JP4314563B2 - エンジンの吸気構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はエンジンの吸気構造に係り、特にラジエータのアッパタンクとメンバとの間にインタクーラダクトの入口側を配置し、インタクーラダクトに空気が流入し易くして、吸入効率を良好とし得るエンジンの吸気構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両においては、エンジンルーム内に内燃機関を設置している。そして、このエンジンルーム内における内燃機関よりも車両進行方向の前側部位において、メンバ下部に冷却装置のラジエータを配置している。このラジエータは、内燃機関で熱せられた冷却水を熱交換によって冷却するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−213033号公報 (第2−4頁、図1)
【特許文献2】
実開昭63−202518号公報 (第1−3頁、図1)
【特許文献3】
実開平4−134663号公報 (第1−3頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のエンジンの吸気構造においては、エアクリーナに接続する吸気ノズルのノズル開口部を、アッパメンバとラジエータとの間でラジエータの中心線よりも車両の前方に配設したものがある(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、ラジエータのアッパタンクにインタクーラダクトを固定するものはなかった。
【0006】
この結果、インタクーラ冷却用に積極的に空気を取り入れる方策がなされておらず、冷却不足により空気の吸入効率が悪いという不都合がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、車両前方のメンバ下部に配置されるラジエータを設け、このラジエータはアッパタンクの上面に左右一対のマウントゴムを配設するとともに、前記マウントゴムの間に冷却水導入部を形成し、車両にインタクーラを搭載して設け、前記ラジエータのアッパタンクと前記メンバとの間にインタクーラのインタクーラダクトを設けるとともに、このインタクーラダクトの車両前方の入口側を冷却水導入部と一方のマウントゴムとの間に配設し、前記インタクーラダクトの形状を、車両前方の入口側から車両後方に移行するに連れて横方向における寸法が漸次小となる形状としたエンジンの吸気構造において、車両平面視にて、前記インタクーラダクトの入口側の一側部位を前記冷却水導入部の前方に形成されるスペースに延出して配設したことを特徴する。
【0008】
【発明の実施の形態】
上述の如く発明したことにより、インタクーラダクトの形状を、車両前方の入口側から車両後方に移行するに連れて横方向における寸法が漸次小となる形状とし、このインタクーラダクトの入口側を、ラジエータのアッパタンクとメンバとの間に位置させ、インタクーラダクトに空気が流入し易くして、吸入効率を良好としている。
【0009】
【実施例】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【0010】
図1〜図12はこの発明の実施例を示すものである。図1〜図3において、2は車両(図示せず)のインナフード、4はラジエータである。
【0011】
このラジエータ4は、図示しない内燃機関で熱せられた冷却水を熱交換によって冷却するものであり、車両に搭載する際には、エンジンルーム6内において、図3に示す如く、内燃機関よりも車両進行方向の前側部位(単に「車両前方」ともいう)に配置される。
【0012】
このとき、前記ラジエータ4は、図2〜図7に示す如く、アッパタンク8と、ロアタンク10と、アッパタンク8とロアタンク10間に位置するフィン12とからなり、車両前方のアッパクロスメンバ14下部に配置される。
【0013】
詳述すれば、前記ラジエータ4は、図1〜図4に示す如く、アッパタンク8の上面が左右一対のブラケット20−1、20−2及びマウントゴム22−1、22−2を介して、前記アッパクロスメンバ14に2箇所で取り付けられる。
【0014】
更に、前記左右一対のマウントゴム22−1、22−2間には、図1に示す如く、冷却水導入部28を形成し、この冷却水導入部28にラジエータキャップ30を配設する。
【0015】
インタクーラ16は、図示しないエンジンの側方かつミッションの上方に配設され、過給機(「ターボ」ともいう)に接続され過給された吸気を導入するインレット部16aと、冷却風により熱交換される冷却部16bと、図示しないスロットルボディに接続されるアウトレット部16cとを有し、冷却部16bは前下がりに配設されている。
【0016】
また、インタクーラダクト18は、図1及び図3に示す如く、前記ラジエータ4のアッパタンク8と前記アッパクロスメンバ14との間に位置するダクト部24と、前記インタクーラ16の冷却部16bの入口部16dを区画し覆うカバー部19と、このダクト部24とカバー部19とを連絡するホース部26とを有している。このダクト部24、ホース部26、カバー部19は、側面視ほぼ水平に配置され、平面視車両前後方向に一列に直線上に配設されている。
【0017】
そして、前記インタクーラダクト18のダクト部24を、前記ラジエータ4のアッパタンク8と前記アッパクロスメンバ14との間、且つ2箇所のアッパクロスメンバ14への取付部位間に位置させた際に、車両前方(図1において下側)の入口側24aを、アッパタンク8の前面に対して面一状態となるように配置する。
【0018】
このとき、前記インタクーラダクト18のダクト部24は、図1及び図2、図8〜図12に夫々示す如く、車両前方の入口側24aから車両後方の出口側24bに移行するに連れて横方向における寸法が漸次小となる形状、つまり扇形状に形成する。
【0019】
なお、前記インタクーラダクト18のダクト部24の入口側24aの形状は、左右対称形状とはなっておらず、図1から明らかなように、アッパクロスメンバ14への取付部位やその他の配設部品を考慮した形状をなす。
【0020】
そして、この冷却水導入部28と一方、例えば図1において左側のマウントゴム22−1との間に、前記ダクト部24を配設し、ダクト部24の車両前方の入口側24a、つまり入口側24aの図1において右側部位によって、前記ラジエータキャップ30の前方を覆うべく配設する。
【0021】
更にまた、前記インタクーラダクト18のダクト部24の下面部位には、車両前方から車両後方へ指向する係合鉤部32を形成する。
【0022】
この係合鉤部32は、前記ラジエータ4のアッパタンク8の上面に形成される係合孔部34に係合して、インタクーラダクト18のダクト部24の取付性の向上及び脱落防止を図るものである。
【0023】
次に作用を説明する。
【0024】
前記インタクーラダクト18のダクト部24を配置する際には、先ず、前記ラジエータ4のアッパタンク8と前記アッパクロスメンバ14との間、且つ2箇所のアッパクロスメンバ14への取付部位間に、車両前方からダクト部24の出口側24bを挿入する。
【0025】
そして、前記ラジエータ4のアッパタンク8の上面に形成される係合孔部34にダクト部24の係合鉤部32を係合させて前記インタクーラダクト18のダクト部24を固定する。
【0026】
このとき、前記インタクーラダクト18のダクト部24の入口側24aを、ラジエータ4のアッパタンク8の前面に対して面一状態とする。
【0027】
また、前記インタクーラダクト18のダクト部24の入口側24a、つまり入口側24aの図1において右側部位は、前記ラジエータキャップ30の前方を覆っている。
【0028】
更に、前記インタクーラダクト18のダクト部24の出口側24bは、ホース部26を介して、インタクーラダクト18に接続される。
【0029】
これにより、前記インタクーラダクト18の入口形状、つまり入口側24aの形状が扇状に広がっているため、インタクーラダクト18に空気が流入し易くなり、吸入効率を良好とし得る。
【0030】
また、前記インタクーラダクト18の入口側24aがラジエータ4のアッパタンク8の前面から突出しておらず、ラジエータ4に流入する走行風の一部がインタクーラダクト18にも入り易く、吸入効率の向上に寄与し得る。
【0031】
更に、前記ラジエータ4のアッパタンク8の上面が左右一対のブラケット20−1、20−2及びマウントゴム22−1、22−2を介して、前記アッパクロスメンバ14に2箇所で取り付けられ、マウントゴム22−1、22−2間に冷却水導入部28を形成し、この冷却水導入部28にラジエータキャップ30を配設するとともに、冷却水導入部28と一方、例えば図1において左側のマウントゴム22−1との間に、前記インタクーラダクト18を配設し、前記インタクーラダクト18の車両前方の入口側24a、つまり入口側24aの図1において右側部位によって、前記ラジエータキャップ30の前方を覆うべく配設したことにより、前記ラジエータ4に冷却水を導入する冷却水導入部28の前方のスペースにインタクーラダクト18の車両前方の入口側24aを配設してスペースの有効利用を図ることができるとともに、ラジエータキャップ30の前方を覆うインタクーラダクト18の車両前方の入口側24aによって、走行風によるラジエータキャップ30への悪影響を未然に回避し得て、実用上有利である。
【0032】
更にまた、前記インタクーラダクト18のダクト部24の下面部位に、車両前方から車両後方へ指向する係合鉤部32を形成するとともに、前記ラジエータ4のアッパタンク8の上面には、係合鉤部32に係合する係合孔部34を形成したことにより、前記インタクーラダクト18のダクト部24の取付性を確実に向上させることができるとともに、ダクト部24の脱落防止を果たすこともでき、実用上有利である。
【0033】
なお、この発明は上述実施例に限定されるものではなく、種々の応用改変が可能である。
【0034】
例えば、この発明の実施例においては、インタクーラダクトのダクト部の形状を、車両前方の入口側から車両後方に移行するに連れて横方向における寸法が漸次小となる形状、つまり扇形状に形成する際に、アッパクロスメンバへの取付部位やその他の配設部品を考慮して左右対称形状としない構成としたが、その他の形状を採用する特別構成とすることも可能である。
【0035】
すなわち、インタクーラダクトのダクト部の取付状況によっては、ダクト部の上下部位あるいは左右部位に間隙が現出されることもあり、この間隙を利用するため、インタクーラダクトのダクト部を、左右方向に広がりを有する形状とするのみでなく、上下方向にも広がりを有する形状(例えば、ラッパ形状)とすることが可能である。
【0036】
さすれば、インタクーラダクトのダクト部の入力側の開口面積を拡大することが可能となり、吸入する空気量をより一層増大させることができ、吸入効率の向上に寄与し得るものである。
【0037】
また、この発明の実施例においては、インタクーラダクトのダクト部を扇形状に形成する際に、ダクト部の上流側から下流側に向かって連続した周面部位を形成する構成としたが、ダクト部の周面部位に空気取り入れ用の開口を設ける特別構成とすることも可能である。
【0038】
すなわち、前記ダクト部の外周面、つまり上下面及び左右側面部位においては、ダクト部の取付後に間隙が現出される場合がある。
【0039】
よって、この間隙を利用して車両前方に指向する突起を前記ダクト部の周面部位に形成し、この突起によってダクト部の外周面を通過する空気の一部を前記開口に案内し、ダクト部内に取り込むものである。
【0040】
さすれば、ダクト部の外周面に現出する利用されていない間隙を利用して突起及び開口を形成し、ダクト部の周面部位を通過する空気の一部をダクト部内に取り込むことによって、より多くの空気を取り込むことが可能となり、実用上有利である。
【0041】
【発明の効果】
以上詳細に説明した如くこの本発明によれば、インタクーラダクトに空気が流入し易くなり、吸入効率を良好とし得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示すラジエータの上部にインタクーラダクトを配設した状態の平面図である。
【図2】ラジエータの上部にインタクーラダクトを配設した状態の正面図である。
【図3】ラジエータの上部にインタクーラダクトを配設した状態の右側面図である。
【図4】図2のIV−IV線による拡大断面図である。
【図5】ラジエータの平面図である。
【図6】ラジエータの正面図である。
【図7】ラジエータの底面図である。
【図8】インタクーラダクトのダクト部の正面図である。
【図9】インタクーラダクトのダクト部の平面図である。
【図10】インタクーラダクトのダクト部の背面図である。
【図11】インタクーラダクトのダクト部の右側面図である。
【図12】図9のXII−XII線による断面図である。
【符号の説明】
2 車両のインナフード
4 ラジエータ
6 エンジンルーム
8 アッパタンク
10 ロアタンク
12 フィン
14 アッパクロスメンバ
16 インタクーラ
18 インタクーラダクト
19 カバー部
20−1、20−2 ブラケット
22−1、22−2 マウント
24 ダクト部
24a 入口側
24b 出口側
26 ホース部
28 冷却水導入部
30 ラジエータキャップ
32 係合鉤部
34 係合孔部
Claims (1)
- 車両前方のメンバ下部に配置されるラジエータを設け、このラジエータはアッパタンクの上面に左右一対のマウントゴムを配設するとともに、前記マウントゴムの間に冷却水導入部を形成し、車両にインタクーラを搭載して設け、前記ラジエータのアッパタンクと前記メンバとの間にインタクーラのインタクーラダクトを設けるとともに、このインタクーラダクトの車両前方の入口側を冷却水導入部と一方のマウントゴムとの間に配設し、前記インタクーラダクトの形状を、車両前方の入口側から車両後方に移行するに連れて横方向における寸法が漸次小となる形状としたエンジンの吸気構造において、車両平面視にて、前記インタクーラダクトの入口側の一側部位を前記冷却水導入部の前方に形成されるスペースに延出して配設したことを特徴するエンジンの吸気構造。
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