JP4323350B2 - 樹脂組成物およびそれを用いた高周波回路用積層板 - Google Patents

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Description

本発明は、低誘電率・低誘電正接、耐熱性に優れた樹脂組成物およびそれを用いた高周波回路用積層板に関する。
近年、情報・通信機器分野では、伝送情報の高容量化、高スピード処理のための高周波化が進んでいる。これまでGHzを超えるような高周波信号は、レーダーや衛星通信など限られた用途で用いられてきたが、最近では携帯電話や無線LANなどきわめて身近に用いられるようになってきた。また、コンピュータや通信機器の高速化・高機能化にともない、これらの機器間の情報伝送に用いられる信号も飛躍的に高周波化している。従来、プリント配線基板用材料としては、主にエポキシ樹脂やフェノール樹脂が用いられてきた。しかしこれらの樹脂は、高周波領域における誘電特性が悪く、伝送ロスが大きいなどの理由で高周波回路に用いることができなかった。
またセラミック・アルミナなどの無機系基板材料は一般に誘電正接が低いが、取扱い性、入手性、コストなどの観点から、有機系材料への置き換えが進みつつある。このような現状から、GHz領域で使用可能な電気特性(高周波伝送特性、低誘電特性)に優れる基板材料の開発が強く要望され、ポリフェニレンエーテル樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂などが開発・実用化されてきた。(非特許文献1および特許文献1参照)。しかし信号の高周波化は数GHzを超えてさらに数十GHzへと進み、これらの新規材料ですら対応できない領域に達しようとしている。
一方、ポリプロピレンを始めとするポリオレフィンは、誘電率・誘電正接の面で非常に優れるが、単独では耐熱性に劣るため、ハンダ付け作業など200℃を超える温度がかかる電気回路製造工程に耐えることができない。これを改善するため、環状オレフィンを共重合させ、優れた誘電特性を保持したまま耐熱性を向上させた材料が開発された(特許文献2参照)。しかし、最近でははんだの鉛フリー化によるはんだ付け温度の上昇など、さらに高い耐熱温度が望まれるようになってきており、これには対応できなくなってきた。
また、金属との接着性に劣るフッ素系材料やオレフィン系材料では、金属の表面粗度を大きくしアンカー効果(くいこみ)によって接着性を保持させるのが一般的である。しかし、高周波電流には金属導体の表皮部分のみを流れようとする表皮効果という性質があるため、表面粗度が大きいと抵抗が大きくなり信号伝播の劣化原因となってしまう。信号の高周波化に伴い、金属導体も表面が平滑なものが用いられるようになってきたため、これらの材料は高い誘電特性を持ちながらも、高周波材料としては使用することができなかった。
こうした状況の中、より高周波での利用が可能な有機材料の開発、基板の開発が待ち望まれているのである。
高周波用高分子材料、株式会社シーエムシー、1999年発行 特公昭52−31279号公報 特開昭62−29191号公報
本発明が解決しようとする課題は、高周波信号の伝送に対応する積層板を提供することのできる新規な樹脂組成物を提供することである。より詳細には、低誘電率、低誘電正接、耐熱性を併せ持ち、更に金属との接着性も向上した樹脂組成物、及び該樹脂組成物を用いた高周波回路用積層板を提供することである。
本研究者らは前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、ある特定の構造、具体的にはトリアジン環を含む3価の架橋基構造をポリエーテルケトン構造に導入したポリエーテルケトン樹脂、およびポリオレフィン系共重合体からなる樹脂組成物を用いた積層板が、低誘電率、低誘電正接、耐熱性に優れていることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下に記載した事項より特定される。
(I)一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有するポリエーテルケトン主鎖に一般式(2)で表されるトリアジン環を有する3価の基を導入して結合されたことを特徴とする架橋ポリエーテルケトン樹脂、および
Figure 0004323350
(式中、Aは炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−SO−、−SO−、−S−、−O−、または−CO−を示す。mは0または1の整数、nは1〜3の整数を示す。R1〜R16は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子のいずれかを示し、R1〜R8の少なくとも1つは、水素原子以外の基である。)
Figure 0004323350
(式中、R17〜R19は、炭素数1〜8の炭化水素基または下記式(3)で表されるいずれかの2価の基を表す)
Figure 0004323350
(II)ポリオレフィン、および/または
(III)少なくとも一般式(4)で示されるモノマー成分を含み重合体中において該モノマー成分が一般式(5)で示される構造をとる環状オレフィン系共重合体を配合してなる樹脂組成物であり、該樹脂組成物を用いた絶縁層を有する高周波回路用積層板である。
Figure 0004323350
Figure 0004323350
(式中、R20〜R31は水素原子、アルキル基またはハロゲン原子であって、それぞれ同一または異なっていてもよく、さらにR28またはR29とR30またはR31とは互いに環を形成してもよい。lは0または1以上の整数であり、R24〜R27が複数回繰り返される場合には、これらは各同一または異なっていてもよい)
本発明により、高周波特性の指標である誘電率・誘電正接に優れ、高耐熱性及び金属との高接着性という特徴を併せ持った、高周波回路用積層板の提供が可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、前記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有するポリエーテルケトン主鎖に前記一般式(2)で表されるトリアジン環を有する3価の基を導入して結合された架橋ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン、および/または前記一般式(5)で示される環状オレフィン系共重合体を含有することを特徴とする樹脂組成物およびそれを用いた高周波回路用積層板である。
本発明で用いる(I)成分の主鎖となる一般式(1)において、Aは炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−SO−、−SO−、−S−、−O−、または−CO−であれば特に限定されない。炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、特にメチレン基、プロピレン基が好ましい。一般式(1)において、R1〜R16は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子のいずれかを示し、R1〜R8の少なくとも1つは、水素原子以外の基であれば特に限定されない。
一般式(1)において、R1〜R16のより好ましい態様としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、炭素数4〜8の炭化水素基等が挙げられる。mは0または1の整数、nは1〜3の整数であれば特に限定されない。
本発明で用いる一般式(2)において、R17〜R19は炭素数1〜8の炭化水素基または式(3)であらわされる2価の基のいずれかであれば特に限定されない。炭素数1〜8の炭化水素基としては、例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂は、上記一般式(1)で表される構造の繰返し構造単位成分以外に、各種ジオールおよびジハライド化合物を、各種物性、例えば耐熱性、吸湿性、熱膨張係数、誘電率、屈折率または複屈折率等を制御することを目的に、必要に応じて共重合させても良いが、一般式(1)で表わされる構造の架橋ポリエーテルケトン樹脂が(I)成分中に5〜100質量%、より好ましくは10〜100質量%含むのが好ましい態様である。
本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂は、いかなる方法で製造されたものであっても構わないが、好ましい製造方法の一例として、ジオール化合物またはそのアルカリ金属塩、ジハライド化合物とトリアジン環を有する3価のハライド化合物とを反応させる方法が挙げられるがこれに限られるものではない。これについて、より詳しく述べると、一般式(6)で表されるジオール化合物および/またはそのアルカリ金属塩と、一般式(7)で表されるジハライド化合物、および一般式(8)で表されるトリアジン環を有する3価のハライドとを、反応容器中に一括装入し、有機溶媒中で攪拌しながら100℃から300℃程度まで過熱して反応させることで製造する方法が挙げられる。
Figure 0004323350
(式中、R1〜R8は互いに同一または異なって、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子を示す。mは0または1の整数を示す。Aは炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−SO−、−SO−、−S−、−O−、または−CO−を示す。)
Figure 0004323350
(式中、R9〜R16は互いに同一または異なって、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子を示す。aおよびbは各々独立して0〜4の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。XおよびXはハロゲン原子を表し、お互いに同一または異なっていてもよい)
Figure 0004323350

(式中、R17〜R19は、炭素数1〜8の炭化水素基、または下記式(9)で表される2価の基を表す。X〜Xはハロゲン原子を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)
Figure 0004323350
本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、用いることのできる一般式(6)で表されるジオール化合物としては例えば、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ケトン、4,4’−ジヒドロキシ −3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、1,1−ビス(4’−ヒドロキシ −3’,5’−ジメチルフェニル)シクロヘキサン等を挙げることができる。これらは単独で用いても構わないし、2種以上を用いても構わない。この中でもビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパンを用いる場合が特に好ましい。
また本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、上記ジオール化合物はアルカリ金属塩を形成して反応するので、これらジオール化合物のアルカリ金属塩を代わりに用いることができる。塩を形成するアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられるがこれに限るものではない。尚、ジオール化合物はその水酸基のすべてがアルカリ金属塩であっても一部がアルカリ金属塩であっても構わない。
本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、用いることのできる一般式(7)で表されるジハライド化合物としては、例えば、ビス(4−ブロモフェニル)ケトン、ビス(4−クロロフェニル)ケトン、またはビス(4−フルオロフェニル)ケトン等を挙げることができる。これらは単独で用いても構わないし、2種以上を用いても構わない。この中でも特にビス(4−フルオロフェニル)ケトンを用いる場合が好ましい。
本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、用いることのできる一般式(8)で表されるトリアジン環を有する3価のハライド化合物としては、例えば、2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(p−ブロモフェニル)−s−トリアジン等を挙げることができる。これらは単独で用いても構わないし、2種以上を用いても構わない。
本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、用いることのできる一般式(8)で表されるトリアジン環を有する3価のハライド化合物の合成方法には特に制限はないが、たとえば、氷冷浴して0℃に保ったクロロスルホン酸にp−ハロベンゾニトリルを少量ずつ温度の上昇に気をつけながら加え、その後室温にて1〜120時間、好ましくは24〜120時間加えることにより得ることができる。
本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、トリアジン環を有する3価のハライド化合物とジハライド化合物との共重合比は、特に制限はないが、必要に応じてトリアジン環を含む3価のハライド化合物の共重合比を調節してもよい。該共重合比を調節する場合、ジハライド化合物とトリアジン環を有する3価のハライド化合物の総モル数に対するトリアジン環を有する3価のハライド化合物のモル分率として0.1〜20モル%が好ましく、1〜10モル%がより好ましい。この範囲内であれば、低誘電率・低誘電正接化への効果が高く、製膜した樹脂が安定していて好ましい。
原料として用いられる、各種化合物の使用量比は、製造する樹脂の共重合比および分子量に応じ設定することが出来る。使用量を、ジオール化合物および/またはそのアルカリ金属塩:Mmol、ベンゾフェノン系ジハライド化合物:Mmol、トリアジン環を含む3価のハライド化合物:Mmolとすれば、ジオール化合物と全ハライド化合物の使用量比、M/(M+M)は、0.70〜1.20の範囲が好ましく、0.75〜1.15の範囲がより好ましい。
本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、必要に応じて末端封止剤を用いることもできる。末端封止剤として使用する化合物は特に限定されないが、代表的なものはフェノール系化合物又はそのアルカリ金属塩、およびハライド化合物である。フェノール系化合物の例としては、フェノール、4−tert−ブチルフェノール及びそのアルカリ金属塩等が挙げられる。ハライド化合物の例としてはメチルクロライド、エチルクロライド、4−クロロベンゾフェノン、4−クロロニトロベンゼン等が挙げられる。末端封止剤のフェノール系化合物又はそのアルカリ金属塩、ハライド化合物は、そのいずれか1種を用いることが一般的であるが、目的に応じ2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
末端封止剤の使用量は、多すぎると分子量が低下し、樹脂の製膜性において好ましくない場合がある。一般的には全原料化合物中10mol%以下の範囲が好ましく、5mol%以下の範囲であればより好ましい。
本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂の製造は、溶媒を用いずとも実施可能であるが、有機溶媒中で反応を行うことが特に好ましい方法である。
この反応において用いられる溶媒は限定されるわけではないが、例えば、
(a) フェノール系溶媒である、
フェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、
(b) 非プロトン性アミド系溶媒である、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド、
(c) エーテル系溶媒である、
1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、
(d) アミン系溶媒である、
ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、
(e) その他の溶媒である、
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール、水、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロロトルエン、m−クロロトルエン、p−クロロトルエン、o−ブロモトルエン、m−ブロモトルエン、p−ブロモトルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、フルオロベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル等が挙げられる。この中でもジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンを用いる場合が好ましい。これらの溶媒は、単独又は2種以上混合して用いても差し支えない。
本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、上記溶媒の他に、反応系内の水を除く目的で、共沸溶媒を必要に応じ用いることが出来る。共沸溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられる。共沸溶媒を使用した脱水においては、水を共沸溶媒とともに留出させ、留出液は冷却器を用いて冷却され水と共沸溶媒は2層に分離することが好ましい。分離した共沸溶媒は再度反応系に還流させることができる。
本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、ビスフェノール類のアルカリ金属塩を形成するために塩基を共存させて行うこともできる。具体的には、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等で代表されるアルカリ金属化合物等が挙げられる。これらの塩基は、単独又は2種以上混合して用いても差し支えない。
塩基の使用量は、1価の場合で、ジオール化合物に対して好ましくは200〜300mol%、2価の場合で好ましくは100〜150mol%である。
本発明において用いられる架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、重合温度や重合時間は、使用する溶媒の有無又は種類によって異なるが、一般には100℃から300℃程度、1時間から120時間程度で充分である。
重合反応を終了させる際には、反応物を冷却すれば通常充分であるが、必要に応じて上記末端封止剤を加え反応させても構わない。また冷却前後に適宜不活性溶媒を加えて希釈しても構わない。
重合反応終了後の樹脂の分離・精製は、公知の方法を用いることが出来る。無機塩の除去は、樹脂が可溶でかつ無機塩が不溶の溶媒を反応混合物中に加え、無機塩を濾別できる。
樹脂の分離には、得られた樹脂の溶液を強撹拌した貧溶媒中に注ぎ、樹脂を析出させる方法が一般的である。貧溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、水等が挙げられる。これらは単独で用いても構わないし、2種以上を用いても構わない。
析出した樹脂は、常圧または減圧下で加熱乾燥して構わない。乾燥条件は、用いた貧溶媒の種類によるが、一般に25℃〜400℃程度、1分〜100時間程度の範囲で実施される。常圧下で乾燥する際には、窒素やアルゴン等の不活性ガス通気中で行うのがより好ましい。
本発明において用いられるポリエーテルケトン樹脂の分子量は、特に限定されないが、分子量が低すぎると高周波回路用材料に用いるシートとして使用する場合、製膜性において好ましくない場合があり、また分子量が高すぎると樹脂の加工上で好ましくない場合がある。好ましい分子量としては、35℃、N−メチル−2−ピロリドン中において測定した対数粘度ηinhが0.1〜1.5の範囲であり、0.2〜1.3の範囲であればより好ましく、更に好ましくは0.3〜1.2の範囲である。
本発明で用いられるポリオレフィン(II)とは、好ましい例としてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどのオレフィンを主成分としてなる単独重合体または共重合体からなる非結晶ないし結晶性の重合体が挙げられる。これらコモノマーは1種類に限らず、2種類以上用いて多元系共重合体としてもよい。ポリオレフィンとして具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ1−ヘキセン、ポリ1−オクテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・1−オクテン共重合体などを例示することができ、なかでも好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル1−1ペンテンなどが挙げられる。これらのポリオレフィンの135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は好ましくは0.01〜30dl・gであり、より好ましくは0.1〜25dl/gである。
本発明で用いられるポリオレフィンは、上述したような諸特性を満たすような条件さえ選べば、公知の方法で製造することができる。例えば、極限粘度を制御する公知の方法として、重合温度やコモノマー量を調節する方法を適宜採用することにより、所望の重合体を得ることができる。
また、重合触媒や重合方法にも特に制約はなく、例えば触媒としては、チーグラー型触媒(担持または非担持ハロゲン含有チタン化合物とアルミニウム化合物の組み合わせに基づくもの)、フィリップス型触媒(担持酸化クロムに基づくもの)、カミンスキー型触媒(担持または非担持メタロセン型化合物と有機アルミニウム化合物、特にアルモキサンとの組みあわせに基づくもの)等が挙げられる。重合方法としては、これらの触媒存在下でのスラリー重合法、気相流動床重合法、溶液重合法、あるいは圧力が200kg/cm以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法などが挙げられる。
本発明で用いられる環状オレフィン系共重合体(III)は、前述した一般式(4)で表されるモノマー成分を含むものであって、重合体中においては該モノマー成分が主として一般式(5)で示される構造をとっているものである。かかる重合体として好ましい態様は、一般式(4)のモノマー成分とともにα―オレフィンおよび/または一般式(4)以外の環状オレフィンとからなる共重合体が例示でき、取り分け好適なものとして一般式(4)のモノマー及びエチレンを含むものを挙げることが出来る。
成分(III)中、一般式(4)のモノマー成分は少なくとも2モル%以上含むべきであるが、エチレンを共存させる場合には、エチレン/一般式(4)のモノマー成分のモル比が5/95〜95/5、とくに40/60〜90/10の範囲が好ましく、さらにエチレン以外のα―オレフィンや鎖状ジエンあるいは一般式(4)以外の環状オレフィンや環状ジエンたとえばサリチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどを共存させる場合にはこれらのモノマー合計量/一般式(4)のモノマー成分のモル比が5/95〜95/5、とくに30/70〜90/10の範囲が好ましい。また一般式(4)のモノマー成分は単品のみならず、一般式(4)で表される複数の成分が混合していてもよい。
一般式(4)及び(5)中、R20〜R31は水素原子、アルキル基またはハロゲン原子であって、それぞれ同一または異なっていてもよく、さらにR28またはR29とR30またはR31とは互いに環を形成してもよい。lは0または1以上の整数であり、R24〜R27が複数回繰り返される場合には、これらは各同一または異なっていてもよい。アルキル基の例としては、前述の通りである。
一般式(4)で示されるモノマー成分の具体例を示すと以下のものを挙げることが出来るが、ここで示される例は極めて限定されたものであって、一般式(4)で示されるものであればいかなるものも本発明のモノマー成分になりうる。
Figure 0004323350
Figure 0004323350
Figure 0004323350
これらの中では一般式(4)においてn=1のもの、すなわち一般式(10)
Figure 0004323350
で示されるモノマー成分が、モノマーの入手しやすさあるいはモノマー合成のしやすさの面で好ましく、例えば、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンや、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどが挙げられる。
上述のモノマー成分はシクロペンタジエン類と相応するオレフィン類とをディールス・アルダー反応で縮合させることにより容易に製造することが可能である(特開昭57−154133号公報参照)。例えば、上述の一般式(10)のモノマー成分を合成するには、下記式のようにノルボルネンに対してシクロペンタジエンを縮合することにより得ることができる。
Figure 0004323350
一般式(10)以外の一般式(4)で示されるモノマー成分も、基本的には出発物質の違いだけであり、同じ縮合反応の応用で製造することができる。
前記一般式(4)のモノマー成分と共重合されうるα−オレフィンとしては、炭素原子数2〜20、好ましくは炭素原子数2〜10のα−オレフィンであって、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチルー1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルー1−ペンテン、4−メチルー1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−イコセンなどが挙げられる。これらの中では特にエチレンが共重合性の面から好ましく、他のα−オレフィン(炭素原子数3以上)あるいは後述する環状オレフィンや環状ジエンを一般式(4)のモノマー成分と共重合させる場合にも、エチレンが存在したほうが共重合性は良好である。
前記一般式(4)のモノマー成分と共重合されうる別の成分である式(4)以外の環状オレフィン及び環状ジエンとしては、たとえばシクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、スチレン、α−メチルスチレン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネンなどを例示できる。
さらに以上述べてきたモノマー成分のほかに、ほかの共重合可能なモノマー成分を本発明の目的を損なわない範囲内で、重合体中に少量含んでいてもよい。
本発明で用いられる環状オレフィン系共重合体はいかなる方法で製造されたものであっても構わないが、好ましい製造方法の一例として、上記一般式(4)で表される不飽和単量体とα−オレフィンおよび/又は環状オレフィンなどを、チーグラー触媒とくにバナジウム系のチーグラー触媒をはじめとする周知の触媒を使用して重合することにより製造することが出来る。
本発明で用いられる環状オレフィン系共重合体の特徴は、上記一般式(4)のモノマー成分が重合体中において主として一般式(5)で示される構造をとっていることであり、これにより重合体の沃素価は通常5以下、多くが1以下である。またこの構造をとることは13C−NMRによっても裏付けられる。
本発明で用いられる環状オレフィン共重合体のもっとも好適な態様は、上記一般式(4)のモノマー成分と少なくともエチレンを含み、必要に応じて他のオレフィンや環状オレフィンを含むものである。この場合、エチレン/一般式(4)のモノマー成分とのモル比は、5/95〜95/5、とくには40/60〜90/10の範囲にあるのが好ましく、さらにエチレン以外の他のモノマー成分すなわち炭素原子数3以上のα−オレフィンや環状オレフィンなどが存在する場合には、これらのモノマー成分の合計量/一般式(4)のモノマー成分(モル比)が5/95〜95/5、とくには30/70〜90/10の範囲にあるのが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、架橋ポリエーテルケトン樹脂(I)とポリオレフィン(II)あるいは/および環状オレフィン共重合体(III)の配合比に特に制約はないが、目的とする高周波積層板の要求物性に応じて適宜、樹脂成分の配合比を決定することができる。しかし(I)の比率が大きすぎると成形性が低下する傾向が見られ、逆に(II)および(III)の比率が大きすぎると耐熱性や強度が低下する傾向にある。ただし(III)は前出のα−オレフィン系モノマー成分の共重合比率にもよるが、(II)よりは耐熱性および強度の低下が少ない。よって本発明の樹脂組成物である架橋ポリエーテルケトン樹脂(I)と、ポリオレフィンと環状オレフィン共重合体(III)配合比としては、(I)+(II)+(III)=100重量%に対し、(I)/((II)+(III))の重量比が1/9〜9/1であるものが好ましく、7/3〜3/7の範囲がより好ましい。
本発明において用いられる樹脂組成物には、誘電特性、機械特性のためや増量の目的で、本発明の性質を損なわない範囲で、無機または/および有機の充填材を配合することができる。これらは特に誘電特性の調整に用いることが好ましい。高い誘電率の充填材としては、酸化アルミニウム、二酸化珪素、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸鉛などが挙げられ、低い誘電率の充填材としては、ガラスバブル、フッ素樹脂、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホンなどが挙げられ、これらは粉末、繊維、フレーク、その他種々の形状のものでもよい。機械的強度向上の点からは、ガラス繊維が代表的な充填剤であるが、誘電特性制御用の充填剤も、繊維フレークなどの形状のものは機械的強度の向上のためにも使用される。
本発明の高周波回路用積層板に使用する樹脂組成物には、所望に応じて難燃剤、熱安定剤、酸化安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤等の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
本発明において用いられる樹脂組成物の調整方法は、通常、樹脂組成物の各成分を、ロールミル、バンバリーミキサー、押出機などを使って溶融混錬する方法が一般的であるが、成分を均一に分散する方法であれば特に限定されない。すなわち、最終的に得られる樹脂組成物において、各成分の配合量が前記の範囲内であって、さらに実用上問題のない混合状態であれば、樹脂組成物を形成する各成分の配合方法や、工程はいかなるものであってもよい。たとえば、樹脂組成物の各成分を所望の配合比となるようにドライブレンドした後、樹脂の融点以上に設定した二軸押出機に導入して溶融混練して各成分を均一に分散させ、ついで冷却・ペレット化することで目的の樹脂組成物を得る方法を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物を用いて本発明の高周波回路用積層板を形成する方法に特別な制限はない。たとえば、樹脂組成物からシート基板を形成し、または樹脂組成物を基材に含浸させてプリプレグを形成し、さらに必要に応じてそれらシート基板やプリプレグからコア材などを製造し、ついでそれらを他の基材、フィルム、プリプレグ、金属箔などとともに常法にしたがって多層積層一体化することで得ることができる。すなわち、本発明の樹脂組成物のシートまたはフィルムの層に、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀等の金属を、シート、フィルム、箔等にして熱融着させる方法や接着剤を用いて張り合わせる方法、もしくは該金属類をスパッタ、蒸着、めっき等の方法で積層して形成する方法などを用いて作成することができる。例えば、より具体的には、この樹脂組成物のシート1枚または複数枚を用い、さらに電解銅箔などの金属箔を重ねた構成とし、成形圧力1〜15MPa/cmで一定時間過熱圧締することにより、金属箔との接着性に優れ、かつ耐熱性、誘電特性の優れた高周波回路用積層板を製造することができる。この加熱圧締の温度は、金属箔とシートの組み合わせなどによるが、シートの熱融着性を利用できるので、積層圧締温度はシートのガラス転移温度以上で、130〜300℃くらいの範囲にするのが好ましい。また圧締はシート同士、シートと金属箔などの接合および積層板の厚み調整のために行なうので、圧締条件は必要に応じて選択することができる。
本発明の樹脂組成物をシートまたはフィルム形状に成形する方法としては、押し出し成形、射出成形、プレス、キャスティングなどの各種公知の方法が適用可能である。
本発明の高周波回路用積層板を形成する際の樹脂組成物の層と金属の層の接着剤としてはエポキシ、ポリイミド等の公知の耐熱性接着剤を使用することができるが、絶縁層の誘電特性に影響を及ぼさない為に、本発明の樹脂組成物の層厚/接着剤の層厚の比が2以上が好ましく、3以上になるように形成するのがより好ましい。回路の形成は種々の公知のリソグラフィー法、例えばエッチング法などで行うことができる。積層板の態様としては、片面板、両面板のいずれでも良く、積層数にも制限はないが、2層〜30層程度に積層するのが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。実施例中の各評価方法を以下に示す。
誘電率および誘電正接:空洞共振器法により、25℃で12GHzにおける誘電率および誘電正接を測定した。
銅引き剥がし強度:JIS C6481の方法に準拠して測定した。
ガラス転移温度(Tg):DSC(示差走査型熱量計、島津製作所製・DSC−60)により、25℃から400℃まで昇温速度10℃/分で測定した。
5%重量減少温度(Td5%):TGA(熱重量測定装置、島津製作所製・TGA−50)により空気中にて、25℃から800℃まで昇温速度10℃/分で測定した。
対数粘度(ηinh):ポリエーテルケトン樹脂0.50gをN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することがある)100mlに溶解した後、35℃においてウベローデ型粘度計により測定した。なお、コントロールユニットとして、ラウダ製PVS1を使用した。
元素分析:CHN元素分析装置(PE2400−II型)にて定量した。
IRスペクトル:測定するポリマーをKBr錠剤法にて試料化し、フーリエ変換型赤外分 光光度計(デジラボジャパン製FTS6000)を用いて、分解能4cm−1、積算回数128回でスペクトル測定をおこなった。測定した。なお、コントロールユニットとして、ラウダ製PVS1を使用した。
合成例1
2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジンの合成
撹拌機、窒素導入管、温度計を備えた100mlの3口反応容器に、クロロスルホン酸80mlを装入し、窒素雰囲気下、氷水浴して液温を0℃に保った。溶媒を攪拌しながら、p−クロロベンゾニトリル55.02g(0.4mol)を溶液温度の上昇に注意しながら分割して加え、氷水浴のまま全量投入後1時間攪拌、さらに氷水浴を除去したのち室温で24時間攪拌した。反応の進行は高速液体クロマトグラフィー装置(HPLC)で観測し、原料のピークが1%以下になったことを確認した。得られた黄色不透明懸濁液を少量ずつ氷水に滴下して反応物を析出させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和処理を行った後に沈殿物を濾別した。この沈殿物をイオン交換水およびメタノールで洗浄濾別後乾燥し、目的物である2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジン45.8g(83%)を得た。
合成例2
撹拌機、窒素導入管、温度計を備えた100mlの3口反応容器に、テトラメチルビスフェノールA 7.68g(0.027mol)、ジフルオロベンゾフェノン 5.89g(0.027molおよび合成例1で製造した2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジン 1.23g(0.003mol)、炭酸カリウム 4.10g(0.0033mol)を仕込み、DMSO 60mlおよびトルエン 35mlを加え、窒素雰囲気下30分攪拌した。これを加熱し、160℃で6時間反応させた。反応中に生成し、トルエンと共沸する水は、適宜抜き取りつつ反応を続けた。冷却後、強撹拌したアセトン/イオン交換水1:1混合溶媒中に反応溶液を注ぎ込み、ポリマー粉を析出させ濾過後、さらにイオン交換水で2回、メタノールで1回洗浄した。以上の方法により、白色のポリマー粉を得た(ηinh:0.420dl/g)。このポリマーの元素分析を行った結果、炭素:81.1%、水素:5.7%、窒素0.6%であった。またIRスペクトルにおいて、トリアジン化合物に特徴的なピークである1521cm−1および1370cm−1が観測された。これらによりポリマー中にトリアジン化合物が取り込まれていることを確認した。
ガラス転移温度:205℃
5%重量減少温度:448℃
合成例3
攪拌翼を備えた2L重合器を用いて、連続的にエチレンと1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン(以下DMONと省略)の共重合反応を行った。すなわち、重合器上部からDMONシクロヘキサン溶液を、重合器内でのDMON濃度が60g/lとなるように毎時0.4l、触媒としてVO(OC)Clのシクロヘキサン溶液を重合器内でのバナジウム濃度が0.7mmol/lとなるように毎時0.7l、エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C15Cl15)のシクロヘキサン溶液を重合器内でのアルミニウム濃度が5.6mol/lとなるように毎時0.4lおよびシクロヘキサンを毎時0.5lの速度でそれぞれ重合器内に連続的に供給し、一方、重合器下部から、重合器内の重合液が常に1lになるように連続的に抜き出す。また重合器上部からエチレンを毎時80l、窒素を毎時80l、水素を毎時0.2lの速度で供給する。共重合反応は、重合器上部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより10℃で行った。上記条件で共重合反応を行うと、エチレン・DMONランダム共重合体を含む重合反応混合物が得られる。重合器下部から抜き出した重合液に、シクロヘキサン/イソプロピルアルコール(1/1)混合液を添加して重合反応を停止させた。その後、水1lに対し濃塩酸5mlを添加した水溶液と重合溶液とを1対1の割合でホモミキサーを用い強攪拌下で接触させ、触媒残渣を水層へ移行させた。上記混合液を静置し、水層を除去後さらに蒸留水で2回水洗を行ない、重合液を精製分離した。得られた重合液を3倍量のアセトンと強攪拌下で接触させ、固体部を濾過により採取し、アセトンで十分洗浄した。以上の方法により、環状オレフィン共重合体のポリマー粉を得た。このポリマーを135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は0.85dl/gであった。13C−NMR分析による共重合体のエチレン組成は61モル%、ガラス転移温度:145℃。
合成例4
合成例3のDMONの代わりに、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン(以下M−DMONと省略)を用いるほかは同様に行ない、ポリマー粉を得た。このポリマーを135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]はηinh:1.05dl/gであった。エチレン組成は53モル%、ガラス転移温度:146℃
実施例1
合成例2で得られた架橋ポリエーテルケトン樹脂70重量%および、ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレンペレット(三井化学(株)製、商品名:三井ポリプロ)30重量%を配合し、混合した後、二軸押出機を用いて300℃で溶融混練し、ペレット化した。この樹脂組成物のガラス転移温度は175℃、5%重量減少温度は438℃であった。上記ペレットを用い、300℃、10MPa/cmの圧力で7分間プレスし、厚さ約0.5mmのシートを得た。ついで、このシートの両面に厚さ35μmの電解銅箔を重ね、300℃、10MPa/cmの圧力で30分間プレスすることにより熱融着し、両面銅箔シートを得た。このシートの熱膨張係数、誘電率および誘電正接の測定結果を表1に示す。
実施例2
ポリオレフィン系樹脂としてポリメチルペンテン(三井化学(株)製、商品名:TPX(登録商標))を使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレット、樹脂シート、および両面銅箔シートを作成した。この樹脂組成物のガラス転移温度は170℃、5%重量減少温度は442℃であった。この樹脂シートの誘電率および誘電正接の測定結果、そして両面銅箔シートの銅引き剥がし強度の測定結果を表1に示す。
実施例3
合成例2で得られた架橋ポリエーテルケトン樹脂50重量%および、合成例3で得られた環状オレフィン共重合体50重量%を配合し、混合した後、二軸押出機を用いて300℃で溶融混練し、ペレット化した。このペレットを用い、実施例1と同様にして樹脂シートおよび両面銅箔シートを作成した。この樹脂組成物のガラス転移温度は179℃、5%重量減少温度は440℃であった。これらのシートの誘電率および誘電正接の測定結果、そして両面銅箔シートの銅引き剥がし強度の測定結果を表1に示す。
実施例4
合成例2で得られた架橋ポリエーテルケトン樹脂70重量%および、合成例3で得られた環状オレフィン共重合体30重量%を配合し、実施例1と同様にして樹脂組成物のペレット、樹脂シート、および両面銅箔シートを作成した。この樹脂組成物のガラス転移温度は188℃、5%重量減少温度は445℃であった。この樹脂シートの誘電率および誘電正接の測定結果、そして両面銅箔シートの銅引き剥がし強度の測定結果を表1に示す。
実施例5
環状オレフィン共重合体として合成例4で得られたポリマーを使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレット、樹脂シート、および両面銅箔シートを作成した。この樹脂組成物のガラス転移温度は180℃、5%重量減少温度は442℃であった。この樹脂シートの誘電率および誘電正接の測定結果、そして両面銅箔シートの銅引き剥がし強度の測定結果を表1に示す。
実施例6
合成例2で得られた架橋ポリエーテルケトン樹脂70重量%および、合成例3で得られた環状オレフィン共重合体15重量%および、ポリメチルペンテン15重量%を配合し実施例1と同様にして樹脂組成物のペレット、樹脂シート、および両面銅箔シートを作成した。この樹脂組成物のガラス転移温度は180℃、5%重量減少温度は441℃であった。この樹脂シートの誘電率および誘電正接の測定結果、そして両面銅箔シートの銅引き剥がし強度の測定結果を表1に示す。
合成例5
2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジンを用いないこと以外は実施例1と同様の方法にて、架橋構造を持たず式(12)で表される繰り返し単位を有する直鎖状ポリエーテルケトン樹脂を得た。(ηinh:0.40dl/g)。
ガラス転移温度:212℃
5%重量減少温度:439℃
Figure 0004323350
比較例1
合成例2の架橋ポリエーテルケトン樹脂を用いない代わりに、合成例5の直鎖状ポリエーテルケトン樹脂を使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレット、樹脂シート、および両面銅箔シートを作成した。この樹脂組成物のガラス転移温度は182℃、5%重量減少温度は429℃であった。この樹脂シートの誘電率および誘電正接の測定結果、そして両面銅箔シートの銅引き剥がし強度の測定結果を表1に示す。
比較例2
合成例2の架橋ポリエーテルケトン樹脂を用いない代わりに、合成例5の直鎖状ポリエーテルケトン樹脂を使用した以外は実施例3と同様にして、樹脂組成物のペレット、樹脂シート、および両面銅箔シートを作成した。この樹脂組成物のガラス転移温度は171℃、5%重量減少温度は422℃であった。この樹脂シートの誘電率および誘電正接の測定結果、そして両面銅箔シートの銅引き剥がし強度の測定結果を表1に示す。
比較例3
架橋ポリエーテルケトン樹脂を用いず、合成例3で得られた環状オレフィン共重合体のみを、250℃、10MPa/cmの圧力で7分間プレスし、厚さ約0.5mmのシートを得た。この樹脂シートの誘電率および誘電正接の測定結果を表1に示す。ついでこの樹脂シートを用い、実施例1と同様にして両面銅箔シートの作成を試みたが、銅箔への接着性が悪くシートを得ることができなかった。
比較例4
架橋ポリエーテルケトン樹脂を用いず、実施例2で用いたポリメチルペンテンのみ用いて、比較例3と同様にして樹脂シートを得た。この樹脂シートの誘電率および誘電正接の測定結果を表1に示す。ついでこの樹脂シートを用い、実施例1と同様にして両面銅箔シートの作成を試みたが、銅箔への接着性が悪くシートを得ることができなかった。
比較例5
架橋ポリエーテルケトン樹脂を用いず、実施例2で用いたポリメチルペンテン50重量%および合成例3で得られた環状オレフィン共重合体50重量%を用いて、実施例1と同様にしてペレット化を行ない、ついで樹脂シートを得た。この樹脂シートの誘電率および誘電正接の測定結果を表1に示す。ついでこの樹脂シートを用い、実施例1と同様にして両面銅箔シートの作成を試みたが、銅箔への接着性が悪くシートを得ることができなかった。
Figure 0004323350
本発明の積層板は、架橋ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン系樹脂を併せて用いることにより、耐熱性および高周波域における優れた誘電特性を持つため、また金属との接着も良好であるため、特に高周波信号伝送に対応する配線基板として極めて有用である。

Claims (2)

  1. (I)下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有するポリエーテルケトン主鎖に一般式(2)で表されるトリアジン環を有する3価の基を導入して結合されたことを特徴とする架橋ポリエーテルケトン樹脂、および
    Figure 0004323350
    (式中、Aは炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−SO−、−SO−、−S−、−O−、または−CO−を示す。mは0または1の整数、nは1〜3の整数を示す。R1〜R16は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子のいずれかを示し、R1〜R8の少なくとも1つは、水素原子以外の基である。)
    Figure 0004323350
    (式中、R17〜R19は、炭素数1〜8の炭化水素基または下記式(3)のいずれかで表される2価の基を表す)
    Figure 0004323350
    (II)ポリオレフィン、および/または
    (III)少なくとも下記一般式(4)で示されるモノマー成分を含み重合体中において該モノマー成分が下記一般式(5)で示される構造をとる環状オレフィン系共重合体を配合してなる樹脂組成物。
    Figure 0004323350
    Figure 0004323350
    (式中、R20〜R31は水素原子、アルキル基またはハロゲン原子であり、それぞれ同一または異なっていてもよく、さらにR28またはR29とR30またはR31とは互いに環を形成してもよい。lは0または1以上の整数であり、R24〜R27が複数回繰り返される場合には、これらは各々同一または異なっていてもよい)
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物を用いた絶縁層を有する高周波回路用積層板。
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