JP4314675B2 - 炭化珪素粉末とそれを用いた複合材料およびそれらの製造方法 - Google Patents

炭化珪素粉末とそれを用いた複合材料およびそれらの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4314675B2
JP4314675B2 JP14902699A JP14902699A JP4314675B2 JP 4314675 B2 JP4314675 B2 JP 4314675B2 JP 14902699 A JP14902699 A JP 14902699A JP 14902699 A JP14902699 A JP 14902699A JP 4314675 B2 JP4314675 B2 JP 4314675B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
sic
silicon carbide
thermal conductivity
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP14902699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000335913A (ja
Inventor
千尋 河合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP14902699A priority Critical patent/JP4314675B2/ja
Priority to EP00304501A priority patent/EP1055641A3/en
Publication of JP2000335913A publication Critical patent/JP2000335913A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4314675B2 publication Critical patent/JP4314675B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C29/00Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides
    • C22C29/02Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides based on carbides or carbonitrides
    • C22C29/06Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides based on carbides or carbonitrides based on carbides, but not containing other metal compounds
    • C22C29/065Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides based on carbides or carbonitrides based on carbides, but not containing other metal compounds based on SiC
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/90Carbides
    • C01B32/914Carbides of single elements
    • C01B32/956Silicon carbide
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L23/00Details of semiconductor or other solid state devices
    • H01L23/34Arrangements for cooling, heating, ventilating or temperature compensation ; Temperature sensing arrangements
    • H01L23/36Selection of materials, or shaping, to facilitate cooling or heating, e.g. heatsinks
    • H01L23/373Cooling facilitated by selection of materials for the device or materials for thermal expansion adaptation, e.g. carbon
    • H01L23/3733Cooling facilitated by selection of materials for the device or materials for thermal expansion adaptation, e.g. carbon having a heterogeneous or anisotropic structure, e.g. powder or fibres in a matrix, wire mesh, porous structures
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L2924/00Indexing scheme for arrangements or methods for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies as covered by H01L24/00
    • H01L2924/0001Technical content checked by a classifier
    • H01L2924/0002Not covered by any one of groups H01L24/00, H01L24/00 and H01L2224/00

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)
  • Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高熱伝導性の炭化珪素粉末、同粉末粒子を金属マトリックス中に分散させた各種装置・機器、特に半導体装置の放熱基板に有用な複合材料および同複合材料を用いた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年半導体装置の高速演算・高集積化に対する市場の要求は急速に高まりつつある。それとともに、同装置の半導体素子搭載用放熱基板には、同素子から発生する熱をより一層効率良く逃がすため、その熱伝導率のより一層の向上が求められてきた。さらに同素子ならびに同基板に隣接配置された同装置内の他の部材(周辺部材)との間の熱歪みをより一層小さくするために、より一層それらに近い熱膨張係数を有するものであることも求められてきた。 具体的には、半導体素子として通常用いられるSi、GaAsの熱膨張係数がそれぞれ4.2×10-6/℃、6.5×10-6/℃であり、半導体装置の外囲器材として通常用いられるアルミナセラミックスのそれが6.5×10-6/℃程度であることから、同基板の熱膨張係数はこれらの値に近いことが望まれる。
【0003】
また近年のエレクトロニクス機器の応用範囲の著しい拡張にともない、半導体装置の使用範囲はより一層多様化しつつある。その中で、高出力の交流変換機器・周波数変換機器等のいわゆる半導体パワーデバイス機器への利用が増えつつある。これらのデバイスでは、半導体素子からの発熱が半導体メモリーやマイクロプロセッサーに比べ数倍から数十倍(通常例えば数十W)にも及ぶ。このためこれらの機器に使われる放熱基板は、その熱伝導率を格段に向上させるとともに、その熱膨張係数の周辺部材のそれとの整合性を高めることが重要である。したがってその基本構造も、通常は例えば以下のようになっている。まずSi半導体素子を第一の放熱基板である高熱伝導性の窒化アルミニウム(以下単にAlNとも言う)セラミック基板上に載せる。次いでその第一の放熱基板の下に銅等のより高熱伝導性の金属からなる第二の放熱基板を配置する。さらにこの第二の基板の下に、これを水冷または空冷可能な放熱機構を配置する。以上のような構造によって外部に遅滞なく熱を逃がす。したがって複雑な放熱構造とならざるを得ない。この構造においては、第一の放熱基板であるAlNセラミックスに170W/m・K程度のものを用いるとすると、第二の放熱基板は、この第一の基板から伝達された熱をその下の放熱機構に遅滞なく逃がす必要がある。このため第二の基板としては、室温で少なくとも200W/m・K以上の高い熱伝導率と第一の基板との熱膨張係数の整合のため、10×10-6/℃以下、特に8×10-6/℃以下の低い熱膨張係数を有するものが要求される。
【0004】
またこのような基板には、従来より例えばCu−W系やCu−Mo系の複合合金からなるものが用いられてきた。これらの基板は、原料が高価なためにコスト高になるとともに重量が大きくなるという問題があった。そこで、最近は安価で軽量な材料として各種のアルミニウム(以下単にAlとも言う)複合合金が注目されるようになってきた。中でもAlと炭化珪素(以下単にSiCとも言う)を主成分とするAl−SiC系複合合金は、それらの原料が比較的安価であり、軽量かつ高熱伝導性である。なお通常市販されている純粋なAl、SiC単体の密度は、それぞれ2.7g/cm3程度、3.2g/cm3程度、熱伝導率は、それぞれ240W/m・K程度、200〜300W/m・K程度までであるが、さらにその純度や欠陥濃度を調整すれば、その熱伝導率のレベルはさらに向上するものと思われる。そのため、特に注目されている材料である。また純粋なSiC単体、Al単体の熱膨張係数はそれぞれ4.2×10-6/℃程度、24×10-6/℃程度であり、それらを複合化することによって、その熱膨張係数が広い範囲で制御可能となる。したがってこの点でも有利である。
【0005】
かかるAl−SiC系複合合金およびその製造方法については、(1)特開平1−501489号公報、(2)特開平2−343729号公報、(3)特開昭61−222668号公報および(4)特開平9−157773号公報に開示されている。(1)は、SiCとAlの混合物中のAlを溶融させて鋳造法によって固化する方法に関するものである。 (2)、(3)は、いずれもSiC多孔体の空隙にAlを溶浸する方法に関するものである。この内(3)は、加圧下でAlを溶浸する、いわゆる加圧溶浸法に関するものである。また(4)は、SiCとAlの混合粉末の成形体かまたはそれをホットプレスしたものを型内に配置し、これを真空中、Alの融点以上の温度で液相焼結する方法に関するものである。
【0006】
本発明者等は、特願平9−136164号にて、(5)液相焼結法によって得られ、その熱伝導率が180W/m・K以上のアルミニウム−炭化珪素系複合材料を提示している。この複合材料は、例えば10〜70重量%の粒子状SiC粉末とAl粉末との混合粉末を成形した後、99%以上の窒素を含み、酸素濃度が200ppm以下、露点が−20℃以下の非酸化性雰囲気中、600〜750℃で焼結する工程によって得られる。 また本発明者等は、特願平9−93467号にて、(6)その熱膨張係数が18×10-6/℃以下、その熱伝導率が230W/m・K以上であり、焼結後の寸法が実用寸法に近い、いわゆるネットシェイプなアルミニウム−炭化珪素系複合材料も提示している。さらに本発明者等は、特願平10−41447号にて、(7)常圧焼結法とHIP法とを組み合わせた同複合材料の製造方法を提案している。それによれば、例えば粒子状SiCを10〜70重量%混合したAl−SiC系混合粉末の成形体を、窒素ガスを99%以上含む非酸化性雰囲気中、600℃以上、Alの溶融温度以下の温度範囲で常圧焼結し、その後金属容器に封入して700℃以上の温度でHIPすることによって、均質でその熱伝導率が200W/m・K以上のアルミニウム−炭化珪素系複合材料が得られている。
【0007】
さらに(8)特開平9−157773号公報には、Al粉末とSiC粉末との混合物をホットプレスし、成形と焼結とを同時に行う方法が開示されている。その方法は、Al10〜80体積%、残部SiCの混合粉末を成形し、Alの溶融点以上の温度下500kg/cm2以上の圧力でホットプレスするものである。この方法によって150〜280W/m・Kの熱伝導率のアルミニウム−炭化珪素系複合材料が得られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたような複合材料を大きな放熱量を要求される基板、特に半導体パワーデバイス用の基板のように実用サイズが比較的大きく放熱量の多い放熱基板として使用するためには、以下に述べる解決すべきいくつかの課題が残っている。例えば上記(1)に記載のAl−SiC系複合材料の製造方法では、Al溶湯を鋳型に流し込み、SiC粒子を分散させて固化する鋳造法を用いる。したがってAlとSiCの密度差により冷却時に成形体中のSiC粒子の偏析が生じ、固化体の組成が不均一になり易い。このため固化体の表面がAlまたはAl合金からなる被覆層(以下この層をAl被覆層とも言う)により覆われるのは避けられない。通常この被覆層の厚みは、固化体の表面の部所によってかなりばらつく。さらにこの被覆層からなる固化体の表面部とその内部との間では熱膨張係数にかなり差があるため、両者の界面に熱が伝わるとそこに熱応力が生じることになる。 それ故この被覆層を残してこの素材を半導体素子搭載用の放熱基板に用いると、発生した熱応力によって基板に反りや変形が生じ、その結果半導体素子や周辺部材と基板との間に亀裂が生じたり、半導体素子や周辺部材が変形したり、破壊したりする。したがって、この被覆層は予め完全に除去する必要がある。しかもこの除去は、上記のように被覆層の厚みにばらつきがあるため、軟質延性のAlを主成分とする相と剛性の高いSiCを含む相とが共存する部分の加工となる。したがって難加工となる。
【0009】
上記(2)および(3)のAl−SiC系複合材料の製造方法では、AlがSiC多孔体の空隙に溶浸される。この場合鉄鋼の鋳造時に発生するような溶融Alの引け巣を防ぎ、またSiCの空隙内にAlを完全に充填して緻密な複合合金を得る必要がある。このため通常SiC多孔体の外周に過剰なAlが溶浸剤として配置される。溶浸後この過剰なAlが溶浸体の外周に溶出固着し、その除去に多大の手間がかかる。また予めAlとSiCを主成分とする混合粉末を成形し、焼結する上記(5)に記載された方法でもAlの融点を越える温度で焼結すると、軽度ではあるがこれと同じ現象が生じる。
【0010】
そこでこのような外周へのAlの溶出固着を防止するために、上記(6)に記載されたように、Alを溶浸する前にSiC多孔体の外周にその溶出防止剤と同溶浸を促す溶浸促進剤との混合物からなる薄い層を塗布・形成することも一策ではある。しかしながらこれらの層の塗布および溶浸後の除去には手間がかかる。
【0011】
また上記(3)の加圧溶浸法では、一軸加圧可能な型内にSiC多孔体を配置し、その上部にAlまたはAl合金を置いて、真空中でAlを溶融させつつこれを外部から一軸加圧してSiC多孔体内に強制的に充填する工程を踏む。この場合最終的に溶浸体は温度勾配をつけて下部から徐々に冷却する。この時溶浸体内部のSiC骨格部とAlによって充填された部分の熱膨張係数の差が大きいために、冷却時にAlが溶浸体内に引けてAlが未溶浸の部分(上述の引け巣に相当する)ができ易い。したがって、冷却時の温度勾配と加圧・加熱のプログラムとを同時に精度良く制御できる複雑な制御機構が必要になる。したがってその装置はかなり高価なものとなる。
【0012】
さらに上記(4)に記載された型内ホットプレスによる方法では、以下に述べるような生産上・品質上の問題がある。例えばホットプレス装置に連続式のものを用いると、真空雰囲気にするとともにその温度をAlの溶融点以上に上げるため、型の外への溶融物の流出を抑える必要がある。したがって成分量のばらつきを抑え目的とする均一組成のものを得ようとすると、非常に高価な製造装置が必要となる。一方同装置をバッチ式にする場合には、溶融物の型外への流出は、連続式のものに比べいくぶん抑えることはできる。しかしその一方で成形体の型への装填、所定の温度プログラムでの保持と冷却の一連の工程を断続的に繰り返すことになるため、この方式は生産性に欠ける。
【0013】
以上詳述したように、従来のAl−SiC系に代表される金属−SiC系の複合材料の製造には品質上・生産上のいくつかの課題をかかえている。したがってAl−SiC系の複合材料は、特に半導体パワーモジュールのような高い放熱性を要求される基板の一つとして、その性能面で最近有望視されているにもかかわらず、従来から行われてきた鋳造法、溶浸法、焼結法、ホットプレス法やそれらを組み合わせたいずれの方法でも満足のゆく本来の性能レベルのものは得られていない。
【0014】
ところでこのような金属−SiC系の複合材料の熱伝導率Kは、マトリックスを形成する金属および分散相であるSiC粒子の熱伝導率をそれぞれKmおよびKd、分散相の体積分率をVdとすると、以下の式(1)のようになる。
K=Km[1+2Vd(R−1)/(R−2)]/[1+Vd(1−R)/(R+2)] 式(1)
ただしRはマトリックス金属の熱伝導率Kmに対する分散相SiCのそれKdとの比Kd/Kmであり、Vdは分散相SiCの体積分率である。
【0015】
式(1)からも明らかなように、特にVdが大きくなると、Kdは複合材料のそれKに大きな影響を与える。一方SiCのようなセラミックス粒子内の熱伝導は、フォノンの伝導によってなされる。このため、その熱伝導を促進させるには、フォノンを散乱させる諸因子を抑える必要がある。その内の重要なものの一つにSiCの結晶型がある。
【0016】
本発明者は、上記した従来の課題を解決するために、特にSiC量の多い組成域での熱伝導性の向上を重点に置いて研究を重ねてきた。その結果、既に特願平10−260003号に提示した手段により、SiC粒子の欠陥や不純物の量を減らすことによって、この課題を克服できる見通しを得た。しかしながらこの手段では、出発原料となるSiC粉末の種類が限られる。例えばそれをAl−SiC系の複合材料の出発原料として供する場合、本質的に高熱伝導性の6H型や4H型の結晶粒子からなる粉末を用いないと、安定して250W/m・K以上の熱伝導率のものが得られないという問題があった。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この課題を解決するため、さらに研究を重ね本発明に至った。すなわち本発明は、炭化珪素(SiC)粉末であって、そのCuKα線を用いたX線回折図形のブラッグ角(2Θ)が30〜61度の範囲において、6H型結晶粒子に因る(101)、(102)、(103)、(104)および(110)面各回折線のピーク強度の総和が、その粉末の全ての回折線(ただし上記と同じブラッグ角の範囲にある)のピーク強度の総和に対し90%以上である炭化珪素粉末である。このピーク強度の比率は、粉末中の6H型結晶粒子の含有量に相当する。本発明では、これをSiC粉末の「6H化度」とも言う。
【0018】
本発明の熱処理後のSiC粉末の平均粒径は、好ましくは0.1〜200μmである。また本発明には、以上のSiC粉末の粒子を金属マトリックス中に分散させた複合材料が含まれる。特に同金属がアルミニウムを主成分とする金属であり、SiC粒子の量が50〜90重量%のものも含まれる。さらに本発明は、これらの複合材料を用いた半導体装置も含む。
【0019】
本発明の炭化珪素粉末は、炭化珪素原料粉末に、同粉末よりも平均粒径が大きく、6H型結晶粒子を98%以上(つまり上記6H化度が98%以上)含む種結晶粉末を添加した混合粉末を調製し、同混合粉末を不活性ガス中1800℃以上の温度で熱処理する方法によって得られる。この方法には、種結晶粉末として、特にFeの含有量が100ppm以下のものを用いる方法、種結晶粉末として、その平均粒径が炭化珪素原料粉末のそれの2倍以上のものを用いる方法、炭化珪素原料粉末の平均粒径が10μm以下のものを用いる方法、および種結晶粉末を混合粉末全体の5重量%以上添加する方法が含まれる。なお本発明では、上記の「炭化珪素(SiC)原料粉末または原料粉末」と「炭化珪素(SiC)粉末」の二つの用語を区別して用いる。前者は、熱処理前に種結晶粉末が添加される出発原料であり、後者は、熱処理によって得られる粉末である。
【0020】
本発明の複合材料は、以上の方法によって得られた炭化珪素粉末と金属粉末とを混合し、成形後同金属の融点以上の温度で加熱し焼結する、いわゆる焼結法によって得られる。またこの炭化珪素粉末を成形した後、その空孔内に金属の融液を溶浸する、いわゆる溶浸法によっても得られる。焼結法の場合、通常非酸化性雰囲気中で焼結するが、短時間であれば大気中でもよい。またホットプレスや鍛造等の加圧焼結を行ってもよい。また溶浸法の場合、非酸化性雰囲気中で行う。なお本発明において金属粉末にアルミニウムを主成分とするものを用いる場合、好ましい炭化珪素粉末の量は、50〜90重量%である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の炭化珪素(SiC)粉末は、前記方法によって得られる。種結晶粉末は、6H型結晶粒子を98%以上含むもの、すなわち6H化度が98%以上のものを使う。6H型のSiC結晶は、高い対称性を有し、15R型や4H型のような他の結晶型のものに比べ本質的にフォノンを散乱させ難い。このため、その後の熱処理によって析出させる結晶の6H化度を上げるには、結晶核となる種結晶も6H型とするのが望ましいからである。また種結晶粉末中に含まれる遷移金属元素を含む不純物(陽イオン不純物)の量が多くなると、熱処理によって得られる結晶粒子中の欠陥量が増え、熱伝導性を損ねるため、それは可能な限り少ない方が望ましい。中でもFeの量は、100ppm以下であるのが望ましい。
【0022】
出発原料として用いるSiC原料粉末は、6H型を主体とした粉末でもよいが、これ以外の4H型や15R型等々のいくつかの多形を含み、Feを始めとする陽イオン不純物や欠陥を含み、安価に入手できるSiC粉末であってもよい。例えば砥粒に使われる安価な粉末であってもよい。本発明では、このような通常の粉末に上記した種結晶粉末を添加した混合粉末をまず調製する。次いでこれを不活性ガス中1800℃以上の温度で加熱すると、昇温途上で種結晶やSiC原料粉末の粒子表面に吸着していたり、それらの内部に含まれている不純物が、まず昇華する。次に上記温度以上に昇温すると、原料粉末および種結晶粉末の粒子表面からSiCが昇華し始めるが、後者の平均粒径が前者のそれよりも大きいために、SiCの昇華は前者の方で優先的に進む。SiCの昇華によって生じたSi2C、SiC2およびSi等のガスは、再び凝縮されて固化するが、昇華量の少ない種結晶粉末粒子の上にその結晶核ができ易い。この場合種結晶粒子の表面には欠陥が少ないので、同表面には極めて欠陥量の少ない6H型の結晶粒子が形成される。熱処理中には、このようなSiCの昇華と凝縮とが繰り返される。この過程を模式的に図2に示す。図において、5は原料粉末粒子、6は種結晶粉末粒子、7はこれらの粒子から昇華してガス化したSi2C、SiC2およびSi等のガス粒子である。
【0023】
このような過程を押し進めるには、種結晶粒子の平均粒径を原料粉末粒子のそれよりも大きくすればよいが、特に2倍以上とするのが好ましく、5倍以上であるのがより好ましい。同じ理由により原料粉末の平均粒径は、小さいほど良く、10μm以下とするのが特に望ましい。これによって、上記昇華・固化のサイクルの繰り返し回数が少なくても、6H型への転移速度が早くなる。その結果加熱時間が短縮される。なお本発明の種結晶の調製には、種々の手段が考えられる。例えばCVD法で作製された純度の高いSiC結晶を種結晶に含めて用いれば、より一層高純度で欠陥量が少なく、優れた熱伝導性のSiC粉末が得られる。熱処理の雰囲気ガスは、アルゴン、窒素およびヘリウム等の不活性ガスを用いる。ただし窒素ガスはアルゴンに比べ凝縮によって析出する結晶に欠陥が生じ易く、またヘリウムガスは高価なため、アルゴンガスが最も望ましい。雰囲気ガスの圧力は、大気圧程度まででよい。大気圧以上のガス圧力下ではSiCの昇華が進み難いからである。またその温度は、SiCが昇華し始め不純物が十分に昇華する1800℃以上とする。好ましくは2000℃以上であるが、SiCの昇華が激しくなり始める2400℃までの温度が望ましい。熱処理温度がこの温度を越えると、SiCの固体での回収が難しくなるからである。
【0024】
種結晶粉末の添加量は、混合粉末全体の5重量%以上とするのが望ましい。5重量%未満では上記熱処理によるSiCの6H化度が低下し易くなるからである。添加量は多いほど望ましいが、純度の高い粉末は高価であり、せいぜい50重量%程度とするのが経済的である。本発明のSiC粉末の6H化度は、前述のように粉末X線回折図形を撮り、その該当ピークの比率によって確認する。なおこの場合の(110)面回折線は、CuKα1線とKα2線とに分かれるが、6H化度にはKα1線のみを使用する。以上の方法で得られる本発明のSiC粉末は、6H化度が90%以上である。90%未満では熱伝導率向上の効果が小さい。その平均粒径は、原料粉末のそれに依存するが、0.1〜200μmの範囲内に制御するのが望ましい。熱処理中SiC粒子の粒成長のため下限未満にはなり難く、上限を越えると、粉末の成形がし難くなることもあるからである。なおSiC結晶中の陽イオン不純物の定量は、例えばFeを例に採ると、以下のように行う。まずSiC自体が溶解しないように王水に漬けると、粉末中のSiC粉末の結晶外に存在するFeが溶出した水溶液が得られる。一方SiCも溶解し得るフッ硝酸(フッ酸HFと硝酸HNO3の混合水溶液)にそれを漬けると、粉末中に含まれる全てのFeが溶出した水溶液が得られる。そこでこれら両水溶液中のFeの量差を確認する。
【0025】
本発明の複合材料は、以上のSiC粉末粒子を金属マトリックス中に分散させたものである。この複合材料は、前述のように、上記のSiC粉末と金属粉末とを混合し成形した後、同金属の融点以上の温度で加熱し焼結することによって得られる。またSiC粉末を成形し、その空孔内に金属を溶浸することによっても得られる。好ましい金属としては、比較的安価で熱伝導性に優れた銅、アルミニウムおよび銀を主成分とするものが挙げられる。なお銅の密度、熱伝導率および熱膨張係数は、それぞれ8.9g/cm3程度、395W/m・K程度および17ppm/℃程度であり、銀の密度、熱伝導率および熱膨張係数は、それぞれ10.5g/cm3程度、418W/m・K程度および19.7ppm/℃程度である。中でも最も安価かつ軽量であるアルミニウムを主成分とするものが好ましい。この場合のSiCの量は、50〜90重量%とするのが望ましいが、焼結法の場合には、その焼結性の点から80重量%までとするのが望ましい。SiCの量が50重量%未満では、熱膨張係数がSiやGaAsのような半導体素子のそれとの差が大きくなる。一方90重量%を越えると、溶浸法の場合、金属融液がSiC多孔体の空孔内に浸透し難くくなるからである。このSiCの量は、熱伝導性、熱膨張係数および電気特性等の要求されるレベルに応じて適宜選択される。なお金属がAl以外のCuやAgであっても、以上述べたSiCの量や熱特性や電気特性の制御の手順は、基本的に同じである。
【0026】
焼結は通常非酸化性雰囲気中で行うが、短時間であれば大気中でもよい。例えばホットプレスのような加圧焼結も可能であるが、高周波誘導加熱のように急速に成形体を均熱化できる加熱装置内で予備加熱し、予熱した型内で熱間鍛造する方法が最も望ましい。これによってSiCと金属との間の界面反応が抑えられ、反応生成物による熱伝導率の低下を最小限に食い止めることができる。本発明の好ましい製造方法によれば、例えばAl−SiC系の場合、SiC量が50重量%以上でも、安定して250W/m・Kを越える高い熱伝導率の複合材料が得られる。また特に平均粒径が0.1〜数μmの微細なSiC原料粉末を用いて複合材料を作製すると、より優れた熱伝導性のものが得られる。なお金属がAl以外のCuやAgであっても、基本的には以上述べたことと同じことが言える。
【0027】
本発明の複合材料は、熱伝導性に優れているため放熱性の要る電気・電子機器製品、自動車等の各種機器の部材として広く利用できる。中でも半導体装置のヒートシンク材や外囲器材等の各種部品として有利に用いることができる。またSiC量が50重量%以上、特に70重量%以上の組成域でも高い熱伝導性のものが容易に得られ、その結果比較的低い熱膨張係数を兼ね備えている。したがって半導体装置に使われる半導体素子を始めとする比較的低い熱膨張係数の各種構成部品とのその整合性に優れている。このため、以降の実施例に記載のように、実用状態でかなり厳しい冷熱サイクルにも耐えることができるので、例えば先に述べたような高出力のパワーモジュール用のヒートシンクとしても十分な性能を有している。
【0028】
【実施例】
実施例1
表1の「出発原料」欄に記載の平均粒径を有し、6H化度80%、その他に15R、33Rおよび4H型の結晶粒子を含む炭化珪素原料粉末と、Feの含有量が350ppm、平均粒径が50μmであり、6H化度が表1の「6H化度」欄に記載の種結晶粉末とを準備した。これらの粉末を種結晶粉末が、表1の「種結晶添加量」欄に記載の重量部、残部が上記炭化珪素原料粉末の割合で乾式混合した後、混合物を炭化珪素質のケースに入れてタングステンヒーター炉内に配置した。これを以下のプログラムで熱処理した。まず0.01torrの真空中で室温から20℃/分の昇温速度で1800℃まで昇温し、その後さらに1気圧のアルゴンガスを炉内に導入して、20℃/分の昇温速度で表1の「熱処理温度」欄に記載の温度まで昇温し、その温度にて2時間保持し自然冷却した。
【0029】
熱処理後各粉末から1gを分取し、室温の王水100mlに、また別の1gを150℃のフッ硝酸(フッ酸HFと硝酸HN03との3:1の割合の混酸)100mlにそれぞれ20時間浸漬し、各々の水溶液に溶出したFeの量を発光分光分析法によって確認した。前述のように前者と後者との量差をSiC粉末の結晶粒子内部のFeの量とした。またCuKα線によるX線回折によって、ブラッグ角度30〜60度の間で回折図形を撮り、前述の手順でピーク強度比によって、各粉末の6H化度を確認した。それらの結果を平均粒径とともに表1の「熱処理SiC粉末」欄に示す。なお試料18のブラッグ角30〜60度の範囲における回折線強度データを表4に示す。
【0030】
【表1】
Figure 0004314675
【0031】
次いで上記の各SiC粉末を表1の「複合材料組成」欄に記載の重量部、残部が新たに用意した平均粒径がいずれも25μmの純アルミニウム粉末、銅粉末および銀粉末を表に記載の割合で秤取し、バインダーとして4重量%のパラフィンを添加してエタノール中でボールミル混合した。得られたスラリーを噴霧乾燥し顆粒とした後、外径100mm、厚み10mmの形状に乾式成形した。これらの各成形体を真空中で加熱してパラフィンを除いた。この各試料を高周波誘導加熱炉内に装入して昇温速度600℃/分で表1の「焼成温度」欄に記載の温度まで昇温し、10秒間保持後、予め450℃に加熱された型に移し、直ちに9ton/cm2の圧力で熱間鍛造した。鍛造体の相対密度(水中法で実測した密度を同じ組成の理論密度で割った%値)、熱伝導率を確認した。熱伝導率は、室温にてレーザーフラッシュ法によって確認した。これらの結果を表1に示す。なお表には載せていないが、表1の試料18のSiC粉末と、同じアルミニウムの粉末を、SiC量が20および40重量%の組成で混合し、上記と同様の加熱・鍛造条件で固化焼結した試料は、いずれも相対密度100%であり、その熱伝導率は、SiC量20重量%にて250W/m・K、SiC量40重量%にて260W/m・Kであった。
【0032】
【表2】
Figure 0004314675
【0033】
以上の結果より以下のことが分かる。(1)炭化珪素原料粉末に、それよりも平均粒径が大きく、6H化度が98%以上の炭化珪素の種結晶粉末を添加して、不活性ガス雰囲気中、1800℃以上の温度で、原料粉末中のSiCを優先的に昇華させ、種結晶粒子上に6H型結晶として、凝縮・析出させることによって、6H化度が90%以上の熱伝導性に優れた炭化珪素粉末が得られる。(2)この粉末を用いて、Al他の金属との混合物を同金属の融点以上の温度で熱間鍛造によって固化焼結すると、SiC量が50重量%以上の組成域内でも、熱伝導性に優れた複合材料が得られる。特にAl−SiC系では、その熱伝導率が250W/m・K以上の複合材料が得られる。(3)一方種結晶を添加せずに、同じ熱処理を行った粉末では、その熱伝導率が同じ複合化組成および同じ複合化条件で作製した本発明例のものに比べ低くなった。
【0034】
実施例2
実施例1の試料番号2、5、7、9、13、18および22と同様の条件で調製したSiC粉末を、実施例1と同様にして顆粒状に造粒した。これらの各粉末を乾式粉末プレスによって、実施例1と同じ形状に成形した。次いで成形体中のパラフィンを除去するとともに、その空孔率を調製するため、アルゴンガス減圧雰囲気中1300〜1500℃で焼成した。その後別途用意した純アルミニウム、電気銅および銀の板を各SiC多孔体の下に敷いて、窒素中表2の「溶浸温度」欄に記載の温度で1時間保持し、各金属融液を多孔体の空孔内に溶浸した。得られた複合材料の相対密度、室温での熱伝導率、および熱膨張係数を確認し、その結果を表2にまとめた。
【0035】
【表3】
Figure 0004314675
【0036】
また別途上記と同じ試料番号のSiC粉末に、アルミニウム合金・純銅および純銀の各粉末を表3の「混合組成」欄に記載の割合で乾式混合した。なおアルミニウム合金粉末は、ガスアトマイズ法で急冷凝固させて得たSiを3重量%添加し、平均粒径が50μmの粉末を、また銅粉末および銀粉末は、電解法で得たいずれも平均粒径が70μmの粉末を、それぞれ使用した。混合粉末は、実施例1と同じ形状の成形体とし、窒素中表3の「焼結温度」欄に記載の温度で1時間保持し焼結した。得られた複合材料の相対密度、および室温での熱伝導率、および熱膨張係数を確認し、その結果を表3にまとめた。
【0037】
【表4】
Figure 0004314675
【0038】
以上の結果より以下のことが分かる。(1)炭化珪素の種結晶粉末を添加して熱処理し、6H化度を90%以上に調整した本発明のSiC粉末を用い、Al他の金属と溶浸法または焼結法で複合化すると、熱伝導性に優れた複合材料が得られる。特にAl−SiC系では、室温での熱伝導率が250W/m・K以上の複合材料が得られる。(2)一方炭化珪素種結晶粉末を添加せずに、同じ熱処理を行ったSiC粉末を用いて得た複合材料では、室温での熱伝導率が同じ複合化組成および同じ複合化条件で作製した本発明例のものに比べ低くなった。
【0039】
実施例3
実施例1の試料5、7、13、18、29および31、実施例2の試料36、実施例3の試料47と同じ製法で得た複合材料50個ずつを、長さ200mm、幅200mm、厚み3mmの基材に仕上げ加工した。これを図1に模式的に示すようなパワーモジュールに放熱基板として実装して、各実装段階も含めて温度サイクル試験を行った。図1において、1は本発明の上記複合材料からなる第二の放熱基板、2は同基板上に配置され、その上面に(図示しないが)銅回路が形成されたセラミックスからなる電気絶縁性の第一の基板、3はSi半導体素子、4は第二の放熱基板の下に配置された放熱構造体である。なおこのジャッケットは、本実施例では水冷ジャケットであるが、他に空冷のフィン等もある。なお同図には半導体素子周辺の配線等については省略してある。本実施例では、Si半導体素子を第一のセラミックス製基板を介して6個搭載したモジュールとした。
【0040】
実装に先立ち第二の基板に直接第一の基板を半田付けできないため、第二の基板の主面に予め平均厚み5μmの無電解ニッケルメッキ層と平均厚み3μmの電解ニッケルメッキ層を形成した。この内各4個の試片は、ニッケルメッキ上に直径5mmの半球状のAg−Sn系半田によって直径1mmの銅線をメッキ面に垂直な方向に取り付けた。この試片の基板本体を治具に固定して銅線を掴みメッキ面に垂直な方向に引っ張り、基板へのメッキ層の密着強度を確認した。その結果いずれの基板のメッキ層も1kg/mm2以上の引っ張り力でも剥がれなかった。またメッキ層が形成された別の試片の内から10個を抜き取って、−60℃で30分保持、150℃で30分保持の昇降温を1000サイクル繰り返すヒートサイクル試験を実施し、試験後上記と同様の密着強度を確認したところ、いずれの試片もメッキの密着性で上記レベルを満足する結果が得られた。以上の結果より本発明の複合材料からなる基板へのメッキの密着性は、実用上問題の無いレベルであることが判明した。
【0041】
次に第二の基板上に搭載するセラミックス製の第一の基板として、熱伝導率が150W/m・K、熱膨張係数が4.5×10-6/℃、3点曲げ強度450MPaの窒化アルミニウムセラミックス製の基板Aおよび熱伝導率が120W/m・K、熱膨張係数が3.7×10-6/℃、3点曲げ強度1300MPaの窒化珪素セラミックス製の基板Bの二種の銅回路を形成した第一の基板を、それぞれ18個ずつ準備した。これらの基板の形状は、いずれも長さ90mm、幅60mm、厚み1mmとした。これらの基板を第二の基板の200mm角の主面上に2行3列で等間隔に配置し、同基板のニッケルメッキ層を形成した面上にAg−Sn系半田によって固定した。次にこのアッセンブリーの第二の基板の裏面側と水冷ジャケットとを、その接触面にシリコンオイルコンパウンドを塗布介在させてボルト閉め固定した。なおこの場合の第一の基板の取り付け穴は、予め素材段階でその四隅に開けておいた下穴部に炭酸ガスレーザーを照射して、それを直径3mmまで拡げる方法によって形成した。この加工は他のセラミックス材やCu−W、Cu−Moを対象とした場合に比べ、高精度かつ高速で行うことができた。この傾向は特に熱伝導率が高くなればなるほど顕著であった。
【0042】
これらの各試片の中から第一の基板がAとBの物を各15個ずつ選び、上記と同じ単サイクル条件で2000サイクルのヒートサイクル試験を行い、その500サイクル毎のモジュールの出力の変化を確認した。その結果、全てのモジュールが、実用上問題が無いとされる1000サイクルまで、さらに2000サイクルまで試験を続行したが、その出力の低下は観測されなかった。以上の結果より、本発明の炭化珪素系複合材料からなる第の基板を用いたパワーモジュールは、実用上問題の無いレベルのものとなることが分かる。
【0043】
なお本発明の材料をこの種のモジュールに比べ低出力・低熱(サイクル)負荷の高容量のパーソナルコンピューター等の半導体素子搭載装置に放熱基板として実装・評価も行ったが、その信頼性・実用性能上何ら問題は無かった。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、炭化珪素原料粉末に、それより平均粒径が大きく、6H化度が98%以上の炭化珪素種結晶粉末を添加し、不活性ガス雰囲気中1800℃以上の温度で熱処理することによって、種結晶粒子上に6H型の炭化珪素結晶粒子を凝縮・析出させて6H化度が90%以上の炭化珪素粉末が提供できる。この粉末は、その室温での熱伝導率が250W/m・K以上であり、優れた熱伝導性を有する。この粉末をアルミニウム等の金属と複合化することによって、粉末同様熱伝導性に優れた複合材料が容易に得られる。この材料は、SiC量が50重量%以上の熱膨張係数の低い組成域においても、従来に無い高い熱伝導性を有する。このため半導体装置の半導体素子および他の部材とも熱膨張係数の整合性が顕著に良いので、この材料からなる部材は、使用条件の厳しい、例えば高出力のパワーモジュールのような半導体装置に適用しても問題無く使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の材料を基板に用いた半導体装置(パワーモジュール)を模式的に示す図である
【図2】本発明の炭化珪素粉末の製造過程を説明する図である。
【符号の説明】
1、炭化珪素系複合材料からなる第基板
2、第基板
3、半導体素子
4、放熱構造体
5、原料粉末粒子
6、種結晶粉末粒子
7、粒子から昇華してガス化した成分の粒子

Claims (5)

  1. 炭化珪素原料粉末に、該粉末よりも平均粒径が大きく、6H型結晶粒子を98%以上含む種結晶粉末を添加した混合粉末を調整し、該混合粉末を不活性ガス中1800度以上の温度で熱処理する炭化珪素粉末の製造方法。
  2. 前記種結晶粉末のFeの含有量が、100ppm以下である請求項に記載の炭化珪素粉末の製造方法。
  3. 前記種結晶粉末の平均粒径が、前記炭化珪素原料粉末の平均粒径の2倍以上である請求項またはに記載の炭化珪素粉末の製造方法。
  4. 前記炭化珪素原料粉末の平均粒径が、10μm以下である請求項ないしのいずれかに記載の炭化珪素粉末の製造方法。
  5. 前記種結晶粉末の添加量が、前記混合粉末の5重量%以上である請求項ないしのいずれかに記載の炭化珪素粉末の製造方法。
JP14902699A 1999-05-28 1999-05-28 炭化珪素粉末とそれを用いた複合材料およびそれらの製造方法 Expired - Fee Related JP4314675B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14902699A JP4314675B2 (ja) 1999-05-28 1999-05-28 炭化珪素粉末とそれを用いた複合材料およびそれらの製造方法
EP00304501A EP1055641A3 (en) 1999-05-28 2000-05-26 Silicon carbide powder and composite material made thereof and method for manufacturing the powder and material

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14902699A JP4314675B2 (ja) 1999-05-28 1999-05-28 炭化珪素粉末とそれを用いた複合材料およびそれらの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000335913A JP2000335913A (ja) 2000-12-05
JP4314675B2 true JP4314675B2 (ja) 2009-08-19

Family

ID=15466056

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14902699A Expired - Fee Related JP4314675B2 (ja) 1999-05-28 1999-05-28 炭化珪素粉末とそれを用いた複合材料およびそれらの製造方法

Country Status (2)

Country Link
EP (1) EP1055641A3 (ja)
JP (1) JP4314675B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006112052A1 (ja) * 2005-03-30 2006-10-26 Ibiden Co., Ltd. 炭化珪素含有粒子、炭化珪素質焼結体を製造する方法、炭化珪素質焼結体、及びフィルター
JP5021636B2 (ja) * 2006-05-09 2012-09-12 電気化学工業株式会社 アルミニウム−炭化珪素質複合体及びその加工方法
CN100374371C (zh) * 2006-09-07 2008-03-12 郑州华硕精密陶瓷有限公司 喷雾造粒制备亚微米级碳化硅微粉的方法
JP5720594B2 (ja) * 2012-02-03 2015-05-20 株式会社豊田自動織機 蓄電装置用電極槽、蓄電装置、及び車両
CN103602869B (zh) * 2013-11-18 2016-06-22 湖南金马铝业有限责任公司 粉末冶金法制备高体分碳化硅铝基复合材料的工艺方法
CN110366777B (zh) * 2017-03-29 2024-04-26 三菱综合材料株式会社 带散热片的绝缘电路基板的制造方法
CN108322863B (zh) * 2018-02-01 2020-05-22 南京信息工程大学 一种喇叭底盘材料、散热式车用喇叭

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0977594A (ja) * 1995-09-11 1997-03-25 Nippon Steel Corp 低抵抗単結晶炭化珪素の製造方法
US6280496B1 (en) * 1998-09-14 2001-08-28 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Silicon carbide based composite material and manufacturing method thereof

Also Published As

Publication number Publication date
EP1055641A3 (en) 2001-09-26
JP2000335913A (ja) 2000-12-05
EP1055641A2 (en) 2000-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0987231B1 (en) Silicon carbide based composite material and manufacturing method thereof
JP4360061B2 (ja) 半導体装置用部材およびそれを用いた半導体装置
JP3468358B2 (ja) 炭化珪素質複合体及びその製造方法とそれを用いた放熱部品
CN102149655B (zh) 铝-金刚石类复合体的制备方法
US20060157884A1 (en) Method for producing a composite material
US6123895A (en) Aluminum base member for semiconductor device containing a nitrogen rich surface and method for producing the same
JP2000303126A (ja) ダイヤモンド−アルミニウム系複合材料およびその製造方法
JPH10335538A (ja) 半導体基板材料、半導体基板、半導体装置、及びその製造方法
WO2010027504A1 (en) Machinable metal/diamond metal matrix composite compound structure and method of making same
JPS63156075A (ja) 半導体素子搭載用電気絶縁性窒化アルミニウム基板及びその製造方法
JP4314675B2 (ja) 炭化珪素粉末とそれを用いた複合材料およびそれらの製造方法
JP3408298B2 (ja) 高熱伝導性窒化けい素メタライズ基板,その製造方法および窒化けい素モジュール
JP2001335859A (ja) アルミニウム−炭化珪素系複合材料及びその製造方法
JP2000297301A (ja) 炭化珪素系複合材料とその粉末およびそれらの製造方法
JP4305986B2 (ja) 炭化珪素系複合材料の製造方法
JP3449683B2 (ja) セラミックス回路基板とその製造方法
JP4228444B2 (ja) 炭化珪素系複合材料およびその製造方法
JP2020012194A (ja) 金属−炭化珪素質複合体及びその製造方法
JP4253932B2 (ja) 炭化珪素系複合材料の製造方法
JP2001180919A (ja) 炭化珪素−炭素系複合粉末とそれを用いた複合材料
JP4461513B2 (ja) アルミニウム−炭化珪素系複合材料およびその製造方法
JP4233133B2 (ja) 炭化珪素質複合体とそれを用いた放熱部品
JP3948797B2 (ja) 炭化珪素質複合体の製造方法
JPH11116361A (ja) 炭化珪素質複合体とそれを用いた放熱部品
JPH11157964A (ja) 板状複合体とそれを用いた放熱部品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060110

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081216

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090206

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090428

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090511

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120529

Year of fee payment: 3

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090206

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees