JP4310261B2 - ガラス製品 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス表面処理用水性組成物(コールドエンドコーティング組成物)で表面がコーティングされており、該表面が(そのままの状態で又は水洗後に)ぬれ張力30〜40mN/mを示すガラス製品、とりわけぬれ張力30〜40mN/mを示す該表面がラベル又はシール易剥離性表面を有するものであるガラス製品に関する。特に、本発明は、内容物を充填したガラス容器に貼り付けたラベルが、故意に剥がそうとしない限り流通過程の通常の取り扱いでは自然に剥離するおそれはないが、使用後リサイクルするときには容易に剥離できる、ラベル易剥離性ガラス容器に関する。本発明はまた、板ガラスの表面の摩擦係数を低下させて傷の発生を防止することによる、板ガラスの強度劣化を防止する表面保護用コーティング組成物を施したガラス製品に関し、特にシール等の貼付物を容易に剥離することができる板ガラスにも関する。
従来、ガラス製品表面の滑性を増大させて擦り傷等がつき難くし、そうすることにより擦り傷等による強度劣化を防止するために、アニオン系界面活性剤、非イオン界面活性剤、ポリエチレンワックスの水性エマルジョン等を含有するコーティング剤が用いられている。ガラス容器の製造においては、この種のコーティング剤はコールドエンドコーティング剤と呼ばれている。ガラス容器は内容物の充填前に洗浄され、また内容物の殺菌の目的で充填後熱水処理を行うことが多いが、このとき施したコーティングの脱離を防止するには、水に不溶のポリエチレンワックスの水性エマルジョン等を含有するコールドエンドコーティング剤を使用するのが好ましい。この種のコールドエンドコーティング剤としては、ポリエチレンワックスをアニオン系界面活性剤(高級脂肪酸のカリウム塩)で乳化した組成物が知られている(特許文献1参照。)。
一方、ガラス容器表面に貼付けるラベルは紙製、樹脂製等種々のものがあり、接着剤もデンプン系の糊、合成樹脂製接着剤等種々のものが用いられているが、最も一般的な組合わせは紙製ラベルにデンプン系の糊を塗布したものである。
近年、コールドエンドコーティング剤の開発は、ラベルの接着力をより高めることに主眼が置かれている(例えば、特許文献2〜5参照)。すなわち、従来デンプン系の糊を用いて紙製ラベルをガラス容器表面に貼り付けた場合、接着強度が高く流通過程で剥離するおそれは実質上なかったにもかかわらず、接着強度を更に高めて剥離防止を一層確実にする取組みがなされてきた。その結果、リサイクル時ラベルを剥がそうとしても紙製ラベルが破れ、容易に剥がすことができないという問題が生じていた。
また、ポリエチレンワックスとシランカップリング剤を含有するコールドエンドコーティング剤の開発も行われているが、ラベル易剥離を目的としたものではなく、ポリエチレンワックスの酸価や得られたガラスのぬれ張力に着目した開発は行われていない(特許文献6〜7参照)。
特公昭42−1758号公報(第3頁右欄ほか) 特開2000−351652号公報 特開2001−11390号公報 特開2001−302284号公報 特開2001−328613号公報 特公表2000−511963号公報 特公表2000−512259号公報
このような状況において、本発明は、(1) 主としてガラス容器の洗浄及び内容物の殺菌のための熱水処理後もガラス容器表面の傷付き防止機能を損なうことなく、(2) デンプン系の糊を用いてラベリングが可能で、(3) 流通過程でラベルが自然に剥離するおそれがなく、(4) リサイクル時ラベルを剥がそうとするときは容易に剥がすことができるという特徴(易剥離性)を有するガラス容器を得ることを目的とする。本発明はまた、板ガラスについても、その表面を保護し強度劣化を防止すると共にシール等の貼付物を容易に剥離することができる板ガラスを得ることも目的とする。
また、ガラス製品の表面がラベル等の易剥離性を有するか否かは、ユーザーのもとで実際にラベル等をガラス製品に貼付することにより本来初めて最終的に確かめられる。ラベリング後に僅か一部の製品でラベルが剥がせない或いは自然に剥がれる等易剥離性の不良が見られても、ユーザーはそのロットの全ての製品を出荷できなくなるおそれがあるため、ユーザーのもとでのガラス製品の易剥離性を、ガラス製品メーカーが事前に予測できることが極めて望ましい。しかしながら、そのような予測のための指標が存在しなかったことから、的確な工程・品質管理ができず、ユーザーでのラベリングによる判定結果に応じてガラス製品メーカー側で表面処理条件を微妙に修正するという手順をとらざるを得ず、易剥離性の不良による大量の返品を引き起こす可能性があった。従って、ガラス製品がユーザーのもとでラベリングされたときの易剥離性を、ラベリング前の段階で予測できる必要がある。本発明は特に、上記のガラス製品であって、ガラス製品納入先でラベル等の易剥離性という表面の性質を安定に確保することのできるガラス製品の提供を目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために研究を重ねた。その結果、(i) ガラス表面処理用コーティング組成物として、特定の数値の酸価を有するポリエチレンワックスとアミノ基を有するシランカップリング剤とを含有する水性エマルジョンを用いれば、ポリエチレンワックスをガラス表面に安定して接着させることができ、従ってガラス容器や板ガラス等のガラス製品の強度劣化を防止できること、(ii) そのようなエマルジョン含有の水性組成物をコールドエンドコーティング組成物としてガラス製品(例えばガラス容器)の表面に適度に塗布しておくと、ユーザーサイド(食品工場等)でのデンプン系の糊を用いたラベルやシール(製品の側面に貼付するもの)等の貼付が確実に行え、流通過程でそれらが自然に剥離するおそれはないがしかしリサイクル時それらを剥がそうとするときは容易に剥がせ、また板ガラス等ではシールの貼付が確実に行えるが(例えば、ドアガラス等に使用後に)剥す必要のあるときは容易に剥がせるという性質(易剥離性)が得られること、そして(iii) この易剥離性は、ラベリング時のガラス製品表面のぬれ張力が30〜40mN/mに調整されていることによって得られることを見出した。そしてまた、ガラス容器では食品工場等のユーザーは容器を水洗してから使用することが多いが、その場合、水洗後のガラス容器のぬれ張力が30〜40mN/mの範囲になるようにコーティングを施しておけばよいことを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて成されたものである。
すなわち本発明は、以下のものを提供する。
(1)酸価が10〜25mg−KOH/gである乳化された状態のポリエチレンワックスとアミノ基を有するシランカップリング剤とを含有する水性組成物で表面がコーティングされたガラス製品であって、該コーティングされた表面がそのままの状態で又は85℃の水に10分間浸漬した後で、ぬれ張力30〜40mN/mを示すものであることを特徴とするガラス製品、
(2)該ぬれ張力が32〜38mN/mである、上記(1)に記載のガラス製品、
(3)該水性組成物中の該ポリエチレンワックスの濃度が0.05〜0.5重量%である、上記(1)又は(2)に記載のガラス製品、
(4)該水性組成物中の該ポリエチレンワックスの酸価が12〜23mg−KOH/gである、上記(1)ないし(3)の何れかに記載のガラス製品、
(5)該水性組成物中のアミノ基を有する該シランカップリング剤の濃度が0.01〜1重量%である、上記(1)ないし(4)の何れかに記載のガラス製品、
(6)該水性組成物がポリオキシエチレン鎖を構造中に有する非イオン界面活性剤を含有するものである、上記(1)ないし(5)の何れかに記載のガラス製品、
(7)ぬれ張力30〜40mN/mを示す該コーティングされた表面がラベル又はシール易剥離性を示すものである、上記(1)ないし(6)の何れかに記載のガラス製品、
(8)該ガラス製品がガラス容器である、上記(1)ないし(7)の何れかに記載のガラス製品、
(9)該水性組成物でコーティングされる表面が予めホットエンドコーティングされているものである、上記(1)ないし(8)の何れかに記載のガラス製品、
(10)該ガラス製品が板ガラスである、上記(1)ないし(7)の何れかに記載のガラス製品、
(11)該水性組成物によるコーティングが表面温度80〜130℃にて行われたものである、上記(1)ないし(10)の何れかに記載のガラス製品。
(12)該水性組成物によるコーティングの後、該表面が水洗されたものである、上記(1)ないし(11)の何れかに記載のガラス製品、
(13)ぬれ張力30〜40mN/mを示す該コーティングされた表面にデンプン系の糊を用いてラベル又はシールが貼付されているものである、ラベル又はシール易剥離性の、上記(1)ないし(12)の何れかに記載のガラス製品、
(14)該水性組成物によるコーティングが表面温度80〜130℃にて行われ、その後該表面が水洗されたものであり、且つ該水洗された表面にデンプン系の糊を用いてラベル又はシールが貼付されている、ラベル又はシール易剥離性のガラス容器である、上記(1)ないし(9)の何れかに記載のガラス製品。
上記の各ガラス製品は、表面にポリエチレンワックスが安定に適度な量で接着しているため、ガラスの強度劣化が防止される。また、(用途に応じ水洗後)ぬれ張力30〜40mN/mを示す表面を有する該ガラス製品は、これにデンプン系等の糊を用いてラベルやシールを確実に貼付でき、流通過程でラベルやシールが自然に剥離するおそれはないが、リサイクル時等にそれらを剥がそうとするときは容易に剥がすことができる。
なお、ガラス容器は、強度を増す目的で、成形後徐冷前に三塩化ブチル錫、四塩化錫、四塩化チタン等の蒸気に接触させることによるホットエンドコーティング(酸化錫又は酸化チタンによる表面処理)が多くの場合に行われるが、本発明のコールドエンドコーティング組成物は、ホットエンドコーティング処理したガラス容器にも好適に用いることができる。
本明細書において「ガラス容器」とは、ガラスびん、ガラス製の食器や花瓶等を含む。
本発明のガラス製品は、酸価が10〜25mg−KOH/gである乳化された状態のポリエチレンワックスとアミノ基を有するシランカップリング剤とを含有する水性組成物で表面をコーティングし、コーティングされた表面が、ガラス製品の用途に応じてそのままの状態又は85℃の水に10分間浸漬した後で、ぬれ張力30〜40mN/mを示すことが必要である。ぬれ張力が30mN/m未満であると、ガラス容器の場合、表面に対するラベルの付着力が弱くなりすぎ、流通過程で脱落するおそれがある。板ガラスの場合も、表面に対するシールの付着力が弱くなりすぎ、脱落するおそれがある。逆に、ぬれ張力が40mN/mを超えると、ガラス製品の表面に対するラベルやシールの付着力が強くなりすぎ、リサイクル等に際してそれらを剥離することが困難になると共に、ガラス表面の滑性が損なわれ傷付やすくなるおそれがある。ガラス製品表面の傷付き防止、ラベルやシールの適度の接着力等を考慮すると、ぬれ張力は32〜38mN/mであることがより好ましく、33〜37mN/mであることが一層好ましい。
本発明において、「ぬれ張力」とは、JIS K6768「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」に準じて後述の「ぬれ張力測定」の部に記載した方法によって測定される値をいう。この方法は、液体が固体表面を濡らすためには、液体の表面張力が固体の表面張力より小さい値である必要がある、ということに基づいている。この方法は、段階的に異なる表面張力を有する多数の試験液を用意しておき、それらを測定対象である固体表面に塗布し、表面を濡らすことのできる試験液のうち最も大きい表面張力を有する液体を特定し、その液体の表面張力をもって固体表面の「ぬれ張力」とするものである。こうして求められる「ぬれ張力[mN/m]」は、当該固体の表面張力(表面自由エネルギー[mJ/m2=mN・m/m2=mN/m]と原理上等価である)を(近似的に)示している。
ガラス製品が、酒類、清涼飲料水等の製品用のガラス容器である場合、多くは食品工場で洗浄に付された後内容物充填とラベル貼付が行われる。食品用のガラスびん等のガラス容器の場合、ガラス容器製造メーカーから食品工場等のユーザーへ向けて出荷の際はその用途やユーザーサイドで付される工程についての情報が予め得られている。そのような情報に従い、ユーザーにより水洗に付されることが判明しているガラス製品は、85℃の水に10分間浸漬した後に上記ぬれ張力を示すこととなるようにコーティングの程度が調節される。これに対し、例えばインスタントコーヒーや粉乳等の湿気を嫌う製品の場合等は、ガラス容器工場から出荷されたガラス容器は、水洗されること無く使用されるものがある。食品工場等から得た情報に従い、そのような用途のガラス容器の場合は、ガラス容器メーカーから出荷されるガラス容器が(出荷後洗浄しないでも)上記のぬれ張力を示すようにコーティングの程度が調節される。ガラス製品は大きさや形が様々であり、またコーティングの具体的方法も様々であってよいが、ユーザーにおいてガラス製品に対して加えられる工程に応じ、出荷時のガラス製品がそのままの状態で又は85℃の水に10分間浸漬した後にガラス製品表面のぬれ張力がこの所定範囲に入ることとなるようにコーティングを施せば、本発明が目的とするラベル易剥離性を得ることができる。そのためには、コーティング対象である特定の大きさ及び形状のガラス製品の一部をサンプルとして用いてコーティングし、ユーザーにより水洗されるものは85℃の水に10分間浸漬した後に、表面のぬれ張力を測定して、30〜40mN/mの範囲内に入るコーティング方法を採用すればよい。なお、本明細書において「そのままの状態で」とは、本発明のガラス製品についてぬれ張力を測定する前に水洗工程を加えないことをいい、ガラス製品メーカーが製品出荷前に既に水洗を施しておくことを禁ずるものではない。
本発明のガラス製品に用いられる水性組成物中に含まれるポリエチレンワックスは、酸価が10mg−KOH/g未満であると、均一な乳化状態を形成することが困難になるばかりでなく、ポリエチレンワックスのガラス表面への付着力が不十分となり、洗浄、殺菌処理(熱水処理)により過度に脱落して結果の予測性を損ない、また搬送等に際しても脱落してガラス表面の滑性が損なわれるおそれがあるほか、ラベルやシールの易剥離性が損なわれるおそれもある。また、酸価が25mg−KOH/gを超えると、ガラス表面に対するラベルやシールの付着力が強くなりすぎ、リサイクル等に際してそれらを剥離することが困難になる。ガラス表面への傷付き防止、ラベルやシールの適度の接着力等を考慮すると、ポリエチレンワックスの酸価は12〜23mg−KOH/gであることがより好ましく、14〜20mg−KOH/gであることが一層好ましい。また、ガラス製品のコールドエンドコーティング剤成分として用いる場合、ポリエチレンワックスの軟化点は、スプレー等による適用時のガラス製品表面への付着性を考慮すると100〜140℃であることが好ましい。上記範囲の酸価を有するポリエチレンワックスとしては、そのような単独のものを使用しても良いが、また、混合物全体として上記範囲の酸価となる限り、任意の異なる酸価を有する複数のものを混合して使用しても良い。なお、酸価とは、ポリエチレンワックス1g中に含まれるカルボキシル基を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。
本発明のガラス製品を製造するために用いられる水性組成物中のポリエチレンワックス濃度は、0.05〜0.5重量%であることが好ましい。ポリエチレンワックス濃度が0.05重量%未満では、十分な滑性が得られなくなるおそれがあると共にガラス表面の露出割合が増大し、ラベルやシールの易剥離性が達成できなくなるおそれがある。逆にポリエチレンワックス濃度が0.5重量%を超えると、ガラス表面が若干不透明になり、外観が悪化するおそれがあるほか、経済性も悪い。さらに、ラベルやシールが流通過程で剥離するおそれもある。ガラス表面への傷付き防止、ラベルやシールの適度の接着力、外観等を考慮すると、本発明に用いられるガラス表面処理用コーティング組成物中のポリエチレンワックス濃度は、0.08〜0.3重量%であることがより好ましい。
シランカップリング剤は、一般式、RnSiX4-n(nが2または3の場合は、Rは全て同一でも異なっていてもよい)で表され、有機物及び無機物の双方に親和性の化合物として種々の用途に用いられている化合物であり、多種のものが市販されている。該一般式中、Xは、加水分解性の基であり、例えば、アルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基又はイソシアナート基等が挙げられ、nは1ないし3の整数を表す。またRは、Siに直接に結合した炭素原子を有する種々の有機基であり、例えば、置換されていてよいアルキル基、置換されていてよいアルケニル基等や、炭素以外の原子例えば酸素、窒素等を介して2個以上の、置換されていてよいアルキル基や置換されていてよいアルケニル基等が連結したものが挙げられる。シランカップリング剤が有する置換基としては種々のものが知られている。それら種々のシランカップリング剤のうち、本発明においては、置換基としてアミノ基を有するものを用いることを必須の要件とする。シランカップリング剤RnSiX4-nは、その分子中の基Xが水中で加水分解を受け、徐々に又は速やかに基OHに変換される性質を有する。本発明において、「アミノ基を有するシランカップリング剤」というときは、RnSiX4-nの形のもの及び、または部分的に若しくは完全に加水分解が進行したもの、それが一部縮重合したもの全てを包含する。
アミノ基を有するシランカップリング剤は、酸価が10〜25mg−KOH/gのポリエチレンワックスをガラス表面に強固に接着させるのに極めて有効であることが本発明者らによって見出された。本発明において用いられるシランカップリング剤としては特に制限はないが、例として、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。
本発明のガラス製品を製造するために用いられる水性組成物中のシランカップリング剤濃度は、0.01〜1重量%であることが好ましく、0.05〜0.5重量%であることがより好ましい。シランカップリング剤濃度が0.01重量%未満では、ポリエチレンコーティングのガラス表面への接着強度が低下して、(ガラス製品の用途に応じ水洗後の)ぬれ張力30〜40mN/mを安定して達成できなくなるおそれがある。他方、シランカップリング剤濃度を1重量%を超えるまで高めても効果は変わらず、経済的でない。
また、本発明のガラス製品を製造するために用いられる水性組成物において、ポリエチレンワックスを水に均一に乳化分散させるための界面活性剤としては、オレイン酸カリウム等のアニオン系界面活性剤に比して、ポリオキシエチレン鎖を構造中に有する非イオン界面活性剤を用いる方が好ましい。アニオン系界面活性剤を用いた場合よりも、ポリオキシエチレン鎖を構造中に有する非イオン界面活性剤を用いた場合の方が、ポリエチレンワックスとガラス表面との密着力が高まる傾向があるためである。そのような好ましい非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン鎖を構造中に有するということ以外に特に制限はなく、例えば、多価アルコールエステルエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコールモノエステル、ポリエチレングリコールジエステル、高級アルコールエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等が挙げられる。さらに高級脂肪酸モノアルカノールアミド、高級脂肪酸ジアルカノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド系非イオン界面活性剤を併用することができ、特にポリエチレンワックスの酸価が低い場合には、ポリオキシエチレン鎖を構造中に有する非イオン界面活性剤と組合わせて脂肪酸アルカノールアミド系非イオン界面活性剤を併用することがより好ましい。なお、本明細書において「高級」とは、炭素数6以上をいう。
本明細書において、「水性組成物」は、水を主たる媒質とする組成物を意味しており、その限りにおいて、水と混和性の他の媒質が共存することを排除しない。
また本明細書において、「乳化された状態のポリエチレンワックス」とは、ポリエチレンワックスが媒質中に微細に分散された状態をいう。
本発明のガラス製品を製造するために用いられる水性組成物によりコールドエンドコーティングを行うには、ガラス容器や板ガラス等のガラス製品の外表面に、熱時に該水性組成物を単に吹き付けるだけでよいが、そのような方法に限定されない。作業効率及びコーティングの付着効率等を考慮すれば、通常約80〜約130℃の範囲とするのが好ましく、約90〜約120℃の範囲とするのがより好ましい。
本発明のガラス製品は、(ユーザーでの使用態様に応じてそのまま又は水洗された後)、特殊な接着剤を用いずに、従来ガラス容器のラベル貼付けに用いられている通常のデンプン系の糊で、紙製等のラベルやシールを貼付してその易剥離性を実現することができる。そのようなデンプン系の糊としては、主成分がデンプンである糊(デンプン糊)あるいはデンプン−アクリル混合系等の、デンプンを主要構成成分とし、45〜65%程度の水を含有するものを用いることができる。上記水性組成物をガラス容器外表面にコーティングした後水洗すると、ポリエチレンワックスを水に均一に乳化分散させるためにコーティング剤中に含まれていた界面活性剤がガラス容器表面から除去され、ラベル易剥離性が良好となる。ユーザーにおける水洗時の水温は特に限定されず、常温の水ないし殺菌用の90℃程度までの湯等、いずれの水温のものも使用できる。水温が高くなるに従って、処理時間を短縮することができる。常温の水を使用する場合、水洗時間の長さは、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上、更に好ましくは10分以上であればよい。また30分或いはこれより長く行う必要はないが、行っても不都合はない。なお、本発明のガラス製品について、85℃の水に10分間浸漬した後でぬれ張力を測定するのは、この一定条件で処理したガラス製品表面のぬれ張力測定により得られる値を、ユーザーにおいて異なった種々の条件で水洗された後のガラス製品表面のぬれ張力の妥当な予測値とみなすことができ、それにより、そのガラス製品の水洗後のラベルやシールの易剥離性を事前に判断できるからである。
本発明において評価に用いられる装置及び方法について説明する。
1.表面滑り角度測定方法
日本ガラスびん協会規格(昭和52年6月15日制定、平成10年10月30日改正(3))「7.14 表面滑り角度測定方法」は、ガラスびんにつき以下の手順及び基準により表面滑り角度を測定すべきことを規定している。
<試料>
(1)試料びん: コーティング剤が完全に乾燥したびんを採取し、びん温度が室温になるまで放冷したものを試料びんとする。
(2)試料びんの採取: 1測定ごとに9本以上の試料びんを採取する。但し、サンプリング時および測定時においてびんの胴面を手で触れないこと。
<測定方法>(図1を参照)
(1)びん保持台上14に試料びん12及び13を接して並べ、びん底をストッパーに密着させ、更にびん12と13が横方向にズレないようストッパーを当てる。
(2)試料びん12と13の上に試料びん11を置き三角形に積み重ねる。
(3)試料びんは3本とも同一方向に並べ、びん表面は彫刻や合わせ目のある面は避けストレート面が接するようにする。
(4)びん保持台に徐々に傾斜角度をつけるため、ハンドル16を廻し、試料びん11が滑り始めた位置の目盛りを読み記録する。
(5)測定は、1測定に3本のびんを用い、再度測定に使うことはしない。但し、測定は3回以上行う。
2.ラベル剥離試験
実験室においてガラス容器へ紙製ラベルを貼り付ける場合は、糊の使用量が過剰にならないよう、No.10のバーコーターを用いて糊を樹脂製板に十分薄く広げ、その上に紙製ラベルを置いた後、直ちにラベルを引き剥がしガラス容器表面に貼りつける。食品工場等においてガラス容器へ紙製ラベルを貼り付ける場合は、通常のラベラーを用いる。
ガラス容器表面に貼り付けた紙製ラベルの角部を爪で剥がし、剥がれた部分を摘んでラベルを引き剥がし、ラベルが破断した時点をもって1回の剥離操作とする。ラベルが破断せず1回でラベルが剥がれた場合を◎、2〜3回でラベルが剥がれた場合を○、3回目の操作後もラベルが剥がれなかった場合を×として評価し、◎及び○のものを易剥離性と称する。
3.ぬれ張力測定
ガラス製品表面のぬれ張力測定は、JIS K6768「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」に準じて行った。測定手順の概要は以下のとおりである。
(1)室温にて、表1に示す試験用混合液を脱脂綿に滲み込ませたものを用いて、ガラス製品の表面に、試験用混合液を少なくとも6cm2以上の面積に広げる。脱脂綿は各々の試験毎に新しいものを使用する。液体の量は、ガラス製品の表面に薄層を形成する程度にする。塗布された時の形態が2秒以上保たれるときは、ガラス製品の表面が「濡れて」いると判定し、次の表面張力の高い混合液に進む。逆に、2秒未満で塗膜が破れる場合は、次の表面張力の低い混合液に進む。
(2)上記操作を繰り返して、ガラス製品の表面を2秒間だけ濡らすことができる混合液を選ぶ。
(3)ガラス製品の表面を2秒間だけ濡らすことができる混合液を選ぶ操作を少なくとも3回行い、こうして選ばれた混合液の表面張力をぬれ張力とする。
Figure 0004310261

以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例により限定されることは意図しない。
〔実施例1〕
ポリエチレンワックスの水性エマルジョン(ハネウェル社製「AC#629ポリエチレンワックス:酸価15mg−KOH/g(以下、単位省略)、樹脂軟化点104℃」を、乳化剤として高級アルコールエチレンオキシド付加物及び高級脂肪酸ジエタノールアミド、中和剤としてKOHを使用して常法により製造。PE濃度は約36.5重量%)1.35mLに400mLの蒸留水を加えて混合した(A−1液)。また、アミノ基を有するシランカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー(株)製A−1100)0.5mLに100mLの蒸留水を加えて混合した(B−1液)。A−1液とB−1液を混合し、この溶液をガラス表面処理用コーティング組成物とした。
次に、慣用の方法で表面にホットエンドコーティングを施した内容量120mL、重量142gのドリンク剤用ガラス容器を用意し、それらを恒温乾燥器中で110℃にて60分間保持した。
上記ガラス表面処理用コーティング組成物をハンド式スプレーガンのカップに移し、コンプレッサーから供給されるエアの噴出量とその圧力をスプレーガンの手元で調整することにより、スプレー量を70mL/分に固定した。次いで、約110℃に加温した上記ガラス容器を1個ずつターンテーブルの中心に置き、該ターンテーブルを2回転(一周約2秒)させる間に、そのガラス容器に約50cmの距離から上記コーティング組成物をスプレーすることにより、ガラス容器の外表面に該組成物を均一に、液垂れのないように塗布した。塗布後、そのままの状態でガラス容器を室温まで放冷した。この手順により、以下の試験に必要な個数のコールドエンドコーティング済みガラス容器を用意した。
ガラス容器表面の滑性の評価を、前記の日本ガラスびん協会規格7.14 表面滑り角度測定方法に基づいて行った。無洗浄のガラス容器の測定の結果、表面滑り角度は6〜9°であった。85℃で10分間湯に浸漬(湯洗。本明細書において、「湯洗」は「水洗」に含まれる。)したガラス容器の測定の結果、表面滑り角度は7〜10°であった。コールドエンドコーティングを施さなかった同じガラス容器について別途測定した滑り角度は、23〜26°であった。これらのことは、無洗浄、湯洗いずれのガラス容器も、ポリエチレンコーティングが十分付着していることを示している。
湯洗を行ったガラス容器10本に、デンプン糊を用いて紙製ラベル(138mm×42mm、88g/m2)を貼り付け室温で72時間静置した。各ラベルはガラス容器に確実に貼付しており表面を指で強く擦っても全く影響を受けなかった。これらのラベルにつき剥離テストを行ったところ、◎が5本、○が5本であった。
同様に、無洗浄のガラス容器10本に、デンプン糊を用いて紙製ラベル(138mm×42mm、88g/m2)を貼り付け室温で72時間静置した。各ラベルはガラス容器に確実に貼付しており表面を指で強く擦っても全く影響を受けなかった。これらのラベルにつき剥離テストを行ったところ、×が10本であった。
コールドエンドコーティングを施した湯洗ガラス容器及びコールドエンドコーティングを施さなかった同じガラス容器をそれぞれ3本用意し、ぬれ張力を測定した。コールドエンドコーティングを施した湯洗ガラス容器のぬれ張力は、33〜34mN/mであった。一方、コールドエンドコーティングを施さなかったガラス容器のぬれ張力は、73mN/mより大であった。
以上の結果から、実施例1のコールドエンドコーティングを施したガラス容器は、ガラス容器表面の水洗後にデンプン系糊で貼り付けた紙製ラベルの易剥離性を示し、当該水洗後のガラス容器表面のぬれ張力が33〜34mN/mであることがわかる。
〔実施例2〕
ポリエチレンワックスの水性エマルジョンの量を2.7mLとすることによってA−1液をA−2液に変更した以外は、実施例1と同様にガラス表面処理用コーティング組成物を調製した。このコーティング組成物を実施例1と同じ条件で同じガラス容器表面にスプレーし、以下の試験に必要な個数のコールドエンドコーティング済みガラス容器を用意した。
ガラス容器表面の滑性の評価を、前記の日本ガラスびん協会規格7.14 表面滑り角度測定方法に基づいて行った。無洗浄のガラス容器の測定の結果、表面滑り角度は5〜8°であった。85℃で10分間湯洗したガラス容器の測定の結果、表面滑り角度は6〜9°であった。これらのことは、無洗浄、湯洗いずれのガラス容器も、ポリエチレンコーティングが十分付着していることを示している
湯洗を行ったガラス容器15本に、実施例1と同様の方法でデンプン糊を用いて実施例1で用いたのと同じ紙製ラベルを貼り付け室温で72時間静置した。各ラベルはガラス容器に確実に貼付しており表面を指で強く擦っても全く影響を受けなかった。これらのラベルにつき剥離テストを行ったところ、◎が10本、○が5本であった。また、糊を変更し、デンプン−アクリル混合糊を用いて実施例1と同様の方法で、湯洗を行ったガラス容器15本に実施例1で用いたのと同じ紙製ラベルを貼り付け室温で72時間静置した。各ラベルはガラス容器に確実に貼付しており表面を指で強く擦っても全く影響を受けなかった。これらのラベルにつき剥離テストを行ったところ、◎が12本、○が3本であった。
同様に、無洗浄のガラス容器15本に、実施例1と同様の方法でデンプン糊を用いて実施例1で用いたのと同じ紙製ラベルを貼り付け室温で72時間静置した。各ラベルはガラス容器に確実に貼付しており表面を指で強く擦っても全く影響を受けなかった。これらのラベルにつき剥離テストを行ったところ、×が15本であった。また、糊を変更し、デンプン−アクリル混合糊を用いて実施例1と同様の方法で、無洗浄のガラス容器15本に実施例1で用いたのと同じ紙製ラベルを貼り付け室温で72時間静置した。各ラベルはガラス容器に確実に貼付しており表面を指で強く擦っても全く影響を受けなかった。これらのラベルにつき剥離テストを行ったところ、×が15本であった。
コールドエンドコーティングを施した湯洗ガラス容器を3本用意し、ぬれ張力を測定した。コールドエンドコーティングを施した湯洗ガラス容器のぬれ張力は、33mN/mであった。
以上の結果から、実施例2のコールドエンドコーティングを施したガラス容器は、ガラス容器表面の水洗後にデンプン系糊で貼り付けた紙製ラベルの易剥離性を示し、当該水洗後のガラス容器表面のぬれ張力が33mN/mであることがわかる。
〔実施例3〕
実施例1と同じ調合比で100Lのガラス表面処理用コーティング組成物を調製した。製びん工場の製造ラインでホットエンドコーティング処理され、さらに徐冷炉で徐歪された外表面温度約100℃の内容量120mL、重量142gのドリンク剤用ガラス容器の表面に、2本のスプレーガンを用いて該コーティング組成物をスプレーした。スプレー量は2本の合計で80、100、120、140、160mL/分とし、スプレーは、1列32本のガラス容器に対し、列の両側から約6秒かけてスプレーガンを走行させながら行った。室温まで放冷した後、ガラス容器表面の滑性の評価を、前記の日本ガラスびん協会規格7.14 表面滑り角度測定方法に基づいて行った。表面滑り角度はそれぞれ13〜20°、7〜9°、5〜6°、4〜6°、4〜6°であった。このことは、スプレー量(2本の合計)が100mL/分以上であれば得られた無洗浄のガラス容器表面には、ポリエチレンコーティングが十分付着していることを示している。
得られたガラス容器をバルク包装し、飲料メーカーの工場へ運搬し、ラインに流して内容物を充填した。充填後、パストライザー内で最高60℃の熱水を5分間シャワー(湯洗)した後乾燥した。次いで、ラベラーでデンプン糊を用いて紙製ラベル(138mm×42mm、88g/m2)を貼り付けた。得られた製品から20本ずつサンプリングし、室温で製造から168時間静置した。各ラベルはガラス容器に確実に貼付しており表面を指で強く擦っても全く影響を受けなかった。これらのラベルにつき剥離試験を行ったところ、コーティングの際のスプレー量を80mL/分としたガラス容器では×が20本、100mL/分としたものでは○が20本、120mL/分としたものでは、◎が11本、○が9本、140mL/分としたものでは、◎が18本、○が2本、160mL/分としたものでは、◎が20本であった。
コーティングの際のスプレー量を異にする充填前のガラス容器を各3本用意し、85℃で10分間湯に浸漬した後、ぬれ張力を測定した。ガラス容器の表面張力は、スプレー量を80mL/分としたものでは43〜44mN/m、100mL/分としたものでは36〜37mN/m、120mL/分としたものでは34〜35mN/m、140mL/分としたものでは33〜34mN/m、そして160mL/分としたものでは33〜34mN/mであった。
以上の結果から、実施例3のコールドエンドコーティングを施したガラス容器のうち、スプレー量が100mL/分以上であれば、ガラス容器表面の水洗後にデンプン系糊で貼り付けた紙製ラベルの易剥離性を示し、表面のぬれ張力が33〜37mN/mであること、及び、スプレー量が最少の80mL/分のものでは、水洗後のぬれ張力は43〜44mN/mであり、デンプン系糊で貼り付けた紙製ラベルの易剥離性は得られないことが分かる。
〔比較例〕
ポリエチレンワックスの水性エマルジョン(ハネウェル社製 AC#392ポリエチレンワックス:酸価30、樹脂軟化点138℃)を、乳化剤として高級アルコールエチレンオキシド付加物、中和剤としてKOHを使用して常法により製造。PE濃度は約35重量%)1.35mLに400mLの蒸留水を加えて混合(A−3液)。また、アミノ基を有するシランカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー(株)製A−1100)0.5mLに100mLの蒸留水を加えて混合(B−1液)。さらにA−3液とB−1液を混合し、この溶液をガラス表面処理用コーティング組成物とした。このコーティング組成物を実施例1と同じ条件で同じガラス容器表面にスプレーし、以下の試験に必要な個数のコールドエンドコーティング済みガラス容器を用意した。
ガラス容器表面の滑性の評価を、前記の日本ガラスびん協会規格7.14 表面滑り角度測定方法に基づいて行った。無洗浄のガラス容器の測定の結果、表面滑り角度は4〜6°であった。85℃で10分間湯洗したガラス容器の測定の結果、表面滑り角度は7〜10°であった。これらのことは、無洗浄、湯洗いずれのガラス容器も、ポリエチレンコーティングが十分付着していることを示している。
湯洗を行ったガラス容器10本に、実施例1と同様の方法でデンプン糊を用いて実施例1で用いたのと同じ紙製ラベルを貼り付けた。室温で72時間静置後ラベル剥離テストを行ったところ、10本とも×であった。以上の結果から、比較例1のガラス表面処理用コーティング組成物は、コールドエンドコーティング剤としての機能を有するが、ガラス容器表面を水洗しても、デンプン系糊で貼り付けた紙製ラベルの易剥離性を発現させないことがわかる。
〔実施例4〕
実施例1と同じ調合比で1Lのガラス表面処理用コーティング組成物を調製した(C−1液)。また、比較例1と同じ調合比で1Lのガラス表面処理用コーティング組成物を調製した(C−2液)。C−1液:C−2液=2:1(体積比)となるよう混合し、ガラス表面処理用コーティング組成物とした。この組成物中のポリエチレンワックスの酸価は19.8である。このコーティング組成物を実施例1と同じ条件で同じガラス容器表面にスプレーし、以下の試験に必要な個数のコールドエンドコーティング済みガラス容器を用意した。
ガラス容器表面の滑性の評価を、前記の日本ガラスびん協会規格7.14 表面滑り角度測定方法に基づいて行った。無洗浄のガラス容器の測定の結果、表面滑り角度は6〜9°であった。85℃で10分間湯洗したガラス容器の測定の結果、表面滑り角度は7〜10°であった。これらのことは、無洗浄、湯洗いずれのガラス容器も、ポリエチレンコーティングが十分付着していることを示している。
湯洗を行ったガラス容器10本に、実施例1と同様の方法でデンプン糊を用いて実施例1で用いたのと同じ紙製ラベルを貼り付け室温で100時間静置した。各ラベルはガラス容器に確実に貼付しており表面を指で強く擦っても全く影響を受けなかった。これらのラベルにつき剥離テストを行ったところ、◎が5本、○が5本であった。
以上の結果から、実施例4のガラス表面処理用コーティング組成物は、コールドエンドコーティング剤としての機能を有すると共に、ガラス容器表面の水洗後にデンプン系糊で貼り付けた紙製ラベルの易剥離性を示すことがわかる。
〔実施例5〕
実施例1と同じ調合比で1Lのガラス表面処理用コーティング組成物を調製した(C−1液)。また、比較例1と同じ調合比で1Lのガラス表面処理用コーティング組成物を調製した(C−2液)。C−1液:C−2液=1:1(体積比)となるよう混合し、ガラス表面処理用コーティング組成物とした。この組成物中のポリエチレンワックスの酸価は22.2である。このコーティング組成物を実施例1と同じ条件で同じガラス容器表面にスプレーし、以下の試験に必要な個数のコールドエンドコーティング済みガラス容器を用意した。
ガラス容器表面の滑性の評価を、前記の日本ガラスびん協会規格7.14 表面滑り角度測定方法に基づいて行った。無洗浄のガラス容器の測定の結果、表面滑り角度は5〜8°であった。85℃で10分間湯洗したガラス容器の測定の結果、表面滑り角度は7〜10°であった。これらのことは、無洗浄、湯洗いずれのガラス容器も、ポリエチレンコーティングが十分付着していることを示している。
湯洗を行ったガラス容器10本に、実施例1と同じ方法でデンプン糊を用いて実施例1で用いたのと同じ紙製ラベルを貼り付け室温で100時間静置した。各ラベルはガラス容器に確実に貼付しており表面を指で強く擦っても全く影響を受けなかった。これらのラベルにつき剥離テストを行ったところ、◎が3本、○が7本であった。
以上の結果から、実施例5のガラス表面処理用コーティング組成物は、コールドエンドコーティング剤としての機能を有すると共に、ガラス容器表面の水洗後にデンプン系糊で貼り付けた紙製ラベルの易剥離性を示すことがわかる。
〔実施例6〕
実施例3と同じ方法で製造した同じ寸法のガラス容器に、スプレー量(2本のスプレーガンの合計)を80、110、120、130、160mL/分とし、該実施例と同じ手順に従い同じコーティング組成物をスプレーした。コーティングされたガラス容器を2群に分け、一方は85℃で10分間湯に浸漬し(水洗群)、他方はそのままとして(無洗群)、それぞれについてぬれ張力を測定した(各3本)。その結果、水洗群では、スプレー量を80mL/分としたものでは43〜44mN/m、110mL/分〜160mL/分としたものでは何れも34〜35mN/mであり、無洗群では、スプレー量を80mL/分としたものでは41mN/m、110mL/分〜130mL/分としたものでは何れも36mN/m、160mL/分としたものでは35mN/mであった。
〔実施例7〕
実施例3と同じ方法で製造した同じ寸法のガラス容器に、スプレー量(2本のスプレーガンの合計)を80、110、120、150mL/分とし、該実施例と同じ手順に従い同じコーティング組成物をスプレーした。110mL/分のスプレー量としたものの一部を除き、残りのガラス容器を85℃で10分間湯に浸漬した(水洗群)。水洗した容器と無洗容器(スプレー量を110mL/分としたものの一部)について、ぬれ張力の測定(各3本)と、表面自由エネルギーの測定(各1本、5ヶ所)とを行った。表面自由エネルギーの測定には、固体表面に置いた液滴の接触角を計測して固体表面の自由エネルギーを算出する協和界面科学(株)製のDropMaster 500を用い、接触角測定用のプローブ液としては水及びジヨードメタンを用いた。測定は、ガラス容器の表面に各プローブ液を正確に1μL着滴し、着滴1秒後の状態を水平方向からCCDカメラで撮影した画像を装置に取り込んで、装置に備えられているソフトウェアのうちOwens-Wendtの理論に基づく表面自由エネルギー解析ソフトウェアによって表面自由エネルギーを算出させることにより行った。
水洗群についてのぬれ張力の測定値と、表面自由エネルギーの測定値(平均値)とは、スプレー量を80mL/分とした容器では、それぞれ43〜44mN/m及び42.7mJ/m2、110mL/分としたものでは、それぞれ34mN/m及び37.0mJ/m、120mL/分としたものでは、それぞれ34mN/m及び36.9mJ/m、150mL/分としたものでは、それぞれ33mN/m及び36.7mJ/mであった。また、上記の無洗容器については、それぞれ36mN/m及び39.3mJ/mであった。このように、ぬれ張力の値と、Owens-Wendtの理論に基づき水及びジヨードメタンを用いて測定した表面自由エネルギーとの値とは、よく相関していた。
本発明は、表面の摩擦係数低下による傷付き防止により強度劣化の防止されたガラス製品であって、デンプン系等の糊を用いてラベルやシールを貼付した場合、流通過程ではそれらが自然に剥離するおそれはないが、使用後リサイクル時等にそれらを剥がそうとするときは容易に剥がすことができるという特徴を有するガラス製品を提供することができる。
表面滑り角度測定方法を示す概要図。
符号の説明
11〜13=試料びん、14=びん保持台、15=目盛り板、16=ハンドル、17=平行調整ネジ

Claims (14)

  1. 酸価が10〜25mg−KOH/gである乳化された状態のポリエチレンワックスとアミノ基を有するシランカップリング剤とを含有する水性組成物で表面がコーティングされたガラス製品であって、該コーティングされた表面が、そのままの状態で又は85℃の水に10分間浸漬した後で、ぬれ張力30〜40mN/mを示すものであることを特徴とするガラス製品。
  2. 該ぬれ張力が32〜38mN/mである、請求項1に記載のガラス製品。
  3. 該水性組成物中の該ポリエチレンワックスの濃度が0.05〜0.5重量%である、請求項1又は2に記載のガラス製品。
  4. 該水性組成物中の該ポリエチレンワックスの酸価が12〜23mg−KOH/gである、請求項1ないし3の何れかに記載のガラス製品。
  5. 該水性組成物中のアミノ基を有する該シランカップリング剤の濃度が0.01〜1重量%である、請求項1ないし4の何れかに記載のガラス製品。
  6. 該水性組成物がポリオキシエチレン鎖を構造中に有する非イオン界面活性剤を含有するものである、請求項1ないし5の何れかに記載のガラス製品。
  7. ぬれ張力30〜40mN/mを示す該コーティングされた表面がラベル又はシール易剥離性を示すものである、請求項1ないし6の何れかに記載のガラス製品。
  8. 該ガラス製品がガラス容器である、請求項1ないし7の何れかに記載のガラス製品。
  9. 該水性組成物でコーティングされる表面が予めホットエンドコーティングされているものである、請求項1ないし8の何れかに記載のガラス製品。
  10. 該ガラス製品が板ガラスである、請求項1ないし7の何れかに記載のガラス製品。
  11. 該水性組成物によるコーティングが表面温度80〜130℃にて行われたものである、請求項1ないし10の何れかに記載のガラス製品。
  12. 該水性組成物によるコーティングの後、該表面が水洗されたものである、請求項1ないし11の何れかに記載のガラス製品。
  13. ぬれ張力30〜40mN/mを示す該コーティングされた表面にデンプン系の糊を用いてラベル又はシールが貼付されているものである、ラベル又はシール易剥離性の、請求項1ないし12の何れかに記載のガラス製品。
  14. 該水性組成物によるコーティングが表面温度80〜130℃にて行われ、その後該表面が水洗されたものであり、且つ該水洗された表面にデンプン系の糊を用いてラベル又はシールが貼付されている、ラベル又はシール易剥離性のガラス容器である、請求項1ないし9の何れかに記載のガラス製品。
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