JP4309713B2 - 建築用パネル取付装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自転車置場やカーポート等の屋根板、あるいは立体駐車場の外壁板(サイジング板)等の建築用パネルの取付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は、図9に示す自転車置場を設置するにあたって、パネル表面に凸条部3を所定間隔で条設した屋根パネル1を母屋(パネル取付枠)2に取り付けている状態を示す。即ち、従来の建築用パネル取付装置は、公知文献を具体的に挙げることは出来ないが、図8に示すように、例えばリップ付き溝形鋼からなる母屋2の上に屋根パネル1を置き、下端フック部21aを母屋2に引っ掛けたフックボルト21を、屋根パネル1の凸条部3に設けたボルト挿通孔(図示せず)に挿通して上向きに突出させ、この突出させたフックボルト21の上端突出部にゴムパッキン22及びワッシャー23を通した後、ナット24を螺合して締結し、凸条部3を母屋2に固定するにしていた。尚、図8及び図9において、25は支柱、26は支柱25の上部から一体に延びた梁部で、この梁部26に母屋2が横架されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の取付装置においては、フックボルト21の下端フック部21aを母屋2にしっかり引っ掛けて外れないように締結するため、一人で取付作業を行う場合には、屋根パネル1の上側(表側)と下側(裏側)を何度も確認しながら作業を進めなければならず、作業に手間がかかって作業性が非常に悪いことから、大抵の場合、脚立に乗って屋根上で作業する作業者と、屋根の下側でフックボルト21の下端フック部21aを母屋2に引っ掛けるといった補助作業をしながら、フック部21aがしっかり引っ掛かって締結されるかどうかを確認する作業者との少なくとも二人の作業者が必要であった。
【0004】
本発明は、上記の課題に鑑み、屋根パネルの取付けにあっては、屋根上の一方からだけの作業で簡単容易に建築用パネルの取付けを行える建築用パネル取付装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、パネル表面に凸条部3を所定間隔で条設した建築用パネル1をパネル取付枠2に取り付ける建築用パネル取付装置であって、前記凸条部3に対応するパネル裏面の凹溝部4の深さと同じ高さを有し、その凹溝部4に嵌合する基台部6と、基台部6の中央部を貫通する中央孔部7に基台部6の上端面から所要長さ突出する状態で同心状に配置されると共に、中央孔部7の内周面との間に一体形成された連結片8で基台部6とつながっているネジ挿通用のスリーブ部9と、からなる合成樹脂の取付具5を備え、前記パネル1の取付けにあたり、取付具5の基台部6をパネル1の凹溝部4に嵌合すると共に前記凸条部3の所要箇所に設けたスリーブ部突出孔10からスリーブ部9を突出させた状態で、スリーブ部9にネジ具12を挿通してパネル取付枠2にねじ込むことにより、前記連結片8を切り離してスリーブ部9を基台部6の中央孔部7に没入させ、パネル1の凸条部3をパネル取付枠2に締結するようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2は、請求項1に記載の建築用パネル取付装置において、前記スリーブ部9の外周面上端部には、スリーブ部突出孔10の内径より若干径大となるように突出したストッパー11であって、基台部6を凹溝部4に嵌合してスリーブ部9をスリーブ部突出孔10から突出させた時に前記凸条部3の外面に係止するストッパー11又は11′を設けてなることを特徴とする。
【0007】
請求項3は、請求項1又は2に記載の建築用パネル取付装置において、前記ネジ具12はセルフドリリングネジからなることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1の(a) は本発明に係る屋根パネル取付装置の取付具5を示す正面図、(b) は平面図、(c)側面図、(d) は底面図、(e) は(b) のイ−イ線断面図、(f) はストッパーの他の例を示す(e) と同様な断面図である。図2は取付具5の一部切欠拡大斜視図であり、図3は屋根パネル(建築用パネル)1を示す斜視図である。
【0009】
屋根パネル(建築用パネル)1は、図3に示すように、表面にパネル長手方向に延びる凸条部3をパネル幅方向所定間隔おきに条設した金属鋼板からなるもので、この屋根パネル1の裏面には凸条部3に対応する凹溝部4を形成している。そして、この屋根パネル1には凸条部3の所定箇所にスリーブ部突出孔10が設けられる。
【0010】
取付具5は、図1及び図2から分かるように、屋根パネル1の裏面に形成された凹溝部4の溝深さと同じ高さを有して、その凹溝部4に嵌合する基台部6と、この基台部6の中央部を貫通する中央孔部7に基台部6の上端面6aから所要長さ突出する状態で同心状に配置されると共に、その中央孔部7の内周面との間に周方向に間隔をおいて一体形成された連結片8により基台部6と繋がっているネジ挿通用の円筒状スリーブ部9と、からなる。
【0011】
また、基台部6は、屋根パネル1の裏面の凹溝部4に対応する断面形状に形成されると共に、下端面側が開口した中空状に形成されており、その中空部を6oで示す。
【0012】
ネジ挿通用スリーブ部9の外周面上端側所要部には、図4の(a) に示すように基台部6を屋根パネル1の凹溝部4に嵌合してスリーブ部9を凸条部3のスリーブ部突出孔10から突出させる時に、同図の(b) に示すように凸条部3の外面に係止して、スリーブ部9と共に基台部6を凹溝部4内に保持するためのストッパー11が設けられている。
【0013】
上記ストッパー11は、スリーブ部突出孔10の内径よりも若干径大となるようにスリーブ部9の外周面に一体形成された環状突起部からなる。尚、このような環状突起部からなるストッパー11に代えて、図1の(f) に示すように、スリーブ部9の外周面に上端部に一体形成された凸段部からなるストッパー11′でもよい。
【0014】
上記のような構成よりなる取付具5を使用して、図8及び図9に示すような自転車置場の屋根パネル1を母屋(パネル取付枠)2に取り付ける方法を、図4〜図7によって詳述する。尚、屋根パネル1には、図3に示すように、凸条部3の所定箇所に予め工場等でスリーブ部突出孔10を明けておく。
【0015】
先ず、図4の(a) 及び(b) に示すように、取付具5の基台部6を屋根パネル1裏面の凹溝部4の所定箇所に嵌合すると共に、スリーブ部9の上端部を凸条部3のスリーブ部突出孔10から突出させる。この際、スリーブ部9に設けた環状突起部からなるストッパー11がこれより径小のスリーブ部突出孔10を抜け出る時にストッパー11がスリーブ部突出孔10の外側縁部で凸条部3の外面に当たって「パチン」と言う音がするまで、スリーブ部9を凸条部3のスリーブ部突出孔10に差し込むようにすればよい。
【0016】
上記のようにストッパー11がスリーブ部突出孔10を通り抜けて凸条部3の外面に当たって「パチン」と言う音がすることで、基台部6が凹溝部4に嵌合してスリーブ部9がスリーブ部突出孔10から所定長さ突出したことを確認でき、またストッパー11が凸条部3の外面に当たって係止することにより、基台部6がストッパー11と共に凹溝部4内に保持されることになる。
【0017】
上記のように屋根パネル1の凸条部3に設けられたスリーブ部突出孔10に対応する凹溝部4の位置に取付具5の基台部6を嵌合すると共に、スリーブ部9をそのスリーブ部突出孔10から突出させたならば、この屋根パネル1を、図5及び図8に示すように水平に配設されている母屋(パネル取付枠)2の上に乗せ、そして各取付具5のスリーブ部9にネジ具としてのセルフドリリングネジ12を挿入して、リップ付き溝形鋼材からなる母屋2の上フランジ部2aにねじ込む。尚、セルフドリリングネジ12には図5に示すように座金13及びリング状ゴムパッキン14を挿通させておく。
【0018】
しかして、セルフドリリングネジ12を母屋2の上フランジ部2aにねじ込んで取付具5のスリーブ部9を締め付けてゆくと、その締付力により、基台部6とスリーブ部9とをつないでいる連結片8に剪断力が働いて、この連結片8が剪断され、それによってスリーブ部9は凸条部3の中央孔部7に没入してしまう。
【0019】
こうして連結片8を剪断してスリーブ部9を中央孔部7に没入させた後、セルフドリリングネジ12を更にねじ込んで屋根パネル1の凸条部3を締め付けることによって、屋根パネル1を母屋2に取付け固定する。図6は取付具5とセルフドリリングネジ12とによって屋根パネル1の凸条部3を母屋2上に締め付け固定した状態を示す取付装置の正面断面図であり、図7は同取付装置の側面断面図である。
【0020】
以上説明したように、この発明に係る屋根パネル取付装置によれば、屋根パネル1の取付作業が屋根上からだけの作業となるから、ネジによる締め付け作業が一人で出来ることになり、また脚立などで何度も昇り降りする必要がなくなり、従って屋根パネル取付作業の作業性が大幅に向上する。
【0021】
また、取付作業においては、取付具5のスリーブ部9の上端部が屋根パネル1の凸条部3から突出しているので、取付箇所、即ちネジ止め箇所を目で確認することができ、また目で確認し難い時はその凸条部3を手や足で触ることによって確認することができ、従って作業性の一層の向上を図ることができる。また、人目のふれ易い屋根パネル1の下側にセルフドリリングネジ(ネジ具)12が露出しないので、外観上の体裁、見栄えが良好となる。
【0022】
以上説明した実施形態では、締結用ネジ具として、母屋(パネル取付枠)2のねじ込み部に下穴を明ける必要のないセルフドリリングネジ12を使用したが、母屋(パネル取付枠)2に下穴を明けておけば、安価で一般的なタッピングネジを用いることが出来る。
【0023】
また実施形態では、屋根パネル1を、母屋(パネル取付枠)2に取り付ける場合について説明したが、本発明の建築用パネル取付装置は、屋根パネル1に限らず、外壁パネル(サイジングボード)の取付装置についても適用可能である。
【0024】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、建築用パネルの取付作業を、屋根パネルの場合には屋根上からの作業だけで、屋根下からの作業が不要となり、また外壁パネルにはパネルの外側からの作業だけで、パネル内側からの作業が不要となるから、ネジ具による締結作業が一人で行え、また脚立等によって何度も昇り降りする必要がなく、従ってパネル取付作業の作業性を大幅に向上させることが出来る。
【0025】
また取付作業に際してネジ具による締結作業前は、取付具のスリーブ部の上端部がパネルの凸条部から突出しているので、取付箇所、即ちネジ止め箇所を目で確認することができ、また目で確認し難い時はその凸条部を手や足で触ることによって確認することができ、従って作業性の一層の向上を図ることができる。
【0026】
請求項2に係る発明によれば、ストッパーがパネルの凸条部の外面に係止することによって、凹溝部に嵌合した基台部をスリーブ部と共に凹溝部に保持することができ、従って取付具を地上で予めパネルに取り付けておくことができる。
【0027】
請求項3に係る発明によれば、ネジ具としてセルフドリリングネジを使用した場合には、パネル取付枠に一々下穴を明ける必要がなく、それだけ取付作業が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a) は本発明に係る屋根パネル取付装置の取付具を示す正面図、 (b) は平面図、(c) 側面図、(d) は底面図、(e) は(b) のイ−イ線断面図であり、(f) はストッパーの他の例を示す(e) と同様な断面図である。
【図2】 取付具の一部切欠拡大斜視図である。
【図3】 屋根パネル(建築用パネル)を示す斜視図である。
【図4】 (a) 及び(b) は屋根パネルの凹溝部に取付具を取り付けている状態を示す断面図である。
【図5】 屋根パネルの凹溝部に取付具を取り付けて凸条部のスリーブ部突出孔から突出させたスリーブ部にセルフドリリングネジを挿入する状態を示す断面図である。
【図6】 取付具とセルフドリリングネジとによって屋根パネルの凸条部を母屋上に締め付け固定した状態を示す取付装置の正面断面図である。
【図7】 同上の取付装置の側面断面図である。
【図8】 従来の屋根パネル取付装置の施工例を示す説明斜視図である。
【図9】 自転車置場を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 屋根パネル(建築用パネル)
2 母屋(パネル取付枠)
3 凸条部
4 凹溝部
5 取付具
6 基台部
7 中央孔部
8 連結片
9 スリーブ部
10 スリーブ部突出孔
11,11′ ストッパー
12 セルフドリリングネジ(ネジ具)
Claims (3)
- パネル表面に凸条部を所定間隔で条設した建築用パネルをパネル取付枠に取り付ける建築用パネル取付装置であって、
前記凸条部に対応するパネル裏面の凹溝部の深さと同じ高さを有し、その凹溝部に嵌合する基台部と、基台部の中央部を貫通する中央孔部に基台部の上端面から所要長さ突出する状態で同心状に配置されると共に、中央孔部の内周面との間に一体形成された連結片で基台部とつながっているネジ挿通用のスリーブ部と、からなる合成樹脂製の取付具を備え、
前記パネルの取付けにあたり、取付具の基台部をパネルの凹溝部に嵌合すると共に前記凸条部の所要箇所に設けたスリーブ部突出孔からスリーブ部を突出させた状態で、スリーブ部にネジ具を挿通してパネル取付枠にねじ込むことにより、前記連結片を切り離してスリーブ部を基台部の中央孔部に没入させ、パネルの凸条部をパネル取付枠に締結するようにした建築用パネル取付装置。 - 前記スリーブ部の外周面上端部には、スリーブ部突出孔の内径より若干径大となるように突出したストッパーであって、基台部を凹溝部に嵌合してスリーブ部をスリーブ部突出孔から突出させた時に前記凸条部の外面に係止するストッパーを設けてなる請求項1に記載の建築用パネル取付装置。
- 前記ネジ具はセルフドリリングネジからなる請求項1又は2に記載の建築用パネル取付装置。
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