JP4309929B2 - アクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、小型で多自由度の回転駆動できるアクチュエータに関する。
従来、監視カメラ等の視線変更制御などに用いられた多自由度回転駆動機構には、いわゆるブラシレスDCサーボモータと同一の原理のものを組み合わせて、多自由度の回転駆動を可能にした球面アクチュエータ(特開平6−284673号公報)やカップ状のロータに永久磁石を配置して電磁モータを応用して多自由度駆動を行う球面アクチュエータ(特開2003−324936号公報)などが提案されている。
特開平6−284673号公報 特開2003−324936号公報
しかしながら、これらの従来構造は、以下の課題を有しており、必ずしも満足できるものではない。例えば、ロータの中心軸周りの回転駆動において、位置決めの位置が90度ごとの間欠位置となる。また、ロータの中心軸に垂直な軸周りの回転駆動を実施した状態で、ロータの中心軸周りの回転駆動が難しい。特にロータ回転に関しては、任意の位置に精度よく位置決めすることが難しい。
本発明の目的は、上記課題を解決することにあり、ロータを多自由度で回転駆動できるとともにロータを精度良く位置決めできるコンパクトな構造のアクチュエータを提供することにある。
本発明のアクチュエータは、回転対称な外形を有するロータと、前記ロータを収容する回転対称な空間を有するステータと、前記ロータと前記ステータの間に設けられた、前記ステータに対して前記ロータを前記ロータの中心軸の周りおよびこれに垂直な軸の周りに回転自由に支持している軸受とを有している。前記ロータは第1の球状表面を部分的に有し、前記ステータの前記空間は、前記第1の球状表面と同中心の第2の球状表面によって部分的に規定される。前記ロータは、前記第1の球状表面の中心を通り前記ロータの中心軸に垂直な平面と前記第1の球状表面とが交わって得られる円周に沿って設けられた複数の磁化されたロータ中央磁極と、前記ロータ中央磁極に沿って上側に設けられた磁化されたロータ上部磁極と、前記ロータ中央磁極に沿って下側に設けられた磁化されたロータ下部磁極とを有している。前記ロータ中央磁極と前記ロータ上部磁極と前記ロータ下部磁極それぞれの外周面が前記第1の球状表面上に配置されている。前記ステータは、前記ロータの周りに前記ロータ中央磁極に対向して設けられた、前記ロータ中央磁極の個数よりも多数のステータ中央磁極と、前記ステータ中央磁極の上側に設けられた少なくとも3個のステータ上部磁極と、前記ステータ中央磁極の下側に設けられた少なくとも3個のステータ下部磁極と、前記ロータ中央磁極を適宜磁化するための中央コイルと、前記ステータ上部磁極を適宜磁化するための上部コイルと、前記ステータ上部磁極を適宜磁化するための上部コイルとを有している。前記ステータ中央磁極と前記ステータ上部磁極と前記ステータ下部磁極それぞれの内周面が前記第2の球状表面上に配置されている。前記ステータの中心軸に沿った前記ステータ中央磁極の寸法は、前記ロータの中心軸に沿った前記ロータ中央磁極の寸法よりも長い。前記第1の球状表面の中心から前記ステータ上部磁極の上端と前記ステータ下部磁極の下端とに引いた2本の直線の開き角は、前記第1の球状表面の中心から前記ロータ上部磁極の上端と前記ロータ下部磁極の下端とに引いた2本の直線の開き角よりも大きく、前記第1の球状表面の中心から前記ステータ上部磁極の下端と前記ステータ下部磁極の上端とに引いた2本の直線の開き角は、前記第1の球状表面の中心から前記ロータ上部磁極の下端と前記ロータ下部磁極の上端とに引いた2本の直線の開き角よりも大きい。
本発明によれば、ロータを多自由度で回転駆動できるとともにロータを精度良く位置決めできるコンパクトな構造のアクチュエータが提供される。
<第1実施形態>
本実施形態のアクチュエータの構成について図1〜図4を参照して説明する。
本実施形態のアクチュエータ100は、回転対称な外形を有するロータ110と、ロータ110を収容する回転対称な空間を有するステータ130と、ロータ110とステータ130の間に設けられた、ステータ130に対してロータ110をロータ110の中心軸の周りおよびこれに垂直な軸の周りに回転自由に支持している軸受160とを有している。
ロータ110は、ロータ本体111と、6個の磁化されたロータ中央磁極121と、ロータ中央磁極121の個数と同数の磁化されたロータ上部磁極122と、ロータ中央磁極121の個数と同数の磁化されたロータ下部磁極123とを有している。
ロータ本体111は、球面の中心からほぼ等距離にあり球面と交わる互いに平行な2つの平面にはさまれた球面の部分からなる球帯状の外周面112を有している。またロータ本体111は、ロータ110の中心軸に沿って延在する貫通孔113を有している。
ロータ中央磁極121は、ロータ本体111の外周面112上に、外周面112の中心を通りロータ110の中心軸Aに垂直な平面とロータ本体111の外周面112とが交わって得られる円周に沿って設けられている。言い換えれば、ロータ中央磁極121は、ロータ110の中心軸Aに垂直な平面上に位置する大円(球面をその中心を通る平面で切ったときに切り口に現れる円)に沿って設けられている。ロータ上部磁極122は、ロータ本体111の外周面112上に、ロータ中央磁極121に沿って上側に設けられている。ロータ下部磁極123は、ロータ本体111の外周面112上に、ロータ中央磁極121に沿って下側に設けられている。ここにおいて、上側と下側という用語は、それぞれ、ロータ110の中心を基準にして、ロータ110の中心軸に沿った一方の側と他方の側を言うものとする。ロータ上部磁極122とロータ下部磁極123は、ロータ110の中心軸に沿ってロータ中央磁極に整列している。
ロータ中央磁極121とロータ上部磁極122とロータ下部磁極123は、図2に示すように、それぞれ、外周面として、球状表面124と球状表面125と球状表面126を有している。球状表面124と球状表面125と球状表面126は共に球帯状の外周面112と同中心の球面の一部で構成されている。
本実施形態では、ロータ本体111の外周面112が球帯状であるが、必ずしもその必要はなく、ロータ110が部分的に球状表面を有するように、ロータ中央磁極121とロータ上部磁極122とロータ下部磁極123が同中心の球状表面124と球状表面125と球状表面126を有していればよい。たとえば、ロータ本体111の外周面112は円筒面であってもかまわない。
ステータ130は、図1と図2に示すように、ロータ110を取り囲んでいるリング状のフレーム131と、フレーム131に固定された4個の磁極ユニット140Aおよび4個の磁極ユニット140Bとを有している。磁極ユニット140Aと磁極ユニット140Bは互いに一個置きに角度的に等間隔で配置されている。
各磁極ユニット140Aは、ステータ中央磁極141と、ステータ中央磁極141の上側に設けられたステータ上部磁極142と、ステータ中央磁極141の下側に設けられたステータ下部磁極143と、ロータ中央磁極121を適宜磁化するための中央コイル151と、ステータ上部磁極142を適宜磁化するための上部コイル152と、ステータ下部磁極143を適宜磁化するための下部コイル153とを有している。ここにおいて、上側と下側という用語は、ロータの場合と同様に、それぞれ、ステータ130の中心を基準にして、ステータ130の中心軸Aに沿った一方の側と他方の側を言うものとする。ステータ上部磁極142とステータ下部磁極143は、ステータ130の中心軸に沿ってステータ中央磁極141に整列している。また、各磁極ユニット140Bは、ステータ中央磁極141と、ロータ中央磁極121を適宜磁化するための中央コイル151とを有している。ステータ中央磁極141は、ロータ110の周りにロータ中央磁極121に対向して配置されている。ステータ中央磁極141と中央コイル151は支持部材147によってフレーム131に取り付けられ、ステータ上部磁極142と上部コイル152は支持部材148によってフレーム131に取り付けられ、ステータ下部磁極143と下部コイル153は支持部材149によってフレーム131に取り付けられている。
ステータ中央磁極141とステータ上部磁極142ステータ下部磁極143は、それぞれ、図1に示すように、内周面として、球状表面144と球状表面145と球状表面146を有している。球状表面144と球状表面145と球状表面146は共にロータ110の球帯状の外周面112と同中心の球面の一部で構成されている。球状表面144と球状表面145と球状表面146は、ロータ110を収容する回転対称な空間を規定している。
図3に示すように、ステータ130の中心軸に沿ったステータ中央磁極141の寸法は、ロータ110の中心軸に沿ったロータ中央磁極121の寸法よりも長い。したがって、ロータ中央磁極121の両端は、ロータ110の中心Oからステータ中央磁極141の端部に引いた2本の直線の内側に位置している。ロータ110の中心からステータ上部磁極142の上端とステータ下部磁極143の下端とに引いた2本の直線の開き角θsは、ロータ110の中心からロータ上部磁極122の上端とロータ下部磁極123の下端とに引いた2本の直線の開き角θrよりも大きい。したがって、ロータ上部磁極122の上端は、ロータ110の中心Oからステータ上部磁極142の上端へ引いた直線よりも下方に位置し、ロータ下部磁極123の下端は、ロータ110の中心Oからステータ下部磁極143の下端へ引いた直線よりも上方に位置する。また、ロータ110の中心からステータ上部磁極142の下端とステータ下部磁極143の上端とに引いた2本の直線の開き角φsは、ロータ110の中心からロータ上部磁極122の下端とロータ下部磁極123の上端とに引いた2本の直線の開き角φrよりも大きい。したがって、ロータ上部磁極122の下端は、ロータ110の中心Oからステータ上部磁極142の下端へ引いた直線よりも下方に位置し、ロータ下部磁極123の上端は、ロータ110の中心Oからステータ下部磁極143の上端へ引いた直線よりも上方に位置する。
ここで、ロータ110の中心軸周りの回転駆動について説明する。中央コイル151に駆動電流を流して励磁することにより、8個のステータ中央磁極141と6個のロータ中央磁極121との間に電磁吸引力が働き、その電磁吸引力の中心軸周り方向の成分によってロータ110が中心軸周りに回転駆動される。次に図4を参照しながら詳しく説明する。続く説明では、ロータ110を挟んで対向しているステータ中央磁極141と中央コイル151を1組とし、図4に示すように、それぞれ、中央コイル151a,151b,151c,151dとステータ中央磁極141a,141b,141c,141dとする。図4においてロータ110を左回りに回転させるには、まず、中央コイル151aに駆動電流を流す。これにより、ロータ中央磁極121aとステータ中央磁極141aとの間に吸引力が作用して、ロータ中央磁極121aがステータ中央磁極141aに吸引され、両者の対向面が互いに重なるように位置決めされる。次に、中央コイル151aに駆動電流を流すのをやめ、中央コイル151dに駆動電流を流す。これにより、ステータ中央磁極141dとその近傍にあるロータ中央磁極121との間に吸引力が作用し、両者が引き付け合う。その結果、中央コイル151aに駆動電流を流した直後の状態と比較して、ステータ中央磁極141dとロータ中央磁極121の位相差分だけロータ110が左周りに回転する。続いて、中央コイル151dに駆動電流を流すのをやめ、中央コイル151cに駆動電流を流す。これにより、前述と同様に、ステータ中央磁極141cとロータ中央磁極121cの位相差分だけロータ110が左回りに回転する。このように、中央コイル151a→中央コイル151d→中央コイル151c→中央コイル151b→中央コイル151aの順番に駆動電流を流すことにより、ロータ110が図4において左回りに回転される。同様に、中央コイル151a→中央コイル151b→中央コイル151c→中央コイル151d→中央コイル151aの順番に駆動電流を流すことにより、ロータ110が図4において右回りに回転される。最終的に中央コイル151a〜151dのいずれかに駆動電流を流し続けることにより、ロータ110の中心軸周りの回転位置が位置決めされる。
このように、中心軸周りの回転駆動は中央コイル151に駆動電流を流して行うが、その際、各中央コイル151に一定のバイアス電流を流しておき、駆動電流をバイアス電流に重畳して行う。中心軸周りの回転駆動は、中央コイル151に流す駆動電流により生成される磁束によって行われ、磁束が相対的に強い場所に位置決めするため、共通の一定バイアス電流を中央コイル151に流すことは、中心軸周りの回転駆動の妨げにならない。この状態では、図3に示すように、磁極内の磁束分布はほぼ上下対称になっており、図3に示す位置に位置決めされる。
本実施形態では、ステータ上部磁極142とロータ上部磁極122との間およびステータ下部磁極143とロータ下部磁極123との間にも同様の吸引力が働くため、これらの磁極面においても回転位置決めの効果が生じる。
次に、中心軸に垂直な軸周りの駆動について説明する。上部コイル152と下部コイル153は巻き方向が同じであり、同じ向きの電流を流すと、同じ方向の磁束を生成する。上部コイル152と下部コイル153により生成される磁束は中心軸周りの回転駆動に大きな影響は与えない。
たとえば、図3の右側の磁極ユニット140Aにおいては、上向きの磁束を生成させる向きの電流を上部コイル152と下部コイル153に流す。ステータ上部磁極142とロータ上部磁極122の間に流れる磁束は、上部コイル152により生成された磁束がバイアス電流により生成された磁束に重畳されて強め合うため多くなる。一方、ステータ下部磁極143とロータ下部磁極123の間に流れる磁束は、下部コイル153により生成された磁束がバイアス電流により生成された磁束に重畳され弱め合うため少なくなる。その結果、ステータ上部磁極142とロータ上部磁極122は、磁極間のエッジ効果により、両者を正対させようとする力を受ける。
一方、図3の左側の磁極ユニット140Aにおいては、下向きの磁束を生成させる向きの電流を上部コイル152と下部コイル153に流す。図3の右側とは反対に、ステータ上部磁極142とロータ上部磁極122の間に流れる磁束は少なくなり、ステータ下部磁極143とロータ下部磁極123の間に流れる磁束は多くなる。その結果、ステータ下部磁極143とロータ下部磁極123は、磁極間のエッジ効果により、両者を正対させようとする力を受ける。
その結果、ロータ110は、中心Oを通り中心軸と紙面に垂直な軸周りに、左回りに回転される。
また、上部コイル152と下部コイル153に逆向きの電流を流すと、ロータ110は、中心Oを通り中心軸と紙面に垂直な軸周りに、右回りに回転される。
つまり、ロータ110を挟んで対向している一対の磁極ユニット140Aの上部コイル152と下部コイル153に、互いに逆向きの電流を流すことにより、ロータ110がその中心軸に垂直な軸周り回転駆動される。
このように、本実施形態によれば、ロータを多自由度で回転駆動できるとともにロータを精度良く位置決めできるコンパクトな構造のアクチュエータが提供される。また、多自由度の回転駆動用の磁極ユニットがロータの外側に配置されるため、中空構造のロータを採用できる。
<第2実施形態>
本実施形態のアクチュエータの構成について図5と図6を参照して説明する。
本実施形態では、ロータ210は第1実施形態と同様に回転対称な外形を有している。ロータ210は、ロータ本体211と、6個の磁化されたロータ中央磁極221と、単一の磁化されたロータ上部磁極222と、単一の磁化されたロータ下部磁極223とを有している。ロータ本体211は、第1実施形態と同様に、球帯状の外周面212と、ロータ210の中心軸に沿って延在する貫通孔213を有している。ロータ中央磁極221は、第1実施形態と同様に、ロータ本体211の外周面212上に、ロータ210の中心軸に垂直な平面上に位置する大円に沿って設けられている。
ロータ上部磁極222は、ロータ本体211の外周面212上に、ロータ中央磁極221に沿って上側に設けられている。ロータ下部磁極223は、ロータ本体211の外周面212上に、ロータ中央磁極221に沿って下側に設けられている。ロータ中央磁極221とロータ上部磁極222とロータ下部磁極223は、それぞれ、球状表面224と球状表面225と球状表面226を有している。球状表面224と球状表面225と球状表面226は共に球帯状の外周面212と同中心の球面の一部で構成されている。
別の言い方をすれば、ロータ上部磁極222は、第1実施形態におけるロータ上部磁極122を一体化し、その外周面全体を球帯状の外周面212と同中心の球面の一部からなる球状表面225で構成した構造となっている。同様に、ロータ下部磁極223は、第1実施形態におけるロータ下部磁極123を一体化し、その外周面を球帯状の外周面212と同中心の球面の一部からなる球状表面225で構成した構造となっている。
ロータ210の回転の駆動方法は、中心軸周りの回転駆動も中心軸に垂直な軸周りの回転駆動も第1実施形態と同様である。
しかし、第1実施形態では、ロータ上部磁極122とロータ下部磁極123がロータ110の中心軸に沿ってロータ中央磁極121に整列しているため、中心軸に垂直な軸周りの回転駆動を行う際、その回転駆動力を発生させるステータ上部磁極142およびステータ下部磁極143がそれぞれその近くに位置するロータ上部磁極122およびロータ下部磁極123と中心軸周りに関して正対していない場合、中心軸に垂直な軸周りの回転駆動力を発生させるための磁束がロータ上部磁極122とステータ上部磁極142の間およびロータ下部磁極123とステータ下部磁極143の間にも流れてしまい、中心軸周りの回転駆動力も発生してしまう。
これに対して本実施形態では、ロータ上部磁極222とロータ下部磁極223は単一構造体であるので、中心軸周りに関してステータ上部磁極142およびステータ下部磁極143と必ず正対する。その結果、中心軸に垂直な軸周りの回転駆動力を生成するための磁束は、ロータ上部磁極222とステータ上部磁極142の間およびロータ下部磁極223とステータ下部磁極143の間にエッジ効果を引き起こさず、中心軸周りの回転駆動力を発生させない。その結果、中心軸周りの回転駆動における位置決め精度が向上する。
<第3実施形態>
本実施形態のアクチュエータの構成について図7を参照して説明する。
本実施形態では、ロータ310は第1実施形態と同様に回転対称な外形を有している。ロータ310は、ロータ本体と、6個の磁化されたロータ中央磁極321と、磁化されたロータ上部磁極322と、磁化されたロータ下部磁極とを有している。ロータ本体の構造は、第1実施形態のロータ本体111と同様である。ロータ中央磁極321は、第1実施形態と同様に、ロータ本体の外周面上に、ロータ310の中心軸に垂直な平面上に位置する大円に沿って設けられている。
ロータ上部磁極322は、ロータ中央磁極321に沿って上側に設けられている。ロータ上部磁極322は、それぞれ、ステータ中央磁極141の個数とロータ中央磁極321の個数との積算値をステータ中央磁極141の個数とロータ中央磁極321の個数の差分値で除算した数値の個数の磁極328で構成されている。すなわち、ロータ上部磁極322は、ロータ中央磁極321の個数をn1とし、ステータ中央磁極141の個数をn2として、|(n1×n2)/(n1−n2)|で表現される個数の磁極328で構成されている。ロータ上部磁極322は、磁極328が互いに連結された一体構造体として構成されてもよく、またロータ本体に固定された複数の磁極328の集合として構成されてもよい。
図示していないが、ロータ下部磁極は、ロータ中央磁極321に沿って下側に設けられている。ロータ下部磁極は、ロータ上部磁極322と同様の構成をしている。
ロータ中央磁極321とロータ上部磁極322とロータ下部磁極は同中心の球面の一部からなる外周面を有している。
ロータ310の回転の駆動方法は、中心軸周りの回転駆動も中心軸に垂直な軸周りの回転駆動も第1実施形態と同様である。
しかし、第1実施形態では、前述したように、中心軸に垂直な軸周りの回転駆動を行う際、その回転駆動力を発生させるステータ上部磁極142およびステータ下部磁極143がそれぞれその近くに位置するロータ上部磁極122およびロータ下部磁極123と中心軸周りに関して正対していない場合、中心軸周りの回転駆動力も発生してしまう。
これに対して本実施形態では、ロータ上部磁極322とロータ下部磁極が前述の個数の磁極328で構成されているので、中心軸周りに関してステータ上部磁極142およびステータ下部磁極143に最も近い磁極328はステータ上部磁極142およびステータ下部磁極143と必ず正対し、また、その周辺の磁極328はステータ上部磁極142およびステータ下部磁極143に対して対称的に位置する。その結果、中心軸に垂直な軸周りの回転駆動力を生成するための磁束は、ロータ上部磁極322とステータ上部磁極142の間およびロータ下部磁極とステータ下部磁極143の間にエッジ効果を引き起こさず、中心軸周りの回転駆動力を発生させない。その結果、中心軸周りの回転駆動における位置決め精度が向上する。
<第4実施形態>
本実施形態は、第1実施形態のアクチュエータ100を用いて構成したカメラ装置である。このカメラ装置の構成について図8を参照して説明する。
図8に示すように、本実施形態のカメラ装置400は、アクチュエータ100と、対象物431,432を撮影するカメラモジュール410と、アクチュエータ100を制御する制御部420とを有している。カメラモジュール410は、アクチュエータ100のロータ110に装着されている。カメラモジュール410は、対象物431,432からの物体光を結像するレンズ411と、結像された光学像を取得する撮像素子412とを有している。アクチュエータ100はロータ110を回転3軸で駆動できるので、カメラモジュール410の視線方向を自由に変更できる。制御部420は、指示情報に基づいてカメラモジュール410の視線方向を変更するための視線変更制御部421と、視線変更制御部で生成された操作信号に基づいてアクチュエータ100を制御する駆動機構制御部422を有しており、指示情報424に基づいてロータ110を回転移動させることにより、カメラモジュール410の視線方向を変更し、カメラモジュール410の仰角方向と方位角方向と視線軸周りの回転角方向とを調整する。
カメラモジュール410によって対象物431を撮影する。対象物431からの物体光P1はカメラモジュール410に導かれ、レンズ411によって撮像素子412に結像される。カメラモジュール410の視線方向を対象物431から対象物432に切り換える場合は次の手順に従う。オペレータが、対象物432に関する指示情報424を与える。ここで指示情報424は、カメラモジュール410の仰角方向と方位角方向と視線軸周りの回転角方向とに関する情報である。視線変更制御部421は指示情報424に基づいて、カメラモジュール410の視線方向を変更するためにアクチュエータ100を制御するための操作信号を生成し、これを駆動機構制御部422に出力する。駆動機構制御部422は、入力された操作信号に基づいて、ロータ110を駆動する。その結果、カメラモジュール410の視線方向が対象物432に切り替わり、カメラモジュール410によって対象物432を撮影する。対象物432からの物体光P2はカメラモジュール410に導かれ、レンズ411によって撮像素子412に結像される。
本実施形態のカメラ装置400では、ロータ110が中空構造であるので、カメラモジュール410への配線処理の自由度が大きい。またアクチュエータ100は扁平構造であるため、奥行き寸法の小さいカメラ装置が実現される。カメラ装置400を壁配置で用いる監視カメラ装置として用いる場合でも、外観的に違和感が少ない。
<第5実施形態>
本実施形態は、第1実施形態のアクチュエータ100を用いて構成したホログラフィック記録装置である。このホログラフィック記録装置の構成について図9を参照して説明する。
図9に示すように、本実施形態のホログラフィック記録装置500は、光の干渉縞パターンを記録媒体に記録し再生する装置であり、アクチュエータ100と、アクチュエータ100のロータ110に保持されたxyzステージ520と、参照光と記録情報を含む信号光との干渉縞パターンをxyzステージ520に保持された記録媒体530上に生じさせる光学系と、アクチュエータ100を制御する制御部540とを有している。xyzステージ520はロータ110の貫通孔113内に配置されている。光学系は、光源501と、光源501からの光束L1を2つの光束L2,L3に分けるビームスプリッタ502と、ビームスプリッタ502で反射された光束L2を参照光束として記録媒体530に方向付けるミラー503と、ビームスプリッタ502を透過した光束L3を適宜遮断するシャッタ504と、シャッタ504を通過した光束L3を記録媒体530に方向付けるミラー505と、光束L3に記録情報を乗せて信号光の光束L4を生成する空間光変調器506とを有している。xyzステージ520は記録媒体530を並進3軸で直線移動し、アクチュエータ100は回転3軸で回転移動する。制御部540は、ロータ110を回転移動させるとともにxyzステージ520を直線移動させることにより、干渉縞パターンに対する記録媒体530の位置と姿勢を調整する。ホログラフィック記録装置500はさらに再生のための光検出器510を有している。
記録時には、制御部540によってアクチュエータ100とxyzステージ520を駆動し、記録媒体530を所望の位置および姿勢(角度)に調整する。位置および姿勢(角度)の調整においては、オペレータ等による指示情報が制御部540にあらかじめ入力されている。光源501からの光束L1はビームスプリッタ502によって2つの光束L2,L3に分けられる。光束L2は、参照光として、ミラー505で反射され、記録媒体530に導かれる。光束L3は、シャッタ504を通過し、ミラー505で反射され、空間光変調器506によって記録情報が乗せられて信号光の光束L4となり、記録媒体530に導かれる。参照光の光束L2と信号光の光束L4は干渉縞パターンを生成し、干渉縞パターンは記録媒体530に記録される。信号光の光束L4に対する参照光の光束L2の相対的な入射角度は、光の干渉縞パターンを用いて記録媒体530に記録できる所望の角度に予め調整されている。
再生時には、シャッタ504を遮断状態とするとともに、アクチュエータ100を制御してロータ110を駆動し、情報記録領域内の再生したい所望の位置および姿勢(角度)に記録媒体530を調整する。記録媒体530に参照光の光束L2が導かれると、参照光の光束L2は記録媒体530に予め記録されていた情報に基づく変化が生じ、この変化した光を光検出器510によって検出する。光検出器510によって検出された信号は、所定の手順を経て元の情報に再現される。
一般的に、ホログラフィック記録装置における多重記録方法には、記録媒体530の姿勢(角度)を変えて記録する角度多重記録や、記録媒体530の位置を移動させて記録するシフト多重記録があるが、この多重記録による記録情報の大容量化を達成するためには、記録媒体530を駆動する駆動機構の高機能化・高性能化が強く求められている。つまり、記録媒体530の多自由度駆動とともに駆動機構の高精度化・高速化・小型化・コンパクト化の要求が同時に求められる。
本実施形態のホログラフィック記録装置500では、記録媒体530の多自由度駆動と記録媒体530とxyzステージ520を含むロータ110の軽量化が同時に実現され、高速化・高精度化の実現が期待できる。その結果、ホログラフィック記録装置の多重記録および再生に係る駆動制御特性が大幅に向上し、多重記録の容量増加およびデータ転送レートの高速化が期待できるとともに、ホログラフィック記録装置全体の小形化およびコンパクト化の実現が図れる。また、ロータ110が中空構造であり、参照光の光路を妨げないため、少ない部品での再生に適している。
本実施形態では、光源501や空間光変調器506など、主たる構成要素のみを用いて説明したが、実際のホログラフィック記録装置においては、レンズや偏光板など、通常の光学設計で必要とされる構成要素を適宜追加して使用される。
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
本実施形態では、ロータ110が6個のロータ中央磁極121を有し、ステータ130が8個のステータ中央磁極141を有しているが、これに限定されるものではなく、ロータ110は少なくとも2個のロータ中央磁極121を有していればよく、ステータ130はロータ中央磁極121の個数よりも多数のステータ中央磁極141を有していればよい。また、ステータ130が4個のステータ上部磁極142と4個のステータ下部磁極143を有しているが、これに限定されるものではなく、ステータ130は少なくとも3個のステータ上部磁極142と少なくとも3個のステータ下部磁極143を有していればよい。ステータ上部磁極142とステータ下部磁極143の個数がそれぞれステータ中央磁極141の個数の半分であるが、必ずしもその必要はなく、たとえば、両者の個数がおなじであってもよい。
第1実施形態によるアクチュエータの斜視図である。 図1とは別の角度から見た図1のアクチュエータの斜視図である。 図1のアクチュエータの縦断面を概略的に示している。 図1のアクチュエータの横断面を概略的に示している。 第2実施形態によるアクチュエータを概略的に示す平面図である。 図5に示したロータの斜視図である。 第3実施形態によるアクチュエータを概略的に示す平面図である。 第4実施形態によるカメラ視野調整装置を概念的に示している。 第5実施形態によるホログラフィック記録装置を概念的に示している。
符号の説明
100…アクチュエータ、110…ロータ、111…ロータ本体、112…外周面、113…貫通孔、121,121a,121c…ロータ中央磁極、122…ロータ上部磁極、123…ロータ下部磁極、124,125,126…球状表面、130…ステータ、131…フレーム、140A,140B…磁極ユニット、141,141a,141b,141c,141d…ステータ中央磁極、142…ステータ上部磁極、143…ステータ下部磁極、144,145,146…球状表面、147,148,149…支持部材、151,151a,151b,151c,151d…中央コイル、152…上部コイル、153…下部コイル、160…軸受、210…ロータ、211…ロータ本体、212…外周面、213…貫通孔、221…ロータ中央磁極、222…ロータ上部磁極、223…ロータ下部磁極、224,225,226…球状表面、310…ロータ、321…ロータ中央磁極、322…ロータ上部磁極、328…磁極、400…カメラ装置、410…カメラモジュール、411…レンズ、412…撮像素子、420…制御部、421…視線変更制御部、422…駆動機構制御部、424…指示情報、431…対象物、432…対象物、500…ホログラフィック記録装置、501…光源、502…ビームスプリッタ、503…ミラー、504…シャッタ、505…ミラー、506…空間光変調器、510…光検出器、520…xyzステージ、530…記録媒体、540…制御部、L1,L2,L3,L4…光束、P1,P2…物体光。

Claims (7)

  1. 第1の球状表面を部分的に有する回転対称な外形を有するロータと、
    前記第1の球状表面と同中心の第2の球状表面によって部分的に規定される前記ロータを収容する回転対称な空間を有するステータと、
    前記ロータと前記ステータの間に設けられた、前記ステータに対して前記ロータを前記ロータの中心軸の周りおよびこれに垂直な軸の周りに回転自由に支持している軸受とを備え、
    前記ロータは、前記第1の球状表面の中心を通り前記ロータの中心軸に垂直な平面と前記第1の球状表面とが交わって得られる円周に沿って設けられた複数の磁化されたロータ中央磁極と、前記ロータ中央磁極に沿って上側に設けられた磁化されたロータ上部磁極と、前記ロータ中央磁極に沿って下側に設けられた磁化されたロータ下部磁極とを有し、前記ロータ中央磁極と前記ロータ上部磁極と前記ロータ下部磁極それぞれの外周面が前記第1の球状表面上に配置されており、
    前記ステータは、前記ロータの周りに前記ロータ中央磁極に対向して設けられた、前記ロータ中央磁極の個数よりも多数のステータ中央磁極と、前記ステータ中央磁極の上側に設けられた少なくとも3個のステータ上部磁極と、前記ステータ中央磁極の下側に設けられた少なくとも3個のステータ下部磁極と、前記ロータ中央磁極を適宜磁化するための中央コイルと、前記ステータ上部磁極を適宜磁化するための上部コイルと、前記ステータ下部磁極を適宜磁化するための下部コイルとを有し、前記ステータ中央磁極と前記ステータ上部磁極と前記ステータ下部磁極それぞれの内周面が前記第2の球状表面上に配置されており、
    前記ステータの中心軸に沿った前記ステータ中央磁極の寸法は、前記ロータの中心軸に沿った前記ロータ中央磁極の寸法よりも長く、前記第1の球状表面の中心から前記ステータ上部磁極の上端と前記ステータ下部磁極の下端とに引いた2本の直線の開き角は、前記第1の球状表面の中心から前記ロータ上部磁極の上端と前記ロータ下部磁極の下端とに引いた2本の直線の開き角よりも大きく、前記第1の球状表面の中心から前記ステータ上部磁極の下端と前記ステータ下部磁極の上端とに引いた2本の直線の開き角は、前記第1の球状表面の中心から前記ロータ上部磁極の下端と前記ロータ下部磁極の上端とに引いた2本の直線の開き角よりも大きい、アクチュエータ。
  2. 前記ロータは、その中心軸に沿って延在する貫通孔を有している、請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記ロータ上部磁極と前記ロータ下部磁極は、それぞれ、前記ロータ中央磁極の個数と同数の磁極で構成され、それらは前記ロータの中心軸に沿って前記ロータ中央磁極に整列している、請求項1に記載のアクチュエータ。
  4. 前記ロータ上部磁極と前記ロータ下部磁極は、それぞれ、単一の磁極で構成されている、請求項1に記載のアクチュエータ。
  5. 前記ロータ上部磁極と前記ロータ下部磁極は、それぞれ、前記ステータ中央磁極の個数と前記ロータ中央磁極の個数との積算値を前記ステータ中央磁極の個数と前記ロータ中央磁極の個数の差分値で除算した数値の個数の磁極で構成されている、請求項1に記載のアクチュエータ。
  6. 請求項1に記載の前記アクチュエータと、
    前記ロータに装着された、対象物を撮影するカメラモジュールと、
    指示情報に基づいて前記ロータを回転移動させることにより、前記カメラモジュールの視線方向を変更するように、前記アクチュエータを制御する制御部とを備えている、カメラ装置。
  7. 光の干渉縞パターンを記録媒体に記録し再生するホログラフィック記録装置であって、
    請求項1に記載の前記アクチュエータと、
    前記ロータに設けられた、前記記録媒体を保持するxyzステージと、
    参照光と記録情報を含む情報光との干渉縞パターンを前記記録媒体上に生じさせる干渉光学系と、
    前記干渉縞パターンに対する前記記録媒体の位置と姿勢を調整するように前記アクチュエータと前記xyzステージを制御する制御部とを備えている、ホログラフィック記録装置。
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