JP4283658B2 - 架橋ポリエーテルケトン樹脂 - Google Patents

架橋ポリエーテルケトン樹脂 Download PDF

Info

Publication number
JP4283658B2
JP4283658B2 JP2003424001A JP2003424001A JP4283658B2 JP 4283658 B2 JP4283658 B2 JP 4283658B2 JP 2003424001 A JP2003424001 A JP 2003424001A JP 2003424001 A JP2003424001 A JP 2003424001A JP 4283658 B2 JP4283658 B2 JP 4283658B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
represented
formula
carbon atoms
hydrocarbon group
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003424001A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005179542A (ja
Inventor
邦幸 高松
謙一 後藤
正司 玉井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2003424001A priority Critical patent/JP4283658B2/ja
Publication of JP2005179542A publication Critical patent/JP2005179542A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4283658B2 publication Critical patent/JP4283658B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyethers (AREA)

Description

本発明は、低誘電率・低誘電正接、耐熱性に優れた特性を発現する架橋ポリエーテルケトン樹脂に関する。
近年、情報・通信機器分野では、伝送情報の高容量化、高スピード処理のための高周波化が進んでいる。これまでGHzを超えるような高周波信号は、レーダーや衛星通信など限られた用途で用いられてきたが、最近では携帯電話や無線LANなどきわめて身近に用いられるようになってきた。また、コンピュータや通信機器の高速化・高機能化にともない、これらの機器間の情報伝送に用いられる信号も飛躍的に高周波化している。従来、プリント配線基板に用いられる基板材料としては、主にエポキシ樹脂やフェノール樹脂が用いられてきた。しかしこれらの樹脂は、高周波領域における誘電特性が悪く、伝送ロスが大きいなどの理由で高周波プリント配線基板に用いることができない。
また、セラミック・アルミナなどの無機系基板材料は一般に誘電正接が低いが、取扱い性、入手性、コストなどの観点から、有機系材料への置き換えが進みつつある。このような現状から、GHz領域で使用可能な電気特性(高周波伝送特性、低誘電特性)に優れる基板材料の開発が強く要望され、ポリフェニレンエーテル樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂などが開発・実用化されてきた。(非特許文献1及び特許文献1等参照)。しかし、信号の高周波化は数GHzを超えてさらに数十GHzへと進み、これらの新規材料ですら対応できない領域に達しようとしている。こうした状況の中、より高周波での利用が可能な基板材料として、低誘電率・低誘電正接で耐熱性に優れた樹脂材料の開発が待ち望まれているのである。
高周波用高分子材料、株式会社シーエムシー、1999年発行 特公昭52−31279号公報
本発明が解決しようとする課題は、低誘電率、低誘電正接、耐熱性を併せ持つ樹脂を提供することである。より詳細には、高周波信号の伝送に対応する配線基板用絶縁膜材料となり得る、低誘電率、低誘電正接、耐熱性を併せ持つ樹脂を提供することである。
本研究者らは前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、ある特定の構造、具体的にはトリアジン環を含む3価の架橋基構造をポリエーテルケトン構造に導入することで、ポリエーテルケトン樹脂の持つ耐熱性を保持したまま、樹脂の低誘電率・低誘電正接化が可能となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[3]に記載した事項より特定される。
[1] 下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有するポリエーテルケトン主鎖に、下記一般式(2)で表されるトリアジン環を有する3価の基を導入して結合させたことを特徴とする架橋ポリエーテルケトン樹脂。
Figure 0004283658
(式中、Aは炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−SO−、−SO−、−S−、−O−、または−CO−を示す。mは0または1の整数、nは1〜3の整数を示す。R1〜R16は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子のいずれかを示す。但し、R1〜R8の少なくとも1つは、水素原子以外の基である。)
Figure 0004283658
(式中、R17〜R19は、各々独立して炭素数1〜8の炭化水素基または下記式(3)のいずれかで表される2価の基を表す。)
Figure 0004283658
[2] 架橋ポリエーテルケトン樹脂が、下記一般式(4)
Figure 0004283658
(式中、R1〜R8は各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子を示し、R1〜R8の少なくとも1つは、水素原子以外の基である。mは0または1の整数を示す。Aは炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−SO−、−SO−、−S−、−O−、または−CO−を示す。)
で表されるビスフェノール類および/またはそのアルカリ金属塩と、下記一般式(5)
Figure 0004283658
(式中、R9〜R16は各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子を示す。nは1〜3の整数を示す。XおよびXはハロゲン原子を表し、お互いに同一または異なっていてもよい)
で表されるジハライド化合物、および下記一般式(6)
Figure 0004283658
(式中、R17〜R19は各々独立して、炭素数1〜8の炭化水素基、または下記式(7)のいずれかで表される2価の基を表す。X 〜X はハロゲン原子を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)
Figure 0004283658
で表されるトリアジン環を有する3価のハライド化合物を単量体として反応させて得られるものである上記[1]記載の架橋ポリエーテルケトン樹脂。
[3] 架橋ポリエーテルケトン樹脂が、下記一般式(4)
Figure 0004283658
(式中、R1〜R8は各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子を示し、R1〜R8の少なくとも1つは、水素原子以外の基である。mは0または1の整数を示す。Aは炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−SO −、−SO−、−S−、−O−、または−CO−を示す。)
で表されるビスフェノール類および/またはそのアルカリ金属塩と、
ビス(4−ブロモフェニル)ケトン、ビス(4−クロロフェニル)ケトン、ビス(4−フルオロフェニル)ケトン、またはジフルオロベンゾフェノンと、
2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジン、または2,4,6−トリス(p−ブロモフェニル)−s−トリアジンと、
を単量体として反応させて得られるものである上記[1]または[2]に記載の架橋ポリエーテルケトン樹脂。
本発明により、低誘電率・低誘電正接および高耐熱性という特徴を併せ持ち、各種配線基板用絶縁膜用途に極めて有用な、新規架橋ポリエーテルケトン樹脂の提供が可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂は、前記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有するポリエーテルケトン主鎖に前記一般式(2)で表されるトリアジン環を有する3価の基を導入して結合させたことを特徴とする架橋ポリエーテルケトン樹脂である。
本発明の一般式(1)において、Aは炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−SO−、−SO−、−S−、−O−、または−CO−であれば特に限定されない。炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、特にメチレン基およびプロピレン基が好ましい。
本発明の一般式(1)において、R1〜R16は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子のいずれかを示し、R1〜R8の少なくとも1つは、水素原子以外の基であれば特に限定されない。本発明の一般式(1)において、R1〜R16のより好ましい態様としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、炭素数4〜8の炭化水素基等が挙げられる。本発明の一般式(1)において、mは0または1の整数、nは1〜3の整数であれば特に限定されない。
本発明の一般式(2)において、R17〜R19は炭素数1〜8の炭化水素基または式(3)で表される2価の基のいずれかであれば特に限定されない。炭素数1〜8の炭化水素基としては、例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂は、上記一般式(1)で表される構造の繰返し構造単位成分以外に、各種ジオール化合物およびジハライド化合物を、各種物性、例えば耐熱性、吸湿性、熱膨張係数、誘電率、屈折率または複屈折率等を制御することを目的に、必要に応じて共重合させても良いが、一般式(1)で表わされる構造の架橋ポリエーテルケトン樹脂が全樹脂中に対し5〜100質量%、より好ましくは10〜100質量%含むのが好ましい態様である。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂は、いかなる方法で製造されたものであっても構わないが、好ましい製造方法の一例として、ビスフェノール化合物またはそのアルカリ金属塩、ジハライド化合物とトリアジン環を有する3価のハライド化合物とを反応させる方法が挙げられるがこれに限られるものではない。これについて、より詳しく述べると、前記一般式(4)で表されるビスフェノール類および/またはそのアルカリ金属塩と、前記一般式(5)で表されるジハライド化合物、および前記一般式(6)で表されるトリアジン環を有する3価のハライド化合物とを、反応容器中に一括装入し、有機溶媒中で攪拌しながら約100℃から300℃程度まで加熱して反応させることで製造する方法が挙げられる。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、用いることのできる一般式(4)で表されるビスフェノール類としては例えば、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ケトン、4,4’−ジヒドロキシ −3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、1,1−ビス(4’−ヒドロキシ −3’,5’−ジメチルフェニル)シクロヘキサン等を挙げることができる。これらは単独で用いても構わないし、2種以上を用いても構わない。この中でもビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパンを用いる場合が特に好ましい。
また本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、上記ビスフェノール類はアルカリ金属塩を形成して反応するので、これらビスフェノール類のアルカリ金属塩を代わりに用いることができる。塩を形成するアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられるが、これに限るものではない。尚、ビスフェノール類はその水酸基のすべてがアルカリ金属塩であっても一部がアルカリ金属塩であっても構わない。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、用いることのできる一般式(5)で表されるジハライド化合物としては、例えば、ビス(4−ブロモフェニル)ケトン、ビス(4−クロロフェニル)ケトン、またはビス(4−フルオロフェニル)ケトン等を挙げることができる。これらは単独で用いても構わないし、2種以上を用いても構わない。この中でも特にビス(4−フルオロフェニル)ケトンを用いる場合が好ましい。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、用いることのできる一般式(6)で表されるトリアジン環を有する3価のハライド化合物としては、例えば、2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(p−ブロモフェニル)−s−トリアジン等を挙げることができる。これらは単独で用いても構わないし、2種以上を用いても構わない。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、用いることのできる一般式(6)で表されるトリアジン環を有する3価のハライド化合物の合成方法には特に制限はないが、例えば、氷冷浴して0℃に保ったクロロスルホン酸にp−ハロベンゾニトリルを少量ずつ温度の上昇に気をつけながら加え、その後室温にて1〜120時間程度、好ましくは24〜120時間程度、加えて反応させることにより得ることができる。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、トリアジン環を有する3価のハライド化合物とジハライド化合物との共重合比は、特に制限はないが、必要に応じてトリアジン環を含む3価のハライド化合物の共重合比を調節してもよい。該共重合比を調節する場合、ジハライド化合物とトリアジン環を有する3価のハライド化合物の総モル数に対するトリアジン環を有する3価のハライド化合物のモル分率として0.1〜20モル%が好ましく、1〜10モル%がより好ましい。この範囲内であれば、低誘電率・低誘電正接化への効果が高く、製膜した樹脂が安定していて好ましい。
原料として用いられる、各種化合物の使用量比は、製造する樹脂の共重合比および分子量に応じ設定することが出来る。使用量を、ビスフェノール類および/またはそのアルカリ金属塩:Mmol、ベンゾフェノン系ジハライド化合物:Mmol、トリアジン環を含む3価のハライド化合物:Mmolとすれば、ビスフェノール類および/またはそのアルカリ金属塩と全ハライド化合物の使用量比、M/(M+M)は、0.70〜1.20の範囲が好ましく、0.75〜1.15の範囲がより好ましい。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、必要に応じて末端封止剤を用いることもできる。末端封止剤として使用する化合物は特に限定されないが、代表的なものはフェノール系化合物又はそのアルカリ金属塩、およびハライド化合物である。フェノール系化合物の例としては、フェノール、4−tert−ブチルフェノール及びそのアルカリ金属塩等が挙げられる。ハライド化合物の例としてはメチルクロライド、エチルクロライド、4−クロロベンゾフェノン、4−クロロニトロベンゼン等が挙げられる。末端封止剤のフェノール系化合物又はそのアルカリ金属塩、ハライド化合物は、そのいずれか1種を用いることが一般的であるが、目的に応じ2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
末端封止剤の使用量は、多すぎると分子量が低下し、樹脂の製膜性において好ましくない場合がある。一般的には全原料化合物中10mol%以下の範囲が好ましく、5mol%以下の範囲であればより好ましい。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂の製造は、溶媒を用いずとも実施可能であるが、有機溶媒中で反応を行なうことが特に好ましい方法である。この反応において用いられる溶媒は限定されるわけではないが、例えば、
(a) フェノール系溶媒である、
フェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、
(b) 非プロトン性アミド系溶媒である、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド、
(c) エーテル系溶媒である、
1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、
(d) アミン系溶媒である、
ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、
(e) その他の溶媒である、
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール、水、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロロトルエン、m−クロロトルエン、p−クロロトルエン、o−ブロモトルエン、m−ブロモトルエン、p−ブロモトルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、フルオロベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル等が挙げられる。この中でもジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンを用いることが好ましい。これらの溶媒は、単独で用いても又は2種以上混合して用いても差し支えない。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、上記溶媒の他に、反応系内の水を除く目的で、共沸溶媒を必要に応じ用いることが出来る。共沸溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられる。共沸溶媒を使用した脱水においては、水を共沸溶媒とともに留出させ、留出液は冷却器を用いて冷却され水と共沸溶媒は2層に分離することが好ましい。分離した共沸溶媒は再度反応系に還流させることができる。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、ビスフェノール類のアルカリ金属塩を形成するために塩基を共存させて行なうこともできる。具体的には、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等で代表されるアルカリ金属化合物等が挙げられる。これらの塩基は、単独又は2種以上混合して用いても差し支えない。塩基の使用量は、1価の場合で、ビスフェノール類に対して好ましくは200〜300mol%、2価の場合で好ましくは100〜150mol%である。
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂を製造するにあたり、重合温度や重合時間は、使用する溶媒の有無又は種類によって異なるが、一般には100℃から300℃程度、1時間から120時間程度で充分である。重合反応を終了させる際には、反応物を冷却すれば通常充分であるが、必要に応じて上記末端封止剤を加え反応させても構わない。また冷却前後に適宜不活性溶媒を加えて希釈しても構わない。重合反応終了後の樹脂の分離・精製は、公知の方法を用いることが出来る。無機塩の除去は、樹脂が可溶でかつ無機塩が不溶の溶媒を反応混合物中に加え、無機塩を濾別できる。
樹脂の分離には、得られた樹脂の溶液を強撹拌した貧溶媒中に注ぎ、樹脂を析出させる方法が一般的である。貧溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、水等が挙げられる。これらは単独で用いても構わないし、2種以上を用いても構わない。析出した樹脂は、常圧または減圧下で加熱乾燥して構わない。乾燥条件は、用いた貧溶媒の種類によるが、一般に室温〜400℃程度、1分〜100時間程度の範囲で実施される。常圧下で乾燥する際には、窒素やアルゴン等の不活性ガス通気中で行うのがより好ましい。
本発明のポリエーテルケトン樹脂の分子量は、特に限定されないが、分子量が低すぎるとプリント配線基板用材料に用いるシートとして使用する場合、製膜性において好ましくない場合があり、また分子量が高すぎると樹脂の加工上で好ましくない場合がある。好ましい分子量としては、35℃、N−メチル−2−ピロリドン中において測定した対数粘度ηinhが0.1〜1.5の範囲であり、0.2〜1.3の範囲であればより好ましく、更に好ましくは0.3〜1.2の範囲である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。実施例中の各評価方法を以下に示す。
誘電率および誘電正接:空洞共振器法により、12GHzにおける誘電率および誘電正接を測定した。
ガラス転移温度(Tg):DSC(示差走査型熱量計、島津製作所製・DSC−60)により、25℃から400℃まで昇温速度10℃/分で測定した。
5%重量減少温度(Td5%):TGA(熱重量測定装置、島津製作所製・TGA−50)により空気中で25℃から800℃まで昇温速度10℃/分にて測定した。
対数粘度(ηinh):ポリエーテルケトン樹脂0.50gをN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することがある)100mlに溶解した後、35℃においてウベローデ型粘度計により測定した。なお、コントロールユニットとして、ラウダ製PVS1を使用した。
元素分析:CHN元素分析装置(PE2400−II型)にて定量した。
IRスペクトル:測定するポリマーをKBr錠剤法にて試料化し、フーリエ変換型赤外分光光度計(デジラボジャパン製FTS6000)を用いて、分解能4cm−1、積算回数128回でスペクトル測定をおこなった。
合成例1
2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジンの合成
撹拌機、窒素導入管、温度計を備えた100mlの3口反応容器に、クロロスルホン酸80mlを装入し、窒素雰囲気下、氷水浴して液温を0℃に保った。溶媒を攪拌しながら、p−クロロベンゾニトリル55.02g(0.4mol)を溶液温度の上昇に注意しながら分割して加え、氷水浴のまま全量投入後、1時間攪拌し、さらに氷水浴を除去したのち室温で24時間攪拌した。反応の進行は高速液体クロマトグラフィー装置(HPLC)で観測し、原料のピークが1%以下になったことを確認した。得られた黄色不透明懸濁液を少量ずつ氷水に滴下して反応物を析出させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和処理を行った後に沈殿物をろ別した。この沈殿物をイオン交換水およびメタノールで洗浄ろ別後乾燥し、目的物である2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジン45.8g(83%)を得た。
実施例1
撹拌機、窒素導入管、温度計を備えた100mlの3口反応容器に、テトラメチルビスフェノールA 7.68g(0.027mol)、ジフルオロベンゾフェノン 5.89g(0.027mol)および2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジン 1.23g(0.003mol)、炭酸カリウム 4.10g(0.0033mol)を仕込み、DMSO 60mlおよびトルエン 35mlを加え、窒素雰囲気下30分攪拌した。これを加熱し、160℃で6時間反応させた。反応中に生成し、トルエンと共沸する水は、適宜抜き取りつつ反応を続けた。冷却後、強撹拌したアセトン/イオン交換水1:1混合溶媒中に反応溶液を注ぎ込み、ポリマー粉を析出させ濾過後、さらにイオン交換水で2回、メタノールで1回洗浄した。以上の方法により、白色のポリマー粉を得た(ηinh:0.420dl/g)。このポリマーの元素分析を行なった結果、炭素:81.1%、水素:5.7%、窒素0.6%であった。またIRスペクトルにおいて、トリアジン化合物に特徴的なピークである1521cm−1および1370cm−1が観測された。これらによりポリマー中にトリアジン化合物が取り込まれていることを確認した。
ガラス転移温度:205℃
5%重量減少温度:448℃
得られたポリマー粉3gを圧縮プレスにてタブレット化後、熱プレス機を用いて300℃15MPaで約7分間加熱圧縮した。得られたおよそ0.5mmのプレスシートを用いて誘電率および誘電正接を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
仕込み量をテトラメチルビスフェノールA 6.40g(0.0225mol)、ジフルオロベンゾフェノン 4.91g(0.0225mol)および2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジン 1.86g(0.0045mol)、炭酸カリウム 3.42g(0.0248mol)とすること以外は、実施例1と同様の方法にて反応をおこない、白色のポリマー粉を得た(ηinh:0.331dl/g)。このポリマーの元素分析を行なった結果、炭素:80.6%、水素:5.7%、窒素1.0%であった。またIRスペクトルにおいて、トリアジン化合物に特徴的なピークである1521cm−1および1370cm−1が観測された。これらによりポリマー中にトリアジン化合物が取り込まれていることを確認した。
ガラス転移温度:190℃
5%重量減少温度:446℃
実施例1と同様にプレスシートを作成し、誘電率および誘電正接を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジンを用いないこと以外は実施例1と同様の方法にて、架橋構造を持たない式(8)で表される繰り返し単位を有する直鎖状ポリエーテルケトン樹脂を得た。(ηinh:0.40dl/g)。
ガラス転移温度:212℃
5%重量減少温度:439℃
実施例1と同様にプレスシートを作成し、誘電率および誘電正接を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004283658
Figure 0004283658
本発明の架橋ポリエーテルケトン樹脂は、各種配線基板用絶縁膜用途に有用で、特に高周波信号伝送に対応する配線基板用絶縁膜として極めて有用である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有するポリエーテルケトン主鎖に、下記一般式(2)で表されるトリアジン環を有する3価の基を導入して結合させたことを特徴とする架橋ポリエーテルケトン樹脂。
    Figure 0004283658
    (式中、Aは炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−SO−、−SO−、−S−、−O−、または−CO−を示す。mは0または1の整数、nは1〜3の整数を示す。R1〜R16は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子のいずれかを示す。但し、R1〜R8の少なくとも1つは、水素原子以外の基である。)
    Figure 0004283658
    (式中、R17〜R19は、各々独立して炭素数1〜8の炭化水素基または下記式(3)のいずれかで表される2価の基を表す。)
    Figure 0004283658
  2. 架橋ポリエーテルケトン樹脂が、下記一般式(4)
    Figure 0004283658
    (式中、R1〜R8は各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子を示し、R1〜R8の少なくとも1つは、水素原子以外の基である。mは0または1の整数を示す。Aは炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−SO−、−SO−、−S−、−O−、または−CO−を示す。)
    で表されるビスフェノール類および/またはそのアルカリ金属塩と、下記一般式(5)
    Figure 0004283658
    (式中、R9〜R16は各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子を示す。nは1〜3の整数を示す。XおよびXはハロゲン原子を表し、お互いに同一または異なっていてもよい)
    で表されるジハライド化合物、および下記一般式(6)
    Figure 0004283658
    (式中、R17〜R19は、炭素数1〜8の炭化水素基、または下記式(7)のいずれかで表される2価の基を表す。X〜Xはハロゲン原子を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)
    Figure 0004283658
    で表されるトリアジン環を有する3価のハライド化合物を単量体として反応させて得られるものである請求項1記載の架橋ポリエーテルケトン樹脂。
  3. 架橋ポリエーテルケトン樹脂が、下記一般式(4)
    Figure 0004283658
    (式中、R1〜R8は各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、ハロゲン原子を示し、R1〜R8の少なくとも1つは、水素原子以外の基である。mは0または1の整数を示す。Aは炭素数1〜10の2価の炭化水素基、−SO −、−SO−、−S−、−O−、または−CO−を示す。)
    で表されるビスフェノール類および/またはそのアルカリ金属塩と、
    ビス(4−ブロモフェニル)ケトン、ビス(4−クロロフェニル)ケトン、ビス(4−フルオロフェニル)ケトン、またはジフルオロベンゾフェノンと、
    2,4,6−トリス(p−クロロフェニル)−s−トリアジン、または2,4,6−トリス(p−ブロモフェニル)−s−トリアジンと、
    を単量体として反応させて得られるものである請求項1または2に記載の架橋ポリエーテルケトン樹脂。
JP2003424001A 2003-12-22 2003-12-22 架橋ポリエーテルケトン樹脂 Expired - Fee Related JP4283658B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003424001A JP4283658B2 (ja) 2003-12-22 2003-12-22 架橋ポリエーテルケトン樹脂

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003424001A JP4283658B2 (ja) 2003-12-22 2003-12-22 架橋ポリエーテルケトン樹脂

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005179542A JP2005179542A (ja) 2005-07-07
JP4283658B2 true JP4283658B2 (ja) 2009-06-24

Family

ID=34784305

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003424001A Expired - Fee Related JP4283658B2 (ja) 2003-12-22 2003-12-22 架橋ポリエーテルケトン樹脂

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4283658B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100634551B1 (ko) 2005-10-12 2006-10-16 삼성에스디아이 주식회사 이온전도성 가교 공중합체 및 이를 포함하는 연료전지
JPWO2022211025A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005179542A (ja) 2005-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Liu et al. Soluble aromatic poly (ether ketone) s with a pendant 3, 5-ditrifluoromethylphenyl group
JP5552164B2 (ja) 透明性と高耐熱性とを有するポリアリーレンエーテル系重合体及びその製造方法
KR101875214B1 (ko) 폴리벤조옥사졸 수지 및 그 전구체
US7348395B2 (en) Synthesis of oligomeric cyanate esters
CN111108145B (zh) 聚苯并咪唑、其前体聚酰胺和它们的制造方法
Niu et al. Synthesis and characterization of poly (aryl ether ketone) with trifluoromethyl-substituted benzene in the side chain
Xie et al. Synthesis and characterization of poly (aryl ether ketone) s with fluorinated phenyl in the side chain
KR20020049084A (ko) 플로린을 함유한 광소자용 폴리아릴렌에테르설폰 또는 폴리아릴렌에테르설파이드 및 그 제조방법
JP4283658B2 (ja) 架橋ポリエーテルケトン樹脂
US20240092971A1 (en) Fluorine-containing polyether compound
Ma et al. Crosslinkable fluorinated poly (aryl ether ketone) s containing pendent phenylethynyl moieties for optical waveguide devices
RU2673547C1 (ru) Способ получения полиэфиркетонов
JP4323350B2 (ja) 樹脂組成物およびそれを用いた高周波回路用積層板
JP2005213393A (ja) ポリエーテルケトン樹脂及びその用途
US7732560B2 (en) Terphenyl dihydroxy monomers containing fluorine and fluorinated poly(arylene ether sulfide)s
JPH11147950A (ja) ポリキノリン
JP2004315795A (ja) ポリエーテル系樹脂
US5723573A (en) Thermosetting polyquinolines
KR100641866B1 (ko) 플루오린을 함유한 폴리(아릴렌 에테르 설파이드)
Kimura et al. Synthesis of novel fluorine-containing poly (aryl ether nitrile) s derived from 2, 3, 4, 5, 6-pentafluorobenzonitrile
Cai et al. Synthesis and characterization of poly (ether ketone ether ketone ketone)/poly (ether ether ketone ketone) copolymers containing naphthalene and pendant cyano groups
JP2006265175A (ja) ジアミノ芳香族化合物
JPH0713142B2 (ja) 熱可塑性芳香族ポリエ−テルピリジンおよびその製造方法
TW202306771A (zh) 低介電材料用之樹脂組成物、積層基板用膜、 積層基板、 低介電材料用之樹脂組成物之製造方法、積層基板用膜之製造方法以及積層基板之製造方法
JPS62151421A (ja) 熱可塑性芳香族ポリエ−テルケトン共重合体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060612

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080117

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20080403

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080909

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090317

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090319

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120327

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120327

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130327

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130327

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140327

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees