JP4311853B2 - 筒体内面への部分メッキ方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒体内面にヘリカル状メッキ又は環状メッキを施す方法に関し、特に、径が数mm程度の細い筒体内面の少なくとも一部に、均一なピッチで、かつ均一な厚さで、ヘリカル状メッキ又は少なくとも1本の環状メッキを施すことができる方法に関する。
【0002】
【技術背景】
円筒体、あるいは四角、六角等の角筒体の内面にヘリカル状メッキ、あるいは1本又は複数本の環状メッキを施すには、予め、これらの筒体内面のメッキを施す以外の部分にマスキングを施す必要がある。
このマスキング技術は、従来、メッキを施す以外の部分(マスキング部分)に対応するヘリカル状凹部あるいは1本又は複数本の環状凹部を有する金型を、筒体の内部に挿入し、該凹部に有機溶剤や水による溶解が可能な合成樹脂(マスキング用樹脂)を注入して行われている。
【0003】
このマスキング技術は、筒体の内径が大きい場合は、金型を割型等にすれば、筒体からの金型の抜き出しが比較的簡単に行えるため問題ない。
しかし、筒体の内径が数cm〜数mmと小さい場合、特に、最近の小型ロボットや携帯電話等の極小電子機器類に使用される円筒体や角筒体の部品等の場合においては、金型をこれらの筒体から抜き出し可能な構造とすることが困難である。
たとえ抜き出し可能な構造を考案し得たとしても、その構造は非常に複雑となることが予想され、金型の設計・製造に掛かるコストが膨大となるばかりか、この金型の操作も極めて煩雑となり、低コストでしかも高品質の上記極小電子機器類の提供が不可能となる。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、このような問題のない円筒体や角筒体(三角、四角、五角・・・・・の多角筒体であり、本発明では、これら円筒体や角筒体を「筒体」と言い、この「筒体」は内外面共に円形あるいは多角形のものは勿論、外面が円形で内面が多角形のもの、この逆に外面が多角形で内面が円形のものであってもよい)、特に極小筒体の内面の少なくとも一部に、ヘリカル状又は少なくとも1本の環状のメッキを、高品質に(具体的には、均一なピッチで、均一な厚さで)施すことができる方法を提供することを目的とする。
【0005】
【発明の概要】
上記の目的を達成するために、本発明の筒体内面の少なくとも一部に、ヘリカル状メッキ又は少なくとも1本の環状メッキを施す第1の方法は、
(1)内面の少なくとも一部にヘリカル状溝部又は少なくとも一本の環状溝部を有し、かつ該溝部にゲート孔を有する非溶解性筒体を成形する工程、
(2)前記非溶解性筒体の内部に、該筒体の内径と同一外径のストレートピン部を具備する中子を挿入し、前記ゲート孔を介して溶解性合成樹脂を注入し、該筒体内面の少なくとも一部にヘリカル状又は少なくとも一本の環状の溶解性合成樹脂層を成形する工程、
(3)前記中子を外した後、前記筒体の少なくとも内面を粗化する工程、
(4)前記溶解性合成樹脂層を溶解除去した後、メッキ用触媒を付与するか、又はメッキ用触媒を付与した後、前記溶解性合成樹脂層を溶解除去する工程、
(5)メッキを施す工程、
からなることを特徴とする(以下、第1発明)。
【0006】
また、第2の方法は、第1発明における(2)の溶解性合成樹脂層の成形工程と(3)の粗化工程を逆にして、
(2)非溶解性筒体の少なくとも内面を粗化する工程、
(3)粗化後の前記非溶解性筒体の内部に、該筒体の内径と同一外径のストレートピン部を具備する中子を挿入し、前記ゲート孔を介して溶解性合成樹脂を注入し、該筒体内面の少なくとも一部にヘリカル状又は少なくとも一本の環状の溶解性合成樹脂層を成形する工程、
(4)前記中子を外した後、前記筒体の少なくとも内面にメッキ用触媒を付与する工程、
(5)前記溶解性合成樹脂層を溶解除去する工程、
(6)メッキを施す工程、
からなるようにしてもよい(以下、第2発明)。
【0007】
そして、第1、第2発明における上記(1)の工程が、
(i)外面の少なくとも一部にヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を有する溶解性合成樹脂製柱体(円柱体や角柱体《三角、四角、五角・・・・・の多角柱体であり、本発明では、これら円柱体や角柱体を「柱体」と言う》)又は筒体の外面に、該ヘリカル状又は環状突部の外径と同一内径で、かつ該ヘリカル状又は環状突部に相当する箇所にゲート孔を有する非溶解性筒体を成形する工程、
(ii)前記溶解性合成樹脂製柱体又は筒体を溶解除去する工程、
からなるものであってもよい。
【0008】
更に、上記の目的を達成するための本発明の第3の方法は、
(1)第1の溶解性合成樹脂で筒体又は柱体を成形する工程、
(2)該第1の溶解性合成樹脂製の筒体又は柱体の外面の少なくとも一部に、第1の溶解性合成樹脂とは異なる溶解性を示す第2の溶解性合成樹脂でヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を成形する工程、
(3)該ヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を有する筒体又は柱体の外面に接触させて、非溶解性筒体を成形する工程、
(4)前記第1の溶解性合成樹脂製の筒体又は柱体を溶解除去した後、前記非溶解性筒体の少なくとも内面を粗化する工程、
(5)前記第2の溶解性合成樹脂製のヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を溶解除去した後、メッキ用触媒を付与するか、又はメッキ用触媒を付与した後、前記第2の溶解性合成樹脂製のヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を溶解除去する工程、
(6)メッキを施す工程、
からなることを特徴とする(第3発明)。
【0009】
第1発明では、工程(1)で成形した特定構造の非溶解性筒体を、工程(2)の被覆工程に付して該筒体内面のヘリカル状又は環状溝部を溶解性の合成樹脂で埋める(被覆する)。
工程(3)の粗化工程では、このヘリカル状又は環状被覆部以外の部分(この部分もヘリカル状又は環状を呈している)が粗化される。
工程(4)は、メッキ用触媒の付与と、被覆部を構成している溶解性合成樹脂の除去のための工程であり、メッキ用触媒は工程(3)で粗化された部分(ヘリカル状又は環状を呈する部分)に付与されるため、工程(4)においては、ヘリカル状又は環状被覆部を構成している溶解性合成樹脂層を溶解除去した後にメッキ用触媒を付与してもよいし、順序を逆にしてメッキ用触媒を付与した後に被覆部の溶解性合成樹脂層を溶解除去してもよい。
最後の工程(5)でメッキ工程に付せば、上記の触媒付与面にヘリカル状又は環状のメッキが施されて、筒体内面の少なくとも一部へのヘリカル状又は少なくとも1本の環状メッキが得られることとなる。
【0010】
また、上記の工程(2)と工程(3)を逆にする第2発明では、工程(1)で成形した特定構造の非溶解性筒体の内面全面が、工程(2)の粗化工程で粗化される。
工程(3)の被覆工程では、粗化後の上記筒体内面のヘリカル状又は環状溝部を溶解性の合成樹脂で被覆する。
工程(4)は、工程(3)で被覆されなかった部分(この部分もヘリカル状又は環状を呈している)にメッキ用触媒を付与する工程である。
この後、工程(5)で上記の被覆部の溶解性合成樹脂層を溶解除去し、最後の工程(6)でメッキを施せば、上記の触媒付与面にヘリカル状又は環状のメッキが施される。
【0011】
上記の第1発明及び第2発明において、上記特定構造の非溶解性筒体は、工程(1)において成形されるが、この工程(1)での成形方法は、どのような成形方法であってもよく、例えば、先ず工程(i)で、特定構造の溶解性合成樹脂製柱体又は筒体を中子(以下、説明の便宜上、第1中子と記す)とし、第1中子を特定構造の金型で覆い、第1中子と金型の間に形成されるキャビティーに非溶解性の合成樹脂やセラミックを注入して、特定構造の非溶解性筒体を成形し、次に工程(ii)で、第1中子としての溶解性合成樹脂製柱体又は筒体を溶解して除去する方法であってもよい。
【0012】
第3発明の筒体内面の少なくとも一部へのヘリカル状又は少なくとも1本の環状メッキ方法では、工程(1)で成形した第1の溶解性合成樹脂製筒体又は柱体の外面の少なくとも一部に、工程(2)で第2の溶解性合成樹脂を用いてヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を成形した後、工程(3)で第2溶解性合成樹脂製のヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を有する第1溶解性合成樹脂製の筒体又は柱体の外面に接触させて、非溶解性の合成樹脂やセラミックを用いて筒体を成形する。
工程(4)では、第1溶解性合成樹脂製の筒体又は柱体を溶解除去して、非溶解性筒体の内面にヘリカル状又は少なくとも1本の環状の第2溶解性合成樹脂の面が露出するようにした後、該非溶解性筒体の少なくとも内面を粗化する。これにより、非溶解性筒体の少なくとも内面の、第2溶解性合成樹脂の面が存在しない部分(この部分もヘリカル状又は環状を呈している)が粗化される。
工程(5)は、メッキ用触媒の付与と、第2溶解性合成樹脂の溶解除去のための工程であり、メッキ用触媒は工程(4)で粗化された部分(ヘリカル状又は環状を呈する部分)に付与されるため、工程(5)においては、第2溶解性合成樹脂を溶解除去した後にメッキ用触媒を付与してもよいし、順序を逆にしてメッキ用触媒を付与した後に第2溶解性合成樹脂を溶解除去してもよい。
最後の工程(6)でメッキ工程に付せば、上記の触媒付与面にヘリカル状又は環状のメッキが施されて、筒体内面の少なくとも一部へのヘリカル状又は少なくとも1本の環状メッキが得られることとなる。
【0013】
先ず、第1発明について説明する。
第1発明における非溶解性筒体は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の非溶解性合成樹脂や、セラミックから構成される。
好ましくは、芳香族系液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルポリスルホン、ポリアリールスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエステル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、ポリアミド、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ノルボルネン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等から構成されるものである。
より好ましくは、耐熱性及び熱膨張係数が広い温度条件において金属に近く、しかも金属膜と同等の伸縮性を有して、サーマルサイクルテストにおいて金属膜と同等の優れた特性を有するポリエステル系液晶ポリマーから構成されるものである。
これら非溶解性合成樹脂から構成される筒体は、フィラーとして、ガラス繊維、ピロリン酸カルシウム、ワラストナイト、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、炭素繊維、石英繊維、硫酸バリウム等を加えたものであってもよい。
【0014】
なお、上記筒体の大きさは、特に制限されず、用途によって適宜選定すればよく、例えば、電子・電気機器類の部品のケーシング等として使用する場合の円筒体においては、外径10〜50mm、内径7〜45mm、長さ200〜300mm程度とすることができるし、また近年の軽薄短小化に対応した電子・電気機器類の極く微小な部品類に使用する場合の円筒体においては、外径3〜10mm、内径1.5〜7mm、長さ20〜200mm程度の極く微小な大きさにすることもできる。
角筒体の場合は、上記の内・外径、長さに基づいて適宜選定すればよい。
また、角筒体は、横断面形状が正方形、正三角形、正六角形等に限らず、長方形、二等辺三角形、相対する二辺が他の四辺より長い六角形等種々の形状のものであってもよく、これら種々の横断面形状を有する角筒体の大きさも、上記円筒体の内・外径、長さに基づいて適宜選定すればよい。
【0015】
上記のような大きさを有する筒体内面の全部に連続的又は断続的に、あるいは少なくとも一部に設けるヘリカル状溝部又は少なくとも一本の環状溝部は、例えば、電子・電気機器類の部品のケーシングや極く微小な部品類等で、幅0.1〜5mm、深さ0.05〜2mm程度の大きさの、凹状、U状、V状、半円状等の種々の形状であってよい。
また、ヘリカル又は環のピッチは、例えば、電子・電気機器類の部品のケーシング等では1〜10mm、電子・電気機器類の極く微小な部品類では0.2〜1mm程度が挙げられる。
更に、上記のような溝部に設けるゲート孔は、該溝部に溶解性合成樹脂が注入できる程度の大きさであればよく、例えば、電子・電気機器類の部品のケーシング等では、直径0.5〜5mm程度、電子・電気機器類の極く微小な部品類では、直径0.1〜0.5mm程度が挙げられる。
【0016】
第1発明において、上記の非溶解性筒体を、上記の工程(i),(ii)により成形する場合に、上記工程(i)で使用する第1中子としての柱体又は筒体を構成する溶解性合成樹脂は、有機溶剤、無機溶剤、あるいは水等で溶解する合成樹脂であり、中でも水溶性や加水分解性の合成樹脂が好ましい。
【0017】
この水溶性や加水分解性の合成樹脂は、具体的には、化1の式1で表されるポリビニルアルコール(PVA)、式2で表される変性PVA、式3で表されるポリ乳酸の他、デンプン、微生物発酵脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステル−ジカルボン酸とジグリコールとの縮合物、脂肪族カプロラクトン系樹脂、セルロースアセテート系樹脂等であり、特に好ましくは、加水分解性のポリ乳酸又は、ポリ乳酸を主体とする脂肪族ポリエステルとの混合体又は共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体)である。
【0018】
【化1】
【0019】
上記のポリ乳酸は単独で使用してもよいし、ポリ乳酸を主成分とし、これに脂肪族ポリエステル(ポリヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸又は脂肪族多価アルコールと脂肪族多価塩基酸とからなる脂肪族ポリエステル、ヒドロキシカルボン酸や脂肪族多価アルコールから選ばれる2種以上のモノマー成分と、脂肪族多価塩基酸から選ばれる2種以上のモノマー成分とからなるランダム共重合体やブロック共重合体等)の単独又は2種以上を、混合したものや、ランダム共重合又はブロック共重合させたものであってもよいし、また必要に応じてアルカリ分解促進剤、有機及び無機充填剤、可塑剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤等の汎用の合成樹脂に使用できる添加剤を混合したものであってもよい。
この脂肪族ポリエステルの混合量又は共重合量は、混合体又は共重合体の全量に対して1〜10wt%程度、アルカリ分解促進剤の混合量は混合体全量に対して1〜100wt%程度、好ましくは5〜80wt%、より好ましくは10〜60wt%であり、その他の添加剤の混合量は混合体全量に対して1〜5%程度が適している。
【0020】
なお、上記のポリ乳酸の重量平均分子量は、1万〜40万程度が好ましく、脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸と混合させる場合の重量平均分子量は、1万〜50万程度、好ましくは3万〜40万程度、より好ましくは5万〜30万程度が適しており、ポリ乳酸と共重合させる場合はその共重合体の重量平均分子量が、1万〜50万程度、好ましくは3万〜40万程度、より好ましくは5万〜30万程度が適している。
上記のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、L−乳酸、D−乳酸、D/L−乳酸、3−ヒドロキシブチリックアシッド、4−ヒドロキシブチリックアシッド、3−ヒドロキシバレリックアシッド、5−ヒドロキシバレリックアシッド、6−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられ、これらの1種以上が使用できる。
脂肪族多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール等が挙げられ、これらの1種以上が使用できる。
脂肪族多価塩基酸としては、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、フェニルコハク酸、1,4−フェニレンジ酢酸等が挙げられ、これらの1種以上が使用できる。
アルカリ分解促進剤としては、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、ポリアミノ酸等の親水性高分子化合物、無水コハク酸、ポリコハク酸イミド等のアルカリ加水分解性化合物等が挙げられ、これらの1種以上が使用できる。中でも、ポリ乳酸や脂肪族ポリエステルへの分散性や相溶性、あるいはブリードアウトのし難さ等から、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコールが好ましい。
【0021】
上記のような溶解性合成樹脂で、上記の特定構造・特定形状(外面の少なくとも一部にヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を有する柱体又は筒体)の第1中子を作成し、この第1中子を特定構造(例えば、円筒形や角筒形)の金型で覆い、第1中子と金型の間に形成されるキャビティーに、上記のような非溶解性合成樹脂やセラミックを注入する。
これにより、上記のキャビティー内(第1中子の外面)に、特定構造(第1中子のヘリカル状又は環状突部の外径と同一内径で、かつ該ヘリカル状又は環状突部に相当する箇所にゲート孔を有する)の非溶解性筒体が成形される。
【0022】
この後、工程(ii)で、第1中子を溶解除去すればよい。
この溶解除去は、第1中子を構成している上記のような溶解性合成樹脂を溶解し得る溶剤(有機溶剤、無機溶剤、水等)を用い、該溶剤中に工程(i)を経た後の非溶解性筒体と共に浸漬する等して行われる。
例えば、第1中子が水溶性合成樹脂の場合は水を用いて行い、加水分解性合成樹脂の場合はアルカリ水溶液や酸液(各種の無機酸の液)を用いて行う。
具体的な条件としては、水溶性合成樹脂の場合、合成樹脂の種類にもよるが、一般には、25〜95℃程度の温水中に2〜35時間浸漬して溶解除去するのが好ましい。
加水分解性合成樹脂、特にポリ乳酸の場合は、濃度2〜15wt%程度で温度25〜70℃程度のカ性アルカリ(NaOH、KOH等)水溶液中に1〜120分程度浸漬して溶解除去するのが好ましい。
【0023】
第1発明の工程(2)では、前記特定構造(内面の少なくとも一部にヘリカル状溝部又は少なくとも一本の環状溝部を有し、かつ該溝部にゲート孔を有する)の非溶解性筒体の内部に、該筒体の内径と同一外径のストレートピン部を具備する中子(以下、説明の便宜上、第2中子と記す)を挿入した後、該筒体のゲート孔から上記のような溶解性合成樹脂を注入する。
この溶解性合成樹脂は、上記筒体内面の上記ヘリカル状溝部又は少なくとも一本の環状溝部にのみ注入されるため、筒体内面の少なくとも一部にヘリカル状又は少なくとも一本の環状の溶解性合成樹脂層(被覆層)が成形されることとなる。
この被覆層となる溶解性合成樹脂としては、前記の工程(i)で使用する第1中子を構成する溶解性合成樹脂と同様のものが使用でき、第1中子と同じ樹脂であってもよいし、異なる樹脂であってもよい。
【0024】
工程(3)では、第2中子を取り外し、上記の非溶解性筒体の少なくとも内面を粗化する。
この粗化方法としては、例えば、公知のエッチング方法が適用できる。
エッチング方法には、湿式と乾式とがあり、この筒体に使用されている材料の種類等により、適宜の方式のエッチング方法を採用すればよい。
乾式法は、例えば、プラズマを照射したり、気体を使用する等して行うことができ、上記程度の大きさしかない筒体の場合は、筒体内面を十分に粗化するには、プラズマあるいは気体を筒体内面に向けて照射あるいは噴射することが適している。
湿式法は、例えば、NaOH、KOH等のアルカリ金属水酸化物の水溶液、アルコール性ナトリウム、アルコール性カリウム等のアルカリ金属アルコラートの水溶液、クロム酸−硫酸、過マンガン酸−リン酸等の無機混酸溶液、あるいはジメチルホルムアミド等の有機溶剤を用いて行うことができ、上記程度の大きさしかない筒体の場合は、筒体内面を十分に粗化するには、上記液を筒体内面に向けて噴射する等が適している。
このうち、NaOH、KOH等の水溶液を用いる方法は、濃度35〜50wt%程度、温度70〜95℃程度の条件とすることが好ましく、無機混酸溶液を用いる方法は、温度が60〜80℃程度で、濃度は例えばクロム酸−硫酸溶液の場合で硫酸:クロム酸=550(cm3/dm3):飽和〜200(cm3/dm3):400(g/dm3)程度が適している。
なお、有機溶剤を使用する場合は、筒体を膨潤するのみで、粗化まで至らないことがある。この場合は、有機溶剤での処理の後に、酸あるいはアルカリ処理を施せばよい。
【0025】
また、アルカリ金属水酸化物の水溶液やアルカリ金属アルコラートの水溶液での湿式法においては、上記のエッチング液と筒体内面とを接触させた後に、塩酸やフッ酸等の酸溶液を用いて処理することが好ましい。この酸処理は、アルカリ性のエッチング液を単に中和するために行うのではなく、筒体中に含まれるフィラーであって、かつ筒体の表面近傍に存在しているフィラーの一部を除去し、筒体表面の粗化効果をより一層高めるために行われる。
従って、この酸処理の条件(pH、温度、時間等)は、上記のフィラーが溶解する程度の条件とすることが好ましい。
【0026】
工程(4)では、上記の被覆層(溶解性合成樹脂層)を溶解除去した後に、メッキ用触媒を付与するか、あるいはこれとは逆にメッキ用触媒を付与した後に、被覆層を溶解除去する。
被覆層の除去は、上記の工程(ii)における第1中子の溶解除去と同様にして行われる。
【0027】
メッキ用触媒(以下、単に触媒と記すこともある)としては、公知のものが使用でき、中でもPdやPtを含むものが好ましく、これらは、例えば、塩化物等の無機塩の形で使用される。
メッキ用触媒の付与は、上記の無機塩を筒体の少なくとも内面に付着させた後、アクセレータ処理により上記の触媒金属を析出させることで行われる。
無機塩を筒体の内面に付着させるには、無機塩の溶液と筒体内面とを接触させればよく、例えば、無機塩の溶液中に筒体を浸漬したり、この水溶液を筒体内面に噴射する等して行われる。
具体的な条件は、筒体の材料、メッキの材料、メッキ用触媒の材料、無機塩の付着方法等により種々異なり一概には決められないが、メッキ用触媒の塩として塩化パラジウムを使用し、浸漬法を採用する場合を例にとれば、一例として次のようなものが挙げられる。
【0028】
触媒塩溶液組成
PdCl2・2H2O:0.1〜0.3g/dm3
SnCl2・2H2O:10〜20g/dm3
HCl :150〜250cm3/dm3
浸漬条件
温度:20〜45℃
時間:1〜10分
【0029】
なお、メッキ用触媒塩溶液の溶媒としては、上記の塩酸以外に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の有機溶剤を用いることもできる。
【0030】
上記のようなメッキ用触媒塩の付着の後、水洗し、アクセレータ処理してメッキ用触媒(金属)を筒体上に析出させる。
アクセレータ処理は、一般には、アクセレータ(促進液)と触媒塩付与後の筒体内面とを、浸漬あるいは塗布等により接触させることにより行う。
この促進液としては、硫酸、塩酸、水酸化ナトリウム、アンモニア等の無機溶液が用いられる。
上記組成の触媒塩溶液を用い、上記条件での浸漬で触媒塩が付与されている場合は、水洗により、筒体内面に付着しているSn2+−Pd2+の錯体が加水分解され、Sn2+はSn(OH)Clとなって沈殿し、続いて行うアクセレータ処理により、Sn(OH)Clが溶解し、既に錯体状態が解かれているPd2+と酸化還元反応を生起して、金属Pdが基体上で生成する。この金属Pdがメッキ用触媒として作用する。
【0031】
なお、上記のアクセレータ処理の際に水溶性又は加水分解性の被覆層(溶解性合成樹脂層)が溶出することもあるため、アクセレータ処理と同時に被覆層の除去を行ってもよいし、被覆層を除去した後にアクセレータ処理を行ってもよい。
もちろん、被覆層が完全に溶出する前に、アクセレータ処理を終了することもできる。
【0032】
水溶性又は加水分解性の被覆層の厚さが10〜1000μm程度、好ましくは10〜500μm程度と薄い場合には、上記のメッキ用触媒塩の付着(例えば、上記Sn2+−Pd2+錯体の付着)、水洗(該錯体の加水分解により、Sn(OH)Clの沈殿生成)、アクセレータ処理(Sn(OH)Clが溶解し、水洗の際に錯体状態が解かれたPd2+と酸化還元反応して金属Pdを生成)と言う一連の操作からなるメッキ用触媒の付与工程において、被覆層が完全に溶出することもあり、メッキ用触媒の付与と同時に、被覆層の除去を行うこともできる。
この場合、アクセレータ処理を、促進剤の温度を40〜80℃程度とし、該促進剤との接触時間を30〜120分間程度とすることが好ましい。
【0033】
最後に、工程(5)でメッキを施す。
メッキ方法は、公知のメタライジング方法(無電解メッキ方法や電気メッキ方法)が採用できる。
メッキ金属としては、銅、ニッケル、金、その他各種の金属が挙げられる。
メッキ工程は、多数回に分けて行うこともできるし、1回で一度に行うこともできる。
【0034】
なお、第1発明では、予備メッキ工程を設けることもできる。この予備メッキ工程は、工程(5)の前(例えば、工程(4)の触媒付与工程の後)に設けてもよいし、工程(5)の中に設けてもよい。
予備メッキも、公知のメタライジング法で行うことができ、好ましくは無電解メッキ法であり、メッキ金属も、上記工程(5)のいわゆる本メッキ工程での金属と同様のものが使用できる。この予備メッキ工程を設けることにより、本メッキ工程でのメッキ品質を一層良好なものとすることができる。
また、後メッキ工程を設けることもできる。この後メッキ工程は、工程(5)の中に設けてもよいし、工程(5)の後に設けてもよい。
後メッキ工程も、公知のメタライジング法で行うことができ、好ましくは無電解メッキ法であり、メッキ金属は、工程(5)の本メッキ工程での金属と同種であってもよいが、異種のものであってもよい。
【0035】
次に、第2発明について説明する。
第2発明では、第1発明の工程(2)と工程(3)の順序を逆にし、先ず工程(2)において、工程(1)で成形した特定構造の非溶解性筒体の内面全面を、粗化し、次いで工程(3)において、この非溶解性筒体内に第2中子を挿入し、該筒体内面の少なくとも一部にヘリカル状又は少なくとも1本の環状の溶解性合成樹脂層(被覆層)を成形する。
この後、工程(4)でメッキ用触媒を第1発明と同様にして付与し、工程(5)で溶解性合成樹脂層を第1発明と同様にして溶解除去し、工程(6)でメッキを第1発明と同様にして施す。
【0036】
更に、第3発明について説明する。
第3発明の工程(1)における第1の溶解性合成樹脂と工程(2)における第2の溶解性合成樹脂は、異なる溶解性を示す合成樹脂であって、前記した第1発明における溶解性合成樹脂の中から、例えば、第1の溶解性合成樹脂として水溶性合成樹脂(PVA等)を使用し、第2の溶解性合成樹脂として加水分解性合成樹脂(ポリ乳酸等)を使用することができる。
【0037】
第3発明では、先ず工程(1)で、上記のような第1の溶解性合成樹脂を用いて筒体又は柱体を成形し、工程(2)で、この筒体又は柱体の外面の少なくとも一部に、上記のような第2の溶解性合成樹脂を用いてヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を成形する。
次に、工程(3)で、前記した第1発明における非溶解性合成樹脂あるいはセラミックと同様の樹脂あるいはセラミックを用い、外面に第2溶解性合成樹脂製のヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を有する第1溶解性合成樹脂製の筒体又は柱体の外面に、該第1溶解性合成樹脂製筒体又は柱体と、第2溶解性合成樹脂製ヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部とに接触させて、筒体を成形する。
【0038】
続いて、工程(4)で、第1溶解性合成樹脂製筒体又は柱体を溶解除去した後、非溶解性筒体の少なくとも内面を粗化する。
第1溶解性合成樹脂製筒体又は柱体の溶解除去は、該第1溶解性合成樹脂は溶解するが、第2溶解性合成樹脂は溶解しない溶剤(有機溶剤、無機溶剤、水等)を用い、該溶剤中に工程(3)を経た後の非溶解性筒体と共に浸漬する等して行われる。
すなわち、第1発明における第1中子の溶解除去と同様に、第1溶解性合成樹脂が水溶性合成樹脂の場合は水を用いて行い、加水分解性合成樹脂の場合はアルカリ水溶液や酸液(各種の無機酸の液)を用いて行う。具体的な条件等は、この第1中子の溶解除去と同様である。
第1溶解性合成樹脂製筒体又は柱体を溶解除去した後の非溶解性筒体の内面は、第2溶解性合成樹脂製のヘリカル状又は少なくとも一本の環状の面が露出した状態となる。
この状態の非溶解性筒体の内面を粗化すると、第2溶解性合成樹脂製のヘリカル状面又は少なくとも一本の環状面以外の部分(この部分もヘリカル状又は少なくとも一本の環状を呈している)が粗化される。
【0039】
その後、工程(5)で、上記の第2溶解性合成樹脂製のヘリカル状又は少なくとも一本の環状の部分を溶解除去した後に、メッキ用触媒を付与するか、あるいはこれとは逆にメッキ用触媒を付与した後に、第2溶解性合成樹脂製のヘリカル状又は少なくとも一本の環状の部分を溶解除去する。
第2溶解性合成樹脂製のヘリカル状又は少なくとも一本の環状の部分の溶解除去は、該第2溶解性合成樹脂を溶解する溶剤(有機溶剤、無機溶剤、水等)を用い、該溶剤中に浸漬する等して行われる。
すなわち、上記の工程(4)における第1溶解性合成樹脂製筒体又は柱体の溶解除去と同様に、第2溶解性合成樹脂が水溶性合成樹脂の場合は水を用いて行い、加水分解性合成樹脂の場合はアルカリ水溶液や酸液(各種の無機酸の液)を用いて行う。具体的な条件等は、第1溶解性合成樹脂製筒体又は柱体の溶解除去の場合と同様である。
【0040】
最後に、工程(6)でメッキを施す。
このメッキは、第1発明における工程(5)のメッキと全く同じである。
【0041】
【実施例】
実施例1
図1(A)〜(C)の工程に沿って、第1発明の工程(i),(ii)からなる工程(1)を実施した。
先ず、図1(A)に示す工程(i)において、溶解性合成樹脂(PVA)を用いて、外面全面にヘリカル状突部を有する第1中子1を成形した。
次いで、図1(B)に示す工程(i)において、第1中子1の外側に、非溶解性合成樹脂(ABS)を用いて、上方部にヘリカル状溝部を有する円筒体10を成形した。
その後、図1(C)に示す工程(ii)において、第1中子1を溶解除去したところ、図2に示すような構成の円筒体10を得ることができた。
この円筒体10は、図2に示すように、上方部に、2mmの均一なピッチのヘリカル状凹(溝)部101を有し、該ヘリカル状溝部101の一部に直径0.6mmのゲート孔102を有するものであった。
なお、第1中子1の溶解除去は、温度50〜80℃(本例では60℃)の水を機械的に(又は超音波照射により)攪拌し、この中に5〜60分(本例では15分)間浸漬することで行った。
【0042】
続いて、図1(D)に示す第1発明の工程(2)において、上記円筒体10の外側に図示省略の円筒形金型を取り付け、円筒体10の内部に円筒状のストレートピン部を具備する第2中子2を挿入し、該金型と円筒体10とで形成されるキャビティー内にポリ乳酸を射出した。
この結果、円筒体10の外面にポリ乳酸層(被覆層)3′が成形され、また、該ポリ乳酸が図示省略のゲート孔(図2の102)から円筒体10の内面に入り込み、ヘリカル状溝部にポリ乳酸層(被覆層)3が成形された。
【0043】
以後図示は省略するが、工程(3)において、第2中子2及び図示省略の金型を取り外し、表1の条件でエッチング処理したところ、高硫酸浴の場合も、高クロム酸浴の場合も、円筒体10内面の被覆層3以外の面で、ヘリカル状を呈する面が良好に粗化された。
【0044】
【表1】
【0045】
次に、工程(4)において、被覆層3,3′を溶解除去した後、メッキ用触媒を付与した。この結果、上記工程(3)で粗化された面にメッキ用触媒が付着した。
この被覆層3,3′の溶解除去は、5〜10%濃度(本例では10%濃度)のNaOH水溶液を30〜80℃(本例では40℃)に加熱し、この中に10〜80分(本例では20分)間浸漬して行った。
【0046】
また、メッキ用触媒の付与条件は次の通りとした。
メチルアルコールに、メッキ用触媒塩としての塩化第一スズと塩化パラジウムとの混合塩酸液(荏原ユージライト社製商品名“エニレックスCT−8”)を20mL/Lの割合で添加し、これを30℃に保持し、この溶液中に、上記の内面粗化円筒体100を3〜5分間(本例では4分間)浸漬した後、水洗し、60℃に加温した塩酸(50mL/L)中に60分間浸漬(アクセレータ処理)し、円筒体100の内面にメッキ用触媒を付与した。
なお、メチルアルコールに変えてエチルアルコールを使用した場合も、同様の条件でメッキ用触媒を付与することができた。
また、操作の順序を上記と逆にして、先ず上記条件でメッキ用触媒を付与し、次に被覆層4を溶解除去したところ、上記と同様の結果が得られた。
【0047】
最後に、工程(5)において、メッキを施した。
このメッキ条件は次の通りとした。
円筒体100に、表2に示す組成の銅メッキ浴を使用し表3に示すメッキ条件で、あるいは表4に示すロッシェル型又はEDTA型のいずれかの銅メッキ浴を使用し表3に示すメッキ条件で予備メッキを行った後に、表5に示す組成の銅メッキ浴を使用し表3に示すメッキ条件で本メッキを行って、厚さ0.3〜20.0μm(本例では10μm)となるように、無電解銅メッキを施したところ、上記のヘリカル状のメッキ触媒付与面にメッキが施された。
また、無電解銅メッキを0.5μm厚さとなるように施した後、電気銅メッキを0.5μm厚さとなるように施した場合も、上記と同様のメッキが施された。
【0048】
【表2】
*1PEG−1000;安定剤
【0049】
【表3】
*2浴;水1L当たりの表2又は表4のメッキ浴量
【0050】
【表4】
*3安定剤;金属(メタルイオン)系
【0051】
【表5】
【0052】
実施例2
図3(A)〜(E)の工程に沿って、第3発明を実施した。
先ず、図3(A)に示す工程(1)で、第1の溶解性合成樹脂(PVA)を用いて、円筒体11を成形し、図3(B)に示す工程(2)で、PVA製円筒体11の外面全面に、第2の溶解性合成樹脂(ポリ乳酸)を用いて、ヘリカル状突部13を成形した。
【0053】
次に、図3(C)に示す工程(3)で、PVA製円筒体11とポリ乳酸製ヘリカル状突部13とに接触させて、非溶解性合成樹脂(ABS)を用いて、円筒体10′を成形した。
このABS製円筒体10′は、実施例1と同様に、上方部に、2mmの均一なピッチのヘリカル状凹(溝)部101を有するものであるが、実施例1の円筒体10とは異なり、ゲート孔は有していない。
【0054】
このABS製円筒体10′の外面に、図3(D)において、上記と同じポリ乳酸を用いて、被覆層13′を成形した。
【0055】
続いて、図3(E)に示す工程(4)において、PVA製円筒体11を溶解除去した後、エッチング液中に浸漬した。
この溶解除去条件は、実施例1のPVA製第1中子1の溶解除去条件と同じとし、エッチング条件は、実施例1のエッチング条件と同じとした。
この結果、円筒体10′内面のポリ乳酸面13以外の面で、ヘリカル状を呈する面が粗化された。
【0056】
以後図示は省略するが、工程(5)において、先ずポリ乳酸部13及びポリ乳酸被覆層13′を溶解除去し、次いでメッキ用触媒を付与した。
ポリ乳酸部13及びポリ乳酸被覆層13′の溶解除去条件は、実施例1の被覆層3,3′の溶解除去条件と同じとし、メッキ用触媒の付与条件も、実施例1と同じとした。
【0057】
最後に、工程(6)において、実施例1と同様にしてメッキを施したところ、実施例1と同様のメッキを施すことができた。
【0058】
【発明の効果】
第1〜第3発明によれば、筒体、特に極小筒体内面の少なくとも一部に、均一なピッチで、かつ均一な厚さで、ヘリカル状メッキ又は少なくとも1本の環状メッキを、容易に施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明の一実施態様例を工程順に説明するための図で、(A)〜(C)が工程(1)に対応し、(D)が工程(2)に対応する。
【図2】第1発明の工程(1)で得られた円筒体を説明するための一部分の断面図である。
【図3】第3発明の一実施態様例を工程順に説明するための図で、(A)が工程(1)に対応し、(B)が工程(2)に対応し、(C)が工程(3)に対応し、(E)が工程(4)に対応する。
【符号の説明】
1 溶解性合成樹脂製円筒体
2 中子
3,3′ 被覆層
10 非溶解性合成樹脂製円筒体
Claims (4)
- (1)内面の少なくとも一部にヘリカル状溝部又は少なくとも一本の環状溝部を有し、かつ該溝部にゲート孔を有する非溶解性筒体を成形する工程、
(2)前記非溶解性筒体の内部に、該筒体の内径と同一外径のストレートピン部を具備する中子を挿入し、前記ゲート孔を介して溶解性合成樹脂を注入し、該筒体内面の少なくとも一部にヘリカル状又は少なくとも一本の環状の溶解性合成樹脂層を成形する工程、
(3)前記中子を外した後、前記筒体の少なくとも内面を粗化する工程、
(4)前記溶解性合成樹脂層を溶解除去した後、メッキ用触媒を付与するか、又はメッキ用触媒を付与した後、前記溶解性合成樹脂層を溶解除去する工程、
(5)メッキを施す工程、
からなることを特徴とする筒体内面への部分メッキ方法。 - (1)内面の少なくとも一部にヘリカル状溝部又は少なくとも一本の環状溝部を有し、かつ該溝部にゲート孔を有する非溶解性筒体を成形する工程、
(2)前記非溶解性筒体の少なくとも内面を粗化する工程、
(3)粗化後の前記非溶解性筒体の内部に、該筒体の内径と同一外径のストレートピン部を具備する中子を挿入し、前記ゲート孔を介して溶解性合成樹脂を注入し、該筒体内面の少なくとも一部にヘリカル状又は少なくとも一本の環状の溶解性合成樹脂層を成形する工程、
(4)前記中子を外した後、前記筒体の少なくとも内面にメッキ用触媒を付与する工程、
(5)前記溶解性合成樹脂層を溶解除去する工程、
(6)メッキを施す工程、
からなることを特徴とする筒体内面への部分メッキ方法。 - (1)の工程が、
(i)外面の少なくとも一部にヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を有する溶解性合成樹脂製柱体又は筒体の外面に、該ヘリカル状又は環状突部の外径と同一内径で、かつ該ヘリカル状又は環状突部に相当する箇所にゲート孔を有する非溶解性筒体を成形する工程、
(ii)前記溶解性合成樹脂製柱体又は筒体を溶解除去する工程、
からなることを特徴とする請求項1又は2記載の筒体内面への部分メッキ方法。 - (1)第1の溶解性合成樹脂で筒体又は柱体を成形する工程、
(2)該第1の溶解性合成樹脂製の筒体又は柱体の外面の少なくとも一部に、第1の溶解性合成樹脂とは異なる溶解性を示す第2の溶解性合成樹脂でヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を成形する工程、
(3)該ヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を有する筒体又は柱体の外面に接触させて、非溶解性筒体を成形する工程、
(4)前記第1の溶解性合成樹脂製の筒体又は柱体を溶解除去した後、前記非溶解性筒体の少なくとも内面を粗化する工程、
(5)前記第2の溶解性合成樹脂製のヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を溶解除去した後、メッキ用触媒を付与するか、又はメッキ用触媒を付与した後、前記第2の溶解性合成樹脂製のヘリカル状突部又は少なくとも一本の環状突部を溶解除去する工程、
(6)メッキを施す工程、
からなることを特徴とする筒体内面への部分メッキ方法。
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