JP5544586B2 - 可変ピッチプロペラ制御船および可変ピッチプロペラ制御方法 - Google Patents

可変ピッチプロペラ制御船および可変ピッチプロペラ制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、可変ピッチプロペラ制御船および可変ピッチプロペラ制御方法に関し、より詳しくは、各翼の翼角を個別制御可能な可変ピッチプロペラを備える可変ピッチプロペラ制御船、及び該可変ピッチプロペラの制御方法に関する。
従来、作動中に遠隔操作で翼の取り付け角度(以下、翼角という。)を変えることのできる可変ピッチプロペラ(CPP:Controllable Pitch Propeller、以下単に「プロペラ」ともいう。)を備える船が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来の可変ピッチプロペラは、それに含まれる複数枚の翼の翼角をすべて等しく変えるものである。
プロペラの翼角は通常、大きいほど、プロペラが一回転するうちに進む距離が大きくなり、より大きな推力が得られるが、翼角が過度に大きすぎる場合はキャビテーション現象を生じ、プロペラ表面に対する衝撃により振動・騒音や腐食の問題を生じる。
したがって、従来の可変ピッチプロペラはキャビテーションが起こらない範囲で可及的に大きくなるように制御される。
特表2001−519289号公報
一般に、キャビテーションは、回転速度や推力を一定にした場合、水深が深いほど生じ難く、反対に水深が浅いほど生じやすい性質を有している。
大型船になれば、プロペラの直径が大きくなるため、プロペラの翼が水深のもっとも浅い部分を通るときと、水深のもっとも深い部分を通るときとでは、翼の水深が大きく異なり、キャビテーションが起こらない範囲の可及的に大きい翼角も大きく異なる。
しかし、従来の可変ピッチプロペラは、各翼の翼角が一律に制御され(全体ミニマム制御)、水深に応じてもっとも効率の良い角度に各翼の翼角を制御できないため、全体としてプロペラ効率を十分に改善できない、即ちプロペラ効率を犠牲にした使い方に甘んじるという問題があった
そこで、本発明が解決しようとする課題は、プロペラ効率を可及的に向上させることができる可変ピッチプロペラ制御船および可変ピッチプロペラ制御方法を提供することにある。
本発明の一態様によれば、可変ピッチプロペラと、前記可変ピッチプロペラのボス内に設けられ、前記可変ピッチプロペラの各翼に備えられ、前記翼の翼角を各翼独立に変化させる油圧ユニットと、前記翼の所定の水深における翼角目標値を出力する翼角指令部と、前記翼角指令部から前記翼角目標値を入力し、前記翼の翼角が前記翼角目標値になるように前記油圧ユニットを制御する油圧ユニット制御部と、を備え、前記翼角指令部は、前記水深における該翼の対水前進速度、並びに前記可変ピッチプロペラの回転数及び直径に基づいて、前記水深における前記翼の前進係数を算出し、前記前進係数、および前進係数から推力係数を求めるKT−Jデータに基づいて、前記翼の所定のピッチにおける推力係数を求め、前記推力係数に基づいて、前記水深及び前記ピッチPにおける推力を算出し、前記推力、および前記ピッチにおける翼の投影面積に基づいて、前記水深及び前記ピッチにおける推力負荷を算出し、前記推力負荷に基づいて、キャビテーションの発生限界に近い翼角を求め、求めた翼角を前記翼角目標値として出力する、ことを特徴とする可変ピッチプロペラ制御船が提供される。
本発明の別態様によれば、可変ピッチプロペラの所定の翼が存在している水深(d)を入力し、伴流分布データと船の巡航速度(V)から、前記水深(d)における前記翼の対水前進速度(V)を算出し、前記可変ピッチプロペラの回転数(n)および直径(D)と、前記翼の対水前進速度(V)とから、前記水深(d)における翼の前進係数(J)を算出し、前進係数(J)から推力係数(K)を求めるK−Jデータと、前記前進係数(J)から、所定の範囲から選択されたピッチ(P)における推力係数(KTP)を算出し、前記推力係数(KTP)と、水の密度(ρ)と、前記可変ピッチプロペラの回転数(n)及び直径(D)とを用いて、前記水深(d)及び前記ピッチ(P)における推力(T)を算出し、前記ピッチ(P)における前記翼の投影面積(A)と、前記推力(T)とから、前記翼の推力負荷(T/A)を算出し、前記翼の周速度(πDN)を算出し、前記周速度(πDN)と、前記推力負荷(T/A)と、周速度に対する推力負荷の限界を水深ごとに示す許容限界データとを用いて、前記水深(d)における前記ピッチ(P)の翼がキャビテーションを起こすか否かを判定し、前記所定の範囲における複数のピッチについて前記翼がキャビテーションを起こすか否かを判定することにより、許容限界に近いピッチ(P)を特定し、該ピッチ(P)を翼角に換算して翼角目標値(α)を求め、前記翼の翼角を前記翼角目標値に調整する、可変ピッチプロペラ制御方法が提供される。
本発明によれば、可変ピッチプロペラの翼角を各翼独立に変化させる油圧ユニットと、翼が存在している水深に応じて、キャビテーションの発生限界に近い翼角を翼角目標値として出力する翼角指令部と、各翼の翼角が前記翼角目標値になるように油圧ユニットを制御する油圧ユニット制御部と、を備えていることにより、可変ピッチプロペラの各翼の翼角がその存在している水深に応じてキャビテーションの発生限界に近い翼角をとることができ、プロペラ効率を可及的に向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る可変ピッチプロペラ制御船の構造を概略示す構造図である。 本発明の実施形態に係る可変ピッチプロペラ制御船における、1つの翼に関する制御ブロック図である。 本発明の実施形態に係る翼角指令部のブロック図である。 (a)は軸深度Iの求め方を説明するための図であり、(b)は翼の水深の求め方を説明するための図である。 伴流分布データ31の一例を示す図である。 −Jデータ32の一例を示す図である。 許容限界データ33の一例示す図である。 本発明の実施形態に係る可変ピッチプロペラ制御方法を示すフローチャートである。 図8Aに続く、本発明の実施形態に係る可変ピッチプロペラ制御方法を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る可変ピッチプロペラ制御船の構造を概略示す構造図である。
図1に示すように、可変ピッチプロペラ1は、プロペラシャフト2を介して舶用推進機関3に接続され、舶用推進機関3によって回転駆動されるように構成されている。
可変ピッチプロペラ1は、本実施形態では4枚の翼14を有し、各翼14は中心のボス4に対して台座が回転可能なことにより、その翼角が変えられるように取り付けられている。なお、翼14の数は4枚に限られない。ボス4の内部には、油圧ユニット13が翼14ごとに備えられ、各翼14の翼角をそれぞれ独立に変化させられるように設けられている。たとえば、図1に示すように、翼14の基端は回転可能な台座に取り付けられ、油圧ユニット13はピストンにより翼角制御ギアを駆動することにより、翼14を図示の方向Rに回転駆動することができるように構成することができる。
油圧ユニット13は油圧ユニット制御部12によって制御される。
油圧ユニット制御部12は、翼角指令部11から制御目標の翼角目標値を入力し、駆動電力とともに油圧ユニット13に出力する。
油圧ユニット13の駆動電力は、電源5から例えばスリップリング6を介して固定端子から回転端子に伝えられ、各油圧ユニット制御部12に送られ、油圧ユニット13に供給される。
翼角指令部11と油圧ユニット制御部12には無線装置が備えられ、翼角目標値は無線で油圧ユニット制御部12に送信することができる。なお、翼角指令部11と油圧ユニット制御部12を有線で接続するようにしてもむろん良い。
図2は、本発明の実施形態に係る可変ピッチプロペラ制御船における、1つの翼に関する制御ブロック図を示している。
図2に示すように、本実施形態に係る可変ピッチプロペラ船は、翼角指令部11と、油圧ユニット制御部12と、油圧ユニット13と、翼14と、を備える。可変ピッチプロペラ1(図示せず)は複数の翼14を有しており、各翼14について、油圧ユニット制御部12および油圧ユニット13が設けられている。
翼角指令部11は、可変ピッチプロペラを制御するためのコンピュータ(CPP制御コンピュータ)内に設けられる。この翼角指令部11は、詳細は後述するが、キャビテーションを発生しない限界の翼角を翼14の回転角(水深)に応じて算出し、算出された翼角を翼角目標値(α)として油圧ユニット制御部12に出力する。
油圧ユニット制御部12は、PID制御部12a及びドライバ12bを有し、翼14の翼角が翼角指令部11により入力された翼角目標値になるように、油圧ユニット13を制御する。PID制御部12aは、翼角指令部11により算出された翼角目標値(α)と、実際に計測された翼14の翼角(実翼角値(α))とを用いて、実翼角値(α)が翼角目標値(α)に等しくなるように制御(例えばPID制御)を行う。ドライバ12bは、PID制御部12aの出力する翼角制御信号に基づき、油圧ユニット13を制御する。
油圧ユニット13は、可変ピッチプロペラのボス内に設けられており、翼14の翼角制御ギアを駆動することによって、翼14の翼角を変化させる。この油圧ユニット13は翼ごとに設けられるため、プロペラの翼角を個別制御することが可能である。油圧ユニット13として、例えば第一電気(株)製のDDVC(Direct Drive Volume Control)油圧ユニットを用いることができる。このDDVC油圧ユニットは、ギアポンプ(可逆転油圧ポンプ)と、このギアポンプを駆動するサーボモータと、ギアポンプの出入り口に直結された油圧シリンダーと、ギアポンプに油を供給する油タンクとを一体化したものである。油圧シリンダー内のピストンは、翼の翼角制御ギアと接続され、サーボモータの回転により所望の位置に制御される。ピストン動作が必要なときにのみギアポンプを運転すればよいため、消費電力が小さく、発熱も少ないという利点を有する。
さらに、このDDVC油圧ユニットは小型で省スペースのため、プロペラのボス内に内蔵可能である。このため、従来のようにプロペラシャフトを通じて船内からボス内に送油する必要がなく、プロペラシャフトの構造を簡略化することができる。さらに、プロペラのボスを油漬することが可能であるため、ボスの耐圧性を向上させることもできる。
なお、上記DDVC油圧ユニットを油圧ユニット13として用いる場合、実翼角値は、油圧シリンダーのピストン位置から知ることができる(因みにNK規則ではモニター用と制御用のセンサは分ける必要がある)。
また、油圧ユニット13への電源供給は、前述したようにプロペラシャフトに設けられたスリップリングを介して行うことが可能である。
翼14は、可変ピッチプロペラの有する複数の翼のうちの一つである。翼14の回転角(θ)は、可変ピッチプロペラ1を正面から見て翼14の長手方向軸線が垂直上方から傾斜した角度をいい、例えばマグネティックセンサで計測され、翼位置信号として翼角指令部11(CPP制御コンピュータ)に有線または無線で伝達される。翼14の翼角は、油圧ユニット13が翼14の翼角制御ギアを駆動することにより調整される。
次に、翼角指令部11の詳細について説明する。図3は、翼角指令部11のブロック図を示している。
図3に示すように、翼角指令部11は、軸深度入力手段20と、翼水深算出手段21と、水深別翼前進速度算出手段22と、翼前進係数算出手段23と、推力係数算出手段24と、推力算出手段25と、翼投影面積入力手段26と、推力負荷算出手段27と、周速度算出手段28と、判定手段29と、制御手段30と、伴流分布データ31と、K−Jデータ32と、許容限界データ33と、を備えている。
以下、翼角指令部11の各構成要素について説明する。
軸深度入力手段20は、可変ピッチプロペラの軸深度を翼水深算出手段21に入力する手段である。ここで、軸深度は、水面から可変ピッチプロペラのボスの中心軸までの長さであり、図4(a)に示すように、喫水と、キール底面からプロペラ軸までの高さとを用いて、次式により求められる。
Figure 0005544586
ここで、I:軸深度、d:喫水、h:キール底面からプロペラ軸までの高さである。
なお、軸深度入力手段20は、可変ピッチプロペラの軸深度を入力できれば足り、上式の演算をすることなく、たとえば吃水と対応して記憶させた軸深度のテーブルから軸深度を入力してもむろん良い。
翼水深算出手段21は、回転角θに応じて翼14が存在している水深が変化するため、注目している翼14の存在している水深を算出する手段である。
翼水深算出手段21は、図4(b)からわかるように、軸深度入力手段20から入力された軸深度と、翼14の回転角及び長さとを用いて、翼14(制御対象翼)の水深を次式により算出する。
Figure 0005544586
ここで、d:翼の水深、I:軸深度、L:翼の長さ、θ:翼の回転角である。なお、キャビテーションは翼端から発生するので、翼の長さLはプロペラ中心から翼端までの長さ(プロペラ半径)を取ればよい。
翼水深算出手段21による翼の水深の算出は、上式の演算をする代わりに、たとえば翼の回転角に対応して記憶させた翼水深のテーブルから翼が存在している水深を得るようにしてもむろん良い。なお、テーブルから水深を取得することも広い意味で「算出」に含まれるものとする。このことは以下の本発明の他の手段の場合も同じである。
水深別翼前進速度算出手段22は、翼が特定の水深に存在しているときの、翼の対水前進速度を算出する手段である。翼の対水前進速度を算出するのは、プロペラの周りには伴流が存在し、プロペラに関する位置によって実際の翼の対水前進速度が船の巡航速度Vと異なるからである。
水深別翼前進速度算出手段22は、まず、翼水深算出手段21が算出した翼14の水深と、伴流分布データ31とから伴流係数を求める。即ち、事前の試験で得られた伴流分布データ31を参照して、翼14の水深dにおける伴流係数wを求める。図5は、事前に実船を試験して得られた伴流分布データ31の一例を示している。図5からわかるように、翼の水深dが図示する位置の場合、伴流係数wは0.525である。
次いで、水深別翼前進速度算出手段22は、翼14の水深dにおける伴流係数と、可変ピッチプロペラ船の巡航速度とを用いて、翼14の水深dにおける前進速度を次式により算出する。
Figure 0005544586
ここで、V:前進速度、w:伴流係数、V:船の巡航速度である。
なお、伴流分布データ31をテーブル化し、翼の所定の回転角に対して、翼の対水前進速度を取得できるようにしてもよい。
翼前進係数算出手段23は、翼の対水前進速度Vと回転数nとプロペラ直径Dの関係を示す翼前進係数を算出する手段である。
翼前進係数算出手段23は、可変ピッチプロペラの回転数n及び直径Dと、水深別翼前進速度算出手段22により算出された翼の対水前進速度Vとを用いて、次式により翼14の水深dにおける前進係数Jを算出する。
Figure 0005544586
ここで、J:前進定数(前進係数)、V:前進速度、n:プロペラの回転数、D:プロペラの直径である。なお、回転数nは1秒あたりの回転数である。
推力係数算出手段24は、プロペラの推力Tと水の密度ρと回転数nとプロペラ直径Dの関係を示す推力係数Kを算出する手段である。
推力係数算出手段24は、推力係数がピッチP(翼角)またはピッチ比p(=P/D)によって変化するため、ピッチPまたはピッチ比pをパラメータとして前進係数Jと推力係数Kの関係を示すK−Jデータ32を参照し、翼前進係数算出手段23により算出された前進係数に対応する、所定のピッチPにおける推力係数を求める。
なお、所定のピッチPとして、所定の範囲内のピッチが選択される。この所定の範囲は、船種に応じて適宜選択される。
図6は、事前の試験で得られたK−Jデータ32の一例を示している。図6からわかるように、例えばピッチ比pとして1.6を選択した場合、翼前進係数算出手段23により算出された前進係数Jが0.9であるとき、この前進係数に対応する推力係数KTPは0.4である。
推力算出手段25は、翼の推力Tを算出する手段である。
推力算出手段25は、推力係数KTP、水の密度ρ、及び可変ピッチプロペラの回転数nと直径Dを用いて、次式により、翼14の所定のピッチPにおける推力Tを算出する。
Figure 0005544586
ここで、T:所定のピッチにおける翼14の推力、KTP:所定のピッチにおける翼14の推力係数、n:プロペラの回転数、D:プロペラの直径である。
翼投影面積入力手段26は、翼角に応じて変化する翼の投影面積を算出する手段である。
翼投影面積入力手段26は、所定のピッチPにおける翼14の投影面積(A)を推力負荷算出手段27に入力する。この翼投影面積入力手段26は、例えば、事前の試験で得られたピッチと翼の投影面積との関係を示すデータ(テーブル)を参照して、所定のピッチPにおける翼の投影面積を求める。
推力負荷算出手段27は、翼の投影面積あたりの推力を求める手段である。
推力負荷算出手段27は、推力算出手段25が算出した翼14の所定のピッチPにおける推力と、翼投影面積入力手段26が入力した所定のピッチPにおける翼14の投影面積とから、翼14の所定のピッチPにおける推力負荷を次式により算出する。
Figure 0005544586
ここで、TL:所定のピッチにおける推力負荷、T:所定のピッチにおける翼14の推力、A:所定のピッチにおける翼14の投影面積である。
周速度算出手段28は、可変ピッチプロペラの回転数と直径を用いて、翼14の周速度を次式により算出する。
Figure 0005544586
ここで、VC:周速度、D:プロペラの直径、N:1分あたりのプロペラの回転数(=60n)である。
むろん、翼の周速度も回転数に応じてテーブル化しておくことができる。
判定手段29は、所定の翼角が所定の水深においてキャビテーションを生じるか否かを判断する手段である。
判定手段29は、周速度に対する推力負荷の限界を水深ごとに示す許容限界データ33と、推力負荷算出手段27が算出した所定のピッチPにおける推力負荷と、周速度算出手段28が算出した翼14の周速度とを用いて、所定のピッチPの翼14が水深dにおいてキャビテーションを起こすか否かを判定する。
図7は、事前の試験で得られた許容限界データ33の一例を示している。周速度に対応する推力負荷が許容限界データ33の示す限界値より大きい場合にキャビテーションが発生する。よって、図7からわかるように、例えば翼14の水深が7[m]、周速度が3000[m/分]の場合、推力負荷(T/A)が1.3より大きければキャビテーションが起こると判定する。
制御手段30は、推力係数算出手段24、推力算出手段25、推力負荷算出手段27及び判定手段29を制御し、所定の範囲における複数のピッチの中から水深dにおける許容限界に近いピッチP(キャビテーションの発生限界に近いピッチ)を特定する。好ましくは、キャビテーションの発生限界に最も近いピッチを特定する。そして、制御手段30は、特定されたピッチを翼角に換算し、その翼角を翼角目標値(α)として出力する。なお、特定されたピッチの翼角への換算は次式により行う。
Figure 0005544586
ここで、α:翼角(翼角目標値)、P:特定されたピッチ、r:プロペラ半径である。
上述の構成により、翼角指令部11は、制御対象翼である翼14の水深(位置)に応じて、キャビテーションの発生限界に近い翼角を翼角目標値として、油圧ユニット制御部12に出力する。そして、翼14の翼角は、油圧ユニット制御部12および油圧ユニット13によって翼角目標値に調整される。
可変ピッチプロペラの各翼の翼角は、それぞれの翼に対応する翼角指令部により求められた翼角目標値に個別制御される。これにより、本実施形態に係る可変ピッチプロペラ制御船は、プロペラ効率を改善することができ、従来に比べ省エネ運転することが可能となる。
なお、上記説明では、翼ごとに設けられた複数の翼角指令部が並列動作して各翼の翼角目標値を出力したが、本実施形態はこれに限らない。即ち、翼角指令部が1つだけ設けられ、その翼角指令部がプロペラの全ての翼について翼角目標値を求めるようにしてもよい。その場合、翼角指令部は、各翼の翼角目標値を、並列処理により同時に求めてもよいし、シリアル処理により順次に求めてもよい。
また、上記の説明において、翼角指令部11が伴流分布データ31、K−Jデータ32及び許容限界データ33を有していたが、本実施形態はこれに限らない。すなわち、これらのデータを翼角指令部11がアクセス可能な外部の記憶装置(メモリなど)に格納しておき、翼角指令部11が外部記憶装置に格納されたデータを適宜参照するようにしてもよい。
また、上記の各種データ(伴流分布データ31、K−Jデータ32、許容限界データ33)の形態は、データ点列でもよいし、若しくは、データ点列を多項式近似することにより得られた多項式でもよい。前者の場合、データ参照法を用いて所望の値を求める。後者の場合、例えば推力係数Kを求めるとき、多項式近似で得られた多項式(例えば下記の式(9))をK−Jデータ32とし、所定のピッチP及び前進係数Jに対する推力係数Kを求めるようにしてもよい。
Figure 0005544586
ここで、K:推力係数、a,b,c:定数、J:前進係数、p:ピッチ比である。
次に、本発明の実施形態に係る可変ピッチプロペラ制御方法について、図8A及び図8Bのフローチャートに沿って説明する。
まず、可変ピッチプロペラの軸深度I、翼の回転角θ、及び翼の長さLを用いて、翼の水深dを算出する(ステップS101)。
具体的には、前述の式(2)を用いて翼の水深を算出する。翼の回転角(位置)は、マグネティックセンサなどで計測された値を用いる。また、軸深度Iは、例えば前述の式(1)を用いて算出された値を用いる。
次に、翼の水深と伴流分布データから、ステップS101で算出した水深における伴流係数wを求める(ステップS102)。
具体的には、例えば図5に示すような伴流分布データを参照して、ステップS101で算出した水深における伴流係数を求める。
次に、ステップS102で求められた伴流係数wと、船の巡航速度Vから、ステップS101で算出した水深における翼の前進速度Vを算出する(ステップS103)。
具体的には、前述の式(3)を用いて前進速度Vを求める。
次に、可変ピッチプロペラの回転数nおよび直径Dと、ステップS103で算出された前進速度Vとから、ステップS101で算出した水深における前進係数Jを算出する(ステップS104)。
具体的には、前述の式(4)を用いて前進係数Jを求める。
次に、ピッチ(ピッチ比)をパラメータとして前進係数Jと推力係数Kの関係を示すデータ(K−Jデータ)、及びステップS104で算出した前進係数Jから、所定の範囲から選択されたピッチPにおける推力係数KTPを算出する(ステップS105)。
具体的には、図6を用いて説明したように、所定の範囲から所定のピッチPを選択し、そのピッチPについての前進定数と推力係数の関係を用いて、ピッチPにおける推力係数を算出する。なお、ピッチが選択される範囲(所定の範囲)は、船種に応じて適宜選択される。
次に、ステップS105で算出された推力係数KTP、水の密度ρ、プロペラの回転数n及びプロペラの直径Dを用いて、所定のピッチPにおける推力Tを算出する(ステップS106)。
具体的には、前述の式(5)を用いて、ステップS101で算出した水深dおよび所定のピッチPにおける推力Tを算出する。
次に、所定のピッチPにおける翼の投影面積A、及びステップS106で算出した推力Tから、翼の推力負荷T/Aを算出する(ステップS107)。具体的には、前述の式(6)により推力負荷T/Aを算出する。
次に、翼の周速度πDNを算出する(ステップS108)。具体的には、前述の式(7)により翼の周速度πDNを算出する。
次に、ステップS107で算出した推力負荷と、ステップS108で算出した周速度と、周速度に対する推力負荷の限界を水深ごとに示す許容限界データとを用いて、ステップS101で算出した水深における、ステップS105で選択したピッチPの翼が、キャビテーションを起こすか否かを判定する(ステップS109)。
具体的には、図7を用いて前述したように、ステップS101で算出した水深における許容限界データを参照し、ステップS108で算出した周速度に対する推力負荷の限界値(限界推力負荷)を求める。そして、その限界推力負荷と、ステップS107で算出した推力負荷とを比較する。ステップS107で算出した推力負荷が限界推力負荷よりも大きければキャビテーションが発生すると判定する。一方、推力負荷が限界推力負荷以下であればキャビテーションが発生しないと判定する。
次に、所定の範囲のピッチの中で許容限界に近いピッチPを特定したか否かを確認する。好ましくは、所定の範囲のピッチの中で許容限界に最も近いピッチを特定したか否かを確認する。もしピッチを特定済みであればステップS111に進み、一方、特定未であればステップS105に戻り、所定の範囲内の他のピッチを選択してステップS105〜S109の処理を行う(ステップS110)。
次に、特定されたピッチPを翼角に換算して翼角目標値αを求め、翼の翼角を翼角目標値αに調整する(ステップS111)。なお、ピッチから翼角への換算は、前述の式(8)により行う。
上述の可変ピッチプロペラの制御方法によれば、翼の水深(位置)に応じて、キャビテーションの発生限界に最も近い翼角に制御される。可変ピッチプロペラの各翼を上記の方法で制御することにより、プロペラ効率を改善することができ、従来に比べ省エネ運転することが可能となる。
例えば、翼が最も水面に近い位置(θ=0°)にあるときの翼角と、翼が最も水面から遠い位置(θ=180°)にあるときの翼角との差は、3°〜8°(好ましくは6°)である。翼角差が6°の場合、プロペラ効率を約10%改善することができる。
なお、最適な翼角の計算を省力化するため、以下の方法を採用しても良い。
すなわち、可変ピッチプロペラの有する複数の翼の各々について、上記の方法により翼角目標値を求めてもよいし、特定の翼についてのみ上記の方法によって翼角目標値を求め、その他の翼については特定の翼からの位相差を用いて、翼角目標値を求めてもよい。例えば、プロペラが4つの翼(翼A、翼B、翼C及び翼D)を有する場合、翼Aについてのみ上述のようにして翼角目標値を求め、その他の翼については、次式により翼角目標値を求めてもよい。
Figure 0005544586
Figure 0005544586
Figure 0005544586
ここで、α、α、α及びαは、それぞれ翼A、翼B、翼C及び翼Dの翼角目標値である。
また、全ての回転角について許容限界に最も近いピッチ(翼角)を算出する代わりに、所定の回転角についてのみ許容限界に最も近いピッチを算出し、他の回転角については所定の回転角のピッチから求めるようにしてもよい。
例えば、プロペラの翼が水面に最も近い位置にあるとき(θ=0°)、および翼が水面から最も遠い位置にあるとき(θ=180°)については、上述の方法によって翼角目標値を算出し、翼がその他の位置にあるときは次式を用いて翼角目標値を算出するようにしてもよい。
Figure 0005544586
ここで、α:θ=0°における翼角目標値、α:θ=180°における翼角目標値である。
また、可変ピッチプロペラの仕様から予め翼角の最小値を知ることができる場合には、その値をθ=0°における翼角目標値として用いてもよい。この場合、翼がθ=0°、180°以外の位置にあるときは次式を用いて翼角目標値を算出する。
Figure 0005544586
ここで、αmin:翼角の最小値、α:θ=180°における翼角目標値である。
以上説明したように、本発明によれば、可変ピッチプロペラの各翼を、翼の水深(位置、回転角)に応じて許容限界に最も近いピッチに個別制御する。これにより、翼毎ミニマム制御となるため、従来の全体ミニマム制御に比べてプロペラ効率を改善し、省エネ運転を行うことが可能となる。
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
1 可変ピッチプロペラ
2 プロペラシャフト
3 舶用推進機関
4 ボス
5 電源
6 スリップリング
11 翼角指令部
12 油圧ユニット制御部
12a PID制御部
12b ドライバ
13 油圧ユニット
14 翼
20 軸深度入力手段
21 翼水深算出手段
22 水深別翼前進速度算出手段
23 翼前進係数算出手段
24 推力係数算出手段
25 推力算出手段
26 翼投影面積入力手段
27 推力負荷算出手段
28 周速度算出手段
29 判定手段
30 制御手段
31 伴流分布データ
32 K−Jデータ
33 許容限界データ

Claims (14)

  1. 可変ピッチプロペラと、
    前記可変ピッチプロペラのボス内に設けられ、前記可変ピッチプロペラの各翼に備えられ、前記翼の翼角を各翼独立に変化させる油圧ユニットと、
    前記翼の所定の水深における翼角目標値を出力する翼角指令部と、
    前記翼角指令部から前記翼角目標値を入力し、前記翼の翼角が前記翼角目標値になるように前記油圧ユニットを制御する油圧ユニット制御部と、
    を備え
    前記翼角指令部は、
    前記水深における該翼の対水前進速度、並びに前記可変ピッチプロペラの回転数及び直径に基づいて、前記水深における前記翼の前進係数を算出し、
    前記前進係数、および前進係数から推力係数を求めるKT−Jデータに基づいて、前記翼の所定のピッチにおける推力係数を求め、
    前記推力係数に基づいて、前記水深及び前記ピッチにおける推力を算出し、
    前記推力、および前記ピッチにおける翼の投影面積に基づいて、前記水深及び前記ピッチにおける推力負荷を算出し、
    前記推力負荷に基づいて、キャビテーションの発生限界に近い翼角を求め、求めた翼角を前記翼角目標値として出力する、
    ことを特徴とする可変ピッチプロペラ制御船。
  2. 可変ピッチプロペラと、
    前記可変ピッチプロペラのボス内に設けられ、前記可変ピッチプロペラの各翼に備えられ、前記翼の翼角を各翼独立に変化させる油圧ユニットと、
    翼が存在している水深に応じて、キャビテーションの発生限界に近い翼角を求め、その翼角を該翼の翼角目標値として出力する翼角指令部と、
    前記翼角指令部から前記翼角目標値を入力し、前記翼の翼角が前記翼角目標値になるように前記油圧ユニットを制御する油圧ユニット制御部と、
    を備え、
    前記翼角指令部は、
    前記可変ピッチプロペラの軸深度Iを入力する軸深度入力手段と、
    前記軸深度入力手段から前記可変ピッチプロペラの軸深度Iを入力し、前記翼の回転角θ及び長さLを入力し、前記翼が存在している水深dを算出する翼水深算出手段と、
    前記翼水深算出手段が算出した前記翼の水深dと、船の巡航速度Vとを入力し、伴流分布データを参照して、前記翼が存在している水深dにおける該翼の対水前進速度VAを算出する水深別翼前進速度算出手段と、
    前記可変ピッチプロペラの回転数n及び直径Dと、前記水深別翼前進速度算出手段が算出した前記翼が存在している水深における該翼の対水前進速度VAとを入力し、下式(1)により前記水深における前記翼の前進係数Jを算出する翼前進係数算出手段と、
    Figure 0005544586
    ここで、J:前進係数
    VA:翼の水深別の前進速度
    n:可変ピッチプロペラの回転数
    D:可変ピッチプロペラの直径
    前記翼前進係数算出手段が算出した前記翼が存在している水深における該翼の前進係数Jを入力し、前進係数Jから推力係数KTを求めるKT−Jデータを参照して、所定の範囲から選択されたピッチPにおける推力係数KTPを求める推力係数算出手段と、 前記推力係数算出手段から前記ピッチPにおける推力係数KTPを入力し、水の密度ρと、前記可変ピッチプロペラの回転数n及び直径Dとを入力し、下式(2)により前記翼が存在している水深及び前記ピッチPにおける推力TPを算出する推力算出手段と、
    Figure 0005544586
    ここで、TP:翼の所定のピッチにおける推力
    KTP:翼の所定のピッチにおける推力係数
    n:可変ピッチプロペラの回転数
    D:可変ピッチプロペラの直径
    前記ピッチPにおける前記翼の投影面積APを入力する翼投影面積入力手段と、 前記推力算出手段が算出した前記翼が存在している水深及び前記ピッチPにおける推力TPと、前記翼投影面積入力手段が入力した前記ピッチにおける翼の投影面積APを入力し、前記翼が存在している水深及び前記ピッチPにおける推力負荷T/APを算出する推力負荷算出手段と、
    前記可変ピッチプロペラの回転数nと直径Dを入力し、前記翼の周速度πDNを算出する周速度算出手段と、
    前記推力負荷算出手段が算出した推力負荷T/APと、前記周速度算出手段が算出した前記翼の周速度πDNとを入力し、周速度に対する推力負荷の限界を水深dごとに示す許容限界データを参照して、前記ピッチPのときの前記翼がその存在している水深dにおいてキャビテーションを起こすか否かを判定する判定手段と、
    前記推力係数算出手段、前記推力算出手段、推力負荷算出手段、及び判定手段を制御し、前記所定の範囲における複数のピッチの中から水深dにおける許容限界に近いピッチP0を特定し、該ピッチP0を翼角に換算し、該翼角を前記翼の水深dにおける翼角目標値α0とする制御手段と、
    を有することを特徴とする可変ピッチプロペラ制御船。
  3. 前記翼角指令部は、
    前記可変ピッチプロペラの注目している翼が水面に最も近い位置にあるとき(θ=0°)、および前記翼が水面から最も遠い位置にあるとき(θ=180°)は請求項2に記載の計算によって翼角目標値を算出し、前記翼がその他の位置にあるときは下式(3)を用いて翼角目標値を算出することを特徴とする請求項2記載の可変ピッチプロペラ制御船。
    Figure 0005544586
    ここで、α1:θ=0°における翼角目標値、α2:θ=180°における翼角目標値である。
  4. 前記翼角指令部は、
    前記可変ピッチプロペラの注目している翼が水面に最も近い位置にあるとき(θ=0°)は翼角目標値として前記可変ピッチプロペラの仕様から決定される翼角の最小値を用い、前記可変ピッチプロペラの前記翼が水面から最も遠い位置にあるとき(θ=180°)は請求項2に記載の計算によって翼角目標値を算出し、前記翼がその他の位置にあるときは下式(4)を用いて翼角目標値を算出することを特徴とする請求項2記載の可変ピッチプロペラ制御船。
    Figure 0005544586
    ここで、αmin:翼角の最小値、α2:θ=180°における翼角目標値である。
  5. 前記軸深度入力手段は、下式(5)により、前記軸深度を求めることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の可変ピッチプロペラ制御船。
    Figure 0005544586
    ここで、I:軸深度、d0:喫水、h:キール底面からプロペラ軸までの高さである。
  6. 前記翼水深算出手段は、下式(6)により、前記翼が存在している水深を算出することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の可変ピッチプロペラ制御船。
    Figure 0005544586
    ここで、d:翼が存在している水深、I:軸深度、L:翼の長さ、θ:翼の回転角である。
  7. 前記水深別翼前進速度算出手段は、下式(7)により、前記翼の水深における前記前進速度を算出することを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の可変ピッチプロペラ制御船。
    Figure 0005544586
    ここで、VA:前進速度、w:伴流係数、V:船の巡航速度である。
  8. 前記伴流分布データ、前記KT−Jデータ及び前記許容限界データのうち少なくともいずれか一つは、多項式近似された多項式であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の可変ピッチプロペラ制御船。
  9. 前記油圧ユニットは、DDVC油圧ユニットであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の可変ピッチプロペラ制御船。
  10. 前記可変ピッチプロペラのボスは油漬されていることを特徴とする請求項9に記載の可変ピッチプロペラ制御船。
  11. 可変ピッチプロペラの所定の翼が存在している水深(d)を入力し、伴流分布データと船の巡航速度(V)から、前記水深(d)における前記翼の対水前進速度(VA)を算出し、
    前記可変ピッチプロペラの回転数(n)および直径(D)と、前記翼の対水前進速度(VA)とから、前記水深(d)における翼の前進係数(J)を算出し、
    前進係数(J)から推力係数(KT)を求めるKT−Jデータと、前記前進係数(J)から、所定の範囲から選択されたピッチ(P)における推力係数(KTP)を算出し、 前記推力係数(KTP)と、水の密度(ρ)と、前記可変ピッチプロペラの回転数(n)及び直径(D)とを用いて、前記水深(d)及び前記ピッチ(P)における推力(Tp)を算出し、
    前記ピッチ(P)における前記翼の投影面積(Ap)と、前記推力(Tp)とから、前記翼の推力負荷(T/AP)を算出し、
    前記翼の周速度(πDN)を算出し、
    前記周速度(πDN)と、前記推力負荷(T/AP)と、周速度に対する推力負荷の限界を水深ごとに示す許容限界データとを用いて、前記水深(d)における前記ピッチ(P)の翼がキャビテーションを起こすか否かを判定し、
    前記所定の範囲における複数のピッチについて前記翼がキャビテーションを起こすか否かを判定することにより、許容限界に近いピッチ(P0)を特定し、該ピッチ(P0)を翼角に換算して翼角目標値(α0)を求め、前記翼の翼角を前記翼角目標値に調整する、 ことを特徴とする可変ピッチプロペラ制御方法。
  12. 前記可変ピッチプロペラの注目している翼が水面に最も近い位置にあるとき(θ=0°)、および前記翼が水面から最も遠い位置にあるとき(θ=180°)は請求項11に記載の可変ピッチプロペラ制御方法によって翼角目標値を算出し、前記翼がその他の位置にあるときは下式(8)を用いて翼角目標値を算出することを特徴とする可変ピッチプロペラ制御方法。
    Figure 0005544586
    ここで、α1:θ=0°における翼角目標値、α2:θ=180°における翼角目標値である。
  13. 前記可変ピッチプロペラの注目している翼が水面に最も近い位置にあるとき(θ=0°)は翼角目標値として前記可変ピッチプロペラの仕様から決定される翼角の最小値を用い、前記可変ピッチプロペラの前記翼が水面から最も遠い位置にあるとき(θ=180°)は請求項11に記載の可変ピッチプロペラ制御方法によって翼角目標値を算出し、前記翼がその他の位置にあるときは下式(9)を用いて翼角目標値を算出することを特徴とする可変ピッチプロペラ制御方法。
    Figure 0005544586
    ここで、αmin:翼角の最小値、α2:θ=180°における翼角目標値である。
  14. 前記可変ピッチプロペラの有する複数の翼のうち、特定の翼については請求項11乃至13のいずれかに記載の可変ピッチプロペラ制御方法により算出された翼角目標値に翼角を調整し、その他の翼については前記特定の翼からの位相差を用いて得られる翼角目標値に翼角を調整することを特徴とする可変ピッチプロペラ制御方法。
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