bに示す、たとえばステップb32の次に行われる動作であって、ステップb34と、同じ動作である。すなわち、ステップc1では、アームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、すなわちアーミング状態である場合、ステップc2に移り、1でない場合、すなわちアーミング状態でない場合、ステップc3に移る。ステップc2では、アーミング状態であるので、センサ部5から与えられる情報に基づいて、盗難検出されたか否かを判断し、盗難検出された場合、ステップc4に移り、盗難検出されていない場合、ステップc5に移る。ステップc4では、盗難が検出されたので、アラームフラグを1にして盗難発生状態にし、ステップc5に移る。ステップc3では、早期アームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、ステップc2に移り、1でない場合、ステップc5に移る。
ステップc5では、アラームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、すなわち盗難発生状態である場合、ステップc6に移り、1でない場合、すなわち盗難発生状態でない場合、図4のステップb1に戻る。ステップc6では、早期アームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、ステップc8に移り、1でない場合、ステップc7に移る。ステップc7では、早期アーミング状態ではくアーミング状態であるので、警報出力部6に予め定める第1警報期間にわたって警報を出力させ、図4のステップb1に戻る。ステップc8では、早期アーミング状態であるので、警報出力部6にアーミング状態にて盗難検出した場合とは異なる出力状態で警報を出力させ、たとえば前記第1警報期間より短い、たとえば半分の第2警報期間にわたって警報を出力させ、図4のステップb1に戻る。
このように、本実施の形態の盗難防止装置1bでは、早期アーミング状態中とアーミング状態中とで、すなわち準備期間T1内と、準備期間T1経過後とで、異なる警報を出力するように警報出力部6が制御される。本実施の形態では、準備期間T1経過後に盗難が検出されたときに出力される第1アラームと、準備期間T1内に盗難が検出されたときに出力される第2アラームとは、警報を出力する期間が異なるように構成されるが、これに限ることはなく、たとえば音量を小さくしてもよいし、音質を異なるようにしてもよいし、アラームに限らず、ハザードランプ16の出力状態を異なるようにしてもよい。これによって操作者は、警報の出力状態で、準備期間T1内の警報であるか、準備期間T1経過後の警報であるかを判断することができる。
次に、本発明の第4の実施の形態の盗難防止装置1cに関して説明する。本実施の形態の盗難防止装置1cは、準備期間T1を変更可能に構成される点に特徴を有する。本実施の形態の盗難防止装置1cは、第2の実施の形態の盗難防止装置1aに特に類似しており、センサ部5は、車両の振動に基づいて、スイッチング態様の変化を検出する振動検出部17を含んで構成される。
図7は、本実施の形態の車載装置2の盗難防止用ECU7による処理を示すフローチャートである。図7に示す盗難防止用ECU7の動作は、前述の図2または図4に示す動作の一部に組み込まれる動作である。本実施の形態では、準備期間T1が、0秒以上30以下であって、5秒刻みに変更可能に構成され、初期設定では初期期間T2が20秒に設定される。また本実施の形態では、準備期間T1を変更可能なプログラムモードにある場合、ロック要求に相当する操作が、準備期間T1を増加させる操作であり、アンロック要求に相当する操作が、準備期間T1を減少させる操作である。プログラムモードは、操作者の特別な操作によって、開始される。特別な操作は、たとえば、イグニッションオンかつ送信機3のロックボタンおよびアンロックボタンの同時押しを5秒以上などである。
ステップd1では、前述のような特別な操作がされて、準備期間T1が変更可能なプログラムモードであるか否かが判断され、プログラムモードである場合、ステップd2に移り、プログラムモードでない場合、ステップd11に移る。ステップd2では、受信した指令がドアをロックする要求であるか否かを判断し、ロック要求の場合、ステップd3に移り、ロック要求で無い場合、ステップd7に移る。
ステップd3では、準備期間T1が、変更可能な最大値である30秒以上であるか否かが判断され、30秒未満である場合、ステップd4に移り、30秒以上である場合、ステップd6に移る。ステップd4では、準備期間T1を最大値まで増加可能であるので、準備期間T1を5秒増加させ、ステップd5に移る。ステップd5では、準備期間T1を5秒増加させたことを報知するためにアンサーバックをし、ステップd6に移る。
ステップd7では、受信した指令がドアをアンロックする要求であるか否かを判断し、アンロック要求の場合、ステップd8に移り、アンロック要求で無い場合、ステップd6に移る。ステップd8では、準備期間T1が、変更可能な最小値である0秒以下であるか否かが判断され、0秒より大きい場合、ステップd9に移り、0秒以下である場合、ステップd6に移る。ステップd9では、準備期間T1を最小値まで減少可能であるので、準備期間T1を5秒減少させ、ステップd10に移る。ステップd10では、準備期間T1を5秒減少させたことを報知するためにアンサーバックをし、ステップd6に移る。
ステップd6では、特別な操作がされてプログラムモードが終了されたか否かを判断し、終了された場合、ステップd11に移り、終了されていない場合、ステップd2に戻る。このようにプログラムモードが終了されるまで、準備期間T1の増減が繰り返される。ステップd11では、プログラムモードの終了直後であるか否かを判断し、終了直後である場合、ステップd13に移り、終了直後でない場合、ステップd12に移る。ステップd12では、準備期間T1の報知要求の有無が判断され、報知要求がある場合、ステップd11に移り、報知要求がない場合、次の処理に移る。ステップd13では、プログラムモードが終了直後であるか、報知要求があった場合に、設定された準備期間T1を報知するように各部を制御し、次の処理に移る。
このように、プログラムモードにある状態で、送信機3のロックボタンまたはアンロックボタンの操作により準備時間T1を変更することができる。
また、ステップd13に示すように、プログラムモード終了時に変更された準備時間T1が、たとえば短音回数および合成音声などによって出力される。準備期間T1を、たとえば短音回数で報知する場合、準備期間T1が0秒のときは長音、5秒のときは短音1回、10秒のときは短音2回など、操作者が直感的に理解しやすいように報知される。
また、ステップd12に示すように、操作者から準備時間T1の報知要求、たとえばイグニッションオンかつ所定の送信機3の操作などの報知要求のための特別な操作があったとき、準備期間T1を報知してもよい。この報知要求は、アーミング準備状態に移行したときのアーム準備フラグが1になったときであってもよい。
図8は、準備期間T1が設定される動作を説明するためのタイミングチャートである。図8に示すように、時刻t31にて、プログラムモードが開始され、時刻t32にて、ロック要求があると、準備期間T1は5秒増加される。次に、時刻t33にて、アンロック要求があると、準備期間T1は5秒減少され、時刻t34にて、アンロック要求があると、さらに5秒減少される。そして、時刻t35にて、所定の操作によってプログラムモードが終了され、準備期間T1に設定が完了される。したがって、準備期間T1が、20秒から15秒に変更される。
図9は、本実施の形態の車載装置2の盗難防止用ECU7による処理を示すフローチャートである。図9に示す盗難防止用ECU7の動作は、前述の図4に関連して説明した、ステップb26〜ステップb41までの動作に替わり、実行される動作である。図10は、盗難防止用ECU7の動作を説明するためのタイミングチャートであって、準備期間T1を増加させた場合の一例を示す。図11は、盗難防止用ECU7の動作を説明するためのタイミングチャートであって、準備期間T1を減少させた場合の一例を示す。図10および図11に示すタイミングチャートは、図9に示す盗難防止用ECU7の動作に関連している。
ステップe1は、前述の図4Bに示す、たとえばステップb5の次に行われる動作であって、ステップb26と、同じ動作である。すなわち、ステップe1では、早期アームフラグを1にして、本来より早いタイミングでアーミング状態になったことを示す早期アーミング状態にし、ステップe2に移る。ステップe2では、アーム準備フラグを0にして、ステップe3に移る。ステップe3では、アーム準備フラグが1であるか否かを判断し、1である場合、ステップe4に移り、1でない場合、ステップe9に移る。ステップe4では、タイマの時間Tが、準備期間T1を経過した否かを判断し、経過した場合、ステップe5に移り、経過していない場合、ステップe11に移る。ステップe9では、早期アームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、ステップe4に移り、1でない場合、ステップe11に移る。
ステップe5では、一時的な早期アーミング状態が終了し、再びアーミング状態に設定すべく、トランクおよびドアが閉状態であり、かつ施錠されているか否かを判断し、施錠されている場合、ステップe6に移り、施錠されていない場合、ステップe11に移る。ステップe6では、設定されている準備期間T1が予め定めるしきい期間、たとえば20秒以上であるか否かが判断され、20秒以上の場合、ステップe7に移り、20秒より小さい場合、ステップe10に移る。ステップe10では、準備期間T1が初期期間T2より短いので、早期アームフラグを1にして、すなわち早期アーミング状態にして、ステップe11に移る。
ステップe7では、アーム準備フラグを0にして、早期アームフラグを0にして、アームフラグを1にして、ステップe8に移る。これにより再びアーミング状態が設定される。ステップe32では、タイマTの時間をクリアして、ステップe11に移る。
ステップe11では、アームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、ステップe12に移り、1でない場合、ステップe14に移る。ステップe12では、センサ部5から与えられる情報に基づいて、盗難検出されたか否かを判断し、盗難検出された場合、ステップe13に移り、盗難検出されていない場合、ステップe17に移る。ステップe13では、アラームフラグを1にし、ステップe17に移る。
ステップe14では、早期アームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、ステップe15に移り、1でない場合、ステップe17に移る。ステップe15では、センサ部5から与えられる情報に基づいて、ドアが閉状態から開状態にされたか否かを判断し、開状態にされた場合、ステップe16に移り、されていない場合、ステップe16に移る。ステップe16では、盗難が検出されたのでアラームフラグを1にして盗難発生状態にし、ステップe17に移る。
ステップe17では、アラームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、すなわち盗難発生状態である場合、ステップe18に移り、1でない場合、すなわち盗難発生状態でない場合、図4のステップb1に戻る。ステップe18では、警報出力部6に予め定める警報期間にわたって警報を出力させ、図4のステップb1に戻る。
図10を参照して、準備期間T1を初期期間T2の20秒より増加させて、30秒に設定した場合の動作を説明すると、アーミング状態中に送信機3によって、時刻t41にてトランクを開くと、一時ディスアーム状態になり、セキュリティ監視解除状態となる。
その後、時刻t42にてトランクを閉じると、タイマTが作動し、準備期間T1経過後、たとえば30秒後の時刻t44にて、ステップe7に示すように、アームフラグが1となり、アーミング状態にされ、セキュリティ監視状態となる。
アーム準備フラグが1である間、換言すると、トランクが閉状態にされた後、準備期間T1内のアーミング準備状態中の時刻t43にて、再度ロック要求があると、準備期間T1が経過するまで破線で示すように、早期アーミング状態にする。早期アームフラグがセットされている間、すなわち早期アーミング状態中は、ステップe14〜ステップe16に示すように、侵入センサ8と傾斜センサ9と検出値を無効として、ドアカーテシスイッチ10およびトランクカーテシスイッチ11を用いてセキュリティ監視状態にされる。早期アーミング状態は、準備期間T1経過後の時刻t44では、自動的にアーミング状態に移り、すべてのセンサ部5を用いてセキュリティ監視状態にされる。
図11を参照して、準備期間T1を初期期間T2の20秒より減少させて、10秒に設定した場合の動作を説明すると、アーミング状態中に送信機3によって、時刻t51にてトランクを開くと、一時ディスアーム状態になり、セキュリティ監視解除状態となる。
その後、時刻t52にてトランクを閉じると、タイマTが作動し、準備期間T1経過後、たとえば10秒後の時刻t54にて、ステップe6およびステップe10に示すように、早期アームフラグが1となり、早期アーミング状態にされる。
アーム準備フラグが1である間、換言すると、トランクが閉状態にされた後、準備期間T1内のアーミング準備状態中の時刻t53にて、再度ロック要求があると、準備期間T1が経過するまで破線で示すように、早期アーミング状態にする。早期アームフラグがセットされている間、すなわち早期アーミング状態中は、侵入センサ8と傾斜センサ9と検出値を無効として、ドアカーテシスイッチ10およびトランクカーテシスイッチ11を用いてセキュリティ監視状態にされる。早期アーミング状態は、準備期間T1経過後の時刻t55では、アーミング状態に移り、すべてのセンサ部5を用いてセキュリティ監視状態にされる。
このように本実施の形態の盗難防止装置1cでは、準備期間T1は、変更可能に構成されるので、操作者の所望の長さに準備期間T1を設定することができる。これによって、盗難防止装置1cを好適に動作させることができるように準備期間T1を設定することができ、汎用性を向上することができる。
さらに本実施の形態では、準備期間T1が初期期間T2より短い場合、ロック要求に基づいて準備期間T1内にアーミング状態にしたとき、初期期間T2が経過するまで、振動検出部17の検出値を無効とするように、盗難防止用ECU7によって制御される。準備期間T1が初期期間T2より短く設定されると、準備期間T1経過後にアーミング状態にしても、車両の振動が停止していないおそれがあるので、車両振動によって影響を受けるセンサに起因して不所望に警報を出力するおそれがあるが、初期期間T2が経過するまで、振動検出部17の検出値を無効にすることによって、準備期間T1内に振動検出部17に起因する不所望な警報の出力を確実に防ぐことができる。これによって、初期期間T2経過後は振動検出部17によって安全性を確保することができる。
また盗難防止用ECU7は、第3の実施の形態にて説明した構成と同様の構成で、前記準備期間T1が予め定める初期期間T2より短い場合、準備期間T1内と、準備期間T1経過後とで、異なる警報を出力するように制御してもよい。これによって操作者は、警報の出力状態で、準備期間T1が初期期間T2より短く設定された場合、準備期間T1内の警報であるか、準備期間T2経過後の警報であるかを判断することができる。
次に、本発明の第5の実施の形態の盗難防止装置1dに関して説明する。本実施の形態の盗難防止装置1dは、振動検出部17の有無を検出して、振動検出部17の有無に基づいて、準備期間T1を第1準備期間T11または第2準備期間T12に設定する点に特徴を有する。盗難防止用ECU7は、接続検出手段としての機能を有し、与えられる情報に基づいて、振動検出部17である傾斜センサ9および侵入センサ8が盗難防止用ECU7に接続されているか否かを検出する。換言すると、盗難防止用ECU7は、振動検出部17である傾斜センサ9および侵入センサ8の有無を判断可能である。
図12は、本実施の形態の車載装置2の盗難防止用ECU7による処理を示すフローチャートである。図12に示す盗難防止用ECU7の動作は、前述の図2に関連して説明した、ステップa15〜ステップa24までの動作に替わり、実行される動作である。図13は、盗難防止用ECU7の動作を説明するためのタイミングチャートであって、振動検出部17を備える場合の一例を示す。図14は、盗難防止用ECU7の動作を説明するためのタイミングチャートであって、振動検出部17を備えない場合の一例を示す。図13および図14に示すタイミングチャートは、図12に示す盗難防止用ECU7の動作に関連している。
テップf1は、前述の図2に示す、たとえばステップa9の次に行われる動作である。ステップf1では、侵入センサ8があるか否かを判断し、ある場合は、ステップf2に移り、ない場合は、ステップf3に移る。ステップf2では、侵入センサ8を備えているので、延長フラグを1にし、振動検出部17を備えることを示す延長状態にして、ステップf5に移る。ここで延長フラグは、振動検出部17を備える延長状態であるか、振動検出部17を備えない状態であるかを示す値であり、0または1の値をとる。延長状態である場合、延長フラグは1であり、延長状態でない場合、延長フラグは0である。ステップf3では、傾斜センサ9があるか否かを判断し、ある場合は、ステップf4に移り、ない場合は、ステップf5に移る。ステップf4では、傾斜センサ9を備えているので、延長フラグを1にし、振動検出部17を備えることを示す延長状態にして、ステップf5に移る。
ステップf5では、操作者によってトランクが閉状態から開状態にされたか否かを判断し、開状態にされた場合、ステップf6に移り、開状態にされていない場合、ステップf9に移る。なおステップf5での判断は、送信機3のトランクオープンボタン(T)によるトランクオープン指令を検出するか、または、トランクキースイッチ13によってトランクキーでトランクがオープンされたことを検出すると、トランクが開状態にされたと判断する。ステップf6では、アームフラグが1、すなわちアーミング状態であるか否かを判断し、1である場合、すなわちアーミング状態中に正規の手段によってトランクが開けれた場合、ステップf7にてアームフラグを0にしてディスアーム状態とする。次に、ステップa18にて、正規の手段によってトランクが開けられたことによって一時的にアーミング状態が中断されたことを示すべく、アーム中断フラグを1にして、ステップf9に移る。
ステップf9では、操作者によって、トランクが開状態から閉状態にされたか否かを判断し、操作された場合、ステップf10に移り、操作されていない場合、図2におけるステップa25に移る。ステップf10では、アーム中断フラグが1であるか否かを判断し、1である場合、すなわちアーミング状態中に正規にトランクが開けられた後、閉状態になった場合、ステップf11に移り、1でない場合、すなわちアーム中断状態でない場合、図2におけるステップa25に移る。
ステップf11では、延長フラグが1であるか否かを判断し、すなわち、振動検出部17を備えているか否かを判断し、1である場合、すなわち振動検出部17を備えている場合、ステップf13に移り、1でない場合、すなわち振動検出部17を備えていない場合、ステップf12に移る。ステップf12では、振動検出部17を備えていないので準備期間T1を第2準備期間T12、たとえば3秒に設定し、ステップf14に移る。ステップf13では、振動検出部17を備えているので準備期間T1を第1準備期間T11、たとえば30秒に設定し、ステップf14に移る。
ステップf14では、アーム中断フラグを0にして、ステップf15に移る。ステップf15では、アーミング状態中にトランクの開閉を伴う一時的なディスアーム状態であることを示すべくアーム準備フラグを1にして、ステップf16に移る。ステップf16では、タイマをスタートさせ、ステップf16に移る。ステップf16では、所定時間の一時的なディスアーム状態が開始したことを報知するためのアンサーバックがされ、図2におけるステップa25に移る。
このように、侵入センサ8または傾斜センサ9の少なくともいずれか一方がある場合、延長状態となり、準備期間T1が第1準備期間T11に設定され、侵入センサ8および傾斜センサ9を有しない場合、準備期間T1が準備期間T1より短い第2準備期間T12に設定される。
図13を参照して、準備期間T1が第1準備期間T11に設定されたときの動作を説明する。アーミング状態中に送信機3によって、時刻t61にてトランクを開くと、アーミング状態が解除され、アーム中断状態にする。アーム中断状態にすることによって、正規の手段によってトランクが開けられたことによって一時的にアーミング状態が中断された一時的なディスアーム状態にされ、セキュリティ監視解除状態となる。
その後、時刻62にてトランクを閉じると、アーミング状態中にトランクの開閉を伴う一時的なディスアーム状態であることを示すアーム準備状態となり、タイマTが作動する。その後、タイマTに基づいて第1準備期間T11経過後、たとえば30秒後の時刻t64にて、自動的にアーミング状態にされ、セキュリティ監視状態となる。
アーミング状態中にトランクが開状態にされ、その後閉状態にされた後、第1準備期間T11内のアーミング準備状態中の時刻t63にて、再度ロック要求があると、破線で示すように、アーミング状態とされ、セキュリティ監視状態となる。
図14を参照して、準備期間T1が第2準備期間T12に設定されたときの動作を説明する。アーミング状態中に送信機3によって、時刻t71にてトランクを開くと、アーミング状態が解除され、アーム中断状態にする。アーム中断状態にすることによって、正規の手段によってトランクが開けられたことによって一時的にアーミング状態が中断された一時的なディスアーム状態にされ、セキュリティ監視解除状態となる。
その後、時刻t72にてトランクを閉じると、アーミング状態中にトランクの開閉を伴う一時的なディスアーム状態であることを示すアーム準備状態となり、タイマTが作動する。その後、第2準備期間T12経過後、たとえば3秒後の時刻t73にて、アーミング状態にされ、自動的にセキュリティ監視状態となる。
本実施の形態では、第2準備期間T12は、トランクを閉じたときのトランクカーテシスイッチ11のチャタリングの影響を考慮して3秒に設定されたが、その影響がなければ0秒に設定されてもよい。
また本実施の形態では、第2準備期間T12内にロック要求があると、その時点で直ちにアーミング状態にしてもよい。また第1および第2準備期間内にロック要求があっても、アーミング状態にせずに、第1および第2準備期間経過後にアーミング状態にしてもよい。
次に、本発明の第6の実施の形態の盗難防止装置1eに関して説明する。本実施の形態の盗難防止装置1eは、特に第1の実施の形態の盗難防止装置1と類似しており、振動検出部17を備えておらず、アーム準備状態での盗難検出に特徴を有する。
図15は、本実施の形態の車載装置2の盗難防止用ECU7による処理を示すフローチャートである。図15に示す盗難防止用ECU7の動作は、前述の図2に関連して説明した、ステップa29〜ステップa33までの動作に替わり、実行される動作である。
ステップg1は、前述の図2に示す、たとえばステップa28の次に行われる動作であって、ステップa29と、同じ動作である。すなわち、ステップg1では、アームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、ステップg2に移り、1でない場合、ステップg3に移る。ステップg2では、センサ部5から与えられる情報に基づいて、盗難検出されたか否かを判断し、盗難検出された場合、ステップg5に移り、盗難検出されていない場合、ステップg6に移る。
ステップg3では、アーム準備フラグが1であるか否かを判断し、1である場合、すなわち一時的なディスアーム状態である場合、ステップg4に移り、1でない場合、ステップg6に移る。ステップg4では、アーム準備状態中に、センサ部5から与えられる情報に基づいて、ドアが閉状態から開状態にされたか否かを判断し、開状態にされた場合、盗難が検出されたので、ステップg5に移り、開状態にされていない場合、ステップg6に移る。ステップg5では、盗難が検出されたので、アラームフラグを1にして盗難発生状態にし、ステップg6に移る。
ステップg6では、アラームフラグが1であるか否かを判断し、1である場合、すなわち盗難発生状態である場合、ステップg7に移り、1でない場合、すなわち盗難発生状態でない場合、図2におけるステップa1に戻る。ステップg7では、警報出力部6に予め定める警報期間にわたって警報を出力させ、図2におけるステップa1に戻る。
このように、本実施の形態では、ステップg3〜ステップg5に示すように、アーミング準備状態、すわなち一時的なディスアーム状態でドアが閉状態から開状態にされると、アラームを出力するように構成される。したがって、準備期間T1内に、不正な手段でトランクおよびドアの少なくともいずれか一方が閉状態から開状態になったことが検出されると、警報を出力するように、盗難防止用ECU7によって制御される。これによって準備期間T1内が、ディスアーム状態であっても、不所望にトランクおよびドアの少なくともいずれか一方が開状態になると、警報が出力される。したがって準備期間T1内の安全性を向上することができる。
前述の実施の各形態では、ラゲージドアは、トランクによって実現されているが、これに限ることはない。ラゲージドアは、荷室の収納空間を開放および閉塞可能なドアであればよく、たとえばバックドアによって実現されてもよい。
前述の実施の各形態では、キーレス内蔵セキュリティ装置として送信機3が実現されているが、これに限ることはない。アームボタンおよびディスアームボタンを供える送信機を用いて、準備期間T1内に、アーミング状態にしてもよい。
前述の実施の各形態では、盗難対象物は、車両によって実現されているが、これに限ることはなく、航空機および船舶などの乗り物によって実現してもよい。たとえば船舶にて実現される場合は、地上に配置されている状態で好適に用いられる。