JP2013151640A - 発泡体用粘着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、芯材を使用しない単一の粘着剤層の粘着シート、いわゆるキャスト粘着シートとして使用された場合であっても、高温環境下の凝集力と、発泡体に対する密着性が優れ、さらには、極性の高いステンレスや極性が低いポリオフィンに対しても良好な粘着力が得られる、すなわち被着体を選ばない発泡体用粘着剤の提供を目的とする。
【解決手段】カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a)0.1〜15重量%と、(a)以外のエチレン性不飽和単量体(b)を共重合してなるアクリル樹脂(A)と、水酸基価5〜80mgKOH/gの粘着付与樹脂(B)と、
イソシアネート系硬化剤(C)と、エポキシ化合物(D)とを含む発泡体用粘着剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡体用の粘着剤に関する
発泡体に貼り付ける粘着シートは、自動車用、建築材料用または家電製品用等のさまざまな産業分野の種々の用途に使用され、例えば自動車に用いる場合、室内のほか、従来では接着剤が使用されていたような車両エンジン部周辺のような高温になりやすい場所でも使用されるようになっている。
しかし、一般的な粘着剤は、発泡体に対する密着性が低いため、高温環境下では粘着剤層と発泡体との界面で剥離が生じやすかった。そのため、高温環境下でも剥離が生じない発泡体用の粘着剤が求められていた。
この密着性の改善のため、芯材にPET(ポリエチレンテレフタレート)や不織布などを使用した両面粘着シートが使用されていた。
例えば、特定の単量体を特定の比率で使用した高分子量アクリル系共重合体のエマルジョン粒子と、低分子量のアクリル系共重合体のエマルジョン粒子を配合した水分散型アクリル系粘着剤および両面粘着シートが開示されている(特許文献1参照)。
また、プラスチックフィルムを芯材として、粘着剤を芯材の上面と下面で変え、発泡体面に貼り付ける粘着剤には、アルキル基の炭素数が2〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基の炭素数が7〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボキシル基含有モノマー及び水酸基含有モノマーを共重合したアクリルポリマーと、粘着付与樹脂と、イソシアネート系硬化剤を含む粘着剤および両面粘着シートが開示されている(特許文献2参照)。
特開2011−94099号公報 特開2010−37413号公報
しかし、特許文献1の粘着剤は、芯材を使用しなければ両面粘着シートとして使用できなかった。また、特許文献1の粘着剤は、水分散系粘着剤であるため、予めアクリル樹脂で固着した不織布を使用しなければ両面粘着シートに加工できなかった。そのため、粘着剤を粘着シートに加工する工程が増える。さらに、高温環境での凝集力、および発泡体に対する密着性を両立できなかった。
また、特許文献2の粘着剤も両面粘着シート用であり、プラスチックフィルムを芯材として、発泡体側と、発泡体以外の被着体側で、それぞれ粘着剤を変えなければならなかった。そのため、粘着剤を粘着シートに加工する工程が増える。さらに高温環境での凝集力、および発泡体に対する密着性を両立できなかった。
本発明は、芯材を使用しない単一の粘着剤層の粘着シート、いわゆるキャスト粘着シートとして使用された場合であっても、高温環境下の凝集力と、発泡体に対する密着性が優れ、さらには、極性の高いステンレスや極性が低いポリオフィンに対しても良好な粘着力が得られる、すなわち被着体を選ばない発泡体用粘着剤の提供を目的とする。
本発明の発泡体用粘着剤は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a)0.1〜15重量%を含む単量体を共重合したアクリル樹脂(A)と、水酸基価5〜80mgKOH/gの粘着付与樹脂(B)と、イソシアネート系硬化剤(C)と、エポキシ化合物(D)とを含む構成である。
上記構成の本発明によれば、発泡体用粘着剤を加工した粘着シートを発泡体に貼り付けると、当該粘着シートの粘着剤層中のエポキシ化合物は、アクリル樹脂のカルボキシル基および粘着付与樹脂の水酸基とは反応しにくい。これは、エポキシ基は、反応触媒の存在下でカルボキシル基と容易に反応するが、本発明では、反応触媒は任意成分であるためである。そして、エポキシ基は、アクリル樹脂と親和性が比較的低いため、粘着剤層と発泡体の界面、または粘着剤層と被着体(粘着剤層が発泡体と接する面とは反対側)との界面に配向しやすい。そしてエポキシ基は、例えばポリウレタン発泡体に使用した場合、ポリウレタン発泡体のウレタン結合や水酸基との間で分子間力等の作用により高い密着性が得られる。また、エポキシ化合物のエポキシ基以外の分子構造は、アクリル樹脂と親和しやすいことで粘着剤層と発泡体の密着性が大きく向上した。また、イソアネート系硬化剤は、特定の水酸基価を有する粘着付与樹脂と硬化反応することで、高温環境下においても良好な凝集力が得られる。さらには、当該特定の粘着付与樹脂を使用したことで粘着力が得にくい低極性のポリオフィンに対しても良好な粘着力が得られる。
本発明により、芯材を使用しない単一の粘着剤層の粘着シート、いわゆるキャスト粘着シートとして使用された場合であっても、高温環境下の凝集力と、発泡体に対する密着性が優れ、さらには、極性の高いステンレスや極性が低いポリオフィンに対しても良好な粘着力が得られる、すなわち被着体を選ばない発泡体用粘着剤、および粘着部材を提供できた。
本発明の発泡体用粘着剤は、アクリル樹脂(A)と、粘着付与樹脂(B)とイソシアネート系硬化剤(C)と、エポキシ化合物(D)を含むことが好ましい。そして本発明の発泡体用粘着剤は、高温環境で粘着力および凝集力が良好である。この特性は、後述実施例において昇温保持力が優れていることから裏付けられる。
アクリル樹脂(A)は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a)と(a)以外のエチレン性不飽和単量体(b)を含む単量体を共重合することで得られる。アクリル樹脂(A)がカルボキシル基を有することで、粘着力をより向上できる。特に極性の高い被着体に対して効果的である
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a)は、全単量体中に0.1〜15重量%含むことが好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。0.1〜15重量%含むことで、粘着力、特に高温環境での粘着力を向上できる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a)としては、例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられるが、これらに限定するものではなく、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(a)以外のエチレン性不飽和単量体(b)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボキシル基以外の反応性官能基を有するエチレン性不飽和単量体、およびその他ビニル系エチレン性不飽和単量体が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等;、カルボキシル基以外の反応性官能基を有するエチレン性不飽和単量体で、水酸基を含有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;、エポキシ基を含有する単量体としては、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル、アクリル酸−2− エチルグリシジルエーテル、メタクリル酸−2−グリシジルエーテル;、アミノ基を含有する単量体としては、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル;アミド基またはアミド結合を含有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
その他ビニル系エチレン性不飽和単量体は、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリルニトリル等が挙げられる。
これらの中でも(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数1〜2のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体が好ましい。この炭素数1〜2のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体は、全単量体のうち1〜20重量%を使用することが好ましい。また、カルボキシル基以外の反応性官能基を有するエチレン性不飽和単量体は、水酸基を含有するエチレン性不飽和単量体が好ましい。これによりアクリル樹脂(A)が水酸基を有するため、イソシアネート系硬化剤(C)と硬化により高温環境下での凝集力がより向上する。
アクリル樹脂(A)は、上記のエチレン性不飽和単量体を共重合することで得られる。共重合は、溶液重合、塊状重合、乳化重合等公知のラジカル重合法が使用できる。本発明では、重合制御の容易さから溶液重合が好ましい。共重合は、過酸化物系の重合開始剤やアゾビス系の重合開始剤等、従来公知の重合開始剤を使用することができる。
アクリル樹脂(A)は、重合平均分子量30万〜200万が好ましく、50万〜150万がより好ましい。重合平均分子量が30万〜200万の範囲にあることで、凝集力と粘着力を適切に調整できる
なお重量平均分子量とはGPC測定法で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量である。GPC測定条件は以下のとおりである。装置:SHIMADZU Prominence((株)島津製作所製)カラム:TOSOH TSK−GEL GMHXL(東ソー(株)製)を使用。溶媒:テトラヒドロフラン、流速:0.5ml/min、温度:40℃、試料濃度:0.1wt%、試料注入量:100μl。
粘着付与樹脂(B)は、粘着力がより向上するために重要である。そして粘着付与樹脂(B)は、極性の低い被着体に対する粘着力に特に効果的である。ここで粘着付与樹脂(B)は、水酸基を有することが好ましい。具体的には、水酸基価が5〜80mgKOH/gの粘着付与樹脂がより好ましい。水酸基価が5〜80mgKOH/gの範囲にあることで、イソシアネート系硬化剤(C)と粘着付与樹脂(B)も水酸基が反応することにより高温環境下での凝集力が向上する。また粘着付与樹脂(B)の水酸基価は、10〜60mgKOH/gがより好ましい。なお極性の低い被着体とは、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン等が挙げられる。
粘着付与樹脂(B)としては、例えば、ロジンエステル、重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、ロジンフェノール樹脂などのロジン系樹脂;、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、ジペンテン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、酸変性テルペン樹脂、スチレン化テルペン樹脂などのテルペン系樹脂。C5脂肪族炭化水素樹脂、C9芳香族炭化水素樹脂、水添C9炭化水素樹脂、C5−C9共重合樹脂、ジシクロペンタジエン炭化水素樹脂などの石油系炭化水素樹脂。さらにはクマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。これらの中でもロジン系樹脂が好ましい。粘着付与樹脂(B)は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、本発明において水酸基価とは、試料1gを規定の方法によってアセチル化するとき水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数をいい、JISK 0070に準じて測定され、次式により算出される。
A={〔(B−C)×f×28.05〕/S}+D
A:水酸基価
B:空試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:本試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:N/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
D:酸価
イソシアネート系硬化剤(C)は、粘着付与樹脂(B)と反応することで、粘着剤層に凝集力を付与する。
イソシアネート系硬化剤(C)は、2個以上のイソシアネート基を有する、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート等が好ましく、これらのイソシアネートの変性体がより好ましい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:IPDI、イソホロンジイソシアネート)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
これらイソシアネートの変性体とは、例示したポリイソシアネートのビュレット体、ヌレート体、及びアダクト体などが好ましい。
ビュレット体とは、上記イソシアネートモノマーが自己縮合してなる、ビュレット結合を有する自己縮合物をいい、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体などが挙げられる。
ヌレート体とは、上記イソシアネートモノマーの3量体をいい、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、イソホロンジイソシアネートの3量体などが挙げられる。
アダクト体とは、上記イソシアネートモノマーと低分子活性水素含有化合物とを反応させてなる、2官能以上のイソシアネート化合物をいい、例えば、3官能のイソシアネート化合物としては、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートとを反応させた化合物、2官能のイソシアネート化合物としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとモノアルコールから製造されたアロハネート化合物などが挙げられる。
イソシアネート系硬化剤(C)は、アクリル樹脂(A)100重量部に対して1〜20重量部配合することが好ましい。
エポキシ化合物(D)は、硬化剤として機能するのではなく、粘着剤層の中でエポキシ基が発泡体に向けて配向することで密着性が向上する。このエポキシ化合物は、エポキシ基を1個以上有すれば良く、シランカップリング剤を使用することもできる。
エポキシ化合物(D)は、例えば、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリブタンジエングリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレンポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、等、およびこれらの変性物等が挙げられる。エポキシ化合物(D)は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ化合物(D)は、アクリル樹脂(A)100重量部に対して、0.05〜20重量部使用することが好ましく、0.1〜15重量部がより好ましい。0.05〜20重量部使用することで発泡体と粘着剤層の密着性をより向上できる。なお発泡体への密着性は、粘着力または粘着性と言い換えることもできる。
本発明の発泡体用粘着剤は、イソシアネート系硬化剤(C)以外にも硬化剤を配合できる。具体的には、金属キレート化合物、アジリジン化合物などが好ましい。
金属キレート化合物は、例えば、アルミニウム、亜鉛、鉄、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウム、バナジウムなどの多価金属がアセチルアセトンやアセト酢酸エチルに配位した化合物が挙げられる。
アジリジン系化合物は、例えば、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、N,N’−ジフェニルメタン-4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、またはトリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
これらの硬化剤は、1種または2種以上使用できる。
本発明の発泡体用粘着剤には、必要に応じて公知の充填剤、顔料、染料、希釈剤、老化防止剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、カップリング剤等の添加剤を配合できる。また、添加剤は1種または2種類以上を用いてもよい。また、添加剤の添加量は、必要な物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
本発明の発泡体用粘着剤は、芯材を使用しない、キャスト粘着シートとして使用することが好ましい。具体的には、例えば剥離性シートに発泡体用粘着剤を塗工し、乾燥することで得られた粘着剤層に、別途用意した剥離性シートを貼り合わせることで製造できる。そして、本発明の発泡体用粘着剤は、前記記載に関わらず芯材を使用した両面粘着シートとしても使用できる。なお本発明において粘着シート、粘着テープ、粘着フィルムは同義語である。
塗工に使用する装置としては、例えばリバースロールコーター、エアーナイフコーター、ナイフコータ、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーターなどが挙げられる。また、粘着剤層の厚さは、30〜120μmが好ましい。
本発明の粘着部材は、発泡体を基材として、発泡体用粘着剤から形成した粘着剤層を有するものである。この粘着部材の製造は、キャスト粘着シートの一方の剥離性シートは剥がして、発泡体に貼り付けることで製造できる。または、発泡体に直接発泡体用粘着剤を塗工し、乾燥することで粘着剤層を形成することでも製造できる。
発泡体は、例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム系、エチレン-酢酸ビニル系、ニトリルゴム系、ポリウレタン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリイミド系、アクリル系などが挙げられる。
発泡体の厚さは、本発明の効果に対し特に限定されないが、実用物性上を考慮し1〜1500mm程度が好ましい。
本発明の発泡体用粘着剤および粘着部材は、高温にさらされる、建物の内装、または乗用車、バスおよびトラックなどの車両、ならびに鉄道車両、航空機および船舶等の車内で使用することが好ましい。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は、それぞれ重量部および重量%を示している。
<実施例1>
<粘着剤の作成>
粘着剤は、撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた反応装置を使用して、窒素雰囲気下で、表1の各モノマーの合計量の50重量%、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを適量、溶剤として酢酸エチル50部を反応槽に仕込み、残りのモノマーの全量、および酢酸エチル35部、アゾビスイソブチロニトリルを適量添加して混合した溶液を滴下管に仕込んだ。反応槽を加熱し還流を確認後、モノマー混合物を滴下管から約2時間かけて滴下し、その後約80℃にて反応を継続した。反応終了後、冷却、酢酸エチルで希釈し、アクリル系ポリマー溶液を得た。アクリル系ポリマーの不揮発分は54%であった。
得られたアクリル系ポリマー100重量部に対して、表1のエポキシ化合物0.1重量部と表1の粘着付与樹脂30重量部、硬化剤(トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体の不揮発分37.5%酢酸エチル溶液)7.2重量部、酢酸エチル適量を配合し不揮発分45%の粘着剤を得た。
<粘着シートの作成>
得られた粘着剤をコンマコーターを用いて、市販の剥離性シート上に塗工し、電気オーブンで100℃−2分、乾燥し溶剤を除去した。次いで厚さ10mmの市販のポリウレタン発泡体と貼り合せることで粘着部材を得た。
<実施例2〜9、比較例1〜11>
共重合体溶液の種類、エポキシ化合物と粘着付与樹脂及び硬化剤の種類、配合量を表1〜2に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様に行い粘着部材を得た。
Figure 2013151640
Figure 2013151640
表中、単量体の種類を下記の略号で示した。
<単量体>
BA:ブチルアクリレート
2EHA:2エチルヘキシルアクリレート
EA:エチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
AA:アクリル酸
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
<粘着付与樹脂>
D−125:ペンセルD−125(荒川化学社製、重合ロジンエステル、軟化点125℃、水酸基価:32)
<エポキシ化合物>
KBM―403:(信越化学社製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、エポキシ基:1個)
KBE―403:(信越化学社製、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、エポキシ基:1個)
X41―1056:(信越化学社製、アルコキシオリゴマー、エポキシ基:1個)EX―141:(ナガセケムテック社製、フェニルグリシジルエーテル、エポキシ基:1個)
EX―211:(ナガセケムテック社製、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エポキシ基:2個)
<その他>
KBM―503:(信越化学社製、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、エポキシ基:なし)
KBM―573:(信越化学社製、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、エポキシ基:なし)
KBM―803:(信越化学社製、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、エポキシ基:なし)
KBM―9007:(信越化学社製、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、エポキシ基:なし)
得られた粘着部材を用いて、以下の評価を行った。結果を表に示す。
<粘着力試験>
23℃−50%RHの雰囲気下で長さ10mm×幅25mmの粘着部材をステンレス板、ポリプロピレン板へそれぞれ貼り付けた。そして、その上を2kgロールで1往復することで圧着した。当該試料を23℃−50%または80℃の雰囲気下で、それぞれ20分放置した。その後、試料をそれぞれ23℃−50%または80℃の雰囲気下でそれぞれJISZ0237の測定方法に準拠して、引っ張り試験を用いて剥離速度300mm/minで剥離角180度の粘着力を測定した。
<保持力試験>
23℃−50%RHの雰囲気下で長さ100mm×幅25mmの粘着部材先端部分の長さ25mm×幅25mm分を、被着体として、ステンレス板、またはポリプロピレン板の先端部25mmにそれぞれ貼着し、2kgロールで1往復圧着した。当該試料を23℃−50%RHの雰囲気下で20分間放置した。その後、23℃−50%RHの雰囲気下で、試料の粘着部材側の先端部分に1kgの重りを180度の方向に力が加わるよう固定した。その後7万秒後に粘着部材が被着体からずれた場合はその距離を測定し、また粘着部材が被着体から落下した場合はその秒数を測定した。
<昇温保持力>
23℃−50%の雰囲気下で長さ100mm×幅25mmの粘着部材のうち長さ25mm×幅25mm部分を被着体としてステンレス板、またはポリプロピレン板にそれぞれ貼着し、2kgロールで1往復圧着したのち、23℃−50%の雰囲気下で20分間放置した。その後、38℃の雰囲気で、当該試料に500gの重りを固定した。そのまま15分放置した後、5分間で3℃の割合で温度を上げて110度になるまで行なった。そして、粘着部材が被着体からずれた場合はその距離を測定し、また粘着部材が被着体から落下した場合はその秒数を測定した。
Figure 2013151640
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表3および4の結果から実施例1〜9は、芯材を使用しないキャスト粘着シートでありながら、粘着力結果から極性および低極性の被着体に対して粘着力が良好、かつ発泡体との密着性が良好なことが分かる。また、昇温保持力から高温環境においても被着体を選ばすに凝集力が良好なことが分かる。一方。比較例1〜9は、粘着力でATまたはPT、すなわち粘着剤層が発泡体からは剥がれて被着体に残る現象が見られたため発泡体との密着性が低いことが分かる。さらに昇温保持力では、全て110℃に達する前に粘着部材が落下したことから高温環境での凝集力および粘着力が低いことが分かる。

Claims (4)

  1. カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a)0.1〜15重量%と、(a)以外のエチレン性不飽和単量体(b)を共重合してなるアクリル樹脂(A)と、水酸基価5〜80mgKOH/gの粘着付与樹脂(B)と、イソシアネート系硬化剤(C)と、エポキシ化合物(D)とを含む発泡体用粘着剤。
  2. カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(a)以外のエチレン性不飽和単量体(b)が、少なくとも炭素数1〜2のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体を含むことを特徴とする請求項1記載の発泡体用粘着剤。
  3. アクリル樹脂(A)100重量部に対して、エポキシ化合物(D)を0.05〜20重量部含むことを特徴とする請求項1または2記載の発泡体用粘着剤。
  4. 少なくとも、発泡体層と、請求項1〜3いずれか記載のポリウレタン発泡体用粘着剤から形成してなる粘着剤層とを備えた粘着部材。
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