JP4228444B2 - 炭化珪素系複合材料およびその製造方法 - Google Patents

炭化珪素系複合材料およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種装置・機器に用いられる放熱基板、特に半導体装置の放熱基板に用いられる高い熱伝導性を有する炭化珪素系複合材料およびそれを用いた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年半導体装置の高速演算・高集積化に対する市場の要求は急速に高まりつつある。それとともに、同装置の半導体素子搭載用放熱基板には、同素子から発生する熱をより一層効率良く逃がすため、その熱伝導率のより一層の向上が求められてきた。さらに同素子ならびに同基板に隣接配置された同装置内の他の部材(周辺部材)との間の熱歪みをより一層小さくするために、より一層それらに近い熱膨張係数を有するものであることも求められてきた。具体的には、半導体素子として通常用いられるSi、GaAsの熱膨張係数がそれぞれ4.2×10-6/℃、6.5×10-6/℃であり、半導体装置の外囲器材として通常用いられるアルミナセラミックスのそれが6.5×10-6/℃程度であることから、同基板の熱膨張係数はこれらの値に近いことが望まれる。
【0003】
また近年のエレクトロニクス機器の応用範囲の著しい拡張にともない、半導体装置の使用範囲はより一層多様化しつつある。その中で、高出力の交流変換機器・周波数変換機器等のいわゆる半導体パワーデバイス機器への利用が増えつつある。これらのデバイスでは、半導体素子からの発熱が半導体メモリーやマイクロプロセッサーに比べ数倍から数十倍(通常例えば数十W)にも及ぶ。このためこれらの機器に使われる放熱基板は、その熱伝導率を格段に向上させるとともに、その熱膨張係数の周辺部材のそれとの整合性を高めることが重要である。したがってその基本構造も、通常は例えば以下のようになっている。まずSi半導体素子を第一の放熱基板である高熱伝導性の窒化アルミニウム(以下単にAlNとも言う)セラミック基板上に載せる。次いでその第一の放熱基板の下に銅等のより高熱伝導性の金属からなる第二の放熱基板を配置する。さらにこの第二の基板の下に、これを水冷または空冷可能な放熱機構を配置する。以上のような構造によって外部に遅滞なく熱を逃がす。したがって複雑な放熱構造とならざるを得ない。この構造においては、第一の放熱基板であるAlNセラミックスに170W/m・K程度のものを用いるとすると、第二の放熱基板は、この第一の基板から伝達された熱をその下の放熱機構に遅滞なく逃がす必要がある。このため第二の基板としては、室温で少なくとも200W/m・K以上の高い熱伝導率と第一の基板との熱膨張係数の整合のため、10×10-6/℃以下、特に8×10-6/℃以下の低い熱膨張係数を有するものが要求される。
【0004】
特にパワーデバイスの内でも実用時の発熱量の大きなものでは、放熱基板自体の温度も100℃以上に昇温することがあるため、このような温度での高い熱伝導率を要求される場合もある。したがって、このような温度下でも150W/m・K以上の熱伝導率のものが要求される。またその容量が大きくなればなるほどSi半導体素子のサイズも大きくなる。それ故それを搭載する放熱基板も大きくせざるを得ない。例えばパソコン用の基板が高々20〜40mm角程度のであるのに対し、容量の大きなパワーデバイスでは、200mm角を越えるものも求められつつある。このような大きな基板では、実装時のその寸法精度のみならず高温でその精度の低下しないことが要求されている。すなわち高温で基板に反りや変形が生じると、上記した基板の下に配置される放熱機構(ラジエターやフィン等)との界面に隙間ができ放熱効率が落ちる。また最悪の場合半導体素子が破壊する場合もある。それ故高温での放熱基板の優れた熱伝導性の確保は、重要な課題である。
【0005】
またこのような基板には、従来より例えばCu−W系やCu−Mo系の複合合金からなるものが用いられてきた。これらの基板は、原料が高価なためにコスト高となるとともに重量が大きくなるという問題があった。そこで、最近は安価で軽量な材料として各種のアルミニウム(以下単にAlとも言う)複合合金が注目されるようになってきた。中でもAlと炭化珪素(以下単にSiCとも言う)を主成分とするAl−SiC系複合合金は、それらの原料が比較的安価であり、軽量かつ高熱伝導性である。なお通常市販されている純粋なAl、SiC単体の密度は、それぞれ2.7g/cm3程度、3.2g/cm3程度、熱伝導率は、それぞれ240W/m・K程度、200〜300W/m・K程度までであるが、さらにその純度や欠陥濃度を調整すれば、その熱伝導率のレベルはさらに向上するものと思われる。そのため、特に注目されている材料である。また純粋なSiC単体、Al単体の熱膨張係数はそれぞれ4.2×10-6/℃程度、24×10-6/℃程度であり、それらを複合化することによって、その熱膨張係数が広い範囲で制御可能となる。したがってこの点でも有利である。
【0006】
かかるAl−SiC系複合合金およびその製造方法については、(1)特開平1−501489号公報、(2)特開平2−343729号公報、(3)特開昭61−222668号公報および(4)特開平9−157773号公報に開示されている。(1)は、SiCとAlの混合物中のAlを溶融させて鋳造法によって固化する方法に関するものである。(2)、(3)は、いずれもSiC多孔体の空隙にAlを溶浸する方法に関するものである。この内(3)は、加圧下でAlを溶浸する、いわゆる加圧溶浸法に関するものである。また(4)は、SiCとAlの混合粉末の成形体かまたはそれをホットプレスしたものを型内に配置し、これを真空中、Alの融点以上の温度で液相焼結する方法に関するものである。
【0007】
本発明者等は、特願平9−136164号にて、(5)液相焼結法によって得られ、その熱伝導率が180W/m・K以上のアルミニウム−炭化珪素系複合材料を提示している。この複合材料は、例えば10〜70重量%の粒子状SiC粉末とAl粉末との混合粉末を成形した後、99体積%の窒素を含み、酸素濃度が200ppm以下、露点が−20℃以下の非酸化性雰囲気中、600〜750℃で焼結する工程によって得られる。また本発明者等は、特願平9−93467号にて、(6)その熱膨張係数が18×10-6/℃以下、その熱伝導率が230W/m・K以上であり、焼結後の寸法が実用寸法に近い、いわゆるネットシェイプなアルミニウム−炭化珪素系複合材料も提示している。さらに本発明者等は、特願平10−41447号にて、(7)常圧焼結法とHIP法とを組み合わせた同複合材料の製造方法を提案している。それによれば、例えば粒子状SiCを10〜70重量%混合したAl−SiC系混合粉末の成形体を、窒素ガスを99%以上含む非酸化性雰囲気中、600℃以上、Alの溶融温度以下の温度範囲で常圧焼結し、その後金属容器に封入して700℃以上の温度でHIPすることによって、均質でその熱伝導率が200W/m・K以上のアルミニウム−炭化珪素系複合材料が得られている。
【0008】
さらに(8)特開平9−157773号公報には、Al粉末とSiC粉末との混合物をホットプレスし、成形と焼結とを同時に行う方法が開示されている。その方法は、Al10〜80体積%、残部SiCの混合粉末を成形し、Alの溶融点以上の温度下500kg/cm2以上の圧力でホットプレスするものである。この方法によって150〜280W/m・Kの熱伝導率のアルミニウム−炭化珪素系複合材料が得られている。
【0009】
また主成分金属をアルミニウムから銅に置き換えた銅−炭化珪素系の複合材料については、その文献は少ないが、本発明者等の探索知見によれば、この複合材料は、アルミニウムを銅(以下単にCuとも言う)に置き換えれば、以上述べた製造方法とほぼ同様の方法によって得られる。なお純粋なCu単体の密度は8.9g/cm3程度、その熱伝導率は395W/m・K程度、その熱膨張係数は17×10-6/℃程度である。したがって、アルミニウム系のものに比べ得られる複合材料の密度は大きくなるので、軽量化による効果は小さい。その一方で銅はその熱伝導率がアルミニウムのそれに比べ約60%大きく、またその熱膨張係数がアルミニウムのそれに比べ約40%小さい。このためアルミニウム系のものに比べ高い熱伝導率で低い熱膨張係数が必要な基板材料の製造には有利な材料である。なお銅はアルミニウムに比べ溶融温度がかなり高く重量も嵩むので、アルミニウム系に比べ製造コスト面でいくぶん不利である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたような複合材料を大きな放熱量を要求される基板、特に半導体パワーデバイス用の基板のように実用サイズが比較的大きく放熱量の多い放熱基板として使用するためには、以下に述べる解決すべきいくつかの課題が残っている。とりわけ同基板の周辺部材が熱膨張係数の比較的小さいものである場合には、これら部材とのその整合性も配慮する必要がある。その一方で従来以上に高い熱伝導率のものが要求される。例えば半導体パワーデバイス用の基板の熱伝導率のレベルは、今後は280W/m・Kを越える高いものが要求されるものと考えられる。しかしながら、上述した従来の方法で得られる炭化珪素系複合材料では、その熱伝導率が高々260W/m・K程度であり、またそのレベルはいずれもSiC量の増加とともに低下する。したがって熱膨張係数の低い基板には利用できないこともある。
【0011】
例えば上記(8)の特開平9−157773号公報に記載のAl−SiC系のものでは、その熱膨張係数を10×10-6/℃以下にしようとすると、そのSiC量を80体積%以上にしなければならない。その結果157W/m・K以下の熱伝導率のものしか得られない。また上記(5)特願平9−136164号公報に記載のAl−SiC系のものでは、同じ熱膨張係数のものを得ようとすると、そのSiC量を60体積%以上にしなければならない。その結果200W/m・K程度の熱伝導率のものしか得られない。また常圧焼結法とHIP法を組み合わせた(7)の方法で作製されたものでも、同じ熱膨張係数のものを得ようとすると、そのSiC量を60重量%以上にしなければならない。したがって200W/m・K程度以下の熱伝導率のものしか得られない。
【0012】
また上記(1)に記載のAl−SiC系複合材料の製造方法では、Al溶湯を鋳型に流し込み、SiC粒子を分散させて固化する鋳造法を用いる。したがってAlとSiCの密度差により冷却時に成形体中のSiC粒子の偏析が生じ、固化体の組成が不均一になり易い。このため固化体の表面がAlまたはAl合金からなる被覆層(以下この層をAl被覆層とも言う)により覆われるのは避けられない。通常この被覆層の厚みは、固化体の表面の部所によってかなりばらつく。さらにこの被覆層からなる固化体の表面部とその内部との間では熱膨張係数にかなり差があるため、両者の界面に熱が伝わるとそこに熱応力が生じることになる。それ故この被覆層を残してこの素材を半導体素子搭載用の放熱基板に用いると、発生した熱応力によって基板に反りや変形が生じ、その結果半導体素子や周辺部材と基板との間に亀裂が生じたり、半導体素子や周辺部材が変形したり、破壊したりする。したがって、この被覆層は予め完全に除去する必要がある。しかもこの除去は、上記のように被覆層の厚みにばらつきがあるため、軟質延性のAlを主成分とする相と剛性の高いSiCを含む相とが共存す部分の加工となる。したがって難加工となる。
【0013】
上記(2)および(3)のAl−SiC系複合材料の製造方法では、AlがSiC多孔体の空隙に溶浸される。この場合鉄鋼の鋳造時に発生するような溶融Alの引け巣を防ぎ、またSiCの空隙内にAlを完全に充填して緻密な複合合金を得る必要がある。このため通常SiC多孔体の外周に過剰なAlが溶浸剤として配置される。溶浸後この過剰なAlが溶浸体の外周に溶出固着し、その除去に多大の手間がかかる。また予めAlとSiCを主成分とする混合粉末を成形し、焼結する上記(5)に記載された方法でもAlの融点を越える温度で焼結すると、軽度ではあるがこれと同じ現象が生じる。
【0014】
そこでこのような外周へのAlの溶出固着を防止するために、上記(6)に記載されたように、Alを溶浸する前にSiC多孔体の外周にその溶出防止剤と同溶浸を促す溶浸促進剤との混合物からなる薄い層を塗布・形成することも一策ではある。しかしながらこれらの層の塗布および溶浸後の除去には手間がかかる。
【0015】
また上記(3)の加圧溶浸法では、一軸加圧可能な型内にSiC多孔体を配置し、その上部にAlまたはAl合金を置いて、真空中でAlを溶融させつつこれを外部から一軸加圧してSiC多孔体内に強制的に充填する工程を踏む。この場合最終的に溶浸体は温度勾配をつけて下部から徐々に冷却する。この時溶浸体内部のSiC骨格部とAlによって充填された部分の熱膨張係数の差が大きいために、冷却時にAlが溶浸体内に引けてAlが未溶浸の部分(上述の引け巣に相当する)ができ易い。したがって、冷却時の温度勾配と加圧・加熱のプログラムとを同時に精度良く制御できる複雑な制御機構が必要になる。したがってその装置はかなり高価なものとなる。
【0016】
さらに上記(4)に記載された型内ホットプレスによる方法では、以下に述べるような生産上・品質上の問題がある。例えばホットプレス装置に連続式のものを用いると、真空雰囲気にするとともにその温度をAlの溶融点以上に上げるため、型の外への溶融物の流出を抑える必要がある。したがって成分量のばらつきを抑え目的とする均一組成のものを得ようとすると、非常に高価な製造装置が必要となる。一方同装置をバッチ式にする場合には、溶融物の型外への流出は、連続式のものに比べいくぶん抑えることはできる。しかしその一方で成形体の型への装填、所定の温度プログラムでの保持と冷却の一連の工程を断続的に繰り返すことになるため、この方式は生産性に欠ける。
【0017】
以上詳述したように、従来のAl−SiC系の複合材料の製造には品質上・生産上のいくつかの課題をかかえている。したがってAl−SiC系の複合材料は、特に半導体パワーモジュールのような高い放熱性を要求される基板の一つとして、その性能面で最近有望視されているにもかかわらず、従来から行われてきた鋳造法、溶浸法、焼結法、ホットプレス法やそれらを組み合わせたいずれの方法でも、満足のゆく本来の性能レベルのものは得られていない。その理由の一つとして以下のことが考えられる。すなわちAlとSiCの間の濡れ性を改善してAl融液のSiC粒子間への自発的な浸透を促したり、空孔の発生を抑えるためにAl中にSi等の従成分を添加したり、またはこれらの従成分を不純物として含むAlを用いたりする場合が多々あった。このためこれらの従成分の介在によって複合材料の熱伝導率の低下は避けられなかった。特にSiC自体がAlに匹敵するか、またはそれを凌ぐ高い熱伝導率を有しながら、従来のAl−SiC系の複合材料では、その量の多い組成域での熱伝導性が低い。
【0018】
一般に物質の熱伝導率は、以下の式に示されるように物質の密度、比熱、熱拡散率の関数である。
熱伝導率=密度×比熱×熱拡散率 式(1)
ここで複合材料の場合、比熱はその成分組成比率によって決まる。したがって、組成が同じであれば、その熱伝導率向上のためにはその密度と熱拡散率を上げることが必要である。上記した従来のAl−SiC系の複合材料では、その密度が99%以上のものでもその熱伝導率が200W/m・K程度あり、熱伝導率向上のためには、特に熱拡散率を向上させる必要がある。
【0019】
Al−SiC系の複合材料では、その熱拡散率はAlとSiCのそれぞれの熱拡散率および両相界面の密着状態によって決まるものと考えられる。両相界面の密着の程度は、基本的に密度が高ければ高いほど向上する。それ故Al−SiC系の複合材料の熱拡散率を増加させる最重要ポイントは、両成分相の熱拡散率、特にSiC相のそれを増加させることであると考えられる。
【0020】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明の目的は、以上述べた従来の炭化珪素系複合材料の品質上・生産上の課題を克服するため、従来になく熱伝導性に優れたアルミニウム−炭化珪素系ならびに銅−炭化珪素系の複合材料およびその安価な製造方法を提供することである。本発明者等は、上記した従来の課題を解決するために、特にSiC量の多い組成域での熱伝導性の向上を重点に置いて検討を重ねてきた。その結果、既に特願平10−26003号にて、この課題をほぼ克服できる手段を提案した。しかしながら、このような複合材料を特に高出力のパワーモジュールの放熱基板に用いる場合、その主面のより一層広いものが今後要求されるものと思われる。このため特に主面方向の高い放熱性が要求されるものと思われる。本発明者等は、この課題を克服するためその後研究を続けた結果、ある特定の結晶粒子からなる炭化珪素粉末を用いることによって熱伝導に異方性があり、ある方向に対し極めて高い熱伝導性を示す炭化珪素系複合材料の得られることを見出した。
【0021】
ちなみに結晶の形状が板状である、特に六方晶系のSiC単結晶の熱伝導性とその異方性については、例えば「High Temperature-HighPressures」第29巻(1997年)第73〜79頁に掲載のOveNilsson等の論文に記述されている。その第78頁のTable 1及びFigure5によれば、気相合成された六方晶6H型単結晶の熱伝導率は、室温で330W/m・Kであり、昇温とともに低下する。同表には他の文献の値も載っているが、400W/m・Kを越えるデータもある。なお同表の値は、結晶のC軸方向すなわち試料の厚み方向の値である。また同頁には、他の文献を引用し、C軸方向の熱伝導率がそれに垂直な方向のそれより30%低くなることが記載されており、彼らは「そのように仮定すると、合成された結晶の主面方向の熱伝導率は、最高純度のものに近い470W/m・Kになる」と言っている。本発明者は、多結晶の粉末の場合にも同じ六方晶系粒子からなるものを用い、これとアルミニウムや銅とを複合化することによって、主面方向に優れた熱伝導性を持つ材料開発を進めてきた。
【0022】
すなわち本発明で提供される炭化珪素系複合材料は、純度90%以上のアルミニウム、アルミニウム−マグネシウム2元合金、銅、銅−珪素2元合金の四種のうちいずれかの金属を第一成分とし、板状炭化珪素粒子を第二成分とする二種類の成分からなる炭化珪素系複合材料であって、該板状炭化珪素粒子は、そのアスペクト比が1を越え、該複合材料中の板状炭化珪素粒子の主面方向を第一の方向と規定し、第一の方向の熱伝導率をKx、該方向に直交する第二の方向の熱伝導率をKyとした時、0.7Kx≦Ky≦0.9Kxの関係を満たす炭化珪素系複合材料である。この材料の好ましい炭化珪素粒子量の範囲は、50〜80重量%である。また本発明には、その炭化珪素粒子が板状、特に六角板状であり、その厚みがC軸方向であるものを含む。またそのアスペクト比が、1.25以上であるものを含む。
【0023】
また本発明の材料には、炭化珪素粒子が、酸素含有量1重量%以下、鉄を含む成分の含有量が鉄元素に換算して0.01重量%以下、アルミニウムを含む成分の含有量がアルミニウム元素に換算して0.01重量%以下のものが含まれる。
【0024】
また第一成分が純度90%以上のアルミニウムまたはアルミニウム−マグネシウム2元合金の場合には、Kxが300W/m・K以上、純度90%以上の銅または銅−珪素2元合金の場合には、Kxが330W/m・K以上のものが、好ましいものとして挙げられる。さらに本発明には、これらの炭化珪素系複合材料を用いたパワーモジュール等の各種半導体装置も含まれる。
【0025】
本発明の炭化珪素系複合材料の製造方法は、純度90%以上のアルミニウム、アルミニウム−マグネシウム2元合金、銅、銅−珪素2元合金の四種のうちいずれかの金属を第一成分とし、炭化珪素の粒子を第二成分とする炭化珪素系複合材料の製造方法であって、該第一成分と、板状でそのアスペクト比が1を越える該第二成分からなる原料を準備する工程と、該原料を混合して混合物とする工程と、該混合物を成形し成形体とする工程と、該成形体を該第一成分の融点以上の温度で加熱し焼結体とする工程とを含む製造方法である。この方法は、炭化珪素粉末の混合量が、50〜80重量%とする方法も含む。またその第二成分粉末の結晶粒子の主面が、六角板状であるものも含む。またその結晶粒子のアスペクト比が1.25以上であるものも含む。なおこの場合のアスペクト比は、上記結晶粒子の主面の最大径(通常対角線の長さ)の厚みに対する比率である。すなわち同比が大きくなるほど粒子はより扁平になる。
【0026】
なおこの焼結体とする工程には、成形体を上記温度で加熱した後、さらに加圧下で鍛造する工程も含まれる。本発明ではこの方法を鍛造法とも言う。さらに同工程には、常圧下または機械的な加圧下で上記温度に加熱し焼結する工程も含まれる。本発明ではこの方法を焼結法とも言う。特に機械的な加圧下で焼結する方法をホットプレス法とも言う。また本発明には、以上述べた各種の方法で得られた焼結体をさらに該第一成分の融点Tm未満の温度Thで加熱する熱処理工程をも含む。
【0027】
また炭化珪素粉末は、炭化珪素粉末を不活性ガス雰囲気中1600〜2400℃の温度範囲で加熱する予備加熱処理の工程を経ても得られる。またさらにこのような粉末は、炭化珪素粉末をフッ酸、硝酸または塩酸の内の少なくとも1種の酸を含む水溶液中に浸漬することによっても得られる。またこのような粉末は、この予備酸処理後予備加熱処理をすることによっても得られる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明によって提供される炭化珪素系複合材料には、大別するとアルミニウムを主成分とする金属からなる第一成分と炭化珪素を主成分とする第二成分とを含む複合材料(以下Al−SiC系複合材料または単にAl−SiC系、Al系とも言う)と、銅を主成分とする金属からなる第一成分と炭化珪素を主成分とする第二成分とを含む複合材料(以下Cu−SiC系複合材料または単にCu−SiC系、Cu系とも言う)とがある。本発明は、これらの材料に着目し、放熱基板(ヒートシンク)、特に半導体装置用の放熱基板の熱伝導性を向上させるためになされたものである。
【0029】
本発明の炭化珪素系複合材料は、炭化珪素粒子のアスペクト比が1を越え、熱伝導に異方性がある。すなわち本発明の複合材料の第一の方向の熱伝導率をKx、同方向に直交する第二の方向の熱伝導率をKyとした時、0.7Kx≦Ky≦0.9Kxの関係を満たす。複合材料を利用して板状の放熱基板とする場合、この第一の方向を通常その主面方向に、第二の方向を厚み方向に当てる。なおこのKxおよびKyは、ともにほぼ複合材料の組成複合則にそって変わる。熱膨張係数についても同様である。また本発明の複合材料には、その炭化珪素粒子が六角板状でその厚みがC軸方向であるものがある。さらに同粒子のアスペクト比が、1.25以上のものがある。
【0030】
本発明の材料を板状の放熱基板に用い、その主面方向の熱伝導性を高めようとする場合、この異方性を最大限利用する。そのため本発明の材料の製造過程において粉末粒子の主面を可能な限り基板の主面方向に配向させる。KyとKxの比率すなわち熱伝導の異方性の度合いは、主にこのアスペクト比の影響を受ける。同比が大きくなればなるほどその度合いは高くなる。またSiC粒子の量にも多少影響される。すなわちその量が多くなれば、それは高くなる。なお上記のように板状の基板として用いる場合、この配向による熱伝導の異方性が顕著に現れるのは、SiC量が50重量%以上の場合である。またその量が80重量%を越えると、硬質の同粒子が多くなり成形ならびに焼結が困難となるとともに焼結後の仕上げ加工も難しくなる。したがって本発明の材料のSiC量は、50〜80重量%の範囲とする。
【0031】
また本発明の材料には、炭化珪素粒子が酸素含有量1重量%以下、鉄を含む成分の含有量が鉄元素に換算して0.01重量%以下、アルミニウムを含む成分の含有量がアルミニウム元素に換算して0.01重量%以下の高純度であり、かつ低欠陥であるものが含まれる。
【0032】
以上述べた本発明の複合材料は、そのSiC粒子の量・アスペクト比・純度にもよるが、その第一成分がアルミニウムを主成分とする金属の場合、その熱伝導率Kxを300W/m・K以上とすることができる。同様に第一成分が銅を主成分とする金属の場合、その熱伝導率Kxを330W/m・K以上とすることができる。なおこの熱伝導率Kxのレベルは、SiC粒子の量・純度が同じならば、そのアスペクト比の影響を受ける。例えばアスペクト比が1に近くその熱伝導が等方性のこれまでのものに比べ、同比が1.25以上の本発明のものは、Kxが高くなる。したがってアスペクト比の高いSiC粒子を選び、同粒子の主面を放熱基板の主面方向に配向させれば、主面方向の熱伝導率(この場合はこれがKx)が従来に無く高い材料が得られる。また厚み方向に配向させれば、厚み方向の熱伝導率(この場合はこれがKx)が従来に無く高い材料が得られる。同様に主面が矩形状の基板の場合、成形時の給紛手段や型に給紛後の成形手段を考慮すれば、矩形基板の長さ方向・幅方向への粒子主面を配向させることもできる。
【0033】
次に本発明の炭化珪素系複合材料の製造方法について述べる。その方法は、前述のように、アルミニウムまたは銅を主成分とする金属からなる第一成分と、アスペクト比が1を越える結晶粒子からなる炭化珪素粉末を主成分とする第二成分とを含んだ原料を準備する工程と、同第一成分と同第二成分とを含む原料を混合して混合物とする工程と、同混合物を成形し成形体とする工程と、同成形体をアルミニウムまたは銅を主成分とする金属の融点以上の温度で加熱し焼結体とする工程とを含む方法である。すなわち炭化珪素原料粉末に上記のものを用いたことに特徴がある。炭化珪素粉末の混合量は、50〜80重量%の範囲にするのが好ましい。同量をこの範囲とする理由は、前記の通りである。なお上記方法で焼結時の加圧が、熱伝導の異方性を助長する。また粉末成形時の加圧の方向やその成形の方向に異方性を持たせることによっても、同じ効果がある。これは加圧方向と直交する方向にSiC粒子の主面が配向し易くなるからである。成形時の給粉や粉末を重点した後の型に振動を加えることも有効である。以下この方法と、熱伝導の異方性や熱伝導率のレベルとの相関について説明する。
【0034】
前述のように熱伝導の異方性は、特にアスペクト比が1を越える、特に1.25以上の結晶粒子からなる炭化珪素粉末を用いることによって促される。アスペクト比は、大きいほど望ましい。特に5以上であるのが望ましい。その上限は無いが、通常は50程度までである。その扁平度合いやその主面の最大径が大きくなり過ぎると、材料中での同粒子の均等分布が損なわれる。その結果均質なものが得難くなるからである。なおこのような形状の粒子は、調製されたものを入手して用いてもよいが、例えばボールミル等での粉砕混合時に個々の粒子に高加重を負荷して調製してもよい。また前述のように、最終材料の熱伝導の異方性を高めるためには、混合粉末を成形する場合、板状粒子の主面を特定方向に配向するようにする。例えばそれに適した成形法には、押出成形、射出成形法、ドクターブレード成形法等がある。また前述のように成形体を焼結する場合、同時に加圧することによっても同様の効果がある。例えばホットプレス法や加圧下での鍛造法がこれに適している。成形時に配向させた粒子をさらにその配向を助長するように焼結時の加圧方向を選べば、さらにその効果は大きくなる。
【0035】
以下本発明の複合材料の熱伝導率のレベルを向上させる手段について述べる。その第一は、酸素、陽イオン不純物、特に鉄やアルミニウムを含む不純物の少ない炭化珪素原料粉末を使うことである。これによって、得られる炭化珪素結晶粒子中の不純物や欠陥の量を少なくすることができる。その結果複合材料の熱伝導率の異方性には余り関係は無いが、そのレベルを上げることができる。特に結晶粒子中の酸素含有量が1重量%以下、鉄を含む成分の含有量が鉄元素に換算して0.01重量%以下、アルミニウムを含む成分の含有量がアルミニウム元素に換算して0.01重量%以下の高純度の炭化珪素粉末を使い、同程度の不純物量・欠陥量の炭化珪素結晶粒子であるのが望ましい。酸素量や鉄・アルミニウムを含む不純物量がこの量を越えると、熱伝導率が大きく低下することがある。なお前述のように、この不純物レベルの炭化珪素粉末は、炭化珪素粉末を不活性ガス雰囲気中1600〜2400℃の温度範囲で加熱する予備加熱処理の工程を経ても得られる。この場合雰囲気ガス中には、SiC粒子中に固溶して同結晶内に格子欠陥を作り易い窒素や炭素成分が共存しないことが重要である。雰囲気ガスの圧力は高い方が望ましく、例えば高圧下HIP(熱間静水圧成形)処理を行っても良い。温度が1600℃未満では、同熱処理での欠陥低減の効果が小さくなり易い。また2400℃を越えるとSiCが昇華・分解し易くなり、収率が低下する場合がある。
【0036】
さらにこのような粉末は、炭化珪素粉末をフッ酸、硝酸または塩酸の内の少なくとも1種の酸を含む水溶液中に浸漬することによっても得られる。この処理によって、粉末中の粒子表面に存在する陽イオン不純物、鉄(Fe)、クロミウム(Cr)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)等の遷移金属を含む不純物、とりわけ鉄(Fe)や酸素、炭素を溶解除去することができる。これによって、SiC結晶粒子中でのフォノン散乱の原因となる不純物の量が少なくなり、得られる複合材料の熱伝導性は向上する。すなわちこれらの成分は、高温下で粒子表面から同内部に拡散し、欠陥を形成し熱伝導率の低下を招き易いからである。この予備酸処理後予備加熱処理をすることによって、さらに高純度かつ低欠陥のSiC粉末が得られる。
【0037】
またSiC結晶中のキャリヤ濃度もその熱拡散率に影響するものと考えられる。一般にSiCは、過剰電子を持つn型半導体や過剰空格子を持つp型半導体になりうる材料である。したがって、これらの過剰な電子や空格子(キャリヤ)濃度が増加すると、それがSiC結晶粒子中のフォノンを散乱させる一因となる。このためSiCの熱伝導性が低下するものと考えられる。SiCには、6H、4H、3C、15R等の結晶型の異なる多形が存在する。前述のように、これらの中でも熱伝導性の高いのは、6Hまたは4H型であるが、特に6H型のSiCは、n型半導体であり、結晶内の不純物の量が同程度のレベルであれば、他の結晶型のものに比べてキャリヤ濃度が低い。それ故本発明の炭化珪素系複合材料に用いるSiC原料は、6H型のものが望ましい。この点でも本発明のSiC粉末は、特に六方晶系で板状、すなわち六角板状の偏平粒子からなるものが望ましい。そのキャリヤ濃度は、1×1019個/cm3以下であるのが望ましい。なお本発明の炭化珪素系複合材料の製造に供するSiC原料は、全量この6H型であるのが望ましいが、他の結晶型のものが一部混在しても構わない。
【0038】
なおSiC粒子の表面に存在する前記不純物の量は、酸抽出法によって確認できる。その手順は、SiC粉末を100℃に保持された硝酸とフッ酸からなる混酸水溶液中に約2時間浸漬し同表面に存在する不純物を溶出した後、その溶出物をIPC発光分光分析法によって定量する。またSiC粒子の内部に存在する不純物の量も確認したい場合には、加圧酸分解法によって不純物を溶出する。この場合は、SiC粉末を190〜230℃に保持された硝酸とフッ酸からなる混酸水溶液中に約40時間浸漬する。これによってSiC粒子の表面のみならず内部の不純物も抽出できるので、同様にその溶出物をIPC発光分光分析法によって定量する。SiC粒子の積層欠陥の量は、対象とするSiC粒子を透過型電子顕微鏡で直接観察することによって確認できる。また複合化後の炭化珪素系複合材料中のSiC粒子の不純物や積層欠陥の量を確認する場合には、まず第一成分を酸等で分離除去後、残留したSiC粒子を同様な手順で分析・評価する。なおSiC粒子のキャリヤ濃度の確認は困難であるが、同粒子の集合体である粉末であれば、ラマン分光分析によって確認できる。
【0039】
アルミニウムまたは銅を主成分とする第一成分の原料は、市販のものを用いればよい。ただし作製された複合材料の熱伝導率を下げないためには、その純度は高い方が望ましい。例えば99%以上のものを用いるのが望ましい。なお本発明で用いる第一成分の原料の使用形態は、塊状・粉末状他のいかなる形態であってもよいが、通常は粉末状のものを用いる。原料粉末内に介在する不純物種としては、特にアルミニウムに固溶し易い遷移金属元素、特に8a族元素を含む成分を含む成分は、可能な限り少ないのが望ましい。したがって、市販のアルミニウム合金粉末を用いる場合には、これらの合金を作るための成分の少ないものを選ぶのが望ましい。なおさらにアルミニウムまたはアルミニウム合金の原料粉末のアルミニウム純度を高めるためには、市販の粉末の純度を上げるため、同粉末を溶湯噴霧法、物理的または化学的な処理法によって調製された粉末を準備する必要がある。
【0040】
以上述べたように、本発明で使用する原料は、第二成分のSiC粉末として可能な限りアスペクト比が大きく、高純度かつ低欠陥のものを用い、第一成分のアルミニウムや銅を主成分とする原料も高純度のものを用いるのが望ましい。原料の混合方法は、原料の形態・性状に合わせ原料純度が低下しない方法であれば、既存の方法でよい。また混合物は、その成形性を高めるために、例えば顆粒状に造粒してその嵩を下げるのが好ましい。混合物の成形法については、通常のいかなる方法であってもよい。
【0041】
本発明の材料の製造方法では、焼結固化に鍛造法を採用するのが望ましい。すなわち前記した鍛造法は、熱伝導の異方性のみならず、そのレベルの向上をも促す。特に事前の加熱方法は、急速かつ均一な短時間加熱のできる方法が望ましい。例えば鍛造時の加熱を電磁誘導方式やプラズマ誘導加熱方式で15分以内で均熱化する。鍛造によって炭化珪素粒子が破砕され、その隙間への浸透が容易になる。また第一成分と炭化珪素との界面反応物は、熱伝導性が低いが、その生成が少なくなる。また第一成分には高い熱電導性の高純度のものを用いた方が良いが、高純度のものは炭化珪素との濡れ性に乏しい。したがって従来の方法ではその濡れ密着性を改善するため、熱伝導性を犠牲にして合金成分を添加していた。しかしながら、鍛造によれば第一成分に高純度のものを用いても、急速な圧縮で十分密着し、相対密度100%のものが容易に得られる。さらに従来の方法に比べ生産性が高い。以上の理由から鍛造によって固化すると、高熱伝導性かつ緻密な複合材料が安価に得られる。
【0042】
また本発明の製造方法には、前述のように、焼結工程で得られた素材をさらに第一成分金属の融点Tm未満の温度Thで熱処理してもよい。この手段によっても、その熱伝導性を高めることができる。その理由は、この熱処理によって第一成分金属中に固容した合金成分が粒子外に吐き出されるからである。この場合熱処理工程の温度Thが、Th>Tm−100の関係を満たす温度であるのが望ましい。
【0043】
【実施例】
(実施例1) 原料として、いずれもその平均粒径(この場合最大径の平均値)が50μmで、表1に記載の各種予備処理を行ったSiC原料粉末と、表2に記載のAl系原料および表3に記載のCu系原料とを準備した。ラマン分光分析によって確認したSiC原料粉末のキャリヤ濃度は、いずれのものも1×1017個/cm3程度であった。なお表1の予備処理欄に「なし」と記述のものは、該当する予備処理をしていないものである。予備酸処理は、表に記載の濃度・温度の酸水溶液中に記載の時間浸漬後、純水で洗浄する過程を3回繰り返し、それを温風乾燥する手順によって行った。したがって、例えば原料S2の場合は、原料S1のSiC粉末をまず室温の濃度10%のフッ酸水溶液に30分間浸漬し、その後純水で洗浄し、この一連の操作を3回繰り返した後、温風によって脱水・乾燥した。また予備加熱処理は、粉末を炭化珪素質のケースに装入し、ヒーターがタングステン製の炉にセットし、アルゴンガス雰囲気中、記載の同ガス圧力下・記載の温度で1時間保持する方法で行った。同表に記載の各SiC粉末中の不純物量は、前記した条件の加圧酸分解法によって同粉末から不純物含有成分を溶解抽出し、その抽出物をIPC発光分光法によって分析して得た値であり、粒子表面のみでなくその内部も含めた粒子全体に存在する量である。表1にはFe(鉄)以外の本発明で言う陽イオン元素(遷移金属元素)の量は記載されていないが、それら個々の量は、いずれの番号の原料においても高々500ppmであった。またC(炭素)の量は、いずれの番号の原料においても高々500ppmであった。なおSiC粉末粒子のアスペクト比は、1000倍の走査型電子顕微鏡の視野内の全ての板状粒子の最大径(本実施例ではその平均値が50μm)を同板状粒子の厚みで除した個々のアスペクト比を計量粒子数で割って求めた。焼結体のそれについても同様である。
【0044】
【表1】
Figure 0004228444
【0045】
【表2】
Figure 0004228444
【0046】
【表3】
Figure 0004228444
【0047】
第二成分として表1に記載の各SiC原料粉末、第一成分として表2に記載のAl系原料粉末A11または表3に記載のCu系原料粉末C11を選び、それぞれの組合わせで本発明の熱間鍛造による方法によって、SiCを50重量%含む炭化珪素系複合材料試片をそれぞれ作製した。表4の原料欄に作製した28種類の原料の組み合わせを示す。まず表1に記載の各SiC原料粉末50重量%と、残部50重量%が上記A11またはC11の原料粉末となるように秤取し、バインダーとしてパラフィンを3重量%添加し、エタノール中3時間混合した。得られたスラリーを噴霧乾燥して造粒粉末とした。これを乾式粉末成形プレスによって、成形圧力7ton/cm2で直径100mm、厚み10mmに成形した後、大気中400℃でバインダーを除去し成形体とした。これらの各成形体を電磁誘導加熱方式の加熱炉内にセットし、大気中で加熱した。加熱条件は、昇温速度を600℃/分、保持温度をAl−SiC系の場合は670℃、Cu−SiC系の場合は1090℃、保持時間を10秒とした。その後これらの成形体を直ちに予め別途加熱された鍛造型内に入れて、9ton/cm2の圧力で鍛造した。なお鍛造型はAl−SiC系、Cu−SiC系いずれの場合もダイス鋼製のものを用い、型の加熱温度はいずれも450℃とした。鍛造体の最終厚みは、いずれの試料もほぼ10mmであった。その後試料を研削加工仕上げした。なお六角板状でアスペクト比が1を越えるSiC粒子を用いた試料鍛造体の厚み方向の破断面と径方向の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、試料中のSiC板状粒子は、その主面がほぼ試料の主面径方向に沿って配列しているのが確認された。なお表中の*印は、比較例である。
【0048】
【表4】
Figure 0004228444
【0049】
各鍛造体試料の実測した単重と体積から計算した見かけ密度と、主成分の密度とその組成比率から複合則によって計算した理論密度とからその空孔率と相対密度(以下各表には、%単位で単に「密度」と表記する。)を、またレーザーフラッシュ法によって鍛造体の径方向の熱伝導率Kxと厚み方向の熱伝導率Kyとを、差動トランス式熱膨張係数測定装置によってその熱膨張係数を、さらに前記した加圧酸分解法と発光分光分析の組み合わせによってそのSiC結晶粒子中の不純物量を、それぞれ求めた。これらの結果を表4に示す。なお別途予備加熱処理の雰囲気ガスを窒素または炭素を含むガスに切り換えて行ったSiC原料粉末S1を用いて、表4と同様の第一成分との組成・組み合わせ、同様の成形・鍛造の手順で作製した鍛造体は、その熱伝導率が事前の酸処理を行ったもので、Kx方向でAl−SiC系で表4の試料11程度、Cu−SiC系で表4の試料25程度であり、予備酸処理を行わなかったものでは、これより低下してKx方向でAl−SiC系で190W/m・K程度、Cu−SiC系で250W/m・K程度であり、予備加熱処理の効果は小さくなった。
【0050】
なお別途第二成分にアスペクト比の異なる表1のS1、S4〜S9のSiC粉末を選び、SiC量が48、70、80重量%のAl−SiC系試料を作製した。
使用した第一成分粉末、混合から仕上げ加工までの工程および評価内容は、上記と同様にした。なお焼結試料のSiC粒子中の不純物量は、表示していないが、表4の同じSiC原料のものと同じであった。なお表中の*印は、比較例である。
【0051】
【表5】
Figure 0004228444
【0052】
以上の結果より、以下のことが分かる。(1)アスペクト比が1を越える六角板状の粒子からなるSiC原料粉末を用い、本発明の第一の製造方法で作製された鍛造体では、その主面方向にSiC粒子の主面が配向し、同方向の熱伝導率Kxが厚み方向のそれKyよりも大きくなる。Ky/Kx値は、SiC粒子のアスペクト比が大きくなるほど小さくなる。すなわち熱伝導の異方性が増す。またアスペクト比が1を越え同一であれば、SiC粒子の量とともに同異方性は増す。特に表5の実施例では、SiC量が50重量%未満の場合、Ky/Kx値が0.9以下となるアスペクト比は2以上となる。SiC量が70重量%以上になると、アスペクト比10以上で0.7に近い値となる。(2)SiC原料粉末と第一成分との混合物成形体を鍛造する第一の製造方法では、SiC原料粉末に予備処理(予備酸処理や予備加熱処理)を施すと、同処理を施さない場合に比べSiC粒子中の不純物が減り、その結果より高熱伝導性の材料が得られる。特に予備酸処理後、予備加熱処理を施した場合、その効果は顕著である。その理由は、SiC粒子内の不純物量が減少したことおよび鍛造による高速高密度化によって、同粒子内の欠陥や歪みの発生が少なく、かつ主成分間の密着度の高い材料が得られたことによるものと考えられる。
【0053】
(実施例2) 表1のS12のSiC粉末、表2のA11アルミニウム粉末および表3のC11銅粉末を用いて、実施例1と同じ製造方法(粉末調製ないし熱間鍛造の工程を経る方法)によって、表6に記載のSiC量のAl−SiC系およびCu−SiC系鍛造体試料を作成し、実施例1と同様の評価をした。その結果を表5に示す。なお実施例1同様試料中のSiC板状粒子は、その主面がほぼ試料の主面方向に沿って配列していることが確認された。
【0054】
【表6】
Figure 0004228444
【0055】
以上の結果より、アスペクト比の同じ板状粒子からなるSiCの量を変えて複合材料を調製すると、その量の増加とともに熱伝導の異方性は大きくなることが分かる。
【0056】
(実施例3) 表1のS14のSiC粉末(予備酸処理と予備加熱処理を施したアスペクト比が5の六角平板状)、表2のA12アルミニウム粉末および表3のC12銅粉末を用い、主に本発明の第二の製造方法によってAl−SiC系、Cu−SiC系複合材料を作製・評価した。その結果を表7に示す。なおいずれの試料もそのSiC量を70重量%とした。同表中「製法区分」欄に乾式、押出と記された試料は、それぞれ混合粉末の成形が乾式成形法、押出成形法によって行われたものである。また同欄に焼結、HP、鍛造と記した試料は、その焼結がそれぞれ窒素雰囲気下の常圧焼結、窒素雰囲気下のホットプレス焼結、実施例1と同じ条件下での気中熱間鍛造によって行われたものである。なお比較のために同じ組成で実施例1と同じ手順の第一の製造方法(成形が乾式成形法で焼結が熱間鍛造法成)による試料も作製した。乾式成形法による成形体の調製手順は、実施例1と同様にし、同じ形状の成形体を得た。押出成形法による成形体は、以下のように調製した。まず上記原料粉末をSiC70重量%の組成割合で秤量後、有機バインダーとしてメチルセルロースを粉末総重量に対し3重量%、さらに水と少量の可塑剤を添加し、3時間ニーダーで混練した。得られた混合物を断面が120mm幅・12mm高さの押出シートを作製した。このシートを直径110mmの円板状に打ち抜き、金属製のトレー上に載せて温風乾燥して成形体とした。その後この成形体を平滑な炭化珪素製のトレー上に搭載して、減圧下400℃で有機バインダーを除去した。なおこの成形体は、焼結によって実施例1と同程度のサイズの円板形状となった。
【0057】
前記した熱間鍛造は、実施例1と同一条件で行った。また上記常圧焼結は、各成形体を窒素気流中Al−SiC系では670℃で、Cu−SiC系では1090℃で、それぞれ30分間加熱する手順で行った。ホットプレスは、各成形体を炭化珪素製の型内に入れて昇温し、Al−SiC系のものは670℃で、Cu−SiC系のものは1090℃で、窒素雰囲気中1MPaの機械的な圧力を負荷する手順で行った。これらの成形法や焼結法を組み合わせた工程を経た試料を、実施例1同様直径100mm、厚み10mmのサイズに仕上げ加工した後、実施例1と同じ手順で評価をした。なおいずれのものも実施例1と同様に試料中のSiC板状粒子は、その主面がほぼ試料の主面方向に沿って配列していることが確認された。同表の結果から成形方法は乾式成形よりも押出成形の方が、熱伝導の異方性に効果的である(例えば表7の試料60と42の対比より)。また焼結方法は常圧下よりも機械的加圧下で行う方が熱伝導の異方性に効く(例えば表7の試料63と65の対比より)。
【0058】
【表7】
Figure 0004228444
【0059】
(実施例4) 実施例1ないし3で得られた下記表8の素材欄に記載された試料を、窒素気流中、同表の処理温度欄に記載の各温度で3時間熱処理した。その結果を同じ表に示す。なお同表の融点欄の温度は、第一成分の液層が生成し始める各素材の温度であり、示差熱分析(DTA)によって確認したものである。表には熱処理後の熱伝導率を実施例1と同様にして求め、その値を示した。なお同表には、熱処理後の空孔率、相対密度、熱膨張係数およびSiC粒子中の不純物量は示さなかったが、出発素材とほぼ同じレベルであった。同表の結果から以下の点が分かる。すなわち本発明の第一・第二の製造方法によって作製された素材を、さらにそれぞれの素材の第一成分の金属の融点未満の温度で加熱処理することによって、その熱伝導性が向上する。その理由は、この処理によって第一成分の結晶相内に固溶していた合金成分の一部が、同相外に排出されるため同相自体の格子歪みが減少し、高熱伝導性である純主成分に近いものなることによるものと考えられる。なおその処理温度Thの好適範囲は、第一成分の融点Tm未満かつTm−100を越える温度範囲とするのが望ましいことも分かる。
【0060】
【表8】
Figure 0004228444
【0061】
(実施例5) 以上述べた実施例の試料番号1、4、14、15、18、28、48、55、60、64、66、70、82および84のものと同じ方法で得た炭化珪素系複合材料を、それぞれ50個ずつ長さ200mm、幅200mm、厚み3mmの形状の基材に仕上げ加工した。これを図1に模式的に示すようなパワーモジュールに放熱基板として実装して、各実装段階も含めて温度サイクル試験を行った。図1において、1は本発明の上記複合材料からなる第二の放熱基板、2は同基板上に配置され、その上面に(図示しないが)銅回路が形成されたセラミックスからなる電気絶縁性の第一の基板、3はSi半導体素子、4は第二の放熱基板の下に配置された放熱構造体である。なおこのジャケットは、本実施例では水冷ジャケットであるが、他に空冷のフィン等もある。なお同図には半導体素子周辺の配線等については省略してある。本実施例では、Si半導体素子を第一のセラミックス製基板を介して6個搭載したモジュールとした。
【0062】
実装に先立ち第二の基板に直接第一の基板を半田付けできないため、第二の基板の主面に予め平均厚み10μmの無電解ニッケルメッキ層と平均厚み5μmの電解ニッケルメッキ層を形成した。この内各4個の試片は、ニッケルメッキ上に直径5mmの半球状のAg−Sn系半田によって直径1mmの銅線をメッキ面に垂直な方向に取り付けた。この試片の基板本体を治具に固定して銅線を掴みメッキ面に垂直な方向に引っ張り、基板へのメッキ層の密着強度を確認した。その結果いずれの基板のメッキ層も1kg/mm2以上の引っ張り力でも剥がれなかった。またメッキ層が形成された別の試片の内から10個を抜き取って、−60℃で30分保持、150℃で30分保持の昇降温を1000サイクル繰り返すヒートサイクル試験を実施し、試験後上記と同様の密着強度を確認したところ、いずれの試片もメッキの密着性で上記レベルを満足する結果が得られた。以上の結果より本発明の複合材料からなる基板へのメッキの密着性は、実用上問題の無いレベルであることが判明した。
【0063】
次に第二の基板上に搭載するセラミックス製の第一の基板として、熱伝導率が150W/m・K、熱膨張係数が4.5×10-6/℃、3点曲げ強度450MPaの窒化アルミニウムセラミックス製の基板Aおよび熱伝導率が120W/m・K、熱膨張係数が3.7×10-6/℃、3点曲げ強度1300MPaの窒化珪素セラミックス製の基板Bの二種の銅回路を形成した第一の基板を、それぞれ18個ずつ準備した。これらの基板の形状は、いずれも長さ90mm、幅60mm、厚み1mmとした。これらの基板を第二の基板の200mm角の主面上に2行3列で等間隔に配置し、同基板のニッケルメッキ層を形成した面上にAg−Sn系半田によって固定した。次にこのアッセンブリーの第二の基板の裏面側と水冷ジャケットとを、その接触面にシリコンオイルコンパウンドを塗布介在させてボルト閉め固定した。なおこの場合の第一の基板の取り付け穴は、予め素材段階でその四隅に開けておいた下穴部に炭酸ガスレーザーを照射して、それを直径3mmまで拡げる方法によって形成した。この加工は他のセラミックス材やCu−W、Cu−Moを対象とした場合に比べ、高精度かつ高速で行うことができた。この傾向は特に熱伝導率が高くなればなるほど顕著であった。
【0064】
これらの各試片の中から第一の基板がAとBの物を各15個ずつ選び、上記と同じ単サイクル条件で3000サイクルのヒートサイクル試験を行い、その100サイクル毎のモジュールの出力の変化を確認した。その結果、全てのモジュールが、実用上問題が無いとされる1000サイクルまで、その出力の低下は観測されなかった。ただし、第一の基板の材質種を問わず1000サイクルを越えた1100サイクル以降の確認で、第二の基板に熱膨張係数が10×10-6/℃以上かつ主面方向の熱伝導率Kxが250W/m・K以下の1および4の板を用いたもので、ヒートサイクルによるモジュールの若干の出力低下が観測された。特に熱伝導率Kyが180W/m・Kの1の板および183W/m・Kの4の板を用いたもので、1100サイクル終了後に同出力の若干の低下したものが、15個中1個観測された。この出力の低下した試料では、第一・第二の両基板の半田付けされた接合界面の第一の基板側に微細な亀裂の発生が認められた。また膨張係数が11.0×10-6/℃の48を用いたモジュールでは、2000サイクル終了後、これと同様の原因による若干の出力低下が15個中1個観測された。以上述べたもの以外には3000サイクル終了までこのような異常は無かった。
【0065】
以上の結果より、本発明の炭化珪素系複合材料からなる第一の基板を用いたパワーモジュールは、実用上問題の無いレベルのものとなることが分かる。中でも熱伝導率が250W/m・K以上、さらにはAl−SiCではKxが300W/m・K以上、Cu−SiC系ではKxが330W/m・K以上の材料を第一の基板に用いたものは、過酷な熱サイクル条件下でも上記のような大型のモジュール用基板として利用可能なことが分かる。
【0066】
なお本発明の材料をこの種のモジュールに比べ低出力・低熱(サイクル)負荷の高容量のパーソナルコンピューター等の半導体素子搭載装置に放熱基板として実装・評価も行ったが、その信頼性・実用性能上何ら問題は無かった。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば炭化珪素(SiC)として、アスペクト比が1を越える結晶粒子からなる粉末を用い、方向性のある成形を行ったり、焼結時に加圧することによって、同粒子の一方向への配向を促進させ、熱伝導に異方性のあるAl−SiC系またはCu−SiC系の炭化珪素系複合材料が提供できる。この材料は、その第一の方向の熱伝導率をKxとし、同方向に直交する方向の熱伝導率をKyとすると、Ky/Kx比が0.7〜0.9の範囲内のものもある。特にSiC粒子の量を50〜80重量%とすること、その粒子のアスペクト比を1.25以上にすることによって、安定してこの比のものが得られる。その結果特に高い熱伝導性を有する第一の方向に放熱主面を合わせることにより、主面方向に高い放熱効率の放熱基板が提供できる。また特に予め酸に浸漬したり加熱する予備処理を施して、遷移金属を含む成分他の不純物量を減らし純化した炭化珪素粉末原料を用い、粉末成形時や最終の固化を鍛造で行うことによって、従来に無い極めて高い熱伝導性の同複合材料が得られる。またこの予備処理による炭化珪素の純化工程および/または固化後のAl系成分またはCu系成分の融点未満の温度下での加熱処理工程を、従来からの焼結法・ホットプレス法等に適用することによって、その熱伝導性をさらに高めることができる。したがって、本発明の炭化珪素複合材料は、半導体素子を搭載する放熱基板、特に高出力のパワーモジュール用の高信頼性の放熱基板として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の材料を基板に用いた半導体装置(パワーモジュール)を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1.炭化珪素系複合材料からなる第一基板
2.第二基板
3.半導体素子
4.放熱構造体

Claims (17)

  1. 純度90%以上のアルミニウム、アルミニウム−マグネシウム2元合金、銅、銅−珪素2元合金の四種のうちいずれかの金属を第一成分とし、板状炭化珪素粒子を第二成分とする二種類の成分からなる炭化珪素系複合材料であって、該炭化珪素粒子は、そのアスペクト比が1を越え、該複合材料中の板状炭化珪素粒子の主面方向を第一の方向と規定し、第一の方向の熱伝導率をKx、該方向に直交する第二の方向の熱伝導率をKyとした時、0.7Kx≦Ky≦0.9Kxの関係を満たす炭化珪素系複合材料。
  2. 前記板状炭化珪素粒子の量が、50〜80重量%である請求項1に記載の炭化珪素系複合材料。
  3. 記板状炭化珪素粒子が、六角板状でその厚みがC軸方向である請求項1または2に記載の炭化珪素系複合材料。
  4. 記板状炭化珪素粒子のアスペクト比が、1.25以上である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の炭化珪素系複合材料。
  5. 記板状炭化珪素粒子が、酸素含有量が1重量%以下、鉄を含む成分の含有量が鉄元素に換算して0.01重量%以下、アルミニウムを含む成分の含有量がアルミニウム元素に換算して0.01重量%以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の炭化珪素系複合材料。
  6. 前記第一成分が純度90%以上のアルミニウムまたはアルミニウム−マグネシウム2元合金であり、前記第一の方向の熱伝導率Kxが、300W/m・K以上である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の炭化珪素系複合材料。
  7. 前記第一成分が純度90%以上の銅または銅−珪素2元合金であり、前記第一の方向の熱伝導率Kxが、330W/m・K以上である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の炭化珪素系複合材料。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の炭化珪素系複合材料を用いた半導体装置。
  9. 純度90%以上のアルミニウム、アルミニウム−マグネシウム2元合金、銅、銅−珪素2元合金の四種のうちいずれかの金属を第一成分とし、炭化珪素の粒子を第二成分とする炭化珪素系複合材料の製造方法であって、該第一成分と、板状でそのアスペクト比が1を越える該第二成分からなる原料を準備する工程と、該原料を混合して混合物とする工程と、該混合物を成形し成形体とする工程と、該成形体を該第一成分の融点以上の温度で加熱し焼結体とする工程とを含む炭化珪素系複合材料の製造方法。
  10. 前記混合物とする工程の炭化珪素粉末の混合量が、50〜80重量%である請求項9に記載の炭化珪素系複合材料の製造方法。
  11. 前記炭化珪素の結晶粒子が、六角板状でその厚みがC軸方向である炭化珪素粉末を用いる請求項9または10に記載の炭化珪素系複合材料の製造方法。
  12. 前記炭化珪素粉末の結晶粒子は、そのアスペクト比が1.25以上である請求項9ないし11のいずれか1項に記載の炭化珪素系複合材料の製造方法。
  13. 前記焼結体とする工程は、前記成形体を該第一成分の融点以上
    の温度で加熱した後、さらに加圧下で鍛造する工程を含む請求項9ないし12のいずれか1項に記載の炭化珪素系複合材料の製造方法。
  14. 前記焼結体とする工程を経た後、さらに該焼結体を該第一成分の融点Tm未満の温度Thで加熱する熱処理工程を含む請求項9ないし13のいずれかに記載の炭化珪素系複合材料の製造方法。
  15. 前記原料を準備する工程において、前記炭化珪素粉末は、酸素量が1重量%以下、鉄を含む成分の量が鉄元素に換算して0.01重量%以下、アルミニウムを含む成分の量がアルミニウム元素に換算して0.01重量%以下である請求項9ないし14のいずれかに記載の炭化珪素系複合材料の製造方法。
  16. 前記原料を準備する工程において、前記炭化珪素粉末は、炭化珪素粉末を不活性ガス雰囲気中1600〜2400℃の温度範囲で加熱される予備加熱処理の工程を経た粉末である請求項15に記載の炭化珪素系複合材料の製造方法。
  17. 前記原料を準備する工程において、前記炭化珪素粉末は、炭化珪素粉末をフッ酸、硝酸または塩酸の内の少なくとも1種の酸を含む水溶液中に浸漬される予備酸処理の工程を経た粉末である請求項15に記載の炭化珪素系複合材料の製造方法。
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