JP4311954B2 - 情報読み取り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記憶媒体に記憶された情報を読み取る情報読み取り装置に関し、特に、読み取った情報を消去する機能と、読み取った情報のうち正常でない情報を記憶して残す機能とを備えたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
情報記憶媒体から情報を読み取る情報読み取り装置として、例えば磁気カードやICカードのような媒体から情報を読み取るカードリーダがある。カードリーダは、利用者によってカードが挿入されると、挿入されたカードを本体内部に取り込んで当該カードから情報を読み取る。そして、読み取った情報を記憶手段であるRAM等のメモリに記憶した後、その情報をメモリから読み出して上位装置に送信する。読み取り情報を受信した上位装置は、その情報に基づいて所定の処理を行い、処理が完了すると、カードリーダに処理の完了を通知する。この通知を受信したカードリーダは、カードを本体内部から排出して返却し、カードに対する処理を終了する。カードリーダのメモリに記憶された読み取り情報は、次に挿入されたカードから情報が読み取られると、次のカードの読み取り情報に更新される。つまり、前のカードから読み取った情報は、次のカードから読み取った情報に更新されるまで、メモリに記憶されたままとなっている。
【0003】
しかし、上記のように読み取り情報がメモリに記憶されたままになっていると、カードを返却した後に、悪意を持った第三者がカードリーダを無理矢理開けてメモリから情報を盗み取るというように、読み取り情報が第三者に漏洩してしまうおそれがある。読み取り情報が第三者に漏洩してしまった場合、その情報からカードが偽造されて悪用されることがあるので、読み取り情報の漏洩を防止するための対策が必要となる。
【0004】
なお、下記の特許文献1には、外部記憶媒体から情報を読み出してメモリに記憶し、このメモリ内の情報をICカードに書き込んでICカードの発行が終了した後、つまりICカードを排出した後に、メモリから情報を消去することで、情報のセキュリティを確保するICカード発行装置が記載されている。また、下記の特許文献2には、主記憶部に個人データファイルを記憶し、補助記憶部に鍵データを記憶していて、それらを各記憶部から読み出して命令データを作成し、作成した命令データをICカードに書き込んだ後に、鍵データの先頭のレコードを削除してICカードを排出することで、データの重複書き込みを防止するICカード発行装置が記載されている。
【0005】
ところで、カードリーダでは、カードからの情報読み取り時に、読み取った情報が正常でない状態、すなわち読み取りエラーが生じることがある。例えば、磁気カードから情報を読み取るカードリーダの場合は、磁気ヘッドによって磁気カードの磁気ストライプ上の磁力の変化を検出し、それを数種類の形式のデータに変換した後、最終的に文字データであるキャラクタデータに変換するが、その際、磁気ヘッドによって検出した磁気レベルが低くてデータ変換できないことや、キャラクタデータに変換しても正しいフォーマットになっていないことや、キャラクタデータ自体が存在していないこと等のような読み取りエラーが生じる。このような読み取りエラーの原因としては、例えば、磁気カードの搬送が適切に行われなかったことや、磁気カードの反り等の変形により磁気ヘッドが安定に接触できなかったことや、磁気ストライプの磁力が弱くなっていることや、磁気ストライプ上にごみや傷が付いていることや、磁気ヘッドが汚れていること等がある。
【0006】
上記のような読み取りエラーの原因は、エラー発生時の読み取り情報を解析することで追求することができ、それによってカードリーダの読み取り性能を向上させることができる。しかし、前述したように読み取り情報は一旦メモリに記憶されるが、次のカードから情報が読み取られると、次のカードの読み取り情報に更新されるので、エラー発生時の読み取り情報を残しておくことができない。このため、エラー発生時の読み取り情報を解析してエラーの原因を追求することはできず、カードリーダの読み取り性能を向上させることもできない。
【0007】
なお、下記の特許文献3、4には、バーコードからコードを読み取る際に、読み取りエラーが発生すると、その時の読み取りコードを内部に備えた記憶部に登録して、エラーの対策に活用する読み取り装置が記載されている。また、下記の特許文献5には、磁気カードから情報を読み取る際に、読み取りエラーが発生すると、カードから情報が正常に読み取れるまで、情報を読み取るための読み取り条件を変更して読み取りのリトライを行い、情報が正常に読み取れると、その時の読み取り条件を次の読み取りに活用するためにRAMに記憶するカード処理装置が記載されている。しかしながら、これらの各文献においては、前述した読み取り情報の漏洩に対する対策について全く考慮がされていない。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−291064号公報
【特許文献2】
特開2001−338267号公報
【特許文献3】
特開平10−285153号公報
【特許文献4】
特開2003−8788号公報
【特許文献5】
特開2003−8788号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のカードリーダでは、カードから読み取った読み取り情報がメモリに記憶されたままになっているので、第三者に漏洩してしまうおそれがある。また一方で、読み取り情報が一旦メモリに記憶された後、次のカードから情報を読み取ったときに次のカードの読み取り情報に更新されるので、読み取りエラー発生時の読み取り情報を、エラーの原因追求やカードリーダの読み取り性能の向上に活用するために残しておこうとしても、残しておくことができない。
【0010】
本発明は、上記問題点を同時に解決するものであって、その課題とするところは、情報記憶媒体から読み取った読み取り情報が漏洩するのを防止することができるとともに、読み取りエラー発生時の読み取り情報を残しておくことができる情報読み取り装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る情報読み取り装置は、情報記憶媒体から情報を読み取る読み取り手段と、読み取り手段が読み取った読み取り情報を記憶する第1の記憶手段と、第1の記憶手段に記憶された読み取り情報が正常であるか否かを判定する判定手段と、第1の記憶手段に記憶された読み取り情報を転送する転送手段と、転送手段によって転送されて来る読み取り情報を記憶して蓄積する第2の記憶手段と、第1の記憶手段に記憶された読み取り情報を上位装置に送信するために上位装置と通信する通信手段と、第1の記憶手段に記憶された読み取り情報を消去する消去手段とを設けている。そして、判定手段によって読み取り情報が正常であると判定された場合は、転送手段による読み取り情報の転送を行うことなく、通信手段が上位装置との通信を終了した後に、消去手段が第1の記憶手段に記憶された読み取り情報を消去する。また、判定手段によって読み取り情報が正常でないと判定された場合は、転送手段が第1の記憶手段に記憶された読み取り情報を第2の記憶手段に転送し、その後、通信手段が上位装置との通信を終了すると、消去手段が第1の記憶手段に記憶された読み取り情報を消去する。
【0012】
上記のように、情報記憶媒体から読み取って第1の記憶手段に記憶させた読み取り情報を上位装置との通信が終了したときに消去すると、読み取り情報が第1の記憶手段に記憶されたままにならなくなるので、その情報が第三者に漏洩するのを防止することができる。また、第1の記憶手段に記憶させた読み取り情報が正常でないと判定された場合、つまり読み取りエラーが発生した場合に、読み取り情報を第1の記憶手段から第2の記憶手段に転送して記憶させると、読み取りエラー発生時の読み取り情報を第2の記憶手段に蓄積させて残しておくことができる。この結果、後で読み取りエラー発生時の読み取り情報を第2の記憶手段から読み出して解析することができ、エラーの原因を追求して、装置の読み取り性能を向上させることが可能となる。なお、正常でないと判定された読み取り情報は、異常のある情報であって、情報記憶媒体に記憶されていた情報を完全に再現するようなものではないので、第2の記憶手段に記憶した後に第三者に漏洩しても悪用される可能性は低い。
【0013】
また、本発明においては、上記構成に加え、判定手段によって読み取り情報が正常でないと判定されると、読み取り手段が情報記憶媒体から情報を読み取るための読み取り条件を変更する条件変更手段を設ける。この場合、条件変更手段によって読み取り条件が変更されると、読み取り手段は、変更された読み取り条件で情報記憶媒体から情報を再度読み取り、読み取り手段によって再度読み取られた読み取り情報が第1の記憶手段に記憶されて、判定手段によって正常でないと判定されると、転送手段は、第1の記憶手段に記憶された読み取り情報と、変更手段によって変更された読み取り条件とを転送し、第2の記憶手段に記憶させる。
【0014】
このように、第1の記憶手段に記憶した読み取り情報が正常でないと判定された場合に、読み取り条件を変更して情報記憶媒体から情報を再度読み取ると、再度読み取った読み取り情報が正常であると判定されることがあるので、読み取りエラーの発生を減少させることができる。また、再度読み取って第1の記憶手段に記憶した読み取り情報が正常でないと判定された場合に、その読み取り情報と変更された読み取り条件とを第2の記憶手段に転送して記憶させると、読み取りエラー発生時の読み取り情報と読み取り条件とを第2の記憶手段に蓄積させて残しておくことができる。この結果、後で読み取りエラー発生時の読み取り情報とともに読み取り条件を第2の記憶手段から読み出して解析することができ、エラーの原因を詳細に追求して、装置の読み取り性能を一層向上させることが可能となる。
【0015】
また、本発明においては、転送手段は、判定手段によって読み取り情報が正常でないと判定された場合に、正常でないと判定された理由を示す異常理由情報を転送し、第2の記憶手段に記憶させる。
【0016】
このように異常理由情報を第2の記憶手段に転送して記憶させると、読み取りエラー発生時の読み取り情報とともに異常理由情報を第2の記憶手段に蓄積させて残しておくことができる。この結果、後で読み取りエラー発生時の読み取り情報を第2の記憶手段から読み出して解析するときに、異常理由情報によって読み取りエラーの原因を容易に追求することができる。
【0017】
また、本発明においては、読み取り手段は、情報を磁気記録した磁気カードの磁力の変化を検出し、それを電圧の変化に変えて出力する磁気ヘッドからなる。そして、その磁気ヘッドが出力した電圧の変化を電圧波形データに変換し、電圧波形データをパルス波形のデータであるジッタデータに変換し、ジッタデータを「0」と「1」の論理データであるビットデータに変換し、ビットデータを文字データであるキャラクタデータに変換する変換手段を設ける。この場合、第1の記憶手段は、電圧波形データとジッタデータとビットデータとキャラクタデータとをそれぞれ記憶し、判定手段は、変換手段によるデータの変換が正常に行われたか否かの結果に基づいて、第1の記憶手段に記憶されたデータが正常であるか否かを判定し、転送手段は、判定手段によってデータが正常でないと判定された場合に、第1の記憶手段に記憶されたデータのうち、少なくとも電圧波形データを転送して、第2の記憶手段に記憶させる。
【0018】
データの変換が正常に行われなかったため、第1の記憶手段に記憶されたデータが正常でないと判定されると、第1の記憶手段にはジッタデータやビットデータやキャラクタデータは記憶されないことがあるが、少なくとも電圧波形データは記憶される。このような場合、上記のように少なくとも電圧波形データを第1の記憶手段から第2の記憶手段に転送して記憶させると、読み取りエラー発生時の電圧波形データを第2の記憶手段に確実に蓄積させて残しておくことができる。この結果、読み取りエラー発生時の電圧波形データ以外のデータを第2の記憶手段に残しておかなくても、電圧波形データを第2の記憶手段から読み出してジッタデータ、ビットデータ、キャラクタデータへと順番に変換して解析することができるので、エラーの原因を追求して、装置の読み取り性能を向上することが可能となる。
【0019】
さらに、本発明においては、転送手段は、判定手段によってデータが正常でないと判定された場合に、第1の記憶手段に記憶されたデータのうち、少なくとも電圧波形データを転送することに代えて、ジッタデータを転送し、第2の記憶手段に記憶させる。
【0020】
このように、電圧波形データに代えてジッタデータを第1の記憶手段から第2の記憶手段に転送して記憶させると、読み取りエラー発生時のジッタデータを第2の記憶手段に蓄積させて残しておくことができる。この結果、読み取りエラー発生時のジッタデータ以外のデータを第2の記憶手段に残しておかなくても、ジッタデータを第2の記憶手段から読み出してビットデータ、キャラクタデータへと順番に変換して解析することができるので、エラーの原因を追求して、装置の読み取り性能を向上することが可能となる。また、ジッタデータは電圧波形データよりもデータ容量が非常に小さいので、第2の記憶手段へのデータ転送にかかる時間を短縮することができるとともに、第2の記憶手段の記憶容量を小さくすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、磁気カードリーダの概略構造を示す図である。図1において、10は磁気カードリーダであって、例えば自動現金取引処理装置のような上位装置30(図2に図示)に接続されている。1は磁気カードリーダ10の本体、1aは本体1の内部空間(以下、本体内部と記す)である。2は磁気カードであって、磁気ストライプ(図示省略)に所定の情報が磁気記録されている。2aは磁気カード2の先端部、2bは後端部である。3は磁気カード2が挿入される挿入口である。4はモータ15(図2に図示)によって回転する上下1対のローラであって、モータ15が正転駆動すると磁気カード2を往路方向Fへ搬送し、モータ15が逆転駆動すると磁気カード2を復路方向Bへ搬送する。5は搬送される磁気カード2と接するように配置された磁気ヘッドであって、磁気カード2に磁気記録された情報を読み取る。詳しくは、磁気ヘッド5は、内蔵するコアとコイルによって磁気カード2の磁気ストライプの磁力の変化を検出してそれを電圧の変化に変え、その電圧の変化を内蔵するアンプによって増幅してCPU6(図2に図示)へ出力する。この磁気ヘッド5による磁気情報の読み取りは、磁気カード2が往路方向Fへ搬送されているときと復路方向Bへ搬送されているときの両方で行われる。
【0022】
11〜13は搬送される磁気カード2を検知するセンサであって、フォトマイクロセンサから構成される。これらのセンサ11〜13は磁気カード2を検知していないときはOFF状態であるが、磁気カード2を検知するとON状態になる。以下、11は第1センサ、12は第2センサ、13は第3センサと記す。磁気カード2が本体内部1aに取り込まれて往路方向Fへ搬送されているときに、第2センサ12が磁気カード2の先端部2aを検知してON状態になると、磁気ヘッド5による磁気カード2からの磁気情報の読み取りが開始され、第3センサ13が磁気カード2の先端部2aを検知してON状態になると、磁気ヘッド5による磁気情報の読み取りが停止される。そしてこの後、磁気カード2が復路方向Bへ搬送されて、第2センサ12が磁気カード2の後端部2bを検知してON状態になると、磁気ヘッド5による磁気情報の読み取りが開始され、第1センサ11が磁気カード2の後端部2bを検知してON状態になると、磁気ヘッド5による磁気情報の読み取りが停止される。以上において、磁気カードリーダ10は、本発明における情報読み取り装置を構成し、磁気カード2は、本発明における情報記憶媒体を構成し、磁気ヘッド5は、本発明における読み取り手段を構成する。
【0023】
図2は、磁気カードリーダ10の電気的構成を示すブロック図である。図2において、6は磁気カードリーダ10の各部を制御するCPUである。CPU6は、前述の磁気ヘッド5によって磁気カード2から読み取った磁気情報、つまり磁気ヘッド5から出力されて来る電圧の変化を、後述するように電圧波形データから、ジッタデータ、ビットデータ、キャラクタデータへと順番に変換して行く。また、CPU6は、後述するように上記のデータの変換が正常に行えたか否かを確認し、その結果に基づいて読み取りデータが正常であるか否かを判定する。なお、読み取りデータとは、磁気カード2から読み取った磁気情報を変換した電圧波形データと、ジッタデータと、ビットデータと、キャラクタデータのことである。CPU6は、読み取りデータが正常でないと判定すると、磁気ヘッド5によって磁気カード2から磁気情報を読み取るための読み取り条件を変更する。なお、読み取り条件とは、磁気ヘッド5のコイルに印加する電圧や、磁気ヘッド5のアンプのゲイン値や、磁気カード2の搬送方向や、磁気カード2の搬送速度や、後述する磁気ヘッド5から出力されて来る信号(電圧の変化)をサンプリングする間隔や、サンプリングして得たデータを変換するためのしきい値等のことである。
【0024】
7はCPU6の動作プログラム等を記憶したROMである。8はCPU6が各部を制御する制御データを読み書き可能に記憶するRAMであって、後述するように読み取りデータを記憶するための読み取りデータ領域Ra(図3に図示)が設けられている。CPU6は、このRAM8の記憶領域Raに対して読み取りデータを記憶し、その後、記憶した読み取りデータを消去する。9は不揮発性のメモリであるEEPROMであって、後述するようにRAM8から転送されて来る読み取りデータを記憶して蓄積するためのエラー履歴記憶領域Ea(図4に図示)が設けられている。CPU6は、このEEPROM9の記憶領域Eaに対してRAM8に記憶した読み取りデータを転送する。
【0025】
10は読み取り制御部であって、磁気ヘッド5のコイルに印加する電圧や、磁気ヘッド5のアンプのゲイン値等を調整する。CPU6は、この読み取り制御部10によって磁気ヘッド5を制御する。14はモータ制御部であって、モータ15の回転方向や回転速度を制御する。CPU6は、このモータ制御部14によってモータ15を正転駆動または逆転駆動し、前述のローラ4を回転させて磁気カード2を任意の速度で往路方向Fまたは復路方向Bへ搬送させる。16はカード位置検出部であって、前述のセンサ11〜13の切り替り信号によって磁気カード2の位置を検出する。また、カード位置検出部16は、挿入検知センサ17のOFF状態からON状態への切り替り信号によって磁気カード2が挿入口3から挿入されて来たことを検出する。このように挿入検知センサ17が切り替ると、CPU6はモータ15を正転駆動し、ローラ4の回転によって磁気カード2を往路方向Fへ搬送して本体内部1aに取り込む。20は上位装置30と相互に通信を行うためのインターフェースからなる通信部である。CPU6は、この通信部20によって上位装置30にキャラクタデータ等を送信する。
【0026】
以上の構成において、CPU6は、本発明における変換手段と、判定手段と、条件変更手段と、転送手段と、消去手段とを構成する。RAM8は、本発明における第1の記憶手段を構成し、EEPROM9は、本発明における第2の記憶手段を構成する。通信部20は、本発明における通信手段を構成する。
【0027】
図3は、RAM8の記憶領域の一部を示す図である。図3において、Raは読み取りデータ記憶領域であって、CPU6によって読み取りデータ等が記憶される。R1は電圧波形データを記憶するための領域、R2はジッタデータを記憶するための領域、R3はビットデータを記憶するための領域、R4はキャラクタデータを記憶するための領域である。R5はエラーコードおよび読み取り条件を記憶するための領域である。なお、エラーコードとは、CPU6によって読み取りデータが正常でないと判定されたときの理由を示すコードであって、本発明における異常理由情報を表す。このエラーコードの詳細については後述する。
【0028】
図4は、EEPROM9の記憶領域の一部を示す図である。図4において、Eaはエラー履歴記憶領域であって、RAM8に記憶されていた読み取りデータ等がCPU6によって転送されて来て記憶される。なお、この記憶領域Eaに記憶された読み取りデータ等はCPU6によって消去されることはなく、エラーの履歴として蓄積される。E1はRAM8から転送されて来る読み取りデータを個別に記憶するための領域、E2はRAM8から転送されて来るエラーコードおよび読み取り条件を記憶するための領域である。これらの領域E1、E2は、CPU6によってRAM8から転送されて来る読み取りデータ毎に設けられ、1つのレコードを構成する。レコードは、図4ではレコード1〜3まで図示しているが、これ以外にも複数あって上から下へ行く程新しくなっている。
【0029】
図5は、読み取りデータを説明するための図である。前述の磁気ヘッド5からCPU6に出力されて来る信号は、図5(a)に示すように、磁気カード2の磁力の変化に応じた電圧の変化を表すアナログの信号である。図5(a)では磁気ヘッド5の出力電圧波形を横軸に時間tをとり縦軸に電圧値Vをとって示している。CPU6はこのアナログの信号を所定の間隔でサンプリングして、(b)のようなデジタルの電圧波形データに変換する。電圧波形データに変換すると、CPU6は、このデータのピーク値(+V側および−V側)を上下のしきい値UV、LVに基づいて検出し、検出したピーク値同士の間隔に応じて、(c)に示すようにパルス波形のデータであるジッタデータに変換する。ジッタデータに変換すると、このデータの各パルスの立ち上がりと立ち下りの間隔に応じて、規定の範囲内の狭い間隔は「1」、広い間隔は「0」というように判断して、(d)に示すように「0」と「1」の論理データであるビットデータに変換する。そして最終的に、ビットデータを所定のフォーマットに従って読み取り、(e)に示すように文字データであるキャラクタデータに変換する。上記のように変換した各データは、変換する毎にCPU6によって、図3に示したRAM8の読み取りデータ記憶領域Ra内の領域R1〜R4にそれぞれ記憶される。
【0030】
なお、磁気ヘッド5から出力されて来る電圧の変化が小さい等の原因によって、電圧波形データが上下のしきい値UV、LVを越えず、ピーク値を検出できないことがある。この場合、電圧波形データをジッタデータに変換することはできず、ビットデータやキャラクタデータに変換することもできなくなるので、電圧波形データのみがCPU6によってRAM8の領域R1に記憶される。また、ジッタデータのパルスの立ち上がりと立ち下がりの間隔が規定の範囲内にないということもある。この場合、ジッタデータをビットデータに変換することはできず、キャラクタデータに変換することもできなくなるので、電圧波形データとジッタデータとがCPU6によってRAM8の領域R1と領域R2にそれぞれ記憶される。なお、電圧波形データをキャラクタデータまで変換できない場合としては、上述した2つの場合以外にも複数あるが、どのような場合も変換できたデータはCPU6によってRAM8の領域R1〜R4に記憶される。
【0031】
図6は、ビットデータから変換されたキャラクタデータを説明するための図である。なお、(a)、(b)は正常なキャラクタデータを示し、(c)〜(h)は正常でないキャラクタデータ、つまりエラーのキャラクタデータを示している。(a)、(b)において、SS(Start Sentinel)は先頭の制御コード、ES(End Sentinel)は末尾の制御コードであって、これらは全て「1」の5ビットのビットデータからなる。CD1〜CD#は1つ1つのキャラクタデータであって、最大数は104と規定されている。各キャラクタデータCD1〜CD#は、英数字等の文字を表す5ビットのビットデータと、キャラクタデータCD1〜CD#毎のパリティ(Parity)であるVRC(Vertical Redundancy Check)を表す1ビットのビットデータとからなる。なお、VRCは文字を表す5ビットのビットデータの「1」の数が偶数であれば「1」、奇数であれば「0」と規定されている。LRC(Longitudinal Redundancy Check)はデータ全体のパリティであって、全てのビットデータの「1」の数が偶数であれば「1」、奇数であれば「0」と規定されている。
【0032】
CPU6は、後述するように電圧波形データからキャラクタデータまでのデータの変換が正常に行えたか否かを確認するが、この確認は以下のような複数の項目に基づいて行う。例えば、ビットデータを所定のフォーマットに従って変換したデータに、制御コードSS、ESが存在するか否かという項目がある。(c)に示すようにデータの先頭に全て「1」の5ビットのビットデータがなくて制御コードSSが存在しなかったり、(d)に示すようにLRCの直前に全て「1」の5ビットのビットデータがなくて制御コードESが存在しなければ、CPU6は、データの変換が正常に行われていないと認識する。そして、それぞれの項目に対応するエラーコード「EC1」、「EC2」を前述のRAM8の読み取りデータ記憶領域Ra内の領域R5に記憶する。また、キャラクタデータ自体が存在しているか否かという項目もあり、(e)に示すように2つの制御コードSS、ESの間にキャラクタデータが存在しなければ、CPU6は、データの変換が正常に行われていないと認識し、その項目に対応するエラーコード「EC3」をRAM8の領域R5に記憶する。さらに、キャラクタデータCD1〜CD#毎のパリティVRCが正しいか否かという項目や、データ全体のパリティLRCが正しいか否かという項目や、キャラクタデータの数が104以下か否かという項目もあり、(f)に示すようにVRCが正しくなかったり、(g)に示すようにLRCが正しくなかったり、(h)に示すようにキャラクタデータの数が105以上であれば、CPU6は、データの変換が正常に行われていないと認識し、それぞれの項目に対応するエラーコード「EC4」、「EC5」、「EC6」をRAM8の領域R5に記憶する。
【0033】
上述した以外にも複数の確認項目には、ビットデータを所定のフォーマットに従って変換したデータを直接確認せずに、電圧波形データのピーク値を検出できたか否かという項目や、ジッタデータのパルスの立ち上がりと立ち下がりの間隔が規定の範囲内にあるか否かという項目等もある。そのような項目を満足しない場合も、CPU6はデータの変換が正常に行われていないと認識し、それぞれに対応するエラーコードをRAM8の領域R5に記憶する。なお、複数の確認項目と、それぞれの項目に対応するエラーコードとは、予めRAM8の所定の領域に記憶されている。
【0034】
図7〜図12は、磁気カードリーダ10の動作手順を示すフローチャートであって、CPU6が実行する処理を示している。なお、図7は全体のフローチャートであって、図8〜図12は図7におけるステップS1、S2、S5、S6、S8、S11の詳細を示すフローチャートである。
【0035】
図7において、磁気カードリーダ10に磁気カード2が挿入されると、CPU6は、磁気カード2を本体内部1aへ取り込むとともに、磁気カード2から磁気情報を読み取る(ステップS1)。この処理の詳細を図8に示す。図8において、挿入口3から磁気カード2が挿入されると、挿入検知センサ17がON状態になるので(ステップS21:YES)、この切り替り信号を受けてCPU6はモータ15を正転駆動する(ステップS22)。これにより、磁気カード2が本体内部1aに取り込まれて往路方向Fへ搬送されて行く。この後、第2センサ12が磁気カード2の先端部2aを検知してON状態になると(ステップS23:YES)、磁気ヘッド5による磁気カード2からの磁気情報の読み取りを開始する(ステップS24)。このとき、磁気ヘッド5は磁気カード2の磁力の変化を検出し、それを電圧の変化に変えてCPU6へ出力する。そして、第3センサ13が磁気カード2の先端部2aを検知してON状態になると(ステップS25:YES)、磁気ヘッド5による磁気情報の読み取りを停止し(ステップS26)、モータ15の駆動を停止する(ステップS27)。これにより、磁気カード2の往路方向Fへの搬送が停止する。
【0036】
モータ15の駆動を停止すると、図7のステップS2へ移行して、磁気カード2から読み取った磁気情報を読み取りデータに変換してRAM8の読み取りデータ記憶領域Raに記憶する。この処理の詳細を図9に示す。図9において、まず、CPU6は、磁気ヘッド5から出力されて来た電圧の変化を電圧波形データに変換し、電圧波形データをRAM8の領域R1に記憶する(ステップS31)。次に、電圧波形データのピーク値を検出して(ステップS32)、そのピーク値の間隔に応じて電圧波形データをジッタデータに変換し、ジッタデータをRAM8の領域R2に記憶する(ステップS33)。そして、ジッタデータのパルスの立ち上がりと立ち下がりの間隔に応じてジッタデータをビットデータに変換し、ビットデータをRAM8の領域R3に記憶する(ステップS34)。さらに続けて、ビットデータを所定のフォーマットに従ってキャラクタデータに変換し、キャラクタデータをRAM8の領域R4に記憶する(ステップS35)。そして、前述したような複数の確認項目に基づいて電圧波形データからキャラクタデータまでのデータの変換が正常に行えたか否かを確認する(ステップS36)。ここで、複数の確認項目の全てを満足すると、データの変換は正常に行えたため(ステップS36:YES)、RAM8に記憶した読み取りデータは正常であると判断する(ステップS37)。一方、複数の確認項目のどれか1つでも満足しなければ、データの変換は正常に行えなかったため(ステップS36:NO)、RAM8に記憶した読み取りデータはエラーであると判断する(ステップS38)。そして、読み取りデータがエラーである理由として、満足しなかった項目に対応するエラーコードをRAM8の領域R5に記憶するとともに、図7のステップS1で磁気カード2から情報を読み取った際の磁気ヘッド5への印加電圧や、磁気カード2の搬送方向および搬送速度や、磁気ヘッド5の出力信号を変換するためのしきい値UV、LV(図5に図示)等のような読み取り条件をRAM8の領域R5に記憶する(ステップS39)。
【0037】
なお、電圧波形データをRAM8の領域R1に記憶した(ステップS31)後に、ステップS32で電圧波形データのピーク値を検出できなかったり、ステップS34でジッタデータのパルスの間隔が規定の範囲内にないためジッタデータをビットデータに変換できないというような、電圧波形データをキャラクタデータまで変換できない場合は、実行中の処理を中断してステップS36へ移行し、データの変換が正常に行えたか否かを確認する。そして、データの変換は正常に行えなかったため(ステップS36:NO)、読み取りデータはエラーであると判断し(ステップS38)、それぞれの場合に対応するエラーコードと、図7のステップS1での読み取り条件をRAM8の領域R5に記憶する(ステップS39)。なお、このような場合、RAM8にはジッタデータやビットデータやキャラクタデータは記憶されていないことがあるが、少なくとも電圧波形データは記憶されている。
【0038】
ステップS37で読み取りデータ正常と判断する、またはステップS39でエラーコードと読み取り条件をRAM8に記憶すると、図7のステップS3へ移行して、RAM8に記憶した読み取りデータが正常か否かを判定する。ステップS2で読み取りデータは正常であると判断していれば(図9のステップS37)、ここでは読み取りデータは正常であると判定し(ステップS3:YES)、ステップS9へ移行する。そして、ステップS9で通信部20によって上位装置30と通信を行い、RAM8の領域R4に記憶したキャラクタデータを上位装置30に送信する。これにより、上位装置30はキャラクタデータを受信して、このデータに基づいて所定の処理を行い、所定の処理が完了すると、処理が完了したことを知らせる処理完了通知をCPU6に送信する。CPU6は、この処理完了通知を通信部20によって受信すると、上位装置30との通信を終了して、読み取りデータをRAM8の読み取りデータ記憶領域Raから消去する(ステップS10)。詳しくは、電圧波形データとジッタデータとビットデータとキャラクタデータとをRAM8の領域R1〜R4から全て消去する。
【0039】
読み取りデータの消去が完了すると、磁気カード2を本体内部1aから返却する(ステップS11)。この処理の詳細を図12に示す。図12において、まず、CPU6はモータ15を逆転駆動する(ステップS61)。これにより、磁気カード2が復路方向Bへ搬送されて行く。そして、第1センサ11が磁気カード2の後端部2bを検知してON状態になった後に、磁気カード2の先端部2aを検知してOFF状態になると(ステップS62:YES)、モータ15の駆動を停止する(ステップS63)。これにより、磁気カード2の搬送が停止して、磁気カード2の後端部2bが挿入口3から突出し、磁気カードリーダ10から抜き取り可能になる。上記のように磁気カード2を返却すると、磁気カード2に対する処理を終了する。
【0040】
一方、図7のステップS3において、ステップS2で読み取りデータはエラーであると判断していれば(図9のステップS38)、ここでは読み取りデータは正常ではないと判定し(ステップS3:NO)、ステップS4へ移行する。そして、ステップS4で磁気カード2から磁気情報を読み取るための読み取り条件を変更し、変更した条件で再度磁気カード2から磁気情報を読み取る(ステップS5)。このときは磁気カード2を復路方向Bへ搬送することで読み取り条件を変更し、磁気情報を読み取る。この処理の詳細を図10に示す。図10において、まず、CPU6はモータ15を逆転駆動する(ステップS41)。これにより、磁気カード2が復路方向Bへ搬送されて行く。この後、第2センサ12が磁気カード2の後端部2bを検知してON状態になると(ステップS42:YES)、磁気ヘッド5による磁気カード2からの磁気情報の読み取りを開始する(ステップS43)。このとき、磁気ヘッド5は磁気カード2の磁力の変化を検出し、それを電圧の変化に変えてCPU6へ出力する。そして、第1センサ11が磁気カード2の後端部2bを検知してON状態になると(ステップS44:YES)、磁気ヘッド5による磁気情報の読み取りを停止し(ステップS45)、モータ15の駆動を停止する(ステップS46)。これにより、磁気カード2の復路方向Bへの搬送が停止する。
【0041】
モータ15の駆動を停止すると、図7のステップS6へ移行して、磁気カード2から読み取った磁気情報を読み取りデータに変換してRAM8の読み取りデータ記憶領域Raに記憶する。ここでは、読み取りデータ記憶領域Raに既にステップS2で読み取りデータが記憶されているので、ステップS5で磁気カード2から読み取った磁気情報を読み取りデータに変換してその記憶領域Raに上書きする。この処理の詳細は図9に示した通りであり、CPU6は上述した手順と同様にして実行して行く。
【0042】
そして、図9のステップS31〜ステップS36までの処理を実行した後、ステップS37で読み取りデータ正常と判断する、またはステップS38で読み取りデータエラーと判断してステップS39でエラーコードと読み取り条件をRAM8に記憶すると、図7のステップS7へ移行して、RAM8に上書きした読み取りデータは正常か否かを判定する。ステップS6で読み取りデータは正常であると判断していれば(図9のステップS37)、ここでは読み取りデータは正常であると判定し(ステップS7:YES)、ステップS9へ移行する。そして、ステップS9で通信部20によって上位装置30と通信を行い、RAM8の領域R4に記憶したキャラクタデータを上位装置30に送信する。その後、上述したように通信部20によって上位装置30から処理完了通知を受信すると、上位装置30との通信を終了して、読み取りデータをRAM8の読み取りデータ記憶領域Raから消去する(ステップS10)。そして、読み取りデータの消去が完了すると、図12で説明した手順と同様にして磁気カード2を返却し(ステップS11)、磁気カード2に対する処理を終了する。
【0043】
一方、図7のステップS7において、ステップS6で読み取りデータはエラーであると判断していれば(図9のステップS38)、ここでは読み取りデータは正常ではないと判定し(ステップS7:NO)、ステップS8へ移行する。そして、ステップS8で読み取りデータをRAM8からEEPROM9へ転送する。なお、ここでの転送とは、RAM8に記憶した読み取りデータをEEPROM9に複写(コピー)することであり、転送した後もRAM8には読み取りデータが残っている。この処理の詳細を図11に示す。図11において、まず、CPU6はRAM8の領域R1に記憶されている電圧波形データをEEPROM9に転送し、EEPROM9におけるデータ履歴記憶領域Ea内の最新のレコードの領域E1に記憶する(ステップS51)。次に、RAM8の領域R2に記憶されているジッタデータをEEPROM9に転送し、EEPROM9の同領域E1に記憶する(ステップS52)。そして、RAM8の領域R3に記憶されているビットデータをEEPROM9に転送し、EEPROM9の同領域E1に記憶する(ステップS53)。さらに、RAM8の領域R4に記憶されているキャラクタデータをEEPROM9に転送し、EEPROM9の同領域E1に記憶する(ステップS54)。そして最後に、RAM8の領域R5に記憶されているエラーコードと読み取り条件とをEEPROM9に転送し、EEPROM9の最新のレコードの領域E2に記憶する(ステップS55)。
【0044】
なお、図7のステップS6で電圧波形データをキャラクタデータまで変換できなかった場合は、前述したようにRAM8にはジッタデータやビットデータやキャラクタデータが記憶されていないことがある。この場合、CPU6は、RAM8に記憶されているデータを順番にEEPROM9に転送して、EEPROM9の領域E1に記憶した後、ステップS54でエラーコードと読み取り条件とをEEPROM9に転送し、EEPROM9の領域E2に記憶する。このとき、少なくとも電圧波形データはRAM8からEEPROM9に転送されて、EEPROM9の領域E1に記憶される。
【0045】
エラーコードと読み取り条件とをEEPROM9に転送して領域E2に記憶すると、図7のステップS9へ移行して、通信部20によって上位装置30と通信を行い、RAM8に記憶したエラーコードと、ステップS6でエラーであると判断されたキャラクタデータとを上位装置30に送信する。なお、キャラクタデータがRAM8に記憶されていない場合は、エラーコードのみを上位装置30に送信する。上位装置30はエラーコードとキャラクタデータとを受信すると、それらに基づいて所定の処理を行い、処理が完了すると処理完了通知をCPU6に送信する。CPU6は、処理完了通知を通信部20によって受信すると、上位装置30との通信を終了して、読み取りデータをRAM8の読み取りデータ記憶領域Raから消去する(ステップS10)。このときは、電圧波形データとジッタデータとビットデータとキャラクタデータとに加え、エラーコードと読み取り条件とをRAM8の領域R1〜R5から全て消去する。そして、読み取りデータ等の消去が完了すると、図12で説明した手順と同様にして磁気カード2を返却し(ステップS11)、磁気カード2に対する処理を終了する。
【0046】
以上の手順のように、磁気カード2から読み取った磁気情報を変換した読み取りデータをRAM8に記憶した後、上位装置30との通信が終了したときにRAM8から消去すると、読み取りデータがRAM8に記憶されたままにならなくなるので、そのデータが第三者に漏洩するのを防止することができる。また、RAM8に記憶させた読み取りデータが正常でないと判定された場合、つまり読み取りエラーが発生した場合に、読み取りデータをRAM8からEEPROM9に転送して記憶させると、読み取りエラー発生時の読み取りデータをEEPROM9にエラーの履歴として蓄積させて残しておくことができる。この結果、後で読み取りエラー発生時の読み取りデータをEEPROM9から読み出して解析することができ、エラーの原因を追求して、磁気カードリーダ10の読み取り性能を向上させることが可能となる。なお、正常でないと判定された読み取りデータは、異常のあるデータであって、磁気カード2に記録されていた磁気情報を完全に再現するようなものではないので、EEPROM9に記憶した後に第三者に漏洩しても悪用される可能性は低い。
【0047】
また、RAM8に記憶した読み取りデータが正常でないと判定された場合に、読み取り条件を変更して磁気カード2から磁気情報を再度読み取ると、再度読み取った磁気情報を変換した読み取りデータが正常であると判定されることがあるので、読み取りエラーの発生を減少させることができる。また、再度読み取った磁気情報を変換した読み取りデータが正常でないと判定された場合に、その読み取りデータと変更された読み取り条件とをEEPROM9に転送して記憶させると、読み取りエラー発生時の読み取りデータと読み取り条件とをEEPROM9に蓄積させて残しておくことができる。この結果、後で読み取りエラー発生時の読み取りデータとともに読み取り条件をEEPROM9から読み出して解析することができ、エラーの原因を詳細に追求して、磁気カードリーダ10の読み取り性能を一層向上させることが可能となる。
【0048】
また、エラーコードをEEPROM9に転送して記憶させると、読み取りエラー発生時の読み取りデータとともにエラーコードをEEPROM9に蓄積させて残しておくことができる。この結果、後で読み取りエラー発生時の読み取りデータをEEPROM9から読み出して解析するときに、エラーコードによって読み取りエラーの原因を容易に追求することができる。
【0049】
さらに、前述したようにデータの変換が正常に行われなかったため、RAM8に記憶された読み取りデータが正常でないと判定されると、RAM8にはジッタデータやビットデータやキャラクタデータは記憶されないことがあるが、少なくとも電圧波形データは記憶される。このような場合、上述したように少なくとも電圧波形データをRAM8からEEPROM9に転送して記憶させると、読み取りエラー発生時の電圧波形データをEEPROM9に確実に蓄積させて残しておくことができる。この結果、読み取りエラー発生時の電圧波形データ以外のデータをEEPROM9に残しておかなくても、電圧波形データをEEPROM9から読み出してジッタデータ、ビットデータ、キャラクタデータへと順番に変換して解析することができるので、エラーの原因を追求して、磁気カードリーダ10の読み取り性能を向上することが可能となる。
【0050】
以上述べた実施形態においては、電圧波形データをキャラクタデータまで変換できなかった場合に、少なくとも電圧波形データをRAM8からEEPROM9に転送した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。上記の場合において電圧波形データをジッタデータに変換できたときは、電圧波形データに代えて、ジッタデータをRAM8からEEPROM9に転送してもよい。図13は、この転送処理の詳細を示すフローチャートである。図13において、まず、CPU6はジッタデータがRAM8の領域R2に記憶されているか否かを判定する(ステップS501)。ここで、ジッタデータが領域R2に記憶されていなければ(ステップS501:NO)、RAM8の領域R1に記憶されている電圧波形データをEEPROM9に転送し、EEPROM9のデータ履歴記憶領域Ea内の領域E1に記憶する(ステップS503)。一方、ジッタデータが領域R2に記憶されていれば(ステップS501:YES)、領域R2のジッタデータをEEPROM9に転送し、EEPROM9の領域E1に記憶する(ステップS502)。電圧波形データまたはジッタデータをEEPROM9に転送して記憶すると、RAM8の領域R5に記憶されているエラーコードと読み取り条件とをEEPROM9に転送し、EEPROM9の領域E2に記憶する(ステップS504)。
【0051】
上記のように、電圧波形データに代えてジッタデータをRAM8からEEPROM9に転送して記憶させると、読み取りエラー発生時のジッタデータをEEPROM9に蓄積させて残しておくことができる。この結果、読み取りエラー発生時のジッタデータ以外のデータをEEPROM9に残しておかなくても、ジッタデータをEEPROM9から読み出してビットデータ、キャラクタデータへと順番に変換して解析することができるので、エラーの原因を追求して、磁気カードリーダ10の読み取り性能を向上することが可能となる。また、ジッタデータは電圧波形データよりもデータ容量が非常に小さいので、EEPROM9へのデータ転送にかかる時間を短縮することができるとともに、EEPROM9の記憶容量を小さくすることができる。また、記憶容量を小さくすることで、磁気カードリーダ10のコストを低く抑えることが可能となる。
【0052】
上記実施形態では、読み取りデータをRAM8からEEPROM9に転送するときに、読み取りデータをEEPROM9に複写(コピー)してRAM8に残した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これに代えて、読み取りデータをEEPROM9に移動してRAM8に残さないようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、1回目の読み取りデータを記憶したRAM8の領域Raと同じ領域Raに、2回目の読み取りデータを記憶して上書きした例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これに代えて、1回目の読み取りデータを記憶したRAM8の領域とは別の領域に、2回目の読み取りデータを記憶してもよい。この場合、1回目と2回目の読み取りデータがそれぞれRAM8に記憶された状態となる。また、その状態で2回目の読み取りデータが正常でないと判定されると、1回目と2回目の両方の読み取りデータをRAM8からEEPROM9に転送して、EEPROM9に記憶してもよい。これにより、正常でない1回目と2回目の両方の読み取りデータをEEPROM9に残すことができる。
【0054】
また、上記実施形態では、正常でないと判定された1回目の読み取りデータはEEPROM9に転送せず、正常でないと判定された2回目の読み取りデータをEEPROM9に転送した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではなく、正常でないと判定された1回目の読み取りデータもEEPROM9に転送してもよい。この場合、図7のステップS3で1回目の読み取りデータが正常でないと判定されてから、ステップS6でそれが2回目の読み取りデータによって上書きされるまでの間に、1回目の読み取りデータをRAM8からEEROM9に転送すればよい。これにより、正常でない1回目の読み取りデータもEEROM9に残すことができる。
【0055】
また、上記実施形態では、キャラクタデータ等を上位装置30に送信した後に、上位装置30から処理完了通知を受信すると、上位装置30との通信を終了して、読み取りデータをRAM8から消去した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えばキャラクタデータ等を上位装置30に送信した後に、上位装置30からそれらの受信が完了したことを知らせる受信完了通知を受けると、上位装置30との通信を終了して、読み取りデータをRAM8から消去してもよい。つまり、本発明においては、読み取りデータを上位装置30に送信して必要がなくなったときに、上位装置30との通信を終了して、即座に読み取りデータをRAM8から消去すればよい。
【0056】
また、上記実施形態では、読み取りデータのRAM8からの消去が完了すると、磁気カード2を返却した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えば読み取りデータの消去を開始すると、即座に磁気カード2を返却してもよい。つまり、本発明においては、磁気カード2を返却する前に、読み取りデータの消去を開始すればよい。
【0057】
また、上記実施形態では、本発明の情報記憶媒体として磁気カード2を用いた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えばICカードや非接触カード、または鉄道等で用いられる磁気券のような媒体であってもよい。
【0058】
さらに、上記実施形態では、本発明に係る情報読み取り装置として磁気カードリーダ10を用いた例を挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、例えば磁気カードやICカードに対して情報の読み取りを行うカードリーダや、情報の読み取りに加えて情報の書き込みも行うカードリーダライタのようなものであってもよい。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、情報記憶媒体から読み取って第1の記憶手段に記憶させた読み取り情報を上位装置との通信が終了したときに消去することで、読み取り情報が第1の記憶手段に記憶されたままにならなくなり、第三者に漏洩するのを防止することができる。また、第1の記憶手段に記憶させた読み取り情報が正常でないと判定された場合に、読み取り情報を第1の記憶手段から第2の記憶手段に転送することで、読み取りエラー発生時の読み取り情報を第2の記憶手段に蓄積させて残しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気カードリーダの概略構造を示す図である。
【図2】磁気カードリーダの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】RAMの記憶領域の一部を示す図である。
【図4】EEPROMの記憶領域の一部を示す図である。
【図5】読み取りデータを説明するための図である。
【図6】キャラクタデータを説明するための図である。
【図7】磁気カードリーダの動作手順を示すフローチャートである。
【図8】磁気カードリーダの動作手順を示すフローチャートである。
【図9】磁気カードリーダの動作手順を示すフローチャートである。
【図10】磁気カードリーダの動作手順を示すフローチャートである。
【図11】磁気カードリーダの動作手順を示すフローチャートである。
【図12】磁気カードリーダの動作手順を示すフローチャートである。
【図13】他の実施形態のフローチャートである。
【符号の説明】
2 磁気カード
5 磁気ヘッド
6 CPU
8 RAM
9 EEPROM
10 磁気カードリーダ
20 通信部
EC1〜EC6 エラーコード
Claims (5)
- 情報記憶媒体から情報を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段が読み取った読み取り情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された読み取り情報が正常であるか否かを判定する判定手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された読み取り情報を転送する転送手段と、
前記転送手段によって転送されて来る読み取り情報を記憶して蓄積する第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された読み取り情報を上位装置に送信するために上位装置と通信する通信手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された読み取り情報を消去する消去手段と、を備え、
前記判定手段によって読み取り情報が正常であると判定された場合は、前記転送手段による読み取り情報の転送を行うことなく、前記通信手段が上位装置との通信を終了した後に、前記消去手段が前記第1の記憶手段に記憶された読み取り情報を消去し、
前記判定手段によって読み取り情報が正常でないと判定された場合は、前記転送手段が前記第1の記憶手段に記憶された読み取り情報を前記第2の記憶手段に転送し、その後、前記通信手段が上位装置との通信を終了すると、前記消去手段が前記第1の記憶手段に記憶された読み取り情報を消去することを特徴とする情報読み取り装置。 - 請求項1に記載の情報読み取り装置において、
前記判定手段によって読み取り情報が正常でないと判定されると、前記読み取り手段が情報記憶媒体から情報を読み取るための読み取り条件を変更する条件変更手段を備え、
前記条件変更手段によって読み取り条件が変更されると、
前記読み取り手段は、変更された読み取り条件で情報記憶媒体から情報を再度読み取り、
前記読み取り手段によって再度読み取られた読み取り情報が前記第1の記憶手段に記憶されて、前記判定手段によって正常でないと判定されると、
前記転送手段は、前記第1の記憶手段に記憶された読み取り情報と、前記変更手段によって変更された読み取り条件とを転送し、前記第2の記憶手段に記憶させることを特徴とする情報読み取り装置。 - 請求項1または請求項2に記載の情報読み取り装置において、
前記転送手段は、前記判定手段によって読み取り情報が正常でないと判定された場合に、正常でないと判定された理由を示す異常理由情報を転送し、前記第2の記憶手段に記憶させることを特徴とする情報読み取り装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の情報読み取り装置において、
前記読み取り手段は、情報を磁気記録した磁気カードの磁力の変化を検出し、それを電圧の変化に変えて出力する磁気ヘッドからなり、
前記磁気ヘッドが出力した電圧の変化を電圧波形データに変換し、前記電圧波形データをパルス波形のデータであるジッタデータに変換し、前記ジッタデータを「0」と「1」の論理データであるビットデータに変換し、前記ビットデータを文字データであるキャラクタデータに変換する変換手段を備え、
前記第1の記憶手段は、前記電圧波形データと前記ジッタデータと前記ビットデータと前記キャラクタデータとをそれぞれ記憶し、
前記判定手段は、前記変換手段によるデータの変換が正常に行われたか否かの結果に基づいて、前記第1の記憶手段に記憶されたデータが正常であるか否かを判定し、
前記転送手段は、前記判定手段によってデータが正常でないと判定された場合に、前記第1の記憶手段に記憶されたデータのうち、少なくとも前記電圧波形データを転送して、前記第2の記憶手段に記憶させることを特徴とする情報読み取り装置。 - 請求項4に記載の情報読み取り装置において、
前記転送手段は、前記判定手段によってデータが正常でないと判定された場合に、前記第1の記憶手段に記憶されたデータのうち、少なくとも前記電圧波形データを転送することに代えて、前記ジッタデータを転送し、前記第2の記憶手段に記憶させることを特徴とする情報読み取り装置。
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