JP4317381B2 - 光電変換用酸化物半導体電極の製造方法 - Google Patents
光電変換用酸化物半導体電極の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電変換のために用いられる光電変換用酸化物半導体電極、およびその電極を用いた色素増感型光電変換素子に関する。
【0002】
【従来技術】
【特許文献1】
特開平01−220380号公報
【特許文献2】
特開平07−288142号公報
【特許文献3】
特開平09−27352号公報
【特許文献4】
特開平13−156314号公報
【特許文献5】
特開平11−312541号公報
【非特許文献1】
Nature Vol.261 (1976) p402
【非特許文献2】
Synthetic Metals 121(2001) 1549-1550
【非特許文献3】
Synthetic Metals 89(1997) 215-220
【非特許文献4】
第69回電気化学会大会
(要旨集Vol. 69, 254(2002))
【0003】
従来より、色素で増感された酸化物半導体電極を含む湿式の太陽電池が知られている。例えば、非特許文献1には、酸化亜鉛粉末を圧縮成型し、1300℃で1時間焼成して形成した焼結体ディスク表面に増感用色素としてローズベンガルを吸着させた酸化物半導体電極を用いた太陽電池が提案されている。
【0004】
しかしながら、この提案された太陽電池の電流/電圧曲線によれば、0.2Vの起電圧時の電流値は約25μAと非常に小さいものである。
【0005】
このような不具合を解消するために、透明導電性膜上に多孔質の二酸化チタン膜を形成し、この表面に増感色素としてルテニウムピリジル錯体を吸着させ、ヨウ素を電子メディエーターとする色素増感型の湿式太陽電池が提案されている(特許文献1)。この提案によれば、光を吸収して励起した色素が電子を酸化チタンへ供給し、対向電極からヨウ素へ電子が移動、さらに還元されたヨウ素イオンが色素へ電子を与えて元に戻し、サイクルを完成させている。このような太陽電池は理論的に高い効率が期待でき、実際に7〜10%程度の効率が得られた旨の報告がなされている。さらにこのような太陽電池は、それに用いられる酸化物半導体および有機色素がいずれも比較的安価なために、シリコン半導体を用いた太陽電池に比較して、コスト的にも非常に有利であると考えられている。
【0006】
しかしながら、上記提案の素子は、対電極との電気的接続を電解質溶液によって行なう湿式電池であるために、長期間に亘って使用すると、電解液の枯渇により光電変換効率が著しく低下したり、素子として機能しなくなってしまう欠点を有している。
【0007】
このような欠点を解消するために例えば架橋ポリエチレンオキサイド系高分子固体電解質を用いた光電変換素子(特許文献2、特許文献3等)の提案がなされているが、電解質中に電解液を含んだものが大部分であり、長期間にわたって使用すると、電解液が枯渇してしまうという問題を根本的に解決しているとは言い難い。
【0008】
そのため、さらなる改善策として、CuIやCuSCNなどの無機正孔輸送性材料を用いて完全に固体化した光電変換素子の提案(特許文献4)や、polythiophene 誘導体やtriphenylenediamine(TPD)誘導体など有機正孔輸送性材料を用いて完全に固体化させた光電変換素子(非特許文献2、非特許文献3)が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの固体正孔輸送性材料を用いた光変換素子は、短絡電流密度(Jsc)、フィルファクター(FF)が非常に小さく、光電変換能が低いという問題がある。
【0010】
特に、透明導電層の表面に形成された多孔質金属半導体膜と、この半導体膜の表面に担持された有機色素とを備える光電変換用酸化物半導体電極において、当該電極の有機色素側と接するように配置される固体正孔輸送層との関係では、多孔質構造の源である金属半導体膜粒子の隙間に固体正孔輸送性材料が浸透する形態となるために、透明導電層表面と固体正孔輸送性材料との直接的な接触が生じてしまう。そして、この時、透明導電層表面と固体正孔輸送性材料とがオーミックな接合を取り易いために内部短絡が生じ、電池特性が極端に低下するという不都合が生じる。具体的には、光励起された有機色素から多孔質金属半導体膜を経て、透明導電層表面へ到達した電子が外部回路へと取り出される前に、固体正孔輸送性材料の方へ戻ってしまう現象が生じているものと考えられている(内部短絡)。
【0011】
このような問題を解決すべく、上記非特許文献4には、透明導電層と多孔質金属半導体膜の間に、緻密な金属酸化物半導体膜(バリアー層)を形成し、透明導電層と固体正孔輸送性材料とのダイレクトの接触を防止し、内部短絡の抑制を行なう旨の提案がなされている。当該提案では、透明導電層表面にゾルーゲル法によってバリアー膜を形成させている。しかしながら、この方法では、膜厚制御が困難であり、厚くなりすぎるとバリアー層の抵抗によって電池特性が劣化してしまうという問題がある。また、ゾル−ゲル法では、焼成過程における有機物の蒸発によって膜にポアが発生したり、膜の収縮によってクラックが入り易くなり膜の緻密性が損なわれるという問題がある。
【0012】
また、緻密な金属酸化物半導体膜を作製する方法の一例として、蒸着により直接酸化チタン膜を形成する手法の提案もなされている(特許文献5)。しかしながら、この方法では、基板上において酸化チタンの微粒子成長が起こってしまい、完全な緻密膜を得ることは困難である。
【0013】
このような実状のもとに本発明は創案されたものであり、その目的は、素子内部の短絡を抑制でき、信頼性、光エネルギー変換効率に優れた光電変換用酸化物半導体電極、およびその電極を用いた色素増感型光電変換素子を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、透明導電層を有する基板と、前記透明導電層の表面に形成された第1の金属酸化物半導体膜と、前記第1の金属酸化物半導体膜の上に形成された第2の金属酸化物半導体膜と、前記第2の金属酸化物半導体膜の表面に吸着された有機色素を有する光電変換用酸化物半導体電極であって、前記第1の金属酸化物半導体膜が、酸化対象となる金属薄膜を形成した後に、当該金属薄膜を陽極酸化処理することにより形成されたものであるとして構成される。
【0015】
また、本発明の好ましい態様として、前記第1の金属酸化物半導体膜が、Ti,Ta,Al,Mg,Nb,Zr,Zn,Siのグループから選択された少なくとも1つの金属の薄膜を形成した後に、当該金属薄膜を陽極酸化処理することにより形成されたものとして構成される。
【0016】
また、本発明の好ましい態様として、前記陽極酸化処理の前に形成される金属薄膜は、蒸着またはスパッタリングにより形成されてなるように構成される。
【0017】
また、本発明の好ましい態様として、前記第1の金属酸化物半導体膜は、緻密状の金属酸化物半導体膜であり、前記第2の金属酸化物半導体膜は、多孔質の金属酸化物半導体膜として構成される。
【0018】
また、本発明の色素増感型光電変換素子は、上記光電変換用酸化物半導体電極と、前記電極に対向する位置に設置される対極と、これらの電極と対極とに接する固体電荷移動層とを有し構成される。
【0019】
また、本発明の色素増感型光電変換素子の好ましい態様として、前記固体電荷移動層は正孔輸送性材料から構成される。
【0020】
また、本発明の色素増感型太陽電池は、上記色素増感型光電変換素子を用いて構成される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の色素増感型光電変換素子(色素増感型太陽電池)の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の色素増感型光電変換素子1の模式的構成例を示したものである。図1の紙面の右側には、左側に位置する全体構成図の四角で囲まれたエリアの部分拡大図が模式的に示されている。
【0022】
図1に示されるように、本発明の色素増感型光電変換素子1は、2つの電極70,80が例えば固体電荷移動層40を介して対向配置された構成をなしている。2つの電極のうち一方の電極である70は、有機色素を備える光電変換用酸化物半導体電極70であり、このものは、例えば、透明基板50と、この上に形成された透明導電層11と、この透明導電層11の表面に形成された第1の金属酸化物半導体膜30と、その第1の金属酸化物半導体膜30の上に形成された第2の金属酸化物半導体膜6と、この第2の金属酸化物半導体膜6の表面に吸着された有機色素7を有して構成されている。
【0023】
まず最初に、有機色素を備える光電変換用酸化物半導体電極70について、各構成要件ごとに説明する。
【0024】
透明導電層11を有する透明基板50の構成
電極用の基板としては、少なくともその表面に導電性が付与(例えば、透明導電層11が形成)された透明基板50が用いられる。表面に導電性が付与された基板としては、例えば、ガラスなどの耐熱性基板上に、酸化インジウム、酸化錫の導電性金属酸化物薄膜、金、銀、白金などの金属薄膜、導電性高分子等を形成したものや、金属等の導電性材料からなる基板が用いられる。このような導電性基板は従来よく知られたものである。耐熱性を有する樹脂基板を用いることもできる。
基板の厚さは特に制限されないが、通常、0.05〜5mm程度である。
【0025】
図1において、導電性表面を有する基板の一例として、透明基板50と、この上に形成された透明導電層11との組み合わせ体が示されている。しかしながら、透明基板50そのものを導電性材質から形成することも可能であり、この場合には、導電性材質から形成された透明基板50そのものが、本発明で言う基板と導電層との組み合せ体に相当することになる。
【0026】
第1の金属酸化物半導体膜の構成
透明導電層11の上に形成される第1の金属酸化物半導体膜30は、酸化対象となる金属薄膜を形成した後に、この金属薄膜を陽極酸化処理することにより形成されたものである。以下、透明導電層11の上に第1の金属酸化物半導体膜30を形成するステップを詳細に説明する。
【0027】
(1)金属薄膜の形成
透明導電層を有する基板上にスパッタリングまたは蒸着により金属薄膜を形成する。成膜対象となる金属は、Ti,Ta,Al,Mg,Nb,Zr,Zn,Siのグループから選択された少なくとも1つの金属とするのがよい。特に、Tiが好適に用いられる。このような金属薄膜の膜厚は10〜100nm、好ましくは20〜80nm、さらに好ましくは、20〜50nmとされる。この膜厚が10nm未満となると、成膜される金属薄膜が島状となりやすくなり、緻密な膜を得ることが困難となってしまう。また、この膜厚が100nmを超えると膜の抵抗が大きくなり過ぎてしまい電池特性が低下してしまうという不都合が生じる。
【0028】
(2)成膜した金属薄膜の陽極酸化処理
このような金属薄膜を形成した後に、当該金属薄膜の陽極酸化処理が行なわれる。
【0029】
すなわち、金属薄膜を有する基板を陽極とし、白金やカーボンなどを陰極として用い、リン酸、硫酸あるいはこれらの混酸、あるいはアジピン酸ニアンモニウムのような中性塩からなる電解質水溶液中で陽極酸化を行なう。
【0030】
Ti,Ta,Al,Mg,Nb,Zr,Zn,Siなどの弁金属を陽極酸化すると、数100Vの高電圧まで安定して陽極酸化処理することができ、その結果、数μmの比較的厚い陽極酸化被膜が形成される。本発明では膜厚が10〜100nm程度の緻密な膜を得ることが目的であるために、陽極酸化電圧は10〜80V程度の低い電圧に設定することが望ましい。このような低電圧範囲では、基板表面での火花放電による放電痕の発生は極めて少なく、緻密な膜を形成することができる。
【0031】
このようにして緻密な第1の金属酸化物半導体膜30が形成される。
なお、本願の「緻密な膜」とはスパッタリングや蒸着で成膜された金属薄膜の緻密な状態を出来るだけ維持するようにとの配慮のもとに陽極酸化処理された膜をいう。
【0032】
第2の金属酸化物半導体膜の構成
緻密な第1の金属酸化物半導体膜30の上には、多孔質の第2の金属酸化物半導体膜6が形成される。第2の金属酸化物半導体膜6を形成する好適例を以下に例示する。
【0033】
通常の好ましい手法として、多孔質の第2の金属酸化物半導体膜6を形成するには、まず、酸化物半導体微粒子を含む塗布液を調製する。用いる酸化物半導体微粒子は、その1次粒子径が微細なほど好ましく、その1次粒子径は、通常、1〜5000nm、好ましくは5〜50nmとされる。
【0034】
酸化物半導体微粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化バナジウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。好ましくは、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブであり、最も好ましくは酸化チタンである。また、これら酸化物半導体微粒子を複合(混合、混晶、固溶体など)させて用いてもよく、例えば、酸化亜鉛と酸化スズ、酸化チタンと酸化ニオブ等の組み合わせ使用を例示することができる。
【0035】
材料選定に際しては、多孔質の第2の金属酸化物半導体膜6の表面に吸着される有機色素(有機色素膜7)の励起準位から、酸化物半導体微粒子の伝導帯準位への電子注入が効率よく起こりうるように酸化物半導体微粒子の種類を選択すればよい。
【0036】
また、酸化物半導体粒子同士の結合性、および酸化物半導体微粒子と前記第1の金属酸化物半導体膜30間の結合性を強化させるために、酸化物半導体微粒子前駆体を添加するのも好ましい態様である。
【0037】
酸化物半導体微粒子前駆体を共存させることは、物質の拡散・供給や、微粒子間結合に必要なエネルギーの減少に効果的であり、酸化物半導体膜をより低温で形成するのに好ましい。
【0038】
酸化物半導体微粒子が金属酸化物である場合、用いられ得る酸化物半導体微粒子前駆体として、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物、加水分解可能な基を有する金属化合物等が挙げられる。
【0039】
金属ハロゲン化物を用いた場合には、酸化物半導体微粒子内にハロゲン原子が取り込まれることが多く電池特性に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、特に、高温加熱が適用できない場合には金属アルコキシドを用いるのが好ましい。また、上記の金属化合物の一部または全部を加水分解したもの、その加水分解物を重合したもの、あるいはそれらの混合物も前駆体として有効である。特に、金属アルコキシドを、酸もしくはアルカリ条件下で部分的に加水分解し、さらに部分的に重合した混合物は、低温での反応性に富み、低温での結晶化も起こりやすいために本発明での使用に好都合である。この場合、好ましい酸としては、塩酸、硝酸等が挙げられるが、前記残留ハロゲンの影響を考慮すると硝酸を用いるのが好ましい。また、アルカリとしてはアンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0040】
添加され得る酸化物半導体微粒子前駆体の混合比(添加量)は、酸化物半導体微粒子に対し、2〜40wt%である。2wt%未満では添加した効果が現れにくい。また、酸化物半導体微粒子前駆体が粒子化、結晶化する過程においては体積収縮が起こる。そのため、40wt%を超えるような大量の添加では膜全体の体積収縮が大きくなり、クラックの発生、それに伴う導電性表面からの膜の剥離が起こり、電池特性が悪化するおそれがある。
【0041】
酸化物半導体微粒子を含む塗布液は、ゾルまたはスラリ−の形態で得ることができる。このような形態において、使用される溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液などが挙げられる。有機溶媒としては、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、テルピネオ−ル等のアルコ−ル、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ジメチルホルムアミド、ピリジン等の塩基性溶媒等が挙げられる。溶媒への酸化物半導体微粒子の分散性を高めるため、酸もしくはアルカリを添加させて、塗布液のpHを酸化物半導体微粒子の等電点近傍のpHからなるべく遠ざけるのが好ましい。この際に好適に使用される酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸、ギ酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。好適に使用されるアルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属塩基、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウム塩基等が挙げられる。また、塗布液中には必要に応じ、界面活性剤や粘度調整剤を添加することができる。
【0042】
このようにして調製された塗布液は、緻密構造の第1の金属酸化物半導体膜30の上に塗布され、所定の処理がなされた後に、多孔質の第2の金属酸化物半導体膜6が構成される。
【0043】
本発明における多孔質の第2の金属酸化物半導体膜6は、その厚さが少なくとも10nm以上、好ましくは500〜30000nmとされる。さらに、多孔質の第2の金属酸化物半導体膜6は、その見かけ表面積に対する実表面積の比を10以上、好ましくは100以上とすることが望ましい。この比の上限は特に規制されないが、通常、1000〜2000である。
【0044】
上記見かけの表面積とは、通常の表面積を意味し、例えば、その表面形状が長方形の場合には、(縦の長さ)×(横の長さ)で表される。前述した実表面積とは、クリプトンガスの吸着量により求めたBET表面積を意味する。具体的測定には、BET表面積測定装置(マイクロメリティクス社製、ASAP2000)を用い、見かけ表面積1cm2の酸化物半導体膜(基板の上に形成されている)に、液体窒素温度でクリプトンガスを吸着させる方法が用いられる。この測定方法により得られたクリプトンガス吸着量に基づいてBET表面積が算出される。
【0045】
このような多孔質構造の第2の金属酸化物半導体膜6は、その内部に微細な細孔とその表面に微細凹凸を有するものである。第2の金属酸化物半導体膜6の厚さおよび見かけ表面積に対する実表面積の比が前記範囲より小さくなると、その表面に有機色素を単分子膜として吸着させたときに、その有機色素単分子膜の表面積が小さくなり、光吸収効率の良い電極を得ることが困難となる。
【0046】
本発明において、第1の金属酸化物半導体膜30の上に第2の金属酸化物半導体膜6を好適に形成させるには、酸化物半導体微粒子を含む塗布液を、スピンコ−ト法、スプレ−法、ディッピング法、スクリ−ン印刷法、ドクタ−ブレ−ド法等の塗布、印刷法により行うことができる。
【0047】
塗布液中の酸化物半導体微粒子の最適濃度は、塗布、印刷方法によって異なる。一般的には0.1〜70重量%、好ましくは0.5〜40重量%である。
【0048】
酸化物半導体微粒子を前記の塗布方法を用いて膜として形成した後、一般に、高温加熱処理が行われる。これにより、酸化物半導体粒子同士の結合性、および酸化物半導体微粒子と導電性表面との結合性を高めることができ、導電性を向上させ電池特性の向上を図ることができる。
【0049】
処理温度(焼成温度)は、1000℃より低く、通常、300〜800℃、より好ましくは400〜500℃とされる。
【0050】
第2の金属酸化物半導体膜の表面に吸着された有機色素7の構成
次いで、このようにして得られた多孔質の第2の金属酸化物半導体膜6の表面には、有機色素が単分子として吸着させられる。有機色素としては、第2の金属酸化物半導体膜6と化学的に結合することができる色素が好ましく、分子内にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、もしくは水酸基を有するものが好ましい。
【0051】
具体的には、ビピリジルRu錯体、タ−ピリジルRu錯体、フェナントロリンRu錯体、ビシンコニン酸Ru錯体などのRu錯体、フタロシアニンRu錯体、エオシンY、ジブロモフルオレセイン、フルオレセイン、ロ−ダミンB、ピロガロ−ル、ジクロロフルオレセイン、エリスロシンB、フルオレシン、マ−キュロクロム、シアニン、メロシアニン等の有機色素が挙げられる。
【0052】
多孔質の第2の金属酸化物半導体膜6の表面に、有機色素を単分子として吸着させるには、有機色素を有機溶媒に溶解させて形成した有機色素溶液中に、第2の金属酸化物半導体膜6を基板とともに浸漬させればよい。この場合、有機色素溶液が、多孔質構造の膜である第2の金属酸化物半導体膜6の内部深くに進入することができるように、第2の金属酸化物半導体膜6を有機色素への浸漬に先立ち、減圧処理したり、加熱処理して、第2の金属酸化物半導体膜6中に含まれる気泡をあらかじめ除去しておくことが好ましい。浸漬時間は30分〜24時間程度とすればよい。有機色素の吸着を効率よく行うため、還流処理を行っても良い。また、浸漬処理は、必要に応じ、複数回繰り返し行うこともできる。このような浸漬処理を行った後、有機色素を吸着した第2の金属酸化物半導体膜6は、通常、常温〜80℃の温度条件下で乾燥させられる。
【0053】
本発明においては、第2の金属酸化物半導体膜6に吸着される有機色素は、1種である必要はなく、必要によっては光吸収領域の異なる複数の有機色素を吸着させることが出来る。これによって、光を効率よく利用することが出来る。複数の有機色素を膜に吸着させるには、複数の有機色素を含む溶液中に第2の金属酸化物半導体膜6を浸漬する方法や、有機色素溶液を複数種類、用意し、これらの溶液に第2の金属酸化物半導体膜6を順次浸漬する方法等が挙げられる。
【0054】
有機色素を有機溶媒に溶解させた溶液において、その有機溶媒としては、有機色素を溶解しうるものであれば任意のものが使用可能である。このような溶媒としては、例えば、メタノ−ル、エタノ−ル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジクロロメタン、トルエン等が挙げられる。溶液中の有機色素の濃度は、溶液100ml中、1〜200mg、好ましくは10〜100mg程度とされる。
【0055】
本発明の色素増感型光電変換素子1(色素増感型太陽電池)は、前述したごとく表面に色素が吸着された光電変換用酸化物半導体電極70と、これと対をなす対向電極80と、それらの電極に接触する固体電荷移動層40とを有して構成される。
【0056】
固体電荷移動層40の構成
固体電荷移動層40の好適例としては、固体電解質が挙げられる。特に、固体中のキャリアー移動が電気伝導にかかわる材料、すなわち、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料、を用いることが好ましい。
【0057】
本発明に適用可能な有機正孔輸送材料としては、芳香族アミン類やトリフェニレン誘導体類を好適に用いることができる。オリゴチオフェン化合物、ポリピロール、ポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ(p-フェニレン)およびその誘導体、ポリ(p-フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリトルイジンおよびその誘導体等の導電性高分子を好適に使用することができる。
【0058】
無機正孔輸送材料としては、p型無機化合物半導体を用いることができる。この目的のp型無機化合物半導体は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、さらに2.5eV以上であることが好ましい。また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元できる条件から、色素吸着電極のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によってp型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下であることが好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下であることが好ましい。
【0059】
好ましいp型無機化合物半導体は一価の銅を含む化合物半導体である。具体的に、一価の銅を含む化合物半導体の例としてはCuI、CuSCN、CuInSe2、Cu(In,Ga)Se2、CuGaSe2、Cu2O、CuS、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2などが挙げられる。このほかのp型無機化合物半導体として、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi2O3、MoO2、Cr2O3等を用いることができる。
【0060】
このような固体電荷移動層の形成方法に関しては、光電変換用酸化物半導体電極70の上に直接、固体電荷移動層40を形成する方法で、対極80はその後に形成付与することになる。
【0061】
有機正孔輸送材料は、真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法等の手法により電極内部に導入することができる。無機固体化合物の場合も、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解メッキ法等の手法により電極内部に導入することができる。
【0062】
このように形成される固体電荷移動層40(特に、正孔(ホール)輸送材料)のごく一部は、図1に示されるように多孔質構造の源である金属半導体膜粒子の隙間に固体正孔輸送性材料が部分的に浸透する形態となることがある。すなわち、粒子間を浸透した固体正孔輸送性材料41が第1の金属酸化物半導体膜30と直接的に接触することがある。
【0063】
対極80の構成
対極80は、導電性材料からなる対極導電層の単層構造でもよいし、図1に示されるように対極導電層21と支持基板50との組み合わせ構造体から構成されていてもよい。対極導電層21に用いる導電材としては、金属(例えば白金、金、銀、銅、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素、または導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドープ酸化スズ、等)が挙げられる。対極の好ましい支持基板50としては、ガラスまたはプラスチックが例示でき、これに導電剤を塗布または蒸着して上記導電層21が形成される。
【0064】
本発明においては、前記光電変換用酸化物半導体電極70と対極80のいずれか一方または両方から光を照射してよいので、有機色素の層に光が到達するためには、光電変換用酸化物半導体電極70と対極80の少なくとも一方が実質的に透明であれば良い。このような構造の素子は、その光電変換用酸化物半導体電極70に太陽光または太陽光と同等な可視光を当てると、光電変換用酸化物半導体電極70とその対極80との間に電位差が生じ、両極70,80間に電流が流れるように作用する。より詳細な作用は以下のとおり。
【0065】
有機色素7を担持した多孔質の第2の金属酸化物半導体膜6に入射した光は、有機色素7を励起する。励起された有機色素7の高エネルギーの電子が多孔質の第2の金属酸化物半導体膜6および第1の金属酸化物半導体膜30の伝導帯に渡され、さらに透明導電層11に到達する。
【0066】
電子注入した後の有機色素7は、電子の欠損した酸化体ラジカル(正孔)となるが、固体正孔輸送層40などの固体電荷移動層(40)によって電子的に還元されて速やかに再生される。固体正孔輸送層40中に生じた正孔は陽極である対極80に移動し、陰極70から外部回路を経て移動してきた電子と再結合する。このようにして、陰極から陽極に外部電極を通って一方向の電子の流れが生じ、これが外部回路で光電流として観測される。
【0067】
本発明においては、金属薄膜を形成した後に陽極酸化処理することにより形成された緻密状の第1の金属酸化物半導体膜30が、透明導電層11と多孔質の第2の金属酸化物半導体膜6の間に介在されている。そのため、第2の金属酸化物半導体膜6を構成している金属酸化物半導体粒子の間の間隙に固体正孔輸送材料が流入(浸透)した構造であっても内部短絡、すなわち、光励起された有機色素から多孔質金属半導体膜を経て、透明導電層表面へ到達した電子が外部回路へと取り出される前に、固体正孔輸送性材料の方へ戻ってしまう現象を回避することができる。第1の金属酸化物半導体膜30は極めて緻密性に優れ、膜の安定性も極めてよい。
【0068】
上述してきた色素増感型光電変換素子をいわゆる色素増感型太陽電池に適用する場合、そのセル内部の構造は基本的に同じである。太陽電池は光電変換素子にリード等を配置し、外部回路で仕事をさせるようにしたものである。外部回路の構成は従来公知のものであってよい。
【0069】
また、本発明における色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的に同様のモジュール構造をとることができる。
【0070】
【実施例】
次に本発明の具体的な実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0071】
〔実施例1〕
光電変換用酸化物半導体電極70の作製
以下の要領で光電変換用酸化物半導体電極70(酸化チタン電極)を作製した。縦2.0cm、横1.5cm、厚さ1.0mmの導電性ガラス基板(F−SnO2、シート抵抗10Ω/□)の導電層側に膜厚60nmのチタン金属薄膜をスパッタリング法で形成した。
【0072】
電解液として7wt%の硫酸水溶液を用い、前記基板を陽極とし、白金メッシュを陰極として、前記チタン金属薄膜の電気化学的酸化処理を行なった。すなわち、陽極酸化電圧30Vで20分間の陽極酸化処理を行い、いわゆる緻密酸化チタン膜を形成した(第1の金属酸化物半導体膜30の形成)。酸化チタン膜の形成後、純水で洗浄し、150℃で30分乾燥させた。
【0073】
乾燥後、前記緻密な酸化チタン膜の形成された部分に、縦0.5cm、横0.5cmの四角穴を設けた厚さ70μmのマスキングテ−プを貼り、当該穴の端部に市販されている酸化チタンスラリー(TKS−201、テイカ製)3μlをピペットで添加した。この添加した酸化チタンスラリーを縁が平らなガラス板を用いて引き延ばすことにより基板の上に広げて平滑面とした。このようにして広げた膜を空気中で30分間乾燥し、乾燥後マスキングテープを剥がし取った。次に、電気炉を用いて500℃で30分間焼成し、多孔質チタン膜を作製した(第2の金属酸化物半導体膜6の形成)。昇温速度は10℃/minとした。
【0074】
焼成後、基板温度が80℃まで下がったところで、有機色素として、(4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)ジイソチアネ−トを3×10−4M濃度で添加した無水エタノ−ル溶液20mlに浸漬し、1時間還流した後、12時間放置した。放置後、酸化チタン電極を取り出し無水アセトニトリルで洗浄した。基板上の酸化チタン膜は吸着されたルテニウム色素により深紅色となった(有機色素7の吸着形成)。
【0075】
色素増感型光電変換素子(色素増感型太陽電池)の作製
上記の光電変換用酸化物半導体電極70(酸化チタン電極)を用いて、以下の要領で色素増感型光電変換素子1の作製を行った。
【0076】
すなわち、上記電極の有機色素を含む多孔質酸化チタン膜部分(0.5cm×0.5cm角)以外をマスキングテープで保護した後、100℃に加熱したホットプレートに載せて2分間放置した。その後、CuIのアセトニトリル溶液(3.2重量%)0.2mlを10分程度かけて、アセトニトリルを揮発させながらゆっくりと酸化チタン膜上に加えた。添加後2分間ホットプレート上に放置してCuI(正孔輸送)層を形成した。
【0077】
ついで、このCuI(正孔輸送)層の上に白金を蒸着(膜厚100nm)したガラスと加圧しながら重ね合わせた後、受光部である光電変換用酸化物半導体電極(酸化チタン電極)側を残して、全体をエポキシ樹脂接着剤でシールし、色素増感型光電変換素子1(電池)を作製した。
【0078】
AM1.5(1000W/m2)のソ−ラ−シミュレ−タ−を用いて、開放電圧(Voc)、光電流密度(Jsc)、形状因子(FF)、変換効率(η)の測定を行い電池特性評価とした。
【0079】
開放電圧(Voc)とは、太陽電池セル・モジュールの出力端子を開放したときの両端子間の電圧を表している。光電流密度(Jsc)とは、太陽電池セル・モジュールの出力端子を短絡させたときの両端子間に流れる電流(1cm2当たり)を表している。形状因子(FF)は、最大出力Pmaxを開放電圧(Voc)と光電流密度(Jsc)の積で除した値(FF=Pmax/Voc・Jsc)をいい、太陽電池としての電流電圧特性曲線の特性を表すパラメータである。なお、サンプル評価に際しては、特性の安定性(逆の見方をすれば、特性のバラツキ)を評価するために、1つの仕様について10個のサンプルを作製し、それぞれについて上記各電池特性評価を行なった。
【0080】
これらの結果を下記表1に示した。
【0081】
【表1】
【0082】
〔実施例2〕
上記実施例1における緻密状の酸化チタン膜(第1の金属酸化物半導体膜30)の形成において、チタン金属薄膜の成膜方法をスパッタリング法から蒸着法に変えた。それ以外は、上記実施例1と同様の条件で、実施例2のサンプルを作製した。このサンプルについて、上記と同じ要領で電池特性評価を行ない、その結果を下記表2に示した。
【0083】
【表2】
【0084】
〔比較例1〕
上記実施例1における緻密状の酸化チタン膜(第1の金属酸化物半導体膜30)を、ゾルーゲル法を用いて形成した下記の酸化チタン膜に変えた。
【0085】
すなわち、縦2.0cm、横1.5cm、厚さ1.0mmの導電性ガラス基板(F−SnO2、シート抵抗10Ω/□)の導電層側の上端に縦0.5cm、横1.5cmのマスキングテープを貼り、さらに裏面(導電層面の反対側)全体を覆うように縦2.0cm、横1.5cmのマスキングテープを貼った。ジエタノールアミンによって安定化した0.5Mチタンテトライソプロポキシドのエタノール溶液中に上記基板を浸漬した後、引き上げることによって、チタンテトライソプロポキシド由来の薄膜を形成した。引き上げ速度は2cm/minとした。マスキングテープを剥離した後、500℃で30分間焼成した。昇温温度は10℃/minとした。
【0086】
その後、上記実施例1と同様の条件で、多孔質酸化チタン膜(第2の金属酸化物半導体膜6)の形成、当該多孔質酸化チタン膜への有機色素の吸着、固体正孔輸送層の形成、対極の形成、シールを行い比較例1のサンプルを作製した。このサンプルについて、上記と同じ要領で電池特性評価を行ない、その結果を下記表3に示した。
【0087】
【表3】
【0088】
〔比較例2〕
上記実施例1における緻密状の酸化チタン膜(第1の金属酸化物半導体膜30)の形成において、形成方法をニ酸化チタンのスパッタリング法での形成に変えた。直接、ニ酸化チタンのスパッタ膜を形成しているので、その後の陽極酸化処理はもちろん行なわなかった。それ以外は、上記実施例1と同様の条件で、比較例2のサンプルを作製した。このサンプルについて、上記と同じ要領で電池特性評価を行ない、その結果を下記表4に示した。
【0089】
【表4】
【0090】
〔比較例3〕
【0091】
上記実施例2における緻密状の酸化チタン膜(第1の金属酸化物半導体膜30)の形成において、形成方法をニ酸化チタンの蒸着法での形成に変えた。直接、ニ酸化チタンの蒸着膜を形成しているので、その後の陽極酸化処理はもちろん行なわなかった。それ以外は、上記実施例2と同様の条件で、比較例3のサンプルを作製した。このサンプルについて、上記と同じ要領で電池特性評価を行ない、その結果を下記表5に示した。
【0092】
【表5】
【0093】
〔比較例4〕
上記実施例1における緻密酸化チタン膜(第1の金属酸化物半導体膜30)の形成を下記のように変えた。
【0094】
縦2.0cm、横1.5cm、厚さ1.0mmの導電性ガラス基板(F−SnO2、シート抵抗10Ω/□)の導電層側の一部をガラスで覆って保護した後に、400℃のホットプレート上に置き、スプレーパイロリシス法(チタニウムイソプロポキシド5.68g、アセチルアセトン4.1ml、エタノール80mlの溶液を噴霧)により二酸化チタン薄膜を形成した。直接、ニ酸化チタンの薄膜を形成しているので、その後の陽極酸化処理はもちろん行なわなかった。
【0095】
それ以外は、上記実施例1と同様の条件で、比較例4のサンプルを作製した。このサンプルについて、上記と同じ要領で電池特性評価を行ない、その結果を下記表6に示した。
【0096】
【表6】
【0097】
【発明の効果】
上記の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は、透明導電層を有する基板と、この透明導電層の表面に形成された第1の金属酸化物半導体膜と、この第1の金属酸化物半導体膜の上に形成された第2の金属酸化物半導体膜と、この第2の金属酸化物半導体膜の表面に吸着された有機色素を有する光電変換用酸化物半導体電極であって、前記第1の金属酸化物半導体膜が、酸化対象となる金属薄膜を形成した後に、この金属薄膜を陽極酸化処理することにより形成されているので、素子内部の短絡を抑制し、信頼性、光エネルギー変換効率に優れた色素増感型光電変換素子を提供することができる。特性の安定性も極めて優れており、品質の信頼性も極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色素増感型光電変換素子の模式的構成例を示した図面である。
【符号の説明】
1…色素増感型光電変換素子
6…第2の金属酸化物半導体膜
7…有機色素
11…透明導電性層
30…第1の金属酸化物半導体膜
40…固体電荷移動層
50…基板
70…光電変換用酸化物半導体電極
80…対極(対向電極)
Claims (2)
- 透明導電層を有する基板と、
前記透明導電層の表面に形成された膜厚が10〜100nmの緻密な膜からなる第1の金属酸化物半導体膜と、
前記第1の金属酸化物半導体膜の上に形成された第2の金属酸化物半導体膜と、
前記第2の金属酸化物半導体膜の表面に吸着された有機色素を有する光電変換用酸化物半導体電極の製造方法であって、
該方法は、
透明導電層を有する基板を準備する工程と、
前記透明導電層の表面に第1の金属酸化物半導体膜を形成する第1の金属酸化物半導体膜形成工程と、
前記第1の金属酸化物半導体膜の上に第2の金属酸化物半導体膜を形成する第2の金属酸化物半導体膜形成工程と、
前記第2の金属酸化物半導体膜の表面に有機色素を吸着させる有機色素形成工程とを、含み、
前記第1の金属酸化物半導体膜は、Ti,Ta,Al,Mg,Nb,Zr,Zn,Siのグループから選択された少なくとも1つの金属の薄膜を蒸着またはスパッタリングにより形成した後に、当該金属薄膜を陽極酸化処理することにより形成され、
前記第2の金属酸化物半導体膜は、酸化物半導体微粒子を含む塗布液を作製し、当該塗布液を塗布形成した後に高温加熱処理することにより形成されることを特徴とする光電変換用酸化物半導体電極の製造方法。 - 前記第2の金属酸化物半導体膜は、膜厚が10〜30000nmで、見かけ表面積に対する実表面積の比が10〜2000の多孔質の膜である請求項1に記載の光電変換用酸化物半導体電極の製造方法。
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