JP4309987B2 - ラスタデータの編集方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ラスタデータの形態で読み込まれ、又は記録された図面データのような画像データに対して編集処理を施すラスタデータの編集方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャナで読み込まれたラスタ形式の図面データを編集する場合、典型的にはドット単位の操作によって消去、追加、複写、移動、回転、色の変更や反転、拡大・縮小等の各種編集処理を施すことが行われている。このようなラスタ単位での編集操作の最も大きな欠点は、任意の部分を書き直すと、意図しない部分を消してしまったり、拡大すると線の太さもそのまま太くなってしまったり、線種を変更するのも一々手作業となるというように、ラスタデータの状態での自在な編集操作が困難であるという点である。
【0003】
そこで、ラスタデータから各図形要素を構成する連結成分を抽出して、各図形要素毎にラスタデータをベクタデータに変換し、変換されたベクタデータに対して必要な編集処理を加えるようにした方式も実現されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ラスタデータの全ての図形要素をベクタデータに変換するには、多大な変換時間を必要とするうえ、ラスタデータによっては、ベクタデータに正しく変換されないこともあるなどの問題がある。また、変換された図面データは、そのままベクタデータとして保存されるため、そのデータを利用するアプリケーションで変換後のベクタデータが使用可能な形式であるかどうかを考慮しなければならず、データ形式の汎用性の点で問題があった。
【0005】
この発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、ラスタデータの編集作業を容易にすると共に、ラスタデータでの保存を可能にすることにより、編集後のデータの汎用性を高めるようにしたラスタデータの編集方法及び装置を提供することを目的とるする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願に係るラスタデータの編集方法は、ドットデータの集合からなるラスタデータのうちの編集すべき図形要素を構成する連結要素の少なくとも一部を指定して、前記編集すべき図形要素を構成する連結要素を抽出及び除去した後、抽出された連結要素をその図形要素の特徴を維持したベクタデータに変換し、この変換されたベクタデータに対して所定の編集処理を施したのち、編集処理が施されたベクタデータをラスタデータに変換して、前記連結要素が抽出されたラスタデータと合成して保存してなるラスタデータの編集方法であって、前記編集すべき図形要素を構成する連結要素を除去する際に、前記編集すべき図形要素と他の図形要素とが交差する場合、その交差部を前記連結要素の輪郭線とこの輪郭線によって求められる前記連結要素のショートベクトルとによって特定し前記他の図形要素の一部として残すことを特徴とする。
【0007】
また、本願に係るラスタデータの編集装置は、ドットデータの集合からなるラスタデータを記憶するメモリと、このメモリに記憶されたラスタデータを表示する表示手段と、この表示手段に表示されたラスタデータに対して編集すべき図形要素を指定するための図形要素指定手段と、この図形要素指定手段で指定された図形要素を構成する連結要素を抽出する連結領域抽出手段と、抽出された連結要素をラスタデータからベクタデータに変換すると共に変換前のラスタデータを除去して変換後のベクタデータに置き換えるラスタ/ベクタ変換手段と、前記変換前のラスタデータの除去に際し、前記編集すべき図形要素と他の図形要素とが交差する場合、その交差部を前記連結要素の輪郭線とこの輪郭線によって求められる前記連結要素のショートベクトルとによって特定し前記他の図形要素の一部として残す交差領域処理手段と、前記ラスタ/ベクタ変換手段でベクタデータに変換された図形要素に対して外部からの指示に基づいて編集処理を施すベクタデータ編集手段と、このベクタデータ編集手段で編集されたベクタデータをラスタデータに変換するベクタ/ラスタ変換手段と、前記抽出された連結要素が除去されたラスタデータと前記ベクタ/ラスタ変換手段で得られたラスタデータとを合成する合成処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、スキャナや外部の記憶媒体から供給されたラスタデータのうち、編集すべき図形要素を構成する連結要素のみを抽出し、これをベクタデータに変更した上で、所望の編集処理を施し、最後にラスタデータに再変換して、これをもとのラスタデータのうち抽出された連結要素を除くラスタデータに合成することにより、最終的にラスタデータの形態となるように編集処理が進められる。ラスタデータからベクタデータへの変換は、図形要素の特徴、即ち図形要素の種類、位置、線種、太さを含む特徴を維持したままでなされる。編集操作は、ラスタデータから変換されたベクタデータに対して行われるので、拡大、縮小時にも線の太さが変わることがなく、線種変更等も容易である。また、文字の追加や変更等も元の文字と同一書体・大きさで行うことが可能になる。本発明では、ベクタデータへの変換操作は、編集すべき部分(図形要素)についてのみ行われるので、全体をベクタデータに変換する場合に比べて、遙かに処理が簡単で高速である。また、余計な変換ミスに基づく修正作業も発生しない。最終的に得られたデータは、ラスタデータであるから、元のデータと形式は同じであり、汎用性も高い。
【0009】
複数の連結要素が交差した交差部分では、この交差部分を残して前記ラスタデータから前記編集すべき図形要素を構成する連結要素を除去するようにする。このようにすれば、連結成分が抽出・除去された後のラスタデータの交差部分のドットデータが消えてしまうという不具合の発生を防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の一実施例に係るラスタデータの編集装置を説明するためのブロック図である。
修正前図面1のイメージはスキャナ2で読み取られ、ここでビットマップデータ等のラスタデータに変換されてメモリ3に格納される。保存されるラスタデータの形式は、その保存容量を考慮して、ランレングスデータ、MR、MMR、TIFF、CALS等、適宜の圧縮処理が施されたものであっても良い。メモリ3にラスタデータの形式で格納された図面のイメージデータは、表示部4に編集処理に必要なコマンド入力用のアイコン等と共に表示され、入力部5の操作に従って編集処理部6で適宜編集される。編集されたイメージデータは、元のラスタデータの形態でメモリ3に保存され、入力部5の操作に基づいてプリンタ、プロッタ等の印刷出力部7を介して修正後図面8として出力される。
【0011】
編集処理部6は、具体的には図2に示すように構成されている。即ち、図形要素指定部11は、編集対象となる図形要素をオペレータが指定するのに使用される。連結領域抽出部12は、指定された図形要素を構成する連結要素を抽出する。ラスタ/ベクタ変換部13は、抽出された連結要素のラスタデータをベクタデータに変換する。ベクタデータ編集部14は、変換されたベクタデータをオペレータが適宜編集するのに使用される。ベクタ/ラスタ変換部15は、ベクタデータ編集部14を使用して編集されたベクタデータをラスタデータに変換する。交差領域処理部16は、連結領域抽出部12によって抽出された連結領域をもとのラスタデータから削除する際に交差部分を削除しないように処理する。抽出領域表示処理部17は、もとのラスタデータから抽出された連結領域が存在した領域が編集の最中に識別できるように、その領域を例えばハーフトーンで表示するのに使用される。画像合成処理部18は、もとのラスタデータから交差部分を除く連結領域が削除されたラスタデータと、編集処理後の図形要素でラスタデータに再変換されたものとを合成する。
【0012】
次にこのように構成された本実施例の装置の動作について説明する。
図面の編集に際して、まず、オペレータは図形要素指定部11を使用して編集の対象となる図形要素を指定する。編集対象となる図形要素は、例えば直線、矩形、円、円弧、自由曲線及び文字列のうちのいずれに該当するかをマウスやキーボードの操作で指示し、次に編集対象となる図形要素の近傍点をマウスの操作等によって1〜3点ほど指示することにより指定することができる。
【0013】
次に連結領域抽出部12が指定された図形要素の連結成分を抽出する。いま、指定された図形要素が例えば図3に示すような直線21であるとすると、まずマウスのポインタ22等によって指定された点を含む所定のエリアAのラスタデータをメモリ3からクリップすることにより処理すべきデータ数を削減する。次に直線21を構成する連結要素のエリアA内の輪郭線を抽出し、この輪郭線で囲まれた領域を連結領域として抽出する。ラスタ/ベクタ変換部13は、連結領域抽出部12で求められた輪郭線に基づいて中心線のショートベクトルvを抽出する。ショートベクトルvは、輪郭線に直交する線と各輪郭線との交点の中間点を、輪郭線に沿って所定間隔毎に逐次求めていくことにより容易に得ることができる。エリアAは、例えばショートベクトルvで特定される方向に逐次移動される。これにより、所定の範囲にわたるショートベクトルvの集合が求められる。
【0014】
続いて、求められたショートベクトルvを長線化することにより1つのロングベクトルVを生成する。このロングベクトルVは、例えば最小二乗法等の手法により容易に求めることができる。ここで、輪郭線とロングベクトルとの交差の有無を判定して図形要素の指定が適切でないことを判断するようにしてもよい。ロングベクトルが抽出されたら、直線の幅W、直線の傾きθ及び指示座標点Pから中心線に下ろした垂線の交わる点の位置等が図形要素のパラメータとして抽出され、これらが直線のベクタデータとして構成される。ラスタ/ベクタ変換部13は、抽出された図形要素のもとのラスタデータを削除して、上記求められたベクタデータに置き換える。
【0015】
次に、ベクタデータに置き換えられた図形要素に対して、ベクタデータ編集部14を使用してベクタデータの編集処理が実行される。ベクタデータの編集処理としては、例えば拡大、縮小、移動、複写、線種変更、線幅変更等が挙げられるが、これらはラスタデータとは異なり、座標値や他のパラメータの変更だけであるから、編集操作は極めて容易である。このようにして編集されたベクタデータがベクタ/ラスタ変換部15でラスタデータに変換されて、最後に画像合成処理部18で、元のラスタデータから編集対象となった図形要素を除いたラスタデータと合成されて修正後の図面データが得られる。
【0016】
次に交差領域の処理について説明する。いま、例えば図4に示すような円弧31及び直線32,33を含むラスタデータのうち、円弧31を修正する場合、オペレータは、図示しない表示画面のアイコン等によって円弧の編集を指示し、続いてポインタ22で円弧31の近傍をクリックする。これにより、直線32,33で挟まれた部分では、前述と同様にショートベクトルが逐次求められ、これらショートベクトルの集合により円弧が求められるが、円弧31は、直線32,33とそれぞれ交差する交差部34,35を有するので、この交差部34,35では、輪郭線がショートベクトルの方向と大きく変化する。このため、交差領域処理部16は、ショートベクトルと輪郭線との角度の大きな変化を検出する。また、ショートベクトル方向に逐次進行させて、ショートベクトルに直交する線と輪郭線との直近の交点を2ヶ所検出する。これらの検出点から交差部34,35を特定し、メモリ3に交差部データとして保存する。
【0017】
図5は、抽出されたラスタデータの円弧31がベクタデータの円弧36に変換された様子を示している。ベクタデータに重ねてもとのラスタデータの円弧31′を例えばハーフトーン、色違いのように、元のラスタデータ及び変換されたラスタデータの双方から識別可能な形態で表示するようにすれば、ベクタデータが正しく変換されたのかどうかが容易に判別でき、同時に正しく変換されていなかった場合には、必要な修正を加えることが可能になる。このベクタデータの円弧36の半径及び線種を変更すると、図6のようになる。元のラスタデータの円弧31が、ハーフトーン又は色違いで円弧31′のように表示されていると、元のラスタデータに対してどの程度修正したかの識別ができ、編集操作が容易になる。このとき、交差部34,35のラスタデータは、直線32,33の一部として残っている。この処理は、抽出領域表示処理部17により実行される。これにより、円弧31の抽出によって交差部34,35が消去されてしまうのを防止する。編集後のベクタデータをラスタデータに変換し、画像合成処理部18で元のラスタデータと合成することにより、図7に示すような、修正された円弧37を含むラスタデータ形式の編集後図面データが求められる。
【0018】
このように、この実施例によれば、編集すべき部分をラスタデータからベクトルデータに変換して編集処理を行うようにしているので、線種変更、線幅変更、半径変更等の編集操作が容易であり、拡大、縮小処理によって線幅を一定に保つなどの処理が可能である。また、文字の場合には、同一書体の文字を追加する事なども容易である。更に、保存形式はラスタデータで統一されるためデータの汎用性が高く、既存のデータの有効活用も可能である。
【0019】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、スキャナや外部の記憶媒体から供給されたラスタデータのうち、編集すべき図形要素を構成する連結要素のみを抽出し、これをベクタデータに変更した上で、所望の編集処理を施し、最後にラスタデータに再変換して、これをもとのラスタデータのうち抽出された連結要素を除くラスタデータに合成することにより、最終的にラスタデータの形態となるように編集処理が進められるので、拡大、縮小時にも線の太さが変わることがなく、線種変更等も容易である。また、文字の追加や変更等も元の文字と同一書体・大きさで行うことが可能になる。更に、本発明によれば、ベクタデータへの変換操作は、編集すべき部分(図形要素)についてのみ行われるので、全体をベクタデータに変換する場合に比べて、遙かに処理が簡単で高速であり、余計な変換ミスに基づく修正作業も発生しない。最終的に得られたデータは、ラスタデータであるから、元のデータと形式は同じであり、汎用性も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例に係るラスタデータ編集装置のブロック図である。
【図2】 同装置における編集処理部のブロック図である。
【図3】 同装置におけるラスタデータの編集処理を説明するための図である。
【図4】 同装置におけるラスタデータの編集処理を説明するための図である。
【図5】 同編集処理を説明するための図である。
【図6】 同編集処理を説明するための図である。
【図7】 同編集処理を説明するための図である。
【符号の説明】
1…修正前図面、2…スキャナ、3…メモリ、4…表示部、5…入力部、6…編集処理部、7…印刷出力部、8…修正後図面。

Claims (3)

  1. ドットデータの集合からなるラスタデータのうちの編集すべき図形要素を構成する連結要素の少なくとも一部を指定して、前記編集すべき図形要素を構成する連結要素を抽出した後、抽出された連結要素をその図形要素の特徴を維持したベクタデータに変換すると共に前記抽出された連結要素のラスタデータを除去し、この変換されたベクタデータに対して所定の編集処理を施したのち、編集処理が施されたベクタデータをラスタデータに変換して、前記編集すべき図形要素を構成する連結要素が除去されたラスタデータと合成して保存してなるラスタデータの編集方法であって、
    前記抽出された連結要素の輪郭線に沿って順次ショートベクトルを求め、このショートベクトルと輪郭線のなす角度が所定角度よりも大きくなる直前のショートベクトルに直交する線と、前記連結要素の輪郭線との複数の交点によって前記編集すべき図形要素と他の図形要素とが交差する交差部を特定し、前記交差部を交差部データとしてメモリに保存することにより前記他の図形要素の一部として残す
    ことを特徴とするラスタデータの編集方法。
  2. 前記図形要素の特徴は、図形要素の種類、位置、線種、太さを含むものであることを特徴とする請求項1記載のラスタデータの編集方法。
  3. ドットデータの集合からなるラスタデータを記憶するメモリと、
    このメモリに記憶されたラスタデータを表示する表示手段と、
    この表示手段に表示されたラスタデータに対して編集すべき図形要素を指定するための図形要素指定手段と、
    この図形要素指定手段で指定された図形要素を構成する連結要素を抽出する連結領域抽出手段と、
    抽出された連結要素をラスタデータからベクタデータに変換すると共に変換前のラスタデータを除去して変換後のベクタデータに置き換えるラスタ/ベクタ変換手段と、
    前記抽出された連結要素の輪郭線に沿って順次ショートベクトルを求め、このショートベクトルと輪郭線のなす角度が所定角度よりも大きくなる直前のショートベクトルに直交する線と、前記連結要素の輪郭線との複数の交点によって前記編集すべき図形要素と他の図形要素とが交差する交差部を特定し、前記交差部を交差部データとしてメモリに保存することにより前記他の図形要素の一部として残す交差領域処理手段と、
    前記ラスタ/ベクタ変換手段でベクタデータに変換された図形要素に対して外部からの指示に基づいて編集処理を施すベクタデータ編集手段と、
    このベクタデータ編集手段で編集されたベクタデータをラスタデータに変換するベクタ/ラスタ変換手段と、
    前記抽出された連結要素が除去されたラスタデータと前記ベクタ/ラスタ変換手段で得られたラスタデータとを合成する合成処理手段と
    を備えたことを特徴とするラスタデータの編集装置。
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