JP4320958B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置及びその画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置として、感光体を備えた複数の作像ユニットのそれぞれの感光体の上に色分解された画像情報に基づいて画像潜像を形成し、この画像潜像を対応する色のトナー(現像剤)で現像し、複数の作像ユニットのそれぞれの感光体上に形成されたトナー像を中間転写体の上に重畳して転写してカラートナー像を形成し、形成されたカラートナー像を記録媒体上に転写し定着処理をする、という画像形成工程を備えたタンデム型のカラー画像形成装置が開発されている。
【0003】
この種のタンデム型のカラー画像形成装置では、通常、感光体の周辺に帯電装置、露光装置、現像装置、中間転写体、一次転写装置、感光体上の残留トナーを清掃する感光体クリーニング装置、感光体上の残留電荷を除去するイレーサが配置されており、また中間転写体の周辺には二次転写装置、中間転写体の上の残留トナーを清掃する中間転写体クリーニング装置が配置されている。
【0004】
そして、通常の作像時においては、感光体と中間転写体とは一次転写装置付近で接触しているが、例えば、白黒画像を作像するときには、作像に関与するブラック作像ユニット以外の作像に関与しない作像ユニットの作動を停止させるため、また、作動開始時や作動停止時の感光体と中間転写体との接触部分の線速度の差による感光体上の擦り傷の発生を防ぐために、感光体から中間転写体を離隔させるのが一般的である。
【0005】
感光体クリーニング装置や中間転写体クリーニング装置の清掃能力の設定は、感光体や中間転写体に付着すると想定される最大量のトナーを清掃できるように設定されるのが普通である。即ち、感光体のクリーニングでは、紙詰まりなどが発生したときは、感光体上に画像を形成するために付着していたトナーの全てが廃棄されることになるから、この感光体上に付着していたトナーが全て感光体クリーニング装置に突入することを想定して清掃能力が設定されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、最近は画像品質の向上のため、従来よりも一層小径の粒子、また従来よりも一層球形に近い粒子のトナーが使用されるようになつてきたが、小径の粒子や球形に近い粒子のトナーは、その形状からクリーニング装置での清掃が難しいトナーである。即ち、現在広く使用されているクリーニング装置は、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを感光体や中間転写体に一定の力で当接させるブレードクリーニングが一般的であるが、小径の粒子や球形に近い粒子のトナーを清掃するには、従来よりもクリーニングブレードの当接力を高く設定する必要がある。
【0007】
また、感光体には、感光材料に有機感光材料を使用した有機感光体の使用が一般的であるが、有機感光体は使用回数の増加に伴い感光層(一般的な機能分離型感光体では、電荷輸送層)が削れ(摩耗)して、一定の膜厚以下になると感度が低下し、また帯電性能が低下して、所定の画像濃度が得られない、或いは画像かぶり(画像の背景が薄黒くなる)が発生し、使用寿命に達してしまう。そして、感光層の削れ(摩耗)は、クリーニングブレードの当接力を高くするほど増大する。このため、従来よりも小径の粒子、球形に近い粒子のトナーを使用するときは画像品質を向上させることはできるが、一方で、感光体の寿命を短縮してしまうという不都合が生じる。
【0008】
この発明は、クリーニングブレードの当接力を高めることなしに、小径の粒子、球形に近い粒子のトナーの使用を可能とし、長期にわたり感光体を使用することができる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決することを目的とするもので、請求項1の発明は、像担持体上にトナー像を形成する像形成手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を一時的に保持する中間転写体と、前記像担持体上のトナー像を前記中間転写体に転写する第1の転写手段と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する第2の転写手段と、前記像担持体上に残留したトナーを清掃する第1のクリーニング手段と、前記中間転写体上に残留したトナーを清掃する第2のクリーニング手段とを備えた画像形成装置において、画像形成装置の動作状態を検知する検知手段と、画像形成装置の動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記検知手段の検知結果が予め特定されている所定の異常状態を示すときは、前記像形成手段の像形成動作を停止させた後、前記像担持体上のトナー像が前記第1の転写手段の作用範囲を通過した後、前記第1の転写手段と前記像形成手段の動作を停止させることを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
請求項2の発明は、像担持体表面を帯電させる帯電手段を含む像担持体上にトナー像を形成する像形成手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を一時的に保持する中間転写体と、前記像担持体上のトナー像を前記中間転写体に転写する第1の転写手段と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する第2の転写手段と、前記像担持体上に残留したトナーを清掃する第1のクリーニング手段と、前記中間転写体上に残留したトナーを清掃する第2のクリーニング手段とを備えた画像形成装置において、画像形成装置の動作状態を検知する検知手段と、画像形成装置の動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記検知手段の検知結果が予め特定されている所定の異常状態を示すときは、前記像形成手段の動作を停止させた後に障害復旧により像形成手段の動作を再開する際、前記像担持体上のトナー像が前記第1の転写手段の作用範囲を通過する間、前記中間転写体を前記像担持体に接触させながら第1の転写手段を作用させることを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
そして、前記制御手段は、前記像担持体が前記中間転写体に接触した領域が前記像形成手段の内に配置された帯電手段の配置位置に到達するまで当該帯電手段を作動させないようにする。
【0012】
そして、前記第1及び第2のクリーニング手段はブレードクリーニング手段とすることができる。
【0013】
請求項5の発明は、像担持体上にトナー像を形成する像形成手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を一時的に保持する中間転写体と、前記像担持体上のトナー像を前記中間転写体に転写する第1の転写手段と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する第2の転写手段と、前記像担持体上に残留したトナーを清掃する第1のクリーニング手段と、前記中間転写体上に残留したトナーを清掃する第2のクリーニング手段とを備えた画像形成装置の画像形成方法において、画像形成装置の動作状態を検知する検知手段と、画像形成装置の動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記検知手段の検知結果が予め特定されている所定の異常状態を示すときは、前記像形成手段の像形成動作を停止させた後、前記像担持体上のトナー像が前記第1の転写手段の作用範囲を通過した後、前記第1の転写手段と前記像形成手段の動作を停止させることを特徴とする画像形成装置の画像形成方法である。
【0014】
請求項6の発明は、像担持体表面を帯電させる帯電手段を含む像担持体上にトナー像を形成する像形成手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を一時的に保持する中間転写体と、前記像担持体上のトナー像を前記中間転写体に転写する第1の転写手段と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する第2の転写手段と、前記像担持体上に残留したトナーを清掃する第1のクリーニング手段と、前記中間転写体上に残留したトナーを清掃する第2のクリーニング手段とを備えた画像形成装置の画像形成方法において、画像形成装置の動作状態を検知する検知手段と、画像形成装置の動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記検知手段の検知結果が予め特定されている所定の異常状態を示すときは、前記像形成手段の動作を停止させた後、障害復旧により像形成手段の動作を再開する際、前記像担持体上のトナー像が前記第1の転写手段の作用範囲を通過する間、前記中間転写体を前記像担持体に接触させながら第1の転写手段を作用させることを特徴とする画像形成装置の画像形成方法である。
【0015】
そして、前記第1及び第2のクリーニング手段はブレードクリーニング手段とすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1は、この発明の第1の実施の形態のタンデム型のカラー画像形成装置の構成の概略を説明する正面図である。図1において、カラー画像形成装置10は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色に対応した作像ユニット11C、11M、11Y、11Kの4つの作像ユニットが直列に配置されている。
【0018】
作像ユニット11C〜11Kは同一の構成を備えており、それぞれ感光体12C、12M、12Y、12K、感光体の周囲に配置されたメインチャージャ13C、13M、13Y、13K、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色に対応した現像剤(トナー)が装填された現像装置14C、14M、14Y、14K、感光体クリーニング装置15C、15M、15Y、15Kを備えている。
【0019】
この他、作像ユニット11C〜11Kには図示されていないレーザ発光装置が設けられており、図示されていない画像処理装置から出力される画像信号により変調されたレーザ光を感光体12C〜12Kの上に投射し画像潜像を形成するように構成されている。
【0020】
作像ユニット11C〜11Kの下側には、感光体12C、12M、12Y、12Kに接して中間転写体を構成する無端の転写ベルト16が配置されており、転写ベルト16は、図示しない駆動源により駆動されるプーリー17とプーリー18の間に、矢印a方向に移動可能に架設されている。
【0021】
さらに、感光体12C、12M、12Y、12Kに対向する位置には、転写ベルト16を挟んで一次転写装置19C、19M、19Y、19Kが配置されており、フルカラー画像形成の場合は転写ベルト16を感光体12C〜12Kに押圧している。これについては、後で詳細に説明する。
【0022】
また、プーリー18に対向する位置には、転写ベルト16を挟んで二次転写装置20が配置され、転写ベルト16と二次転写装置20との間に記録媒体Pが搬送されるように構成されている。さらに、プーリー17の下側には転写ベルト16を挟んで中間転写体クリーニング装置21が配置されている。
【0023】
次に、以上の構成の動作を説明する。画像形成動作の開始が指令されると、図示されていない画像処理装置から色分解された各色の画像信号が作像ユニット11C〜11Kに設けられた、図示されていないレーザ発光装置に順次出力され、画像信号により変調されたレーザ光が感光体12C〜12Kの上に投射されて、画像潜像が形成される。
【0024】
この時、まず、転写ベルト16の移動方向(矢印a方向)最上流側に配置された作像ユニット11Cが作動し、感光体12Cの上に形成された画像潜像は現像装置14Cで現像されてシアン(C)トナー像(現像剤の像)が形成される。感光体12C上のシアン(C)トナー像は一次転写装置19Cの作動位置に到達すると、一次転写装置19Cにより転写ベルト16の上に転写される。
【0025】
転写ベルト16の上に転写されたシアン(C)トナー像が一次転写装置19Mの作動位置に到達するタイミングに合わせて作像ユニット11Mが作動し、作像ユニット11Cと同様に、感光体12Mの上にマゼンタ(M)トナー像が形成される。形成されたマゼンタ(M)トナー像は一次転写装置19Mの作動位置において転写ベルト16の上のシアン(C)トナー像の上に重畳して転写される。
【0026】
以下、同様に、転写ベルト16の上に転写されたマゼンタ(M)トナー像が一次転写装置19Yの作動位置に到達するタイミングに合わせて作像ユニット11Yが作動し、感光体12Yの上にイエロー(Y)トナー像が形成され、一次転写装置19Yの作動位置において転写ベルト16の上のマゼンタ(M)トナー像の上に重畳して転写される。
【0027】
さらに、転写ベルト16の上に転写されたイエロー(Y)トナー像が一次転写装置19Kの作動位置に到達するタイミングに合わせて作像ユニット11Kが作動し、感光体12Kの上にブラック(K)トナー像が形成され、一次転写装置19Kの作動位置において転写ベルト16の上のイエロー(Y)トナー像の上に重畳して転写される。
【0028】
このようにして、転写ベルト16の上に、順次シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のトナー像が重畳して転写されて形成されたカラートナー像は、二次転写装置20により転写ベルト16と二次転写装置20との間に搬送される記録媒体Pに転写され、図示しない定着装置により定着処理されて排出される。
【0029】
トナー像が転写された後に感光体12C、12M、12Y、12Kの上に残留したトナーは、感光体クリーニング装置15C、15M、15Y、15Kにより清掃される。また、カラートナー像が転写された後に転写ベルト16の上に残留したトナーは、中間転写体クリーニング装置21により清掃される。
【0030】
中間転写体を構成する転写ベルト16は、ポリカーボネイト、PTEE、或いはポリイミドを主原料とし、これにカーボンを分散させた半導電性の材料で構成される。また、感光体12C〜12Kは、その感光層に有機半導体を使用した有機感光体が使用される。
【0031】
中間転写体を構成する転写ベルト16は、図示しない圧接・離隔機構で駆動される一次転写装置19C〜19Kにより感光体12C〜12Kに圧接されるが、例えば、白黒画像を形成する場合は、転写ベルト16を作像ユニット11Kの感光体12Kのみに圧接し、他の作像ユニット11C、11M、11Yの感光体からは離隔させるようにするとよい。これにより白黒画像の形成に関与しない作像ユニット11C、11M、11Yを非作動として感光体を含む作像ユニットの消耗を防ぐと共に、画像形成処理の時間を短縮することができる。
【0032】
このほか、装置が待機状態にあるときは、全ての作像ユニットの感光体から転写ベルトを離隔させておき、画像形成動作の開始されて感光体及び転写ベルトが所定の速度に到達したとき、感光体に転写ベルトを圧接するようにしてもよい。これにより、一次転写装置19C〜19Kのローラの圧縮歪みを防止し、また画像形成動作開始時の感光体と転写ベルトとの接触部の線速度の差による擦り傷の発生などを防止することができる。
【0033】
感光体クリーニング装置15C〜15K及び中間転写体クリーニング装置21は、ポリウレタンゴムをシート状にカットしたクリーニングブレードで構成され、クリーニングブレードを感光体或いは転写ベルトに当接させて表面の残留トナーを掻き取つて清掃するものである。清掃能力は、クリーニングブレードを感光体或いは転写ベルトに当接させる力に大きく依存し、当接力が大きい程清掃能力が高くなる。一方、当接力が大きい程、感光体の感光層を構成する有機感光体の削れ(摩耗)が大きくなり、感光体の寿命が短くなる。
【0034】
図2は、クリーニングブレードには硬度67°のポリウレタンゴムを使用し、粒径6ミクロンのトナーを使用した場合の、感光体上のトナー付着量と清掃可能なクリーニングブレードの最低当接力の関係を示す図である。
【0035】
図2に示すように、清掃可能な最低当接力は、感光体上のトナー付着量により変動し、トナー付着量が多くなるにつれ最低当接力も高くなる。例えば、トナー付着量が1g/m2 では5N/m(クリーニングブレードの長さ1m当たり5ニュートン)程度の当接力でよいが、トナー付着量が2g/m2 を越えると15N/m程度の当接力が必要になる。
【0036】
クリーニング装置の設計に際しては、通常の動作においては現像装置で現像に使用されたトナーの20〜10%(転写効率80〜90%)を清掃できることを目標に当接力を設定すれば十分であるが、紙詰まり等の障害が発生した場合に感光体上の画像形成に使用された全てのトナーを清掃する必要があるため、より高い当接力を設定していた。しかし、高い当接力は、前記したとおり感光体の寿命を短くする結果となる。
【0037】
この対策として、この実施の形態では、紙詰まり等の障害が発生した場合でも、クリーニング装置で処理するトナー量を少なくして、高い当接力を設定しなくても済む制御手段を採用した。以下、これについて説明する。
【0038】
この手法は、紙詰まりの発生、その他の画像形成装置に異常や障害が発生したときに直ちに作像ユニットの現像装置の作動を停止し、感光体上に画像を形成していたトナーを転写ベルト(中間転写体)に転写して、感光体クリーニング装置で処理するトナーの量を減少させようとするものである。
【0039】
紙詰まりの発生は、例えば通紙経路を挟んで配置された発光素子24aと受光素子24bで構成されるセンサ24(図1参照)を記録媒体が通過するタイミングで判断される。また、その他の画像形成装置の異常とは、装置内部の温度異常、モータの回転異常、高圧電源出力異常等であり、公知の手段で検出される。
【0040】
図3は、障害発生時の画像形成装置の図示しない制御装置による作像ユニットその他の構成要素の動作タイミングを説明するタイミングチャートである。紙詰まりの発生、その他の画像形成装置の異常が検出されると、異常検出信号(a)が出力され、図示されていない制御装置に入力される。制御装置からは、作像ユニットが作動中であれば、現像装置の駆動を停止する現像装置制御信号(b)が出力され、現像装置の駆動が停止される。ここで現像装置の駆動停止には、現像ローラの回転停止、現像ローラへの正規の現像バイアスの印加停止等が含まれるものとする。
【0041】
感光体上の現像装置に対向していた領域が一次転写装置の位置を通過した後に感光体駆動を停止する感光体制御信号(c)が出力され、感光体の回転駆動が停止される。これにより、感光体上に画像を形成していたトナーは通常の作像動作の場合と同じく転写ベルト(中間転写体)に転写されるから、感光体上には通常の作像動作の場合と同じ量のトナーが残留することになる。感光体上の残留トナーは感光体クリーニング装置で通常の作像動作の場合と同様に処理される。
【0042】
このとき、現像装置の駆動停止後、現像装置に対向していた領域が一次転写装置の位置を通過するまでは、感光体上のトナーを一次転写装置へ転写するために、一次転写装置へは通常の作像動作の場合と同じ転写バイアス電荷を印加し、通過後にバイアス電荷をオフにする一次転写装置制御信号(d)が出力される。そして、転写バイアス電荷がオフにされたとき、感光体から転写ベルト(中間転写体)を隔離する中間転写体制御信号(e)が出力され、感光体から中間転写体を隔離してから感光体の回転駆動を停止する。
【0043】
一次転写装置へ転写バイアス電荷を印加するとき、感光体上への逆極性帯電がメモリーされる(逆極性電荷の残留)ことを防止するためには、一次転写装置へ印加する転写バイアス電荷を通常よりも低い値に切替えてもよい。
【0044】
また、転写バイアス電荷をオフとしても、感光体と転写ベルト(中間転写体)との接触により、感光体上に画像を形成していたトナーのうちの相当量は転写ベルト(中間転写体)に転写されるから、感光体上に残留するトナー量は少なくなり、残留トナーは感光体クリーニング装置で処理可能である。
【0045】
以上の処理によれば、転写ベルト(中間転写体)には大量のトナーが付着することになるが、これは中間転写体クリーニング装置で十分に処理可能である。
【0046】
即ち、第1の理由は、中間転写体クリーニング装置に感光体クリーニング装置と同様のクリーニングブレードを使用した場合でも、中間転写体と感光体との表層膜厚の相違(一般的に中間転写体は100ミクロン、感光体は30ミクロン以下)や、背面に配置される転写電極の違い等による媒体上の静電荷量の相違により、中間転写体クリーニング装置の処理能力は、感光体クリーニング装置の処理能力よりも高いことが挙げられる。
【0047】
また、第2の理由としては、中間転写体の表層膜はその材質の違いから感光体の表層膜よりも削れ(摩耗)が発生しにくいこと、削れ(摩耗)が発生しても形成される画像品質への影響が小さいことなどの理由により、感光体クリーニング装置よりも中間転写体クリーニング装置の方が、クリーニングブレードの当接力を高く設定できるからである。
【0048】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態の画像形成装置の構成は、図1に示す第1の実施の形態と同じであるから、ここでは説明を省き、紙詰まり等の障害が発生した場合に、クリーニング装置で処理するトナー量を少なくして高い当接力を設定しなくても済む制御装置の制御動作について説明する。
【0049】
図4は、障害発生時の画像形成装置の図示しない制御装置による作像ユニットその他の構成要素の動作タイミングを説明するタイミングチャートである。
【0050】
ある種の紙詰まりの発生や、その他の画像形成装置の異常が検出されたときは、障害の発生が他の構成要素を破損することを防止するため、装置全体或いは作像ユニットの動作を直ちに停止させる場合がある。また、装置の電源の突然の切断が検出された場合や、装置各部の扉・カバー等の開放が検出されたときも使用者保護のための即時停止も装置の動作を直ちに停止させる場合がある。
【0051】
このような異常が検出されると、異常検出信号(a)が出力され、図示されていない制御装置に入力される。制御装置からは現像装置制御信号(c)、感光体制御信号(d)、一次転写装置制御信号(e)が出力され、現像装置の駆動停止、感光体の駆動停止、一次転写装置への転写バイアス電荷の印加停止などが実行される。
【0052】
この後、障害の復旧が行われると、障害復旧信号(b)が出力されて制御装置に入力される。制御装置からは、感光体制御信号(d)及び一次転写装置制御信号(e)が出力され、作像ユニットの現像装置の駆動を停止したまま、感光体の駆動開始及び一次転写装置の駆動開始が指令される。感光体は転写ベルト(中間転写体)が圧接された状態で駆動を開始する。
【0053】
このとき、制御装置からは、感光体と転写ベルト(中間転写体)との圧接状態を維持する中間転写体制御信号(f)が出力されているから、少なくとも異常検出信号(a)により感光体が停止したとき、感光体上に形成されていたトナー像の領域が全て一次転写装置の位置を通過するまでは感光体と転写ベルト(中間転写体)との圧接状態が維持される。
【0054】
その後、通常の作像時と同様の後処理が実行され、感光体上に画像を形成していたトナーは通常の作像動作の場合と同じく転写ベルト(中間転写体)に転写される。感光体上には通常の作像動作の場合と同じ量のトナーが残留することになるから、感光体上の残留トナーは感光体クリーニング装置で通常の作像動作の場合と同様に処理することができる。
【0055】
一次転写装置への転写バイアス電荷の印加は、第1の実施の形態と同じく、通常の作像動作の場合と同じ転写バイアス電荷を印加するのが望ましいが、感光体上への逆極性帯電がメモリーされる(逆極性電荷の残留)ことを防止するためには、一次転写装置へ印加する転写バイアス電荷を通常よりも低い値に切替えてもよく、またオフとしても相応の効果を得ることは可能である。
【0056】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態の画像形成装置の構成も、図1に示す第1の実施の形態と同じであるから、ここでは説明を省き、紙詰まり等の障害が発生した場合に、クリーニング装置で処理するトナー量を少なくして高い当接力を設定しなくても済む制御装置の制御動作について説明する。
【0057】
第3の実施の形態も、紙詰まりの発生や、その他の画像形成装置の異常や障害が検出されたとき、装置全体或いは作像ユニットの動作を直ちに停止させる障害の発生を対象とするものである。
【0058】
ある種の画像形成装置では、感光体と転写ベルトなどの中間転写体との接触部の線速度の差により感光体上に擦り傷が発生し、その微細な傷が画像ノイズとして生じる場合がある。特に画像濃度の階調表現を、露光部の光量変調による感光体上の静電潜像の電位の差として表現するシステムにおいて、前記した擦り傷が画像ノイズが現れやすい。このため、上記したシステムにおいては、障害発生時においても感光体と転写ベルトなどの中間転写体とを離隔することが行われている。
【0059】
図5は、上記したシステムでの障害発生時の処理に適した、画像形成装置の制御装置による作像ユニットその他の構成要素の動作タイミングを説明するタイミングチャートである。
【0060】
画像形成装置に異常が検出されると、異常検出信号(a)が出力され、図示されていない制御装置に入力される。制御装置からは現像装置制御信号(c)、感光体制御信号(d)、一次転写装置制御信号(e)が出力され、感光体の駆動、現像装置の駆動、一次転写装置への転写バイアス電荷の印加等が停止されるほか、可能であれば感光体と転写ベルト(中間転写体)との圧接状態を制御する中間転写体制御信号(f)が出力され、感光体と転写ベルト(中間転写体)とが離隔される。
【0061】
この後、障害の復旧が行われると、障害復旧信号(b)が出力されて制御装置に入力される。制御装置は、感光体と転写ベルト(中間転写体)との離隔を判定し、離隔されていない場合は、まず感光体と転写ベルト(中間転写体)とを離隔させ、離隔状態が設定されてから次の制御動作に移る。
【0062】
制御装置からは、感光体制御信号(d)、一次転写装置制御信号(e)が出力され、作像ユニットの現像装置の駆動を停止したまま、感光体の駆動開始及び一次転写装置の駆動開始が指令される。感光体と転写ベルト(中間転写体)の駆動が正常な速度で実行される状態に到達したとき、制御装置から、感光体と転写ベルト(中間転写体)との圧接を指令する中間転写体制御信号(f)が出力され、感光体と転写ベルト(中間転写体)とは圧接状態に設定される。
【0063】
そして、感光体と転写ベルト(中間転写体)とが圧接された後は、少なくとも異常検出信号(a)により感光体が停止したときに感光体上に形成されていたトナー像の領域が全て一次転写装置の位置を通過するまでは、感光体と転写ベルト(中間転写体)との圧接状態が維持される。
【0064】
その後、通常の作像時と同様の後処理が実行され、感光体上に画像を形成していたトナーは通常の作像動作の場合と同じく転写ベルト(中間転写体)に転写される。感光体上には通常の作像動作の場合と同じ量のトナーが残留することになるから、感光体上の残留トナーは感光体クリーニング装置で通常の作像動作の場合と同様に処理することができる。
【0065】
一次転写装置への転写バイアス電荷の印加は、第1の実施の形態と同じく、通常の作像動作の場合と同じ転写バイアス電荷を印加するのが望ましいが、感光体上への逆極性帯電がメモリーされる(逆極性電荷の残留)ことを防止するためには、一次転写装置へ印加する転写バイアス電荷を通常よりも低い値に切替えてもよく、またオフとしても相応の効果を得ることは可能である。
【0066】
上記した処理によれば、障害復旧後に感光体と転写ベルト(中間転写体)とが圧接されたとき、その圧接前に転写ベルト(中間転写体)を通過した感光体上の領域は、感光体クリーニング装置による清掃が行われない可能性もあるが、最終的には、この未清掃の領域は、中間転写体に圧接されて残留トナーが中間転写体に転写される。
【0067】
そして、その後は感光体上の残留トナーは感光体クリーニング装置により完全に清掃されるから、以後の作像動作では、感光体クリーニング装置の作動不良による画像ノイズが発生することはないから、感光体クリーニング装置のクリーニングブレードの当接力は、第1及び第2の実施の形態のものと同じに設定することができる。
【0068】
なお、中間転写体に圧接されていない感光体上の領域については、その領域に対応して一次帯電装置を非作動に設定することが望ましい。この領域は感光体クリーニング装置による清掃が行われず、トナーが付着している可能性があるが、トナーが付着している状態で帯電装置を作動させると帯電装置をトナーで汚染されるからである。また、帯電装置として帯電ローラ等の接触帯電装置の場合は、トナーの電荷と反対極性のバイアス電荷を印加してもよい。
【0069】
以上説明した装置では、感光体クリーニング装置及び中間転写体クリーニング装置として、クリーニングブレードを使用するもので説明したが、クリーニングブレードに限られるものではなく、クリーニングブラシ、クリーニングローラ等、接触式のクリーニング部材であれば、どのような構成のものでも適用することができる。さらに、感光体については、クリーナを備えないクリーナレスシステムであつてもよい。上記実施の形態のものをクリーナレスシステムに適用するときは、現像装置で回収するトナー量が少なく、負荷を軽減できるので、感光体の寿命を長くすることができる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したとおり、この発明によれば、画像形成装置による作像動作の途中で紙詰まりその他の障害が発生した場合、感光体上の画像形成に使用されたトナーの清掃に際して、そのトナーを中間転写体に転写させ、感光体クリーニング装置による回収トナー量を大幅に減少させることができるから、感光体クリーニング装置の感光体への当接力を小さく設定することが可能となり、感光体の寿命を長くして長期にわたり感光体を使用することができる等、従来の装置にみられない顕著な作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態のタンデム型のカラー画像形成装置の構成の概略を説明する正面図。
【図2】感光体上のトナー付着量と清掃可能なクリーニングブレードの最低当接力の関係を示す図。
【図3】障害発生時における作像ユニットその他の構成要素の動作タイミングを説明するタイミングチャート。
【図4】第2の実施の形態における障害発生時における作像ユニットその他の構成要素の動作タイミングを説明するタイミングチャート。
【図5】第3の実施の形態における障害発生時における作像ユニットその他の構成要素の動作タイミングを説明するタイミングチャート。
【符号の説明】
10 カラー画像形成装置
11C、11M、11Y、11K 作像ユニット
12C、12M、12Y、12K 感光体
13C、13M、13Y、13K メインチャージャ
14C、14M、14Y、14K 現像装置
15C、15M、15Y、15K 感光体クリーニング装置
16 転写ベルト(中間転写体)
17、18 プーリー
19C、19M、19Y、19K 一次転写装置
20 二次転写装置
21 中間転写体クリーニング装置
24 センサ
24a 発光素子
24b 受光素子

Claims (7)

  1. 像担持体上にトナー像を形成する像形成手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を一時的に保持する中間転写体と、前記像担持体上のトナー像を前記中間転写体に転写する第1の転写手段と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する第2の転写手段と、前記像担持体上に残留したトナーを清掃する第1のクリーニング手段と、前記中間転写体上に残留したトナーを清掃する第2のクリーニング手段とを備えた画像形成装置において、
    画像形成装置の動作状態を検知する検知手段と、
    画像形成装置の動作を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記検知手段の検知結果が予め特定されている所定の異常状態を示すときは、前記像形成手段の像形成動作を停止させた後、前記像担持体上のトナー像が前記第1の転写手段の作用範囲を通過した後、前記第1の転写手段と前記像形成手段の動作を停止させること
    を特徴とする画像形成装置。
  2. 像担持体表面を帯電させる帯電手段を含む像担持体上にトナー像を形成する像形成手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を一時的に保持する中間転写体と、前記像担持体上のトナー像を前記中間転写体に転写する第1の転写手段と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する第2の転写手段と、前記像担持体上に残留したトナーを清掃する第1のクリーニング手段と、前記中間転写体上に残留したトナーを清掃する第2のクリーニング手段とを備えた画像形成装置において、
    画像形成装置の動作状態を検知する検知手段と、
    画像形成装置の動作を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記検知手段の検知結果が予め特定されている所定の異常状態を示すときは、前記像形成手段の動作を停止させた後に障害復旧により像形成手段の動作を再開する際、前記像担持体上のトナー像が前記第1の転写手段の作用範囲を通過する間、前記中間転写体を前記像担持体に接触させながら第1の転写手段を作用させること
    を特徴とする画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記像担持体が前記中間転写体に接触した領域が前記像形成手段の内に配置された帯電手段の配置位置に到達するまで当該帯電手段を作動させないこと
    を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  4. 前記第1及び第2のクリーニング手段はブレードクリーニング手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  5. 像担持体上にトナー像を形成する像形成手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を一時的に保持する中間転写体と、前記像担持体上のトナー像を前記中間転写体に転写する第1の転写手段と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する第2の転写手段と、前記像担持体上に残留したトナーを清掃する第1のクリーニング手段と、前記中間転写体上に残留したトナーを清掃する第2のクリーニング手段とを備えた画像形成装置の画像形成方法において、
    画像形成装置の動作状態を検知する検知手段と、
    画像形成装置の動作を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記検知手段の検知結果が予め特定されている所定の異常状態を示すときは、前記像形成手段の像形成動作を停止させた後、前記像担持体上のトナー像が前記第1の転写手段の作用範囲を通過した後、前記第1の転写手段と前記像形成手段の動作を停止させること
    を特徴とする画像形成装置の画像形成方法。
  6. 像担持体表面を帯電させる帯電手段を含む像担持体上にトナー像を形成する像形成手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を一時的に保持する中間転写体と、前記像担持体上のトナー像を前記中間転写体に転写する第1の転写手段と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する第2の転写手段と、前記像担持体上に残留したトナーを清掃する第1のクリーニング手段と、前記中間転写体上に残留したトナーを清掃する第2のクリーニング手段とを備えた画像形成装置の画像形成方法において、
    画像形成装置の動作状態を検知する検知手段と、
    画像形成装置の動作を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記検知手段の検知結果が予め特定されている所定の異常状態を示すときは、前記像形成手段の動作を停止させた後、障害復旧により像形成手段の動作を再開する際、前記像担持体上のトナー像が前記第1の転写手段の作用範囲を通過する間、前記中間転写体を前記像担持体に接触させながら第1の転写手段を作用させること
    を特徴とする画像形成装置の画像形成方法。
  7. 前記第1及び第2のクリーニング手段はブレードクリーニング手段であることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置の画像形成方法。
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