JP4311814B2 - ストレッチ性高密度織物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高密度織物に関する。詳しくは、ポリトリメチレンテレフタレート繊維マルチフィラメント糸条で構成されたストレッチ性を有する高密度織物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリアミド系マルチフィラメント糸やポリエステル系マルチフィラメント糸を用いた高密度織物が知られており、ダウンジャケット用防寒衣料や、ブルゾン、ウィンドブレーカー用等のスポーツ衣料に広く利用されている。
しかし、一般的に高密度織物は伸びが殆どないため、運動時の身体の動きが阻害されたり、圧迫感を感じたりして自由な動きができず着用時に不快感を有する。また、高密度織物であるが故に、さらには耐水性等を付与するための撥水加工や樹脂加工によって布帛は硬さは増加し、その結果、運動や身体の動きに対して硬くかさばり自由な動きが阻害されたり、また布帛が硬いため布帛同士が接触しあった時のこすれ音が大きく、不快であるなどの問題から、近年、着用快適性を重視してストレッチ性の付与、軽量・薄肉化、風合いのソフト化などが求められている。
【0003】
その代表例として、特開平9−170175号公報には、単糸繊度0.5デニール以下の丸断面の極細マルチフィラメント糸を用いて経糸、緯糸のカバーファクターの和を2200以上とした防風性と耐水圧を向上させた織物が提案されている。しかし、この高密度布帛では、良好な耐水圧を得ることは出来るが、ストレッチ性が殆どない(後記するストレッチ率でみると2%前後)。
また、特開昭62−238842号公報には、2.08デニールのW型異型断面マルチフィラメント糸と0.28デニールの丸断面極細マルチフィラメント糸との混繊糸からなる織物が提案されている。しかし、この布帛は極細フィラメント糸により耐水圧は向上するが、ストレッチ性が殆どない。
一方、ストレッチ性を得る織物としては、例えば織物を構成する糸条として、伸縮性に優れたポリウレタン系弾性繊維(他の糸条との合撚糸、カバリング糸を含む)を用いる方法があるが、この布帛は厚く、粗硬でありかつ目が粗いため耐水性が得られない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ストレッチ性を有するソフトな風合いでこすれ音の抑えられた着用快適性に優れる高密度織物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリトリメチレンテレフタレート繊維マルチフィラメント糸条を用い、かつ特殊な処理を付与することにより達成されることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、カバーファクターが1700〜2400の高密度織物であって、該織物が緯糸方向にストレッチ率5〜14.6%のストレッチ性を有しており、かつ少なくともストレッチ性を有する方向の糸条がポリトリメチレンテレフタレート繊維マルチフィラメント糸条で構成され、該ポリトリメチレンテレフタレート繊維マルチフィラメント糸条が単糸繊度0.1〜5デニールのマルチフィラメント原糸であることを特徴とするストレッチ性高密度織物である。
ここで織物とは、平織物が最も好適であるが、綾織物、柄織物、多重織物でもよい。
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、ポリトリメチレンテレフタレート繊維とは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維をいい、トリメチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上のものをいう。従って、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が、約50モル%以下好ましくは30モル%以下、さらには20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で含有されているポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0007】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体とトリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適切な反応条件下に縮重合せしめることにより製造される。この製造過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、ポリエチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンなどとポリトリメチレンテレフタレートとを別個に製造した後、ブレンドしたり、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)してもよい。
【0008】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)、等が挙げられる。
【0009】
又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用出来る。
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有させてもよい。
【0010】
本発明においてポリトリメチレンテレフタレート繊維の紡糸については、1500m/分程度の巻取り速度で未延伸糸を得た後2〜3.5倍程度で延撚する方法、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)の何れを採用しても良い。
又、繊維の形態は、マルチフィラメント糸条であり、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面形状においても丸型、三角型、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平型、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
【0011】
糸条繊度は、一般的に高密度織物として使用される30〜150デニール、好ましくは
50〜100デニールがよく、単糸繊度は0.1〜5デニール好ましくは0.5〜3デニールがよい。糸条繊度が30デニール未満では、織物にした場合十分な強度が得られないことがあり、150デニールを超えると、織物が厚く粗硬なものになる傾向にある。また単糸繊度が0.1デニール未満では、製織性が困難となり、5デニールを超えると風合いが粗硬になる傾向にある。
さらに糸条の形態としては、マルチフィラメント原糸(極細糸を含む)があり、いずれの糸条を用いても構わない。
【0012】
尚、本発明の目的を損なわない範囲内で通常30重量%以下の範囲内で他の繊維を交絡混繊(高収縮糸との異収縮混繊糸等)、2フィード空気噴射加工等の手段で混用してもよい。混用する繊維はいかなる繊維でも構わないが、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリビニル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維を混用することができる。
本発明では、前述のポリトリメチレンテレフタレート繊維糸条を織物の緯糸及び経糸、あるいは緯糸または経糸に用いるが、交織する他の繊維はいかなる繊維でも構わない。好ましくは、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリビニル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維が用いられる。
【0013】
本発明の特徴は、ポリトリメチレンテレフタレート繊維糸条を用いている方向のストレッチ率が5〜20%、好ましくは7〜17%を有することである。ストレッチ率が5%未満では、運動時の身体の動きが阻害されたり、圧迫を感じたりして自由な動きができず不快であり、20%を超えると、伸びは十分得られるものの糸条の屈曲が大きくなりすぎ、織物表面のザラツキ、厚みの増加、耐水性の低下などを生じて好ましくない。
なお、ここで言うストレッチ率とは、カトーテック(株)製KES−FB1を用いて500g/cmの応力下で伸長されたときの伸び(%)をいう。
【0014】
本発明において、ストレッチ特性を得る方法としては、ポリトリメチレンテレフタレート繊維糸条で構成された織物(生機)を熱水、湿熱、乾熱等により高収縮処理を行い、ポリトリメチレンテレフタレート繊維糸条に細かい屈曲(即ち織りクリンプ)を付与するものである。即ち、元の織物(生機)密度と最終製品の仕上織物密度との密度差を大きくすることによって得られるものであり、予め密度を粗く設計した織物を高収縮処理により高密度化して、糸自身の収縮以外に組織収縮を起こさせることによって経又は緯方向に細かい屈曲(織りクリンプ)を与えて所望のストレッチ性を付与する。
ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、従来のポリエステル系繊維の代表例であるポリエチレンテレフタレート繊維やポリブチレンテレフタレート繊維に比べて繊維のヤング率が小さいため、非常に曲げ柔らかいという特徴を有しており、この曲げ柔らかさが組織収縮を起こさせる大きな要因になっている。
この非常に曲げ柔らかいポリトリメチレンテレフタレート繊維糸条を用いることで、緯糸が経糸に又は経糸が緯糸に充分巻き付いた形態の生機織物を製造することができ、その形態をさらに増大させる熱処理加工を実施すれば緯糸が経糸に又は経糸が緯糸に巻き付いた形態いわゆる緯糸又は経糸にクリンプがついた形態の織物ができ、そのクリンプの伸縮により高い伸びが発現できるものである。
【0015】
この高収縮処理は、元の織物(生機)に対して10〜40%の幅入れ率とする。幅入れ率が10%未満では十分なストレッチ性が得られず、40%を越えると織物にシワができたり、大きな目曲りが発生し、品位を低下させる。
ストレッチ性を付与するより好ましい方法としては、生産性、外観品位、性能等の面から、経糸密度を粗く設計し、少なくとも緯糸にポリトリメチレンテレフタレート繊維糸条を用いた織物(生機)を、経方向は殆ど緊張下で精練前又は精練後に熱処理により幅入れ(高収縮処理)を行い、緯方向にストレッチ性を付与する。経糸を粗く設計して緊張下で熱処理することにより幅入れ率が向上し、実質的にストレッチ率の大きなものが得られる。
【0016】
なお、経方向にストレッチ性を付与するには、少なくとも経糸にポリトリメチレンテレフタレート繊維糸条を用いた織物(生機)を、緯方向は殆ど緊張状態で精練前又は精練後に熱処理により追い込み(高収縮処理)を行う。
熱処理条件としては、乾熱処理の場合は織り耳把持のテンター、織り耳不把持(フリー)のコンベア方式のショートループ・ネット処理、ドラム処理などの装置を用いて行うが、所望のストレッチを得るためには、経、緯方向に寸法制御のきくピンテンター方式の使用が好ましい。熱処理温度としては、150〜210℃で処理するのが好ましく、温度が150℃未満では十分な収縮処理が行えず、所望のストレッチ性が得られず、210℃を越えると強度低下や風合いが粗硬となる。
また、熱水処理の場合は、揉み効果の大きい液流染色機等の装置を用いて100〜140℃で処理するのが好ましい。100℃未満では十分な収縮処理が行えず、所望のストレッチ性が得られない。140℃以上では特殊な装置が必要であり生産性に問題がある。
【0017】
なお、熱水処理の場合は、生機、あるいは精練後の織物を直接前記熱水処理を行うと、糸、組織の急激な高収縮化により大きなシワ等が発生するため、熱水処理前に、軽い熱プレセットを150℃以下で行っておくことが好ましい。
また、本発明における精練は、製織後の織物に付着している紡糸オイルや経糸糊剤などを除去する工程であり、この精練で用いられる処理液としては、水または界面活性剤とアルカリを含む水溶液が良い。該精練を行う方法としては限定されないが、織物の精練で一般的に用いられているオープンソーパー型連続精練機、液流型染色機、浴中懸垂型連続精練機、ウインス染色機、ソフサ精練機などを用いて100℃以下で処理するのが好ましい。
熱処理及び精練を終了した後は、一般的な加工工程である染色・仕上げの工程を行う。風合をよりソフトにする場合には、染色前にアルカリ減量加工を行っても差し支えない。
【0018】
さらに本発明では、織物のカバーファクターは一般にいう高密度織物のカバーファクターよりもやや低く設定する。これは、一般にいう高密度織物は耐水性向上のために織り糸間空隙を極力なくす方向で製織段階にて高密度織りして仕上げるが、本発明では、若干密度が粗くても高収縮処理により隣接する織り糸同志が重なり合うために織り糸間空隙が殆どなくなるためである。本発明では所望のストレッチ性と良好な耐水性、ソフトな風合いを得るために織物のカバファクターは1700〜2400、好ましくは1800〜2200に設定する。
【0019】
ここでいうカバーファクターとは、織物の経糸又は緯糸が幅2.54cm当たりに並ぶ本数をそれぞれの糸密度とする時、次式で与えられる。
カバーファクター=(経糸密度×√経糸のデニール)+
(緯糸密度×√緯糸のデニール)
なお、カバーファクターが1700未満では、十分な耐水性が得られず、またカバーファクターが2400を越えると所望のストレッチ性が得られず、風合いも粗硬となる。
【0020】
本発明においては、高密度織物でありながら、ポリトリメチレンテレフタレート繊維糸条のもつ低ヤング率のソフトさ、ストレッチ性に加えて、細かい屈曲(織りクリンプ)の付与効果と適度のカバーファクターにより、所望のストレッチ性と耐水性を具備した、よりソフトでノイズレスな従来では得られない着用快適性に優れた織物が得られる。
本発明における着用快適性とは、運動時の身体の動きに対して布帛が追随し、身体の動きが阻害されずに圧迫感も感じずに軽く自由な動きができる状態、および布帛のゴワゴワ性、布帛同志の擦れ音などを感じずに快い着用感覚をいう。
【0021】
このようにして得た本発明の高密度織物は、上記性能面からダウンプルーフ性(防寒衣料に充填されるダウン素材が生地表面に抜け出してくるのを防ぐ性能)に優れ、なおかつ良好な通気性を合わせ持つためダウンジャケット用防寒衣料として着用快適性に優れたものが得られる。
また、本発明ではこのようにして得た高密度織物に撥水剤処理と場合によっては目つぶし加工を行うことにより、前記性能を保持しながら撥水、耐水性の良好なノンコートの防水性織物が得られ、レインコートやスポーツ用ウィンドブレーカー向けなどとして着用快適性に優れたものが得られる。
【0022】
この防水性織物の加工は、撥水剤としては、シリコン系、フッ素系、ワックス系、ジルコニウム塩系、エチレン尿素系、メチロールアミド系、ピリジニウム塩系、金属石鹸類などを使用することができ、特に限定するものではないが、好ましくはシリコン系、フッ素系の撥水剤が撥水効果、耐久性面で優れる。なお、前記撥水剤には、必要に応じて架橋剤、触媒、樹脂等を添加してもよい。この撥水剤の加工法は、スプレー、浸漬絞液、キスロールなどの手段によって加工することができる。
また、目つぶし加工は、該撥水剤処理加工後の織物にプレス加工することにより、織物面を平滑にし、かつ繊維間げきを少なくして耐水性をより向上させるものであり、同時に、風合いをより柔軟化する効果がある。
【0023】
このプレス加工法としては、二対のロール、ベルト、平板などの間で常温あるいは高温下で加圧して加工を行うが、加工性、目つぶし効果、風合い面などから一方がメタル性の加熱ロール、他方がメタル製、樹脂製など硬質の低温ペーパーロール、あるいはゴム、フェルトなど中硬質の低温ロールとからなる一般のカレンダー加工機を用いるのが好ましい。
プレス条件としては、加熱ロールは120〜200℃、好ましくは140〜180℃とし、低温ロールは120℃以下とする。加熱ロールが120℃未満では目つぶし効果が薄れて十分な耐水性が得られず、また200℃を越えると風合いが硬くペーパーライクとなる。一方低温ロールが120℃を越えると風合いが硬くペーパーライクとなる。また、圧力としては、線圧100〜400kg/cmが好ましい。線圧が100kg/cm未満では、目つぶし効果が小さく十分な耐水性が得られず、また400kg/cmを越えると風合いが硬くペーパーライクとなる。
【0024】
また、本発明ではこのようにして得た高密度織物又は防水性織物に樹脂をコーティングあるいはラミネートすることにより、前記性能に加え高耐水性の透湿・防水性織物を得ることができ、過酷な環境下でのスポーツ衣料用途として着用快適性に優れたものを得ることができる。
この透湿・防水性織物の加工は、樹脂としてはポリウレタン系重合体、ポリアクリル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリエステル系重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、ポリフッ素系重合体等が挙げられるが、好ましくは風合い面からポリウレタン系重合体を用いたものがよい。皮膜構造としては、微多孔質皮膜、無孔質皮膜のどちらでも使用できる。
【0025】
無孔質皮膜は上記重合体に−SO3 H、−SO3 M(M:アルカリ金属又は−NH4 )、−COOM、−COOH、−NH2 、−CN、−OH、−CONH2 、等の親水基を有する重合体であればよく、この親水基を含有した重合体を乾式凝固にて皮膜形成させると、この親水基により透湿性が得られ、なおかつ、無孔質皮膜のため高耐水性の織物が得られる。
また、重合体皮膜を微多孔質皮膜にするには、重合体に発泡剤を添加し凝固後に発泡させる方法、重合体に微粒子を添加し凝固後微粒子を溶解抽出する方法、及び重合体を溶解した重合体溶液と、重合体を溶解せず溶媒と均一に混合することができる溶媒を混合して皮膜を形成した後、両方の溶媒を抽出し微多孔を形成する湿式凝固方法等があるが、膜、微多孔の均一、安定性面から湿式凝固方法が好ましい。
【0026】
樹脂のコーティング方法は、特に限定されないが、一般的にはフローティングナイフコーター、ナイフオーバーロールコーター、リバースロールコーター、ロールドクターコーター、グラビアロールコーター、キスロールコーター、ニップロールコーターなどを用いてコーティングすることができる。
また、樹脂のラミネート方法は、前記樹脂のフィルム(膜)を用いて、予め織物に塗布した接着剤と張り合わせて加熱接着する。
織物とフィルムを接着させるための接着剤は、ポリウレタン系重合体、ポリアクリル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリエステル系重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル系重合体等が使用できるが、好ましくはポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリエステル系重合体である。
【0027】
接着剤の塗布方法は、一般的なフローティングナイフコーター、ナイフオーバーロールコーター、リバースロールコーター、ロールドクターコーター、グラビアロールコーター、キスロールコーター、ニップロールコーターなどを用いて織物全面に塗布する全面接着法と点状又は線状に部分的に塗布する部分接着法があり、特に限定するものではなく適宜選定して使用することができる。
なお、前記コーティング、ラミネートにおける膜厚は、風合い面から5〜20μmであり、膜厚が5μm未満では、均一な膜厚が難しく十分な耐水性が得られず、また20μmを越えると膜厚が大きすぎて風合いが硬くなる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、布帛特性の測定方法を以下に説明する。
(1)ストレッチ率(%)
カトーテック(株)製のKESーFB1を用いて20×20cmの織物を引っ張り速度=0.2mm/secで織物の緯方向に伸長したときの500g/cm応力下での伸び(%)を次式により求めた。
伸び(%)=(A/20)×100
A:500g/cm応力下で伸びた長さ(cm)
【0029】
(2)風合い
布帛のソフト感を官能検査により、◎:非常に良好、○:良好、△:やや劣る、×:非常に劣る、の4段階で評価した。
(3)こすれ音
10分間のランニング時の布帛のこすれ音(ノイズ)を官能検査により、◎:こすれ音が少なく良好、○:こすれ音がややあるが良好、△:こすれ音がやや大で劣る、×:こすれ音が大で非常に劣る、の4段階で評価した。
(4)通気度(cc/cm2 /sec)
JIS−L−1096(A法)に準拠して測定した。
【0030】
(5)ダウンプルーフ性
17×17cmの試料を2枚重ね合わせ、1cmの縫い代で3辺を縫い、中にダウン12g挿入後、残りの1辺を縫って小型座布団を作成する。この小型座布団を20×20cmのポリエチレン袋に入れ、空気が入り込まない程度に密閉し、ICIピリングテスターのボックス内に小型座布団と下記に示す規定のボールを入れ、以下の条件でボックスを回転させた後に試料を貫通したダウンの本数を測定した。
ボール :(大)軟式野球ボール φ61mm・2個
(小)ゴルフボール φ42mm・2個
回転条件:速度60rpm
処理時間:5時間
【0031】
(6)耐水圧(mmH2 O)
JIS−L−1092(A法)に準拠して測定した。
本発明において実施例に使用したポリトリメチレンテレフタレート繊維は、次のようにして準備した。
ηsp/c=0.8のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸温度265℃、紡糸速度1200m/分で紡糸して未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3倍、延伸速度800m/分で延撚して50d/36fの延伸糸を得た。延伸糸の強伸度は、各々3.2g/d、46%であった。
なおηsp/cは、ポリマーを90℃でo−クロロフェノールに1g/デシリットルの濃度で溶解し、その後、得られた溶液をオストワルド粘度管に移し35℃で測定し、下記式により算出した。
ηsp/c=(T/T0 −1)/C
T :試料溶液の落下時間(秒)
T0 :溶剤の落下時間(秒)
C :溶液濃度(g/デシリットル)
【0032】
【比較例1】
50デニール36フィラメントの通常のポリエステル繊維であるポリエチレンテレフタレート繊維糸条を経糸、緯糸としてそれぞれの織り密度が190本/in、140本/inの平組織の生機を得た。該生機をリラックス精練後、130℃でサーキュラ染色を行い乾燥後、下記条件で撥水、カレンダー加工を行った。得られた織物の物性結果を表1に示すが、ストレッチ性がなく、風合いは粗硬なものであった。
撥水加工処方:アサヒガードLS−317(旭硝子社製) 6%
スミテックスレジンM−3(住友化学社製) 0.3%
スミテックスアクセレータ−ACX(同上) 0.03%
イソプロパノール 3%
上記配合の水分散液に織物を浸せき後、ゴムロールで絞液し、160℃で1分間熱処理を行った。
カレンダー加工:上ロール180℃の金属ロール、下ロール80℃の樹脂製ペーパーロール、線圧250kg/cm
【0033】
【比較例2】
50デニール36フィラメントのポリトリメチレンテレフタレート繊維糸条を経糸、緯糸としてそれぞれの織り密度が190本/in、140本/inの平組織の生機を得た。該生機をリラックス精練後、130℃でサーキュラ染色を行い乾燥後、前記比較例1と同条件で撥水、カレンダー加工を行った。得られた織物の物性結果を表1に示すが、ストレッチ性がなく、風合いは粗硬なものであった。
【0034】
【実施例1】
50デニール36フィラメントのポリトリメチレンテレフタレート繊維糸条をを経糸、緯糸としてそれぞれの織り密度が120本/in、120本/inの平組織の生機を得た。該生機をピンテンター型の乾熱処理機を用いて、経方向は緊張状態で幅方向に幅入れ率20%で200℃で30秒間、熱処理を行った。このときの幅入れ率は、式〔(生機幅−幅入れ時の設定幅)/生機幅〕×100、で算出した。
次いで、連続精練機で糊抜きした後、120℃でサーキュラー染色を行い乾燥後、比較例1と同様に撥水、カレンダー加工(但し、上ロール140℃の金属ロール使用)を行った。得られた織物の物性結果は表1に示すとおり、ストレッチ性がありソフトで耐水性も良好なものであった。
【0035】
【実施例2〜4、比較例3〜4】
前記実施例1において、経密度を86、100、148、72、195本/inに変化させた生機(緯密度は同一)を、いずれも幅入れ率20%で同一熱処理を行い、カバーファクターを変えた織物を作成し、実施例1と同様の後処理を行った。得られた織物の物性結果を表1に示すとおり、本発明の範囲内の実施例2〜4はストレッチ性があり、ソフトで耐水性も良好であったが、比較例3は耐水性が低く、比較例4はストレッチが低く、風合いも粗硬であった。
【0036】
【表1】
【0037】
【実施例5、6、比較例5】
実施例2の生機を使用して、熱処理時の幅入れ率を35、40、45%に変化させて、他は実施例2と同一の処理を行った織物を得た。得られた織物の物性結果は表2に示すとおり、本発明の範囲内の実施例5、6はストレッチ性があり、ソフトで耐水圧も良好であったが、比較例5は、織物表面にシワ、目曲りが発生し品位不良であった。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】
以上のとおり本発明の織物は、ストレッチ性が付与されたものであり、風合いがソフトで、織物同士の接触による擦れ音が低減されており、ダウンプルーフ用として、また撥水性を付与することによりノンコートのウインドブレーカ用として、またコーティング加工することにより透湿耐水性の衣料として着用快適性に優れており、スポーツ用、防風防寒用衣料として好適な織物を提供することができる。

Claims (1)

  1. カバーファクターが1700〜2400の高密度織物であって、該織物が緯糸方向にストレッチ率5〜14.6%のストレッチ性を有しており、かつ少なくともストレッチ性を有する方向の糸条がポリトリメチレンテレフタレート繊維マルチフィラメント糸条で構成され、該ポリトリメチレンテレフタレート繊維マルチフィラメント糸条が単糸繊度0.1〜5デニールのマルチフィラメント原糸であることを特徴とするストレッチ性高密度織物。
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