JP6155928B2 - 半導体発光装置の製造方法、半導体発光装置用部品の製造方法、反射体の製造方法及び反射体形成用組成物 - Google Patents

半導体発光装置の製造方法、半導体発光装置用部品の製造方法、反射体の製造方法及び反射体形成用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、半導体発光装置の製造方法、半導体発光装置用部品の製造方法、反射体の製造方法及び反射体形成用組成物に関する。
発光ダイオード(以下「LED」ともいう。)等の光半導体素子は、表示灯等の光源として広く利用されている。こうした光半導体素子は、小型で長寿命であるとともに省電力性に優れているので、地球温暖化防止の対策としてCOの削減に大いに寄与することができるものとされている。
光半導体素子を光源として用いる半導体発光装置は、高い照度を得るために、通常、基板上に配置された単数又は複数の光半導体素子の周りに反射体を設け、光半導体素子が発光した光を所定方向に反射させている。そうした反射体は、光半導体素子の発熱によっても良好な反射性と耐熱性が求められている。また、反射体に生ずる反りや寸法変化は反射体の反射性の低下を引き起こすため、反射体には、反りや寸法変化が生じないことが求められている。
こうした要求に対し、特許文献1には、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、無機充填剤、白色顔料、添加剤及び離型剤を含む熱硬化性光反射用樹脂組成物であって、 樹脂組成物をトランスファー成形して成形金型から離型することで得られる成形品の離型面における表面自由エネルギーを特定し、樹脂組成物の硬化後の光波長400nmにおける光拡散反射率を特定した光反射用樹脂組成物、及びその組成物を用いて製造した光半導体素子搭載用基板等が提案されている。この技術によれば、光半導体素子搭載用基板に必要とされる光学特性及び耐熱着色性等の各種特性に優れるとともに、トランスファー成形法等による成形加工性に優れる熱硬化性光反射用樹脂組成物を提供できるとされている。
また、特許文献2には、炭素−水素結合を有するフッ素樹脂と、所定量の酸化チタンとを含有する樹脂組成物からなる成形体に、電子線を特定量照射してなる白色樹脂成形体及びLED用リフレクタが提案されている。この技術によれば、150℃以上の高温の環境や光に長時間曝露されても変色しにくい高い耐熱劣化性と耐光劣化性を有し、さらに加工しやすく生産性に優れる等、LEDのリフレクタ部を構成する材料として好適な特性を有する白色樹脂成形体及びLED用リフレクタを提供することができるとされている。
また、特許文献3には、熱可塑性樹脂と充填材と溶融粘度低下剤とを含み、その溶融粘度低下剤は、所定量含有する多官能アルキル化合物または所定量含有するダイマー酸ベース熱可塑性樹脂である樹脂組成物およびそれからなる成形体が提案されている。この技術によれば、加工時の溶融流動性に優れた樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供することができるとされている。
特開2009−149845号公報 特開2011−195709号公報 国際公開WO2010/084845号
特に最近は、LEDの発光強度をより高めるために、光半導体素子に大きな電流が印加される。そのため、光半導体素子が発熱しやすく、反射体にもより高い耐熱性が要求されている。また、高い耐熱性を持つ反射体を成形性よく製造できることも要求されている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、耐熱性と成形性に優れた反射体を備えた半導体発光装置の製造方法及び半導体発光装置用部品の製造方法を提供することにある。さらに本発明の目的は、反射体の製造方法及び反射体形成用組成物を提供することにある。
(1)上記課題を解決するための本発明に係る半導体発光装置の製造方法は、基板と、光半導体素子と、前記光半導体素子が発光する光を反射させる反射体とを有する半導体発光装置の製造方法であって、電離放射線硬化性樹脂と白色材料と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤とが少なくとも含まれている反射体形成用組成物を射出成形する工程と、前記射出成形する工程前及び工程後の一方又は両方で電離放射線を照射する工程とを有することを特徴とする。
(2)上記課題を解決するための本発明に係る半導体発光装置用部品の製造方法は、基板と、光半導体素子が発光する光を反射させる反射体とを有する半導体発光装置用部品の製造方法であって、電離放射線硬化性樹脂と白色材料と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤とが少なくとも含まれている反射体形成用組成物を射出成形する工程と、前記射出成形する工程前及び工程後の一方又は両方で電離放射線を照射する工程とを有することを特徴とする。
(3)上記課題を解決するための本発明に係る反射体の製造方法は、電離放射線硬化性樹脂と白色材料と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤とが少なくとも含まれている反射体形成用組成物を射出成形する工程と、前記射出成形する工程前及び工程後の一方又は両方で電離放射線を照射する工程とを有することを特徴とする。
(4)上記課題を解決するための本発明に係る反射体形成用組成物は、電離放射線硬化性樹脂と白色材料と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤とが少なくとも含まれていることを特徴とする。
本発明に係る半導体発光装置の製造方法及び半導体発光装置用部品の製造方法によれば、耐久性と強度と反射性に優れた反射体を備えた半導体発光装置や半導体発光装置用部品を提供できる。さらに、本発明に係る反射体の製造方法及び反射体形成用組成物によれば、耐久性と強度と反射性に優れた反射体を提供できる。
本発明に係る製造方法で得られた半導体発光装置の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る製造方法で得られた半導体発光装置の他の一例を示す概略断面図である。
本発明に係る半導体発光装置の製造方法、半導体発光装置用部品の製造方法、反射体の製造方法及び反射体形成用組成物について、図面を参照して詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で各種の形態をとることができる。
[半導体発光装置の製造方法]
本発明に係る半導体発光装置1の製造方法は、図1及び図2に示すような半導体発光装置1を製造する方法である。詳しくは、基板14と、光半導体素子10と、その光半導体素子10が発光する光を反射させる反射体12とを有する半導体発光装置の製造方法であって、電離放射線硬化性樹脂と白色材料と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤とが少なくとも含まれている反射体形成用組成物を射出成形する工程と、その射出成形する工程前及び工程後の一方又は両方で電離放射線を照射する工程とを有している。電離放射線とは、電子線や紫外線等のことである。
この製造方法は、電離放射線で硬化する反射体形成用組成物の射出成形工程と、反射体形成用組成物に電離放射線を照射する工程とを有している。詳しくは、反射体12を射出成形で形成した後に電離放射線を照射して硬化させてもよいし、成形性を損なわない限りは、電離放射線照射による架橋反応を成形前に行ってもよい。すなわち、反射体12を射出成形で形成する前の電離放射線硬化性樹脂に電離放射線を照射して硬化させたものであってもよいし、反射体12を射出成形で形成する前の電離放射線硬化性樹脂に電離放射線を照射して半硬化させるとともに、半硬化した電離放射線硬化性樹脂を射出成形したものに電離放射線を照射して硬化させたものであってもよい。
この製造方法では、反射体形成用組成物が169℃という高い温度での重量減少が少ない架橋処理剤を含んでいる点に特徴があるので、高い温度での射出成形を行った場合であっても、不具合のない良好な射出成形を行うことができる。なお、従来の一般的な架橋処理剤は、2%重量減少温度が低いので、高い温度で射出成形を行った場合に、架橋処理剤に含まれる成分が揮発し、ショート等の成形不良が生じる。また、169℃という高い温度での重量減少が少ない架橋処理剤は、耐熱性の良い電離放射線硬化性樹脂を組み合わせることができるので、反射体形成用組成物を高い温度で射出成形してなる耐熱性のよい反射体を製造することができる。その結果、半導体発光装置は、耐熱性と射出成形性に優れた反射率のよい反射体を備えるので、光半導体素子に大きな電流を印加して光半導体素子が発熱しても、製品の長期耐久性に優れる。
以下、表面実装型の半導体発光装置の構成を例にして、その製造方法を説明する。なお、電離放射線硬化性樹脂硬化物については、そのまま「電離放射線硬化性樹脂硬化物」といい、電離放射線硬化性樹脂及び架橋処理剤の硬化物については、単に「硬化物」という。
<基板>
基板14は特に限定されず、半導体発光装置1の分野で用いられるものあれば各種の基板を使用できる。基板14は、リードフレームやリード電極等とも言われており、基板14上に搭載される光半導体素子10に電力を供給する導電体(リード電極)として機能したり、ヒートシンクとして機能したりする。基板14と光半導体素子10との配置は特に限定されず、図1等に示すように、両者が直接接触していてもよいし、直接接触していなくても電気的に接続されていてもよい。
基板14の材料としては、金属基板、セラミックス基板、プラスチック基板等のいずれであってもよいが、通常、金属基板が好ましく用いられる。金属基板としては、例えば、銅、鉄、アルミニウム等の金属又は合金を挙げることができる。こうした金属又は合金は、高い熱伝導性を示すので好ましく用いることができる。また、その表面は、電気伝導性と熱伝導性のよい銀、金、アルミニウム等のメッキが施こされていてもよい。セラミックス基板としては、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ムライト(酸化アルミニウムと二酸化ケイ素の化合物)、ガラス等のセラミックス等を挙げることができる。また、プラスチック基板としては、例えば、ポリイミド樹脂等のフレキシブル性を有する樹脂等を挙げることができる。セラミックス基板やプラスチック基板は、その表面に、光半導体素子10と電気的に接続してその光半導体素子10に電力を供給できる金属層が設けられていることが望ましい。そうした金属層としては、電気伝導性と熱伝導性を兼ね備えた銅、銀、金、アルミニウム等が好ましい。こうした材料で構成された基板14は、光半導体素子10に大電流を長時間印加することができるので、出力向上を図ることができるとともに信頼性の高い半導体発光装置1にすることができる。
なお、基板14には、光半導体素子10が載置されやすいように中央に凹部が設けられたり周縁に壁部が設けられたりしてもよいし、ヒートシンク機能を高めるための凸部が設けられていてもよい。また、基板14の厚さは特に限定されず、その構成材料や構造形態等に応じて適宜設定することができる。
<光半導体素子>
光半導体素子10は、図1及び図2に示すように、基板14上に設けられている。この光半導体素子10は、任意の波長の光を発光する半導体素子であればよく、その種類は特に限定されない。発光波長は特に限定されないが、例えば、230nm〜400nmの紫外光であってもよいし、紫外光から可視光の範囲の光であってもよいし、可視光の光であってもよい。
光半導体素子10としては、一例としては、AlGaAs、AlGaInP、GaP又はGaNからなる活性層を、n型及びp型のクラッド層により挟んだダブルヘテロ構造を有するものを挙げることができる。このような光半導体素子10としては、一辺の長さが0.5mm程度の六面体の形状の紫外光発光LED等を挙げることができる。
光半導体素子10の発色光についても特に限定はなく、白色であってもよいし、それ以外の色であってもよい。例えば、光半導体素子10の表面にそれぞれ赤、緑、青に変換する発光色変換部材を設けてそれぞれの色に変換した光を混合で白色の発光色にすることができる。
特に紫外光を発光する光半導体素子10を用いた場合、その紫外光を利用して、半導体発光装置1に殺菌効果や消臭効果を付与することができる。また、様々な蛍光体を、例えば上述した発光色変換部材と組合せることで、得られる半導体発光装置1を照明やテレビ等に利用することができ、その演色性を高めることができる。
<反射体>
反射体12は、図1及び図2に示すように、基板14上に設けられている。この反射体12は、本発明に係る半導体発光装置1の製造方法で形成される構成であり、光半導体素子10から発光される光を所定方向、すなわち出光部側へ反射させる役割を果たしている。そのための構造形態は特に限定されないが、通常、図1及び図2に示すように、光を所定方向に反射させる面を備え、その面をテーパー状に傾けた形態に設けられている。
反射体12は、電離放射線硬化性樹脂と白色材料と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤とが少なくとも含まれている反射体形成用組成物で形成される。
(電離放射線硬化性樹脂)
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線の照射によって硬化する樹脂であればよい。その硬化態様としては、後述するように、反射体形成用組成物を射出成形して反射体12を形成した後に電離放射線を照射して硬化させたものであってもよいし、射出成形で形成する前の反射体形成用組成物に電離放射線を照射して硬化させたものであってもよいし、射出成形して反射体12を成形する前の反射体形成用組成物に電離放射線を照射して半硬化させるとともに、半硬化した反射体形成用組成物を射出成形した反射体12に電離放射線を照射して硬化させたものであってもよい。
電子線硬化性樹脂は特に限定されない。例えば、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリル樹脂、アミド樹脂、アセタール樹脂、カーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ブチレンテレフタレート樹脂、エチレンテレフタレート樹脂、フェニレンスルファイド樹脂、テトラフロロエチレン樹脂、サルフォン樹脂、エーテルサルフォン樹脂、非晶アリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド等の熱可塑性樹脂をいずれも使用可能である。
なかでもオレフィン樹脂が好ましく用いられる。オレフィン樹脂としては、例えば、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、又はその水素添加、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等を挙げることができる。特に、ポリメチルペンテンが好ましい。
ポリメチルペンテンは、耐熱性に優れることから、光半導体素子10からの発熱による反射体12の変色を防止でき、長期にわたって反射体12の性能を維持することができるという利点がある。また、こうした耐熱性は、ポリメチルペンテンの高い混練温度(約240℃〜280℃程度)による悪影響が生じないとう利点もある。また、ポリメチルペンテンは成形性にも優れることから、ポリメチルペンテンを含む反射体形成用組成物は、バリの発生なく反射体12を成形することができるという利点もある。これにより、バリによって生じ得る半導体発光装置1の電気的な不良の発生を防止することができる。さらに、ポリメチルペンテンは、紫外域の波長の光線透過率にも優れている。こうしたポリメチルペンテンと、紫外光反射性能を有する後述の白色材料との相乗効果によって、光半導体素子10から発光される紫外光を効果的に出光部側に反射させることができ、殺菌効果及び消臭効果、また演色性等をさらに高めることができる。また、ポリメチルペンテンは、屈折率が1.46であることから酸化ケイ素材料等の屈折率に近いため、それらを混合した際でも透過率や反射率等の光学特性の阻害を抑えることができる。
ポリメチルペンテンについてさらに詳しく説明する。ポリメチルペンテンとしては、例えば、4−メチルペンテン−1の単独重合体や、4−メチルペンテン−1と他のオレフィンとの共重合体等を挙げることができる。4−メチルペンテン−1と他のオレフィンとの共重合体としては、4−メチルペンテン−1と、α−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。4−メチルペンテン−1と他のオレフィンとの共重合体を用いる場合には、その共重合体は、4−メチル−1−ペンテンを90モル%以上含んでいることが好ましい。
ポリメチルペンテンのうち、4−メチルペンテン−1の単独重合体を好ましく使用することができる。なかでも、重合平均分子量(Mw)が1000以上、特に5000以上の4−メチルペンテン−1の単独重合体が好ましい。これらのポリメチルペンテンによれば、反射体12の耐熱性をさらに向上させることができる。なお、4−メチルペンテン−1の単独重合体の分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
ポリメチルペンテンは市販品を用いることもでき、例えば、三井化学株式会社製のTPX(登録商標)等を挙げることができる。
ポリメチルペンテンを電離放射線硬化性樹脂として用いる場合は、三次元網目構造のポリメチルペンテンを用いてもよい。三次元網目構造のポリメチルペンテンを含む反射体形成用組成物は、耐熱性や反射性能に優れた反射体12を形成することができる。また、形成した反射体12から、後述する紫外光反射性能を有する白色材料が脱落することを防止することもできる。三次元網目構造のポリメチルペンテンは、例えば、紫外線硬化剤や電子線硬化剤とポリメチルペンテンとを反応させて、ポリメチルペンテンの分子間を架橋させることで得ることができる。これ以外にも、ポリメチルペンテンと、紫外線硬化剤や電子線硬化剤のモノマーを共重合させた共重合体を用いて三次元網目構造のポリメチルペンテンを得ることもできる。
(架橋処理剤)
架橋処理剤は、上記した電離放射線硬化性樹脂とともに反射体形成用組成物に含まれる。本発明では、2%重量減少温度が169℃以上の高い耐熱性を持つ架橋処理剤を用いている。2%重量減少温度が169℃以上という高い温度の架橋処理剤は、耐熱性が高いということを意味している。このような高い耐熱性を持つ架橋処理剤は、耐熱性の高い電離放射線硬化性樹脂に対する架橋処理剤として好ましく適用できる。
耐熱性の高い電離放射線硬化性樹脂としては、上記のうち例えばポリメチルペンテン等を例示できる。ポリメチルペンテンのように融点が232℃と高く、混練加工温度の約240℃〜280℃程度でも分解せず、分解温度が300℃近辺という高温特性を有する電離放射線硬化性樹脂は、形成した反射体12の耐熱性を高めることができ、半導体発光装置1の耐熱性や耐久性を向上させることができるので好ましく用いることができる。
このような高い融点(例えば、200℃以上)や高い分解温度(例えば、300℃以上)の樹脂を用いる場合には、射出成形も高い温度(例えば、200℃〜300℃)で行うことが好ましいことから、2%重量減少温度が169℃以上の高い耐熱性を持つ架橋処理剤を用いることが好ましい。架橋処理剤の2%重量減少温度が例えば150℃程度のように169℃未満の場合は、その架橋処理剤が射出成形時に揮発してガスを発生し、成形物である反射体12の成形性を悪化させることがある。2%重量減少温度の上限は特に限定されないが、通常、200℃程度である。なお、2%重量減少温度は、電離放射線硬化性樹脂の分解温度を超える場合があり、その場合には、2%重量減少温度は明確に現れない。
耐熱性の高いポリメチルペンテン等の電離放射線硬化性樹脂に対して電離放射線を照射(例えば、吸収線量:200kGy)した場合、架橋と同時に分子鎖の切断が進行することがある。そのため、電離放射線硬化性樹脂単体では有効な架橋は起こり難いが、架橋処理剤を含有させることにより、電離放射線照射によって有効に架橋反応を起こすことができる。そして、単に架橋処理剤を配合するだけでは耐熱性と成形性の両方を満足させることはできず、2%重量減少温度が169℃以上の高い耐熱性を持つ架橋処理剤を用いることで両方を解決できる。こうしたことから、特定の架橋処理剤を上記したポリメチルペンテン等のオレフィン樹脂である電離放射線硬化性樹脂に含有させて電離放射線を照射させることにより、例えばリフロー工程のような加熱工程においても十分な耐熱性と成形性を発揮し得る反射体形成用組成物にすることができる。これにより、反射体12を成形した後に加わる熱に対しても、電離放射線硬化性樹脂硬化物の融解による反射体12の変形等の成形不良を防ぐことができる。
架橋処理剤は、飽和又は不飽和の環構造を有し、少なくとも1つの環を形成する原子のうち少なくとも1つの原子が、アリル基、メタリル基、連結基を介したアリル基、及び連結基を介したメタリル基から選ばれるいずれかのアリル系置換基と結合してなる構造を有する。特に、架橋処理剤の1つの環を形成する原子のうち少なくとも2つの原子が、それぞれ独立に、アリル系置換基と結合していることが好ましい。また、環構造が6員環である場合、その環を形成する原子のうちの少なくとも2つの原子が、それぞれ独立に、アリル系置換基と結合しており、1つのアリル系置換基が結合した原子に対して、他のアリル系置換基がメタ位の原子に結合していることが好ましい。
そうした構造を有する架橋処理剤を含有することで、良好な電離放射線硬化性を発揮し、優れた耐熱性を有する反射体形成用組成物にすることができる。飽和又は不飽和の環構造としては、シクロ環、ヘテロ環、芳香環等を挙げることができる。環構造を形成する原子の数は、3〜12であることが好ましく、5〜8であることがより好ましく、6員環であることがさらに好ましい。架橋処理剤が有する連結基としては、エステル結合、エーテル結合、アルキレン基、(ヘテロ)アリーレン基等を挙げることができる。環を形成する原子のうちアリル系置換基と結合しない原子は、水素、酸素、窒素等が結合した状態、又は種々の置換基が結合した状態となっている。
架橋処理剤の分子量は、1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましく、300以下であることがさらに好ましい。分子量が1000以下であることで、電離放射線硬化性樹脂中での分散性が低くなることを防ぎ、電離放射線照射による有効な架橋反応を起こすことが可能となる。また、環構造の数は1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
架橋処理剤の融点は、使用する電離放射線硬化性樹脂の融点以下であることが好ましく、例えば−20℃〜230℃の範囲内程度であることが好ましい。上記のような架橋処理剤であれば、耐熱性を有するとともに、加工時の流動性にも優れる。
具体的な架橋処理剤としては、トリアリルイソシアヌレート、メチルジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート等を挙げることができる。また、オルトフタル酸のジアリルエステル、イソフタル酸のジアリルエステル等を挙げることができる。特に、ジアリルイソフタレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸が好ましい。
架橋処理剤は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して10質量部以上、40質量部以下の範囲内で配合されており、12質量部以上、30質量部以下の範囲内で配合されていることが好ましい。こうした範囲内で配合されていることにより、架橋を効果的に進行させることができる。
(白色材料)
白色材料は、反射体形成用組成物に任意に含まれる。白色材料を含む反射体形成用組成物は、より反射性の良い反射体12を形成することができる。白色材料としては、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、硫化バリウム、チタン酸カリウム等の白色顔料を挙げることができる。これらの白色材料は、単独又は2種以上混合して使用することができる。なかでも酸化チタンが好ましい。
白色材料は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対し、200質量部以上、500質量部以下の範囲内で含まれていることが好ましく、200質量部以上、450質量部以下の範囲内で含まれていることがより好ましい。この範囲内にすることで、製品性能(例えば、反射体の光反射率、強度、成形反り等)を良好に維持することができる。また、白色材料が多くて加工ができない、又は加工できても成形状態が悪く、ボソボソで製品性能(例えば、反射体の光反射率等)が低下してしまったりすることを防ぐことができる。
白色材料の平均粒径は、反射体形成用組成物の成形性を考慮し、かつ高い反射率を得る観点から、一次粒度分布において0.10μm以上、0.50μm以下の範囲内であることが好ましく、0.10μm以上、0.40μm以下の範囲内であることがより好ましく、0.21μm以上、0.25μm以下の範囲内であることがさらに好ましい。平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50として求めることができる。
(無機材料)
無機材料は、反射体形成用組成物に任意に含まれる。無機材料を含む反射体形成用組成物は、より強度の高い反射体12を形成することができる。無機材料としては、粒子状又は繊維状の無機材料が用いられる。繊維状の無機材料としては、ガラス繊維を好ましく挙げることができるが、それ以外の材質からなる繊維であってもよい。例えば、ウォラストナイト、針状酸化チタン、針状チタン酸カリウム、タルク、炭素繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、繊維状のザイロン等の繊維であってもよい。球状の無機材料としては、球状粒子又は球状に近似する不定形粒子、球状に近似する鱗片状粒子、扁平状粒子、円錐形状粒子、楕円形状粒子等を挙げることができる。具体的には、水酸化ナトリウム、セリサイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、メラミンシアヌレート、チタン酸バリウム、窒化ホウ素等の球状粒子を挙げることができる。これらの無機材料は、単独又は2種以上混合して使用することができる。
無機材料の大きさは特に限定されず、繊維状の無機材料の場合は、その平均長さ(繊維長)が40μm以上、100μm以下の範囲内であり、断面の平均直径も特に限定されないが5μm以上、50μm以下の範囲内であることが好ましい。球状の無機材料の場合は、その体積平均粒径が0.1μm以上、300μm以下の範囲内であることが好ましい。こうした大きさにすることにより、無機材料が硬化物中に多く充填され、得られた反射体12の強度を高めることができる。また、従来のような長いガラス繊維が反射体表面から飛び出して光の反射性を阻害することも少ない。さらに、従来のような長いガラス繊維は反射体形成用組成物の調製時の機械的混合手段で折れてメカノラジカルを発生させ、そのメカノラジカルが電離放射線硬化性樹脂を劣化させ易いが、この大きさの無機材料は、そのようなメカノラジカルの発生が起こりにくく、電離放射線硬化性樹脂の劣化を抑制できる。
無機材料は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して60質量部以上200質量部以下の範囲内で含まれていることが好ましい。この範囲の無機材料が含まれていることにより、得られた反射体12の強度を高めることができる。その量が60質量部未満では、配合量が少なくて、反射体12に十分な強度を付与できないことがあり、その量が200質量部を超えると、配合量が多すぎて、反射体形成用組成物を射出成形して反射体12を形成できないことがある。
なお、後述する実施例に記載のように、多量の白色材料を含む反射体12は脆くなりやすいが、上記した無機材料が反射体12に含まれていることにより、反射体12の骨組みが堅固なものになり、強度が増して脆さを低減することができる。また、多くの白色材料を含む反射体12を電子線等の電離放射線で硬化させるので、後述の実施例に記載の例えば加速電圧800kVで400kGyのような大きな吸収線量で電子線を照射することが望ましい。しかし、大きな吸収線量で照射した場合であっても、白色材料を多く含むことから表面近傍と内部とでは硬化の程度が不均一になり易く、各部での内部応力に差が生じ易い。このように、表面近傍と内部とでは内部応力が不均一な場合であっても、上記した無機材料、好ましくはガラス繊維等の繊維状無機材料を含ませることにより、反射体12の骨組みを堅固にし、各部の強度をならして比較的均一にすることができる。
(その他)
反射体形成用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、その他の添加材料を含んでいてもよい。添加材料としては、例えば、得られた反射体12の性質を改善する目的で、種々のウィスカー、シリコーンパウダー、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、脂肪酸エステル、グリセリン酸エステル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の内部離型剤や、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系、イソシアヌレート系、シュウ酸アニリド系、ベンゾエート系、ヒンダートアミン系、ベンゾトリアゾール系、フェノール系等の酸化防止剤や、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系等の光安定剤等を挙げることができる。
白色材料や無機材料等の分散性を高めるための疎水化処理剤が含まれていてもよい。疎水化処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、脂肪酸、及び脂肪酸金属塩等を挙げることができる。これらの中でも、分散性を向上させる効果が高いことから、シランカップリング剤、及びシリコーンオイルが好ましく用いられる。
また、難燃剤、基板密着助剤としてのシランカップリング剤やチタンカップリング剤等が含まれていてもよい。
こうした材料を含む反射体形成用組成物の混合方法としては、2本又は3本ロール、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、ポリラボシステムやラボプラストミル等の溶融混練機等の公知の手段を適用することができる。これらは、常温、冷却状態、加熱状態、常圧、減圧状態、加圧状態のいずれで行ってもよいが、耐熱性のよい反射体を製造しようとする場合は、耐熱性のよい電離放射線硬化材料と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤とを用いるので、通常は、240℃〜280℃程度の高い温度で行われる。混合された後の反射体形成用組成物は、その後に射出成形及び電離放射線硬化されて反射体12が形成される。
(反射体の形態)
反射体形成用組成物で成形した反射体12の形状は、図1及び図2に示すように、レンズ18の端部、すなわち接合部の形状に準じており、特に限定はない。通常は、角形、円形、楕円形等の筒状又は輪状である。図1で例示する形態では、反射体12は、筒状体、換言すれば輪状体であり、反射体12のすべての端面が基板14の表面に接触し、固定されている。
反射体12の内面は、図示するように、光半導体素子10から発光される光の指向性を高めるために、テーパー状に上方に広げられていることが好ましい。また、反射体12は、レンズ18側の端部を、そのレンズ18の形状に応じた形に加工されていてもよく、その場合にはレンズホルダーとしても機能させることができる。
反射体12は、これ以外の種々の形態であってもよい。例えば、図2に示すように、上記で説明した反射体12の必須の成分を含む反射層12aが部材12bの光反射面側に設けられた反射体12を用いることもできる。図1に示す反射体と、図2に示す反射体とを比べると、図1に示す形態の反射体12は、反射体12の全体が上記で説明した反射体12の必須の成分を含む材料から構成されているのに対し、図2に示す形態の反射体12は、上記で説明した反射体12の必須の成分を含まない部材12bと、反射体12の必須の成分を含む反射層12aとが組み合わされた構成である点で、両者は相違する。図2に示す形態では、部材12bの光反射面側にのみ反射層12aが形成された反射体12となっているが、部材12bの全面に反射層12aが形成されていてもよい。反射層12aの厚さは、熱抵抗を低くする等の観点から、500μm以下にすることが好ましく、300μm以下にすることがより好ましい。
図1に示す形態では、反射体12上にはレンズ18が設けられている。レンズ18は従来公知のものを適宜選択して用いることができる。なお、レンズ18は、通常、樹脂から構成され、着色されていてもよい。
基板14と反射体12とレンズ18とで形成される空間部20は、透明なシリコーン樹脂等が充填された透明封止部であってもよく、空隙部であってもよい。なお、この空間部20は、通常、透光性及び絶縁性を与える材料等が充填された透明封止部であり、ワイヤーボンディング実装において、リード線16に直接接触することにより加わる力、及び、間接的に加わる振動、衝撃等により、光半導体素子10との接続部、及び/又は、電極との接続部からリード線16が外れたり、切断したり、短絡したりすることによって生じる電気的な不具合を防止することができる。また、同時に、湿気、塵埃等から光半導体素子10を保護し、長期間に渡って信頼性を維持することができる。
この透光性及び絶縁性を与える材料(透明封止剤組成物)としては、通常、シリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。これらのうち、耐熱性、耐候性、低収縮性及び耐変色性の観点から、シリコーン樹脂が好ましい。
こうして構成された半導体発光装置1は、図1及び図2に示すように、光半導体素子(LED素子)10と、この光半導体素子10の周りに設けられ、光半導体素子10からの光を所定方向に反射させる反射体(リフレクター)12とを基板14上に有している。そして、反射体12の光反射面の少なくとも一部(図1の場合は全部)が上記した反射体形成用組成物の硬化物(反射体12)で構成されている。反射体形成用組成物の硬化物である反射体12は、電離放射線硬化性樹脂硬化物を少なくとも含み、好ましくは白色材料と無機材料とをさらに含んでいる。
(成形)
図1に例示した半導体発光装置1aにおいては、例えば、所定形状のキャビティ空間を備える金型を用いたトランスファー成形、圧縮成形、射出成形等により、上記本発明の反射体形成用組成物から所定形状の反射体12を成形する。その後、別途、準備した光半導体素子10、電極及びリード線16を、接着剤又は接合部材により基板14に固定し、さらに反射体12に基板14上に固定する。次いで、基板14及び反射体12により形成された凹部に、シリコーン樹脂等を含む透明封止剤組成物を注入し、加熱、乾燥等により硬化させて透明封止部にする。その後、透明封止部上にレンズ18を配設することで、図1に示す半導体発光装置1aが得られる。なお、透明封止剤組成物が未硬化の状態でレンズ18を載置してから、透明封止剤組成物を硬化させてもよい。
射出成形法では、反射体形成用組成物をシリンダーに投入し、その組成物に含まれるオレフィン樹脂(ポリメチルペンテン等)を溶融させる。次いで、スクリューを回転させて、金型に嵌められた基板14上に所定の射出圧で反射体形成用組成物を射出する。そして、保圧又は背圧をかけて保持した後に、金型から取出すことで反射体12を得ることができる。このときの各種条件についても特に限定はないが、シリンダー温度:200℃〜400℃、金型温度:20℃〜150℃、射出成形圧:10MPa〜200MPaの条件下で射出成形することが好ましい。この条件下で射出成形することにより、成形性の特に高い反射体12を形成することができる。射出成形装置としては、例えば、株式会社ソディックプラステック製の射出成形装置(LA40、最大型締力:392kN)等を用いることができる。
電離放射線の加速電圧については、用いる電離放射線硬化性樹脂や層の厚さに応じて適宜選定することができる。例えば、厚さが1mm程度の成形物の場合は、通常、加速電圧250kV〜3000kV程度で未硬化の成形体を硬化させることが好ましい。なお、電離放射線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、電離放射線で劣化する基板14を使用する場合には、電離放射線の透過深さと反射体12の厚さとが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基板14への余分の電離放射線の照射を抑制することができ、過剰電離放射線による基板14の劣化を最小限にとどめることができる。また、電離放射線を照射する際の吸収線量は、反射体形成用組成物の組成により適宜設定されるが、反射体12の架橋密度が飽和する量が好ましく、照射線量は50kGy〜600kGyであることが好ましい。
電離放射線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電離放射線加速器を用いることができる。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。
[半導体発光装置用部品の製造方法]
本発明に係る半導体発光装置用部品は、上記同様、電離放射線硬化性樹脂と白色材料と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤とが少なくとも含まれている反射体形成用組成物を射出成形する工程と、その射出成形する工程前及び工程後の一方又は両方で電離放射線を照射する工程とを有している。この方法で製造された半導体発光装置用部品は、基板14と、光半導体素子10が発光する光を反射させる反射体12とを有し、その反射体12が電離放射線硬化性樹脂と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤との硬化物と、白色材料とを少なくとも含んでいる。
基板14、反射体12、反射体形成用組成物は、上記本発明の半導体発光装置1の製造方法で説明したものをそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。本発明の半導体発光装置用部品の製造方法によれば、この部品を用いて、紫外光等の光に対する反射性に優れ、耐熱性と成形性に優れた半導体発光装置用部品を提供できる。
[反射体の製造方法及び反射体形成用組成物]
本発明に係る反射体12の製造方法及び反射体形成用組成物は、上記した半導体発光装置の製造方法の欄で説明した反射体の製造方法及び反射体形成用組成物と同様であるので、ここではその説明を省略する。
こうした反射体12の製造方法及び反射体形成用組成物は、基板上に塗布し硬化させた複合材料や反射体形成用組成物の硬化物として種々の用途に適用することができる。例えば、耐熱性絶縁膜、耐熱性離型シート、耐熱性透明基板、太陽電池の光反射シートやLEDを始めとした照明やテレビ用の光源の反射体(リフレクター)等として適用することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。なお、文中の「部」は「質量部」である。実施例1〜3及び比較例1で使用した材料は以下のとおりである。
[各種材料]
・電子線硬化性樹脂;ポリメチルペンテン樹脂(TPX RT−18、三井化学株式会社製)
・白色材料;酸化チタン粒子(PF−691、ルチル型構造、平均粒径0.21μm、石原産業株式会社製)
・無機材料;ガラス繊維(PF70E−001、繊維長70μm、日東紡株式会社製)
・添加剤a;酸化防止剤(IRGANOX1010、BASF・ジャパン株式会社製)
・添加剤b;酸化防止剤(PEP−36、ADEKA株式会社製)
・添加剤c;離型剤(SZ−2000、堺化学工業株式会社製)
・架橋処理剤a;ダイソーダップ100モノマー(ジアリルイソフタレートモノマー、融点:−3℃、2%重量減少温度:169℃、ダイソー株式会社製)
・架橋処理剤b;DA−MGIC(ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、融点:40℃、2%重量減少温度:178℃、四国化成工業株式会社製)
・架橋処理剤c;MeDAIC(メチルジアリルイソシヌレート、融点:30℃、2%重量減少温度:148℃、四国化成工業株式会社製)
[実施例1〜3及び比較例1]
下記表1に示すように、各種材料を配合し、スクリュー温度250〜270℃で混練し、反射体形成用組成物を得た。得られた反射体形成用組成物を押出機(日本プラコン株式会社、MAX30:ダイス径3.0mm)とペレタイザー(株式会社東洋精機製作所、MPETC1)とを用いてペレット化した。
ペレット化した反射体形成用組成物を、射出成形機(ソディックTR55EH、プリプラ式、株式会社ソディック)を用いて、銀メッキフレーム(厚さ250μm)上に厚さ700μm、外形寸法35mm×35mm、開口部2.9mm×2.9mmとなるよう成形して反射体を得た。射出成形機条件は、シリンダー温度:260℃、金型温度:70℃、射出速度:200mm/秒、保圧力:100MPa、保圧時間:1秒、冷却時間:15秒とした。これらの成形体に、加速電圧800kVで400kGyの吸収線量にて電子線を照射した。これらの下記諸特性を評価した。結果を表1に示した。
[評価]
(2%重量減少温度)
反射体形成用組成物の2%重量減少温度を、TG−DTA(型名:TG8120、Rigaku製)で測定した。測定は、JIS K7120に準拠し、室温℃から750℃まで昇温させ、全体の重量の2%重量減少したときの温度とした。
(反射率、耐久性)
成形後の反射体試料を加熱処理しない初期段階で反射率を測定して「反射率」として表1に示した。また、成形後の反射体試料を200℃で20時間加熱した後に測定して「耐久性」として表1に示した。反射率の測定は、波長230〜780nmにおける光反射率を分光光度計(UV−2550、株式会社島津製作所製)を使用して行った。表1には、波長450nmでの反射率(%)の結果を示した。
(成形性)
成形性は、射出成形した前後でのプランジャーの位置の安定性によって評価した。具体的には、射出成形機(ソディックTR55EH)のプランジャー位置の計量完了位置からの移動が5%以下の場合には「○」とし、5%を超える場合は「×」とした。
[貯蔵弾性率(E’)の測定]
得られた試料の貯蔵弾性率(E’)を測定した。試料を製品名:RSA−III,ティー・エイ・インスツルメント社製にセットし、JIS K 7244−1に準拠した動的粘弾性測定法(引張りモード、周波数:1Hz、測定温度範囲:25〜400℃、昇温速度5℃/分、Strain:0.1%)により、貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を表1示す。
Figure 0006155928
表1の結果からも明らかなとおり、本発明の要件を全て充足する反射体形成用組成物を用いて形成された実施例1〜3の反射体は、成形性が良く、さらに270℃での貯蔵弾性率は1.0×105以上あり、耐熱性も優れている。
1,1a,1b 半導体発光装置
10 光半導体素子
12 反射体
12a 反射層
12b 部材
14 基板
16 リード線
18 レンズ
20 空間部

Claims (4)

  1. 基板と、光半導体素子と、前記光半導体素子が発光する光を反射させる反射体とを有する半導体発光装置の製造方法であって、電離放射線硬化性樹脂と白色材料と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤とが少なくとも含まれている反射体形成用組成物を射出成形する工程と、前記射出成形する工程前及び工程後の一方又は両方で電離放射線を照射する工程とを有し、前記電離放射線硬化性樹脂がポリメチルペンテンであり、前記架橋処理剤がジアリルイソフタレート又はジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸である、ことを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
  2. 基板と、光半導体素子が発光する光を反射させる反射体とを有する半導体発光装置用部品の製造方法であって、電離放射線硬化性樹脂と白色材料と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤とが少なくとも含まれている反射体形成用組成物を射出成形する工程と、前記射出成形する工程前及び工程後の一方又は両方で電離放射線を照射する工程とを有し、前記電離放射線硬化性樹脂がポリメチルペンテンであり、前記架橋処理剤がジアリルイソフタレート又はジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸である、ことを特徴とする半導体発光装置用部品の製造方法。
  3. 電離放射線硬化性樹脂と白色材料と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤とが少なくとも含まれている反射体形成用組成物を射出成形する工程と、前記射出成形する工程前及び工程後の一方又は両方で電離放射線を照射する工程とを有し、前記電離放射線硬化性樹脂がポリメチルペンテンであり、前記架橋処理剤がジアリルイソフタレート又はジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸である、ことを特徴とする反射体製造方法。
  4. 電離放射線硬化性樹脂と白色材料と2%重量減少温度が169℃以上の架橋処理剤とが少なくとも含まれており、前記電離放射線硬化性樹脂がポリメチルペンテンであり、前記架橋処理剤がジアリルイソフタレート又はジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸である、ことを特徴とする反射体形成用組成物。

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