JP4311589B2 - 再剥離型感圧接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、再剥離性に優れるアクリル系感圧接着剤組成物およびこれを用いてなる再剥離型粘着製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、再剥離型粘着剤の成分としては、天然ゴムや合成ゴム等の弾性体、またはアクリル系樹脂に、可塑剤やシリコーン化合物等の添加剤を配合したものが知られており、この添加剤の配合によって接着昂進(接着力の経時的上昇)を抑制し、再剥離性を良好にしている。
【0003】
しかしながら、上記従来の手法では、剥離特性にばらつきが生じやすいという欠点があった。また、ベースポリマーとしてアクリル系樹脂を用いた場合には、該樹脂と添加剤との相溶性が必ずしも良好でないため、例えば、被着体に上記粘着剤を貼着して高温高湿下に保存した後に剥離すると、粘着剤の一部が被着体表面に転移し、被着体を汚染してしまうという欠点もあった。
【0004】
そこで、上記ベースポリマーである共重合体を架橋することによって、被着体への粘着剤の転移を抑えることを目的として、架橋剤を添加する方法が開示されている。しかし、この方法では接着昂進の抑制がまだ十分ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の欠点を改良するため、アクリル系樹脂に配合する添加剤についていくつかの検討がなされている。例えば、特開昭58−141271には、添加剤として、エチレン性不飽和カルボン酸の誘導体にリン酸、スルホン酸、又は硫酸あるいはそれらのアルカリ塩を付加した化合物を用いる方法が開示され、また、特開平10−287850には、添加剤として、非イオン性界面活性剤を用いる方法が開示されている。
【0006】
しかし、上記の方法によっても、接着昂進の抑制は未だ十分なものとは言えず、特に高温・高湿条件下で長時間曝された場合に、剥離時の被着体の汚染が起こる傾向が高い。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、高温・高湿条件下で長時間曝された場合においても十分な接着昂進の抑制が働き、剥離時の被着体の汚染がない、優れた再剥離性を有する感圧接着剤組成物とそれを用いた再剥離型粘着製品を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、添加剤として、特定の構造を有する多価カルボン酸化合物を用いることにより、あらゆる被着体に接着可能で、高温・高湿条件下で長時間曝された場合においても十分な接着昂進の抑制が働き、剥離時の被着体の汚染がない、優れた再剥離性を有する感圧接着剤組成物が得られることを見いだし、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明の再剥離型感圧接着剤組成物は、炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体(A)と、一般式HOOC−R−COOH(Rは炭素数8〜28の飽和または不飽和炭化水素基)である多価カルボン酸化合物(B)とを含むことを特徴とする。
また、本発明の再剥離型粘着製品は、本発明にかかる再剥離型感圧接着剤組成物を用いてなることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の再剥離型感圧接着剤組成物は、炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体(A)を主成分とする。成分(A)は、具体的には、少なくとも1種以上の、炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を主モノマーとし、必要に応じて他の共重合可能なモノマーを使用することにより得られる。
【0010】
上記の炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、成分(A)を構成する前単量体成分中、50重量%以上含有していることが好ましい。50重量%よりも少ないと、良好な粘着特性が得にくいからである。
【0011】
上記の必要に応じて使用する他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メチロール基、アミノ基、グリシジル基、燐酸基、スルホン酸基、エチレンイミン基、イソシアネート基等の極性基を有するモノマーがある。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−メチルアミノエチルアクリレート、N−トリブチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、モノ(2−ヒドロキシエチル−α−クロロアクリレート)アシッドホスフェート、ビニルイソシアネート等が挙げられる。これら極性基を有するモノマーは、成分(A)を構成する前単量体成分中、0.01〜25重量%含有していることが好ましい。
【0012】
また、上記の極性基を有するモノマー以外に、例えば、ビニルエステル、ビニルピリジン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレン等のモノマーを使用してもよい。
重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20万以上、より好ましくは30万以上である。重量平均分子量(Mw)が十分に高ければ、後述の架橋剤(C)の使用量を少なくしても、十分な接着昂進の抑制が働き、剥離時の被着体の汚染がない、優れた再剥離性を有する感圧接着剤組成物が得られるので好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)にて測定し、標準ポリスチレンから作製した検量線より算出した。
【0013】
また、重合体(A)のガラス転移温度(以下Tgと称す)は、−20℃〜−70℃の範囲が好ましい。−20℃より高いと、常温で良好な接着性を示さないので好ましくない。また、−70℃より低いと、凝集力が低くなり、粘着製品とした時の粘着剤のはみ出しや剥離時の凝集破壊による被着体汚染が起こりやすくなり、好ましくない。なお、Tgは以下の計算式または、示差熱分析測定(DTA)や示差走査熱量測定(DSC)の測定値で示される。
【0014】
1/Tg(K)=W1 /Tg1 +W2 /Tg2 +・・・+Wn /Tgn
Wn :各単量体の重量分率
Tgn :各単量体の単独重合体のTg(K)(K:絶対温度単位)であり、ポリマーハンドブック(3rd Ed.,J.Brandrup and E.H.Immergut,WILEY INTERSCIENCE)中の値など、一般に公開されている掲載値を用いた。
【0015】
重合体(A)は、適量のカルボキシル基、つまり適当な酸価を有することが好ましい。酸価は、対象物質1g中の酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数で示され、重合体(A)の酸価は3〜150であることが好ましい。より好ましくは3〜100、最も好ましいのは10〜80である。重合体(A)の酸価が3〜150であれば、重合体(A)の適量のカルボキシル基が、多価カルボン酸化合物(B)のカルボキシル基と適度な化学的相互作用が期待でき、多価カルボン酸化合物(B)の接着界面への配向速度を適度にしたり、多価カルボン酸化合物(B)との相溶性を良好にする効果も期待できる。また、適量のカルボキシル基は架橋剤(C)との反応点としても利用されうるので好ましい。一方、重合体(A)の酸価が150より高いと、重合体(A)が固くなって、良好な粘着性が得られない場合があり、また、多価カルボン酸化合物(B)との化学的相互作用が強くなりすぎて、(B)成分の接着界面への適度な配向を阻害することがあるので好ましくない。また、重合体(A)の酸価が3より小さいと、重合体(A)と多価カルボン酸化合物(B)との適度な化学的相互作用がなく、重合体(A)と多価カルボン酸化合物(B)との相溶性が低下したり、剥離時に被着体汚染を生じたりして、好ましくない。
【0016】
上記重合体(A)を製造する方法については特に限定されないが、例えば、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合(エマルション重合)等により製造することができ、いずれの重合方法においても、通常のアクリル系粘着剤の製造に用いられるラジカル重合開始剤を使用する方法が工業的には最も好ましい。
上記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、有機過酸化物系重合開始剤やアゾ系重合開始剤等が挙げられる。上記有機過酸化物系重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。上記アゾ系重合開始剤としては、具体的には、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これら重合開始剤は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、これら重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではない。
【0017】
具体的な重合方法として工業的に好ましいものは、溶液重合法である。溶液重合法を用いることにより、重合時の重合熱の除去が容易であり、作業性が良くなるからである。
溶液重合で用いられる溶媒としては、具体的には、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられるが、上記重合反応を阻害するものでなければ、特に限定されるものではない。これら溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0018】
本発明の再剥離型感圧接着剤組成物は、上述の成分(A)に加えて、多価カルボン酸化合物(B)を含む。この成分(B)のカルボキシル基は、遊離していても、一部または全部が塩の形(アンモニウム、カリウム、ナトリウム塩等)となっていても良いが、有機溶剤への溶解性あるいは重合体(A)との相溶性を考慮すると、遊離している酸(COOH)が多いもの、あるいは全部が遊離しているものが好ましい。
【0019】
前記多価カルボン酸化合物(B)は、分子量が2000以下であることが好ましく、より好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下である。分子量が2000よりも大きいと、接着界面への適度な配向が起こりにくく、再剥離性に欠けるので、好ましくない。
前記多価カルボン酸化合物(B)は、酸価が180以上であることが好ましい。酸価が180未満だと、成分(B)の接着界面への適度な配向が起こりにくく、また、重合体(A)との相溶性が小さくなるので被着体汚染の原因になることがあり、好ましくない。
【0020】
前記多価カルボン酸化合物(B)は、一般式HOOC−R−COOH(Rは炭化水素基)で表される二塩基酸化合物である。
【0021】
(B)成分が2塩基酸である場合は、適度な極性を有するため、重合体(A)との相溶性に優れ、かつ接着界面への配向が適度な速度で行われるので、接着性と再剥離性とのバランスに優れる再剥離型感圧接着剤組成物を提供できる。また、上記一般式HOOC−R−COOHにおける炭化水素基Rも、2塩基酸の極性を調節する役目を有し、重合体(A)との相溶性および接着界面への配向性に関与していると推定される。
【0022】
一般式HOOC−R−COOH(Rは炭素数8〜28の飽和または不飽和炭化水素基)である(B)成分は、上記一般式中のRが炭化水素基であり、飽和、不飽和、さらに、直鎖状、分岐状は問わないが、炭素数8〜28の飽和または不飽和炭化水素基であり、例えば、α,β−不飽和ジカルボン酸または該ジカルボン酸の無水物とアルケンとの反応により、または、さらに水素添加することによって得られるアルケニル若しくはアルキル基を有する置換コハク酸や、アルキル二酸等が挙げられる。
【0023】
前記アルケニルコハク酸としては、オクテニルコハク酸、ノテニルコハク酸、デセニルコハク酸、ウンデセニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸(三洋化成製品:PDSA−DB)、ヘキサデセニルコハク酸、ヘプタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ノナデセニルコハク酸、エイコセニルコハク酸、上記アルケニルコハク酸の混合物(例えば、花王株式会社製のラテムルASKの未中和品)などが挙げられる。
【0024】
前記アルキルコハク酸としては、オクチルコハク酸、ノニルコハク酸、デシルコハク酸、ウンデシルコハク酸、ドデシルコハク酸、トリデシルコハク酸、テトラデシルコハク酸、ペンタデシルコハク酸、ヘキサデシルコハク酸、ヘプタデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸、ノナデシルコハク酸、エイコシルコハク酸などが挙げられる。
【0025】
前記アルキル二酸としては、デカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、エイコサン二酸、2−メチルノナン二酸、8,9−ジフェニルヘキサデカン二酸、SLB−12(岡村製油株式会社製)、ULB−20(岡村製油株式会社製)、SL−20(岡村製油株式会社製)、SB−20(岡村製油株式会社製)、ST−2P(岡村製油株式会社製)、IUP−22(岡村製油株式会社製)、IPS−22(岡村製油株式会社製)などが挙げられる。
【0026】
上記の(B)成分の具体例の中でも、極性のバランスが優れている点で、特にアルケニルコハク酸が好ましく、アルケニル基の炭素数が13〜17のアルケニルコハク酸が特に好ましい。
重合体(A)に対する(B)成分の添加量は、成分(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部であり、好ましくは0.3〜10重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部である。上記の添加量が0.1重量部よりも少ない場合は、再剥離性が発現しにくいので好ましくない。一方、上記添加量が20重量部よりも多い場合は、初期粘着力が低くなり好ましくない。
【0027】
重合体(A)への(B)成分の添加方法としては、特に限定されないが、例えば、重合体(A)の溶液を作製した後に、その溶液へ直接、あるいは、溶剤に(B)を溶解させたものを、所定量添加し、均一になるまで十分に攪拌する方法等が挙げられる。このとき、(B)を溶解させる場合の溶剤は、重合で使用した一般的な溶剤で、(B)の溶解が可能なものであれば特に限定はされない。また、重合体(A)を重合する前あるいは重合中に、反応系中に(B)を直接、あるいは、溶剤に(B)を溶解させたものを添加してもよい。
【0028】
本発明の再剥離型感圧接着剤組成物は、上記ベースポリマーである重合体(A)を架橋することを主目的として、架橋剤(C)を含有していてもよい。特に、重合体(A)の分子量が低い場合には、架橋することによって再剥離性が良くなる。上記架橋剤としては、上記重合体(A)が有する反応性官能基と反応し得る官能基を1分子当たり2個以上有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、例えば、多官能エポキシ化合物、多官能メラミン化合物、多官能イソシアネート化合物、金属架橋剤、アジリジン化合物等の、重合体(A)の水酸基あるいはカルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物が好ましく挙げられる。
【0029】
上記多官能エポキシ化合物としては、1分子当たりエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン等が挙げられる。
【0030】
上記多官能メラミン化合物としては、1分子当たりメチロール基、アルコキシメチル基、イミノ基のうちいずれかの官能基を2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン等が挙げられる。
【0031】
上記多官能イソシアネート化合物としては、1分子当たりイソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;スミジュールN(住友バイエルウレタン社製)等のビュレットポリイソシアネート化合物;デスモジュールIL、HL(バイエルa.G.社製)、コロネートEH(日本ポリウレタン工業株式会社製)等の、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物;スミジュールL(住友バイエルウレタン社製)、コロネートL(日本ポリウレタン工業株式会社製)等のアダクトポリイソシアネート化合物等が挙げられる。また、これら多価イソシアネート化合物のイソシアネート基が活性水素を有するマスク剤と反応して不活性化したブロックイソシアネートを用いることもできる。
【0032】
上記金属架橋剤としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、アルミニウム、亜鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、銅、カルシウム、バリウム、チタン、マンガン、鉄、鉛、ジルコニウム、クロム、錫等の金属にアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、サリチル酸メチル等が配位した金属キレート化合物等が挙げられる。
【0033】
上記アジリジン化合物としては、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフォンオキサイド、N,N’−ジフェニルエタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
【0034】
これら架橋剤は1種のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記重合体(A)に対するこれら架橋剤の添加量は、成分(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、0.5〜5重量部の範囲がより好ましい。上記添加量が0.1重量部よりも少ない場合、架橋点が不十分となるため架橋密度が十分でなくなり、凝集力が不足するおそれがあるので好ましくない。一方、上記添加量が10重量部よりも多い場合は、架橋密度が高くなりすぎて、粘着力が低下するために好ましくない。
【0035】
本発明の再剥離型感圧接着剤組成物は、上述の成分(A)、(B)、(C)以外に、必要に応じて、通常の粘着剤に用いられる粘着付与剤を添加してもよい。粘着付与剤としては、(重合)ロジン系、(重合)ロジンエステル系、テルペン系、テルペンフェノール系、クマロン系、クマロンインデン系、スチレン樹脂系、キシレン樹脂系、フェノール樹脂系、石油樹脂系等の粘着付与剤が挙げられる。これら粘着付与剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記重合体(A)に対するこれら粘着付与剤の添加量は、特に限定されるものではないが、重合体(A)100重量部に対して、5〜100重量部の範囲内が好ましく、10〜50重量部の範囲内がさらに好ましい。上記(A)成分に対する粘着付与剤の添加量が5重量部よりも少なければ、被着体に対する粘着性が改善されないおそれがあるので好ましくない。一方、上記添加量が100重量部よりも多ければ、タックが減少して、粘着力が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0036】
また、本発明の再剥離型感圧接着剤組成物には、必要に応じて、通常の粘着剤に用いられる充填剤、顔料、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の従来公知の種々の添加剤を添加してもよい。これら添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、これら添加剤の添加量は、所望する物性が得られるように、適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0037】
このようにして得られる本発明の再剥離型感圧接着剤組成物は、従来の粘着剤および接着剤の用途全般に用いることができ、特に、再剥離が必要な用途にはいずれも使用可能である。本発明の再剥離型感圧接着剤組成物は、粘着シート、粘着テープ、両面テープ等の粘着製品の粘着剤および接着剤に特に好適に使用できる。より具体的な用途としては、ガラス板、金属板、プラスチック板等の保護フィルム用、塗装時に使用されるマスキングテープ・養生テープ用、建設部材等の仮押さえ用粘着テープ、使用後剥離が必要となるリサイクル関連粘着テープ(片面あるいは両面テープ)用、熱線・紫外線吸収フィルム用などが挙げられ、基材としては、例えば、クラフト紙等の紙、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエチレンクロスシート、ポリプロピレンシート、フォーム(発泡体)、不織布などが挙げられる。なお、該粘着剤あるいは接着剤は、上記粘着製品の片面あるいは両面に粘着加工されていてもよい。また、上記の基材なしで、上記粘着剤をそのまま用いてもよい。そして、本発明の特徴でもある(B)成分の量を調整することにより、微粘着タイプから強粘着タイプまで粘着力の調節もある程度可能である。
【0038】
粘着剤の粘着製品への加工方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の方法を用いることができる。具体的には、例えば、基材に直接塗布する方法、離型紙に予め塗布したものを転写する方法等を用いることで、粘着剤を粘着製品に、容易に加工することができる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明に係る実施例および比較例について説明するが、本発明は実施例により何ら制限されるものではない。なお、以下において「部」は重量部を、「%」は重量%を示す。
[(メタ)アクリル酸系共重合体(A)の合成例]
攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロート、不活性ガス導入管を装着した2L4つ口フラスコに下記原料を仕込み、窒素ガス封入下、攪拌・加熱しながら、重合開始剤を添加し、重合反応を開始した。
【0040】
アクリル酸2−エチルヘキシル:293.4部
アクリル酸:25.6部
アクリル酸2−ヒドロキシルエチル:1.0部
酢酸エチル:391.1部
過酸化ベンゾイル系開始剤(ナイパーBMT−K40、日本油脂製):0.64部
80℃で反応を開始し、以後、反応温度は80℃に維持した。開始剤投入から20分後に下記の滴下用モノマープレミックスを約90分間かけて添加し、反応を継続した。滴下用モノマーの添加後、約7時間反応を継続し、その後重合反応を終了した。粘度の上昇に伴い、トルエンを適宜追加し、最終の不揮発分が約48%となるように調節した。
【0041】
アクリル酸2−エチルヘキシル:440.2部
アクリル酸:38.4部
アクリル酸2−ヒドロキシルエチル:1.4部
酢酸エチル:21.3部
過酸化ベンゾイル系開始剤(ナイパーBMT40−K40、日本油脂製):0.48部
得られた上記アクリル共重合体溶液(A)は、不揮発分47.4%、粘度11400mPa・s(25℃、B型粘度計)、重量平均分子量Mw43万、数平均分子量Mn4.3万(ポリスチレン換算ゲルパーミエーションクロマトグラフ)であった。
[実施例1〜5]
上記で得られたアクリル共重合体溶液(A)に、表1に記載の配合比率で添加剤(B)の50%トルエン溶液を配合し、約10分間以上攪拌した。この混合物に、さらに表1に記載の所定量の架橋剤(C)(コロネートL、日本ポリウレタン工業株式会社製)を投入した後、10分以上攪拌し、本発明の再剥離型感圧接着剤組成物(1)〜(5)の溶液を得た。
【0042】
なお、添加剤(B)としては、ラテムル未中和品(花王株式会社製の「ラテムルASK」の完全遊離酸)または、PDSA−DB(三洋化成株式会社製、ペンタデセニルコハク酸)を用いた。
【0043】
【表1】
【0044】
得られた再剥離型感圧接着剤組成物(1)〜(5)の溶液を、ポリエチレン製フィルムに、乾燥後の感圧接着剤層の厚みが約55μmとなるように塗布して、80℃で3分間の加熱による溶剤の揮発後、感圧接着剤面にポリエチレン製フィルムの背面をあて、感圧接着テープ材料とした。これを40℃・80%RHで3日間熟成させた後、常態および熱処理後の粘着力試験、および、再剥離製試験を行った。結果を表2に示した。なお、試験方法は以下に記載の通りである。
【0045】
【表2】
【0046】
(粘着力試験)
▲1▼常態
23℃、65%RHの雰囲気下で、幅25mmの上記塗工試料を被着体に圧着した。圧着は2kgハンドローラーで1往復して行った。貼り付け20分後に、180°剥離試験機(速度300mm/分)で剥離強さを測定した。
【0047】
そして、各試験点について3回の試験を行い、その平均値をピール値とした。
▲2▼熱処理後
上記の常態値測定時と同様に試料を被着体に圧着し、貼り付けた状態で60℃において2日間熱処理した。熱処理終了後、23℃、65%RHで1時間調温した後に、測定を行った。測定方法、データ処理方法は上記の常態値測定時と同様の方法で行った。
(再剥離試験)
上記の粘着力試験の時と同様に試料を作製し、60℃で2日間熱処理した。熱処理終了後、常温まで放冷した後、試験片の端を持って素早く、またはゆっくりとはがした。この時の被着体への糊残り、基材破壊の様子を以下のように表した。
【0048】
○:被着体への糊残り、基材破壊がともになし。
×:被着体への糊残り、または、基材破壊があり。
[比較例1]
添加剤(B)として何も添加しなかった以外は実施例1と同様の操作を行い、接着剤組成物(6)の溶液を得た。得られた組成物(6)の溶液について実施例1と同様の処理を行い、常態および熱処理後の粘着力試験、および、再剥離製試験を行った。結果を表2に示した。
【0049】
【発明の効果】
本発明の再剥離型感圧接着剤組成物は、あらゆる被着体に接着可能で、高温・高湿条件下で長時間曝された場合においても十分な接着昂進の抑制が働き、剥離時の被着体の汚染がない、優れた再剥離性を有する。
Claims (3)
- 炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を主成分とする単量体成分を重合して得られる重合体(A)と、一般式HOOC−R−COOH(Rは炭素数8〜28の飽和または不飽和炭化水素基)である多価カルボン酸化合物(B)とを含む、再剥離型感圧接着剤組成物。
- 前記重合体(A)の有する官能基と反応しうる架橋剤(C)を含む、請求項1に記載の再剥離型感圧接着剤組成物。
- 請求項1または2に記載の再剥離型感圧接着剤組成物を用いてなる再剥離型粘着製品。
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