JP4314601B2 - 船舶用操舵システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は船舶用操舵システムに係り、特に液体圧ポンプにより液体圧アクチュエータを直接動作させるようにした船舶用操舵システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の油圧を用いた船舶用操舵システムは、圧力調整弁や油量制御弁等で舵をコントロールしていた。また、高精度の制御が要求される場合には、サーボ弁や電磁比例弁が採用されていた。これらの弁を用いたシステムは、いずれも電動機によって油圧ポンプを常時一定速度で回転させ、一定量の油量と油圧を維持するものである。したがって、アクチュエータが駆動していない場合には、油圧ポンプで生成されたエネルギーがリリーフ弁を経由してオイルタンクに戻されているため、エネルギーロスが非常に大きい。さらに、油温が上昇することにより作動油が劣化するので、クーリング装置の設置が必要になることもある。
【0003】
また、船舶用操舵システムによって制御される舵は、船舶の航行時に保針操舵に用いるのがその主目的であるが、近年では操舵による横揺れ減揺制御にもよく利用されている。この場合、横揺れの減揺効果を向上するための重要な要素として操舵速度の高速化が挙げられる。通常の船舶用操舵システムの操舵速度は2.5deg/sec程度であり、2台連動運転した場合でも5deg/sec前後である。当然のことながら、これ以上の高速化を実現するためには油量と油圧の増加が必要になるが、それは油圧装置全体の大型化につながることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような船舶用操舵システムにおける問題を解決するために、様々な技術が開発されているが、その一つとしてDDVC(Direct Drive Volume Control)を採用した船舶用操舵システムが挙げられる。これは、特開平1−262294号に記載されているように、電動機で回転する2方向流れ可変容量液体圧ポンプを液体圧アクチュエータに直結したものである。この2方向流れ可変容量液体圧ポンプにより液体圧アクチュエータを動作させ、さらに液体圧アクチュエータにより舵を動作させるものであり、極めて小型の装置であるにもかかわらず、エネルギーロスが小さく、必要になる油量に対して大きなエネルギーを得られるという利点がある。
しかしながら、上述の構成だけでは、舵の操作速度を大幅に高速化するのには未だに不十分なものであり、船舶用操舵システムの横揺れ減揺等に対する大幅な性能向上を実現することができなかった。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、船舶用操舵システムにおいて、装置を大型化することなく、舵の操作速度を大幅に高速化することが可能な船舶用操舵システムであって、船体の横揺れを操舵に迅速に反映することが可能な船舶用操舵システムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、課題を解決するための手段として、制御信号およびフィードバック信号を入力可能な加算器と、前記加算器の出力信号を入力可能な制御装置と、前記制御装置により回転が制御される電動機と、前記電動機により回転する液体圧ポンプと、前記液体圧ポンプの出力により動作する液体圧アクチュエータと、前記液体圧アクチュエータにより動作する舵と、前記舵の角度を検知して当該角度に応じたフィードバック信号を前記加算器に出力する舵角センサと、を有する船舶用操舵システムにおいて、
前記電動機を2方向回転電動機とし、前記液体圧ポンプを2方向流れ固定容量液体圧ポンプとし、前記液体圧ポンプを設けた液体圧ラインに並列に設けられた液体圧ラインに前記液体圧ポンプの吐出側からの流入を規制する2つの逆止め弁を設け、前記2つの逆止め弁の間の液体圧ラインに液体タンクを接続してなるとともに、前記加算器に代えて演算装置を設け、前記船舶用操舵システムを設けた船舶に、フィードバック信号を前記演算装置に出力する船体の横揺れ検出センサ、方位検出センサおよび船速検出センサを設け、前記舵角センサは前記演算装置にフィードバック信号を入力可能とし、前記演算装置は前記船体の横揺れ検出センサ、前記方位検出センサ、前記船速検出センサおよび前記舵角センサからのフィードバック信号に基づいて舵角指令値を算出して、前記舵角指令値に対応した出力信号を前記制御装置に出力し、前記制御装置は前記出力信号を入力可能とした
【0007】
また、制御信号およびフィードバック信号を入力可能な加算器と、前記加算器の出力信号を入力可能な制御装置と、前記制御装置により回転が制御される第1の電動機と、前記第1の電動機により回転する第1の液体圧ポンプと、前記第1の液体圧ポンプの出力により動作する液体圧アクチュエータと、前記液体圧アクチュエータにより動作する舵と、前記舵の角度を検知して当該角度に応じたフィードバック信号を前記加算器に出力する舵角センサと、を有する船舶用操舵システムにおいて、前記第1の液体圧ポンプを2方向流れ固定容量液体圧ポンプとし、前記液体圧ポンプを設けた液体圧ラインに並列に設けられた液体圧ラインに前記液体圧ポンプの吐出側からの流入を規制する2つの逆止め弁を設け、前記2つの逆止め弁の間の液体圧ラインに接続されたリリーフ弁を設け、第2の電動機により回転するとともに前記リリーフ弁に直列に接続され前記第1の液体圧ポンプに作動油を補給可能な第2の液体圧ポンプを設けてなるとともに、前記加算器に代えて演算装置を設け、前記船舶用操舵システムを設けた船舶に、フィードバック信号を前記演算装置に出力する船体の横揺れ検出センサ、方位検出センサおよび船速検出センサを設け、前記舵角センサは前記演算装置にフィードバック信号を入力可能とし、前記演算装置は前記船体の横揺れ検出センサ、前記方位検出センサ、前記船速検出センサおよび前記舵角センサからのフィードバック信号に基づいて舵角指令値を算出して、前記舵角指令値に対応した出力信号を前記制御装置に出力し、前記制御装置は前記出力信号を入力可能とした
【0008】
また、制御信号およびフィードバック信号を入力可能な加算器と、前記加算器の出力信号を入力可能な制御装置と、電動機と、前記電動機により回転するとともに前記制御装置により吐出量が制御される第1の液体圧ポンプと、前記第1の液体圧ポンプの出力により動作する液体圧アクチュエータと、前記液体圧アクチュエータにより動作する舵と、前記舵の角度を検知して当該角度に応じたフィードバック信号を前記加算器に出力する舵角センサと、を有する船舶用操舵システムにおいて、前記電動機を2方向回転電動機とし、前記第1の液体圧ポンプを2方向流れ可変容量液体圧ポンプとし、前記液体圧ポンプを設けた液体圧ラインに並列に設けられた液体圧ラインに前記液体圧ポンプの吐出側からの流入を規制する2つの逆止め弁を設け、前記2つの逆止め弁の間の液体圧ラインにリリーフ弁を接続し、前記電動機により回転するとともに前記リリーフ弁に直列に接続され前記第1の液体圧ポンプに作動油を補給可能な第2の液圧ポンプを設けてなるとともに、前記加算器に代えて演算装置を設け、前記船舶用操舵システムを設けた船舶に、フィードバック信号を前記演算装置に出力する船体の横揺れ検出センサ、方位検出センサおよび船速検出センサを設け、前記舵角センサは前記演算装置にフィードバック信号を入力可能とし、前記演算装置は前記船体の横揺れ検出センサ、前記方位検出センサ、前記船速検出センサおよび前記舵角センサからのフィードバック信号に基づいて舵角指令値を算出して、前記舵角指令値に対応した出力信号を前記制御装置に出力し、前記制御装置は前記出力信号を入力可能とした
【0009】
また、上記のいずれかの船舶用操舵システムにおいて、前記電動機に加わる電流を検知してフィードバック信号を前記加算器に出力する電流検出センサを設けてなることを特徴とするものとした。
【0011】
なお、演算装置は、統計的制御ゲイン作成手段、制御ゲイン記憶手段および制御実行手段を備え、統計的制御ゲイン作成手段は、舵角センサからの信号を読み込み、制御モデルを制御型多次元自己回帰モデルを用いて算出し、この制御モデルについて制御ゲインを算出する手段から成り、制御実行手段は、目標方位および実方位ならびに目標横揺れ角速度および実横揺れ角速度を読み込み、方位及び横揺れ角速度について、目標と実測との偏差をそれぞれ算出し、両者の偏差を最小にする指令舵角を各偏差値から記憶する前記制御ゲイン記憶手段を使用して舵角指令値を算出するものであることが好ましい。
【0012】
【作用】
上記構成によれば、電動機を2方向回転電動機とし、液体圧ポンプを2方向流れ固定容量液体圧ポンプとし、液体圧ポンプを設けた液体圧ラインに並列に設けられた液体圧ラインに2つの逆止め弁を設け、2つの逆止め弁の間の液体圧ラインに液体タンクを接続したので、2方向流れ固定容量液体圧ポンプから吐き出される液体圧を急速に変化させることが可能になる。また、液体圧ポンプを設けた液体圧ラインに並列に設けられた液体圧ラインに2つの逆止め弁を設け、これらの逆止め弁の間の液体圧ラインに液体タンクを接続したので、液体の漏出により低下する液圧ラインの液圧を補償する役割を果たす。
【0013】
また、第1の電動機を2方向回転電動機とし、第1の液体圧ポンプを2方向流れ固定容量液体圧ポンプとし、液体圧ポンプを設けた液体圧ラインに並列に設けられた液体圧ラインに2つの逆止め弁を設け、2つの逆止め弁の間の液体圧ラインに接続されたリリーフ弁を設け、第2の電動機により回転するとともにリリーフ弁に接続された第2の液体圧ポンプを設けたので、2方向流れ固定容量液体圧ポンプにより液体圧を急速に変化させることが可能になる。さらに、2方向流れ固定容量液体圧ポンプへ流れ込む側の液体圧ラインにおいては、第2の液体圧ポンプの液体吐出量が加わることにより、2方向流れ可変容量液体圧ポンプに対して液体の流量を増加させて、当該流量を液体圧の急速な変化に追従可能にする。くわえて、2方向流れ可変容量液体圧ポンプの液体吸入量を増加させる。さらに、2方向流れ固定容量液体圧ポンプから流れ出す側の液体圧ラインにおいては、2方向流れ可変容量液体圧ポンプの液体吐出量に第2の液体圧ポンプの液体吐出量が加わるので、2方向流れ可変容量液体圧ポンプの負荷を分担する役割を果たす。くわえて、リリーフ弁が液体の漏出により低下する液圧ラインの液圧を補償する役割を果たす。
【0014】
また、前記第1の液体圧ポンプを2方向流れ可変容量液体圧ポンプとし、前記液体圧ポンプを設けた液体圧ラインに並列に設けられた液体圧ラインに2つの逆止め弁を設け、前記2つの逆止め弁の間の液体圧ラインにリリーフ弁を接続し、前記電動機により回転するとともに前記リリーフ弁に接続された第2の液圧ポンプを設けたので、2方向流れ可変容量液体圧ポンプにより液体圧を急速に変化させることが可能になる。さらに、2方向流れ固定容量液体圧ポンプへ流れ込む側の液体圧ラインにおいては、第2の液体圧ポンプの液体吐出量が加わることにより、2方向流れ可変容量液体圧ポンプに対して液体の流量を増加させて、当該流量を液体圧の急速な変化に追従可能にする。くわえて、2方向流れ可変容量液体圧ポンプの液体吸入量を増加させる。さらに、2方向流れ固定容量液体圧ポンプから流れ出す側の液体圧ラインにおいては、2方向流れ可変容量液体圧ポンプの液体吐出量に第2の液体圧ポンプの液体吐出量が加わるので、2方向流れ可変容量液体圧ポンプの負荷を分担する役割を果たす。くわえて、リリーフ弁が液体の漏出により低下する液圧ラインの液圧を補償する役割を果たす。
【0015】
また、前記電動機に加わる電流を検知してフィードバック信号を前記加算器に出力する電流検出センサを設けたので、その電流を加算器にフィードバックすることにより、液体圧アクチュエータの推進制御を行うことができる。すなわち、例えば電動機に過電流が流れた場合に、その過電流に対応する信号が加算器にフィードバックされるので、電動機のトルクを制限する制御を行うことができる。よって、液体圧アクチュエータの推進制御を行うことができる。
くわえて、従来の船舶用操舵システムにおいては、液体圧回路中にリリーフ弁または安全弁を設けることにより、当該回路の圧力制限を行っていたが、上記手段においてはこのような弁を設ける必要がない。
【0016】
また、上記の船舶用操舵システムにおいて、加算器に代えて演算装置を設け、船舶用操舵システムを設けた船舶に、フィードバック信号を演算装置に出力する船体の横揺れ検出センサ、方位検出センサおよび船速検出センサを設け、舵角センサは演算装置にフィードバック信号を入力可能とし、演算装置は船体の横揺れ検出センサ、方位検出センサ、船速検出センサおよび舵角センサからのフィードバック信号に基づいて舵角指令値を算出して、舵角指令値に対応した出力信号を制御装置に出力し、制御装置は出力信号を入力可能としたので、船体の横揺れに従って迅速に転舵させることができ、横揺れに対する減揺を確実に行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る船舶用操舵システムの具体的実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る船舶用操舵システムの回路図であり、図2は、本発明の第2の実施の形態に係る船舶用操舵システムの回路図である。また、図3は、本発明の第3の実施の形態に係る船舶用操舵システムの回路図であり、図4は、本発明の第2の実施の形態に係る船舶用操舵システムの操作手順を示すフロー図である。また、図5は、本発明の第3の実施の形態に係る船舶用操舵システムの変形例の回路図であり、図6は、アクチュエータの構成の変形例を示す回路図である。また、図7は、本発明の第3の実施の形態の変形例を示すブロック図であり、図8は、本発明の第3の実施の形態においてサーボモータ、油圧ポンプ、油圧モータおよびアクチュエータを一体とした構成の概略を示す説明図である。
【0018】
本発明の第1の実施の形態に係る船舶用操舵システムは、2方向流れ固定容量油圧ポンプにアクチュエータを直結したものである。
すなわち、図1に示すように、図示しない操舵室から伝わる制御信号Ei、および後述するフィードバック信号が入力される加算器10と、加算器10の出力信号を入力が入力されるコントローラ12と、コントローラ12によって制御されて2方向回転するサーボモータ14とが設けられている。また、サーボモータ14に加わる過電流、過負荷を検出してフィードバック信号を加算器10に入力する過負荷・過電流センサ20が設けられている。さらに、加算器10、コントローラ12および過負荷・過電流センサ20は、一体のサーボパックAとして構成されている。
【0019】
また、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15がサーボモータ14により回転させられて、油圧ライン34a、34bの双方に作動油を吐き出し可能に設けられている。さらに、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15は、作動油タンク22aから作動油を吸入可能であり、さらに、油圧ライン34a、34bからも吸入可能である。よって、2方向流れ可変容量油圧ポンプ15は、サーボモータ14の回転方向、速度を変更することにより、作動油の吐き出し方向を自在に変更できるとともに、吸入・吐き出し量も急速に変化させることが可能である。
【0020】
また、油圧ライン34a、34bは、シリンダ50a、50bに接続されており、吐き出された作動油はシリンダ50a、50bに送り込まれ、それぞれのピストン52a、52bをそれぞれ反対方向に動作させる。ピストン52a、52bの動作により、舵60は矢印Dに示すように自在に動く。さらに、舵60の近傍には、その舵度を検出し、舵角に応じたフィードバック信号Efを加算器10に入力する舵角センサ32が設けられている。
【0021】
また、油圧ライン34aには、作動油の動粘度を、操舵によりその流れる方向や流量が急激に変化するのに好適な範囲内に維持するために保温用ヒータ30が設けられている。
【0022】
また、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15から漏出したドレンにより、作動油圧が低下するのを防止するために、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15に並列に設けられた油圧ライン38にドレン保証機構Cが設けられている。ドレン保証機構Cは、油圧ライン38に逆止め弁40a、40bを設け、さらに、逆止め弁40a、40bの間の油圧ライン38に作動油を供給する作動油タンク22bを設けている。よって、ドレンにより回路内の作動油が不足した分だけ作動油タンク22bから作動油が補償される。
【0023】
以上の構成によれば、操舵室において操舵すると、それに応じた制御信号Eiがコントローラ12に伝わる。コントローラ12は、サーボモータ14を回転させて2方向流れ固定容量油圧ポンプ15を作動させる。2方向流れ固定容量油圧ポンプ15が作動することにより、油圧ライン34a、34bのいずれかに作動油を供給して、ピストン52a、52bを動作させて舵60の角度を操舵に応じて変更する。また、舵60の角度は、舵角センサ32の出力信号Efによって加算器10に伝達され、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15の動作に反映される。
【0024】
また、この回路内においてドレンが発生した場合は、ドレン保証機構Cによって、ドレンに見合った量の作動油が補償される。また、保温用ヒータ30が油圧ライン34aの作動油を適宜加熱して、その動粘度を高速操舵に好適な範囲に保持する。くわえて、過負荷・過電流センサ20がサーボモータ14の過負荷・過電流を監視しており、過負荷・過電流の検出時には、コントローラ12がサーボモータ14を停止、または回転を低下させる。
【0025】
続けて、本発明の第2の実施の形態に係る船舶用操舵システムについて説明する。本発明の第2の実施の形態に係る船舶用操舵システムは、2方向流れ固定容量油圧ポンプにアクチュエータを直結したものであり、さらに、この2方向流れ固定容量油圧ポンプの動作を補助するブースタ等を接続したものである。
【0026】
すなわち、図2に示すように、図示しない操舵室から伝わる制御信号Ei、および後述するフィードバック信号が入力される加算器10と、加算器10の出力信号を入力が入力されるコントローラ12と、コントローラ12によって制御されて2方向回転するサーボモータ14とが設けられている。また、第1の実施の形態と同様に、サーボモータ14に加わる過電流、過負荷を検出してフィードバック信号を加算器10に入力する過負荷・過電流センサ20が、加算器10、コントローラ12および過負荷・過電流センサ20は、一体のサーボパックAとして構成されている。
【0027】
また、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15がサーボモータ14により回転させられて、油圧ライン34a、34bの双方に作動油を吐き出し可能に設けられている。さらに、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15は、作動油タンク22aから作動油を吸入可能であり、さらに、油圧ライン34a、34bからも吸入可能である。よって、2方向流れ可変容量油圧ポンプ15は、サーボモータ14の回転方向、速度を変更することにより、作動油の吐き出し方向を自在に変更できるとともに、吸入・吐き出し量も急速に変化させることが可能である。
【0028】
また、油圧ライン34a、34bは、シリンダ50に接続されており、吐き出された作動油はシリンダ50に送り込まれ、ピストン52をいずれかの方向に動作させる。ピストン52の動作により、舵60は矢印Dに示すように自在に動く。さらに、舵60の近傍には、その舵度を検出し、舵角に応じたフィードバック信号Efを加算器10に入力する舵角センサ32が設けられている。くわえて、油圧ライン34aには、上述の第1の実施の形態と同様に保温用ヒータ30を設けている。
【0029】
また、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15に並列に設けられた油圧ライン38には、油圧ライン34a、34bから2方向流れ可変容量油圧ポンプ16に流れ込む、あるいは吐き出される作動油の量を急速に調整することを可能するために、ブースタBが設けられている。ブースタBには、油圧ライン34a、34bにおける作動油圧を検出する図示しないセンサと、このセンサからのフィードバック信号を入力可能な図示しないコントローラと、このコントローラによってその動作が制御されるサーボモータ24と、サーボモータ24によって回転する1方向流れ固定容量油圧ポンプ26と、定量ポンプ26に作動油を供給する作動油タンク22cとが設けられている。さらに、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26は、逆止め弁40a、40bを介して油圧ライン34a、34bと接続されており、これらのラインに作動油を供給することが可能である。
【0030】
よって、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26を上記コントローラによって回転させて、油圧ライン34a、34bに作動油を供給することができる。したがって、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15だけでは、舵60の高速操舵に正常な作動油圧を得られない場合には、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26を低レベルで作動させて微小加圧状態にするだけで、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15へ吸入される作動油量を増加させ、あるいはシリンダ50a、50bへ作動油を補助的に供給することが可能である。
【0031】
くわえて、ブースタBには、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26と逆止め弁40a、40bとの間の油圧ラインにリリーフ弁28および作動油タンク22bが設けられている。保温用ヒータ30で加温されることなどにより、作動油の温度が上昇して体積が増加した場合には、油圧ライン34a、34bの作動油圧も体積の増加分だけ増加する。そこで、所定の作動油圧が保持されるようにリリーフ弁28を調整しておけば、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26の作動時に、油圧ライン34a、34bの作動油の体積増加に応じた量を供給することが可能となる。
【0032】
なお、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26の駆動源として、サーボモータ24に代えてサーボモータ14を用いても良い。また、上述した図示しないコントローラは、コントローラ12にサーボモータ24の回転を制御する機能を持たせ、コントローラ12によりサーボモータ24を制御するものとしても良い。さらに、図示しないセンサは、サーボパックAと一体に設けられるものとしても良い。
【0033】
以上の構成によれば、操舵室において操舵すると、それに応じた制御信号Eiがコントローラ12に伝わる。コントローラ12は、サーボモータ14を回転させて2方向流れ固定容量油圧ポンプ15を作動させる。2方向流れ固定容量油圧ポンプ15が作動することにより、油圧ライン34a、34bのいずれかに作動油を供給して、ピストン52を動作させて舵60の角度を操舵に応じて変更する。また、舵60の角度は、舵角センサ32の出力信号Efによって加算器10に伝達され、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15の動作に反映される。
【0034】
また、この回路内においてドレンが発生した場合は、ドレン保証機構Cによって、ドレンに見合った量の作動油が補償される。また、保温用ヒータ30が油圧ライン34aの作動油を適宜加熱して、その動粘度を高速操舵に好適な範囲に保持する。くわえて、過負荷・過電流センサ20がサーボモータ14の過負荷・過電流を監視しており、過負荷・過電流の検出時には、コントローラ12がサーボモータ14を停止、または回転を低下させる。
【0035】
また、急速に操舵する場合など、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16だけでは、十分な作動油圧が得られない時は、図示しないコントローラがサーボモータ24を回転させて1方向流れ固定容量油圧ポンプ26を低レベルで作動させる。1方向流れ固定容量油圧ポンプ26の作動により、油圧ライン34a、34bの作動油がわずかに加圧され、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15に吸入される作動油の量を増加させ、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15が生成する作動油圧を必要圧まで上昇させる。同時に、シリンダ50に供給される作動油圧をわずかに増加させる。この時、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26から油圧ライン34a、34bに供給される作動油の量は、リリーフ弁28によって適切な量に調整される。
【0036】
さらに、上記構成において、電源の投入から操舵終了までの動作手順を図4に従って説明する。
まず、サーボパックAおよびサーボモータ14の電源を投入する(S100)。
電源の投入により、コントローラ12が過負荷・過電流センサ20によりサーボモータ14の過負荷・過電流の監視を開始する(S102)。
さらに、コントローラ12が舵角センサ32により舵角の監視、および可変絞り弁18の絞り量の監視を開始する(S104)。
その後、操舵が可能となり操舵が開始される(S106)。
【0037】
操舵により2方向流れ固定容量油圧ポンプ15が作動する(S108)。
ここで、2方向流れ可変容量油圧ポンプ15の作動だけで、必要な作動油圧を生成できないと予見される場合はS112に進んで作動油流量を調整し、必要な作動油圧を生成できると予見される場合はS114に進む(S110)。
S110において必要な作動油圧を生成できないと予見される場合は、ブースタBを作動させて作動油流量を増加させ、S114に進む(S112)。
【0038】
以上の調整を終えたら、コントローラ12において操舵に係る制御信号の有無を検出し、操舵が継続している場合はS108に戻って上記の動作を継続し、操舵が継続していない場合は上記動作を終了する(S114)。
以上の手順により高速操舵が可能となる。なお、上記の手順は一例に過ぎず、同様の制御が可能であれば他の手順を採用しても良い。
【0039】
さらに、本発明の第3の実施の形態に係る船舶用操舵システムについて説明する。本発明の第3の実施の形態に係る船舶用操舵システムは、2方向流れ可変容量油圧ポンプにアクチュエータを直結したものであり、さらに、この2方向流れ可変容量油圧ポンプの動作を補助するブースタ等を接続したものである。
【0040】
すなわち、図3に示すように、第1、2の実施の携帯と同様に、加算器10と、コントローラ12とが設けられており、さらに1方向回転するサーボモータ13が設けられている。また、過負荷・過電流センサ20が設けられ、加算器10、コントローラ12および過負荷・過電流センサ20が一体のサーボパックAとして構成されている。
【0041】
また、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16がサーボモータ13により回転させられて、油圧ライン34a、34bの双方に作動油を吐き出し可能に設けられている。くわえて、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16は、コントローラ12に制御されており、作動油の吐き出し方向、量を自在に変更することができる。さらに、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15は、作動油タンク22aから作動油を吸入可能であり、さらに、油圧ライン34a、34bからも吸入可能である。よって、2方向流れ可変容量油圧ポンプ15は、コントローラ12を介して、作動油の吐き出し方向を自在に変更できるとともに、吸入・吐き出し量も急速に変化させることが可能である。
【0042】
また、第2の実施の形態と同様に、油圧ライン34a、34bは、シリンダ50に接続され、また、ピストン52の動作により舵60が矢印Dに示すように構成されている。さらに、舵60の近傍には舵角センサ32が設けられ、くわえて、油圧ライン34aには保温用ヒータ30が設けられている。
【0043】
また、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16に並列に設けられた油圧ライン38には、油圧ライン34a、34bから2方向流れ可変容量油圧ポンプ16に流れ込む、あるいは吐き出される作動油の量を急速に調整することを可能するために、ブースタBが設けられている。ブースタBには、油圧ライン34a、34bにおける作動油圧を検出する図示しないセンサと、このセンサからのフィードバック信号を入力可能な図示しないコントローラと、サーボモータ13によって回転する1方向流れ固定容量油圧ポンプ26と、定量ポンプ26に作動油を供給する作動油タンク22aとが設けられている。さらに、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26は、逆止め弁40a、40bを介して油圧ライン34a、34bと接続されており、これらのラインに作動油を供給することが可能である。
【0044】
よって、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26を上記コントローラによって回転させて、油圧ライン34a、34bに作動油を供給することができる。したがって、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16だけでは、舵60の高速操舵に正常な作動油圧を得られない場合には、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26を低レベルで作動させて微小加圧状態にするだけで、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15へ吸入される作動油量を増加させ、あるいはシリンダ50a、50bへ作動油を補助的に供給することが可能である。また、ドレンが発生した場合は、ドレンによる作動油の減少を補償する機能も併せ持つ。
【0045】
くわえて、ブースタBには、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26と逆止め弁40a、40bとの間の油圧ラインにリリーフ弁28および作動油タンク22bが設けられている。保温用ヒータ30で加温されることなどにより、作動油の温度が上昇して体積が増加した場合には、油圧ライン34a、34bの作動油圧も体積の増加分だけ増加する。そこで、所定の作動油圧が保持されるようにリリーフ弁28を調整しておけば、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26の作動時に、油圧ライン34a、34bの作動油の体積増加に応じた量を供給することが可能となる。また、ドレンが発生した場合は、ドレンによる作動油の減少を補償する機能も併せ持つ。
【0046】
なお、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26の駆動源として、サーボモータ13に代えて別個にサーボモータ14を設けても駆動源としても良い。また、図示しないセンサは、サーボパックAと一体に設けられるものとしても良い。
【0047】
以上の構成によれば、操舵室において操舵すると、それに応じた制御信号Eiがコントローラ12に伝わる。コントローラ12は、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16の作動油の吐き出し量を調整しつつ動作させる。2方向流れ可変容量油圧ポンプ16が作動することにより、油圧ライン34a、34bのいずれかに作動油を供給して、ピストン52を動作させて舵60の角度を操舵に応じて変更する。また、舵60の角度は、舵角センサ32の出力信号Efによって加算器10に伝達され、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16の動作に反映される。
【0048】
また、急速に操舵する場合など、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16だけでは、十分な作動油圧が得られない時は、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26の作動により、油圧ライン34a、34bの作動油がわずかに加圧され、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16に吸入される作動油の量を増加させ、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16が生成する作動油圧を必要圧まで上昇させる。同時に、シリンダ50に供給される作動油圧をわずかに増加させる。この時、1方向流れ固定容量油圧ポンプ26から油圧ライン34a、34bに供給される作動油の量は、リリーフ弁28によって適切な量に調整される。
特に、この実施の形態においては、2方向流れ可変容量ポンプを採用したので、大型船舶などサーボモータの負荷が大きくなることが想定される場合に、好ましく用いることができる形態と言える。
【0049】
なお、以上第1〜3の実施の形態において、サーボモータ14と同程度に制御する可能であれば、サーボモータ14に代えて他種の電動機または原動機を用いても良い。また、保温用ヒータ30は、必要に応じて油圧ライン34bなど他の油圧ラインにも設けても良い。
【0050】
また、油圧ライン34a、34bから2方向流れ固定容量油圧ポンプ15または2方向流れ可変容量油圧ポンプ16に吸入される作動油の量を調整するために、2方向流れ固定容量油圧ポンプ15または2方向流れ可変容量油圧ポンプ16に並列となる油圧ラインを設け、当該油圧ラインに可変絞り弁を設けても良い。なお、図5に、可変絞り弁18を設けた第3の実施の形態の変形例を示す。
【0051】
また、アクチュエータについては、第1の実施の形態においては、片ロッド型複動シリンダを2つ組み合わせたものとし、第2、3の実施の形態においては、1つの両ロッド型複動シリンダとしたが、いずれのものを採用しても良い。また、フェールセーフの観点から、図6(A)に示すように、両ロッド型複動シリンダを直列に配置する、あるいは、図6(B)に示すように、片ロッド型複動シリンダを並列に配置するするものとしても良い。これらの構成を採用した場合、2つのシリンダのうち、どちらかのシリンダの油圧回路に障害が生じて作動しなった場合でも、船舶が航行不能になることを避けることが可能となる。特に、本発明の実施の形態においては、小型でかつ発熱量が少ないので、図6に示すような複合的な油圧回路を設ける場合に、極めて好適に用いることができる。
【0052】
ここで、図6(B)の構成を採用した場合における例を図7に示す。すなわち、シリンダ50a、50bに対して2つの独立した油圧回路を設ける。そして、それぞれの油圧回路に、加算器10a、10bと、コントローラ12a、12bと、サーボモータ13a、13b、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16a、16bと、2方向固定容量油圧モータ70a、70bを設ける。また、この構成においては、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16a、16bは、シリンダ50a、50bに直接圧油を送るのではなく、これらに接続された2方向固定容量油圧モータ70a、70bを回転させるものとしている。さらに、2方向固定容量油圧モータ70a、70bの回転運動は、図示しない機構により直進運動に変換されてピストン52a、52bを動作させる。
【0053】
くわえて、ピストン52a、52bの変位を検出して、フィードバック信号を加算器10a、10bに入力するピストン変位検出センサ72a、72bが設けられている。なお、加算器10a、10bと、コントローラ12a、12bと、舵角センサ32の働きについては、上述の第3の実施の形態と同じである。
【0054】
以上の構成によれば、アクチュエータ毎に油圧回路を設けているので、船舶用操舵システム全体をさらに小型化するとともに、安全性に配慮したものとすることができる。
【0055】
くわえて、小型化に適するという本発明の特長を生かすために、以下に示すような構成にすることが好ましい。すなわち、図8に示すように、サーボモータ14と、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16と、2方向固定容量油圧モータ70とは、すべてシリンダ50の内部に収納されている。そして、2方向固定容量油圧モータ70の回転運動を直進運動に変換する図示しない機構もシリンダ50の内部に設けられている。よって、第3の実施の形態における油圧回路の主要部分を1つのシリンダの内部に収納することができ、船舶用操舵システムを劇的に小型化することが可能になる。
【0056】
なお、図8に示した構成においては、サーボモータ14と、2方向流れ可変容量油圧ポンプ16と、2方向固定容量油圧モータ70とをシリンダ50に収納するものとしたが、これらの内の一部のみを収納するものとしても良い。逆に、ピストン変位検出センサや、加算器、コントローラなど他のものも併せて収納するものとしても良い。また、図7に示した構成は、第1、2の実施の形態に対しても適用可能である。
【0057】
また、本発明の実施の形態に係る船舶用操舵システムを船舶の横揺れ減揺に用いる場合は、以下のような構成を付加することが好ましい。
すなわち、加算器に代えて演算装置を設ける。そして、本発明の実施の形態に係る船舶用操舵システムを設けた船舶に、フィードバック信号を演算装置に出力する船体の横揺れ検出センサ、方位検出センサおよび船速検出センサを設ける。また、舵角センサは演算装置にフィードバック信号を入力可能とする。くわえて、演算装置は船体の横揺れ検出センサ、方位検出センサ、船速検出センサおよび舵角センサからのフィードバック信号に基づいて舵角指令値を算出して、舵角指令値に対応した出力信号を前記制御装置に出力し、前記制御装置は前記出力信号を入力可能とする。
【0058】
くわえて、演算装置は、統計的制御ゲイン作成手段、制御ゲイン記憶手段および制御実行手段を備えたものとする。そして、統計的制御ゲイン作成手段は、舵角センサからの信号を読み込み、制御モデルを制御型多次元自己回帰モデルを用いて算出し、この制御モデルについて制御ゲインを算出する手段から構成されるものとする。また、制御実行手段は、目標方位および実方位ならびに目標横揺れ角速度および実横揺れ角速度を読み込み、方位及び横揺れ角速度について、目標と実測との偏差をそれぞれ算出し、両者の偏差を最小にする指令舵角を各偏差値から記憶する前記制御ゲイン記憶手段を使用して舵角指令値を算出する構成にする。
【0059】
以上のように構成すれば、船体の横揺れを効果的に押さえることが可能となる。なお、上記の構成において用いる制御モデルは、横揺れ角、横揺れ角速度、方位角などを被制御変数とし、舵角を制御変数とすることが好ましい。
【0060】
以上のように、本発明の実施の形態においては、従来技術に係る船舶用操舵システムに比して油圧装置などの駆動源を大型化することなく操舵速度の高速化を得ることが可能となる。よって、極めて小型のシステムでありながら、高速操舵に追随して油圧ラインの作動油圧を急速に上昇させることができ、操舵だけで相当程度の横揺れ減揺を実現できる。また、必要な時にのみ船舶用操舵システムを作動させるので、省エネルギー効果が極めて大きい。本発明の発明者が実験したところによれば、例えば消費電力については、500トンの船舶をジグザグ航行させた場合は従来のシステムの20分の1、直線航行させた場合は50分の1にまで激減させることができた。
【0061】
なお、上記の船舶用操舵システムは、極めて小型の装置だけで実現可能であるので、上記の船舶用操舵システムと既設の大型の油圧装置と併設し、両者の油圧ラインを切り替え弁を介して連結しても良い。その場合、コントローラで切り替え弁を操作可能にすれば、操作室からの遠隔操作により2つの船舶用操舵システムを適宜切り替えて使用することが可能となる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、制御信号およびフィードバック信号を入力可能な加算器と、前記加算器の出力信号を入力可能な制御装置と、前記制御装置により回転が制御される電動機と、前記電動機により回転する液体圧ポンプと、前記液体圧ポンプの出力により動作する液体圧アクチュエータと、前記液体圧アクチュエータにより動作する舵と、前記舵の角度を検知して当該角度に応じたフィードバック信号を前記加算器に出力する舵角センサと、を有する船舶用操舵システムにおいて、前記電動機を2方向回転電動機とし、前記液体圧ポンプを2方向流れ固定容量液体圧ポンプとし、前記液体圧ポンプを設けた液体圧ラインに並列に設けられた液体圧ラインに2つの逆止め弁を設け、前記2つの逆止め弁の間の液体圧ラインに液体タンクを接続してなる構成にしたので、舵の操作速度の著しい高速化が可能となり、船舶の姿勢制御における大幅な性能向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る船舶用操舵システムの回路図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る船舶用操舵システムの回路図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る船舶用操舵システムの回路図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る船舶用操舵システムの操作手順を示すフロー図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る船舶用操舵システムの変形例の回路図である。
【図6】アクチュエータの構成の変形例を示す回路図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の変形例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態においてサーボモータ、油圧ポンプ、油圧モータおよびアクチュエータを一体とした構成の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
10 加算器
12 コントローラ
13 サーボモータ
13a サーボモータ
13b サーボモータ
14 サーボモータ
15 2方向流れ固定容量油圧ポンプ
16 2方向流れ可変容量油圧ポンプ
18 可変絞り弁
20 過負荷・過電流センサ
22a 作動油タンク
22b 作動油タンク
22c 作動油タンク
22d 作動油タンク
24 サーボモータ
25 コントローラ
26 1方向流れ固定容量油圧ポンプ
28 リリーフ弁
30 保温用ヒータ
32 舵角センサ
34a 油圧ライン
34b 油圧ライン
36 油圧ライン
38 油圧ライン
40a 逆止め弁
40b 逆止め弁
42 逆止め弁
50 シリンダ
50a シリンダ
50b シリンダ
52 ピストン
52a ピストン
52b ピストン
60 舵
70a 2方向固定容量油圧モータ
70b 2方向固定容量油圧モータ
72a ピストン変位検出センサ
72b ピストン変位検出センサ
80 筐体
A サーボパック
B ブースタ
C ドレン保証機構

Claims (4)

  1. 制御信号およびフィードバック信号を入力可能な加算器と、前記加算器の出力信号を入力可能な制御装置と、前記制御装置により回転が制御される電動機と、前記電動機により回転する液体圧ポンプと、前記液体圧ポンプの出力により動作する液体圧アクチュエータと、前記液体圧アクチュエータにより動作する舵と、前記舵の角度を検知して当該角度に応じたフィードバック信号を前記加算器に出力する舵角センサと、を有する船舶用操舵システムにおいて、
    前記電動機を2方向回転電動機とし、前記液体圧ポンプを2方向流れ固定容量液体圧ポンプとし、前記液体圧ポンプを設けた液体圧ラインに並列に設けられた液体圧ラインに前記液体圧ポンプの吐出側からの流入を規制する2つの逆止め弁を設け、前記2つの逆止め弁の間の液体圧ラインに液体タンクを接続してなるとともに、
    前記加算器に代えて演算装置を設け、前記船舶用操舵システムを設けた船舶に、フィードバック信号を前記演算装置に出力する船体の横揺れ検出センサ、方位検出センサおよび船速検出センサを設け、前記舵角センサは前記演算装置にフィードバック信号を入力可能とし、前記演算装置は前記船体の横揺れ検出センサ、前記方位検出センサ、前記船速検出センサおよび前記舵角センサからのフィードバック信号に基づいて舵角指令値を算出して、前記舵角指令値に対応した出力信号を前記制御装置に出力し、前記制御装置は前記出力信号を入力可能としたことを特徴とする船舶用操舵システム。
  2. 制御信号およびフィードバック信号を入力可能な加算器と、前記加算器の出力信号を入力可能な制御装置と、前記制御装置により回転が制御される第1の電動機と、前記第1の電動機により回転する第1の液体圧ポンプと、前記第1の液体圧ポンプの出力により動作する液体圧アクチュエータと、前記液体圧アクチュエータにより動作する舵と、前記舵の角度を検知して当該角度に応じたフィードバック信号を前記加算器に出力する舵角センサと、を有する船舶用操舵システムにおいて、
    前記第1の液体圧ポンプを2方向流れ固定容量液体圧ポンプとし、前記液体圧ポンプを設けた液体圧ラインに並列に設けられた液体圧ラインに前記液体圧ポンプの吐出側からの流入を規制する2つの逆止め弁を設け、前記2つの逆止め弁の間の液体圧ラインに接続されたリリーフ弁を設け、第2の電動機により回転するとともに前記リリーフ弁に直列に接続され前記第1の液体圧ポンプに作動油を補給可能な第2の液体圧ポンプを設けてなるとともに、
    前記加算器に代えて演算装置を設け、前記船舶用操舵システムを設けた船舶に、フィードバック信号を前記演算装置に出力する船体の横揺れ検出センサ、方位検出センサおよび船速検出センサを設け、前記舵角センサは前記演算装置にフィードバック信号を入力可能とし、前記演算装置は前記船体の横揺れ検出センサ、前記方位検出センサ、前記船速検出センサおよび前記舵角センサからのフィードバック信号に基づいて舵角指令値を算出して、前記舵角指令値に対応した出力信号を前記制御装置に出力し、前記制御装置は前記出力信号を入力可能としたことを特徴とする船舶用操舵システム。
  3. 制御信号およびフィードバック信号を入力可能な加算器と、前記加算器の出力信号を入力可能な制御装置と、電動機と、前記電動機により回転するとともに前記制御装置により吐出量が制御される第1の液体圧ポンプと、前記第1の液体圧ポンプの出力により動作する液体圧アクチュエータと、前記液体圧アクチュエータにより動作する舵と、前記舵の角度を検知して当該角度に応じたフィードバック信号を前記加算器に出力する舵角センサと、を有する船舶用操舵システムにおいて、
    前記電動機を2方向回転電動機とし、前記第1の液体圧ポンプを2方向流れ可変容量液体圧ポンプとし、前記液体圧ポンプを設けた液体圧ラインに並列に設けられた液体圧ラインに前記液体圧ポンプの吐出側からの流入を規制する2つの逆止め弁を設け、前記2つの逆止め弁の間の液体圧ラインにリリーフ弁を接続し、前記電動機により回転するとともに前記リリーフ弁に直列に接続され前記第1の液体圧ポンプに作動油を補給可能な第2の液圧ポンプを設けてなるとともに、
    前記加算器に代えて演算装置を設け、前記船舶用操舵システムを設けた船舶に、フィードバック信号を前記演算装置に出力する船体の横揺れ検出センサ、方位検出センサおよび船速検出センサを設け、前記舵角センサは前記演算装置にフィードバック信号を入力可能とし、前記演算装置は前記船体の横揺れ検出センサ、前記方位検出センサ、前記船速検出センサおよび前記舵角センサからのフィードバック信号に基づいて舵角指令値を算出して、前記舵角指令値に対応した出力信号を前記制御装置に出力し、前記制御装置は前記出力信号を入力可能としたことを特徴とする船舶用操舵システム。
  4. 前記電動機に加わる電流を検知してフィードバック信号を前記加算器に出力する電流検出センサを設けてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の船舶用操舵システム。
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