JP4741263B2 - チタニアナノアレイ電極の製造方法およびそれを用いた光電変換素子 - Google Patents

チタニアナノアレイ電極の製造方法およびそれを用いた光電変換素子 Download PDF

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Description

本発明はチタニアナノアレイ電極の製造方法およびそれを用いた光電変換素子に関する。
色素増感型太陽電池は、グレッツェルらにより提案(例えば、非特許文献1および特許文献1、2参照。)されて以来、安価な材料、シンプルなプロセスで作製できることから、シリコンに代わる次世代低コスト太陽電池としてその実用化が期待されている。色素増感型太陽電池には、通常、ナノ粒子から構成されるチタニアに色素が吸着したチタニア電極が用いられるが、粒子同士の粒塊が太陽電池性能の向上を抑制する要因ともなっている。そこで、チタニアをナノチューブ形状にすることで、粒塊の低減および電子電導性の向上を達成するための試みが提案されている(例えば、非特許文献2、3および特許文献3、4参照。)。
しかしながら、これらの試みのほとんどが、チタニアナノチューブを分散したペーストを透明導電性基板に塗布することによりチタニア層を形成しており、チタニア層内のチタニアナノチューブはランダムに配置されてしまうため、あまり大きな性能改善効果が見られていないのが現状である。一方、チタニアの製造方法として、チタンを陽極酸化する方法がある。陽極酸化とは、種々の水溶液中にてチタン金属を陽極、任意の導電性材料を陰極とし、電圧を印加することにより、チタンを電気化学的に酸化し、表面にその酸化物であるチタニアを形成する方法であり、他の製造方法に比べて成膜速度が速く、基板が大面積であっても均一に製造できるという利点がある。最近ではグライムらがチタン金属をフッ酸中で陽極酸化することでチューブ形状のチタニアナノアレイが得られることを報告している(非特許文献4参照)。しかしながらこの方法では、直径に対する長さの比を示すアスペクト比は6未満と非常に短いチューブしか作製できず、十分な色素吸着量が得られないのが実情である。また、この方法で得られるチタニアは金属チタン基板上に形成されるため、通常の透明導電基板上に形成されるチタニアのようにチタニア側から光を入射することができないという問題がある。
米国特許第4190950号明細書 国際公開第94 /04497号パンフレット 特開2003−034531号公報 特開2004−207012号公報 「ネイチャー(Nature)」,(英国),1991年,第353 巻,p.737−740 「ジャーナル・オブ・フォトケミストリー・アンド・フォトバイオロジー・A:ケミストリー(Journal of Photochemistry and Photobiology A: Chemistry )」,(オランダ国),2004年,第164巻,p.145−151 「エレクトロケミストリー(Electrochemistry)」,2002年,第70巻,p.52−54 シー・グリムズ 外,「ジャーナル・オブ・マティリアルズ・リサーチ(Journal of Materials Research)」,(米国),2001年,第16巻,p.3331−3334
本発明はこのような実状に鑑み成されたものであり、透明導電基板上に高アスペクト比のナノチューブ形状のチタニアから構成されるチタニアナノアレイ電極の製造方法およびそれを用いた光電変換素子を提供するものである。
本発明者らは前記課題について鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、チタン金属もしくはチタンを主成分とする合金上に透明導電膜を形成し、さらに当該透明導電膜上に透明基板を貼り付けた電極を、塩素原子を含有するイオンを含む電解質溶液中で、陽極酸化することを特徴とするチタニアナノアレイ電極の製造方法に関する。
また、本発明は、塩素原子を含有するイオンを含む電解質溶液に、水溶性のチタン化合物を共存させて陽極酸化を行うことを特徴とする前記記載の製造方法に関する。
また、本発明は、塩素原子を含有するイオンを含む電解質溶液に、異種の酸性化合物を共存させて陽極酸化を行うことを特徴とする前記記載の製造方法に関する。
また、本発明は、塩素原子を含有するイオンを含む電解質溶液に、チタニア微粒子を共存させて陽極酸化を行うことを特徴とする前記記載の製造方法に関する。
また、本発明は、前記電解質溶液が過塩素酸水溶液であることを特徴とする前記記載の製造方法に関する。
また、本発明は、前記記載の方法で製造されたチタニアナノアレイ電極を、100〜1200℃の温度で10〜500分加熱処理することを特徴とする結晶性が向上されたチタニアナノアレイ電極の製造方法に関する。
また、本発明は、増感剤により修飾された前記記載のチタニアナノアレイ電極を用いたことを特徴とする光電変換素子に関する。
以下、本発明について詳述する。
本発明のチタニアナノアレイ電極は、チタン金属もしくはチタンを主成分とする合金(以下、チタン合金という。)上に透明導電膜を形成し、さらに当該透明導電膜上に透明基板を貼り付けた電極を以下に記載する方法で陽極酸化することにより得ることができる。
本発明にかかる陽極酸化は、電解質中でチタンまたはチタン合金を陽極、任意の導電材料を陰極とし、電圧をかけることにより、陽極表面上にチタンの酸化物を形成する技術であり、陽極酸化処理中にチタンまたはチタン合金が陽極である状態が一度でもあればよく、陽極と陰極を交互に実施する場合も含む。
本発明においてチタンまたはチタン合金としては、酸素、鉄、窒素、水素で材質を調製した工業用純チタンや、ある程度のプレス成形性を有するチタン合金を用いることができ、JIS1種、2種、3種、4種の各種工業用純チタンや、ニッケル、ルテニウム、タンタル、パラジウム等を添加し耐食性を向上させた合金、アルミニウム、バナジウム、モリブデン、錫、鉄、クロム、ニオブ等を添加した合金等をその一例として挙げられる。なお、本発明においてチタン合金とは、チタンを50%以上含むものをいう。
また形状に関しては、チタンまたはチタン合金の板状、ロッド状、メッシュ状等の様々な形状に加え、板、ロッド、メッシュといった形状の異種導電性材料表面にチタンまたはチタン合金を膜として成長させたもの、板、ロッド、メッシュといった形状の半導体もしくは絶縁性材料表面にチタンまたはその合金を膜として成長させたもの等挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、表面の平滑性に関しては、陽極酸化工程においては、複雑な形状の表面構造であってもチタニアを成長させることが可能であり、その平滑性は制限されない。
次に、チタン金属もしくはチタンを主成分とする合金上に透明導電膜を形成する。
透明導電膜としては、錫や亜鉛などの金属酸化物に、他の金属元素を微量ドープしたIndium Tin Oxide(ITO(In:Sn))、Fluorine doped Tin Oxide(FTO(SnO:F))、Aluminum doped Zinc Oxide(AZO(ZnO:Al))などの金属酸化物などの材料が挙げられる。
形成する透明導電膜の膜厚は通常、10nm〜5000nm、好ましくは100nm〜3000nmである。また、表面抵抗(抵抗率)は、通常、0.5〜500Ω/sq、好ましくは2〜50Ω/sqである。
また、透明導電膜の形成法としては、特に限定されなく、前述の金属酸化物の種類により適宜公知の方法が選択使用されるところであるが、通常、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVDあるいはスパッタリング法などの真空成膜法や、電析法、電気泳動法、電解メッキ、無電解メッキなどの湿式成膜法が用いられる。真空成膜法では、基板温度20〜700℃の範囲内で形成されるのが望ましく、湿式成膜法では、基板温度−20〜300℃の範囲内で形成されるのが望ましい。
次に、透明導電膜上に透明基板を貼り付ける。
用いる透明基板としては、透明であれば、特に限定されず、例えば無色あるいは有色のソーダライムガラスやパイレックス(登録商標)ガラス、白板と呼ばれる高透過率ガラス、合成石英や溶融石英、アルミナ、ジルコニア等の無機材料の他、無色あるいは有色の樹脂でも良い。樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。なお、本発明における透明性とは、10〜100%の透過率、好ましくは50%以上の透過率を有することである。
透明導電膜上に前述した透明基板を貼り付ける方法としては、透明性を阻害しなければ特に限定されず、各種接着剤、粘着剤、接着性フィルム等を用いて、通常の方法により貼り付けることができる。
このようにして、チタン金属もしくはチタンを主成分とする合金上に透明導電膜を形成し、さらに当該透明導電膜上に透明基板を貼り付けた電極を、塩素原子を含有するイオンを含む電解質溶液中で、陽極酸化する。
陽極酸化に用いられる電解質溶液としては、チタンまたはチタン合金をアノード分極した際に、チタンもしくはチタン合金を溶解させることができる溶解力が必要であり、本発明において用いる電解質溶液には、塩素原子を含有するイオンが含まれることが必須である。ここでいう塩素原子を含有するイオンとは、具体的には、塩化物イオン、過塩素酸イオン、塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン等が挙げられる。これらのイオンは単独でもよいし、二種以上の混合物として用いることも可能である。
これらのイオンを含む電解質溶液としては、具体的には、これらのイオンを形成する酸もしくは塩の水溶液が用いられる。その濃度は、酸もしくは塩として、0.001〜50容量%が好ましく、より好ましくは0.005〜10容量%、さらに好ましくは0.01〜5容量%の範囲である。
本発明においては、電解質溶液としては過塩素酸水溶液が特に好適である。
電解質溶液には、水溶性のチタン化合物を含有させても良い。水溶性のチタン化合物は一般的に水溶液中で加水分解してチタニアを生成するため、これを含有させることにより、陽極酸化により生じたチタニアの表面に、さらに加水分解によりチタニアが生成することで、チタニアの電解質溶液への再溶解を防ぎ、チタニアのアスペクト比を大きくすることができる。
かかる水溶性のチタン化合物としては、チタンイソプロポキシド等のチタンアルコキシド、三塩化チタン、四塩化チタン、フッ化チタン、テトラフルオロチタン酸アンモニウム、硫酸チタン、硫酸チタニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。その濃度は、塩素原子含有イオンに対して、モル比で0.001〜1000が好ましく、より好ましくは0.01〜50、さらに好ましくは0.04〜5の範囲で用いられる。
また、電解質溶液には、塩素原子を含有するイオンを形成する酸もしくは塩とは異種の酸性化合物を含有させても良い。酸性化合物を含有させることにより、陽極酸化速度を促進または抑制するといった、反応速度を制御することができる。
かかる酸性化合物としては、硫酸、硝酸、酢酸、過酸化水素、シュウ酸、リン酸、クロム酸、グリセロリン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。その濃度は、塩素原子含有イオンに対して、モル比で0.001〜1000が好ましく、より好ましくは0.01〜50、さらに好ましくは0.04〜5の範囲で用いられる。
また、電解質溶液には、チタニア微粒子を含有させても良い。チタニア微粒子を含有させることにより、生成したチタニアが電解質溶液に再溶解することを防ぎ、チタニアのアスペクト比を大きくすることができる。
かかるチタニア微粒子としては、粒径が0.5〜100nmのものが好ましく、より好ましくは2〜30nmのものが使用される。具体的には、チタン鉱石から液相法により調製したものや、気相法、ゾル・ゲル法、液相成長法で合成したものを挙げることができる。ここで、気相法とは、チタン鉱石を、硫酸等の強酸で、加熱加水分解して得られる含水酸化チタンを800℃〜850℃で焼成してチタニアを製造する方法である。液相法とは、塩化チタンに酸素及び水素を接触させて、チタニアを製造する方法である。ゾル・ゲル法とは、チタンアルコキシドをアルコール水溶液中で加水分解させてゾルを生成させ、さらに、該ゾルに加水分解触媒を加えて、放置してゲル化させ、該ゲル化物を焼成してチタニアを製造する方法である。液相成長法とはフッ化チタンやテトラフルオロチタン酸アンモニウム、硫酸チタニル等の加水分解でチタニアを得る方法である。
陽極酸化は、通常、印加電圧が5〜200V、好ましくは10〜100V、電流密度が0.2〜500mA/cm、好ましくは0.5〜100mA/cmの範囲で、1分〜24時間、好ましくは5分〜10時間行われる。この際、パルス的に印加電圧や電流密度を変化させることもできる。この際のパルスの周期としては特に限定されないが、0.001Hz〜1MHz、好ましくは0.01Hz〜10000Hz、さらに好ましくは0.1Hz〜1000Hzが挙げられる。また、パルスの振幅は、前述の印加電圧、電流密度の範囲内であれば特に限定されず、ON−OFF型パルス、陽極−陰極反転型のパルスなどが挙げられる。
また、陽極酸化時の電解質水溶液の温度は0〜50℃が好ましく、より好ましくは0〜40℃である。
上記の方法により、高アスペクト比のナノチューブ形状のチタニアを有するチタニアナノアレイ電極を得ることができる。
アスペクト比は直径に対する長さの比であり、本発明の方法を用いることによりアスペクト比が6以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上のナノチューブ形状のチタニアから構成されるチタニアナノアレイ電極を得ることができる。
また、本発明のチタニアナノアレイ電極を構成するナノチューブ形状のチタニアの直径は、製造条件等により異なるが、通常5nm〜500nmであり、好ましくは10nm〜300nmである。長さについても、製造条件等により異なるが、通常0.1μm〜100μmであり、好ましくは1μm〜50μmである。
得られたチタニアナノアレイ電極は、必要により、加熱処理、水蒸気処理、紫外線照射、マイクロ波照射等の後処理を行うことで、チタニアナノアレイ電極を構成するナノチューブ形状のチタニアの結晶構造(アナターゼ、ルチル、ブルッカイト、及びそれらの混晶)を成長させることができる。例えば、加熱処理の場合、100℃〜1200℃の温度で10分〜500分、好ましくは、300℃〜800℃の温度で30分〜160分処理を行うことで、チタニアの結晶性が向上することが期待できる。これらの処理により、構造体は崩壊しない。
本発明における光電変換素子の構成の一例としては、図1に示すような、増感剤により修飾された本発明のチタニアナノアレイ電極と対向電極の間に電荷輸送層がサンドイッチされた構成が挙げられる。
対向電極としては、それ自身が導電性あるいは少なくとも一方の面が導電性であればよく、前述の透明導電膜を備えた透明導電性基板でも、また不透明な導電性基板でも良い。不透明な導電性基板としては、種々の金属製電極のほか、例えばガラス基板上に成膜されたAu、Pt、Cr、カーボンなどを挙げることができる。また、電荷輸送層との電子移動反応を促進する等の目的で、対向基板の導電層上に触媒層を設けることが好ましい。触媒層を構成する材料としては、例えば、白金などの貴金属、ポリジオキシチオフェン、ポリピロールのような導電性有機化合物や各種カーボン材料などを例示することができる。触媒層を形成することの可能なカーボン材料としては、特に制限されることは無いが、例えば、ボロンなどでドープしたダイアモンド薄膜、黒鉛やグラファイト、ガラス状カーボン、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、活性炭、石油コークス、C60やC70などのフラーレン類、単層または多重層のカーボンナノチューブなどを挙げることができる。なお、カーボン材料の形状としては、最終的にカーボン層を形成するものであれば、特に限定されなく、原料形状としては、液体状、ガス状、固体状(粉末、短繊維、長繊維、織布、不織布など)のいずれの形態でもよい。
触媒層の形成方法としては特に制限されなく、公知の方法を採用することができる。例えば、触媒材料およびバインダーを混合してペースト状とし基板表面にスクリーン印刷、平板印刷、グラビア印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、特殊印刷する方法、ドクターブレード法、基板上にあらかじめ溝を形成しておき、該溝に触媒材料およびバインダーを混合したペーストを充填した後、へら等で余剰のペーストを除去する方法等により製造することができる。ペーストを基板表面に配置した後、加熱等によって導電性や密着性を向上させても良い。加熱には、オーブンやマッフル炉、電気炉の他、赤外線加熱等を利用しても良い。焼成温度は、用いるペーストおよび基板材料によって異なるが、好ましくは50℃〜700℃、より好ましくは100℃〜600℃、さらに好ましくは200℃〜500℃である。また、必要に応じて窒素雰囲気下で焼成を行っても良い。あるいは、熱CVD、プラズマCVDなどのCVD、イオンビームスパッタリングなどのスパッタリング、PLD、アーク法などや電析法、電気泳動法、電解メッキ、無電解メッキなどの湿式成膜法を挙げることができる。CVDにより成膜する場合は、成膜基板温度は300℃以上が好ましく、さらに好ましくは500℃以上である。また、CVDの際に電磁波を照射してもよい。また、湿式成膜法では、基板温度−20〜300℃の範囲内で形成されるのが好ましい。
次に本発明のチタニアナノアレイ電極を光電変換素子として使用するに際しては、増感剤で修飾(吸着、付着など)して使用する。
増感剤としては、金属錯体色素、有機色素、天然色素などが挙げられる。色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基などの官能基を有するものが好適に用いられる。金属錯体色素としては、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛、水銀の錯体(例えばメリクルクロム)や金属フタロシアニン、クロロフィル等を用いることができる。
本発明において用いる金属錯体色素としては、以下のようなものが例示される。
(色素1)
ここで、Xは一価のアニオンを示すが、各Xは独立でも、架橋されていていても良い。例えば、次のようなものが例示される。
(色素2)
ここで、Xは前記したXと同じものを表す。またXは一価のアニオンを示し、例えば次のようなものが例示される。
Yとしては、一価アニオンであって、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO -、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSO-等を挙げることができる。
(色素3)
ここでZは、非共有電子対を有する原子団であって、2つのZは独立でも、架橋されていていても良い。例えば、次のようなものが例示される。
Yとしては、一価アニオンであって、ハロゲンイオン、SCN、ClO 、BF 、CFSO -、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSO-等を挙げることができる。
(色素4)
また、有機色素としては、シアニン系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、金属フリーフタロシアニン系色素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明において用いる有機色素としては、以下のようなものが例示される。
色素として用いることができる半導体としては、i型の光吸収係数が大きなアモルファス半導体や直接遷移型半導体、量子サイズ効果を示し、可視光を効率よく吸収する微粒子半導体が好ましい。
また、光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、前述した各種の半導体や金属錯体色素や有機色素の一種、または二種類以上を混合することができる。また目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する増感剤とその割合を選ぶことができる。
前記増感剤をチタニアナノアレイ電極に付着させる方法としては、溶媒に前記増感剤を溶解させた溶液を、チタニアナノアレイ電極上にスプレーコートやスピンコートなどにより塗布した後、乾燥する方法により形成することができる。この場合、適当な温度に基板を加熱しても良い。またはチタニアナノアレイ電極を溶液に浸漬して吸着させる方法を用いることも出来る。浸漬する時間は色素が十分に吸着すれば特に制限されることはないが、好ましくは10分〜30時間、特に好ましくは10分〜20時間である。また、必要に応じて浸漬する際に溶媒や基板を加熱しても良い。好ましくは溶液にする場合の色素の濃度としては、1〜1000mmol/L、好ましくは10〜500mmol/L程度である。
用いる溶媒は特に制限されるものではないが、水及び有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリルなどのニトリル系溶媒、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ブタノンなどのケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが使用可能である。
次に、本発明の光電変換素子に用いられる電荷輸送層に関して説明する。電荷輸送層としては、特に制限されないが、低分子あるいは高分子のホール輸送材料や、電解質が用いられる。ホール輸送材料としてはヨウ化銅、ヨウ化銀などの無機化合物や、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマーやポリチオフェン等の導電性高分子等が挙げられる。電解質としては、特に限定されなく、液体系でも固体系でもいずれでもよく、可逆な電気化学的酸化還元特性を示すものが望ましい。
また、電解質のイオン伝導度は、通常室温で1×10−7S/cm以上、好ましくは1×10−6S/cm以上、さらに好ましくは1×10−5S/cm以上であるものが望ましい。なお、イオン伝導度は、複素インピーダンス法などの一般的な手法で求めることができる。
また、本発明における電解質は、含有する可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質の酸化体の拡散係数が1×10−9cm/s以上、好ましくは1×10−8cm/s以上、さらに好ましくは1×10−7cm/s以上を示すものが望ましい。なお、拡散係数は、イオン伝導性を示す一指標であり、定電位電流特性測定、サイクリックボルタモグラム測定などの一般的な手法で求めることができる。
電解質層の厚さは、特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上であり、また3mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以下である。
液体系の電解質としては特に限定されるものではなく、通常、溶媒、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(溶媒に可溶なもの)およびさらに必要に応じて支持電解質を基本的成分として構成される。また、これらに加え、所望によりさらに紫外線吸収剤、アミン化合物などの他の任意成分を含有させてもよい。
溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられる溶媒であればいずれも使用することができる。具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、3−メチル−2−オキサゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメトキシエタン、プロピオンニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、3−メチル−2−オキサゾリジノン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。また、常温溶融塩類も用いることができる。ここで、常温溶融塩とは、常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示すものである。
常温溶融塩の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(ここで、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を示し、Xはハロゲンイオン、SCN、SeCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、(CSO、ジシアンジアミドイオン、トリシアノメタンイオンまたはチオシアネートを示す。)
(ここで、RおよびRは各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、Xはハロゲンイオン、SCN、SeCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、(CSO、ジシアンジアミドイオン、トリシアノメタンイオンまたはチオシアネートを示す。)
(ここで、R、R、R、Rは、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを示し、互いに同一でも異なってもよい。また、Xはハロゲンイオン、SCN、SeCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、(CSO、ジシアンジアミドイオン、トリシアノメタンイオンまたはチオシアネートイオンを示す。)
これらの溶媒はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
また、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質は、通常、いわゆるレドックス材と称されるものであるが、特にその種類を制限するものではない。かかる物質としては、例えば、フェロセン、p−ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラチアフルバレン、チアントラセン、p−トルイルアミン、フェロシアン酸―フェリシアン酸塩などの錯塩、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ヒドロキノン−キノン、ビオロゲン色素等を挙げることができる。また、ハロゲンイオン、SCN、SeCNから選ばれる対アニオン(X)を有する塩類も好適に用いられる。これらのアニオンを有する塩類としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、グアニジウム塩などが挙げられる。アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩として、具体的には、LiX、NaX、KX、CeX、MgX、CaX等が挙げられる。
また、4級アンモニウム塩としては、具体的には、(CH、(C、(n−C、さらには、
等が挙げられる。
また、4級ホスホニウム塩としては、具体的には、(CH、(C、(C、(C、さらには、
等が挙げられる。
また、イミダゾリウム塩としては、以下の一般式で示されるものが挙げられる。
ここで、RおよびRは各々炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基を示しており、互いに同一でも異なっても良い。また、R〜Rは各々、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基を示しており、互いに同一でも異なっても良い。Xはハロゲンイオン、SCN、またはSeCNを示す。
このようなイミダゾリウム塩の具体例としては、1−プロピル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム塩、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム塩等が挙げられる。
また、グアニジウム塩の具体例としては、塩酸グアニジウム、チアシアン酸グアニジウム、硝酸グアニジウムなどが挙げられる。
もちろん、これらの混合物も好適に用いることができる。
また、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質として、レドックス性常温溶融塩類も用いることができる。ここで、レドックス性常温溶融塩とは、常温において溶融している(即ち液状の)イオン対からなる塩であり、通常、融点が20℃以下であり、20℃を越える温度で液状であるイオン対からなる塩を示すものであって、かつ可逆的な電気化学的酸化還元反応を行うことができるものである。可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質として、レドックス性常温溶融塩類を用いる場合、前記溶媒は用いても、用いなくてもどちらの形態でもよい。
レドックス性常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
レドックス性常温溶融塩の例としては、例えば、前述した常温溶融塩のうち、Xとしてハロゲンイオン、SCNまたはSeCNのものが挙げられる。
レドックス材は、酸化体、還元体のどちらか一方のみを用いてもよいし、酸化体と還元体を適当なモル比で混合し、添加することもできる。また、電気化学的応答性を示すように、これら酸化還元対を添加するなどしても良い。そのような性質を示す材料としては、ハロゲンイオン、SCN、SeCN、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、および(CSOから選ばれる対アニオンを有するフェロセニウムなどのメタロセニウム塩などのほか、ヨウ素、臭素、塩素などのハロゲン類を用いることもできる。
可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質の使用量は、電解質中で析出等の不具合を起こさない限り、特に限定されるものではないが、通常電解質中の濃度として、0.001〜10mol/L、好ましくは、0.01〜1mol/Lであることが望ましい。ただし、レドックス性常温溶融塩類を単独で用いる場合は、この限りではない。
また、必要に応じて加えられる支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類、常温溶融塩類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、環状4級ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、グアニジウム塩などが使用できる。
塩類の具体例としては、ClO 、BF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、PF 、AsF 、CHCOO、CH(C)SO 、(CSO、およびジシアンジアミドイオン(DCA-)から選ばれる対アニオンを有するアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、環状4級ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、あるいはグアニジウム塩が挙げられる。
アルカリ金属、アルカリ土類金属塩の具体例としては、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、CHCOOLi、CH(C)SOLi、Li(CSOC、LiDCA、Mg(ClO2、Mg(BF2、Mg(PF2、Mg(CFSO2、Mg[(CFSON]、Mg[(CSON]、Mg(CHCOO)2、Mg[CH(C)SO]、Mg[(CSOC]、Mg(DCA)2等が挙げられる。
4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩の具体例としては、(CHNBF、(CNBF、(n−CNBF、(CNBr、(CNClO、(n−CNClO、CH(CNBF、(CH(CNBF、(CHNSOCF、(CNSOCF、(n−CNSOCF、さらには、
等が挙げられる。
また4級ホスホニウム塩、環状4級ホスホニウム塩の具体例としては、(CHPBF、(CPBF、(CPBF、(CPBF、さらには、
等が挙げられる。
また、イミダゾリウム塩の具体例としては、1−プロピル−2,3−ジメチル−イミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。
また、グアニジウム塩の具体例としては、塩酸グアニジウム、チアシアン酸グアニジウム、硝酸グアニジウムなどが挙げられる。
また、これらの混合物も好適に用いることができる。
酸類も特に限定されず、無機酸、有機酸などが使用でき、具体的には硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン酸類、カルボン酸類などが使用できる。
アルカリ類も特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがいずれも使用可能である。
常温溶融塩類としては、前記した化合物が用いられる。
以上の支持電解質の使用量については特に制限はなく、任意であるが、通常、電解質中の濃度として、0.01〜10mol/L、好ましくは0.05〜1mol/L程度を含有させることができる。
次に、所望により添加する任意成分に関して説明する。
任意成分としては、紫外線吸収剤、アミン化合物などを挙げることができる。用いることができる紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物、ベンゾフェノン骨格を有する化合物等の有機紫外線吸収剤が代表的な物として挙げられる。
ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物としては、例えば、下記の一般式(1)で表される化合物が好適に挙げられる。
一般式(1)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。Rの置換位置は、ベンゾトリアゾール骨格の4位または5位であるが、ハロゲン原子およびアルキル基は通常4位に位置する。Rは、水素原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。Rは、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等を挙げることができ、またアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基等が挙げられる。
一般式(1)で示される化合物の具体例としては、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼンエタン酸、3−(5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸オクチルエステル等が挙げられる。
ベンゾフェノン骨格を有する化合物としては、例えば、下記の一般式(2)〜(4)で示される化合物が好適に挙げられる。
上記一般式(2)〜(4)において、R、R、R、R、R11、及びR12は、互いに同一もしくは異なる基であって、ヒドロキシル基、炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基またはアルコキシ基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、及びシクロヘキシル基等を挙げることができる。またアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i−プロポキシ基、及びブトキシ基等を挙げることができる。
、R、及びR10は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、及びプロピレン基等を挙げることができる。アルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、及びプロピリデン基等が挙げられる。
p1、p2、p3、q1、q2、及びq3は、それぞれ別個に0乃至3の整数を表す。
上記一般式(2)〜(4)で表されるベンゾフェノン骨格を有する化合物の好ましい例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、4−(2−ヒドロキシベンゾイル)−3−ヒドロキシベンゼンプロパン酸、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
もちろん、これらを二種以上組み合わせて使用することができる。
紫外線吸収剤の使用は任意であり、また使用する場合の使用量も特に制限されるものではないが、使用する場合は電解質中の濃度として、0.001〜10mol/L、好ましくは、0.01〜1mol/Lであることが望ましい。
次に、本発明の電解質に含有させることができるアミン化合物としては、特に限定されず、各種脂肪族アミン、芳香族アミンが用いられるが、例えば、ピリジン誘導体、アニリン誘導体、キノリン誘導体、イミダゾール誘導体などが代表的なものとして挙げられる。これらのアミン化合物を添加することで、開放電圧の向上が見込まれる。これらの化合物の具体例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、4−エチルピリジン、4−プロピルピリジン、4−t−ブチル−ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、4−ピリジノピリジン、4−ピロリジノピリジン、4−(2−アミノエチル)ピリジン、2−(2−アミノエチル)ピリジン、2−メトキシメチルピリジン、ピコリン酸、2−ピリジンメタノール、2−ピリジンエタノール、3−ピリジンメタノール、2,3−シクロペンテノピリジン、ニコチンアミド、ニコチン酸、4,4’−ビピリジン、2,2’−ビピリジン等のピリジン誘導体や、アニリン、ジメチルアニリン等のアニリン誘導体、キノリン、イソキノリンなどのキノリン誘導体、ベンズイミダゾール、N−メチルベンズイミダゾールなどのイミダゾール誘導体が挙げられる。
前記アミン化合物の使用は任意であり、また使用する場合の使用量も特に制限されるものではないが、使用する場合は電解質中の濃度として、0.001〜10mol/L、好ましくは0.01〜1mol/Lであることが望ましい。
また、本発明において用いる電解質としては、前記のような液体系でもよいが、固体化が可能であるとの観点から、高分子固体電解質が特に好ましい。高分子固体電解質としては、特に好ましいものとして、(a)高分子マトリックス(成分(a))に、少なくとも(b)可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(b))を含有し、所望により(c)可塑剤(成分(c))をさらに含有するものが挙げられる。また、これらに加え、所望によりさらに前記した支持電解質、紫外線吸収剤、アミン化合物などの他の任意成分を含有させてもよい。高分子固体電解質としては、前記成分(b)または、成分(b)と成分(c)、あるいはさらなる任意成分が、高分子マトリックス中に保持されることによって固体状態またはゲル状態が形成される。
本発明において高分子マトリックス(成分(a))として使用できる材料としては、高分子マトリックス単体で、あるいは可塑剤の添加や、支持電解質の添加、または可塑剤と支持電解質の添加によって固体状態またはゲル状態が形成されれば特に制限は無く、一般的に用いられるいわゆる高分子化合物を用いることができる。
上記高分子マトリックスとしての特性を示す高分子化合物としては、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、フッ化ビニリデンなどのモノマーを重合または共重合して得られる高分子化合物を挙げることができる。またこれらの高分子化合物は単独で用いても良く、また混合して用いても良い。これらの中でも、特にポリフッ化ビニリデン系高分子化合物が好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物としては、フッ化ビニリデンの単独重合体、あるいはフッ化ビニリデンと他の重合性モノマー、好適にはラジカル重合性モノマーとの共重合体を挙げることができる。フッ化ビニリデンと共重合させる他の重合性モノマー(以下、共重合性モノマーという。)としては、具体的には、ヘキサフロロプロピレン、テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレンなどを例示することができる。これらの中でも、特にカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体が好ましい。すなわち、ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物としては、カルボキシル基を含有するものが好ましい。
これらの共重合性モノマーは、モノマー全量に対して0.1〜50mol%、好ましくは1〜25mol%の範囲で使用することができる。
共重合性モノマーとしては、好適にはヘキサフロロプロピレンが用いられる。本発明においては、特にフッ化ビニリデンにヘキサフロロプロピレンを1〜25mol%共重合させたフッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体を高分子マトリックスとするイオン伝導性フィルムとして好ましく用いることができる。また共重合比の異なる2種類以上のフッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体を混合して使用しても良い。
また、これらの共重合性モノマーを2種類以上用いてフッ化ビニリデンと共重合させることもできる。例えば、フッ化ビニリデン+ヘキサフロロプロピレン+テトラフロロエチレン、フッ化ビニリデン+ヘキサフロロプロピレン+アクリル酸、フッ化ビニリデン+ヘキサフロロプロピレン+無水マレイン酸、フッ化ビニリデン+テトラフロロエチレン+エチレン、フッ化ビニリデン+テトラフロロエチレン+プロピレンなどの組み合わせで共重合させて得られる共重合体を使用することもできる。
さらに、本発明においては高分子マトリックスとしてポリフッ化ビニリデン系高分子化合物に、ポリアクリル酸系高分子化合物、ポリアクリレート系高分子化合物、ポリメタクリル酸系高分子化合物、ポリメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリロニトリル系高分子化合物およびポリエーテル系高分子化合物から選ばれる高分子化合物を1種類以上混合して使用することもできる。あるいはポリフッ化ビニリデン系高分子化合物に、上記した高分子化合物のモノマーを2種以上共重合させて得られる共重合体を1種類以上混合して使用することもできる。このときの単独重合体あるいは共重合体の配合割合は、ポリフッ化ビニリデン系高分子化合物100質量部に対して、通常200質量部以下とすることが好ましい。
本発明において用いられるポリフッ化ビニリデン系高分子化合物の重量平均分子量は、通常10,000〜2,000,000であり、好ましくは100,000〜1,000,000の範囲のものが好適に使用することができる。
可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(b))としては、具体的には、前述の液体系電解質において例示した各種レドックス材やレドックス性常温溶融塩類が用いられる。
成分(b)としてレドックス常温溶融塩類以外を用いる場合は、通常、成分(c)と併用することが好ましい。成分(b)としてレドックス性常温溶融塩類を用いる場合は、成分(c)を併用しなくても、併用してもどちらの形態でもよい。
可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質(成分(b))の使用量については特に制限はないが、通常、高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。
なお、成分(b)は、可塑剤(成分(c))と併用することが好ましい。
可塑剤(成分(c))は、可逆な電気化学的酸化還元特性を示す物質に対する溶媒として作用する。かかる可塑剤としては、一般に電気化学セルや電池において電解質溶媒として使用され得るものであればいずれも使用することができ、具体的には液体系電解質において例示した各種溶媒を挙げることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、3−メチル−2−オキサゾリジノン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。また、前述した常温溶融塩類も用いることができる。
可塑剤はその1種を単独で使用しても良いし、また2種以上を混合して使用しても良い。
可塑剤(成分(c))の使用量は特に制限はないが、通常、高分子固体電解質中に20質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、かつ98質量%以下、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下の量で含有させることができる。
成分(b)と成分(c)を併用する場合、成分(b)は、成分(c)に溶解しかつ高分子固体電解質とした際にも析出等が起こらない混合比とすることが望ましく、好ましくは成分(b)/成分(c)が質量比で0.01〜0.5、さらに好ましくは0.03〜0.3の範囲である。
また、成分(a)に対しては、好ましくは成分(a)/(成分(b)+成分(c))質量比が1/20〜1/1、さらに好ましくは1/10〜1/2の範囲であることが望ましい。
これらに加え、固体電解質中には、所望によりさらに支持電解質、紫外線吸収剤、アミン化合物などの他の任意成分を含有させてもよい。
高分子固体電解質における支持電解質の使用量については特に制限はなく任意であるが、通常、高分子固体電解質中に0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ70質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下の量で含有させることができる。また、紫外線吸収剤、アミン化合物などの種類および含有量は液体電解質において例示した通りである。
次に本発明において高分子固体電解質はイオン伝導性フィルムとして用いることができる。例えば、前記成分(a)および(b)、あるいはさらに所望により配合される任意成分からなる高分子固体電解質を公知の方法によりフィルムに成形することによりイオン伝導性フィルムを得ることが出来る。この場合の成形方法としては特に限定されず、押出し成型、キャスト法によるフィルム状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法や、注入法、含浸法などを挙げることができる。
押出し成型については常法により行うことができ、前記混合物を過熱溶融した後、フィルム成型することが行われる。
キャスト法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、キャスト法に用いられる通常のコータにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。コータとしては、ドクタコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、スプレイコータ、カーテンコータを用いることができ、粘度および膜厚により使い分けることができる。
スピンコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行い、市販のスピンコーターにて塗布し、乾燥することで成膜することができる。
ディップコート法については、前記混合物をさらに適当な希釈剤にて粘度調整を行って混合物溶液を作製し、適当な基盤を混合物溶液より引き上げた後、乾燥することで成膜することができる。
本発明の方法により、高アスペクト比のナノチューブ形状を有するチタニアナノアレイ電極を得ることができる。
また、本発明のチタニアナノアレイ電極を用いることで、高性能な光電変換素子を作製することができる。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
[実施例1]
(1)チタニアナノアレイ電極の作製
6cm×1.5cm、厚さ0.5mmのチタン基板(純度99.7重量%)を用意し、エタノール中で5分間超音波洗浄を施した。このチタン基板の片面にITOをDCマグネトロンスパッタリングで150nm成膜した後、透明セラミック接着剤を用いて、ITO面に厚さ3mmのフロートガラスを貼り付けた。次に、16℃に保った、0.002mol/Lの過塩素酸水溶液中で前記チタン金属付ガラス基板を30Vで1時間陽極酸化することによってチタニアナノアレイ電極を作製した。
得られたチタニアナノアレイ電極を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、図2に示すように直径が40nm、長さが10μm(アスペクト比250)のチタニアが生成していることが確認できた。このチタニアと、さらに500℃で1時間加熱したサンプルを透過型電子顕微鏡にて観察したところ、加熱前のチタニアは図3に示すように、肉厚が5nm程度のチューブ構造であることが確認できた。また図4に示すように、加熱後もチューブ形状が維持されることが確認できた。さらに、加熱前後のX線構造解析を行ったところ、窒素吸着による比表面積は加熱前で275m/g、加熱後で195m/gであった。図5に、加熱後のX線構造解析パターンを示す。
(2)光電変換素子の作製
上記で得られたチタニアナノアレイ電極をルテニウム色素(Rutenium535−bisTBA:SOLARONIX社製)/エタノール溶液(4.0×10−4mol/L)に15時間浸した後、エタノールで洗浄し、色素吸着チタニアナノアレイ電極を作製した。得られた電極のチタニア面と酸化スズ透明導電ガラス(OPTEC15、オプトンジャパン製)上にDCマグネトロンスパッタリングにより30nmのPt薄膜を形成した対向電極のPt面を合わせ、0.1mol/Lのヨウ化リチウムと0.5mol/Lのヨウ化1−プロピル−2,3−ジメチル−イミダゾリウムと0.05mol/Lのヨウ素と0.5mol/Lの4−t−ブチルピリジンを含む3−メトキシプロピオニトリル溶液を毛細管現象によって染み込ませ、周辺をエポキシ接着剤で封止した。このようにして得たセルに疑似太陽光(1kW/m)を照射し、電流電圧特性を測定したところ、良好な光電変換特性(変換効率6.9%)を得た。
[実施例2]
陽極酸化を行う電解液を0.02mol/Lの塩素酸水溶液に変えた以外は実施例1と同様にしてチタニアナノアレイ電極を作製した。
得られたチタニアを走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡にて観察したところ、直径が40nm、長さが20μm(アスペクト比500)のチタニアナノチューブが生成していることが確認できた。
また、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、電流電圧特性を測定したところ、良好な光電変換特性(変換効率6.7%)を得た。
[実施例3]
陽極酸化を行う電解液を0.002mol/Lの過塩素酸水溶液中に、三塩化チタンを0.02mol/Lとなるように溶かした電解質水溶液に代える以外は実施例1と同様にしてチタニアナノアレイ電極を作製した。
得られたチタニアを走査型電子顕微鏡にて観察したところ、基板上に直径が30nm、長さが360nm(アスペクト比12)のチタニアナノチューブが生成していることが確認できた。
また、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、電流電圧特性を測定したところ、良好な光電変換特性(変換効率6.8%)を得た。
[比較例1]
チタニアを以下の方法で製造した(非特許文献2参照)。
チタンテトライソプロポキシドと同モルのアセチルアセトンを混合し、40℃に保持した0.1mol/Lのラウリルアミン塩酸塩水溶液中にチタンとラウリルアミンのモル比が4:1になるように混合し、その後80℃にて72時間静置してチタニアを得た。得られたチタニアを透過型電子顕微鏡にて観察したところ、粒径が5nmのチタニア微粒子がほとんどであり、僅かながらチューブ形状の生成物が確認できた。
得られたチタニアを110℃で乾燥後、25gをとり、酢酸0.4mlを加え、さらに水20mlを添加し、超音波ホモジナイザーにて分散させた。その後、界面活性剤(TritonX−100:シグマ社製)5倍希釈液2mlを加え、脱泡混練機にて脱泡し、チタニアペーストを得た。酸化スズ透明導電ガラス(OPTEC15、オプトンジャパン製)上に前記チタニアペーストをバーコートして乾燥させた。バーコートの際には、膜厚が均一になるよう、透明導電性ガラスのサイド5mmにスコッチテープを貼り付けた。塗布した基板を、500℃で30分焼成した。焼成後の膜厚を触針式膜厚計で計測し、10μmであることが分かった。これをルテニウム色素(Rutenium535−bisTBA:SOLARONIX社製)/エタノール溶液(4.0×10−4mol/L)に15時間浸し、色素吸着チタニア電極を作製した。この電極を用いて実施例1と同様に光電変換素子を作製し、電流電圧特性を測定したところ、3.5%程度の変換効率しか得られなかった。
[比較例2]
チタニアを以下の方法で製造した(非特許文献4参照)。
まず、大きさが5cm×0.5cm、厚さ1mmのチタン基板(純度99.7重量%)を用意し、アセトン中で5分間超音波洗浄を施した。次に、濃度が0.5容量%、温度が16℃のフッ酸水溶液からなる電解質水溶液中でチタンを20Vで150分間陽極酸化することによってチタニアを得た。走査型電子顕微鏡で観察したところ、基板上に直径が120nm、長さが約600nm(アスペクト比5)のチタニアナノチューブが生成していることが確認できた。しかしながらその長さ方向は、電解時間を長くしても増加する傾向は見られなかった。
作製したサンプルを450℃で1時間焼成した後、ルテニウム色素(Rutenium535−bisTBA:SOLARONIX社製)/エタノール溶液(4.0×10−4mol/L)に15時間浸したが、ほとんど着色は認められず、非常に微量しか色素が吸着していないことが分かった。
光電変換素子の断面の例である。 実施例1で得られたチタニアナノチューブの走査型電子顕微鏡の写真である。 実施例1で得られたチタニアナノチューブの透過型電子顕微鏡の写真である。 実施例1で得られた、加熱後のチタニアナノチューブの透過型電子顕微鏡の写真である。 実施例1で得られた、加熱後のチタニアナノチューブのX線構造解析パターンである。
符号の説明
1 透明基板
2 接着層
3 透明導電層
4 チタニアナノアレイ
5 電荷輸送層
6 シール部材
7 チタン金属またはチタンを主成分とする合金
8 対向電極

Claims (7)

  1. チタン金属もしくはチタンを主成分とする合金上に透明導電膜を形成し、さらに当該透明導電膜上に透明基板を貼り付けた電極を、塩素原子を含有するイオンを含む電解質溶液中で、陽極酸化することを特徴とするチタニアナノアレイ電極の製造方法。
  2. 塩素原子を含有するイオンを含む電解質溶液に、水溶性のチタン化合物を共存させて陽極酸化を行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 塩素原子を含有するイオンを含む電解質溶液に、異種の酸性化合物を共存させて陽極酸化を行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 塩素原子を含有するイオンを含む電解質溶液に、チタニア微粒子を共存させて陽極酸化を行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  5. 電解質溶液が過塩素酸水溶液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で製造されたチタニアナノアレイ電極を、100〜1200℃の温度で10〜500分加熱処理することを特徴とする結晶性が向上されたチタニアナノアレイ電極の製造方法。
  7. 増感剤により修飾された、請求項1〜6のいずれかに記載のチタニアナノアレイ電極を用いることを特徴とする光電変換素子。
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