JP4317997B2 - 画像形成装置および画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、デジタル複写機、コンピュータプリンタまたはネットワークプリンタなどの画像形成装置、およびそのような画像形成装置の画像処理部である画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在製品化されている、デジタル複写機、コンピュータプリンタまたはネットワークプリンタなどの、多くの画像形成装置では、画像出力部(画像出力装置)として、高品質の画像を高速で得ることができる電子写真方式が広く採用されている。
【0003】
電子写真方式では、現像手段として、絶縁性トナーと磁性粒子を現像器内で混合摩擦させることにより絶縁性トナーを帯電させ、現像ロール上に磁力により現像剤をブラシ状に形成し、現像ロールの回転により感光体上に現像剤を供給することによって、感光体上の静電潜像を現像する、二成分磁気ブラシ現像方式が広く用いられており、特にカラー画像形成装置では、より広く採用されている。
【0004】
しかし、この電子写真方式の画像出力部、特に二成分磁気ブラシ現像方式による画像出力部では、その非線形かつ非対称な出力特性によって、出力される画像が副走査方向に中間調部から背景部に変化するとき、中間調部の背景部と接する後方端部の濃度が低下する。
【0005】
すなわち、図11(A)に示すように、出力される画像が、感光体上における静電潜像形成用の光ビームの走査方向である主走査方向に対して直交する、用紙送り方向とは逆の方向である副走査方向に、中間調部1から背景部2に変化するとき、以下に示すような理由によって、中間調部1の背景部2と接する後方端部1Bの濃度が低下する。
【0006】
二成分磁気ブラシ現像方式による電子写真方式では、図13に示すように、感光体ドラム310の矢印311の方向の回転によって、感光体ドラム310が静電潜像形成用の帯電器320により帯電され、その帯電された感光体ドラム310上に、画像信号で変調されたレーザ光Lが照射されることにより、感光体ドラム310上に静電潜像が形成され、その静電潜像が形成された感光体ドラム310が、感光体ドラム310の線速度の2倍程度の線速度で矢印336の方向に回転する現像スリーブ335の表面の現像剤層337と接することにより、現像剤層337中のトナーが感光体ドラム310上の潜像部分に付着して、感光体ドラム310上の静電潜像がトナー像に現像される。
【0007】
図13(A)は、レーザ光Lの照射により感光体ドラム310上に中間調部1の潜像部3が形成されて、その前方エッジ3fが現像剤層337と接する瞬間を示し、同図(B)は、潜像部3の後方エッジ3bより幾分手前の部分が現像剤層337と接する瞬間を示し、同図(C)は、潜像部3の後方エッジ3bが現像剤層337と接する瞬間を示す。
【0008】
現像スリーブ335には、例えば−500Vの電位の現像バイアスが与えられる。感光体ドラム310は、帯電器320により例えば−650Vの電位に帯電され、中間調部1の潜像部3は、現像バイアス電位より低い例えば−200Vとされる。また、中間調部1の後方の背景部2に相当する部分4は、現像バイアス電位より高い帯電電位の−650Vとなる。
【0009】
図13(A)のように潜像部3の前方エッジ3fが現像剤層337と接する時、感光体ドラム310と現像剤層337とが接する位置Qに存在するトナーtqには、順方向の現像電界が印加されて、トナーtqが現像剤層337の表面に引き寄せられ、潜像部3上に付着される。しかし、同図(B)のように中間調部1の後方の背景部2に相当する部分4が現像剤層337に近付くと、現像剤層337の部分4と対向する部分に存在するトナーtbが、逆方向の現像電界により現像剤層337の表面から遠ざけられて、現像剤層337の奥深くに潜り込むようになる。
【0010】
そして、現像スリーブ335が矢印336の方向に回転することによって、そのトナーtbは、感光体ドラム310と現像剤層337とが接する位置Qに近付くとともに、潜像部3の低電位により現像剤層337の表面側に移動するが、現像剤層337の表面に達するのに時間的な遅れを生じる。そのため、同図(B)のように潜像部3の後方エッジ3bより幾分手前の部分が現像剤層337と接する時から、感光体ドラム310上に付着されるトナー量が減少し、上述したように中間調部1の背景部2と接する後方端部1Bの濃度が低下する。
【0011】
中間調部1の前方も背景部であるときには、図13(A)のように潜像部3の前方エッジ3fが現像剤層337と接する時にも、現像剤層337中のトナー中には、トナーtfで示すように、前方の背景部に相当する感光体ドラム310上の部分5によって現像剤層337の表面から遠ざけられるものが生じる。
【0012】
しかし、現像スリーブ335の矢印336の方向の回転によって、そのトナーtfは、感光体ドラム310と現像剤層337とが接する位置Qから急速に遠ざかるとともに、潜像部3の低電位によって現像剤層337の表面に引き寄せられたトナーtqが、位置Qに直ちに近付いて、潜像部3上に付着される。したがって、出力される画像が副走査方向に逆に背景部から中間調部1に変化しても、中間調部1の背景部と接する前方端部の濃度は低下しない。
【0013】
このように、二成分磁気ブラシ現像方式による電子写真方式では、現像スリーブ335上の現像剤層337の表面でのトナー濃度の、平均値からの部分的な変動によって、出力される画像が副走査方向に中間調部1から背景部2に変化するとき、中間調部1の背景部2と接する後方端部1Bの濃度が低下する。この明細書では、この濃度低下を、TED(Trail Edge Deletion)と称する。
【0014】
このTEDは、現像スリーブ335の線速度を感光体ドラム310のそれに近付けることによって、ある程度減少させることができる。しかし、現像スリーブ335の線速度を感光体ドラム310のそれと等しくしても、TEDを完全に無くすことは困難であり、十分なトナー量を現像することは困難である。
【0015】
そこで、特開平5−281790号および特開平6−87234号には、レーザ光により感光体上に静電潜像を書き込むレーザ光スキャナを高精度化し、その静電潜像を現像する現像手段のパラメータを調整することによって、現像電界のコントラストを高めて、上記のTEDのような濃度低下を防止する考えが示されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、静電潜像の書き込み手段であるレーザ光スキャナの高精度化によって現像電界のコントラストを高める方法は、画像出力部の大型化や高コスト化を招くことになる。しかも、出力画像の高解像度化のために画像出力部でスクリーン線数を増加させる場合には、現像電界のコントラストが低下して、TEDのような濃度低下が、より生じやすくなるため、出力画像の高解像度化を達成することとの両立が難しい。
【0017】
近年、コンピュータプリンタやネットワークプリンタの普及に伴い、パーソナルコンピュータなどのホストコンピュータ上で作成した図形画像を印刷する機会が増加する傾向にある。このような図形画像では、写真などの自然画像と比べて、TEDのような濃度低下が目につきやすい。そのため、コンピュータプリンタやネットワークプリンタなどの画像形成装置では、複写機などの画像形成装置に比べて、TEDのような濃度低下が、より問題となる。
【0018】
MTF特性のような、画像出力部の線形で対称な出力特性を補正する方法としては、デジタルフィルタ処理により入力画像データを補正する方式が広く用いられている。しかしながら、デジタルフィルタ処理では、処理対象とする領域が狭く、画像出力部の非線形かつ非対称な出力特性に基づいて副走査方向の数mmに渡る広い範囲に生じるTEDのような濃度低下を軽減ないし防止することは不可能である。
【0019】
そこで、発明者の一部は先に、TEDのような濃度低下を防止する方法として、画像出力部の大型化や高コスト化をきたさないとともに、スクリーン線数の増加により出力画像の高解像度化を達成することとの両立が可能な方法を考え、特願平8−237255号によって提案した。これは、画像処理部において、入力画像データから濃度低下を生じる中間調部を検出して、入力画像データのその中間調部の画素値を、濃度低下分を補うように補正するものである。
【0020】
具体的には、中間調部1の濃度低下を生じる後方端部1Bの範囲、およびその後方端部1Bでの濃度低下量は、感光体ドラム310上における中間調部1の潜像部3の電位、したがって中間調部1の画素値、すなわち中間調部1の背景部2と接する後方エッジ1bの画素値に依存することから、一組のLUT(ルックアップテーブル)に、図6(A)に示すような、後方エッジ1bの画素値Cに対する補正対象画素数(補正範囲)aの関係、および後方エッジ1bの画素値Cに対する後方エッジ1bの画素値の補正量(網点面積率)bの関係を、ストアする。補正対象画素数aは、中間調部1の濃度低下を生じる後方端部1Bの範囲に相当し、画素値補正量bは、後方エッジ1bでの濃度低下量に対応するものである。
【0021】
そして、入力画像データから後方エッジ1bを抽出して、その一組のLUTから後方エッジ1bの画素値Cに対応した補正対象画素数aおよび画素値補正量bを読み出し、図6(A)に示すように、副走査方向の画素位置をx、後方エッジ1bの副走査方向の画素位置をxoとするとき、一次式、
y=(b/a)×{x−(xo−a)}
=(b/a)×(x−xo+a) …(1)
で表される補正量yを算出して、その算出した補正量yを、xo−a≦x≦xoの範囲の補正対象画素の元の画素値に加算する。
【0022】
したがって、入力画像データSiの画素値が、図6(A)の実線で示すような値であるとき、画素値補正後の出力画像データSoの画素値は、xo−a≦x≦xoの範囲では同図の破線で示すような値となる。そして、このように画素値が補正された出力画像データSoが、画像処理部からの画像記録信号として画像出力部に供給されて、画像出力部で出力される。したがって、図11(B)の実線で示すように、同図の破線で示すような中間調部1の後方端部1Bでの濃度低下が防止される。
【0023】
しかしながら、TEDの現象を詳細に観測したところ、図11(B)に破線で示したように、単純に中間調部1のある位置から後方エッジ1bにかけて濃度が低下するのではなく、図12(A)に濃度が高くなる部分を黒く塗り潰して誇張して示し、同図(B)に破線で示すように、中間調部1のある位置1aからの領域1Aにおいて一度濃度が高くなった後、後方エッジ1bにかけての領域1Cにおいて濃度が低下することが分かった。
【0024】
そのため、上述したように中間調部1の後方端部1Bの画素値を補正した場合には、後方端部1B中の後方エッジ1b側の領域の濃度低下は防止されるが、逆に後方端部1B中の前方側の領域では濃度が高くなって、中間調部1中に筋状に濃度の高い領域が生じてしまう。
【0025】
そこで、この発明は、画像形成装置ないし画像出力装置の大型化や高コスト化をきたすことなく、かつスクリーン線数の増加により出力画像の高解像度化を達成することとの両立が可能なように、出力される画像が副走査方向に中間調部から背景部に変化するときの、中間調部の背景部と接する後方端部での、濃度増加と濃度低下を含む濃度変動を防止することができるようにしたものである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
この発明の画像形成装置は、
表面に現像剤層を保持する回転現像スリーブ形式の二成分磁気ブラシ現像器を備える電子写真方式の画像形成装置において、
画素ごとに記録媒体上での位置情報と画素値情報とを有する、多数画素についての入力画像データを取得する画像取得手段と、
その入力画像データの画素値が前記記録媒体上での副走査方向において中間画素値から背景画素値に変化するエッジ画素を抽出するエッジ抽出手段と、
そのエッジ画素の前記記録媒体上での位置であるエッジ位置、およびそのエッジ画素の画素値であるエッジ画素値に基づいて、前記中間画素値を有する画素の領域中の、画像形成時の濃度変動により出力画像における濃度が前記副走査方向において前記エッジ画素に近づくに従って高くなる領域である第1領域では、補正後の画素値を前記エッジ画素に近づくほど小さくなるように前記入力画像データの画素値に対して減少させ、その第1領域と前記エッジ画素との間の領域である第2領域では、その第2領域中の前記第1領域に近い領域では補正後の画素値が前記入力画像データの画素値より小さくなり、第2領域中の前記エッジ画素に近い領域では補正後の画素値が前記入力画像データの画素値より大きくなる状態で、補正後の画素値を前記エッジ画素に近づくほど大きくするように、前記入力画像データの前記中間画素値を有する画素の画素値を補正する補正手段とを備え、
前記補正手段は、予め記憶されている前記回転現像スリーブの回転方向における部分現像剤層ごとのトナー濃度の平均値からの変動の特性に基づいて、当該トナー濃度の低下分に対応して画素値が加算され、当該平均値からの増加分に対応して画素値が減算されるように画素値補正量を決定することを特徴とする。
【0027】
この発明の画像処理装置は、
表面に現像剤層を保持する回転現像スリーブ形式の二成分磁気ブラシ現像器を備える電子写真方式の画像形成装置に供給する出力画像データを得るために、ページ単位で画像を形成するための画像情報を処理する画像処理装置において、
画素ごとにページ上での位置情報と画素値情報とを有する、多数画素についての入力画像データを取得する画像取得手段と、
その入力画像データの画素値が前記ページ上での副走査方向において中間画素値から背景画素値に変化するエッジ画素を抽出するエッジ抽出手段と、
そのエッジ画素の前記ページ上での位置であるエッジ位置、およびそのエッジ画素の画素値であるエッジ画素値に基づいて、前記中間画素値を有する画素の領域中の、画像形成時の濃度変動により出力画像における濃度が前記副走査方向において前記エッジ画素に近づくに従って高くなる領域である第1領域では、補正後の画素値を前記エッジ画素に近づくほど小さくなるように前記入力画像データの画素値に対して減少させ、その第1領域と前記エッジ画素との間の領域である第2領域では、その第2領域中の前記第1領域に近い領域では補正後の画素値が前記入力画像データの画素値より小さくなり、第2領域中の前記エッジ画素に近い領域では補正後の画素値が前記入力画像データの画素値より大きくなる状態で、補正後の画素値を前記エッジ画素に近づくほど大きくするように、前記入力画像データの前記中間画素値を有する画素の画素値を補正する補正手段とを備え、
前記補正手段は、予め記憶されている前記回転現像スリーブの回転方向における部分現像剤層ごとのトナー濃度の平均値からの変動の特性に基づいて、当該トナー濃度の低下分に対応して画素値が加算され、当該平均値からの増加分に対応して画素値が減算されるように画素値補正量を決定する
ことを特徴とする。
【0028】
【作用】
上記のように構成した、この発明の画像形成装置または画像処理装置においては、装置の画像取得手段に、画素ごとに記録媒体上またはページ上での位置情報と画素値情報とを有する入力画像データが入力され、または装置の画像取得手段に画像情報が入力されて、その画像情報が画像取得手段において、画素ごとに記録媒体上またはページ上での位置情報と画素値情報とを有する入力画像データに展開される。
【0029】
そして、装置のエッジ抽出手段において、その画像取得手段で取得された入力画像データの画素値が記録媒体上またはページ上での副走査方向において中間画素値から背景画素値に変化するエッジ画素が検出され、装置の補正手段において、その検出されたエッジ画素の位置および画素値に基づいて、入力画像データの中間画素値を有する画素の画素値が、中間画素値を有する画素の領域中の第1領域および第2領域で上記のように補正される。
【0030】
したがって、出力される画像が副走査方向に中間調部から背景部に変化するとき、中間調部の背景部と接する後方端部においては、その画素の画素値が補正されることなく記録媒体上に出力されたときに生じる、濃度増加と濃度低下を含む濃度変動が防止されるように、その画素の画素値が補正されて、その補正後の画素値が装置内の画像出力部または装置外の画像出力装置において記録媒体上に出力されることになる。したがって、中間調部の背景部と接する後方端部での、濃度増加と濃度低下を含む濃度変動が防止される。
【0031】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施形態…図1〜図6、図12〕
図1は、この発明の画像処理装置の一例を搭載した、この発明の画像形成装置の一例としての、デジタルカラー複写機の全体構成を示す。この例の画像形成装置、すなわち複写機は、画像入力部100、画像処理部200および画像出力部300を備える。画像入力部100では、原稿上の画像が、CCDセンサなどからなるスキャナにより、例えば16画素/mm(400画素/インチ)の解像度で読み取られて、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色につき8ビット、256階調のデジタルデータからなる入力画像信号が得られる。
【0032】
画像処理部200は、この発明の画像処理装置の一例で、この画像処理部200では、画像入力部100からの入力画像信号から、画像出力部300での記録色であるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色につき8ビット、256階調のデジタルデータからなる画像記録信号が形成されるとともに、後述するように、その画像記録信号の画素値が補正される。
【0033】
すなわち、図2は画像処理部200の一例を示し、画像入力部100からのRGB3色の信号Ri,Gi,Biが、透過中性濃度変換手段210により、透過中性濃度の信号Re,Ge,Beに変換され、その透過中性濃度の信号Re,Ge,Beが、色補正手段220により、透過中性濃度のYMC3色の信号Ye,Me,Ceに変換され、その透過中性濃度の信号Ye,Me,Ceが、墨版生成下色除去手段230により、下色除去されたYMC3色の信号Yei,Mei,Ceiと墨信号Keiに変換され、その信号Yei,Mei,Cei,Keiが、階調補正手段240により階調補正されて、YMCK4色の信号Yi,Mi,Ci,Kiからなる画像信号に変換される。
【0034】
この信号Yi,Mi,Ci,Kiが、入力画像データとして、データ補正部250に供給されて、後述するように画素値が補正される。また、この例では、コンピュータなどの外部機器からの色信号Scが、外部機器インタフェース260を通じて画像処理部200に取り込まれて、データ補正部250に供給され、信号Yi,Mi,Ci,Kiと同様に画素値が補正される。
【0035】
そして、データ補正部250からの画素値が補正されたYMCK4色の信号Yo,Mo,Co,Koが、画像処理部200からの出力画像データとして、画像出力部300に供給される。
【0036】
透過中性濃度変換手段210および階調補正手段240としては、例えば1次元のルックアップテーブルを用いる。色補正手段220としては、通常よく用いられる3×3の行列演算による線形マスキング法を利用することができるが、3×6,3×9などの非線形マスキング法を用いてもよい。また、墨版生成下色除去手段230としては、通常よく用いられるスケルトンUCR方式を用いることができる。ただし、いずれも、その他の公知の方法を用いてもよい。
【0037】
画像出力部300は、電子写真方式の、かつ二成分磁気ブラシ現像方式によるものである。図1および図2に示すように、画像出力部300はスクリーンジェネレータ390を有し、画像処理部200からの出力画像データは、このスクリーンジェネレータ390により、画素値に応じてパルス幅が変調された二値信号、すなわちスクリーン信号に変換される。
【0038】
図1に示すように、画像出力部300では、スクリーンジェネレータ390からのスクリーン信号により、レーザ光スキャナ380のレーザダイオード381が駆動されて、レーザダイオード381から、すなわちレーザ光スキャナ380から、レーザ光Lが得られ、そのレーザ光Lが感光体ドラム310上に照射される。
【0039】
感光体ドラム310は、静電潜像形成用の帯電器320により帯電され、レーザ光スキャナ380からのレーザ光Lが照射されることによって、感光体ドラム310上に静電潜像が形成される。
【0040】
その静電潜像が形成された感光体ドラム310に対して、回転現像器330のKYMC4色の現像器331,332,333,334が当接することによって、感光体ドラム310上に形成された各色の静電潜像がトナー像に現像される。
【0041】
そして、用紙トレイ301上の用紙が、給紙装置部302により転写ドラム340上に送られ、巻装されるとともに、転写帯電器341により用紙の背面からコロナ放電が与えられることによって、感光体ドラム310上の現像されたトナー像が、用紙上に転写される。出力画像が多色画像の場合には、用紙が2〜4回繰り返して感光体ドラム310に当接させられることによって、KYMC4色中の複数色の画像が多重転写される。
【0042】
転写後の用紙は、定着器370に送られ、トナー像が、加熱溶融されることによって用紙上に定着される。感光体ドラム310は、トナー像が用紙上に転写された後、クリーナ350によってクリーニングされ、前露光器360によって再使用の準備がなされる。
【0043】
具体的に、この例では、レーザ光スキャナ380として、レーザ光Lの主走査方向のビーム径および副走査方向のビーム径が、それぞれ64μmとなるものを用いた。また、現像剤として、平均粒経が7μmの絶縁性トナーと平均粒経が50μmの磁性粒子(フェライトキャリア)とを混合したものを用い、トナーの濃度を7%とした。
【0044】
マゼンタトナーとしては、ポリエステル系のメインバインダ100重量部に、C.I.ピグメントレッド57:1顔料を4重量部、帯電制御剤4重量部および外添剤を加えたものを用いた。シアントナーとしては、ポリエステル系のメインバインダ100重量部に、C.I.ピグメントブルー15:3顔料を4重量部、帯電制御剤4重量部および外添剤を加えたものを用いた。イエロートナーとしては、ポリエステル系のメインバインダ100重量部に、C.I.ピグメントイエロー17顔料を4重量部、帯電制御剤4重量部および外添剤を加えたものを用いた。ブラックトナーとしては、ポリエステル系のメインバインダ100重量部に、カーボンブラック4重量部、帯電制御剤4重量部および外添剤を加えたものを用いた。
【0045】
上記の例の画像形成装置、すなわち複写機において、画像処理部200のデータ補正部250で後述する画素値の補正を行わなかった場合には、スクリーンジェネレータ390でのスクリーン線数を400ライン/インチとして、副走査方向に中間調部から背景部に変化する画像を出力させたとき、図12(B)の破線で示すように、中間調部1の背景部2と接する後方端部1Bでは、前方側の領域1Aで一度濃度が高くなった後、後方側の領域1Cで濃度が低下する濃度変動を生じた。また、この濃度変動は、スクリーンジェネレータ390でのスクリーン線数を多くすると、より顕著になることが認められた。
【0046】
レーザ光スキャナ380をレーザ光Lの主走査方向のビーム径が20μmとなるものにしたところ、後方端部1Bの濃度変動が減少した。しかし、レーザ光スキャナ380の大型化および高コスト化をきたす。また、スクリーン線数を多くした場合には、レーザ光Lの主走査方向のビーム径を小さくしても、後方端部1Bの濃度変動を知覚できない程度に減少させることはできなかった。
【0047】
しかし、この実施形態では、画像処理部200のデータ補正部250において、階調補正手段240からの入力画像データの画素値が補正される。図3は、そのデータ補正部250の一例を示し、データ補正部250は、エッジ抽出手段251、特性記述手段252および画素値補正手段253によって構成される。
【0048】
エッジ抽出手段251は、階調補正手段240からの入力画像データSiから、図12に示したように、出力される画像が副走査方向に中間調部1から背景部2に変化するときの、その中間調部1の背景部2と接する後方エッジ1bを抽出する。
【0049】
具体的に、エッジ抽出手段251は、副走査方向に連続する画素の画素値をメモリ内にストアし、画素値が所定しきい値を超えたら、その点の画素は中間調部1の画素として、以後の副走査方向に連続する画素の、画素値が所定しきい値を超える画素をカウントして、中間調部1の副走査方向における長さ(画素数)Dを検出し、その後、画素値が所定しきい値以下となったら、その1つ前の画素を中間調部1の背景部2と接する後方エッジ1bと判定するとともに、中間調部1の副走査方向における長さ(以下では、これをエッジ長と称する)Dを確定する。
【0050】
そして、エッジ抽出手段251は、その後方エッジ1bと判定した画素の画素値Cを特性記述手段252に供給するとともに、その確定したエッジ長Dを画素値補正手段253に供給する。
【0051】
電子写真方式の画像形成装置では、一般に網点面積率が5%以下の画素は画像出力部で再現することが困難である。そのため、エッジ抽出手段251での上記のしきい値は、5%とする。しきい値を5%とすることによって、画像出力部300で再現される中間調部1の背景部2と接する後方エッジ1bは、すべて検出されることになる。
【0052】
したがって、ここでの中間調部1は、画素値が階調段階で5〜100%であるものであり、背景部2は、画素値が階調段階で0〜5%であるものである。
【0053】
なお、エッジ抽出手段251は、後方エッジ1bを検出できるものであれば、デジタルフィルタ処理によりグラディエントなどの画像の1次微分値を得るものや、パターンマッチングによるものなどの、他の方法によるものでもよい。
【0054】
特性記述手段252は、ルックアップテーブル(以下、LUTと称する)により構成されて、あらかじめこれに、出力される画像が副走査方向に中間調部1から背景部2に変化するときの、その中間調部1の背景部2と接する後方端部1Bで生じる濃度変動の特性が記述される。
【0055】
図13において上述したように、中間調部1の濃度変動を生じる後方端部1Bの範囲、およびその後方端部1Bでの濃度変動量は、中間調部1の背景部2と接する後方エッジ1bの画素値Cに依存する。しかも、図12において上述したように、後方端部1Bでの濃度変動は、前方側の領域1Aでは濃度が高くなり、後方側の領域1Cでは濃度が低くなるものである。
【0056】
そこで、特性記述手段252には、2組のLUTが設けられ、第1組の一対のLUTには、第1領域での濃度変動の特性が記述され、第2組の一対のLUTには、第2領域での濃度変動の特性が記述される。第1領域とは、中間調部1の濃度変動を生じる後方端部1B中の濃度が上昇傾向になる領域、すなわち後方端部1Bの前方エッジ1aから濃度が最も高くなる位置までの領域であり、第2領域とは、後方端部1B中の濃度が下降傾向になる領域、すなわち濃度が最も高くなる位置から後方端部1Bの後方エッジ1bまでの領域である。
【0057】
具体的に、第1組の一方のLUTには、図4(A)に示すように、後方エッジ1bの画素値Cに対する、図6(B)に示すような第1領域の補正対象画素数a1の関係がストアされ、他方のLUTには、図4(B)に示すように、後方エッジ1bの画素値Cに対する、図6(B)に示すような第1領域の後方エッジ画素に対する画素値補正量b1の関係がストアされ、第2組の一方のLUTには、図5(A)に示すように、後方エッジ1bの画素値Cに対する、図6(B)に示すような第2領域の補正対象画素数a2の関係がストアされ、他方のLUTには、図5(B)に示すように、後方エッジ1bの画素値Cに対する、後方エッジ1bに対する画素値補正量bに上記の画素値補正量b1を加えた画素値補正量b2の関係がストアされる。画素値補正量は、いずれも網点面積率で表される。
【0058】
画素値補正量b1は、上記の濃度が最も高くなる位置での濃度増加分に対応するものであり、画素値補正量b(=b2−b1)は、後方エッジ1bでの濃度低下分に対応するものである。また、全体の補正対象画素数a(=a1+a2)は、後方端部1Bの範囲に相当する。
【0059】
画素値補正量b1,b2は、図1に示した回転現像器330の図13に示した現像スリーブ335の現像剤層337におけるトナー濃度の平均値からの部分的な変動に基づいて決定される。具体的には、現像スリーブ335の回転方向における所定回転角ごとに決まる部分現像剤層ごとに、トナー濃度の平均値からの変動に基づいて決定される。
【0060】
そして、上述したエッジ抽出手段251から特性記述手段252に供給される後方エッジ1bの画素値Cは、この特性記述手段252の2組のLUTにアドレスとして供給されて、その2組のLUTから後方エッジ1bの画素値Cに対応した補正対象画素数a1,a2および画素値補正量b1,b2が読み出され、その読み出された補正対象画素数a1,a2および画素値補正量b1,b2が、画素値補正手段253に供給される。
【0061】
画素値補正手段253は、エッジ抽出手段251から供給された上記のエッジ長Dが、特性記述手段252から供給された補正対象画素数a1,a2の和aより大きいときに、階調補正手段240からの入力画像データSiの画素値を補正すると判定する。これは、エッジ長D、すなわち中間調部1の副走査方向における長さが小さいときには、中間調部1の濃度変動を生じないからである。また、中間調部1の後方端部1Bでの濃度変動量は、画素値に換算したとき、第1領域および第2領域において、それぞれほぼ直線的に変化する傾向にある。
【0062】
そこで、画素値補正手段253では、入力画像データSiの画素値を補正すると判定したときには、図6(B)に示すように、副走査方向の画素位置をx、後方エッジ1bの副走査方向の画素位置をxoとするとき、第1領域については次の一次式(11)で、第2領域については次の一次式(12)で、それぞれ表される補正量yを算出して、その算出した補正量yを、xo−a≦x≦xoの範囲の補正対象画素の元の画素値に加算する。
【0063】
第1領域:xo−a≦x≦xo−a2;
y=−(b1/a1)×{x−(xo−a)}
=−(b1/a1)×(x−xo+a) …(11)
第2領域:xo−a2<x≦xo;
y=(b2/a2)×{x−(xo−a2)}−b1
=(b2/a2)×(x−xo+a2)−b1 …(12)
【0064】
したがって、階調補正手段240からの入力画像データSiの画素値が、図6(B)の実線で示すような値であるとき、データ補正部250からの出力画像データSoの画素値は、xo−a≦x≦xoの範囲では同図の破線で示すような値となる。そして、このように画素値が補正された出力画像データSoが、画像処理部200からの画像記録信号として画像出力部300に供給されて、画像出力部300で出力される。
【0065】
したがって、図12(B)の実線で示すように、同図の破線で示したような中間調部1の後方端部1Bでの濃度変動、すなわち前方側の領域1Aでは濃度が高くなり、後方側の領域1Cでは濃度が低くなる濃度変動が防止される。なお、図12(B)は、入力網点面積率40%のパッチをスクリーン線数400ライン/インチでブラック単色で出力したときの濃度測定結果を示す。
【0066】
上記の例は、補正量yを式(11)(12)で表される一次式により算出する場合であるが、中間調部1の後方端部1Bでの濃度変動の特性に応じて、補正量yを他の関数式により算出するようにしてもよい。
【0067】
また、上記の例は、特性記述手段252にYMCKの各色につき共通の補正対象画素数a1,a2および画素値補正量b1,b2を記述する場合であるが、各色ごとの補正対象画素数a1,a2および画素値補正量b1,b2をストアしたLUTを用意するようにしてもよい。また、画像出力部300でのスクリーン線数ごとに異なる補正対象画素数a1,a2および画素値補正量b1,b2を記述するようにしてもよい。
【0068】
さらに、特性記述手段252にLUTを用いずに、図4および図5に示したような後方エッジ1bの画素値Cに対する補正対象画素数a1,a2および画素値補正量b1,b2の関係を関数式で表現したときの、関数式の係数を特性記述手段252に保持しておいて、その係数を用いて補正対象画素数a1,a2および画素値補正量b1,b2を算出するようにしてもよい。
【0069】
上述した第1の実施形態によれば、入力画像データを処理する画像処理装置において、またはそのような画像処理装置を画像処理部として備える画像形成装置において、出力される画像が副走査方向に中間調部から背景部に変化するときの、中間調部の背景部と接する後方端部での、前方側の領域では濃度が高くなり、後方側の領域では濃度が低くなる濃度変動を、確実に防止することができる。
【0070】
しかも、画像出力装置または画像出力部の大型化や高コスト化をきたすことがないとともに、スクリーン線数の増加により出力画像の高解像度化を達成することとの両立が可能になる。
【0071】
〔第2の実施形態…図7〜図10、図12〕
図7は、この発明の画像処理装置の一例を用い、この発明の画像形成装置の一例を用いたネットワークプリンタシステムの全体構成を示す。このネットワークプリンタシステムでは、ネットワーク400上に、クライアント装置500、印刷装置600および他の装置900が接続される。
【0072】
ネットワーク400は、例えばイーサネット(Ethernet:米国Xerox社商標)で、クライアント装置500、印刷装置600および他の装置900のアプリケーションに応じて、複数のプロトコルが動作するものとされる。
【0073】
クライアント装置500は、複数のクライアント装置501,502…からなるもので、それぞれのクライアント装置501,502…は、コンピュータやワークステーションなどからなり、それぞれ印刷装置600や他の装置900に対して、ページ記述言語(Page Discription Language:以下、PDLと称する)で記述された印刷情報を送出する。
【0074】
このネットワークプリンタシステムは、OPI(Open PrePressInterface:米国Aldus社商標)システムに対応するもので、クライアント装置500からのPDLで記述された印刷情報、すなわちPDLコマンド/データには、OPIシステムに対応したOPIコマンドが含まれることがある。
【0075】
OPIシステムは、ネットワークを介してクライアント装置および複数の印刷装置が接続され、その複数の印刷装置の少なくとも1台は記憶装置部に高解像度のイメージデータを保持し、クライアント装置は上記の高解像度イメージデータに対応する低解像度情報により編集処理を行い、高解像度イメージデータを保持する印刷装置はクライアント装置からのページレイアウトプログラムの印刷情報に基づいて高解像度イメージデータを出力するシステムで、ネットワーク上のトラフィックを増大させることなく、かつクライアント装置の負荷を増大させることなく、イメージデータのページレイアウト処理をすることができるものである。
【0076】
印刷装置600は、この発明の画像形成装置の一例で、この例では、上記のOPIシステムに対応したものである。印刷装置600は、画像処理部700と画像出力部800からなり、画像処理部700は、この発明の画像処理装置の一例である。画像出力部800は、図1に示した第1の実施形態の画像出力部300と同様に、電子写真方式の、かつ二成分磁気ブラシ現像方式によるものである。画像処理部700と画像出力部800は、物理的に別個の装置とされてもよいし、画像処理部700が画像出力部800内に組み込まれて物理的には1個の装置とされてもよい。
【0077】
他の装置900は、印刷装置600以外の印刷装置や、プリントサーバ、ディスクサーバ、メイルサーバなどのサーバ装置などである。これら印刷装置やサーバ装置なども、それぞれ複数のものからなる。
【0078】
印刷装置600の画像処理部700は、通信制御部710、主制御部720、磁気ディスク装置部730、バッファメモリ740および出力部制御部750を備える。
【0079】
通信制御部710は、画像処理部700をネットワーク400を介してクライアント装置500および他の装置900に接続し、例えばイーサネットの制御方式として用いられるCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detect)によって通信を制御する。
【0080】
通信制御部710によりクライアント装置500や他の装置900から画像処理部700に入力された情報は、通信制御部710から主制御部720に渡され、主制御部720において、通信プロトコルの解析およびPDLの解釈・実行がなされて、画像出力部800で出力する画像データが展開されるとともに、後述するように、その画像データの画素値が補正され、その補正後の画像データがバッファメモリ740に書き込まれる。
【0081】
磁気ディスク装置部730には、通信制御部710、主制御部720、バッファメモリ740および出力部制御部750を含む画像処理部700全体、および画像出力部800を制御する、オペレーションシステム、デバイスドライバおよびアプリケーションソフトウエアがインストールされ、これらオペレーションシステムなどは、磁気ディスク装置部730から図では省略した主記憶装置部に随時、ロードされて実行される。
【0082】
また、磁気ディスク装置部730には、OPIシステムに対応した上記の高解像度イメージデータがストアされ、その高解像度イメージデータは、上記のOPIコマンドにより磁気ディスク装置部730から主制御部720に随時、読み出される。なお、磁気ディスク装置部730は、上記の主記憶装置部やバッファメモリ740の容量が不足した場合には、データの一時待避場所として利用される。
【0083】
上記のように、バッファメモリ740には主制御部720で得られた出力画像データが一時保存される。そして、出力部制御部750が画像出力部800と通信しながらバッファメモリ740を制御することによって、その出力画像データがバッファメモリ740から読み出されて画像出力部800に送出され、画像出力部800において出力画像が得られる。
【0084】
図8に示すように、主制御部720は、通信プロトコル解析制御部721、PDLコマンド/データ解析部722、イメージ展開部770、文字展開部724、色判定部725、情報結合部726および補正描画部790を有し、通信プロトコル解析制御部721が通信制御部710と接続され、補正描画部790がバッファメモリ740と接続される。なお、図8では図7に示した磁気ディスク装置部730を省略している。
【0085】
上記のようにクライアント装置500や他の装置900から通信制御部710に入力された情報は、通信制御部710から通信プロトコル解析制御部721に入力される。この通信プロトコル解析制御部721に入力される情報には、読み取り画像情報やコード情報が混在するPDLで記述された印刷情報、すなわちPDLコマンド/データが含まれる。また、そのPDLコマンド/データには、OPIコマンドが含まれることがある。
【0086】
通信プロトコル解析制御部721では、その入力された情報のプロトコルを解析して、入力された情報のうち、PDLコマンド/データは、PDLコマンド/データ解析部722に転送する。通信プロトコル解析制御部721は、上記の複数のプロトコルに対応するものとされ、例えばTCP/IP,AppleTalk(米国Apple社商標)、IPX/SPXをサポートするものとされる。
【0087】
画像処理部700からクライアント装置500や他の装置900に対して情報を送る場合には、通信プロトコル解析制御部721は、クライアント装置500や他の装置900に合わせた通信プロトコルの制御をして、その情報を通信制御部710に出力する。
【0088】
通信制御部710および通信プロトコル解析制御部721を介してPDLコマンド/データ解析部722に入力されたPDLコマンド/データは、PDLコマンド/データ解析部722で解析される。PDLコマンド/データ解析部722では、ポストスクリプト(PostScript:米国AdobeSystems社商標)やインタプレス(InterPress:米国Xerox社商標)などを含む複数のPDLを解析して、中間的なコードデータに変換する。
【0089】
PDLコマンド/データ解析部722で得られた、画像出力部800の解像度の情報や、輪郭、位置、回転角などの画像形状情報は、PDLコマンド/データ解析部722からイメージ展開部770に渡され、イメージ展開部770は、これら情報により、画像出力部800で出力する画像データを展開する。
【0090】
この場合、PDLコマンド/データ解析部722からのコードデータが文字情報を含んでいるときには、イメージ展開部770は、文字展開部724からアウトライン情報を取り入れて、文字についての画像データを展開する。また、イメージ展開部770は、PDLコマンド/データ解析部722からのコードデータに基づいて、データの圧縮・伸長、画像の拡大・縮小、回転・鏡像化、解像度変換などの処理をする。
【0091】
色判定部725では、PDLコマンド/データ解析部722で解析されたPDLコマンド/データの色情報に基づいて、イメージ展開部770で展開された画像データをYMCKの各色ごとの画像データに変換ためのパラメータを生成し、そのパラメータを情報結合部726に送出する。情報結合部726では、色判定部725からのパラメータによって、イメージ展開部770で展開された画像データがYMCKの各色ごとの画像データに変換される。
【0092】
この情報結合部726からのYMCKの各色ごとの画像データが、入力画像データとして補正描画部790に供給されて、補正描画部790において、後述するように入力画像データの画素値が補正され、その補正後のYMCKの各色ごとの画像データが、出力画像データとしてバッファメモリ740に書き込まれる。バッファメモリ740からは、YMCKの各色ごとに画像データが読み出され、その読み出された画像データが、画像出力部800に供給される。
【0093】
図9に示すように、画像出力部800は、画像信号制御部810、レーザ駆動部820および画像露光部830を備え、画像処理部700のバッファメモリ740から読み出された画像データが、画像信号制御部810によりレーザ変調信号に変換され、そのレーザ変調信号がレーザ駆動部820に供給されて、レーザ駆動部820により、画像露光部830のレーザダイオード831が駆動される。
【0094】
図9では省略しているが、画像出力部800では、このように画像信号制御部810からのレーザ変調信号により変調された、レーザダイオード831からのレーザ光が、感光体ドラム上を走査することによって、感光体ドラム上に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像器によりトナー像に現像され、そのトナー像が転写器により用紙上に転写されることによって、用紙上に画像が出力される。
【0095】
図10は、主制御部720中のイメージ展開部770および補正描画部790などの要部の具体的構成を示す。イメージ展開部770は、PDLコマンド/データ解析部722からのコードデータを、文字、線/図形および読み取り画像の3つの画像オブジェクトごとに画像データに展開して、描画を行う。
【0096】
すなわち、文字情報は、文字展開部724に送られてフォント展開されることにより、文字のビットマップデータが生成され、情報結合部726に渡される。読み取り画像情報は、読み取り画像変換部771において解像度変換などの画像変換処理がなされた上で、情報結合部726に渡される。
【0097】
線/図形の情報は、座標変換部773により座標変換されて、細線、線/面画および矩形ごとに、PDLに記述された画像として描画される。すなわち、細線部は、細線描画部774により描画されて、情報結合部726に渡され、線/面画の部分は、線/面画描画部775により描画されて、情報結合部726に渡され、矩形部は、矩形描画部776により描画されて、情報結合部726に渡される。
【0098】
また、線/面画描画部775の出力は、エッジ検出部777に供給されて、エッジ検出部777において、線/面画の画像の副走査方向の後方エッジが検出されるとともに、矩形描画部776の出力は、エッジ検出部778に供給されて、エッジ検出部778において、矩形の画像の副走査方向の後方エッジが検出される。
【0099】
情報結合部726では、各画像オブジェクトごとの画像を重ね合わせて、1ページの画像イメージを構成するとともに、オブジェクトごとに色判定部725から得られた情報をもとに色変換などの処理をする。
【0100】
補正描画部790は、エッジ蓄積部791、ページイメージ部792、特性記述部793、濃度変動判定部794およびエッジ再描画部795によって構成される。
【0101】
エッジ蓄積部791では、イメージ展開部770のエッジ検出部777および778からの後方エッジ情報をエッジリストとして蓄積する。ページイメージ部792では、情報結合部726から合成されたページイメージを得て、濃度変動判定部794およびエッジ再描画部795に転送する。
【0102】
特性記述部793には、線/面画および矩形の画像につき、第1の実施形態の図3の特性記述手段252と同様に、図4および図5に示したような、後方エッジの画素値Cに対応した補正対象画素数a1,a2および画素値補正量b1,b2が、あらかじめ記述される。また、線/面画および矩形の画像の、副走査方向の後方端部が濃度変動を生じる条件が、あらかじめ記述される。
【0103】
特性記述部793は、濃度変動判定部794からの要求によって、その濃度変動を生じる条件を、濃度変動判定部794に送出するとともに、濃度変動判定部794から後方エッジの画素値Cが供給されたとき、その画素値Cに対応した補正対象画素数a1,a2および画素値補正量b1,b2を、エッジ再描画部795に送出する。
【0104】
濃度変動判定部794は、ページイメージ部792からページイメージが転送されたとき、エッジ蓄積部791に蓄積されたエッジリストと、自身の要求により特性記述部793から得た上記の条件とに基づいて、副走査方向の後方端部において濃度変動を生じると予想される画像の後方エッジを判定し、その判定結果をエッジ再描画部795に送出する。
【0105】
エッジ再描画部795は、濃度変動判定部794からの判定結果と、特性記述部793からの補正対象画素数a1,a2および画素値補正量b1,b2とによって、ページイメージ部792から転送されたページイメージの、線/面画および矩形の画像の濃度変動を生じると予想される副走査方向の後方端部を再描画し、その再描画後のページイメージをバッファメモリ740に転送する。その再描画は、第1の実施形態と同様に、式(11)(12)で表される一次式により補正量yを算出して、その算出した補正量yを補正対象画素の元の画素値に加算することによって行う。
【0106】
したがって、この第2の実施形態においても、線/面画および矩形の画像の副走査方向の後方端部での、前方側の領域では濃度が高くなり、後方側の領域では濃度が低くなる濃度変動が防止される。
【0107】
なお、この第2の実施形態においても、補正量yを一次式(11)(12)以外の関数式によって算出するなど、第1の実施形態と同様の変更をすることができる。
【0108】
また、上記の例は、補正描画部790の各機能をソフトウエアにより実現する場合であるが、高速化のために同等の機能を有するハードウエアにより補正描画部790を構成してもよい。
【0109】
この第2の実施形態によれば、PDLから画像データを展開する画像処理装置において、またはそのような画像処理装置を画像処理部として備える画像形成装置において、出力される画像が副走査方向に中間調部から背景部に変化するときの、中間調部の背景部と接する後方端部での、前方側の領域では濃度が高くなり、後方側の領域では濃度が低くなる濃度変動を、確実に防止することができる。
【0110】
しかも、画像出力装置または画像出力部の大型化や高コスト化をきたすことがないとともに、スクリーン線数の増加により出力画像の高解像度化を達成することとの両立が可能になる。
【0111】
特に、この実施形態によれば、クライアント装置で作成された、濃度変動を生じやすい図形画像などのグラフィックス画像の濃度変動を確実に防止することができる利点がある。
【0112】
【発明の効果】
上述したように、この発明によれば、画像形成装置ないし画像出力装置の大型化や高コスト化をきたすことなく、かつスクリーン線数の増加により出力画像の高解像度化を達成することとの両立が可能なように、出力される画像が副走査方向に中間調部から背景部に変化するときの、中間調部の背景部と接する後方端部での、濃度増加と濃度低下を含む濃度変動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の画像形成装置の一例としてのデジタルカラー複写機の全体構成を示す図である。
【図2】図1の複写機の画像処理部の一例を示す図である。
【図3】図2の画像処理部のデータ補正部の一例を示す図である。
【図4】図3のデータ補正部の特性記述手段に記述される内容の一部の一例を示す図である。
【図5】図3のデータ補正部の特性記述手段に記述される内容の残部の一例を示す図である。
【図6】(A)は先願の発明における画素値補正態様の一例を示し、(B)はこの発明における画素値補正態様の一例を示す図である。
【図7】この発明の画像処理装置の一例を用いたネットワークプリンタシステムの全体構成を示す図である。
【図8】図7のシステムの画像処理部の一例を示す図である。
【図9】図7のシステムの画像出力部の一例を示す図である。
【図10】図8の画像処理部の主制御部の要部の一例を示す図である。
【図11】先願の発明で問題とした濃度低下の態様と、それが先願の発明で防止されることを示す図である。
【図12】この発明で問題とする濃度変動の態様と、それがこの発明で防止されることを示す図である。
【図13】この発明で問題とする濃度変動を生じる理由を示すための図である。
【符号の説明】
1 中間調部
1B 後方端部
1b 後方エッジ
2 背景部
200 画像処理部
250 データ補正部
251 エッジ抽出手段
252 特性記述手段
253 画素値補正手段
700 画像処理部
720 主制御部
722 PDLコマンド/データ解析部
770 イメージ展開部
790 補正描画部
791 エッジ蓄積部
792 ページイメージ部
793 特性記述部
794 濃度変動判定部
795 エッジ再描画部
Claims (6)
- 表面に現像剤層を保持する回転現像スリーブ形式の二成分磁気ブラシ現像器を備える電子写真方式の画像形成装置において、
画素ごとに記録媒体上での位置情報と画素値情報とを有する、多数画素についての入力画像データを取得する画像取得手段と、
その入力画像データの画素値が前記記録媒体上での副走査方向において中間画素値から背景画素値に変化するエッジ画素を抽出するエッジ抽出手段と、
そのエッジ画素の前記記録媒体上での位置であるエッジ位置、およびそのエッジ画素の画素値であるエッジ画素値に基づいて、前記中間画素値を有する画素の領域中の、画像形成時の濃度変動により出力画像における濃度が前記副走査方向において前記エッジ画素に近づくに従って高くなる領域である第1領域では、補正後の画素値を前記エッジ画素に近づくほど小さくなるように前記入力画像データの画素値に対して減少させ、その第1領域と前記エッジ画素との間の領域である第2領域では、その第2領域中の前記第1領域に近い領域では補正後の画素値が前記入力画像データの画素値より小さくなり、第2領域中の前記エッジ画素に近い領域では補正後の画素値が前記入力画像データの画素値より大きくなる状態で、補正後の画素値を前記エッジ画素に近づくほど大きくするように、前記入力画像データの前記中間画素値を有する画素の画素値を補正する補正手段とを備え、
前記補正手段は、予め記憶されている前記回転現像スリーブの回転方向における部分現像剤層ごとのトナー濃度の平均値からの変動の特性に基づいて、当該トナー濃度の低下分に対応して画素値が加算され、当該平均値からの増加分に対応して画素値が減算されるように画素値補正量を決定する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置において、
前記補正手段は、前記エッジ位置および前記エッジ画素値により、前記第1領域および前記第2領域についての画素値を補正すべき補正対象画素を決定する補正対象画素決定部と、前記エッジ画素値により、前記第1領域および前記第2領域の前記補正対象画素に対する画素値補正量を決定する補正量決定部とを有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置において、
前記補正手段は、前記第1領域および前記第2領域についての、それぞれ前記エッジ画素値に応じた補正対象画素数および画素値補正量を保持した情報記憶部を備え、この情報記憶部に保持された補正対象画素数および画素値補正量に基づいて、前記第1領域および前記第2領域についての補正対象画素、およびそれぞれの補正対象画素に対する画素値補正量を決定することを特徴とする画像形成装置。 - 表面に現像剤層を保持する回転現像スリーブ形式の二成分磁気ブラシ現像器を備える電子写真方式の画像形成装置に供給する出力画像データを得るために、ページ単位で画像を形成するための画像情報を処理する画像処理装置において、
画素ごとにページ上での位置情報と画素値情報とを有する、多数画素についての入力画像データを取得する画像取得手段と、
その入力画像データの画素値が前記ページ上での副走査方向において中間画素値から背景画素値に変化するエッジ画素を抽出するエッジ抽出手段と、
そのエッジ画素の前記ページ上での位置であるエッジ位置、およびそのエッジ画素の画素値であるエッジ画素値に基づいて、前記中間画素値を有する画素の領域中の、画像形成時の濃度変動により出力画像における濃度が前記副走査方向において前記エッジ画素に近づくに従って高くなる領域である第1領域では、補正後の画素値を前記エッジ画素に近づくほど小さくなるように前記入力画像データの画素値に対して減少させ、その第1領域と前記エッジ画素との間の領域である第2領域では、その第2領域中の前記第1領域に近い領域では補正後の画素値が前記入力画像データの画素値より小さくなり、第2領域中の前記エッジ画素に近い領域では補正後の画素値が前記入力画像データの画素値より大きくなる状態で、補正後の画素値を前記エッジ画素に近づくほど大きくするように、前記入力画像データの前記中間画素値を有する画素の画素値を補正する補正手段とを備え、
前記補正手段は、予め記憶されている前記回転現像スリーブの回転方向における部分現像剤層ごとのトナー濃度の平均値からの変動の特性に基づいて、当該トナー濃度の低下分に対応して画素値が加算され、当該平均値からの増加分に対応して画素値が減算されるように画素値補正量を決定する
ことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項4の画像処理装置において、
前記補正手段は、前記エッジ位置および前記エッジ画素値により、前記第1領域および前記第2領域についての画素値を補正すべき補正対象画素を決定する補正対象画素決定部と、前記エッジ画素値により、前記第1領域および前記第2領域の前記補正対象画素に対する画素値補正量を決定する補正量決定部とを有することを特徴とする画像処理装置。 - 請求項4の画像処理装置において、
前記補正手段は、前記第1領域および前記第2領域についての、それぞれ前記エッジ画素値に応じた補正対象画素数および画素値補正量を保持した情報記憶部を備え、この情報記憶部に保持された補正対象画素数および画素値補正量に基づいて、前記第1領域および前記第2領域についての補正対象画素、およびそれぞれの補正対象画素に対する画素値補正量を決定することを特徴とする画像処理装置。
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