JP4253932B2 - 炭化珪素系複合材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種装置・機器に用いられる放熱基板、特に半導体装置の放熱基板に用いられる高い熱伝導性を有する炭化珪素系複合材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年半導体装置の高速演算・高集積化に対する市場の要求は急速に高まりつつある。それとともに、同装置の半導体素子搭載用放熱基板には、同素子から発生する熱をより一層効率良く逃がすため、その熱伝導率のより一層の向上が求められてきた。さらに同素子ならびに同基板に隣接配置された同装置内の他の部材(周辺部材)との間の熱歪みをより一層小さくするために、より一層それらに近い熱膨張係数を有するものであることも求められてきた。 具体的には、半導体素子として通常用いられるSi、GaAsの熱膨張係数がそれぞれ4.2×10-6/℃、6.5×10-6/℃であり、半導体装置の外囲器材として通常用いられるアルミナセラミックスのそれが6.5×10-6/℃程度であることから、同基板の熱膨張係数はこれらの値に近いことが望まれる。
【0003】
また近年のエレクトロニクス機器の応用範囲の著しい拡張にともない、半導体装置の使用範囲はより一層多様化しつつある。その中で、高出力の交流変換機器・周波数変換機器等のいわゆる半導体パワーデバイス機器への利用が増えつつある。これらのデバイスでは、半導体素子からの発熱が半導体メモリーやマイクロプロセッサーに比べ数倍から数十倍(通常例えば数十W)にも及ぶ。このためこれらの機器に使われる放熱基板は、その熱伝導率を格段に向上させるとともに、その熱膨張係数の周辺部材のそれとの整合性を高めることが重要である。したがってその基本構造も、通常は例えば以下のようになっている。まずSi半導体素子を第一の放熱基板である高熱伝導性の窒化アルミニウム(以下単にAlNとも言う)セラミック基板上に載せる。次いでその第一の放熱基板の下に銅等のより高熱伝導性の金属からなる第二の放熱基板を配置する。さらにこの第二の基板の下に、これを水冷または空冷可能な放熱機構を配置する。以上のような構造によって外部に遅滞なく熱を逃がす。したがって複雑な放熱構造とならざるを得ない。この構造においては、第一の放熱基板であるAlNセラミックスに170W/m・K程度のものを用いるとすると、第二の放熱基板は、この第一の基板から伝達された熱をその下の放熱機構に遅滞なく逃がす必要がある。このため第二の基板としては、室温で少なくとも200W/m・K以上の高い熱伝導率と第一の基板との熱膨張係数の整合のため、10×10-6/℃以下、特に8×10-6/℃以下の低い熱膨張係数を有するものが要求される。
【0004】
特にパワーデバイスの内でも実用時の発熱量の大きなものでは、放熱基板自体の温度も100℃以上に昇温することがあるため、このような温度での高い熱伝導率を要求される場合もある。したがって、このような温度下でも150W/m・K以上の熱伝導率のものが要求される。またその容量が大きくなればなるほどSi半導体素子のサイズも大きくなる。それ故それを搭載する放熱基板も大きくせざるを得ない。例えばパソコン用の基板が高々20〜40mm角程度のであるのに対し、容量の大きなパワーデバイスでは、200mm角を越えるものも求められつつある。このような大きな基板では、実装時のその寸法精度のみならず高温でその精度の低下しないことが要求されている。すなわち高温で基板に反りや変形が生じると、上記した基板の下に配置される放熱機構(ラジエターやフィン等)との界面に隙間ができ放熱効率が落ちる。また最悪の場合半導体素子が破壊する場合もある。それ故高温での放熱基板の優れた熱伝導性の確保は、重要な課題である。
【0005】
またこのような基板には、従来より例えばCu−W系やCu−Mo系の複合合金からなるものが用いられてきた。これらの基板は、原料が高価なためにコスト高となるとともに重量が大きくなるという問題があった。そこで、最近は安価で軽量な材料として各種のアルミニウム(以下単にAlとも言う)複合合金が注目されるようになってきた。中でもAlと炭化珪素(以下単にSiCとも言う)を主成分とするAl−SiC系複合合金は、それらの原料が比較的安価であり、軽量かつ高熱伝導性である。なお通常市販されている純粋なAl、SiC単体の密度は、それぞれ2.7g/cm3程度、3.2g/cm3程度、熱伝導率は、それぞれ240W/m・K程度、200〜300W/m・K程度までであるが、さらにその純度や欠陥濃度を調整すれば、その熱伝導率のレベルはさらに向上するものと思われる。そのため、特に注目されている材料である。また純粋なSiC単体、Al単体の熱膨張係数はそれぞれ4.2×10-6/℃程度、24×10-6/℃程度であり、それらを複合化することによって、その熱膨張係数が広い範囲で制御可能となる。したがってこの点でも有利である。
【0006】
かかるAl−SiC系複合合金およびその製造方法については、(1)特開平1−501489号公報、(2)特開平2−343729号公報、(3)特開昭61−222668号公報および(4)特開平9−157773号公報に開示されている。(1)は、SiCとAlの混合物中のAlを溶融させて鋳造法によって固化する方法に関するものである。(2)、(3)は、いずれもSiC多孔体の空隙にAlを溶浸する方法に関するものである。この内(3)は、加圧下でAlを溶浸する、いわゆる加圧溶浸法に関するものである。また(4)は、SiCとAlの混合粉末の成形体かまたはそれをホットプレスしたものを型内に配置し、これを真空中、Alの融点以上の温度で液相焼結する方法に関するものである。
【0007】
また特開平10−335538号には、(5)液相焼結法によって得られ、その熱伝導率が180W/m・K以上のアルミニウム−炭化珪素系複合材料が提示されている。この複合材料は、例えば10〜70重量%の粒子状SiC粉末とAl粉末との混合粉末を成形した後、99体積%の窒素を含み、酸素濃度が200ppm以下、露点が−20℃以下の非酸化性雰囲気中、600〜750℃で焼結する工程によって得られる。 また特開平10−280082号には、(6)その熱膨張係数が18×10-6/℃以下、その熱伝導率が230W/m・K以上であり、焼結後の寸法が実用寸法に近い、いわゆるネットシェイプなアルミニウム−炭化珪素系複合材料が提示されている。本発明者等は、特願平11−28940号にて、(7)常圧焼結法とHIP法とを組み合わせた同複合材料の製造方法を提案している。それによれば、例えば粒子状SiCを10〜70重量%混合したAl−SiC系混合粉末の成形体を、窒素ガスを99%以上含む非酸化性雰囲気中、600℃以上、Alの溶融温度以下の温度範囲で常圧焼結し、その後金属容器に封入して700℃以上の温度でHIPすることによって、均質でその熱伝導率が200W/m・K以上のアルミニウム−炭化珪素系複合材料が得られている。
【0008】
さらに(8)特開平9−157773号公報には、Al粉末とSiC粉末との混合物をホットプレスし、成形と焼結とを同時に行う方法が開示されている。その方法は、Al10〜80体積%、残部SiCの混合粉末を成形し、Alの溶融点以上の温度下500kg/cm2以上の圧力でホットプレスするものである。この方法によって150〜280W/m・Kの熱伝導率のアルミニウム−炭化珪素系複合材料が得られている。
【0009】
また主成分金属をアルミニウムから銅に置き換えた銅−炭化珪素系の複合材料については、その文献は少ないが、本発明者等の探索知見によれば、この複合材料は、アルミニウムを銅(以下単にCuとも言う)に置き換えれば、以上述べた製造方法とほぼ同様の方法によって得られる。なお純粋なCu単体の密度は8.9g/cm3程度、その熱伝導率は395W/m・K程度、その熱膨張係数は17×10-6/℃程度である。したがって、アルミニウム系のものに比べ得られる複合材料の密度は大きくなるので、軽量化による効果は小さい。その一方で銅はその熱伝導率がアルミニウムのそれに比べ約60%大きく、またその熱膨張係数がアルミニウムのそれに比べ約40%小さい。このためアルミニウム系のものに比べ高い熱伝導率で低い熱膨張係数が必要な基板材料の製造には有利な材料である。なお銅はアルミニウムに比べ溶融温度がかなり高く重量も嵩むので、アルミニウム系に比べ製造コスト面でいくぶん不利である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたような複合材料を大きな放熱量を要求される基板、特に半導体パワーデバイス用の基板のように実用サイズが比較的大きく放熱量の多い放熱基板として使用するためには、以下に述べる解決すべきいくつかの課題が残っている。とりわけ同基板の周辺部材が熱膨張係数の比較的小さいものである場合には、これら部材とのその整合性も配慮する必要がある。その一方で従来以上に高い熱伝導率のものが要求される。例えば半導体パワーデバイス用の基板の熱伝導率のレベルは、今後は280W/m・Kを越える高いものが要求されるものと考えられる。しかしながら、上述した従来の方法で得られる炭化珪素系複合材料では、その熱伝導率が高々260W/m・K程度であり、またそのレベルはいずれもSiC量の増加とともに低下する。 したがって熱膨張係数の低い基板には利用できないこともある。
【0011】
例えば上記(8)の特開平9−157773号公報に記載のAl−SiC系のものでは、その熱膨張係数を10×10-6/℃以下にしようとすると、そのSiC量を80体積%以上にしなければならない。その結果157W/m・K以下の熱伝導率のものしか得られない。また上記(5)特開平10−335538号公報に記載のAl−SiC系のものでは、同じ熱膨張係数のものを得ようとすると、そのSiC量を60体積%以上にしなければならない。その結果200W/m・K程度の熱伝導率のものしか得られない。また常圧焼結法とHIP法を組み合わせた(7)の方法で作製されたものでも、同じ熱膨張係数のものを得ようとすると、そのSiC量を60重量%以上にしなければならない。したがって200W/m・K程度以下の熱伝導率のものしか得られない。
【0012】
また上記(1)に記載のAl−SiC系複合材料の製造方法では、Al溶湯を鋳型に流し込み、SiC粒子を分散させて固化する鋳造法を用いる。したがってAlとSiCの密度差により冷却時に成形体中のSiC粒子の偏析が生じ、固化体の組成が不均一になり易い。このため固化体の表面がAlまたはAl合金からなる被覆層(以下この層をAl被覆層とも言う)により覆われるのは避けられない。通常この被覆層の厚みは、固化体の表面の部所によってかなりばらつく。さらにこの被覆層からなる固化体の表面部とその内部との間では熱膨張係数にかなり差があるため、両者の界面に熱が伝わるとそこに熱応力が生じることになる。 それ故この被覆層を残してこの素材を半導体素子搭載用の放熱基板に用いると、発生した熱応力によって基板に反りや変形が生じ、その結果半導体素子や周辺部材と基板との間に亀裂が生じたり、半導体素子や周辺部材が変形したり、破壊したりする。したがって、この被覆層は予め完全に除去する必要がある。しかもこの除去は、上記のように被覆層の厚みにばらつきがあるため、軟質延性のAlを主成分とする相と剛性の高いSiCを含む相とが共存す部分の加工となる。したがって難加工となる。
【0013】
上記(2)および(3)のAl−SiC系複合材料の製造方法では、AlがSiC多孔体の空隙に溶浸される。この場合鉄鋼の鋳造時に発生するような溶融Alの引け巣を防ぎ、またSiCの空隙内にAlを完全に充填して緻密な複合合金を得る必要がある。このため通常SiC多孔体の外周に過剰なAlが溶浸剤として配置される。溶浸後この過剰なAlが溶浸体の外周に溶出固着し、その除去に多大の手間がかかる。また予めAlとSiCを主成分とする混合粉末を成形し、焼結する上記(5)に記載された方法でもAlの融点を越える温度で焼結すると、軽度ではあるがこれと同じ現象が生じる。
【0014】
そこでこのような外周へのAlの溶出固着を防止するために、上記(6)に記載されたように、Alを溶浸する前にSiC多孔体の外周にその溶出防止剤と同溶浸を促す溶浸促進剤との混合物からなる薄い層を塗布・形成することも一策ではある。しかしながらこれらの層の塗布および溶浸後の除去には手間がかかる。
【0015】
また上記(3)の加圧溶浸法では、一軸加圧可能な型内にSiC多孔体を配置し、その上部にAlまたはAl合金を置いて、真空中でAlを溶融させつつこれを外部から一軸加圧してSiC多孔体内に強制的に充填する工程を踏む。この場合最終的に溶浸体は温度勾配をつけて下部から徐々に冷却する。この時溶浸体内部のSiC骨格部とAlによって充填された部分の熱膨張係数の差が大きいために、冷却時にAlが溶浸体内に引けてAlが未溶浸の部分(上述の引け巣に相当する)ができ易い。したがって、冷却時の温度勾配と加圧・加熱のプログラムとを同時に精度良く制御できる複雑な制御機構が必要になる。したがってその装置はかなり高価なものとなる。
【0016】
さらに上記(4)に記載された型内ホットプレスによる方法では、以下に述べるような生産上・品質上の問題がある。例えばホットプレス装置に連続式のものを用いると、真空雰囲気にするとともにその温度をAlの溶融点以上に上げるため、型の外への溶融物の流出を抑える必要がある。したがって成分量のばらつきを抑え目的とする均一組成のものを得ようとすると、非常に高価な製造装置が必要となる。一方同装置をバッチ式にする場合には、溶融物の型外への流出は、連続式のものに比べいくぶん抑えることはできる。しかしその一方で成形体の型への装填、所定の温度プログラムでの保持と冷却の一連の工程を断続的に繰り返すことになるため、この方式は生産性に欠ける。
【0017】
以上詳述したように、従来のAl−SiC系の複合材料の製造には品質上・生産上のいくつかの課題をかかえている。したがってAl−SiC系の複合材料は、特に半導体パワーモジュールのような高い放熱性を要求される基板の一つとして、その性能面で最近有望視されているにもかかわらず、従来から行われてきた鋳造法、溶浸法、焼結法、ホットプレス法やそれらを組み合わせたいずれの方法でも、満足のゆく本来の性能レベルのものは得られていない。その理由の一つとして以下のことが考えられる。すなわちAlとSiCの間の濡れ性を改善してAl融液のSiC粒子間への自発的な浸透を促したり、空孔の発生を抑えるためにAl中にSi等の従成分を添加したり、またはこれらの従成分を不純物として含むAlを用いたりする場合が多々あった。このためこれらの従成分の介在によって複合材料の熱伝導率の低下は避けられなかった。特にSiC自体がAlに匹敵するか、またはそれを凌ぐ高い熱伝導率を有しながら、従来のAl−SiC系の複合材料では、その量の多い組成域での熱伝導性が低い。
【0018】
一般に物質の熱伝導率は、以下の式に示されるように物質の密度、比熱、熱拡散率の関数である。
熱伝導率=密度×比熱×熱拡散率 式(1)
ここで複合材料の場合、比熱はその成分組成比率によって決まる。したがって、組成が同じであれば、その熱伝導率向上のためにはその密度と熱拡散率を上げることが必要である。上記した従来のAl−SiC系の複合材料では、その密度が99%以上のものでもその熱伝導率が200W/m・K程度あり、熱伝導率向上のためには、特に熱拡散率を向上させる必要がある。
【0019】
Al−SiC系の複合材料では、その熱拡散率はAlとSiCのそれぞれの熱拡散率および両相界面の密着状態によって決まるものと考えられる。両相界面の密着の程度は、基本的に密度が高ければ高いほど向上する。それ故Al−SiC系の複合材料の熱拡散率を増加させる最重要ポイントは、両成分相の熱拡散率、特にSiC相のそれを増加させることであると考えられる。
【0020】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明の目的は、以上述べた従来の炭化珪素系複合材料の品質上・生産上の課題を克服するため、従来になく熱伝導性に優れたアルミニウム−炭化珪素系ならびに銅−炭化珪素系の複合材料およびその安価な製造方法を提供することである。 本発明者等は、上記した従来の課題を解決するために、特にSiC量の多い組成域での熱伝導性の向上を重点に置いて検討を重ねてきた結果、本発明に至った。
【0021】
すなわち本発明で提供される炭化珪素系複合材料は、アルミニウムまたは銅を主成分とする金属を第一成分とし、炭化珪素を主成分とする粒子を第二成分とする炭化珪素系複合材料であって、 同複合材料を構成する炭化珪素粒子が高純度かつ低欠陥である炭化珪素系複合材料である。なお好ましくは、炭化珪素粒子内の鉄元素およびアルミニウム元素の含有量が、いずれも0.01重量以下のものであり、さらには同含有量がいずれも0.005重量%以下のものである。
【0022】
また第一成分がアルミニウムを主成分とする金属である場合、その炭化珪素粒子の含有量および熱伝導率をそれぞれx重量%、yW/m・Kとした時、xとyとが以下の関係にあるものである。
y≧0.286x+173( ただし10≦x≦80) 式(2)
また以下の関係にあるものもある。
さらには以下の関係のものもある。
および
2.410x+226≧y≧300( ただし30≦x≦80) 式(5)
またこれらの複合材料の内でも特に第一成分であるアルミニウムまたはアルミニウム合金中のアルミニウムの格子定数が4.053Å(オングストローム)以下であるものも本発明の炭化珪素系複合材料に含まれる。
【0023】
また第一成分が銅を主成分とする金属である場合、その炭化珪素粒子の含有量および熱伝導率をそれぞれx重量%、yW/m・Kとした時、xとyとが以下の関係にあるものである。
y≧−0.50x+245( ただし10≦x≦80) 式(6)
また以下の関係のものもある。
さらには以下の関係のものもある。
および
【0024】
また以上述べたアルミニウムまたは銅を含むいずれの複合材料においても、特に炭化珪素粒子が、6H型の結晶構造の炭化珪素粒子を含む材料もある。
【0025】
なお本発明には、上記した各複合材料を(部材として)用いたパワーモジュール等の各種半導体装置も含まれる。
【0026】
本発明で提供される炭化珪素系複合材料の第一の製造方法は、アルミニウムまたは銅を主成分とする金属からなる第一成分と、炭化珪素を主成分とする第二成分とを含む原料を準備する工程と、同第一成分と第二成分とを含む原料を、炭化珪素の量が10〜80重量%となるように混合して混合物とする工程と、同混合物を成形し成形体とする工程と、同成形体をアルミニウムまたは銅を主成分とする金属の融点以上の温度で加熱した後、同成形体を加圧下で鍛造し鍛造体とする工程とを含む製造方法である。
【0027】
本発明で提供される炭化珪素系複合材料の第二の製造方法は、アルミニウムまたは銅を主成分とする金属からなる第一成分と、炭化珪素を主成分とする第二成分とを含む原料を準備する工程と、同原料を用いて、加圧下で鍛造することなく、溶浸法、焼結法、ホットプレス法または鋳造法によって炭化珪素を10〜80重量%含む炭化珪素系複合材料素材を得る工程とを含む製造方法である。
【0028】
なおここで本発明の炭化珪素系複合材料の第二の製造方法で言う焼結法、溶浸法、ホットプレス法および鋳造法について定義する。まず焼結法とは、当初から炭化珪素を主成分とする第二成分(以下単に第二成分とも言う)と、アルミニウムまたは銅を主成分とする金属からなる第一成分(以下単に第一成分とも言う)を最終組成で混合し、これを第一成分の融点以上の温度下で焼結する方法である。また溶浸法とは、第二成分の粉末成形体を焼成して多孔体とし、この多孔体の空孔内に第一成分を溶浸して、最終組成の複合材料にする方法である。なお予配合溶浸法と称する方法もあるが、これは当初第二成分に、最終含有量に満たない量の第一成分を予め混合(予配合)しておき、この粉末成形体を焼成して多孔体とし、この多孔体の空孔内に第一成分を不足分だけ溶浸して、最終組成の複合材料にする方法である。しかしこの方法は、本発明では溶浸法に含めることとする。また前述の加圧溶浸法もこの溶浸法に含めることとする。またホットプレス法とは、一旦上記焼結法・溶浸法で作製された素材もしくは焼結前の成形体を機械的に熱間で加圧して、さらに緻密化する方法である。また鋳造法とは、予め第一成分と第二成分の混合物を調製し、第一成分を溶融した状態で型に鋳込むか、または第一成分の溶湯を型に注入し、この溶湯中に第二成分を必要量分散した後、これを冷却して複合材料にする方法である。
【0029】
さらに本発明で提供される製造方法には、上記第一・第二の方法の原料を準備する工程において、酸素量が1重量%以下、鉄を含む成分の量が鉄元素に換算して0.01重量%以下、アルミニウムを含む成分の量がアルミニウム元素に換算して0.01重量%以下の純度の高い炭化珪素粉末を用いる製造方法が含まれる。さらに酸素量が0.1重量%以下、鉄を含む成分の量が鉄元素に換算して0.005重量%以下、アルミニウムを含む成分の量がアルミニウム元素に換算して0.005重量%以下のより純度の高い炭化珪素粉末を用いるのが望ましい。またこのような酸素や鉄を含む不純物の量の少ない炭化珪素粉末を調製する方法として、出発原料である市販の炭化珪素粉末を予め不活性ガス雰囲気中、1600〜2400℃の温度範囲で加熱する予備加熱処理の工程を含む方法もある。さらに市販の炭化珪素粉末を予めフッ酸、硝酸、塩酸の少なくとも1種を含む酸性の水溶液に浸漬する予備酸処理の工程を含む方法もある。またこの予備酸処理および予備加熱処理を併用する方法もある。その場合、予備酸処理後、予備加熱処理を行う。なお以上のような予備加熱処理や予備酸処理に供する炭化珪素粉末は、6H型もしくは4H型の結晶構造のものが好ましい。特に6H型の結晶構造のものが望ましい。
【0030】
また本発明で提供される炭化珪素系複合材料の第一の製造方法の鍛造体とする工程においては、その鍛造条件として、まず圧力を1ton/cm2以上、さらには5ton/cm2以上とするのが望ましい。また鍛造は熱間で行われるのが望ましく、この場合の加熱時間は、15分以内、さらには1分以内の短時間とするのが望ましい。
【0031】
さらに本発明で提供される製造方法には、上記第一の方法で得た鍛造体または上記第二の方法で得られた複合材料素材を、さらにアルミニウムまたは銅を主成分とする金属の融点Tm未満の温度Thで加熱する熱処理工程を含む製造方法もある。この場合の熱処理温度Thは、Th>Tm−100の関係を満たすのが望ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明によって提供される炭化珪素系複合材料には、大別するとアルミニウムを主成分とする金属からなる第一成分と炭化珪素を主成分とする第二成分とを含む複合材料(以下Al−SiC系複合材料または単にAl−SiC系とも言う)と、銅を主成分とする金属からなる第一成分と炭化珪素を主成分とする第二成分とを含む複合材料(以下Cu−SiC系複合材料または単にCu−SiC系とも言う)とがある。本発明は、これらの材料に着目し、放熱基板(ヒートシンク)、特に半導体装置用の放熱基板の熱伝導性を向上させるためになされたものである。
【0033】
本発明の第一の炭化珪素系複合材料は、Al−SiC系複合材料である。その炭化珪素粒子の含有量および熱伝導率をそれぞれx重量%、yW/m・Kとした時、xとyとが前述の式(2)ないし式(5)の関係にあるものである。炭化珪素(以下SiCとも言う)粒子の量x(重量%)と、その熱伝導率y(W/m・K)との関係を図示すると、図1のようになる。この内式(2)で表されるyの範囲(請求項4に相当)が同図の太い実線より上の部分である。また式(3)で表されるyの範囲(請求項5に相当)が同図の点線と一番上の細い実線で、 式(4)で表されるyの範囲(請求項6に相当)が破線と一番上の細い実線で、式(5)で表されるyの範囲(請求項7に相当)が二点鎖線と一番上の細い実線で、それぞれ区切られる。この内、式(2)で表される太い実線より上の部分は、本発明の前記第一の方法に含まれる製造方法(請求項15およびその従属項に相当)によって、また式(3)で表される点線と一番上の細い実線との間の部分は、本発明の前記第二の製造方法に含まれる製造方法(請求項16およびその従属項に相当)によって、さらに式(4)および式(5)で表される破線と一番上の細い実線との間の部分は、本発明の前記第一・第二の製造方法の中でも特に酸素量および陽イオン不純物元素、とりわけ鉄素の量の少ない純度の高い炭化珪素粉末を用いる製造方法(請求項17ないし21に相当)によって、それぞれ得られるyの範囲である。
【0034】
また本発明の第一の炭化珪素系複合材料は、その中に含まれるアルミニウムの格子定数が純アルミニウムのそれ4.0494Åに近い値を示す。さらに上記の純度の高い炭化珪素原料を用い、鍛造する工程を含む製造方法(請求項15の原料を準備する工程において、準備する炭化珪素粉末が請求項17ないし21のものである場合)によって得られるものは、4.051Å以下の値を示す。これらは、前記した従来の各種の製造方法では得られない値である。これは、本発明の第一の炭化珪素系複合材料中のアルミニウムの結晶格子が殆ど歪んでいないことを裏付けるものである。また本発明の第一の複合材料が従来の同系材料に比べ高い熱伝導性を有する理由である。この点と製造方法との絡みについては後で詳述する。
【0035】
本発明の第二の炭化珪素系複合材料は、Cu−SiC系複合材料である。その炭化珪素粒子の含有量および熱伝導率をそれぞれx重量%、yW/m・Kとした時、 xとyとが前述の式(6)ないし式(9)の関係にあるものである。SiCの量(重量%)xと、その熱伝導率y(W/m・K)との関係を図示すると、図2のようになる。この内式(6)で表されるyの範囲(請求項9に相当)が同図の太い実線より上の部分である。また式(7)で表されるyの範囲(請求項10に相当)が同図の点線と一番上の細い実線で、式(8)で表されるyの範囲(請求項11に相当)が同図の破線と一番上の細い実線で、式(9)で表されるyの範囲(請求項12に相当)が同図の二点鎖線と一番上の細い実線で、それぞれ区切られる。この内、式(5)で表される太い実線より上の部分は、本発明の前記第一の方法に含まれる製造方法(請求項15およびその従属項に相当)によって、また式(6)で表される点線と一番上の細い実線との間の部分は、本発明の前記第二の製造方法に含まれる製造方法(請求項16およびその従属項に相当)によって、さらに式(7)で表される破線と一番上の細い実線との間の部分は、本発明の前記第一・第二の製造方法の中でも特に酸素量および鉄元素の量の少ない純度の高い炭化珪素粉末を用いる製造方法(請求項17ないし21に相当)によって、それぞれ得られるyの範囲である。
【0036】
また本発明の第二の炭化珪素系複合材料は、その中に含まれる銅の格子定数が純銅のそれに近い値を示す。これは、本発明の第二の炭化珪素系複合材料中の銅の結晶格子が殆ど歪んでいないことを裏付けるものである。また本発明の第一の複合材料が従来の同系材料に比べ高い熱伝導性を有する理由である。
【0037】
次に本発明の炭化珪素系複合材料の製造方法について述べる。本発明の炭化珪素系複合材料の第一の製造方法は、前述のように、アルミニウムまたは銅を主成分とする金属からなる第一成分と、炭化珪素を主成分とする第二成分とを含む原料を準備する工程と、同第一成分と同第二成分とを含む原料を、炭化珪素の量が10〜80重量%となるように混合して混合物とする工程と、同混合物を成形し成形体とする工程と、同成形体をアルミニウムまたは銅を主成分とする金属の融点以上の温度で加熱した後、同成形体を加圧下で鍛造し鍛造体とする工程とを含む製造方法である。前述のようにこの方法によって、第一の複合材料Al−SiC系では式(2)の、また第二の複合材料Cu−SiC系では式(6)のそれぞれの関係を満たす範囲内の熱伝導率を有するものが得られる。
【0038】
また本発明の炭化珪素系複合材料の第二の製造方法は、アルミニウムまたは銅を主成分とする金属からなる第一成分と、炭化珪素粉末を主成分とする第二成分とを含む原料を準備する工程と、これらの原料を用いて、加圧下で鍛造することなく、溶浸法、焼結法、ホットプレス法または鋳造法によって、炭化珪素を10〜80重量%含む炭化珪素系複合材料素材を得る工程とを含む製造方法である。
【0039】
本発明の第一の製造方法においては、複合材料の緻密・複合化の手段として、鍛造法を選択した。既に述べたように、従来から行われてきた溶浸法、ホットプレス法は、その生産性が低い上に得られる熱伝導率も理論値に比べかなり低い。またこれらの方法に比べ焼結法や鋳造法は、生産性はいくぶん優れてはいるが、同様に得られる熱伝導率も理論値に比べかなり低い。なおここで言う熱伝導率の理論値は、前記した第一成分と第二成分の単体の値を用い、複合則によって両者の組成比率から割り出した値である。
【0040】
例えば溶浸法は、SiC粉末に有機バインダーを添加したスラリーを成形・焼成して、その多孔体を作製し、AlやCuを溶浸するために工程が長い。また焼結法は、一度の焼成で最終組成物が得られるため、生産性は溶浸法に比べて高いが、昇降温時間が長い上に複雑形状のものでは均質なものが得られない。また溶浸法・焼結法ともに第一成分の融液と第二成分との濡れ性が不十分であると、緻密なものが得られない。このため第一成分や第二成分に予め両者の濡れ性を向上させる従成分を添加せざるをえない。それ故この従成分の添加によって熱伝導率の低下が避けられない。ホットプレス法は、これらの方法で作製した複合材料の素材を再加圧するため、さらに生産性が低下する。また鋳造法は、以上述べた方法の中でも最も生産性の高い方法であるが、均質なものが得難い。また両成分間の濡れ性を向上させるためには、上記のように従成分の添加は不可欠であり、その結果熱伝導率の低下は避けられない。
【0041】
本発明者等はこれらの問題を解消するためには、特に鍛造法が有効であることを見出した。すなわちこの方法によれば、上記した従来の方法に比べ短い昇降温時間でほぼ100%の相対密度のものが得られる。またAlやCuの溶融点以上の温度で高い負荷圧力、例えば1ton/cm2以上の圧力で鍛造すると、成形体中のSiC粒子が一部粉砕されて微細な粒子となり、この微細粒子が比較的粗い粒子で形成される骨格の隙間に充填される(SiC粒子の微細化効果)。したがって、SiC粉末に比較的粗い粒子を用いても、その鍛造後の骨格が緻密になるとともに、SiC粒子間の隙間も迅速にAlやCuによって充填される。その結果従来のホットプレス法よりも容易に緻密な複合材料が得られる。
【0042】
鍛造圧力は、少なくとも1ton/cm2以上であるのが望ましい。特にSiC量が50重量%以上の組成域やAlやCuならびにそれらの合金の融点(通常純Alでは650℃、純Cuでは1083℃)以下では、成形体の変形抵抗が大きいため空孔が残留し、作製された複合材料の熱伝導率が低下する場合がある。したがって少なくとも5ton/cm2以上の圧力下で鍛造するのが望ましい。なおSiC量が50重量%未満でAlやCuの量の多い組成域では、予め両主成分を均一に分散しておけば、冷間で1ton/cm2以上の鍛造圧力下でも、AlやCuの延性と上記したSiC粒子の微細化効果による相乗効果によって、両主成分粒子間の物理的密着が急速に進む場合もある。その結果、残留空孔は若干残るものの、少なくとも80%以上の相対密度のものは得られる。鍛造温度が上昇すればするほど、同レベルの相対密度のものの得られる組成域はSiC量の多い側に移動する。鍛造温度がAlやCuの融点以上になると、上記したようにSiC粒子の微細化効果とSiC粒子間の隙間へのAlやCuの溶湯の急速充填によって、容易に緻密化が進み、従来の方法に比べ短時間で高密度・高熱伝導率の複合材料が得られる。なお鍛造温度は高くてもよいが、AlやCuの融点以上では鍛造圧力が10ton/cm2以上になると、緻密化の効果およびそれによる熱伝導率の上昇効果は飽和する。
【0043】
鍛造体とする工程の成形体の加熱温度は、上記のように鍛造圧力やSiC量に左右されるが、前記した両主成分粒子間の密着度による熱伝導率への影響を考慮すると、AlやCuの融点以上とするのが望ましい。鍛造前の成形体の加熱方式は、通常の焼成炉に用いられるものでもよい。しかしながら、後述のように両主成分間またはこれらに含まれる不純物と主成分との界面反応や、同不純物の主成分結晶格子中への固溶現象をできるだけ回避し、高い熱伝導率のものを得るためには、比較的短時間でまた成形体の内部まで急速に昇降温できる加熱方式とするのが有利である。このような加熱方式としては、例えばプラズマ加熱方式、電磁誘導加熱方式、マイクロ波加熱方式等の各種方式がある。この種の加熱方式を採ることによって、成形体内部から均一にかつ急速に加熱されるため、目的とする温度で少なくとも数秒程度保持するだけで、本発明の目的とする高い熱伝導性の複合材料が得られる。また成形体の内部に存在する水蒸気やOH基等の揮発性の成分が急速に蒸発または離脱するため、窒素等の非酸化性雰囲気中で加熱しなくてもAlやCuの酸化が避けられる利点がある。したがってこのような加熱方式によって、例えば数秒以内の短時間で鍛造する場合には、空気中で行ってもさほどの問題はない。
【0044】
なお通常の加熱方式で均一に加熱するためには、十数分必要であるので、この場合には窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気が好ましい。また加熱温度が高くなり過ぎると、Al−SiC系では以下に述べるようにAlとSiCとの反応により炭化アルミニウム(Al4C3)が生成して、その熱伝導率が低下することもあるので、加熱温度は加熱時間との絡みはあるが、AlまたはAl合金の融点から200℃高い温度までを目安とするのが望ましい。また鍛造時の金型の温度は、高い方が望ましい。金型の温度が低い(例えば室温の場合)と、加熱した試料が冷却されて緻密化を阻害することもあるからである。さらにAlの融点以上の温度下での鍛造が適しているような場合には、Alの温度が融点以下に下がると、期待した熱伝導率が得られないこともあり得るからである。金型温度の設定は、鍛造前の加熱温度とも関係するので、一律には決められないが、200℃以上とするのが望ましい。なお600℃を越えると金型の強度が低下することもあるので、200〜500℃程度とするのが最も望ましい。
【0045】
また例えばAl−SiC系の鍛造体とする工程では、以上のように加熱時間の短い加熱手段を採る場合、以下に述べるような利点もある。一般にAlとSiCを主成分とする成形体を加熱すると、AlとSiCの界面では以下の反応が徐々に起こる。
3SiC+4Al→Al4C3+3Si 式(10)
この反応は加熱時間が長ければ長いほど進行する。 従来から行われてきた溶浸法、焼結法、鋳造法およびホットプレス法では、成形体の均熱加熱やAlの溶浸・浸透を確実に成形体内に行き渡らせるために、またAlとSiCを互いの界面で十分に密着させるため、通常は少なくとも時間単位の長時間加熱が必要である。このため熱伝導率の低い炭化アルミニウム(Al4C3)の生成量が多くなり、その結果複合材料全体の熱伝導率の低下が避けられない。これに対し短時間の加熱による鍛造工程によって成形体の緻密・複合化ができる上記本発明の方法であれば、炭化アルミニウム生成による複合材料の熱伝導率の低下は最小限に抑えることができる。
【0046】
前述のように、従来の常圧下での溶浸法や焼結法では、AlまたはCuとSiCとの界面を十分に密着させるためには、合金化成分を添加して両成分間の濡れ性を向上させる必要があった。例えば純Alを用いる場合には、Si、MgやTi、V、Mn等の遷移金属、純Cuを用いる場合には同様な遷移金属等を従成分として添加する必要があった。このため純Alや純Cuの高い熱伝導性を十分に活かすことができなかった。特に上記のようにAl−SiC系で、AlにMgやSiを添加した場合には、AlとSiCとの濡れ性が大幅に向上し、溶浸や焼結が容易になる。しかしながら、これらの合金成化分はAlまたはCuの結晶内に固溶するため、複合材料の熱伝導率の大きな低下は避けられなかった。これらの合金化成分がAlまたはCuの結晶内に固溶すると、AlやCuの結晶格子の歪みが大きくなり(すなわち純Alまたは純Cuに近い格子定数のものが得られなくなり)、その本来の高い熱伝導性が阻害されるからである。これに対し本発明の第一の製造方法によれば、純Alや純Cuを主原料とした場合でも鍛造工程により、これらとSiCとの間の高い密着度と高い熱伝導性の確保が容易になる。
【0047】
ところで一般には、高い熱伝導率の複合材料を得るためには、本質的に高い熱伝導率で純度の高い主成分を原料として用いることが望ましい。しかしながら、一般にはこのような高純度の原料は高価である。したがって本発明の複合材料の製造に当っては、第一・第二の複合材料を問わず、まず第一には、可能な限り安価な原料を入手または調製することが重要である。これは本発明のいずれの製造方法においても、特に主成分原料であるアルミニウムまたは銅を主成分とする金属からなる第一成分および炭化珪素粉末を主成分とする第二成分とを含む原料の準備段階で重要なことである。
【0048】
まず本発明の炭化珪素系複合材料の主成分である炭化珪素は、セラミックスの中でも特に熱伝導率の高いセラミック材料として知られている。そこで前記した本発明の高純度かつ低欠陥の炭化珪素粒子について、以下説明する。このようなセラミックスでの熱伝導媒体は、基本的にはフォノンである。一般に炭化珪素粒子中には多くの欠陥が存在するが、欠陥にはSiC結晶格子のC軸方向の原子の積層状態に起因する積層欠陥や点欠陥、不純物の固溶に起因する転移、粒子が機械的に粉砕されることによって導入される結晶歪みや結晶中のキャリヤ濃度等がある。このような欠陥は、いずれも結晶中でのフォノンによる熱伝導を妨げる。本発明者等は、以上の要因の内とりわけ影響の大きいものが、積層欠陥と不純物の量であることを見出した。これらの要因の影響の大きさは、SiC原料粉末の調製方法に大きく左右される。
【0049】
SiC粉末の調製方法には、(1)、二酸化珪素(SiO2)やシリコン(Si)の粉末と炭素(C)粉末とを反応させる方法、(2)、Siの直接炭化、すなわちSiとコークス等のC成分とを反応させる方法、さらに(3)、一旦(1)または(2)の方法で調製したSiC粉末を、2000℃以上の温度で加熱・昇華させてSi及びCのガスとし、このガスを再析出させる方法等がある。いずれの方法を用いても出発物質のSiO2、C、SiC、Si各粉末の金属不純物の量を予め低減させることによって、高純度のSiC粉末が得られる。特に方法(3)では気相からSiC粉末を再析出させるため、積層欠陥量の極めて少ない微粒の粉末が得られる。またこの粉末は、混合に当たって粉砕する必要がないので粒子内に機械的な内部歪みも発生しない。それ故通常市販のものに比べ極めて熱拡散率が高い。SiC原料に混入している不純物には、窒素、酸素、炭素および鉄(Fe)、チタニウム(Ti)、クロミウム(Cr)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)等々の遷移金属または同金属を含む成分等がある。これらは、SiC粒子表面かまたは同粒子内部に存在するが、内部に存在する不純物は、SiC結晶粒子自体の熱拡散率を低下させる。表面近傍のものは、 後述する原料粉末の予備酸処理によって除去されるが、内部のものは実質的に除去できない。このため高い熱伝導性の複合材料を得るためには、可能な限りこのような粒子内の不純物の少ないSiC原料を用いるのが望ましい。しかしながらこの方法は、収率が低いため高価なものとなり易い。例えば、加圧・加熱した酸に長時間浸漬するような酸処理が必要となる。
【0050】
そこで本発明者等は、(4)、SiC粉末内に一旦導入された欠陥を加熱処理することによって除去することを考えた。その結果、特定の条件での加熱によって内在する転位を効率的に移動させることができ、SiC結晶粒子内の積層欠陥量を少なくすることができることを見出した。また加熱条件によっては、同時にSiC自体が昇華し再析出するため、欠陥の殆どない粉末を得ることもできることを見出した。このようにして得られた粉末は、その結晶粒子自体が高い熱伝導性を有するものである。
【0051】
本発明の複合材料の製造方法では、その原料を準備する工程で、SiC原料粉末として市販の粉末を選んでもよいが、以上のように予めその結晶粒子内部の不純物量の少ない市販の粉末を選定するか、 または選定した粉末を予め加熱処理(予備加熱処理)するのが望ましい。 このため本発明では、その第一・第二の製造方法の原料を準備する工程において、市販の粉末を選定する場合、好ましくは酸素量が1重量%以下であり、陽イオン不純物元素、とりわけ鉄を含む成分の量が鉄元素に換算して0.01重量%以下、アルミニウムを含む成分の量がアルミニウム元素に換算して0.01重量%以下のSiC原料粉末を選定する。さらには酸素量が0.1重量%以下、鉄を含む成分の量が鉄元素に換算して0.005重量%以下、アルミニウムを含む成分の量がアルミニウム元素に換算して0.005重量%以下のものを選定するのが、より好ましい。酸素量および鉄・アルミニウム含有成分の同元素に換算した量が、以上のレベルを越えると、複合材料の熱伝導率が低下し易くなる。または本発明では、選定したSiC粉末の酸素や陽イオン不純物元素、とりわけ鉄の量を減らすため、好ましくは出発原料であるSiC粉末を予め不活性ガス雰囲気中、1600〜2400℃の温度範囲で予備加熱処理を行う。または好ましくは出発原料であるSiC粉末をフッ酸、硝酸、塩酸の少なくとも1種を含む酸水溶液に浸漬する予備酸処理を行う。 このような処理によって、ある程度不純物を含んだ粉末でもその純度を上記選定レベルまで上げることができる。これらの処理は、前述のように併用してもよいが、その場合にはまず予備酸処理を行い、その後予備加熱処理を行う。この酸処理の効果は、(例えば100℃以上の)加熱によって促進される。なお以上のような予備加熱処理や予備酸処理を施すSiC粉末としては、好ましくは可能な限り熱伝導性に優れたものを選ぶ。 SiC粉末の結晶型による特徴については後述するが、その選定に当たっては、例えばその粒子の結晶型が6H型または4H型のSiC粉末を主体に選ぶのが望ましい。とりわけ結晶の対称性が高い6H型のものを主体に選ぶのが望ましい。
【0052】
SiC粉末に予備加熱処理を施す場合、雰囲気ガス中に窒素や炭素成分が共存すると、これらのガスはSiC結晶内に固溶して格子欠陥形成の原因となり易い。したがって、通常はこれらの成分を含まない不活性ガスを用いる。 中でもアルゴン(Ar)ガスが好ましい。この場合のガスの圧力は、大気圧(1気圧)でも十分その効果が期待できるが、高いほどその効果は向上する。ガスの圧力が高ければ高いほどSiC結晶中の転位が容易に移動し得るため、同結晶中の欠陥が消滅し易くなるからである。例えば熱間静水圧成形(HIP)装置等の高圧ガス処理装置を用いて、1000〜数1000気圧のガス圧力下で処理すると効果が大きい。以上述べた不活性ガス中での炭化珪素の熱処理の時間は、通常30分以上とするのが望ましい。処理温度が1600℃未満、またはその処理時間が30分未満では、同処理による欠陥量の低減効果が小さくなり易い。また3時間を越えるとその効果は飽和する。その効果は処理温度が高いほど上がるが、2400℃を越えるとSiCが昇華してSiとCに分解し易くなるため、収率が低下する場合がある。
【0053】
なおSiC原料粉末の欠陥量をさらに減らすためには、例えば炉内に温度勾配を付け、高温部(例えば3000℃)でSiCを昇華させ、低温部(例えば1800℃)でこれを再析出させる方法がある。 これによって欠陥の非常に少ない粉末を得ることができる。この方法によって得られる粉末の結晶粒子は、極めて高い熱伝導性を有する。しかしながらこの方法は、前述の方法(3)のように場合によっては粉末の収率低下が避けられない。これを回避しさらに純度の高いSiC粉末を得るため、本発明では望ましい方法として、この予備加熱処理前にフッ酸、硝酸、塩酸等の酸に浸漬する予備酸処理工程を入れる。これによって、粉末粒子表面付近に存在する前述の陽イオン不純物元素である鉄(Fe)、クロミウム(Cr)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)等の遷移金属不純物、とりわけ鉄(Fe)や酸素、炭素を溶解除去することができる。これらSiC粒子の表面にある不純物、酸素および炭素は、高温下ではSiC結晶粒子の内部まで拡散し、同粒子中の点欠陥や積層欠陥増加の原因となる。その結果SiC結晶粒子の熱拡散率が低下する。特に鉄(Fe)元素を含む成分の影響は大きい。なおFeはSiC粒子中に未結合の状態で存在する場合もあるし、または酸化物等の化合物の状態で存在することもある。以上のように予め酸素量および陽イオン不純物量の少ない炭化珪素粉末を選定するか、または通常市販されている不純物を含む炭化珪素粉末に予備加熱処理や予備酸処理を追加することによって、市販のSiC粉末をそのまま用いる場合よりもさらに高い熱伝導率の炭化珪素系複合材料を得ることができる。
【0054】
一般にSiCは、過剰な電子を持つn型半導体や過剰な空格子を持つp型半導体になる材料である。それ故これらの過剰な電子や空格子(キャリヤ)の濃度が増えると、SiC中のフォノンを散乱させるため、熱伝導率が低下するものと考えられる。生産されている通常の6H型結晶のSiCは、窒素(N)が固溶したn型であり緑色であるが、そのN量が少ないほど結晶の色は透明に近くなる。この場合のキャリヤの生成機構似よれば、例えばNは、SiC結晶中のCサイトを置換し、下式(11)によって自由電子(キャリヤ)が生じる。
C4-→N3ー+e- 式(11)
実際の結晶にはAlやFe等の陽イオン不純物が固溶しているので、これらがSiC結晶中のSiサイトを置換し、下式のように正孔(キャリヤ)を生み出す。
Si4+→Al3++p+ 式(12)
Si4+→Fe3++p+ 式(13)
したがってキャリヤ濃度は、Al、Fe等の陽イオン不純物やNの固溶している量によって決まる。通常のSiC粉末ではNが多いほどキャリヤ濃度は増えるが、Al、Fe等の陽イオン不純物が多いほど正孔が自由電子と結合するため、キャリヤ濃度は見かけ上減る。つまり同じN濃度のSiC結晶では陽イオン不純物の濃度が高いほどキャリヤ濃度は低下する。したがってSiCの熱伝導率を高めるには、これらの陽イオン不純物やNの結晶中への固溶量を減らす必要がある。本発明の炭化珪素系複合材料に用いるSiC粉末のキャリヤ濃度は、低いほどよいが、特に5×1019/cm3以下とするのが望ましい。なおキャリヤ濃度の測定は、以下のように行う。通常単結晶のキャリヤ濃度は、板状資料の上下面に電極を形成し、ホール効果を利用した計量法によって測るが、粉末には電極を形成できないので適用できない。粉末のキャリヤ濃度は、ラマン分光光度計を使って測る。この方法は、粉末中の結晶をレーザーで励起させ、散乱スペクトル(ラマン光)の振動数のシフトの度合いを測る方法である。キャリヤ濃度が高いほどそのシフトの度合いは大きい。
【0055】
以上述べたように不純物や欠陥の量が少ない炭化珪素粉末を主成分原料として用いることにより、より優れた熱伝導性の複合材料を得ることができる。この場合には、Al−SiC系では式(4)で示される、またCu−SiC系では式(8)で示されるそれぞれの範囲に対応する熱伝導率の炭化珪素系複合材料を得ることができる。なお第二の製造方法に絡むが、このようなSiC粉末を準備することによって、 その後通常の溶浸法、焼結法、ホットプレス法および鋳造法の工程を採っても、市販される通常の炭化珪素原料を用いる場合に比べ、優れた熱伝導性の複合材料が得られる。
【0056】
なおSiC粒子の表面に存在する前記不純物の量は、酸抽出法によって確認できる。その手順は、SiC粉末を100℃に保持された硝酸とフッ酸からなる混酸水溶液中に約2時間浸漬し同表面に存在する不純物を溶出した後、その溶出物をIPC発光分光分析法によって定量する。またSiC粒子の内部に存在する不純物の量も確認したい場合には、加圧酸分解法によって不純物を溶出する。この場合は、SiC粉末を190〜230℃に保持された硝酸とフッ酸からなる混酸水溶液中に約40時間浸漬する。これによってSiC粒子の表面のみならず内部の不純物も抽出できるので、同様にその溶出物をIPC発光分光分析法によって定量する。SiC粒子の積層欠陥の量は、対象とするSiC粒子を透過型電子顕微鏡で直接観察することによって確認できる。また複合化後の炭化珪素系複合材料中のSiC粒子の不純物や積層欠陥の量を確認する場合には、まず第一成分を酸等で分離除去後、残留したSiC粒子を同様な手順で分析・評価する。
【0057】
アルミニウムまたは銅を主成分とする第一成分の原料は、市販のものを用いればよい。ただし作製された複合材料の熱伝導率を下げないためには、その純度は高い方が望ましい。例えば99%以上のものを用いるのが望ましい。なお本発明で用いる第一成分の原料の使用形態は、塊状・粉末状他のいかなる形態であってもよいが、第二の製造方法で溶浸法や鋳造法を採る場合を除き、通常は粉末状のものを用いる。原料粉末内に介在する不純物種としては、特にアルミニウムに固溶し易い遷移金属元素、特に8a族元素を含む成分を含む成分は、可能な限り少ないのが望ましい。したがって、市販のアルミニウム合金粉末を用いる場合には、これらの合金を作るための成分の少ないものを選ぶのが望ましい。なおさらにアルミニウムまたはアルミニウム合金の原料粉末のアルミニウム純度を高めるためには、市販の粉末の純度を上げるため、同粉末を溶湯噴霧法、物理的または化学的な処理法によって調製された粉末を準備する必要がある。
【0058】
以上述べたように、本発明で使用する原料は、第二成分のSiC粉末として可能な限り高純度かつ低欠陥のものを用い、第一成分のアルミニウムや銅を主成分とする原料も高純度のものを用いるのが望ましい。原料の混合方法は、原料の形態・性状に合わせ原料純度が低下しない方法であれば、既存の方法でよい。また混合物は、その成形性を高めるために、例えば顆粒状に造粒してその嵩を下げるのが好ましい。混合物の成形法については、通常のいかなる方法であってもよい。
【0059】
本発明で提供される炭化珪素系複合材料の製造方法には、上記第一の製造方法で得られた鍛造体を、または上記第二の製造方法で得られた炭化珪素系複合材料素材を、それぞれアルミニウムまたは銅を主成分とする第一成分の融点Tm未満の温度Thで加熱する熱処理工程を含む製造方法も含まれる。なおこの方法には、上記した第一成分および第二成分の原料を準備する工程の好ましい態様と組み合わた方法も含まれる。なおこの処理雰囲気は非酸化性雰囲気で有ればよい。通常は窒素雰囲気で行う。この熱処理によって鍛造された複合材料の鍛造体結晶や第二の製造方法で得た素材に内在していた格子歪みを緩和することができる。これは第一成分の融点Tm未満の温度Thで加熱することによって、第一成分であるAlやCu中に固溶していた成分(例えばAl−SiC系ではSiや8a族等の遷移金属元素を含む成分、Cu−SiC系では8a族等の遷移金属元素を含む成分)が同結晶粒子外に排出されるからである。その結果得られる熱伝導率の範囲は、前述のように式(3)の上限を越えることはないが、鍛造された複合材料の熱伝導率をさらに向上させることができる。なお熱処理温度ThがAlやCu融点Tm以上になると、それらの液相が形成されるためその効果は期待し難くなる。
【0060】
この熱処理工程の温度Thは、第一・第二の複合材料ともTh>Tm−100の関係を満たす温度であるのが望ましい。この温度範囲で再加熱することによって、熱処理時間を短縮することができる。例えばAl−SiC系では少なくとも1時間行えばよいが、上記のように熱処理時間を延長することによって、結晶粒子内の歪みを緩和しさらに熱伝導率を向上させることができる。なおTh≦Tm−100の場合には、より一層長時間の加熱処理が必要となる。
【0061】
再加熱前の複合材料の熱伝導率のレベルや組成にもよるが、再加熱による本発明のこの方法によって、例えばAl系では通常150〜200W/m・K程度のレベルの熱伝導率を、前記式(2)の下限レベル(すなわち図1の太実線の下限ライン)以上に向上させることができる。また例えばCu系では200〜250W/m・K程度のレベルの熱伝導率を、前記式(6)の下限レベル(すなわち図2の太実線ライン)以上には向上させることができる。以下実施例のよって本発明を説明する。
【0062】
【実施例】
実施例1
原料として、表1に記載の各種予備処理を行ったSiC原料粉末、表2に記載のAl系原料および表3に記載のCu系原料を準備した。 ラマン分光分析によって確認したSiC原料粉末のキャリヤ濃度は、N0.1の6H型のもので1×1017個/cm3、No.12の4H型のもので1×1018個/cm3であった。なお表1の予備処理欄に「なし」と記述のものは、該当する予備処理をしていないものである。予備酸処理は、表に記載の濃度・温度の酸水溶液中に記載の時間浸漬後、純水で洗浄する過程を3回繰り返し、それを温風乾燥する手順によって行った。したがって、例えば原料S2の場合は、原料S1のSiC粉末をまず室温の濃度10%のフッ酸水溶液に10分間浸漬し、その後純水で洗浄し、この一連の操作を3回繰り返した後、温風によって脱水・乾燥した。また予備加熱処理は、粉末を炭化珪素質のケースに装入し、ヒーターがタングステン製の炉にセットし、アルゴンガス雰囲気中、記載の同ガス圧力下・記載の温度で1時間保持する方法で行った。同表に記載の各SiC粉末中の不純物量は、前記した条件の加圧酸分解法によって同粉末から不純物含有成分を溶解抽出し、その抽出物をIPC発光分光法によって分析して得た値であり、粒子表面のみでなくその内部も含めた粒子全体に存在する量である。表1にはFe(鉄)以外の本発明で言う陽イオン元素(遷移金属元素)の量は記載されていないが、それら個々の量は、いずれの番号の原料においても高々500ppmであった。 またC (炭素)の量は、いずれの番号の原料においても高々500ppmであった。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
第二成分として表1に記載の各SiC原料粉末、第一成分として表2に記載のAl系原料粉末A11または表3に記載のCu系原料粉末C11を選び、それぞれの組合わせで本発明の第一の製造方法によって、SiCを50重量%含む炭化珪素系複合材料試片をそれぞれ30個ずつ作製した。表4の原料欄に作製した30種類の原料の組み合わせを示す。
まず表1に記載の各SiC原料粉末50重量%と、残部50重量%が上記A11またはC11の原料粉末となるように秤取し、バインダーとしてパラフィンを3重量%添加し、エタノール中3時間混合した。得られたスラリーを噴霧乾燥して造粒粉末とした。これを乾式粉末成形プレスによって、成形圧力7ton/cm2で直径100mm、厚み10mmに成形した後、大気中400℃でバインダーを除去し成形体とした。これらの各成形体を電磁誘導加熱方式の加熱炉内にセットし、大気中で加熱した。加熱条件は、昇温速度を600℃/分、保持温度をAl−SiC系の場合は670℃、Cu−SiC系の場合は1090℃、保持時間を10秒とした。また別に予め昇温したニクロム線ヒーターを備えたバッチ式の炉に、表4のNo.5とNo.20と同じ原料の組み合わせで調製された成形体を入れ、昇温速度100℃/分、No.5とNo.20と同じ保持温度で均熱化される30分間保持した。その後これらの成形体を直ちに予め別途加熱された鍛造型内に入れて、9ton/cm2の圧力で鍛造した。なお鍛造型はAl−SiC系、Cu−SiC系いずれの場合もダイス鋼製のものを用い、型の加熱温度はいずれも450℃とした。鍛造体の最終厚みは、いずれの試料もほぼ10mmであった。その後この試料を研削加工仕上げした。
【0067】
【表4】
【0068】
各鍛造体試料の実測した単重と体積から計算した見かけ密度と、主成分の密度とその組成比率から複合則によって計算した理論密度とからその空孔率と相対密度(以下各表には、%単位で単に「密度」と表記する。)を、またレーザーフラッシュ法によってその熱伝導率を、差動トランス式熱膨張係数測定装置によってその熱膨張係数を、さらに前記した加圧酸分解法と発光分光分析の組み合わせによってそのSiC結晶粒子中の不純物量を、それぞれ求めた。またAl−SiC系の試料については、X線回折によりAl(331)面の面間隔を実測し、この値からAlの格子定数を求めた。これらの結果を表4に示す。なお上記したニクロム線ヒーターの炉で加熱した成形体を鍛造した試料では、その熱伝導率がNo.5に対応するもので283W/m・K、No.20に対応するもので350W/m・Kmとなり、電磁誘導加熱法で加熱した表4に記載のものに比べ低下した。その理由はこれらの試料では、加熱時間が長いためSiC粒子中の酸素量が1000ppmまで増加しており、これが原因と考えられる。なお別途予備加熱処理の雰囲気ガスを窒素または炭素を含むガスに切り換えて行ったSiC原料粉末S1を用いて、表4と同様の第一成分との組成・組み合わせ、同様の成形・鍛造の手順で作製した鍛造体は、その熱伝導率が事前の酸処理を行ったもので、Al−SiC系で表4の試料7程度、Cu−SiC系で表4の試料22程度であり、 予備酸処理を行わなかったものでは、これより低下してAl−SiC系で210W/m・K程度、Cu−SiC系で250W/m・K程度であり、予備加熱処理の効果は小さくなった。また異なるキャリヤ濃度レベルのSiC原料粉末を用い、得られる複合材料の熱伝導性に及ぼす同濃度の影響を確認した。SiC原料粉末として、上記で用いた予備酸処理した平均粒径50μm、6H型の結晶粒子からなる粉末S2と、同粉末30重量%に、同じ予備酸処理をした同一平均粒径の15R型の結晶粒子からなる粉末70重量%を混合した混成粉末S16を用意した。キャリア濃度は、前者が1×1017個/cm3、後者が1×1020個/cm3であった。この2種の粉末を用いて上記と同じ手順でAl−SiC系、Cu−SiC系の同形状の鍛造体試片を作製した。この試片の熱伝導率を上記と同様に確認したところ、前者は284W/m・K、後者は230W/m・Kであった。
【0069】
以上の結果より、(1)SiC原料粉末と第一成分との混合物成形体を鍛造する第一の製造方法では、SiC原料粉末に予備処理(予備酸処理や予備加熱処理)を施すと、 同処理を施さない場合に比べSiC粒子中の不純物が減り、その結果より高熱伝導性の材料が得られる。特に予備酸処理後、予備加熱処理を施した場合や高いガス圧下で予備加熱を施した場合、その効果は顕著である。その理由は、SiC粒子内の不純物量が減少したことおよび鍛造による高速高密度化によって、同粒子内の欠陥や歪みの発生が少なく、かつ主成分間の密着度の高い材料が得られたことによるものと考えられる。さらに(2)鍛造前の加熱手段としては、急速に均熱化が図られ、短時間で昇降温できる加熱手段の方が、本発明複合材料の熱伝導性向上とともに生産性向上のためには好ましい。
【0070】
実施例2
第二成分として表1のSiC原料粉末S8を、第一成分として表2のA1系原料粉末A11または表3の原料粉末C11をそれぞれ用いて、上記実施例1と同様の手順(第一の製造方法、ただし鍛造前の加熱は実施例1同様電磁誘導加熱法である。)によって、SiCを10、20、30、50、70、80重量%含む複合材料を作製した(試料31〜40)。またSiCを80重量%含むAl−SiC系の成形体については、その鍛造前の加熱保持温度T、鍛造圧力Pを変化させたのものも作製した(試料41〜49)。これらの各試料のTとPは、それぞれ試料41が670℃(第二成分の純Al、A11の融点660℃より少し高い温度)で0.8ton/cm2、試料42が670℃で1ton/cm2、試料43が670℃で4ton/cm2、試料44が670℃で5ton/cm2、試料45が670℃で9ton/cm2、試料46が670℃で10ton/cm2、試料47が620℃で9ton/cm2、試料48が770℃で9ton/cm2、試料49が870℃で9ton/cm2とした。すなわち試料41〜46はPを変えた場合であり、試料47〜49はTを変えた場合である。これらの鍛造体試料を実施例1と同様に評価し、その結果を表5に示す。なおSiCを80重量%含むCu−SiC系の成形体についても同じように鍛造条件による効果を確認したが、ほぼAl−SiC系と同様の傾向が見られた。
【0071】
以上の結果より、(1)第一の製造方法で、SiC量を変化させることにより、複合則にそった熱伝導率と熱膨張係数を有する材料が得られる。(2)SiC量の多い場合(80重量%)でも、第一成分の融点付近では、少なくとも1ton/cm2の鍛造圧力で相対密度99%を越す材料が得られる。鍛造圧力が10ton/cm2以上、加熱温度が第一成分の融点を越えると、鍛造による緻密化効果が飽和する。
【0072】
【表5】
【0073】
実施例3
第二成分として表1のS1とS2の二種のSiC原料粉末を用いて、溶浸法、焼結法、ホットプレス法および鋳造法によって、すなわち本発明の第二の製造方法によって、SiC量が50重量%のAl−SiC系およびCu−SiC系の複合材料を作製した。なお溶浸法で作製したもののみ、その溶浸する第一成分に表2のA12、A22、A32、C12、C22およびC32の板材を使用した。その他の方法では第一成分の原料にA21、A31、C21およびC31の粉末を使用した。なお各試料の出発原料の組み合わせは、表6の原料欄に記載の通りである。
【0074】
溶浸法のものは、上記二種のSiC原料粉末に実施例1と同様のバインダーを加えて同じ形状に成形し、バインダー除去して多孔質の成形体にした後、その成形体を上記した第一成分からなる板材の上に配置して、窒素気流中Al−SiC系のものでは750℃で、またCu−SiC系のものでは1200℃でそれぞれ2時間加熱し、同第一成分を自発溶浸させた(試料50〜59)。また焼結法のものは、実施例1と同様に、二種のSiC原料粉末S1、S2と、二種の第一成分原料粉末A3、C3との組み合わせで、実施例1と同様に混合・成形した後、窒素気流中Al−SiC系のものでは670℃で、またCu−SiC系のものでは1200℃でそれぞれ2時間加熱し焼結させた(試料60〜63)。ホットプレス法では、この焼結法で得られた試料60、61の成形体素材を炭化珪素系セラミックス製の型にそれぞれ入れて、アルゴン雰囲気中、圧力0.5ton/cm2、660℃でホットプレスした(試料64、65)。また鋳造法のものは、黒鉛型を予備加熱後第一成分の粉末をこれに投入して、Al−SiC系のものでは750℃で、またCu−SiC系のものでは1200℃でそれぞれ1時間加熱溶融し、その後その溶湯中にそれぞれのSiC原料粉末を添加して1時間掻き混ぜてから室温まで徐冷した(試料66、67)。これらの各方法で得られた試料は、仕上げ加工して実施例1と同様に評価した。その結果を表6に示す
【0075】
同表の結果から以下のことが分かる。すなわち(1)第二の製造方法で、酸浸漬または加熱の予備処理を行っていないSiC原料粉末S1を用いた場合と、同S1に予備加熱処理を行ったS2を用いた場合とを比べると、後者の方がかなり優れた熱伝導性を示す。また(2)溶浸法、焼結法のような第二の製造方法では、主成分のAlまたはCuに固溶する合金成分を含んだ第一成分を用いたものと、純度の高いAlまたはCuを主成分として用いたものとを対比すると、前者はSiCとの濡れ性が向上するため、より緻密なものが得られる。しかしながら、後者より熱伝導率が低い。
【0076】
【表6】
【0077】
実施例4
実施例1ないし3で得られた表7の素材欄に記載された試料を、窒素気流中、同表の処理温度欄に記載の各温度で3時間熱処理した。その結果を同じ表に示す。なお同表の融点欄の温度は、第一成分の液層が生成し始める各素材の温度であり、示差熱分析(DTA)によって確認したものである。 表には熱処理後の熱伝導率とAl−SiC系の試料の格子定数を実施例1と同様にして求め、その値を示した。なお同表には、熱処理後の空孔率、相対密度、熱膨張係数およびSiC粒子中の不純物量は示さなかったが、出発素材とほぼ同じレベルであった。同表の結果から以下の点が分かる。すなわち本発明の第一・第二の製造方法によって作製された素材を、さらにそれぞれの素材の第一成分の金属の融点未満の温度で加熱処理することによって、その熱伝導性が向上する。その理由は、この処理によって第一成分の結晶相内に固溶していた合金成分の一部が、同相外に排出されるため同相自体の格子歪みが減少し、高熱伝導性である純主成分に近いものなることによるものと考えられる。Al−SiC系の試料でその格子定数が出発素材のそれよりも純Al側にシフトしていることからもこれは裏付けられる。なおその処理温度Thの好適範囲は、第一成分の融点Tm未満かつTm−100を越える温度範囲とするのが望ましいことも分かる。
【0078】
【表7】
【0079】
実施例6
以上述べた実施例の試料番号1、5、6、10、16、20、21、34、39、50、51、53、60、63、66、67、72、77、80、85のものと同じ方法で得た炭化珪素系複合材料を、それぞれ50個ずつ長さ200mm、幅200mm、厚み3mmの形状の基材に仕上げ加工した。これを図3に模式的に示すようなパワーモジュールに放熱基板として実装して、各実装段階も含めて温度サイクル試験を行った。図3において、1は本発明の上記複合材料からなる第二の放熱基板、2は同基板上に配置され、その上面に(図示しないが)銅回路が形成されたセラミックスからなる電気絶縁性の第一の基板、3はSi半導体素子、4は第二の放熱基板の下に配置された放熱構造体である。なおこのジャッケットは、本実施例では水冷ジャケットであるが、他に空冷のフィン等もある。なお同図には半導体素子周辺の配線等については省略してある。本実施例では、Si半導体素子を第一のセラミックス製基板を介して6個搭載したモジュールとした。
【0080】
実装に先立ち第二の基板に直接第一の基板を半田付けできないため、第二の基板の主面に予め平均厚み5μmの無電解ニッケルメッキ層と平均厚み5μmの電解ニッケルメッキ層を形成した。この内各4個の試片は、ニッケルメッキ上に直径5mmの半球状のAg−Sn系半田によって直径1mmの銅線をメッキ面に垂直な方向に取り付けた。この試片の基板本体を治具に固定して銅線を掴みメッキ面に垂直な方向に引っ張り、基板へのメッキ層の密着強度を確認した。その結果いずれの基板のメッキ層も1kg/mm2以上の引っ張り力でも剥がれなかった。またメッキ層が形成された別の試片の内から10個を抜き取って、−60℃で30分保持、150℃で30分保持の昇降温を1000サイクル繰り返すヒートサイクル試験を実施し、試験後上記と同様の密着強度を確認したところ、いずれの試片もメッキの密着性で上記レベルを満足する結果が得られた。以上の結果より本発明の複合材料からなる基板へのメッキの密着性は、実用上問題の無いレベルであることが判明した。
【0081】
次に第二の基板上に搭載するセラミックス製の第一の基板として、熱伝導率が150W/m・K、熱膨張係数が4.5×10-6/℃、3点曲げ強度450MPaの窒化アルミニウムセラミックス製の基板Aおよび熱伝導率が120W/m・K、熱膨張係数が3.7×10-6/℃、3点曲げ強度1300MPaの窒化珪素セラミックス製の基板Bの二種の銅回路を形成した第一の基板を、それぞれ18個ずつ準備した。これらの基板の形状は、いずれも長さ90mm、幅60mm、厚み1mmとした。これらの基板を第二の基板の200mm角の主面上に2行3列で等間隔に配置し、同基板のニッケルメッキ層を形成した面上にAg−Sn系半田によって固定した。次にこのアッセンブリーの第二の基板の裏面側と水冷ジャケットとを、その接触面にシリコンオイルコンパウンドを塗布介在させてボルト閉め固定した。なおこの場合の第一の基板の取り付け穴は、予め素材段階でその四隅に開けておいた下穴部に炭酸ガスレーザーを照射して、それを直径3mmまで拡げる方法によって形成した。この加工は他のセラミックス材やCu−W、Cu−Moを対象とした場合に比べ、高精度かつ高速で行うことができた。この傾向は特に熱伝導率が高くなればなるほど顕著であった。
【0082】
これらの各試片の中から第一の基板がAとBの物を各15個ずつ選び、上記と同じ単サイクル条件で3000サイクルのヒートサイクル試験を行い、その100サイクル毎のモジュールの出力の変化を確認した。その結果、全てのモジュールが、実用上問題が無いとされる1000サイクルまで、その出力の低下は観測されなかった。ただし、第一の基板の材質種を問わず1000サイクルを越えた1100サイクル以降の確認で、第二の基板に熱膨張係数が10×10-6/℃以上かつ熱伝導率が250W/m・K以下の1、50、51、53、60、66および80の板を用いたもので、ヒートサイクルによるモジュールの若干の出力低下が観測された。熱伝導率が180W/m・K以下の1、50、51、60および66のものを用いたモジュールでは、1100サイクル終了後に同出力の若干の低下したものが、15個中1個観測された。この出力の低下した試料では、第一・第二の両基板の半田付けされた接合界面の第一の基板側に微細な亀裂の発生が認められた。また膨張係数が11.0×10-6/℃かつ熱伝導率が210W/m・Kの56および熱膨張係数が7.9×10-6/℃で熱伝導率が150W/m・Kの53を用いたモジュールでは、2000サイクル終了後、これと同様の原因による若干の出力低下が15個中1個観測された。以上述べたもの以外には3000サイクル終了までこのような異常は無かった。
【0083】
以上の結果より、本発明の炭化珪素系複合材料からなる第一の基板を用いたパワーモジュールは、実用上問題の無いレベルのものとなることが分かる。中でも熱伝導率が250W/m・K以上の材料を第一の基板に用いたものは、過酷な熱サイクル条件下でも上記のような大型のモジュール用基板として利用可能なことが分かる。
【0084】
なお本発明の材料をこの種のモジュールに比べ低出力・低熱(サイクル)負荷の高容量のパーソナルコンピューター等の半導体素子搭載装置に放熱基板として実装・評価も行ったが、その信頼性・実用性能上何ら問題は無かった。
【0085】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によって、主に炭化珪素(SiC)粒子が高純度かつ低欠陥であるAl−SiC系またはCu−SiC系の炭化珪素系複合材料が得られ、その結果高い熱伝導性の炭化珪素系複合材料が提供される。特に予め酸に浸漬したり加熱する予備処理を施して、遷移金属を含む成分他の不純物量を減らし純化した炭化珪素粉末原料を用い、最終の固化を鍛造で行うことによって、従来に無い極めて高い熱伝導性の同複合材料が得られる。またこの予備処理による炭化珪素の純化工程および/または固化後のAl系成分またはCu系成分の融点未満の温度下での加熱処理工程を、従来からの溶浸法・焼結法・鋳造法等に適用することによって、その熱伝導性をさらに高めることができる。したがって、本発明の炭化珪素複合材料は、半導体素子を搭載する放熱基板、特に高出力のパワーモジュール用の高信頼性の放熱基板として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のAl−SiC系複合材料でのSiC量と熱伝導率の関係を示す図である。
【図2】本発明のCu−SiC系複合材料でのSiC量と熱伝導率の関係を示す図である。
【図3】本発明の材料を基板に用いた半導体装置(パワーモジュール)を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1、炭化珪素系複合材料からなる第一基板
2、第二基板
3、半導体素子
4、放熱構造体
Claims (4)
- アルミニウムまたは銅を主成分とする金属を第一成分とし、炭化珪素を主成分とする粒子を第二成分とする炭化珪素系複合材料の製造方法であって、アルミニウムまたは銅を主成分とする金属からなる第一成分と、炭化珪素粉末を主成分とする第二成分とを含む原料を準備する工程と、該原料を、炭化珪素の量が10〜80重量%となるように混合して混合物とする工程と、該混合物を成形し成形体とする工程と、該成形体をアルミニウムまたは銅を主成分とする金属の融点以上の温度で加熱した後、該成形体を加圧下で鍛造し鍛造体とする工程とを含み、
前記原料を準備する工程において、前記炭化珪素粉末は、炭化珪素粉末を不活性ガス雰囲気中1600〜2400℃の温度範囲で加熱される予備加熱処理の工程を経た粉末である炭化珪素系複合材料の製造方法。 - アルミニウムまたは銅を主成分とする金属を第一成分とし、炭化珪素を主成分とする粒子を第二成分とする炭化珪素系複合材料の製造方法であって、アルミニウムまたは銅を主成分とする金属からなる第一成分と、炭化珪素粉末を主成分とする第二成分とを含む原料を準備する工程と、該原料を用いて、加圧下で鍛造することなく、溶浸法、焼結法、ホットプレス法または鋳造法によって炭化珪素を10〜80重量%含む炭化珪素系複合材料素材を得る工程とを含み、
前記原料を準備する工程において、前記炭化珪素粉末は、炭化珪素粉末を不活性ガス雰囲気中1600〜2400℃の温度範囲で加熱される予備加熱処理の工程を経た粉末である炭化珪素系複合材料の製造方法。 - アルミニウムまたは銅を主成分とする金属を第一成分とし、炭化珪素を主成分とする粒子を第二成分とする炭化珪素系複合材料の製造方法であって、アルミニウムまたは銅を主成分とする金属からなる第一成分と、炭化珪素粉末を主成分とする第二成分とを含む原料を準備する工程と、該原料を、炭化珪素の量が10〜80重量%となるように混合して混合物とする工程と、該混合物を成形し成形体とする工程と、該成形体をアルミニウムまたは銅を主成分とする金属の融点以上の温度で加熱した後、該成形体を加圧下で鍛造し鍛造体とする工程とを含み、
前記原料を準備する工程において、前記炭化珪素粉末は、炭化珪素粉末をフッ酸、硝酸または塩酸の内の少なくとも1種の酸を含む水溶液中に浸漬される予備酸処理の工程を経た粉末である炭化珪素系複合材料の製造方法。 - アルミニウムまたは銅を主成分とする金属を第一成分とし、炭化珪素を主成分とする粒子を第二成分とする炭化珪素系複合材料の製造方法であって、アルミニウムまたは銅を主成分とする金属からなる第一成分と、炭化珪素粉末を主成分とする第二成分とを含む原料を準備する工程と、該原料を用いて、加圧下で鍛造することなく、溶浸法、焼結法、ホットプレス法または鋳造法によって炭化珪素を10〜80重量%含む炭化珪素系複合材料素材を得る工程とを含み、
前記原料を準備する工程において、前記炭化珪素粉末は、炭化珪素粉末をフッ酸、硝酸または塩酸の内の少なくとも1種の酸を含む水溶液中に浸漬される予備酸処理の工程を経た粉末である炭化珪素系複合材料の製造方法。
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