JP5565728B2 - チタニアナノチューブアレイおよびチタニア電極の作成方法、チタニア電極、並びにこのチタニア電極を適用した色素増感太陽電池 - Google Patents
チタニアナノチューブアレイおよびチタニア電極の作成方法、チタニア電極、並びにこのチタニア電極を適用した色素増感太陽電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5565728B2 JP5565728B2 JP2010179153A JP2010179153A JP5565728B2 JP 5565728 B2 JP5565728 B2 JP 5565728B2 JP 2010179153 A JP2010179153 A JP 2010179153A JP 2010179153 A JP2010179153 A JP 2010179153A JP 5565728 B2 JP5565728 B2 JP 5565728B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- titania
- nanotube array
- electrode
- titania nanotube
- dye
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E10/00—Energy generation through renewable energy sources
- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
- Y02E10/542—Dye sensitized solar cells
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Photovoltaic Devices (AREA)
- Hybrid Cells (AREA)
Description
現在実用化されている太陽電池はシリコン太陽電池である。高い変換効率を獲得するためにはやはり、高純度単結晶シリコンを大量に使用しなければならないが、これには材料コストおよび精製に要する製造コストが高いといった問題点がある。
以上の点から、現在のシリコン太陽電池では、未だに化石燃料による発電コストに追いついていないのが現状といえる。
図18に色素増感太陽電池の基本セル構造を示す。増感色素には主として、太陽光の可視光領域まで吸収できるルテニウム(Ru)錯体が用いられ、光電極として導電性ガラス上にナノサイズの多孔質チタニア薄膜が形成されたものが使われている。その対極は、導電性ガラスに触媒として白金をコートしたもの、電解質には、酸化還元対を含む有機溶媒として、I−/I3 −系が用いられる。
ところが、実用化に向けていくつかの課題を克服しなければならない。その一つとして、シリコン太陽電池と比較して光電変換効率が低い点が挙げられる。
まず、図18に示す通り、太陽光を吸収した色素は光エネルギーによって励起された後、電子をチタニアへ与えて酸化状態になる。チタニアへ移動した電子は、チタニア電極の導電性ガラスにまで到達し、外部回路を通じて対極に移動する。一方、酸化状態になった色素は、電解質(I−)から電子を受け取って元の状態へと戻り、電解質は酸化状態となる(3I− →I3 −+2e− )。酸化状態の電解質(I3 −)は対極から電子を受け取り、還元状態に戻る。この一連のサイクルによって電池として機能する。
色素増感太陽電池の光電変換効率が低いのは、エネルギーロスが多いためである。例えば、可視光以上の波長領域をカバーできていない点、色素からチタニアへの注入効率、高エネルギー光からの高エネルギー電子を利用できていない点、チタニア間を移動する電子と電解質中のI3 −イオンとの再結合反応による逆電子移動ロス、注入時および色素の再生時のエネルギー差によるロスその他が挙げられる。これらの問題点に対していくつか検討が行われてきたが、解決されていない問題もまだ数多く存在する。
これに応え得る材料として、チタン金属薄片を定電位(定電圧)電解することで作製されるチタニアナノチューブアレイ(TNTA)がある。非特許文献1には、規則配列構造をもったチタニアナノチューブアレイが定電位電解法によってチタン金属の上に形成されることが開示されている。
この問題については、これまでに種々創案がなされている。図19および図20にその一例を示す。
しかしながら、この手法では白金電極の透明性の問題のほか、光を最も良く吸収して電子注入が最大となる位置が電子収集電極から最も遠い位置となると言う構造上の問題があり、高効率が望めない欠点があった。
さらに、図20上段に示すように、非特許文献3では、ITO基板上にチタンを蒸着後、定電位電解を実行してチタニアナノチューブアレイを作製したのち、焼成(450℃、3時間)を行うことによって透明導電性ガラス全体の透明度を上昇させる例が開示されている。
ところが、これら非特許文献2および3に開示された手法では経済的に大きな難点があり、実用的ではない。
i)電解後のアモルファス状態のチタニアナノチューブアレイをまず200〜300℃の低温で漸次昇温、焼成、降温し、整然と並んだチタニアナノチューブアレイの形状を固定した後、400〜650℃の高温で漸次昇温、焼成、降温することにより、アナターゼの{101}面の格子像がチューブの軸方向に走る単結晶チタニアナノチューブアレイを得た後、得られたチタニアナノチューブアレイ膜をTiO2の微粒子膜を塗布したITO基板上に接合する方法によってチタニア電極を作製するものとし、さらに、得られたチタニア電極を色素増感太陽電池に適用すること、また、
ii)チタン金属を溶解除去することをアプローチとしてチタン金属とチタニアナノチューブアレイを分離させ、配列状態を維持したままチタニアナノチューブアレイをITO基板上に接着する方法すなわち、定電位電解法によりチタン金属の上に形成されたチタニアナノチューブアレイについて、チタン金属を適宜溶解除去後、得られたチタニアナノチューブアレイ膜を、TiO2の微粒子膜が形成された透明導電性ガラス上に接合する方法によってチタニア電極を作製するものとし、さらに、得られたチタニア電極を色素増感太陽電池に適用すること、
で上記課題を解決可能なことを見い出し、本発明を完成させた。
定電位電解法により、作用電極とされた箔状または板状のチタンを電解し、前記チタン上にチタニアナノチューブアレイを作成するステップと、
前記電解後、アモルファス状態の前記チタニアナノチューブアレイを漸次200℃<t1≦300℃(t1:第1の焼成温度)まで昇温して焼成後、漸次室温まで降温し、前記チタニアナノチューブアレイの整列形状を固定する第1の焼成ステップと、
前記第1の焼成ステップを経た後の前記チタニアナノチューブアレイを漸次400℃<t2≦600℃(t2:第2の焼成温度)まで昇温して焼成後、漸次室温まで降温することにより、アナターゼの{101}面の格子像がチューブの軸方向に走る単結晶チタニアナノチューブアレイを得る第2の焼成ステップと、
からなることを特徴とするものである。
本願請求項1に記載の方法で前記チタニアナノチューブアレイを作成した前記チタンをITO基板上に載置するステップと、
チタン溶解手段により前記ITO基板上の前記チタンを溶解除去するステップと、
前記チタニアナノチューブアレイを前記ITO基板に接合するステップと、
からなることを特徴とするものである。
前記チタン溶解手段が前記チタン上へ臭素メタノール溶液を滴下することからなることを特徴とするものである。
前記ITO基板の表面にはチタニア薄膜層が形成されており、前記チタニア薄膜層の上に前記チタニアナノチューブアレイを接合することを特徴とするものである。
前記チタニア薄膜層の上に前記チタニアナノチューブアレイを接合するに際し、さらに、TiO2微粒子を形成するための反応原液を前記チタニアナノチューブアレイと前記チタニア薄膜層との間に浸み込ませることを特徴とするものである。
前記反応原液が少なくともエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/エチレンオキサイドの骨格からなるトリブロック共重合体を含有したものからなることを特徴とするものである。
前記チタニア薄膜層の上に前記チタニアナノチューブアレイを接合するに際し、さらに、オルトチタン酸テトライソプロピル溶液を前記チタニアナノチューブアレイと前記チタニア薄膜層との間に浸み込ませることを特徴とするものである。
前記チタニア薄膜層の上に前記チタニアナノチューブアレイを接合するに際し、さらに、TiO2微粒子ゲルを前記チタニアナノチューブアレイと前記チタニア薄膜層との間に浸み込ませることを特徴とするものである。
ものである。
前記チタニア電極が本願請求項9に記載のものからなっていることを特徴とするものである。
前記対極が、ITOガラスに白金が蒸着された白金電極からなることを特徴とするものである。
本明細書で挙げた試薬の内、主要なものの詳細は次の通りである。
・グリセリン HO(CH2)CHOH(CH2)OH = 92.09 試薬特級(和光純薬工業社)、室温保存
・フッ化アンモニウム NH4F = 37.04 試薬特級(和光純薬工業社)、室温保存、吸湿性
・メタノール CH3OH = 32.04 試薬特級(和光純薬工業社)、遮光保存
・超純水: 18MΩ以上の抵抗値を示すElix(ミリポア社)を用いて精製し、更にメンブランフィルター(ADVANTEC、0.1μm、90mm)で減圧濾過した濾過済み超純水を使用。
・トリブロック共重合体(tri-block copolymer)F127
HO-(CH2 CH2O)106-(CH2 C(CH)3HO)70-(CH2 CH2O)106H 試薬(BASF)、遮光保存
まずはじめに、本発明のチタニアナノチューブアレイの作成方法につき説明する。
図1に、本発明のチタニアナノチューブアレイを作成するために用いた定電位電解装置の一例を示す。
定電位電解法自体は種々の分野で用いられており、図2に示す通り、金属アルミニウムの陽極酸化の研究でも定電位電解法は用いられている。一例として図2左欄に、アルミニウムに規則的な配列パターンからなる多孔質層が形成される様子を、また図2右欄の(a)および(b)に、規則的な配列パターンが形成された多孔質構造からなるアルミナを上方から観た図および断面図を示す。
定電位電解を行っている期間中、電解質温度および電解電位は一定に保たれることが好ましい。
なお、電解質温度37℃の場合、22℃の時と比べて定常状態における電流密度がほぼ4倍上昇していることが確認できた。この結果は、以下のStokes-Einstein relationship(式1)
が示すように、電解質の温度上昇によって電解質の粘度が低下することで、電解質中のイオンの拡散係数が増加していることに主に起因するものと考察される。また、37℃では定常状態における曲線の触れ幅が大きいことが確認できたが、これは、低粘度溶液では電極反応が振動的に進行するためと考察される。
ナノチューブの細孔の起源は、チタン金属上に形成されるBarrier Layerと呼ばれる水酸化物チタンとチタニア層との複合層の表面に存在するクラックであることが言われている。この酸化物の形成が起こると同時に酸化物の溶解が以下の反応式に従って生じる(式4)。
以上のことから、隣接した二つのチューブ間の水酸化物の層が分解されてからも、チューブ細孔の拡大反応が進行している。すなわちチューブの深さ方向だけでなく、横方向にもエッチング反応が進行することが推定される。これは、深さ方向にのみエッチング反応が進む、配向制御されたポーラスなアルミナの形成過程(図2参照)とは異なる形成過程を示している。
一例として、0.5wt%のフッ化アンモニウム(NH4F)を含んだエチレングリコールを電解質に用いて10V、20hで定電位電解を行った。得られたTi−TNTA試料を昇温速度2℃/minで250℃、2時間焼成(第1の焼成ステップ)し、一度冷却させた後、昇温速度2℃/minで500℃、2時間焼成(第2の焼成ステップ)した試料(二段階焼成)と、昇温速度2℃/minで500℃、2時間焼成した試料(一段階焼成)との構造評価を行った。
なお、第1の焼成ステップの焼成温度の範囲としては200℃<t1≦300℃(t1:第1の焼成温度)程度、第2の焼成ステップの焼成温度の範囲としては400℃<t2≦600℃(t2:第2の焼成温度)程度、好ましくは450℃≦t2≦550℃である。
また、チタニアナノチューブアレイ膜の表面をさらに拡大すると、チタニアナノチューブアレイの先端部分が破壊されている部分が存在するが、ナノチューブ自体の破壊は抑制されているように考察される。
図7のXRD測定結果から、電解直後のTi−TNTA試料はチタニアに関するピークを持たないことからアモルファスであることが分かった。ところが、450℃まで焼成を行うと、アナターゼ構造に特有なピークが得られたことから、アナターゼ結晶のチタニアが得られたことが明らかとなった。
なお、本明細書において「アナターゼ単結晶」或いは「アナターゼ結晶」とは、実質上アナターゼ単結晶と同一効果を発揮しており、同視し得るものまで包含するものとする。したがって例えば、極微量のルチルが含まれていても、実質上アナターゼ単結晶と同じ働きを持つものであれば、本明細書に言う「アナターゼ単結晶」或いは「アナターゼ結晶」に包含されるものとする。
図9の結果から、ナノチューブの軸方向にアナターゼ結晶の(101)の格子像が確認でき、チタニアナノチューブアレイが高い結晶性をもつ単結晶構造であることが明らかとなった。
次に、上でその作成方法を説明した本発明のチタニアナノチューブアレイを備えたチタニア電極の作成方法、チタニア電極、並びにこのチタニア電極を適用した色素増感太陽電池の概要を説明する。
図10に、本発明の色素増感太陽電池の概略構造を示す。色素増感太陽電池セル100は、電解質2を挟んで互いに対向する白金電極1とチタニア電極10とからなっている。色素増感太陽電池セル100は、チタニア電極10側から光Lを受光し、光電変換作用によって外部に対しその発電電力を出力する。チタニア電極10の概略構造は、透明導電膜電極15と、透明導電膜電極15から白金電極1側に向かって実質的に垂直に伸びるチタニアナノチューブアレイ11とからなるものである。チタニア電極の10詳細については、図11に基づき説明する。
図11左側に示す通り、チタニアナノチューブアレイ11自体は、定電位電解装置50により金属チタン20上に作成されている。しかしながら、金属チタン20は光を通さないため、チタニア電極10側から光Lを受光させるためには、この金属チタン20を除去する必要がある。さらに、金属チタン20を除去したチタニアナノチューブアレイ11を、光Lの受光が可能で、かつ電極として機能し得る機械的に安定なものに接合し、チタニア電極として完成させる必要がある。
ここで、各実施例では、チタニアナノチューブアレイ11とチタニア薄膜層(TiO2薄膜)12との接合を強化するため、順に、図11下段に例示する通り、
i)TiO2微粒子を形成するための反応原液をチタニアナノチューブアレイとチタニア薄膜層の間に浸み込ませて接合する方法、すなわち、トリブロック共重合体F127ゲル反応原液を浸透させた後、重縮合反応によりチタニアナノチューブアレイ11とチタニア薄膜層12界面にF127ゲルを形成させて接合する方法(F127 liquid。第1の接合方法)、
ii)チタンのアルコキシドであるオルトチタン酸テトライソプロピル(Tetraisopropyl orthotitanate:TIPT)溶液を浸み込ませてチタニアナノチューブアレイ11とチタニア薄膜層12を接合する方法(第2の接合方法)、或いは、
iii)TiO2微粒子ゲルをチタニアナノチューブアレイ11とチタニア薄膜層12の間に浸み込ませて接合する方法、すなわち、既に形成済みのF127ゲルを浸透させて接合する方法(F127 gel。第3の接合方法)、
を用いている。
ここで、上記F127は、少なくともエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/エチレンオキサイドの骨格からなるトリブロック共重合体を含有したものの一例として列挙するものである。
なお、下記の各実施例では、トリブロック共重合体F127 3.31gを29.801gの超純水で調製して10wt%のF127水溶液を調製した。この10wt%のF127水溶液に界面活性剤として臭化セチルトリメチルアンモニウム(Cetyltrimethylammonium bromide:CTAB)を0.606g加えてCTABが0.055Mになるように調製した。さらにこの溶液に、0.038M程度になるように塩酸を混合し、溶液が透明になるまで撹拌した。
その後、80℃で重縮合反応させることによって溶液をゲル化させた。4日ほど80℃で放置した後、常温で保存した。この試料をトリブロック共重合体F127から合成したTiO2微粒子(F127ゲル。非特許文献4参照)としている。
本実施例では、0.5wt%のフッ化アンモニウムを含んだグリセリン溶液を電解質とし、作用電極にチタン金属(1cm×2cm、厚み0.2mm)を、対極に白金箔(1cm×2cm、厚み0.1mm)を、参照電極に塩化銀電極を用いて電気化学セルを構成し、10V〜40Vで定電位電解を行うことにより、チタン金属上にチタニアナノチューブアレイ(Ti−TNTA試料)を作製した。定電位電解装置は図1に示すものを使用した。得られた試料は、XRD、HRTEMおよびSEMを用いて構造評価を行った。
次に、本実施例における、チタニアナノチューブアレイを用いた色素増感太陽電池の作成要領につき、図10および図11、並びに図14〜図16を参照しながら説明する。
チタニアナノチューブアレイとITO基板上のチタニア薄膜層との結合を強化するため、両者の間隙にF127原液を浸み込ませ、80℃で1時間反応させた後550℃で2時間焼成した(S14,S15)。この第1の接合方法による結合強化操作は2回行った。
具体的には、I−V特性は、光源に100mW/cm2に調製したソーラーシュミレーター(YSS−E40、山下電装)を用いて擬似太陽光(AM 1.5 1sun)の条件でDSCセルに対して垂直に照射し、ポテンショスタット(R6423,ADVANTEST)を使い電圧を0.1V〜−0.88Vまでの順方向と−0.88V〜0.1Vまでの逆方向で積分時間を0.5V/min程度で走査させることで測定を行った。また、順方向と逆方向の測定値の平均値をそのDSCセルのI−V特性とした。
また、100mW/cm2の照射光の確認として財団法人電気安全環境研究所(JET)で校正された二次基準アモルファス太陽電池セル(43.4mA at AM1.5 100mW/cm2 25℃、適用規格JIS[8931-1995/IEC 60904-2])を用いて、測定前にソーラーシュミレーターの検定を行った。
図9に、450℃で2時間焼成を行ったチタニアナノチューブアレイのHRTEM画像を示す。XRD測定結果よりチタニアナノチューブアレイはアナターゼ結晶と同定でき、チタニアナノチューブアレイのチューブの軸方向にアナターゼ結晶の{101}面の格子像が、すべて同じ方向に揃ってまっすぐ伸びた単結晶であることが確認できる。したがって、このようなチタニアナノチューブアレイを太陽電池の電極に用いると、高い電子伝導性が期待されることが明らかとなった。
このように、図14右欄のSEM画像、HRTEM画像からは、F127ゲルから合成されるTiO2微粒子は、3〜5nmの高結晶性のアナターゼであり、このような微粒子がチタニアナノチューブアレイの内部、上部に析出している様子が観察できた。
図17右欄に、F127ゲル反応原液を浸透させた後、重縮合反応によりチタニアナノチューブアレイとチタニア薄膜層界面にF127ゲルを形成させて接合した場合(F127 liquid。第1の方法)と、既に形成済みのF127ゲルを浸透させて接合した場合(F127 gel。第3の接合方法)のI−V測定結果を示す。第3の接合方法については実施例3にて説明する。
I−V測定結果から、第1の接合方法であるF127 liquidでは3%以上の光電変換効率が得られた。一方、第3の接合方法であるF127 gelでは1.2%であった。
本実施例における、チタニアナノチューブアレイを用いた色素増感太陽電池の作成要領につき、図10および図11、並びに図15および図16を参照しながら説明すると、Ti−TNTA試料をITO基板上に載せ、臭素メタノール溶液を滴下することでチタン金属を溶解除去した(S13)後、チタニアナノチューブアレイとITO基板上のチタニア薄膜層との結合を強化するため、第1の接合方法に代え第2の接合方法が適用される。
具体的には、チタニアナノチューブアレイとITO基板上のチタニア薄膜層の間隙にTIPT溶液(水溶液或いはエタノール溶液)を浸み込ませ、80℃で1時間反応させた後550℃で2時間焼成される(S24,S15)。実施例2においても、上記結合強化操作は2回行われる。
この点を除き、実施例2に係る作成要領は実施例1と同様である。
本実施例における、チタニアナノチューブアレイを用いた色素増感太陽電池の作成要領につき、図10および図11、並びに図17左欄を参照しながら説明すると、まず、上記Ti−TNTA試料を250℃で2時間焼成した後(S31)、さらに450℃で2時間焼成を行い(S32)、アナターゼ結晶構造を持つチタニアナノチューブアレイを得た。また、ITO基板側の準備段階として、ITO基板にF127ゲルを塗布し、450℃で焼成してチタニア薄膜層を形成した。
そして、チタニアナノチューブアレイとITO基板上のチタニア薄膜層との結合を強化するため、両者をF127ゲル中に十分浸漬させ、80℃で1時間放置、反応させた後550℃で2時間焼成した(S34、S35)。この第3の接合方法による結合強化操作は2回行った。
チタニアナノチューブアレイとITO基板上のチタニア薄膜層との接合に関して上記I−V測定結果から類推するに、TiO2ゲルはチタニアナノチューブアレイとITO基板上のチタニア薄膜層の間隙に浸透しにくいため、第3の接合方法では両者の接合が不十分となっている。一方、TiO2微粒子を形成する反応原液は奥深く浸透可能であり、反応によりTiO2微粒子を発生するので、第1の接合方法では両者の接合が良好に行われる。接合の良否が光電変換効率の差にも表れたものと考察される。
上記の結果から見ても、チタニアナノチューブアレイとチタニア薄膜層との接合方法の今後の改良次第で、更なる効率向上が期待されることが明らかとなった。
また本発明により、一例として昇温速度2℃/minで250℃、2時間焼成し、一度冷却させた後、昇温速度2℃/minで500℃、2時間焼成することで、チタニアナノチューブアレイ膜のクラッキングを抑えられることが明らかとなった。
さらに本発明により、一例として450℃で焼成を行うと、チタニアナノチューブアレイはアモルファスからアナターゼ結晶に相転移し、ナノチューブの軸方向にアナターゼ結晶の(101)の格子像が観察される程、結晶性の高い単結晶構造を有することが明らかとなった。
さらに、本発明により得られたチタニアナノチューブアレイ電極においては、F127ゲルから合成される3〜5nmのTiO2微粒子がチタニアナノチューブアレイの内部に含まれている様子がHRTEM画像から観察された。
以上、一実施例を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は上記実施例記載の構成に限定されず、種々の変形実施をすることが可能である。
例えば、本実施例で説明したチタニアナノチューブアレイとチタニア薄膜層との接合を強化するための第1の接合方法〜第3の接合方法はあくまで一例に過ぎず、必要に応じ他の方法によってチタニアナノチューブアレイとチタニア薄膜層との接合を行っても構わない。
定電位電解装置50で用いた電解質52或いは本実施例の色素増感太陽電池セル100にて用いた電解質2についても、上記組成に何ら限定されず、同様の効果を発揮し得る他の構成を適宜採用して構わない。
定電位電解装置50についても、参照電極56は場合によっては省略して構わない。
1 白金電極
2 電解質
10 チタニア電極
11 チタニアナノチューブアレイ
12 TiO2薄膜
13 ITO膜
14 ガラス
15 透明導電膜電極
20 Ti
50 定電位電解装置
51 電解槽
52 電解質
53 ポテンショスタット
54 作用電極
55 対極
56 参照電極
57 温度計
58 窒素ガス
59 窒素タンク
100 色素増感太陽電池セル
Claims (11)
- チタニアナノチューブアレイの作成方法であって、
定電位電解法により、作用電極とされた箔状または板状のチタンを電解し、前記チタン上にチタニアナノチューブアレイを作成するステップと、
前記電解後、アモルファス状態の前記チタニアナノチューブアレイを漸次200℃<t1≦300℃(t1:第1の焼成温度)まで昇温して焼成後、漸次室温まで降温し、前記チタニアナノチューブアレイの整列形状を固定する第1の焼成ステップと、
前記第1の焼成ステップを経た後の前記チタニアナノチューブアレイを漸次400℃<t2≦600℃(t2:第2の焼成温度)まで昇温して焼成後、漸次室温まで降温することにより、アナターゼの{101}面の格子像がチューブの軸方向に走る単結晶チタニアナノチューブアレイを得る第2の焼成ステップと、
からなることを特徴とする方法。 - チタニア電極の作成方法であって、
請求項1に記載の方法で前記チタニアナノチューブアレイを作成した前記チタンをITO基板上に載置するステップと、
チタン溶解手段により前記ITO基板上の前記チタンを溶解除去するステップと、
前記チタニアナノチューブアレイを前記ITO基板に接合するステップと、
からなることを特徴とする方法。 - 前記チタン溶解手段が前記チタン上へ臭素メタノール溶液を滴下することからなることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 前記ITO基板の表面にはチタニア薄膜層が形成されており、前記チタニア薄膜層の上に前記チタニアナノチューブアレイを接合することを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
- 前記チタニア薄膜層の上に前記チタニアナノチューブアレイを接合するに際し、さらに、TiO2微粒子を形成するための反応原液を前記チタニアナノチューブアレイと前記チタニア薄膜層との間に浸み込ませることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 前記反応原液が少なくともエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/エチレンオキサイドの骨格からなるトリブロック共重合体を含有したものからなることを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記チタニア薄膜層の上に前記チタニアナノチューブアレイを接合するに際し、さらに、オルトチタン酸テトライソプロピル溶液を前記チタニアナノチューブアレイと前記チタニア薄膜層との間に浸み込ませることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 前記チタニア薄膜層の上に前記チタニアナノチューブアレイを接合するに際し、さらに、TiO2微粒子ゲルを前記チタニアナノチューブアレイと前記チタニア薄膜層との間に浸み込ませることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 色素増感太陽電池に適用され、電解質を挟んで対極に対向配置されて使用されるチタニア電極であって、請求項2〜8のいずれか1項に記載の方法で作成されたものからなることを特徴とするチタニア電極。
- 電解質を挟んで互いに対向するチタニア電極と対極とからなる色素増感太陽電池であって、
前記チタニア電極が請求項9に記載のものからなっていることを特徴とする色素増感太陽電池。 - 前記対極が、ITOガラスに白金が蒸着された白金電極からなることを特徴とする請求項10に記載の色素増感太陽電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010179153A JP5565728B2 (ja) | 2010-08-10 | 2010-08-10 | チタニアナノチューブアレイおよびチタニア電極の作成方法、チタニア電極、並びにこのチタニア電極を適用した色素増感太陽電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010179153A JP5565728B2 (ja) | 2010-08-10 | 2010-08-10 | チタニアナノチューブアレイおよびチタニア電極の作成方法、チタニア電極、並びにこのチタニア電極を適用した色素増感太陽電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012038634A JP2012038634A (ja) | 2012-02-23 |
JP5565728B2 true JP5565728B2 (ja) | 2014-08-06 |
Family
ID=45850413
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010179153A Expired - Fee Related JP5565728B2 (ja) | 2010-08-10 | 2010-08-10 | チタニアナノチューブアレイおよびチタニア電極の作成方法、チタニア電極、並びにこのチタニア電極を適用した色素増感太陽電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5565728B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109791848A (zh) * | 2016-10-07 | 2019-05-21 | 株式会社昭和 | 染料敏化型太阳能电池模块 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103552981B (zh) * | 2013-11-22 | 2016-02-24 | 哈尔滨工业大学 | 仿生壁虎复合微阵列的制备方法 |
Family Cites Families (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4850338B2 (ja) * | 2000-12-12 | 2012-01-11 | リンテック株式会社 | 半導体電極の製造方法及び光化学電池 |
JP4317381B2 (ja) * | 2003-04-18 | 2009-08-19 | Tdk株式会社 | 光電変換用酸化物半導体電極の製造方法 |
JP4585212B2 (ja) * | 2004-03-19 | 2010-11-24 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社 | ナノチューブ形状を有するチタニア及びその製造方法 |
JP4741263B2 (ja) * | 2005-03-17 | 2011-08-03 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社 | チタニアナノアレイ電極の製造方法およびそれを用いた光電変換素子 |
JP2006324111A (ja) * | 2005-05-18 | 2006-11-30 | Nippon Oil Corp | フレキシブル色素増感太陽電池 |
CA2621995A1 (en) * | 2005-09-09 | 2007-10-25 | University Of Nevada, Reno | Preparation of nano-tubular titania substrate with oxygen vacancies and their use in photo-electrolysis of water |
JP2009532851A (ja) * | 2006-02-16 | 2009-09-10 | ソレクサント・コーポレイション | ナノ粒子増感ナノ構造太陽電池 |
JP2007265776A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-11 | Nippon Oil Corp | フレキシブル色素増感型太陽電池 |
JP5348962B2 (ja) * | 2008-07-31 | 2013-11-20 | 日揮触媒化成株式会社 | 光電気セルの製造方法 |
WO2010140700A1 (ja) * | 2009-06-01 | 2010-12-09 | 新日本製鐵株式会社 | 可視光応答性を有し、光触媒活性に優れたチタン系材料およびその製造方法 |
WO2011058723A1 (ja) * | 2009-11-10 | 2011-05-19 | パナソニック株式会社 | 光電気化学セル及びそれを用いたエネルギーシステム |
JP2011111660A (ja) * | 2009-11-27 | 2011-06-09 | National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology | チタニアナノチューブアレイ及びその形成方法 |
-
2010
- 2010-08-10 JP JP2010179153A patent/JP5565728B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109791848A (zh) * | 2016-10-07 | 2019-05-21 | 株式会社昭和 | 染料敏化型太阳能电池模块 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012038634A (ja) | 2012-02-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Cavallo et al. | Nanostructured semiconductor materials for dye‐sensitized solar cells | |
Myung et al. | Composition-tuned ZnO− CdSSe core− shell nanowire arrays | |
Guerin et al. | Electrodeposited nanoporous versus nanoparticulate ZnO films of similar roughness for dye-sensitized solar cell applications | |
Hsiao et al. | Electron transport patterns in TiO2 nanotube arrays based dye-sensitized solar cells under frontside and backside illuminations | |
Belchi et al. | One-step synthesis of TiO2/graphene nanocomposites by laser pyrolysis with well-controlled properties and application in perovskite solar cells | |
Qiu et al. | Coaxial multi-shelled TiO 2 nanotube arrays for dye sensitized solar cells | |
Li et al. | Fine tuning of nanocrystal and pore sizes of TiO2 submicrospheres toward high performance dye-sensitized solar cells | |
Nunes et al. | Nb2O5 dye-sensitized solar cells | |
Li et al. | Synthesis of TiO2 submicro-rings and their application in dye-sensitized solar cell | |
Lu et al. | Electrodeposition of hierarchical ZnO nanorod arrays on flexible stainless steel mesh for dye-sensitized solar cell | |
CN103871750A (zh) | 锐钛矿TiO2纳米树状阵列及其在太阳能电池制备中的应用 | |
Pang et al. | Dye sensitized solar cells using freestanding TiO2 nanotube arrays on FTO substrate as photoanode | |
Zhang et al. | Deposition of transparent TiO 2 nanotubes-films via electrophoretic technique for photovoltaic applications | |
Shin et al. | Highly transparent dual-sensitized titanium dioxide nanotube arrays for spontaneous solar water splitting tandem configuration | |
Park et al. | Multifunctional Organized Mesoporous Tin Oxide Films Templated by Graft Copolymers for Dye‐Sensitized Solar Cells | |
Liao et al. | Open-top TiO 2 nanotube arrays with enhanced photovoltaic and photochemical performances via a micromechanical cleavage approach | |
JP5122121B2 (ja) | 半導体電極および色素増感型太陽電池 | |
JP2007179766A (ja) | 色素増感太陽電池 | |
Pari et al. | Recent advances in SnO2 based photo anode materials for third generation photovoltaics | |
JP5565728B2 (ja) | チタニアナノチューブアレイおよびチタニア電極の作成方法、チタニア電極、並びにこのチタニア電極を適用した色素増感太陽電池 | |
Guli et al. | Preparation and characterisation of TiO2 nanorod and nanotube films as photoanodes for dye-sensitised solar cells | |
Akilavasan et al. | Designing nanostructured one-dimensional TiO 2 nanotube and TiO 2 nanoparticle multilayer composite film as photoanode in dye-sensitized solar cells to increase the charge collection efficiency | |
CN102290250B (zh) | 一种制备太阳能电池光阳极的方法 | |
Liu et al. | TiO2 nanotube arrays and TiO2-nanotube-array based dye-sensitized solar cell | |
KR101326659B1 (ko) | 이산화티타늄 나노튜브의 제조방법 및 상기 이산화티타늄 나노튜브를 포함하는 고효율 염료감응 태양전지용 광전극 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130703 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20130703 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140328 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140528 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140606 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5565728 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |