JP4312529B2 - ポリカーボネート樹脂 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐摩耗特性に優れるポリカーボネート樹脂に関する。また、正電荷輸送性を有し、機械的強度が強く、耐熱性にも優れるフィルム形成能を有する高分子電荷輸送性材料として機能するポリカーボネート樹脂に関する。
特に、耐摩耗性と正電荷輸送性を求められる高寿命な電子写真感光体の電荷輸送層用材料として、または、正電荷輸送性と耐熱性が求められる高耐久な有機ELや有機TFT等の有機電子デバイス用として有用な高分子電荷輸送性材料として機能するポリカーボネート樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性が強く、可視域の光透過性も良好なため、透明エンジニアリング樹脂として様々な用途に使用されている。
例えば、有機電子写真感光体の電荷輸送層のバインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂が広く用いられている。有機電子写真感光体の代表的な構成例として、導電性基板上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した積層型感光体が挙げられる。通常、電荷輸送層は低分子電荷輸送性材料とバインダー樹脂より形成され、このバインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂が用いられている。
電荷輸送層は、有機感光体の最外層であり、ブレード、トナー、紙、ブラシ等と接触することで摩耗し、感光体の寿命を損なうため、できるだけ耐摩耗性に強いバインダー樹脂が選択され使用されている。
より耐摩耗性を向上させる狙いで、低分子電荷輸送性材料を含有させることなく、電荷輸送能と機械的強度、耐熱性を兼ね備えた高分子電荷輸送性材料の開発が行なわれてきた。
【0003】
光導電性高分子材料としては、古くはポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のビニル重合体が電荷移動錯体型の感光体として検討されたが、光感度の点で満足できるものではなかった。
一方、前述の積層型感光体の欠点を改良すべく、電荷輸送能を有する高分子材料に関する検討がなされて、トリフェニルアミン構造を有するアクリル系樹脂が(例えば、非特許文献1参照。)、ヒドラゾン構造を有するビニル重合体(例えば、非特許文献2参照。)、さらにトリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂(例えば、特許文献1〜16参照。)がそれぞれ提案されているが、未だ実用化には到っていない。
【0004】
耐摩耗性に関し、これらの電荷輸送性高分子を使用する場合は、従来の電荷輸送層にポリカーボネート樹脂単独で使用する場合に比べて劣るものが多く、低分子電荷輸送材料が添加された場合に比較すると良くなるものの、コストと機能アップの兼合いから実用性の低いものであった。
そのため、さらに改良された高分子電荷輸送材料が提案され、ポリカーボネート樹脂単独と同等の耐摩耗性を有する材料も出現している(例えば、特許文献17参照。)。
しかしながら、これらは、使用されるモノマーの合成が容易ではなく、材料コストの高いものであり、実用化の壁となっていた。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第4,801,517号明細書
【特許文献2】
米国特許第4,806,443号明細書
【特許文献3】
米国特許第4,806,444号明細書
【特許文献4】
米国特許第4,937,165号明細書
【特許文献5】
米国特許第4,959,288号明細書
【特許文献6】
米国特許第5,030,532号明細書
【特許文献7】
米国特許第5,034,296号明細書
【特許文献8】
米国特許第5,080,989号明細書
【特許文献9】
特開昭64−9964号公報
【特許文献10】
特開平3−221522号公報
【特許文献11】
特開平2−304456号公報
【特許文献12】
特開平4−11627号公報
【特許文献13】
特開平4−175337号公報
【特許文献14】
特開平4−18371号公報
【特許文献15】
特開平4−31404号公報
【特許文献16】
特開平4−133065号公報
【特許文献17】
特開2001−72756号公報
【非特許文献1】
M.Stolka et al, J.Polym. Sci., vol 21, 969(1983)
【非特許文献2】
Japan Hard Copy’89P. 67
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の実情に鑑みてなされたものであって、本発明の課題は、耐摩耗性に優れる新規ポリカーボネート樹脂、特に有機感光体用の電荷輸送性高分子材料として耐久性とコストパフォーマンスに優れた新規ポリカーボネート樹脂を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、この課題解決のために鋭意検討した結果、特定の構成単位を含有する新規ポリカーボネート樹脂が、従来の樹脂に比べて機械的に強い耐摩耗性を有し、製造時のコストも低く抑えることができることを見い出し、本発明に至った。
【0008】
即ち、上記課題は、本発明の(1)「少なくとも下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位と、下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位及び/又は下記一般式(3)で表わされる繰り返し単位とを含有し、かつ下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位の組成比をk、下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位及び/又は下記一般式(3)で表わされる繰り返し単位のR3基を有するジフェニルエーテル構造を有する全繰り返し単位の組成比をjとしたときに組成比の割合が0.1<k/(k+j)<0.7であることを特徴とするポリカーボネート樹脂;
【0009】
【化11】
(式中、R1、R2は同一又は異なるアシル基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。Ar1、Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリレン基を表わす。)
【0010】
【化12】
(式中、R3は炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。)
【0011】
【化13】
(式中、R 3 は前記定義と同一である。)
」、(2)「下記一般式(4)で表わされる繰り返し単位及び/又は下記一般式(5)で表わされる繰返し単位からなることを特徴とするポリカーボネート樹脂;
【0012】
【化14】
(式中、R1、R2は同一又は異なるアシル基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。Ar1、Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリレン基を表わし、R3は炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。)
【0013】
【化15】
(式中、R 1 、R 2 、R 3 、Ar 1 、Ar 2 、Ar 3 は前記定義と同一である。)
」、(3)「前記一般式(1)で表わされる繰り返し単位が下記一般式(6)で表わされる繰り返し単位であることを特徴とする前記第(1)項に記載のポリカーボネート樹脂;
【0014】
【化16】
(式中、R4、R5、R6、R7は水素原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Ar3は前記定義と同一であり、a、bは各々独立して0〜5の整数を表わす。)」、(4)「下記一般式(7)で表わされる繰り返し単位及び/又は下記一般式(8)で表わされる繰返し単位からなることを特徴とするポリカーボネート樹脂;
【0015】
【化17】
(式中、R 3 は炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。R 4 、R 5 、R 6 、R 7 は水素原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。Ar 3 は置換もしくは無置換のアリレン基を表わす。また、a、bは各々独立して0〜5の整数を表わす。)
【0016】
【化18】
(式中、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 7 、Ar 3 、a、bは前記定義と同一である。)
」、(5)「主に下記一般式(9)で表わされるビスフェノール化合物と下記一般式(10)で表わされるビスフェノールとをホスゲン誘導体により重縮合させることによって得られ、下記一般式(9)で表わされるビスフェノール化合物に由来する繰り返し単位の組成比をk'、下記一般式(10)で表わされるビスフェノール化合物に由来する繰り返し単位の組成比をj'としたときに組成比の割合が0.1<k'/(k'+j')<0.7であることを特徴とするポリカーボネート樹脂;
【0017】
【化19】
(式中、R8、R9、R10、R11は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
【0018】
【化20】
(式中、R12は、炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)」によって達成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂は、アミン構造を有する前記一般式(1)又は前記一般式(6)で示される繰り返し単位とジフェニルエーテル構造を有する前記一般式(2)及び一般式(3)で表わされる繰り返し単位を含有するランダム共重合ポリカーボネート樹脂、及び、アミン構造とジフェニルエーテル構造を有する前記一般式(4)及び前記一般式(5)で表わされる繰返し単位からなる交互共重合ポリカーボネート樹脂、同様に前記一般式(7)及び前記一般式(8)で表わされる繰返し単位からなる交互共重合ポリカーボネート樹脂である。
ランダム共重合体において一般式(1)又は一般式(6)で示される繰り返し単位の組成比は広い範囲で適用できるが、耐摩耗性と電荷輸送性の両立を図るためには、30モル%以上70モル%以下が好ましい。
また、一般式(2)及び一般式(3)で表わされる繰り返し単位の合計が、30モル%以上70モル%以下が好ましい。その他の繰り返し単位を共重合させる場合は40モル%以下である。
【0020】
本発明のポリカーボネート樹脂の製造法について説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂は、従来ポリカーボネート樹脂の製造法として公知のビスフェノールと炭酸誘導体との重合と同様の方法で製造できる。
すなわち、下記一般式(11)又は前記一般式(9)で表わされるアミン構造を有するジオールと、下記一般式(12)又は前記一般式(10)で表わされるジオールを使用し、ビスアリールカーボネートとのエステル交換法やホスゲン等のハロゲン化カルボニル化合物との溶液又は界面重合法あるいはジオールから誘導されるビスクロロホーメート等のクロロホーメートを用いる方法等により製造される。
ハロゲン化カルボニル化合物としては、ホスゲンの代わりに、ホスゲンの2量体であるトリクロロメチルクロロホーメートやホスゲンの3量体であるビス(トリクロロメチル)カーボネートも有用であり、塩素以外のハロゲンより誘導されるハロゲン化カルボニル化合物、例えば、臭化カルボニル、ヨウ化カルボニル、フッ化カルボニルも有用である。
これら公知の製造法については、例えばポリカーボネート樹脂ハンドブック(編者:本間精一、発行:日刊工業新聞社)等に記載されている。
【0021】
また、適当な重合操作を選択することによって、共重合体の中でもランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、ランダム交互共重合体、ランダムブロック共重合体等を得ることができる。
例えば、一般式(11)又は一般式(9)で表わされるアミン構造を有するジオールと、一般式(12)又は一般式(10)で表わされるジオールとを、はじめから均一に混合してホスゲンとの縮合反応を行なえば、一般式(1)あるいは一般式(6)で表わされる繰り返し単位と一般式(2)及び一般式(3)で表わされる繰り返し単位とからなるランダム共重合体が得られる。
また、幾種類かのジオールを反応の途中から加えることによって、ランダムブロック共重合体が得られる。
また、一般式(12)又は一般式(10)で表わされるジオールから誘導されるビスクロロホーメート体と、一般式(11)又は一般式(9)で表わされるアミン構造を有するジオールとの縮合反応を行なえば、一般式(4)又は一般式(7)で表わされる交互共重合体が得られる。
この場合、逆に一般式(11)又は一般式(9)で表わされるアミン構造を有するジオールから誘導されるビスクロロホーメートと一般式(12)又は一般式(10)で表わされるジオールとの縮合反応によっても、同様に一般式(4)又は一般式(7)で表わされる交互共重合体が得られる。
また、これらビスクロロホーメートとジオールとの縮合反応の際、ビスクロロホーメート及びジオールを複数使用することによりランダム交互共重合体が得られる。
【0022】
【化21】
(式中、R1、R2は同一又は異なるアシル基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。Ar1、Ar2、Ar3は置換もしくは無置換のアリレン基を表わす。)
【0023】
【化22】
(式中、R3は炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。)
【0024】
ハロゲン化カルボニル化合物とかクロロホーメートを用いる方法において、界面重合で行なう場合には、ジオールのアルカリ水溶液と水に対して実質的に不溶性であり、且つ、ポリカーボネートを溶解する有機溶媒との2相間で炭酸誘導体及び触媒の存在下に反応を行なう。
この際、高速撹拌や乳化物質を添加して、反応媒体を乳化させて行なうことによって、短時間で分子量分布の狭いポリカーボネートを得ることができる。
アルカリ水溶液に用いる塩基としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩等である。
これらの塩基は、単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。また、好ましい塩基は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。
使用される水は、蒸留水あるいはイオン交換水が好ましい。
また、有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素、または、それらの混合物等が用いられる。さらに、これらの有機溶媒に、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等を混合したものえお用いても良い。
有機溶媒は、好ましくは、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素であり、より好ましくは、ジクロロメタン又はクロロベンゼンである。
【0025】
ポリカーボネート製造時に使用されるポリカーボネート生成触媒としては、第三級アミン、第四級アンモニウム塩、第三級ホスフィン、第四級ホスホニウム塩、含窒素複素環化合物及びその塩、イミノエーテル及びその塩、アミド基を有する化合物等が用いられる。
ポリカーボネート生成触媒の具体例として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,4−テトラメチレンジアミン、4−ピロリジノピリジン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−エチルピペリジン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、フェニルトリエチルアンモニウムクロライド、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、テトラ(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロライド、ベンジルトリエチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、4−メチルピリジン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、3−メチルピリダジン、4,6−ジメチルピリミジン、1−シクロヘキシル−3,5−ジメチルピラゾール、2,3,5,6−テトラメチルピラジン等を挙げることができる。
これらのポリカーボネート生成触媒の中でも、好ましくは、第三級アミンであり、より好ましくは総炭素数3〜30の第三級アミンであり、特に好ましくはトリエチルアミンである。
また、これらのポリカーボネート生成触媒は、単独でも複数使用してもよい。
これらの触媒は、ホスゲンやビスクロロホーメート体等の炭酸誘導体を反応系に加える前及び/又は加えた後に添加することができる。
また、アルカリ水溶液中でのジオールの酸化を防ぐためにハイドロサルファイト等の酸化防止剤を加えても良い。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間であり、反応中のpHは通常10以上に保つことが好ましい。
【0026】
一方、溶液重合で行なう場合は、ジオールを溶媒に溶解し、脱酸剤を添加し、これにビスクロロホーメート、又はホスゲン、又はホスゲンの多量体を添加することにより得られる。
脱酸剤としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンのような第三級アミンおよびピリジンが使用される。
また、反応に使用される溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素およびテトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルの系の溶媒及びピリジンが好ましい。
反応温度は、通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間である。
【0027】
また、エステル交換法によっても製造される。この場合、不活性ガス存在下にジオールとビスアリールカーボネートを混合し、通常減圧下120〜350℃で反応させる。
ビスアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられる。
減圧度は、段階的に変化させ、最終的には1mmHg以下にして生成するフェノール類を系外に留去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
また、必要に応じて酸化防止剤を加えてもよい。
【0028】
以上すべての重合操作において分子量を調節するために、分子量調節剤として末端停止剤を用いることが望ましく、従って、本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の末端には、停止剤にもとづく置換基が結合してもよい。
使用される末端停止剤は、1価の芳香族ヒドロキシ化合物、1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体、1価のカルボン酸または1価のカルボン酸のハライド誘導体等である。
【0029】
1価の芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、フェノール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−キシレノール、p−メトキシフェノール、p−ヘキシルオキシフェノール、p−デシルオキシフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェノール、p−フェニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2,4−ジ(1′−メチル−1′−フェニルエチル)フェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、p−(2′,4′,4′−トリメチルクロマニル)フェノール、2−(4′−メトキシフェニル)−2−(4″−ヒドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類またはそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩である。1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体は、上記の1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体等を挙げることができる。
【0030】
また、1価のカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、3−メチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、4−メチル吉草酸、3,3−ジメチル吉草酸、4−メチルカプロン酸、3,5−ジメチルカプロン酸、フェノキシ酢酸等の脂肪酸類またはそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、安息香酸、p−メチル安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−ブトキシ安息香酸、p−オクチルオキシ安息香酸、p−フェニル安息香酸、p−ベンジル安息香酸、p−クロロ安息香酸等の安息香酸類またはそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
また、1価のカルボン酸のハライド誘導体は、上記の1価のカルボン酸のハライド誘導体等である。
【0031】
これらの末端封止剤は、重合操作の過程において反応開始前および反応途中に加えることによって、分子量を任意に調整することができる。
さらに、これらの末端封止剤は、末端基の保護剤としても用いることができ、重合反応終了後に加えることによって、末端基を保護し様々な機能を付加することもできる。これらの末端封止剤は単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。
末端封止剤は、好ましくは、1価の芳香族ヒドロキシ化合物であり、より好ましくはフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールまたはクロロギ酸フェニルである。
【0032】
本発明のポリカーボネート樹脂の好ましい分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で30000〜300000であり、より好ましくは100000〜250000である。
分子量が小さすぎる場合には、機械的強度が弱くなる傾向があって、成膜時にひびが入ったり実用性に乏しくなることがあり、また、分子量が大きすぎる場合には、溶液粘度が高くなり塗工が困難になることがある。
【0033】
また、機械的特性を改良するために、重合時に分岐化剤を少量加えることもできる。
使用される分岐化剤としては、芳香族性ヒドロキシ基、ハロホーメート基、カルボン酸基、カルボン酸ハライド基または活性なハロゲン原子等から選ばれる反応基を3つ以上(同種でも異種でもよい)有する化合物等がある。
分岐化剤の具体例としては、フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α,α′−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、2,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェノール、2−(4′−ヒドロキシフェニル)−2−(2″,4″−ジヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィン、1,1,4,4−テトラキス(4′−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス〔4′,4′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、α,α,α′,α′−テトラキス(4′−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジエチルベンゼン、2,2,5,5−テトラキス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1,2,3−テトラキス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4′,4″−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、3,3′,5,5′−テトラヒドロキシジフェニルエーテル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ビス(クロロカルボニルオキシ)安息香酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、4−クロロカルボニルオキシイソフタル酸、5−ヒドロキシフタル酸、5−クロロカルボニルオキシフタル酸、トリメシン酸トリクロライド、シアヌル酸クロライド等を挙げることができる。
これらの分岐化剤は、単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。
【0034】
以上のようにして得られたポリカーボネート樹脂は、重合中に使用した触媒や酸化防止剤、また、未反応のジオールや末端停止剤、また、重合中に発生した無機塩等の不純物を除去して使用される。
これら精製操作も、先のポリカーボネート樹脂ハンドブック(編者:本間精一、発行:日刊工業新聞社)等に記載されている公知の方法を使用できる。
また、上記の方法にしたがって製造された芳香族ポリカーボネート樹脂には、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤などの添加剤を加えることができる。
【0035】
本発明の説明で用いられるアシル基には、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0036】
炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基とは、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基であり、これらのアルキル基には、さらにフッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子もしくは炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基で置換されたフェニル基を含有してもよい。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。好ましくは、メチル基である。
【0037】
炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基とは、上記した炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基を有するアルコキシ基を表わし、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
【0038】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0039】
置換もしくは無置換のアリール基とは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテニリデンフェニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基、ピリジニル基、ピロリジル基、オキサゾリル基等が挙げられ、これらは上記した置換もしくは無置換のアルキル基、上記した置換もしくは無置換のアルキル基を有するアルコキシ基、及びハロゲン原子を置換基として有していても良い。
【0040】
本発明中の置換もしくは無置換のアリレン基としては、先に定義された置換もしくは無置換のアリール基から誘導される2価基を挙げることができる。
【0041】
また、第三成分として使用されるジオールとしては、次のものを挙げることができる。
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジメチルプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホキシド、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、3,3,3’,3’−テトラメチル−6,6’−ジヒドロキシスピロ(ビス)インダン、3,3’,4,4’−テトラヒドロ−4,4,4’,4’−テトラメチル−2,2’−スピロビ(2H−1−ベンゾピラン)−7,7’−ジオール、トランス−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)キサンテン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−キシレン、2,6−ジヒドロキシベンゾ−p−ジオキサン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチイン、9,10−ジメチル−2,7−ジヒドロキシフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、
3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシピレン、ハイドロキノン、ノゾルシン、4−ヒドロキシフェニル−4−ヒドロキシベンゾエート、エチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、ジエチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、トリエチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、
p−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、1,6−ビス(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキサン、1,4−ビス(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−1H,1H,4H,4H−パーフルオロブタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラメチルジシロキサン、フェノール変性シリコーンオイル等が挙げられる。
また、ジオール2モルとイソフタロイルクロライド又はテレフタロイルクロライド1モルとの反応により製造されるエステル結合を含む芳香族ジオール化合物。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
ビスフェノールモノマーの合成
(3−メチル−4−メトキシフェニル)−4−メトキシフェニルエーテルの合成5−ブロモ−2−メトキシトルエン201.1g、4−メトキシフェノール250g、銅紛31.8g、炭酸カリウム333.4g、オルトキシレン200mlを反応容器に入れ、窒素気流下、185℃〜202℃で3時間撹拌反応させた。
冷却後、固形物をトルエン200mlと酢酸エチル500mlとの混合溶媒で加熱溶解させ、セライトによりろ過し、ろ液を活性白土で吸着処理した後、食塩水で2回洗浄した。得られた溶液を濃縮し、トルエンとヘキサンの混合溶媒によりシリカゲルでカラム精製した。
無色のオイル状物として(3−メチル−4−メトキシフェニル)−4−メトキシフェニルエーテル210.5gを得た。
収率は、86.2%であった。
【0043】
(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルエーテルの合成
(3−メチル−4−メトキシフェニル)−4−メトキシフェニルエーテル207.8g、塩化メチレン1650mlを反応器に入れ、窒素気流下、−17℃まで冷却撹拌した。
その後、1M三臭化ホウ素塩化メチレン溶液を1790ml滴下し、0℃で3時間反応させた。その後、水500mlを加え、酢酸エチル1500mlで抽出した。抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液及び水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて脱水処理した。
その後、ろ過、濃縮し、トルエンと酢酸エチル混合溶媒によりシリカゲルでカラム精製した。その後、トルエンとシクロヘキサン混合溶媒により再結晶して無色結晶状態で(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルエーテル134.4gを得た。
収率は、73.1%、融点115.9〜116.8℃であった。
【0044】
ポリカーボネート樹脂の合成
実施例1
アミン構造を有するジオールとしてのN−{4−[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ビニル]フェニル}−N,N−ビス(4−トリル)アミン4.30部とジフェニルエーテル構造を有する共重合ジオールとしての(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルエーテル3.1部と分子量調節剤としての4−tert−ブチルフェノール0.045部を容器に入れ、窒素気流下で水酸化ナトリウム7.0部とナトリウムハイドロサルファイト0.28部を水91部に溶解させた液を加えて、撹拌して溶解させ、8℃に冷却させた。
一方、反応容器にホスゲンの3量体であるビス(トリクロロメチル)カーボネート4.82部とジクロロメタン72.5部を入れて撹拌溶解させ、8℃まで冷却させた。その後、モノマーのアルカリ溶液をホスゲン溶液中に加え、強く撹拌しながらエマルジョンを形成させつつ反応させた。
15分撹拌した後、触媒としてトリエチルアミン0.012部を加えて、28℃で150分撹拌反応させた。
反応終了後、有機層を取出し、ジクロロメタンで希釈し、水、2%の塩酸水溶液の順で洗浄し、最後に水で洗浄後の水層の電導度が1μS以下になるまで洗浄した。得られた有機層をイソプロピルアルコール中に滴下して黄色のポリカーボネート樹脂を得た。ろ過、乾燥後の収量は、7.9部であり、収率98.5%であった。
得られたポリカーボネート樹脂No.1の構造を下記に記す。構造式中の構成単位の添字は全構成単位の個数を1としたときの各構成単位の組成比を表わす。このポリカーボネート樹脂の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところポリスチレン換算の分子量は、数平均分子量で81000、重量平均分子量で197800であった。
また、示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は158℃であった。
また元素分析の結果は以下のとおりであり、構造式から計算される値と一致した。
【0045】
【化23】
樹脂No.1
【0046】
【表1】
【0047】
実施例2〜4
モノマーの仕込み量を変える以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂No.2〜4を得た。
結果を下記に示す。
【0048】
【化24】
樹脂No.2
重量平均分子量:140200
ガラス転移温度:174℃
【0049】
【化25】
樹脂No.3
重量平均分子量:137800
ガラス転移温度:141℃
【0050】
【化26】
樹脂No.4
重量平均分子量:138100
ガラス転移温度:128℃
【0051】
実施例5
実施例1において、(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルエーテルの20モル%分を1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンに代えた以外は、同様にして樹脂No.5を得た。
【0052】
【化27】
樹脂No.5
重量平均分子量:185300
ガラス転移温度:163℃
【0053】
実施例6
かき混ぜ機、温度計、シリカゲル管、滴下ロートを取り付けた反応器にアミン構造を有するジオールとしてのN−{4−[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ビニル]フェニル}−N,N−ビス(4−トリル)アミン2.69部、脱水ピリジン20部そして脱水ジクロロメタン27部を入れ、窒素ガス気流下で撹拌して溶解させた。
水浴で内温を20℃に保って、強く撹拌しながら予めホスゲン誘導体でクロロホーメート化した(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルエーテルのビスクロロホーメート1.90部を脱水ジクロロメタン13部に溶解させた液を20分で滴下し、滴下後室温で1.5時間反応を行なった。
撹拌停止後、反応液を5%の塩酸水溶液で洗浄し、ついでイオン交換水で洗浄した。
得られた溶液を1000部のメタノール中に滴下して黄色のポリカーボネート樹脂を析出させ、乾燥して、下記構造のポリカーボネート樹脂を得た。
【0054】
【化28】
樹脂No.6
重量平均分子量:109300
ガラス転移温度:164℃
【0055】
比較例
実施例2と同様にして参考の樹脂No.7〜8を得た。
【0056】
【化29】
樹脂No.7
重量平均分子量:139200
ガラス転移温度:183℃
【0057】
【化30】
樹脂No.8
重量平均分子量:136700
ガラス転移温度:111℃
【0058】
耐摩耗性評価
得られたポリカーボネート樹脂及び比較のポリカーボネート樹脂をジクロロメタン溶液とし、厚さ1mmのアルミニウム板の上に厚さ15μmになるように塗布・乾燥させ、テーバー摩耗試験機の試験片を作製した。
引掻き摩耗試験として摩耗輪CS−10を使用し、荷重250gで1500回転させた時の摩耗量を重量測定により求めた。
また、疲労摩耗試験として摩耗輪CS−5を使用し、荷重1Kgで3000回転させた時の摩耗量を重量測定により求めた。これらの結果を、表2に示す。
【0059】
【化31】
比較樹脂No.1
Mw:187700
【0060】
【化32】
比較樹脂No.2
Mw:153700
【0061】
【化33】
比較樹脂No.3
Mw:126000
【0062】
【化34】
比較樹脂No.4
Mw:179200
【0063】
【化35】
比較樹脂No.5
Mw:163900
【0064】
【化36】
比較樹脂No.6
Mw:180800
【0065】
【化37】
比較樹脂No.7
Mw:151500
【0066】
【化38】
比較樹脂No.8
Mw184200
【0067】
【表2】
【0068】
以上のように本発明の樹脂は、非常に良好な耐摩耗性を有している。
特に、一般式(2)で示される繰り返し単位及び/又は一般式(3)で示される繰り返し単位のR 3 基を有するジフェニルエーテル構造を有する全繰り返し単位が組成比で0.354以上の場合は、従来公知のポリカーボネート樹脂と同等以上の特性を示し、組成比0.5以上では、明らかに優れた耐摩耗性を示す。
【0069】
移動度測定結果
半透明Al電極を蒸着したPETフィルム上に、10〜13μmのポリカーボネート樹脂フィルムをブレード塗布(固形分10〜15wt%のMDC溶液)により設け、その上部に半透明(約250Å)のAu電極を真空蒸着した。それぞれ下部Al電極、上部Au電極よりCuリード線を引き出し移動度測定用セルを作製した。
測定は、光源としてN2パルスレーザーJS−1000L(337.1nm、10ns NDC製)、電源としてDC Power Supply 6516A(HP製)、アンプとしてHigh Gain Amplifier DA−2B(岩通製)、波形記憶装置としてDigital Memory DM703(岩通製)、解析処理装置として9816S(YHP製)を使用し、TOF法にて測定した。パルス光照射はサンプルのAu電極側から行ない、発生した光電流を抵抗により電圧変換し、得られた過渡光電流波形をLog−Logプロットにより解析しホール走行時間(tτ)、ホール移動度(μh=d2/Vtτ)を算出した。測定環境は室温(23゜C)にて行なった。
電界の平方根√Eが400(V/cm)1/2でのホール移動度を表3に記す。
【0070】
【表3】
【0071】
以上のように本発明のポリカーボネート樹脂は、ホール移動性を有する。
ホール移動性は、一般式(1)で表わされる繰り返し単位の組成比が多いほど良好となる。該繰り返し単位の組成比が0.06では実用的なホール移動性は得られないが、組成比0.197以上ではホール輸送性が観測される。
【0072】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明より明らかなように、本発明のポリカーボネート樹脂は、従来のポリカーボネート樹脂単独に比べて同等の耐摩耗性を有しており、特に、電荷輸送性高分子の中では、最も耐摩耗性に優れ、且つ、使用されるビスフェノール体の合成が安価で容易なため、コストパフォーマンスにも優れた材料である。
Claims (5)
- 少なくとも下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位と、下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位及び/又は下記一般式(3)で表わされる繰り返し単位とを含有し、かつ下記一般式(1)で表わされる繰り返し単位の組成比をk、下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位及び/又は下記一般式(3)で表わされる繰り返し単位のR3基を有するジフェニルエーテル構造を有する全繰り返し単位の組成比をjとしたときに組成比の割合が0.1<k/(k+j)<0.7であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
- 下記一般式(7)で表わされる繰り返し単位及び/又は下記一般式(8)で表わされる繰返し単位からなることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
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