JP4314672B2 - レンズ鏡筒 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ鏡筒に設けられた切換部を操作することで、当該レンズをマニュアルフォーカス用レンズ、オートフォーカス用レンズとして用いることができるレンズ鏡筒に関する。
【0002】
【従来の技術】
オートフォーカス機能を備えた一眼レフレックスカメラに装着されるレンズにおいて、そのレンズ鏡筒に、マニュアルフォーカスとオートフォーカスを切り換えるための切換部(例えば、AF−MF切換環)が設けられたものが公知である。
かかるレンズ(以下「AF−MF切換レンズ」という。)には、そのレンズ鏡筒に、レンズをマニュアルフォーカス用レンズとして機能させるためのマニュアルフォーカス部(マニュアル操作部等)と、オートフォーカス用レンズとして機能させるためのオートフォーカス手段(オートフォーカス駆動部等)とが設けられ、更に、レンズ鏡筒内のレンズ部と前記マニュアル操作部との間、又はレンズ部と前記オートフォーカス駆動部との間にクラッチ機構が設けられている。
【0003】
このクラッチ機構を、前記切換部(AF−MF切換環)の操作によって(AF−MF切換環の切換位置に応じて)動作することで、前記レンズ部と前記マニュアル操作部との間/前記レンズ部と前記オートフォーカス駆動部との間が、選択的に接続されて、レンズ鏡筒に設けられたマニュアルフォーカス手段、オートフォーカス手段が選択的に実行可能になる。
【0004】
このクラッチ機構、切換部(AF−MF切換環)により、オートフォーカス手段の選択時、レンズ部がオートフォーカス駆動部等によって動作しても、マニュアル操作部が連動することがなくなる。
又、マニュアルフォーカス手段の選択時、レンズ部がマニュアル操作部等によって移動しても、オートフォーカス駆動部との接続が断たれているため、オートフォーカス駆動部(例えば、カメラ本体側の駆動機構)が、レンズ部の動作時の負荷とならずに、マニュアル操作部による円滑な焦点調整が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このAF−MF切換レンズに設けられた切換部(AF−MF切換環)は、AF撮影−MF撮影を頻繁に切り換えることを前提とするのであれば、弱い操作力で操作(又は簡単な操作)できるようにして、その操作性の向上を図る方がよい。
【0006】
しかし、撮影者が専らAF撮影を行うのであれば、切換部(AF−MF切換環)は、オートフォーカス手段を選択する切換位置(オートフォーカス位置)のままで、マニュアルフォーカス手段を選択する切換位置(マニュアルフォーカス位置)に切り換え難くした方がよい。反対に、撮影者が専らMF撮影を行なう場合には、切換部(AF−MF切換環)をマニュアルフォーカス位置のままで、オートフォーカス位置に切り換え難くした方がよい。
【0007】
従って、上記のように、切換部(AF−MF切換環)による切換を弱い操作力(又は簡単な操作)で可能にすると、AF撮影−MF撮影の切換をあまり行わない撮影者にとって使い勝手が悪いと云う問題がある。
又、AF撮影−MF撮影の切換を頻繁に行う撮影者にとっても、カメラの不使用時には(例えば、鞄に入れて持ち運ぶ際)、勝手に動かないように、切換部(AF−MF切換環)を固定しておきたいと云う要求もある。
【0008】
一方、AF撮影−MF撮影の切換をあまり行わない撮影者に合わせて、切換部(AF−MF切換環)の操作をし難くすると(強い操作力又は複雑な操作でのみ操作可能にすると)、反対に、AF撮影−MF撮影の切換を頻繁に行う撮影者にとって使い勝手が悪くなると云う、相反した問題が生じる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、手動操作によってレンズの焦点調節を行うマニュアルフォーカス手段と、前記レンズの自動焦点調整を行なうオートフォーカス手段とを、レンズ鏡筒に設けられた切換手段によって選択的に実行可能に切り換えることができるレンズ鏡筒において、当該切換手段の操作性を、撮影者のAF撮影−MF撮影の仕方の多様性に応じて、多様化し、レンズ鏡筒の使い勝手を向上させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、手動操作によってレンズ部の焦点調節を行うマニュアルフォーカス手段と、前記レンズ部の自動焦点調整を行なうオートフォーカス手段と、前記マニュアルフォーカス手段が駆動できるように前記マニュアルフォーカス手段と前記レンズ部との間を接続するマニュアルフォーカス状態と、前記オートフォーカス手段が駆動できるように前記オートフォーカス手段と前記レンズ部との間を接続するオートフォーカス状態との選択的な切換が可能な切換手段と、前記切換手段に配置された操作釦と、該操作釦と連動するロック片と、前記操作釦を操作することにより前記ロック片が挿入される第1凹部と、前記第1凹部とは異なる位置に備えられ前記第1凹部よりも幅が狭い第2凹部と、前記第1凹部及び前記第2凹部とは異なる位置に備えられ前記第1凹部よりも幅が狭い第3凹部とを有するロック手段と含み、前記ロック片が前記第1凹部に挿入されたとき、前記第1凹部内を前記ロック片が移動することにより前記切換手段による前記マニュアルフォーカス状態と前記オートフォーカス状態との切換が可能なり、前記ロック片が前記第2凹部及び前記第3凹部の一方に挿入されたとき前記マニュアルフォーカス状態になり前記第2凹部及び前記第3凹部の一方の内の前記ロック片の移動が規制され前記切換手段による前記オートフォーカス状態への切換が禁止され、前記ロック片が前記第2凹部及び前記第3凹部の他方に挿入されたとき前記オートフォーカス状態になり前記第2凹部及び前記第3凹部の他方の内の前記ロック片の移動が規制され前記切換手段による前記マニュアルフォーカス状態への切換が禁止されるものである。
【0010】
又、請求項2に記載の発明は、前記マニュアルフォーカス手段が、レンズ鏡筒の前記レンズ部を手動操作によって移動させるためのマニュアル操作部材を有し、前記オートフォーカス手段が、前記レンズ部を自動的に移動させるオートフォーカス駆動部を有し、前記切換手段が、前記マニュアル操作部材と前記レンズ部との間又は前記オートフォーカス駆動部と前記レンズ部との間の選択的な接続を行なうためのクラッチ手段と、前記レンズ鏡筒の固定筒に回転可能に設けられその回転に応じて前記クラッチ手段に前記選択的な接続を行わせる切換部材とを有するようにし、前記ロック手段が、前記切換部材の回転を禁止することで、当該切換手段による前記マニュアルフォーカス手段と前記オートフォーカス手段との切換を禁止するものである。
【0011】
又、請求項3に記載の発明は、前記ロック手段が、前記操作釦が押圧された状態で前記切換部材が一定角度回転されたときに、前記ロック片が前記第1凹部から前記第2凹部又は前記第3凹部に挿入されて、当該切換部材の回転を禁止し得るようにしたものである。
【0012】
又、請求項4に記載の発明は、前記切換部材の回転によって前記マニュアルフォーカス手段が選択されているとき、または、前記オートフォーカス手段が選択されているときに、その回転位置で当該切換部材をクリックするクリック手段を設けたものである。
【0013】
(作用)
上記請求項1の発明によれば、前記切換手段のみを用いて前記マニュアルフォーカス手段と前記オートフォーカス手段との切換が可能になる。他方、前記切換手段と、これとは別個に設けられたロック手段とを併用した前記マニュアルフォーカス手段と前記オートフォーカス手段との2段階の切換が可能になる。ここで前記切換手段のみを用いた操作は、ロック手段とを併用した操作に比べて、弱い操作力又は簡単な操作で実行可能になる。
【0014】
又、請求項2の発明によれば、前記切換部材の回転を禁止し得る前記ロック手段を設けるだけで、前記マニュアルフォーカス手段と前記オートフォーカス手段との切換を、弱い操作力(又は簡単な操作)と、強い操作力(又は複雑な操作)との2段階に、容易に分けることができる。
又、請求項3の発明によれば、前記操作釦が押圧された状態で前記切換部材が一定角度回転されたときに、前記ロック片が前記ロック用凹部に嵌合されるので、前記切換手段と当該ロック手段を用いた、強い操作力(又は複雑な操作)による前記マニュアルフォーカス手段と前記オートフォーカス手段との2段階の切換を、簡単な構成で行なうことができる。
【0015】
又、請求項4の発明によれば、前記クリック手段により、前記切換手段のみを用いた切換操作時に、撮影者に、弱い操作力(又は簡単な操作)による前記マニュアルフォーカス手段と前記オートフォーカス手段との選択を、簡易な構成で認識させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図12を参照して説明する。尚、この実施の形態は、請求項1から請求項4に対応する。
【0017】
先ず、この実施の形態に係るレンズ鏡筒100の全体構成について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、レンズ鏡筒100は、固定筒1と、フォーカスレンズ(レンズ部)2と、回転筒3と、マニュアル操作筒(マニュアル操作部材)4と、カップリング軸(駆動軸)5と、ギア軸6と、クラッチ機構(クラッチ手段)10と、切換環(切換部材)20と、切換環20も設けられたロック機構(ロック手段)30とを、主たる構成要素としている。
【0018】
尚、このレンズ鏡筒100においては、手動操作によってフォーカスレンズ2の焦点調節を行うためのマニュアルフォーカス手段がマニュアル操作筒4によって構成され、フォーカスレンズ2の自動焦点調整を行なうためのオートフォーカス手段のオートフォーカス駆動部がカップリング軸(駆動軸)5、ギア軸6によって構成されている。又、この実施の形態では、切換手段がクラッチ機構10と切換環20とによって構成されている。
【0019】
ここで、前記フォーカスレンズ2は、これに形成されたヘリコイド2aが、固定筒1側に形成されたヘリコイド1aに嵌合されている。又、フォーカスレンズ2に設けられたピン2bは、回転筒3の案内溝3a、固定筒1の案内孔1Zに摺動自在に嵌合されている。
【0020】
フォーカスレンズ2は、回転筒3が固定筒1に対して相対的に回転すると、図2の矢印で示すように、回転筒3の案内溝3aが固定筒1の案内孔1Zに対して移動し、ピン2bが案内孔1Zによって移動方向が規制されつつ、案内孔3a内を光軸L1方向に移動する(図2(a)(b)中の矢印で示す)。このピン2bの動きによってフォーカスレンズ2が光軸L1に沿って移動する。
【0021】
ここで、回転筒3は、前記切換環20が、後述のオートフォーカス位置(第1の位置)にあるときには、カップリング軸(駆動軸)5の回転に伴って回転する。尚、カップリング軸(駆動軸)5は、カメラ本体側のモータ(共に図示省略)によって回転する。一方、前記切換環20が、後述のマニュアルフォーカス位置(第2の位置)にあるときには、回転筒3は、マニュアル操作筒4の回転に伴って回転する。
【0022】
次に、レンズ鏡筒100において、手動操作によってレンズの焦点調節を行うマニュアルフォーカス手段と、前記レンズの自動焦点調整を行なうオートフォーカス手段とを選択的に実行可能に切り換える切換手段(クラッチ機構10及び切換環20)のうちクラッチ機構10について、図1、図3から図4を用いて説明する。
【0023】
切換手段を構成するクラッチ機構10は、前記回転筒3と前記マニュアル操作筒4との間、又は、前記回転筒3と前記カップリング軸(オートフォーカス駆動部)5との間を選択的に接続するためのもので、切換環20の回転に応じて動作する。
このクラッチ機構10は、図1,図3に示すように、板バネ11と、クラッチ軸12と、クラッチレバー13と、このクラッチレバー13の略中央に形成された連結ピン14とによって構成されている。
【0024】
ここで板バネ11は、マニュアル操作筒4と回転筒3とを連結するためのものである。この板バネ11は、その一方の端部11bがマニュアル操作筒4側の固定部4Pに固定され、他方の端部11aがその上下動に応じて回転筒3のギア部3bに嵌合可能になっている。
又、前記クラッチ軸12は、ギア軸6と回転筒3とを連結するためのものである。このクラッチ軸12は、カップリング軸5に対して光軸L1方向に移動可能で、かつ、カップリング軸5と一体的に回転するようになっている。
【0025】
又、クラッチレバー13は、その一端に形成された鍵部13bがクラッチ軸12に嵌合されて、これを光軸L1方向に移動させるようになっている。又、クラッチレバー13は、他端に形成された板バネ跳上部13aが、板バネ11の端部11aと当接して、これを上下動させるようになっている。
又、クラッチ軸12の略中央に形成された連結ピン14は、切換環20の回転に伴って、光軸L1方向に移動するように構成されている。この連結ピン14の移動によって、クラッチレバー13が光軸L1方向に移動する(図3,図4の矢印A,B)。
【0026】
例えば、切換環20が、自動焦点調整を行うためのオートフォーカス手段を選択する位置(以下「オートフォーカス位置(第1の位置)」という。)にあるときには(図1,図3)、クラッチレバー13は、カメラ本体側から離れた位置となり(図3中の矢印A側に移動)、クラッチレバー13の鍵部13bに嵌合されているクラッチ軸12が、カップリング軸5とギア軸6とを連結する。このとき、クラッチレバー13の板バネ跳上部13aは、板バネ11の端部11aを上方に跳ね上げるので、端部11aは、回転筒3のギア部3bと嵌合しない。
【0027】
従って、切換環20がオートフォーカス位置(第1の位置)にあるときには、カメラ本体側に設けられた駆動部(モータ)によってカップリング軸5が回転されたときに、ギア軸6も回転することとなって、フォーカスレンズ2の自動焦点調整が、実行可能になる。
一方、切換環20が、手動操作によってレンズの焦点調節を行うためのマニュアルフォーカスを選択する位置(以下「マニュアルフォーカス位置(第2の位置)」という。)のときには、連結ピン14は、図4の矢印Bに示す方向に移動し、クラッチレバー13がカメラ本体側に引き寄せられる(図4,図5)。このとき、クラッチレバー13の鍵部13bに嵌合されているクラッチ軸12は、カップリング軸5とギア軸6とを引き離す。一方、クラッチレバー13の板バネ跳上部13aは、板バネ11の端部11aを押し上げることはなく、端部11aがギア部3bに嵌合する。
【0028】
従って、板バネ11は、端部11bが回転筒3のギア部3bに嵌合されることになり、マニュアル操作筒4が回転したとき回転筒3も回転することになり、フォーカスレンズ2の手動操作による焦点調整が、実行可能になる。
次に、レンズ鏡筒100において、マニュアルフォーカス手段とオートフォーカス手段とを選択的に実行可能に切り換える切換手段(クラッチ機構10及び切換環20)のうちの切換環20、及び、これに設けられたロック機構30について、図6から図10を用いて説明する。
【0029】
切換環20は、その回転方向に応じて、その案内溝20eに沿って連結ピン14を移動させるもので、切換環20により連結ピン14は、光軸L1方向に対して、図3,図4の矢印A,Bの何れかの方向に移動する。
この連結ピン14の光軸L1方向の移動により、前記したクラッチ機構10のクラッチレバー13が移動する。
【0030】
ここで、切換環20の切換位置としては、上記したオートフォーカス位置(図3、図7)、マニュアルフォーカス位置(図4、図8)の他、オートフォーカス位置(第1の位置)の外側にオートフォーカスロック位置(図9に示す第3の位置)、前記マニュアルフォーカス位置(第2の位置)の外側にマニュアルフォーカスロック位置(図10に示す第4の位置)が設けられている。
【0031】
以下、切換環20のロック機構30の具体的な構成、及びその作用について説明する。
図6に示すように、切換環20は、固定筒1の凹部1dに嵌合され、かつ、固定筒1に対して相対的に回転可能となっている。
この切換環20の内周面には凹部20aが形成され、この凹部20aに、突起(ロック片)22を有する板バネ23が収容されている。
【0032】
板バネ23は、凹部20aにその一端23aがビス止めされ、他端23bに前記突起22が形成されると共に切欠部23cが形成され、この切欠部23cに操作釦24が嵌合されている。
板バネ23が切換環20に収容された状態では、操作釦24は、切換環20の開口20bから突出する(図7から図12)。
【0033】
突起22は、通常(操作釦24が押されていないとき)、固定筒1側に形成された凹部1X,1Y,1Zの何れかに、板バネ23の戻り力によって嵌合される。
ここで、凹部1Xの幅は、突起22の幅に比べて十分に広く、突起22は、凹部1Xの範囲内で、単独で回転可能になっている。この凹部1Xの幅が、オートフォーカス位置(第1の位置)からマニュアルフォーカス位置(第2の位置)までの切換環20の回転範囲に相当する(図7、図8)。
【0034】
尚、凹部1Y,1Zは、ロック用凹部であり、その幅は、略突起22の幅と同じであり、突起22が凹部1Y,1Zと嵌合しているときは、切換環20は回転不能である。凹部1Yがオートフォーカスロック位置(第3の位置)に相当し、凹部1Zがマニュアルフォーカスロック位置(第4の位置)に相当する。
突起22は、凹部1X,1Y,1Zの相互の間は、操作釦24が押圧されたときにのみ、移動可能になる。
【0035】
例えば、切換環20を、図7に示す通常のオートフォーカス位置(第1の位置)から図9に示すオートフォーカスロック位置(第3の位置)に切り換える際には、先ず、図11に示すように操作釦24を押し(切換環20が凹部1Xを超えて回転可能な状態)、次いで、操作釦24が押された状態で切換環20を回転させて突起22を、凹部1Xと凹部1Yとの間の凸部を乗り越えさせる(図12)。このように、切換環20を、突起22が凹部1Xにある状態(図7)から操作釦24を押して、凹部1Yに嵌合可能な状態となるまでの一定角度回転させることで、突起22が凹部1Yに嵌合され、ロックされる(オートフォーカスロック位置)。
【0036】
切換環20を、図8に示す通常のマニュアルフォーカス位置(第2の位置)から図10に示すマニュアルフォーカスロック位置(第4の位置)にする場合も同様である。
尚、切換環20には、切換操作時に、撮影者に、オートフォーカス位置(第1の位置)又はマニュアルフォーカス位置(第2の位置)であることを認識させるためのクリック機構(クリック手段)40が設けられている(図7,図8)。
【0037】
このクリック機構40は、固定筒1に固定されたクリックバネ41と、切換環20の凹部20dの内壁面に形成されたクリック溝20f,20gとによって構成されている。このクリック機構40では、切換環20がオートフォーカス位置(第1の位置)にあるときには、その嵌合部41aがクリック溝20gに嵌合し、切換環20がマニュアルフォーカス位置(第2の位置)にあるときには、嵌合部41aがクリック溝20fに嵌合して、切換環20が、各々の切換位置でクリックされるようになっている。
【0038】
以上説明したように、この実施の形態のレンズ鏡筒100では、クラッチ機構10によって前記回転筒3(フォーカスレンズ2側)と前記マニュアル操作筒4との間、又は、前記回転筒3(フォーカスレンズ2側)と前記カップリング軸(オートフォーカス駆動部)5との間を選択的に接続させる切換環20は、オートフォーカス位置(第1の位置)からマニュアルフォーカス位置(第2の位置)、及びその逆へは、操作釦24を押すことなく、切換環20を、単独で、回転すればよい。
【0039】
これに対して、オートフォーカス位置(第1の位置)からオートフォーカスロック位置(第3の位置)、及びその逆へは、操作釦24を押す操作と、切換環20を一定角度回転する操作の2つを同時に行なわなければならない。同様に、マニュアルフォーカス位置(第2の位置)からマニュアルフォーカスロック位置(第4の位置)、及びその逆へも、操作釦24を押す操作と、切換環20を一定角度回転する操作を同時に行わなければならない。
【0040】
このように切換環20による切換を、切換環20単独でこれを回転することにより行なうことと、操作釦24を押す操作と切換環20を回転する操作を同時に行うことの、2段階としたことで、以下のような作用効果が得られる。
即ち、オートフォーカス位置(第1の位置)とマニュアルフォーカス位置(第2の位置)との間の切換環20単独での切換時には、クリックバネ41がクリック溝20f,20gと嵌合することでその位置がクリックされるのみで、撮影者は、切換環20の回転を容易に(弱い操作力又は簡単な操作で)行なうことができる。従って、AF撮影−MF撮影を頻繁に切り換える撮影者は、レンズ鏡筒100の使用時、切換環20をオートフォーカス位置(第1の位置)とマニュアルフォーカス位置(第2の位置)との間で、その切換操作を行えばよい。
【0041】
又、不使用のときには(例えば、鞄に入れて持ち運ぶ際)、操作釦24を押圧して、切換環20をオートフォーカスロック位置(第3の位置)、又は、マニュアルフォーカスロック位置(第4の位置)にしておけば、更に操作釦24を押さない限り、切換環20が不用に切り換わることがない。
一方、専らAF撮影を行なう撮影者や、専らMF撮影を行なう撮影者は、操作釦24を押圧して、切換環20をオートフォーカスロック位置(第3の位置)、又は、マニュアルフォーカスロック位置(第4の位置)にしておけばよい。
【0042】
この発明は、実施の形態で示した構成のレンズ鏡筒に限らず、手動操作によってフォーカスレンズの焦点調節を行うマニュアルフォーカス手段と、フォーカスレンズの自動焦点調整を行なうオートフォーカス手段とを、切換手段によって、選択的に実行可能に切り換えることができるレンズ鏡筒であれば、如何なる構成のものでも適用可能である。
【0043】
特に、上記した実施の形態では、手動操作によってフォーカスレンズ2の焦点調節を行うマニュアルフォーカス手段としてマニュアル操作筒4を有し、フォーカスレンズ2の自動焦点調整を行なうオートフォーカス手段としてカップリング軸5を有するタイプのレンズ鏡筒100、即ち、フォーカスレンズ2を駆動するモータがカメラ本体側に配置される一眼レフレックスカメラ用のレンズ鏡筒を例にあげて説明したが、フォーカスレンズ駆動用のモータが内蔵されたレンズ鏡筒にも、本発明を適用できるのは、勿論である。
【0044】
又、この実施の形態では、一眼レフレックスカメラのレンズ鏡筒について説明したが、レンズ交換が可能なカメラ一般に適用可能であることは、勿論である。
【0045】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、手動操作によってレンズの焦点調節を行うマニュアルフォーカス手段と前記レンズの自動焦点調整を行なうオートフォーカス手段とを選択的に実行可能に切り換える切換手段を、単独で操作することによる弱い操作力(又は簡単な操作)による切換操作と、前記切換手段と、これとは別個に設けられたロック手段とを併用した強い操作力(又は複雑な操作)による前記マニュアルフォーカス手段と前記オートフォーカス手段との切換操作の2段階の操作が実現できる。従って、切換手段の操作性を、撮影者のAF撮影−MF撮影の仕方の多様性に応じて多様化することができ、レンズ鏡筒の使い勝手が向上する。
【0046】
又、請求項2に記載の発明によれば、マニュアル操作部材と前記レンズ部との間、又は前記オートフォーカス駆動部と前記レンズ部との間の選択的な接続を行なうため切換部材の回転を禁止する簡単な構成のロック手段で、当該クラッチ手段による切換を禁止することができる。従って、切換部材を単独で回転させるという弱い操作力(又は簡単な操作)による切換と、切換部材とロック手段とによる強い操作力(又は複雑な操作)による切換の2段階の操作が容易に実現でき、その操作性の多様化が図れる。
【0047】
又、請求項3に記載の発明は、ロック片とロック用凹部とを嵌合させることで切換部材の回転禁止が可能になるので、当該ロック手段を、簡単な構造とすることができる。
又、請求項4に記載の発明によれば、前記切換手段単独での切換操作時に、撮影者に、弱い操作力又は簡単な操作による前記マニュアルフォーカス手段と前記オートフォーカス手段との選択を、当該クリック手段によって認識させることができ、強い操作力又は複雑な操作による切換操作と区別でき、切換部材の操作性が多様化した場合でも、レンズ鏡筒の使い勝手を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のレンズ鏡筒100のオートフォーカス時の断面図である。
【図2】レンズ鏡筒100のフォーカス時の回転筒3側の案内溝3aと、固定筒1側の案内孔1Zとの関係を示す図である。
【図3】オートフォーカス時のクラッチ機構10を示す斜視図である。
【図4】マニュアルフォーカス時のクラッチ機構10を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態のレンズ鏡筒100のマニュアルフォーカス時の断面図である。
【図6】レンズ鏡筒100の固定筒1に嵌合される切換環20及びこれに設けられたロック機構30を示す分解斜視図である。
【図7】オートフォーカス位置にある切換環20及びこれに設けられたロック機構30を示す断面、及びそのときの案内溝20e内での連結ピン14の位置を示す図である。
【図8】マニュアルフォーカス位置にある切換環20及びこれに設けられたロック機構30を示す断面、及びそのときの案内溝20e内での連結ピン14の位置を示す図である。
【図9】オートフォーカス位置にある切換環20の操作釦24を押して、オートフォーカスロック位置にした状態を示す断面、及びそのときの案内溝20e内での連結ピン14の位置を示す図である。
【図10】マニュアルフォーカスロック位置にある切換環20及びこれに設けられたロック機構30を示す断面、及びそのときの案内溝20e内での連結ピン14の位置を示す図である。
【図11】オートフォーカス位置にある切換環20の操作釦24を押した状態を示す断面、及びそのときの案内溝20e内での連結ピン14の位置を示す図である。
【図12】オートフォーカス位置にある切換環20の操作釦24を押して回転させている状態を示す断面、及びそのときの案内溝20e内での連結ピン14の位置を示す図である。
【符号の説明】
1 固定筒
1Y マニュアルフォーカス側ロック溝(ロック用凹部)
1Z オートフォーカス側ロック溝(ロック用凹部)
2 フォーカスレンズ(レンズ部)
3 回転筒
4 マニュアル操作筒(マニュアルフォーカス手段)
5 カップリング軸(オートフォーカス手段)
10 クラッチ機構(切換手段)
11 板バネ
13 クラッチレバー
13a 板バネ跳上部
14 連動ピン
20 切換環(切換部材、切換手段)
20f,20g クリック溝(クリック手段)
22 突起(ロック片)
24 操作釦
23 板バネ
30 ロック機構(ロック手段)
40 クリック機構
41 クリックバネ(クリック手段)

Claims (4)

  1. 手動操作によってレンズ部の焦点調節を行うマニュアルフォーカス手段と、
    前記レンズ部の自動焦点調整を行なうオートフォーカス手段と、
    前記マニュアルフォーカス手段が駆動できるように前記マニュアルフォーカス手段と前記レンズ部との間を接続するマニュアルフォーカス状態と、前記オートフォーカス手段が駆動できるように前記オートフォーカス手段と前記レンズ部との間を接続するオートフォーカス状態との選択的な切換が可能な切換手段と、
    前記切換手段に配置された操作釦と、該操作釦と連動するロック片と、前記操作釦を操作することにより前記ロック片が挿入される第1凹部と、前記第1凹部とは異なる位置に備えられ前記第1凹部よりも幅が狭い第2凹部と、前記第1凹部及び前記第2凹部とは異なる位置に備えられ前記第1凹部よりも幅が狭い第3凹部とを有するロック手段と含み、
    前記ロック片が前記第1凹部に挿入されたとき、前記第1凹部内を前記ロック片が移動することにより前記切換手段による前記マニュアルフォーカス状態と前記オートフォーカス状態との切換が可能なり、前記ロック片が前記第2凹部及び前記第3凹部の一方に挿入されたとき前記マニュアルフォーカス状態になり前記第2凹部及び前記第3凹部の一方の内の前記ロック片の移動が規制され前記切換手段による前記オートフォーカス状態への切換が禁止され、前記ロック片が前記第2凹部及び前記第3凹部の他方に挿入されたとき前記オートフォーカス状態になり前記第2凹部及び前記第3凹部の他方の内の前記ロック片の移動が規制され前記切換手段による前記マニュアルフォーカス状態への切換が禁止されることを特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 前記マニュアルフォーカス手段は、レンズ鏡筒の前記レンズ部を手動操作によって移動させるためのマニュアル操作部材を有し、
    前記オートフォーカス手段は、前記レンズ部を自動的に移動させるオートフォーカス駆動部を有し、
    前記切換手段は、前記マニュアル操作部材と前記レンズ部との間又は前記オートフォーカス駆動部と前記レンズ部との間の選択的な接続を行なうためのクラッチ手段と、前記レンズ鏡筒の固定筒に回転可能に設けられ、その回転に応じて前記クラッチ手段に前記選択的な接続を行わせる切換部材とを有し、
    前記ロック手段は、前記切換部材の回転を禁止することで、当該切換手段による前記マニュアルフォーカス手段と前記オートフォーカス手段との切換を禁止することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
  3. 前記ロック手段は、前記操作釦が押圧された状態で前記切換部材が一定角度回転されたときに、前記ロック片が前記第1凹部から前記第2凹部又は前記第3凹部に挿入されて、当該切換部材の回転が禁止され得るようになっていることを特徴とする請求項2に記載のレンズ鏡筒。
  4. 前記切換部材の回転によって前記マニュアルフォーカス手段が選択されているとき、または、前記オートフォーカス手段が選択されているときに、その回転位置で当該切換部材をクリックするクリック手段が設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレンズ鏡筒。
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