JP4320931B2 - クレーンの過負荷防止方法及び過負荷防止装置 - Google Patents
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- B66C23/905—Devices for indicating or limiting lifting moment electrical
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はブームの先端に補助吊り腕が設けられ、主巻系と補巻系の吊り手段を備えたクレーンの過負荷防止方法及び過負荷防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6に示す補助シーブ付きクレーンを例にとって従来の技術を説明する。
【0003】
図中、1は自走式(図ではクローラ走行式を示す)のクレーン本体1で、このクレーン本体1にブーム2が起伏自在に取付けられるとともに、このブーム2の先端に補助吊り腕としての補助シーブ3付きの補助シーブブラケット4が取付けられている。
【0004】
また、クレーン本体1には、ブーム起伏、主巻、補巻各ウィンチ5,6,7が搭載され、ブーム起伏ウィンチ5によりブーム起伏ロープ8及びブーム起伏ガイライン9を介してブーム2が起伏駆動される。
【0005】
主巻ウィンチ6から引き出された主巻ロープ10は、ブーム先端から垂下されて多数本掛け状態で主フック11を吊持し、これらによって構成される主巻系吊り手段により、主として大重量物を低速で上げ下げする主巻吊り作業が行われる。
【0006】
一方、補巻ウィンチ7から引き出された補巻ロープ12は、補助シーブブラケット4から垂下されて補フック13を一本掛け状態で吊持し、これらによって構成される補巻系吊り手段により、主として軽量物を高速で上げ下げする補巻吊り作業が行われる。
【0007】
なお、主巻吊り作業と補巻吊り作業が同時に行われる場合もある。
【0008】
従来、このような主巻系と補巻系の二種類の吊り手段を備えたクレーンの過負荷防止方法として、主巻、補巻両ロープ10,12の張力及びブーム起伏ガイライン9の張力をそれぞれ検出器により検出して、主巻吊り荷重、補巻吊り荷重、全体吊り荷重を演算し、この各吊り荷重と、それぞれについて予め設定された定格総荷重から求められる負荷率の少なくとも一つが所定の値に達すると自動停止弁を作動させてクレーン作動を自動停止させるものが公知である(たとえば特開平11−246178号公報参照)。
【0009】
ここで、定格総荷重とは、クレーンの転倒や構造部材の破損を防止するという安全面からクレーンの安定度や構造部材の強度(通常はロープの破断強度)をベースとして求められる最大吊り荷重をいい、予め作業半径ごとに演算されて記憶部に記憶される。
【0010】
なお、補助吊り腕として補助シーブ3付き補助シーブブラケット4に代えて、これよりも長いジブを起伏自在にまたは角度固定状態で取付ける場合、あるいは補助シーブブラケット4とジブの双方を取付け、主巻系と二つの補巻系の計三つの吊り手段によって吊り作業を行う場合も、過負荷防止方法は基本的には上記の場合と同じである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記公知技術を含めて、従来、主巻系、補巻系を備えたクレーンの過負荷防止方法における両系の定格総荷重の定め方として、
(イ)クレーンの安定度をベースにして全体定格総荷重(ブーム起伏ガイライン張力)を決め、この全体定格総荷重を主巻系と補巻系に振り分ける(たとえばある作業半径において全体が50tの場合に主巻系40t、補巻系10tとする)方式、
(ロ)主巻系はクレーンの安定度をベースにして、補巻系は補巻ロープ10の破断強度をベースにしてそれぞれ単独で吊ることが可能な荷重の最大値(たとえばある作業半径において主巻系40t、補巻系10t)とする方式
がとられている。
【0012】
ところが、上記(イ)の振り分け方式によると、定格総荷重が、主巻系と補巻系の双方で同時に吊り作業を行った場合を想定しての値であるため、両系単独で吊り作業を行う場合の吊り能力よりもかなり低くなり、本来のクレーン性能を生かせない。
【0013】
一方、上記(ロ)の単独設定方式によると、同時吊り作業時に、補巻系で限度いっぱい(たとえば10t)まで吊ったとしても、主巻系は無負荷またはまだ余裕があり、安定度の点で吊っても問題ないにもかかわらずクレーン作動が停止してしまい、主巻系の吊り能力が生かせない。
【0014】
また、たとえば主巻系で30t、補巻系で5tの荷を吊った場合と、主巻系のみで40tの荷を吊った場合でクレーンの安定度が同じとすると、それぞれ吊り荷重が定格総荷重以下であるにもかかわらず、ブーム起伏ガイライン張力が全体定格総荷重に達してクレーン作動が停止してしまう場合がある。
【0015】
つまり、主巻系と補巻系の双方で同時に吊り作業を行う場合には、他系の吊り荷重によって自系で吊ることが可能な荷重値は変化する筈であるにもかかわらず、この点を考慮せずにそれぞれの定格総荷重を固定値として設定しているため、あと何tの余裕があるのかオペレータが把握できず、作業に支障を来す。
【0016】
そこで本発明は、主巻系及び補巻系の吊り能力を最大限に生かし、かつ、オペレータが吊り荷重の余裕度を明確に把握することができるクレーンの過負荷防止方法及び過負荷防止装置を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明(過負荷防止方法)は、ブームの先端に補助吊り腕が設けられ、主巻ウィンチと、この主巻ウィンチから引き出されて上記ブーム先端から垂下された主巻ロープと、この主巻ロープによって吊持される主フックとを有する主巻系吊り手段によって主巻吊り作業を行い、補巻ウィンチと、この補巻ウィンチから引き出されて上記補助吊り腕から垂下された補巻ロープと、この補巻ロープによって吊持される補フックとを有する補巻系吊り手段によって補巻吊り作業を行い、上記主巻系吊り手段の負荷である主巻吊り荷重、及び上記補巻系吊り手段の負荷である補巻吊り荷重をそれぞれ検出し、この検出された吊り荷重と、主巻系及び補巻系吊り手段についてそれぞれ単独で吊ることができる荷重として別個に設定される定格総荷重とに基づいて過負荷を防止する処理を行うクレーンの過負荷防止方法において、上記定格総荷重を下記(a)(b)によって求め、かつ、主巻吊り荷重を検出する主巻吊り荷重検出手段、補巻吊り荷重を検出する補巻吊り荷重検出手段、主巻吊り荷重と補巻吊り荷重の和である全体吊り荷重を検出する全体吊り荷重検出手段のうち一つが検出不能な状態となった場合に、残り二つの検出手段による検出値に基づいて荷重演算を行うものである。
【0018】
(a)予め、クレーンの安定度、ロープ破断強度等の安全面から決まる一定のベースに基づいて自系の基準値を設定する。
【0019】
(b)他系の吊り手段の吊り荷重を、自系のベースに基づいて自系の荷重成分に換算し、この換算値を自系の基準値から減算する。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1の方法において、他系の吊り手段の吊り荷重を自系の荷重成分に換算してこの換算値を自系の基準値から減算するのに代えて、他系の吊り手段で吊ることができる余裕荷重を、他系の基準値のベースに基づいて自系の荷重成分に換算し、この換算値と自系の基準値とを比較して低い方の値を選択することによって自系の定格総荷重を求めるものである。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1または2の方法において、検出された主巻吊り荷重及び補巻吊り荷重に基づいて、主巻系吊り手段による主巻吊り作業と、補巻系吊り手段による補巻吊り作業と、主巻系吊り手段及び補巻系吊り手段の双方による同時吊り作業のうちから現在行われている吊り作業の種類と作業内容を表示するものである。
【0022】
請求項4の発明(過負荷防止装置)は、ブームの先端に補助吊り腕が設けられ、主巻ウィンチと、この主巻ウィンチから引き出されて上記ブーム先端から垂下された主巻ロープと、この主巻ロープによって吊持される主フックとを有する主巻系吊り手段によって主巻吊り作業を行い、補巻ウィンチと、この補巻ウィンチから引き出されて上記補助吊り腕から垂下された補巻ロープと、この補巻ロープによって吊持される補フックとを有する補巻系吊り手段によって補巻吊り作業を行い、荷重検出手段により、上記主巻系吊り手段の負荷である主巻吊り荷重、及び上記補巻系吊り手段の負荷である補巻吊り荷重をそれぞれ検出し、演算手段により、上記検出された吊り荷重と、主巻系及び補巻系吊り手段についてそれぞれ単独で吊ることができる荷重として別個に定められる定格総荷重とに基づいて過負荷を防止する処理を行うように構成されたクレーンの過負荷防止装置において、上記演算手段は、下記(i)(ii)によって定格総荷重を求めるように構成されたものである。
【0023】
(i)主巻系吊り手段については、予め、クレーンの安定度をベースとして自系の基準値を設定し、補巻系吊り手段の吊り荷重を、クレーンの安定度をベースとして自系の荷重成分に換算し、この換算値を自系の基準値から減算する。
【0024】
(ii)補巻系吊り手段については、補巻ロープの破断強度をベースとして自系の基準値を予め設定し、主巻系吊り手段で吊ることができる余裕荷重を、クレーンの安定度をベースとして自系の荷重成分に換算し、この換算値と自系の基準値とを比較して低い方の値を選択する。
【0025】
請求項5の発明は、請求項4の構成において、主巻吊り荷重を検出する主巻吊り荷重検出手段、補巻吊り荷重を検出する補巻吊り荷重検出手段、主巻吊り荷重と補巻吊り荷重の和である全体吊り荷重を検出する全体吊り荷重検出手段を備え、演算手段は、主巻吊り荷重及び補巻吊り荷重を求める荷重演算法を、
(a)上記三つの検出手段による検出値を用いる第1の演算法、
(b)上記三つの検出手段のうちの二つの検出手段よる検出値を用いる第2の演算法
の二つの演算法のうちで切換え得るように構成されたものである。
【0026】
請求項6の発明は、請求項5の構成において、演算手段は、各検出手段からの信号に基づいて検出手段の異常の有無を判断し、そのうちの一つを異常と判断したときに、演算法を第1の演算法から第2の演算法に切換えるように構成されたものである。
【0027】
請求項7の発明は、請求項4〜6のいずれかの構成において、作業状態を表示する表示手段を備え、検出された主巻吊り荷重及び補巻吊り荷重に基づいて、主巻系吊り手段による主巻吊り作業と、補巻系吊り手段による補巻吊り作業と、主巻系吊り手段及び補巻系吊り手段の双方による同時吊り作業のうちから現在行っている吊り作業の種類と作業内容を上記表示手段によって表示するように構成されたものである。
【0028】
上記方法及び装置によると、他系の吊り荷重に応じて自系の定格総荷重が変動し、単独吊り作業時と両系同時吊り作業時とを問わず実際に両系で吊ることができる最大吊り荷重を定格総荷重として定めることが可能となる。
【0029】
このため、両系の吊り能力を最大限に生かし、かつ、常にあと何t吊れるかの余裕度をオペレータが明確に把握することが可能となる。
【0030】
この場合、請求項2の方法及び請求項4の装置によると、他系の余裕荷重を、他系の基準値のベースに基づいて自系の荷重成分に換算し、この換算値と自系の基準値とを比較して低い方の値を定格総荷重として選択することによって、両系の吊り能力を最大限に生かすことができる。
【0031】
一方、請求項1〜3,5,6の方法、装置によると、主巻吊り荷重検出手段、補巻吊り荷重検出手段、全体吊り荷重検出手段のうち一つに異常が発生した場合、あるいはアタッチメントの付け替えやフックに対するロープ掛け数の変更等に基づいて意図的に一つを使用しない場合に、残り二つの検出手段の検出値に基づいて荷重演算を行うため、検出異常時を含めて作業条件に応じて、荷重演算を支障なく行うことができる。
【0032】
とくに、請求項6の構成によると、一つの検出手段が異常となったときに、演算部がこの異常を判断して自動的に演算法を切換えるため、切換え忘れや切換ミスによる誤演算が生じない。
【0033】
また、請求項3,7の方法、装置によると、主巻吊り作業、補巻吊り作業、同時吊り作業のうちから現在行われている作業の種類と作業内容を表示するため、作業状態が頻繁に変わる場合、作業が長時間に及ぶ場合等でも、現作業状態をオペレータに明確に認識させることができる。また、必要な表示に絞ることで表示効果を高めることができ、これらの点によって安全性をより向上させることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図1〜図5によって説明する。
【0035】
この過負荷防止装置は、図1に示すように、演算手段としての演算処理部Aと、自動停止弁(電磁弁)13と、表示部14、それに検出器群とによって構成される。
【0036】
また、演算処理部Aは、記憶部17と負荷率演算部18と停止処理部19とから成っている。
【0037】
検出器としては、ブーム角度を検出するブーム角度検出器20、図 のブーム起伏ガイライン9の張力(全体吊り荷重)を検出する全体吊り荷重検出手段としてのガイライン張力検出器21、主巻ロープ10の張力(主巻系吊り荷重)を検出する主巻吊り荷重検出手段としての主巻ロープ張力検出器22、補巻ロープ12の張力(補巻系吊り荷重)を検出する補巻吊り荷重検出手段としての補巻ロープ張力検出器23を具備し、これら各検出器20〜23の検出値が負荷率演算部18に入力される。
【0038】
負荷率演算部18は、全体負荷率演算部24と主巻系負荷率演算部25と補巻系負荷率演算部26から成り、これら各演算部24,25,26で全体、主巻系及び補巻系のそれぞれについて負荷率(吊り荷重/定格総荷重)が演算されて、いずれかの負荷率が予め設定された値に達すると、停止処理部19で過負荷として判断されて自動停止弁(電磁弁)15に停止信号が送られ、クレーン作動が自動停止する。
【0039】
負荷率演算部18の処理内容を図1,2によって詳しく説明する。
【0040】
まず、主巻ロープ張力検出器22による主巻ロープ張力の検出値から主巻系吊り荷重WMを求める(S1,S2)。
【0041】
一方、ブーム角度検出器20によって検出された現在のブーム角度から作業半径を求め(S3,S4)、この作業半径から、記憶部17に予め作業半径ごとに
記憶されている定格総荷重の基準値WRMを読み出す(S5)。
【0042】
上記基準値WRMは、クレーンの安定度(転倒防止)をベースとして、所定の安定度内で主巻単独で吊ることができる最大荷重値として設定される。
【0043】
次に、補巻系負荷率演算部26において補巻ロープ張力検出器23からの検出値に基づいて求められた補巻系吊り荷重値WAを主巻系の荷重成分に換算し、主巻系の基準値WRMからこの換算値を減算して、現在、安定度内で主巻系単独で吊ることが可能な荷重値である定格総荷重値WRM1を演算する(S6)。
【0044】
そして、このS6で求めた定格総荷重値WRM1と主巻系吊り荷重値WMから現在の負荷率を求め(S7)、この負荷率が所定値に達すると前記のように停止処理部19を介して自動停止弁15に停止信号を送る。
【0045】
ここで、この過負荷防止装置の特徴部分の一つである、上記S6の処理についてさらに詳述する。
【0046】
図6に示す補助シーブブラケット4付きのクレーンクレーンでは、主フック11側は多数本掛け、補フック13側は一本掛けとして使用するのが一般的である。
【0047】
この場合、主巻系の定格総荷重は、主巻ロープ10の破断以前にクレーンの転倒が起こる可能性が高いことからクレーンの安定度に基づいて定めるのが通例である。これに対し、補巻系は単索吊りであるため補巻ロープ12の破断が問題になることからこのロープ破断強度に基づいて定格総荷重が定められる。
【0048】
いま仮に、ある作業半径での主巻系の定格総荷重値がクレーンの安定度から決められた40t、補巻系の定格総荷重値がロープ破断強度から決められた10tであるとする。
【0049】
この条件下で、主巻系に40tを吊った状態では、主巻系の定格総荷重値に達している(安定度の余裕がない)ため、補巻系には一切荷を吊ることができない(吊るとクレーンの転倒の危険がある)。
【0050】
一方、これとは逆に、補巻系に10tを吊っただけの状態では、補巻系にはこれ以上荷を吊ることはできなくとも、主巻系には安定度上はなんら問題がないため、本来はまだ荷を吊ることができる筈である。
【0051】
たとえば、補巻系で10tを吊った状態で、安定度上、主巻系にまだ20tの荷を吊る余裕があるとすれば、次の表1の(ハ)の関係が得られる。
【0052】
【表1】
すなわち、主巻系、補巻系それぞれ単独で吊り作業を行う場合には、表1の(イ)(ロ)のように主巻に40t、補巻に10tの荷を吊ることが可能であり、主巻系、補巻系同時に荷を吊った場合には、補巻系の吊荷が0tから10tに増えるに従い、主巻系で吊ることが可能な荷重は40tから20tへと徐々に減少する。また、逆に主巻系の吊り荷重が20t以下の場合は、補巻系で最大の10tを吊ることが可能であるが、20tから40tへ増えるに従い補巻系で吊ることが可能な荷重は10tから0tへと徐々に減少する。
【0053】
そこで、この過負荷防止装置においては以下のような演算処理を行う。
【0054】
WRM1=基準値WRM−(δA/δM)×WA……式(1)
WRM1:実際の主巻系の定格総荷重値
δA :補フックに単位荷重をかけたときのガイライン張力の増加係数
δM :主フックに単位荷重をかけたときのガイライン張力の増加係数
WA :補巻系の吊り荷重値
δM、δAについては予め記憶部14に記憶しておく。表1はδA:δM=2:1の場合である。
【0055】
WRMは、記憶部14に記憶してある主巻系単独の場合に吊ることができる定格総荷重の基準値であり、これから補巻系の吊り荷重値WAを主巻系側の荷重成分に換算した値を減算して、現在の補巻系荷重値を考慮して実際に吊ることができる主巻系定格総荷重値WRM1を求める。補巻系の吊り荷重値WA=0の場合にはWRM1=WRMとなる。
【0056】
こうすれば、前記の例でいうと、補巻系に10tを吊っただけの状態では、主巻系には20tの荷を吊ることができ、クレーン本来の吊り能力を最大限に生かすことができる。
【0057】
次に補巻系について考えると、主巻系及び補巻系がともにクレーンの安定度から求められる能力である場合には、補巻の定格総荷重値WRA1は主巻同様に求められるが、ロープ破断強度をベースにして求められた能力である場合には、上記主巻系同様に式(1)によって求めると、主巻系の吊り荷重を補巻系の荷重成分に換算した値が非常に大きな値となり、この換算値が補巻系定格総荷重の基準値WRAを上回るため、安定度上はさらに吊ることが可能であるのに、算出される定格総荷重がマイナスとなってしまう。
【0058】
そこで、補巻系については次の式(2)のように主巻系の余裕荷重(まだ主巻系で吊ることができる荷重)分を主巻系定格総荷重のベースであるクレーンの安定度に基づいて補巻系の荷重成分WRA1(安定度上で主巻系荷重に対し補巻系で吊ることができる荷重値)に換算し、ロープ破断強度で決められた補巻系基準値WRAと比較して小さい方を、主巻系吊り荷重を考慮した補巻系定格総荷重WRA2とする。
【0059】
WRA1=(δM/δA)×(WRM−WM)……式(2)
WRA1≦WRAのとき → WRA2=WRA1
WRA1>WRAのとき → WRA2=WRA
WM :主巻系の吊り荷重値
WRA:作業半径等によって決まる補巻系定格総荷重の基準値(前記例でいうと10t)
以上の処理により、主巻系及び補巻系の双方について、他系の吊り荷重を考慮して現在吊ることが可能な荷重を定格総荷重として定め、両径の吊り能力を最大限に生かすことができる。
【0060】
ところで、負荷率演算部18においては、上記荷重(負荷率を含む)を求める演算法として、通常は、上記のように三つの張力検出器21,22,23による検出値を用いる第1の演算法を用いるが、うち一つの検出器に異常が発生した場合は、検出器信号によってこの異常を判断し(たとえば検出器出力電圧の低下によって判断することができる)、残り二つの正常な検出器による検出値に基づいて荷重を計算する次の第2の演算法に自動的に切換わるように構成されている。
【0061】
a)ガイライン張力検出器21に異常が発生した場合
主巻及び補巻両ロープ張力検出器22,23によって検出された主巻系及び補巻系吊り荷重WM,WAから、全体吊り荷重WOが、
WO=WM+WA
によって求められる。
【0062】
b)主巻ロープ張力検出器22に異常が発生した場合
ガイライン張力検出器21によって検出された全体吊り荷重WOと、補巻ロープ張力検出器23によって検出された補巻系吊り荷重WAから、主巻系吊り荷重WMが、
WM=WO−WA
によって求められる。
【0063】
c)補巻ロープ張力検出器23に異常が発生した場合
上記b)の場合と同様に、検出された全体吊り荷重WOと主巻系吊り荷重WMから、補巻系吊り荷重WAが、
WA=WO−WM
によって求められる。
【0064】
こうして、検出器21,22,23の一つに異常が発生しても、それに対応する演算法に自動的に切換わるため、荷重計算を支障なく遂行することができる。
【0065】
従って、検出器異常により荷重計算ができなくて過負荷状態が放置されたり、検出器異常が発生した場合にクレーン作動を停止させるようにした場合のように作業性が低下したりするおそれがない。
【0066】
なお、この検出器の異常が生じたときに、表示部16によりその旨をオペレータに対して表示するようにしてもよい。
【0067】
また、作業条件(クレーン作業とクラムセル作業の違いやフックに対するロープの掛け回し方の違い等)に応じて、三つの検出器21,22,23の一つが検出不能になる場合、あるいは表示(または演算)誤差要因を減らす等の理由で意図的に一つを使用しない場合がある。
【0068】
このような場合に対処するために、図1中に二点鎖線で示すように切換手段27を設け、演算法を上記第1の演算法と第2の演算法の間で切換えるようにしてもよい。
【0069】
次に、演算処理部14及び表示部16による表示作用について説明する。
【0070】
クレーン作業における作業状態としては、前記の通り主巻系吊り手段による主巻吊り作業と、補巻系吊り手段による補巻吊り作業と、これらを同時に行う同時吊り作業の三種類がある。
【0071】
演算処理部14(負荷率演算部18)から表示部16にこれら作業の種類を示す信号と、演算された現在の荷重及び負荷率についての信号等の作業状態信号が出力され、この信号に基づいて現在行われている作業の種類と作業内容が他の必要なデータとともに表示部16によって表示される。
【0072】
表示内容の一例を図3(イ)(ロ)(ハ)に示している。
【0073】
図3(イ)は主巻吊り作業時、(ロ)は補巻吊り作業時、(ハ)は同時吊り作業時の表示内容をそれぞれ示し、主巻、補巻、同時吊り作業状態であることを示す「主吊」「補吊」「同時吊」の文字がそれぞれモニタ画面に表示される。
【0074】
また、この三つの表示パターンにおいて、それぞれ負荷率、実荷重、定格総荷重、作業半径等の作業内容が数値で表示されるほか、ブーム角度、ジブ角度、ポイント高さ(ブームポイントの高さ)等の各作業データが数値で表示される。
【0075】
演算処理部14は検出器信号に基づいて上記表示部16による作業状態の表示を自動的に切換える。
【0076】
これを図4によって説明する。ここでは、前記したように検出器異常を判断して演算法を切換える処理について併せて示している。
【0077】
処理開始とともに検出器信号を入力し(ステップS1)、この検出器信号に基づいてガイライン、主巻ロープ、補巻ロープ各張力検出器21,22,23が正常か否か(異常か)を判断する(ステップS2)。
【0078】
正常と判断した場合は第1の演算法によって主巻吊り荷重(図では主実荷重と記載)、補巻吊り荷重(同補実荷重)がそれぞれ演算され(ステップS3,S4)、異常と判断した場合は第2の演算法によって主巻吊り荷重、補巻吊り荷重がそれぞれ演算される(ステップS5,S6)。
【0079】
次いで、ステップS7,S8で、主巻、補巻両吊り荷重に基づいて主巻、補巻両負荷率が求められた後、ステップS9で主巻負荷率が、荷重が無いことを表す数値として予め設定された値(A%)以下か否かが判別され、ここでNO(主巻荷重がある)と判断されると、ステップS10で現在の表示が「補巻吊り」か否かが判別され、YES(「補巻吊り」である)となると、ステップS11で表示を「同時吊り」に切換える。
【0080】
一方、ステップS9でNO(主巻荷重が無い)と判断された場合は、ステップS12で今の表示(「主巻吊り」「補巻吊り」「同時吊り」のいずれか)を継続し、ステップS10で補巻吊り表示でない(「主巻吊り」または「同時吊り」である)と判断された場合は、ステップS13で今の表示(「主巻吊り」または「同時吊り)を継続する。
【0081】
次いで、ステップS14において、ステップS9における主巻負荷率の場合と同様に、補巻負荷率がA%以下か否かが判別され、YES(補巻荷重が無い)と判別されると、ステップS15で今の表示(「主巻吊り」「補巻吊り」「同時吊り」のいずれか)を継続する。
【0082】
一方、ステップS14でNO(補巻荷重がある)と判別されると、ステップS16に進み、ここで現在の表示が「主巻吊り」であるか否かが判別され、NOとなると、ステップS17で今の表示(「補巻吊り」または「同時吊り」)を継続する。
【0083】
これに対し、ステップS16でYES、つまり主巻吊り表示がされていると判別されると、ステップS18で表示を「同時吊り」に切換える。
【0084】
こうして、表示部16での表示を現在の作業状態に合ったものとすることができるため、作業状態が頻繁に変わる場合や作業が長時間に及ぶ場合等でも、現作業状態をオペレータに明確に認識させることができる。また、必要な表示に絞ることで表示効果を高めることができ、これらの点によって安全性をより向上させることができる。
【0085】
図5には、図4のフローの一部を変えた場合を示している。
【0086】
図4のフローでは、主巻荷重または補巻荷重の有無判断(表示切換)のしきい値として、ステップS9及びステップS14で主巻負荷率、補巻負荷率について「A%以下」を設定したが、これだけだとA%で元の表示に戻る可能性があるため、表示が安定しないおそれがある。
【0087】
そこで図5のフローでは、適度のヒステリシスを持たせて表示を安定させるために、A−B%(Aより明らかに小さい値)で元の表示に戻る構成をとっている。
【0088】
ステップS1〜ステップS11は図4の場合と同じで、ステップS9においてYES(主巻負荷率がA%以下)となると、ステップS12でさらに主巻負荷率がA−B%か否かを判別し、ここでNOの場合に今の表示を継続し(ステップS13)、YESの場合(Aより明らかに小さい場合)はステップS14で補巻負荷率がA−B%か否かを判別する。
【0089】
ここでNOの場合(補巻荷重がある場合)はステップS15で表示を「補巻吊り」に切換え、YESの場合(補巻荷重が無い場合)はステップS16で表示を「同時吊り」に切換える。また、ステップS10でNOの場合はステップS17で今の表示を継続する。
【0090】
次いで、上記ステップS9〜ステップS17と同様の趣旨で、ステップS18〜ステップS26の手順で表示を選択する。
【0091】
なお、図4,5のフローチャートにおいて、「補巻吊り」表示がされた状態で主巻吊り状態が判別された場合にステップS11で「同時吊り」表示に切換えるようにしたが、このとき「主巻吊り」表示に切換えてもよい。また、同様に、「主巻吊り」表示がされた状態で補巻吊り状態が判別された(図4のステップS14、図5のステップS20)場合に「補巻吊り」を表示してもよい。このように、主巻吊りと補巻吊りとを順次切換えて同時吊り状態を表示するように構成してもよい。
【0092】
他の実施形態
(1)上記実施形態では、定格総荷重の基準値を、主巻系はクレーンの安定度、補巻系はロープ破断強度をそれぞれベースとして定める最も一般的な場合について説明したが、両基準値が同じベースで定められるクレーンの場合は前記式(1)または式(2)によって定格総荷重を求めることができる。
(2)表示部16での表示内容に関して、主巻及び補巻吊り荷重についての残り吊り荷重(定格総荷重−実際の吊り荷重)、及び残り作業半径(負荷率100%の作業半径−現在の作業半径)を現在の吊り荷重、作業半径と並べて表示するようにしてもよい。
【0093】
こうすれば、オペレータが主巻系、補巻系の双方についてあと何t吊ることができるか、作業半径をあと何m伸ばせるかを明確に把握することが可能となるため、吊り能力を最大限に生かしながら安全性をさらに高めることができる。
【0094】
(2)主巻、補巻同時吊り作業時には、主巻単独吊りの場合よりも構造物(主としてブーム)が受けるダメージが大きくなる。そこで、同時吊り作業時に、主巻定格総荷重を演算するに当たり、補巻荷重の負荷率に応じて低減係数を掛けるようにしてもよい。こうすれば、補巻荷重の負荷率が大きくなれば主巻定格総荷重を落とすことでブームのダメージを抑えることができる。
【0095】
(3)上記実施形態では、補助吊り腕として補助シーブ付きの補助シーブブラケットを備えたクレーンを適用対象として例にとったが、本発明は、補助吊り腕としてブーム先端に起伏自在または固定式のジブを設けたクレーンにも適用することができる。このジブを用いたクレーンの場合は、補巻系の基準値はブームとジブの長さ、作業半径等に応じて基準値が決められる。
【0096】
さらに本発明は、上記実施形態で例示したラチスブーム式のクレーンに限らず、箱形の伸縮ブームを用いたクレーン(この場合はブーム長さが変化し、これによって作業半径が変化する)にも適用することができる。
【0097】
【発明の効果】
上記のように本発明によるときは、主巻系と補巻系の吊り手段を備えたクレーンにおいて、他系の吊り荷重に応じて自系の定格総荷重を変化させ、単独吊り作業時と両系同時吊り作業時とを問わず実際に両系で吊ることができる最大吊り荷重を定格総荷重として定めることが可能となる。
【0098】
このため、両系の吊り能力を最大限に生かし、かつ、常にあと何t吊れるかの余裕度をオペレータが明確に把握することが可能となる。
【0099】
一方、請求項1〜3,5,6の発明によると、主巻吊り荷重検出手段、補巻吊り荷重検出手段、全体吊り荷重検出手段のうち一つに異常が発生した場合、あるいはアタッチメントの付け替えやフックに対するロープ掛け数の変更等に基づいて意図的に一つを使用しない場合に、残り二つの検出手段の検出値に基づいて荷重演算を行うため、検出異常時を含めて作業条件に応じて、荷重演算を支障なく行うことができる。
【0100】
とくに、請求項6の発明によると、一つの検出手段が異常となったときに、演算部がこの異常を判断して自動的に演算法を切換えるため、切換え忘れや切換ミスによる誤演算が生じない。
【0101】
また、請求項3,7の発明によると、主巻吊り作業、補巻吊り作業、同時吊り作業のうちから現在行われている作業の種類と作業内容を表示するため、作業状態が頻繁に変わる場合、作業が長時間に及ぶ場合等でも、現作業状態をオペレータに明確に認識させることができる。また、必要な表示に絞ることで表示効果を高めることができ、これらの点によって安全性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかる過負荷防止装置のブロック構成図である。
【図2】 同装置の演算処理部における主巻系負荷率演算部の処理内容を説明するための図である。
【図3】 同装置の表示部による表示内容を示し、(イ)は主巻吊り作業時、(ロ)は補巻吊り作業時、(ハ)は同時吊り作業時の各表示内容を示す図である。
【図4】 同装置による表示内容の切換作用を説明するためのフローチャートである。
【図5】 図4のフローの一部を変えたフローチャートである。
【図6】 本発明の適用対象となるクレーンの概略側面図である。
【符号の説明】
2 ブーム
3 補助シーブ
4 補助吊り腕としての補助シーブブラケット
6 主巻系吊り手段を構成する主巻ウィンチ
10 主巻ロープ
11 主フック
7 補巻系吊り手段を構成する補巻ウィンチ
12 補巻ロープ
13 補フック
A 演算処理部(演算手段)
14 記憶部
15 負荷率演算部
16 表示部
21 全体負荷率演算部
22 主巻系負荷率演算部
23 補巻系負荷率演算部
17 ブーム角度検出器
18 ガイライン張力検出器(全吊り荷重検出手段)
19 主巻ロープ張力検出器(主巻吊り荷重検出手段)
20 補巻ロープ張力検出器(補巻吊り荷重検出手段)
Claims (7)
- ブームの先端に補助吊り腕が設けられ、主巻ウィンチと、この主巻ウィンチから引き出されて上記ブーム先端から垂下された主巻ロープと、この主巻ロープによって吊持される主フックとを有する主巻系吊り手段によって主巻吊り作業を行い、補巻ウィンチと、この補巻ウィンチから引き出されて上記補助吊り腕から垂下された補巻ロープと、この補巻ロープによって吊持される補フックとを有する補巻系吊り手段によって補巻吊り作業を行い、上記主巻系吊り手段の負荷である主巻吊り荷重、及び上記補巻系吊り手段の負荷である補巻吊り荷重をそれぞれ検出し、この検出された吊り荷重と、主巻系及び補巻系吊り手段についてそれぞれ単独で吊ることができる荷重として別個に設定される定格総荷重とに基づいて過負荷を防止する処理を行うクレーンの過負荷防止方法において、上記定格総荷重を下記(a)(b)によって求め、かつ、主巻吊り荷重を検出する主巻吊り荷重検出手段、補巻吊り荷重を検出する補巻吊り荷重検出手段、主巻吊り荷重と補巻吊り荷重の和である全体吊り荷重を検出する全体吊り荷重検出手段のうち一つが検出不能な状態となった場合に、残り二つの検出手段による検出値に基づいて荷重演算を行うことを特徴とするクレーンの過負荷防止方法。
(a)予め、クレーンの安定度、ロープ破断強度等の安全面から決まる一定のベースに基づいて自系の基準値を設定する。
(b)他系の吊り手段の吊り荷重を、自系のベースに基づいて自系の荷重成分に換算し、この換算値を自系の基準値から減算する。 - 他系の吊り手段の吊り荷重を自系の荷重成分に換算してこの換算値を自系の基準値から減算するのに代えて、他系の吊り手段で吊ることができる余裕荷重を、他系の基準値のベースに基づいて自系の荷重成分に換算し、この換算値と自系の基準値とを比較して低い方の値を選択することによって自系の定格総荷重を求めることを特徴とする請求項1記載のクレーンの過負荷防止方法。
- 検出された主巻吊り荷重及び補巻吊り荷重に基づいて、主巻系吊り手段による主巻吊り作業と、補巻系吊り手段による補巻吊り作業と、主巻系吊り手段及び補巻系吊り手段の双方による同時吊り作業のうちから現在行われている吊り作業の種類と作業内容を表示することを特徴とする請求項1または2記載のクレーンの過負荷防止方法。
- ブームの先端に補助吊り腕が設けられ、主巻ウィンチと、この主巻ウィンチから引き出されて上記ブーム先端から垂下された主巻ロープと、この主巻ロープによって吊持される主フックとを有する主巻系吊り手段によって主巻吊り作業を行い、補巻ウィンチと、この補巻ウィンチから引き出されて上記補助吊り腕から垂下された補巻ロープと、この補巻ロープによって吊持される補フックとを有する補巻系吊り手段によって補巻吊り作業を行い、荷重検出手段により、上記主巻系吊り手段の負荷である主巻吊り荷重、及び上記補巻系吊り手段の負荷である補巻吊り荷重をそれぞれ検出し、演算手段により、上記検出された吊り荷重と、主巻系及び補巻系吊り手段についてそれぞれ単独で吊ることができる荷重として別個に定められる定格総荷重とに基づいて過負荷を防止する処理を行うように構成されたクレーンの過負荷防止装置において、上記演算手段は、下記(i)(ii)によって定格総荷重を求めるように構成されたことを特徴とするクレーンの過負荷防止装置。
(i)主巻系吊り手段については、予め、クレーンの安定度をベースとして自系の基準値を設定し、補巻系吊り手段の吊り荷重を、クレーンの安定度をベースとして自系の荷重成分に換算し、この換算値を自系の基準値から減算する。
(ii)補巻系吊り手段については、補巻ロープの破断強度をベースとして自系の基準値を予め設定し、主巻系吊り手段で吊ることができる余裕荷重を、クレーンの安定度をベースとして自系の荷重成分に換算し、この換算値と自系の基準値とを比較して低い方の値を選択する。 - 主巻吊り荷重を検出する主巻吊り荷重検出手段、補巻吊り荷重を検出する補巻吊り荷重検出手段、主巻吊り荷重と補巻吊り荷重の和である全体吊り荷重を検出する全体吊り荷重検出手段を備え、演算手段は、主巻吊り荷重及び補巻吊り荷重を求める荷重演算法を、
(a)上記三つの検出手段による検出値を用いる第1の演算法、
(b)上記三つの検出手段のうちの二つの検出手段よる検出値を用いる第2の演算法
の二つの演算法のうちで切換え得るように構成されたことを特徴とする請求項4記載のクレーンの過負荷防止装置。 - 演算手段は、各検出手段からの信号に基づいて検出手段の異常の有無を判断し、そのうちの一つを異常と判断したときに、演算法を第1の演算法から第2の演算法に切換えるように構成されたことを特徴とする請求項5記載のクレーンの過負荷防止装置。
- 作業状態を表示する表示手段を備え、検出された主巻吊り荷重及び補巻吊り荷重に基づいて、主巻系吊り手段による主巻吊り作業と、補巻系吊り手段による補巻吊り作業と、主巻系吊り手段及び補巻系吊り手段の双方による同時吊り作業のうちから現在行っている吊り作業の種類と作業内容を上記表示手段によって表示するように構成されたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のクレーンの過負荷防止装置。
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