JP4315125B2 - 電圧駆動型半導体素子の駆動装置 - Google Patents
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Description
近年では、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle:HEV)用のインバータに多く用いられてきており、ハイブリッド電気自動車の仕様の多様化に伴い、出力電流値が異なる種々のインバータが増えてきている。
また、IGBTのインバータを構成する駆動装置としては、直接駆動型の駆動装置(特許文献1参照)と、電流増幅型である間接駆動型の駆動装置とが用いられている。
小容量のIGBTのインバータには、直接駆動型の駆動装置と間接駆動型の駆動装置との何れもが用いられるが、IGBTが大容量化するにつれて間接駆動型の駆動装置が多く用いられ、直接駆動型の駆動装置はあまり用いられなくなってくる。
これは、大電流用のトランジスタを、ICチップに構成される駆動装置に内蔵すると、チップサイズが大きくなってコストアップとなるからである。また、大電流用トランジスタでの発熱が大きくなって、放熱が困難となるからである。
これは、バイポーラトランジスタの瞬間的なピーク電流供給能力がMOSトランジスタに比べて劣るため、バイポーラトランジスタの高速駆動能力が不利となっているためである。また、MOSトランジスタは電圧駆動型素子であるのに対して、バイポーラトランジスタは電流駆動型素子であり、バイポーラトランジスタを動作させるためにはベース電流を流し続ける必要があるため、MOSトランジスタに比べて発熱が大きくなってしまうことによる。
さらに、バイポーラトランジスタの順方向バイアス電圧Vbeは、大きな温度特性を有しているため(例えば−2mV/℃)、ゲート電圧の温度特性も大きくなって、ゲート電圧の精度が悪化することとなる。例えば、ゲート電圧が低い側に振れると、IGBTの損失増加や電流密度の低下となってしまう。逆に、ゲート電圧が高い側に振れると、IGBTの短絡耐量が低下してしまう。
一方、前述の直接駆動1および間接駆動4のタイプの駆動装置では、高速駆動能力、外付け部品点数、発熱特性、および温度特性といった各特性に優れている。
即ち、請求項1記載のごとく、電圧駆動型スイッチング素子の駆動装置であって、一端が高電位側に接続される複数のスイッチ素子を備える高電位側スイッチ素子群と、一端が低電位側に接続される複数のスイッチ素子を備える低電位側スイッチ素子群と、前記駆動装置を、前記電圧駆動型スイッチング素子に対し、前記駆動装置の出力を外付けスイッチ素子を介さずに入力して、前記電圧駆動型スイッチング素子を駆動する駆動形態である、直接駆動型として使用する場合に用いられる、直接駆動型用の制御信号を生成する直接駆動型制御部と、前記駆動装置を、前記電圧駆動型スイッチング素子に対し、前記駆動装置の出力を外付けスイッチ素子を介して入力して、前記電圧駆動型スイッチング素子を駆動する駆動形態である、間接駆動型として使用する場合に用いられる、間接駆動型用の制御信号を生成する間接駆動型制御部と、前記直接駆動型制御部からの制御信号、または前記間接駆動型制御部からの制御信号の何れかを選択して、前記高電位側スイッチ素子群および前記低電位側スイッチ素子群に相補的に出力するためのセレクタと、前記駆動装置のオン・オフ信号を、前記直接駆動型制御部および前記間接駆動型制御部へ入力する入力手段と、前記駆動装置を直接駆動型または間接駆動型の何れかの形態で使用するための駆動型選択信号を、前記直接駆動型制御部、前記間接駆動型制御部、および前記セレクタへ入力する入力手段とを備える。
これにより、1つのICチップに構成した小型で低コストな駆動装置により、IGBTを直接駆動型および間接駆動型の両方の駆動型で駆動することが可能となり、使用者が駆動型選択信号を適宜変更することで、所望の駆動型にてIGBTを駆動することができる。
従って、小容量のIGBTであっても、大容量のIGBTであっても、駆動型を選択するだけで駆動装置にて駆動することが可能となり、駆動装置の種類を増やすことなく、多様化したハイブリッド電気自動車の仕様に対応することができる。
また、IGBTの高速駆動能力、外付け部品点数、駆動装置におけるスイッチ素子の発熱、およびゲート電圧の温度特性精度といった特性に優れた駆動装置に構成することができ、インバータ装置の信頼性を向上することができる。
これにより、MOSトランジスタは、市場に豊富に流通しているので、IGBTの高速駆動を容易かつ低コストに実現することができる。
また、IGBTの高速駆動能力、外付け部品点数、駆動装置におけるスイッチ素子の発熱、およびゲート電圧の温度特性精度といった各特性に優れた駆動装置を構成することができる。
例えば、3相モータを駆動するインバータは、電圧駆動型半導体素子であるIGBT、ダイオード、および本発明にかかるIGBTの駆動装置からなる組を6組備えている。
図1には、これら6組のうちの、1組についてのブロック図を示している。つまり、IGBT1、ダイオードD1、およびIGBT1の駆動装置10からなる組を示している。
また、駆動装置10は、直接駆動型および電流増幅型である間接駆動型の何れか一方の駆動型を適宜選択して、IGBT1を駆動可能としているが、図1においては、IGBT1を直接駆動型にて駆動する場合を示している。
以下に、駆動装置10によりIGBT1を直接駆動型にて駆動する場合の構成を説明する。
スイッチ素子M1・M1’はPMOSトランジスタにて構成され、スイッチ素子M2・M2’・M3はNMOSトランジスタにて構成されている。
なお、間接駆動型の際の外付けスイッチ素子を駆動する駆動信号の電流駆動力がばらつかないようにするため、スイッチ素子M1およびM1’と、スイッチ素子M2およびM2’は、それぞれ電流駆動能力をほぼ同じにしておくとより好ましい。
各スイッチ素子M1・M1’・M2・M2’のドレイン電極は、駆動装置10の出力電極10p・10q・10r・10sに、それぞれ接続されている。
また、IGBT1にはダイオードD1が並列接続されている。
オン・オフ信号入力端子10aからのオン・オフ信号を直接駆動型制御部23および間接駆動型制御部24へ入力する入力回路21と、駆動型選択入力端子10bからの駆動型選択信号を、直接駆動型制御部23、間接駆動型制御部24、およびセレクタ25へ入力する入力回路22と、過電流検出用端子10cからの入力によりIGBT1の過電流を検出し、検出結果を直接駆動型制御部23および間接駆動型型制御部24へ出力する過電流検出回路26とを備えている。
図3のタイミングチャートに示すように、まず、駆動型選択入力端子10bに、直接駆動型を示す駆動型選択信号(本例の場合“L”)が入力され、オン・オフ信号入力端子10aに、IGBT1のオン・オフ制御信号が入力される。
この場合、各スイッチ素子M1・M1’・M2・M2’のデッドタイムDTも同時に生成される。
この場合、スイッチ素子M1・M1’は同時にオン・オフ駆動されて、一つのPMOSトランジスタとして作動する。同様に、スイッチ素子M2・M2’は同時にオン・オフ駆動されて、一つのNMOSトランジスタとして作動する。
また、直接駆動型を示す駆動型選択信号が入力された場合、制御回路2内では、直接駆動型制御部23にて生成された制御信号と、間接駆動型制御部24にて生成された制御信号とのうち、直接駆動型制御部23からの制御信号がセレクタ25により選択されて、各ドライバDR1・DR1’・DR2・DR2’へ出力される。
また、緩やかなゲート電圧の放電により、過電流の時間変化率dIce/dtが小さくなるため、サージ電圧を抑えることが可能となっている。
さらに、十分に大きな抵抗値に設定されるゲート抵抗R3が貫通電流を制限する機能も備えているので、スイッチ素子M1・M1’とスイッチ素子M3との駆動タイミングをずらしてデッドタイムを設ける必要もない。
間接駆動型でIGBT1を駆動する場合は、前記駆動装置10とIGBT1とは、外付けスイッチ素子Q1・Q2、およびゲート抵抗R1・R2・R3を介して接続されている。
外付けスイッチ素子Q1はPMOSトランジスタにて構成され、外付けスイッチ素子Q2はNMOSトランジスタにて構成されている。
また、外付けスイッチ素子Q1のドレイン電極はゲート抵抗R1を介してIGTB1のゲート電極に接続されており、外付けスイッチ素子Q2のドレイン電極はゲート抵抗R2を介してIGTB1のゲート電極に接続されている。
さらに、出力端子10tがゲート抵抗R3を介してIGBT1のゲート電極に接続されている。
図5のタイミングチャートに示すように、まず、駆動型選択入力端子10bに、間接駆動型を示す駆動型選択信号(本例の場合“H”)が入力され、オン・オフ信号入力端子10aに、IGBT1のオン・オフ制御信号が入力される。
この場合、各スイッチ素子M1・M1’・M2・M2’、および外付けスイッチ素子Q1・Q2のデッドタイムDTも同時に生成される。
この場合、スイッチ素子M1とスイッチ素子M2とで構成したインバータが、外付けスイッチ素子Q1の駆動回路として動作し、スイッチ素子M1’とスイッチ素子M2’とで構成したインバータが、外付けスイッチ素子Q2の駆動回路として動作する。
また、間接駆動型を示す駆動型選択信号が入力された場合、制御回路2内では、直接駆動型制御部23にて生成された制御信号と、間接駆動型制御部24にて生成された制御信号とのうち、間接駆動型制御部24からの制御信号がセレクタ25により選択されて、各ドライバDR1・DR1’・DR2・DR2’へ出力される。
これにより、他に外付け部品を用いることなく、外付けスイッチ素子Q1と外付けスイッチ素子Q2との間の貫通電流を確実に防止することができ、該外付けスイッチ素子Q1・Q2の異常発熱の防止、およびインバータの高信頼性化を図ることができる。
つまり、スイッチ素子M1をオン制御し、スイッチ素子M2をオフ制御するとともに、スイッチ素子M1’をオフ制御し、スイッチ素子M2’をオン制御する。
また、これと同時に、スイッチ素子M3をオンする制御を行う。
また、緩やかなゲート電圧の放電により、過電流の時間変化率dIce/dtが小さくなるため、サージ電圧を抑えることが可能となっている。
さらに、十分に大きな抵抗値に設定されるゲート抵抗R3が貫通電流を制限する機能も備えているので、外付けスイッチ素子Q1とスイッチ素子M3との駆動タイミングをずらす必要もない。
そして、駆動装置10は、直接駆動型で使用する場合は、図6に示した従来の直接駆動1のタイプの駆動装置と同様の構成で作動することとなる。また、間接駆動型で使用する場合は、2個の外付けスイッチ素子Q1・Q2のみで済む、図11に示した増幅駆動4のタイプの駆動装置と同様の構成で作動することとなる。
これにより、小容量のIGBTであっても、大容量のIGBTであっても、駆動型を選択するだけで駆動装置10にて駆動することが可能となり、駆動装置の種類を増やすことなく、多様化したハイブリッド電気自動車の仕様に対応することができる。
さらに、MOSトランジスタを用いることで、発熱を抑えることもできるため、小型で低コストな汎用のICパッケージを使用することが可能となり、駆動回路10の小型化および低コスト化を図ることができる。
そして、IGBT1へのゲート充電動作が完了して定常状態となると、Vcc−VDS(on)M1およびVcc−VDS(on)Q1は、略ゼロとなるため、IGBT1のゲート電圧はVccのみに依存することとなる。
従って、直接駆動型の場合も、間接駆動型の場合も共に、駆動回路10におけるゲート電圧の温度特性を略ゼロとすることができ、ゲート電圧の高精度化を図ることができる。
これにより、IGBT1の電流密度を上げつつ、短絡耐量を確保することも可能となり、インバータ装置の小型化および低コスト化を図ることが可能となる。
また、駆動装置10を間接駆動型にて使用した場合は、IGBT1の高速駆動能力、外付け部品点数、駆動装置10におけるスイッチ素子の発熱、およびゲート電圧の温度特性精度を総合的に判断すると、該駆動装置10は、図8〜図10に示した従来の間接駆動1、間接駆動2、および間接駆動3の何れのタイプの駆動装置よりも優れた特性を備えている。
従来の直接駆動1タイプの駆動装置に対して、駆動装置10のICチップサイズが増加する要因としては、スイッチ素子M1’・M2’のドライバDR1’・DR2’や、駆動型選択入力端子10bおよび出力端子10p・10sの増加、ならびに制御回路2における間接駆動型制御部24等の機能追加によるものであって、微小な増加に抑えることができる。
従って、インバータ装置の小型化および低コスト化を妨げることは殆どない。
2 制御回路
10 駆動装置
23 直接駆動型制御部
24 間接駆動型制御部
M1・M1’ スイッチ素子
M2・M2’ スイッチ素子
Q1・Q2 外付けスイッチ素子
Claims (2)
- 電圧駆動型スイッチング素子の駆動装置であって、
一端が高電位側に接続される複数のスイッチ素子を備える高電位側スイッチ素子群と、
一端が低電位側に接続される複数のスイッチ素子を備える低電位側スイッチ素子群と、
前記駆動装置を、前記電圧駆動型スイッチング素子に対し、前記駆動装置の出力を外付けスイッチ素子を介さずに入力して、前記電圧駆動型スイッチング素子を駆動する駆動形態である、直接駆動型として使用する場合に用いられる、直接駆動型用の制御信号を生成する直接駆動型制御部と、
前記駆動装置を、前記電圧駆動型スイッチング素子に対し、前記駆動装置の出力を外付けスイッチ素子を介して入力して、前記電圧駆動型スイッチング素子を駆動する駆動形態である、間接駆動型として使用する場合に用いられる、間接駆動型用の制御信号を生成する間接駆動型制御部と、
前記直接駆動型制御部からの制御信号、または前記間接駆動型制御部からの制御信号の何れかを選択して、前記高電位側スイッチ素子群および前記低電位側スイッチ素子群に相補的に出力するためのセレクタと、
前記駆動装置のオン・オフ信号を、前記直接駆動型制御部および前記間接駆動型制御部へ入力する入力手段と、
前記駆動装置を直接駆動型または間接駆動型の何れかの形態で使用するための駆動型選択信号を、前記直接駆動型制御部、前記間接駆動型制御部、および前記セレクタへ入力する入力手段と、
を備えることを特徴とする電圧駆動型半導体素子の駆動装置。 - 前記スイッチ素子は、MOSトランジスタにて構成されることを特徴とする請求項1に記載の電圧駆動型半導体素子の駆動装置。
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