JP4309022B2 - 光学補償シート、楕円偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学補償シート、楕円偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光学補償シート、楕円偏光板および液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶セル、偏光素子および光学補償シート(位相差板)からなる。透過型液晶表示装置では、二枚の偏光素子を液晶セルの両側に取り付け、一枚または二枚の光学補償シートを液晶セルと偏光素子との間に配置する。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚の光学補償シート、そして一枚の偏光素子の順に配置する。
液晶セルは、棒状液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、反射型については、TN、HAN(Hybrid Aligned Nematic)GH(Guest-Host)のような様々な表示モードが提案されている。
【0003】
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折フイルムが従来から使用されていた。
延伸複屈折フイルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上にディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。光学異方性層は、ディスコティック液晶性分子を含むディスコティック液晶組成物を配向膜の上に塗布し、配向温度よりも高い温度で加熱してディスコティック液晶性分子を配向させて形成する。一般に、ディスコティック液晶性分子は、大きな複屈折率を有する。そして、ディスコティック液晶性分子には、多様な配向形態がある。ディスコティック液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折フイルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。
【0004】
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。ディスコティック液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。
ディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートでは、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。例えば、TNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平10−54982号公報に記載がある。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用光学補償シートは、米国特許5805253号および国際特許出願WO96/37804号の各明細書に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平9−26572号公報に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用光学補償シートは、特許番号第2866372号公報に記載がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に記載のTNモードの液晶セル用光学補償シートは、光学異方性層を5乃至50度の平均傾斜角で配向させたディスコティック液晶性分子から形成している。さらに、ディスコティック液晶性分子の傾斜角を、ディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化するようにディスコティック液晶性分子を配向させている。
しかし、本発明者が従来の光学補償シートを検討したところ、偏光板の斜め方向からの光漏れが認められ、視野角が充分に(理論的に期待できる程度まで)拡大していない。本発明者が、さらに研究を進めた結果、光学異方性層に含まれるディスコティック液晶性分子の傾斜角を増加させると、上記の問題を解決できることが判明した。しかし、光学異方性層内のディスコティック液晶性分子の傾斜角の変化を任意に調節することは、非常に難しく、従来の技術では実質的には不可能であった。
【0006】
最近になって、ベンゼン環とそれに共役する二重結合とを含む側鎖が円盤状核に結合している分子構造を有するディスコティック液晶性分子は、固有複屈折率が高く、光学補償シートに好ましく用いられることが判明した。しかし、固有複屈折率が高いディスコティック液晶性分子を用いると、ディスコティック液晶性分子の傾斜角が不足する問題が、従来よりも顕著になった。
本発明の目的は、傾斜角が透明支持体面との距離に伴って変化しているディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子の傾斜角を増加させることである。
さらに本発明の目的は、TNモードの液晶セルを正確に光学的に補償することができる光学補償シートを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(5)の光学補償シート、下記(6)および(8)の液晶表示装置および下記(7)の楕円偏光板により達成された。
(1)ディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層および透明支持体を有する光学補償シートであって、ディスコティック液晶性分子が、ベンゼン環とそれに共役する二重結合とを含む側鎖が円盤状核に結合し、さらにエチレン性不飽和重合性基を含む分子構造を有し、ディスコティック液晶性分子の傾斜角が、ディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化しており、光学異方性層が、さらにフッ素置換アルキル基と親水性基とを有するフッ素化合物を含み、ディスコティック液晶性分子の配向状態がエチレン性不飽和重合性基の重合反応により固定されていることを特徴とする光学補償シート。
(2)光学異方性層が、フッ素化合物を1乃至35mg/mの量で含む(1)に記載の光学補償シート。
(3)フッ素化合物が、含フッ素界面活性剤である(1)に記載の光学補償シート。
(4)フッ素化合物が、フッ素置換アルキル基を側鎖に有する繰り返し単位と、親水性基を側鎖に有する繰り返し単位とからなるコポリマーである(1)に記載の光学補償シート。
(5)ディスコティック液晶性分子が、下記式で表される(1)に記載の光学補償シート
(I) D(−O−CO−AL −AR−O−AL −O−CO−Q)
式中、Dは円盤状コアであり;AL はアルケニレン基であって、その二重結合がARのベンゼン環と共役しており;ARはベンゼン環であり;AL はアルキレン基またはアルケニレン基であり;Qはエチレン性不飽和重合性基であり;そして、nは4乃至12の整数である
【0008】
(6)TNモードの液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる透過型液晶表示装置であって、偏光板の少なくとも一方と液晶セルとの間に、ディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層および透明支持体を有する光学補償シートが配置され、ディスコティック液晶性分子が、ベンゼン環とそれに共役する二重結合とを含む側鎖が円盤状核に結合し、さらにエチレン性不飽和重合性基を含む分子構造を有し、ディスコティック液晶性分子の傾斜角が、ディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化しており、光学異方性層が、さらにフッ素置換アルキル基と親水性基とを有するフッ素化合物を含み、ディスコティック液晶性分子の配向状態がエチレン性不飽和重合性基の重合反応により固定されていることを特徴とする液晶表示装置。
(7)ディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層、透明支持体、偏光膜および透明保護膜がこの順に積層している楕円偏光板であって、ディスコティック液晶性分子が、ベンゼン環とそれに共役する二重結合とを含む側鎖が円盤状核に結合し、さらにエチレン性不飽和重合性基を含む分子構造を有し、ディスコティック液晶性分子の傾斜角が、ディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化しており、光学異方性層が、さらにフッ素置換アルキル基と親水性基とを有するフッ素化合物を含み、ディスコティック液晶性分子の配向状態がエチレン性不飽和重合性基の重合反応により固定されていることを特徴とする楕円偏光板。
(8)TNモードの液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる透過型液晶表示装置であって、偏光板の少なくとも一方が、ディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層、透明支持体、偏光膜および透明保護膜がこの順に積層している楕円偏光板であり、ディスコティック液晶性分子が、ベンゼン環とそれに共役する二重結合とを含む側鎖が円盤状核に結合し、さらにエチレン性不飽和重合性基を含む分子構造を有し、ディスコティック液晶性分子の傾斜角が、ディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化しており、光学異方性層が、さらにフッ素置換アルキル基と親水性基とを有するフッ素化合物を含み、ディスコティック液晶性分子の配向状態がエチレン性不飽和重合性基の重合反応により固定されていることを特徴とする液晶表示装置。
なお、ディスコティック液晶性分子の傾斜角は、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体平面との角度を意味する。
【0009】
【発明の効果】
本発明者は、研究の結果、フッ素置換アルキル基と親水性基とを有するフッ素化合物を光学異方性層に添加することで、ディスコティック液晶性分子の傾斜角を増加させることに成功した。
フッ素化合物は、ディスコティック液晶性分子の傾斜角を増加させる作用を有している。そのため、フッ素化合物を添加し(必要に応じて添加量を調整すること)で、ディスコティック液晶性分子の傾斜角を任意に調節することが可能になった。
TNモードの液晶セルを正確に光学的に補償するためには、従来の光学補償シートよりも、ディスコティック液晶性分子の傾斜角を増加させることが望ましい。本発明では、ディスコティック液晶性分子の傾斜角を増加させることができるため、TNモードの液晶セルに正確に対応した光学補償シートが得られる。このような光学補償シートを用いることで、偏光板の斜め方向からの光漏れが防止され、液晶表示装置の視野角を充分に(従来以上に)拡大することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
[光学異方性層]
光学異方性層は、ディスコティック液晶性分子から形成する。
ディスコテック液晶性分子の傾斜角は、ディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化させる。
ディスコティック液晶性分子の具体的な配向状態は、液晶セルの表示モードの種類に応じて決定する。液晶性分子の配向状態は、ディスコティック液晶性分子の種類、配向膜の種類、後述するフッ素化合物、光学異方性層内の他の添加剤(例、可塑剤、バインダー、界面活性剤)の使用によって制御される。
【0011】
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、ディスコティック液晶性分子は、下記式(I)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0012】
(I) D(−L−Q)n
式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Qは重合性基であり;そして、nは4乃至12の整数である。
上記式の円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LQ(またはQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
【0013】
【化1】
Figure 0004309022
【0014】
【化2】
Figure 0004309022
【0015】
【化3】
Figure 0004309022
【0016】
【化4】
Figure 0004309022
【0017】
【化5】
Figure 0004309022
【0018】
【化6】
Figure 0004309022
【0019】
【化7】
Figure 0004309022
【0020】
上記式において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
【0021】
二価の連結基(L)は、ベンゼン環とそれに共役する二重結合とを含むことが好ましい。すなわち、アリーレン基とアルニレン基とが隣接しており、アリーレン基のベンゼン環と、アルニレン基の二重結合とが共役していることが好ましい。
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
【0022】
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
【0023】
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L21:−S−AL−
L22:−S−AL−O−
L23:−S−AL−O−CO−
L24:−S−AL−S−AL−
L25:−S−AR−AL−
【0024】
二価の連結基(L)がベンゼン環とそれに共役する二重結合とを含む場合は、上記L16が特に好ましい。すなわち、L16のAR(アリーレン基)のベンゼン環と、左側に隣接しているAL(アルニレン基)の二重結合とが共役していることが特に好ましい。
式(I)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)の例を以下に示す。
【0025】
【化8】
Figure 0004309022
【0026】
重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q1〜Q7)、エポキシ基(Q8)またはアジリジニル基(Q9)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)であることが最も好ましい。
式(I)において、nは4乃至12の整数である。具体的な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0027】
二種類以上のディスコティック液晶性分子を併用してもよい。例えば、以上述べたような重合性ディスコティック液晶性分子と非重合性ディスコティック液晶性分子とを併用することができる。
非重合性ディスコティック液晶性分子は、前述した重合性ディスコティック液晶性分子の重合性基(P)を、水素原子またはアルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すなわち、非重合性ディスコティック液晶性分子は、下記式(II)で表わされる化合物であることが好ましい。
(II) D(−L−R)n
式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Rは水素原子またはアルキル基であり;そして、nは4乃至12の整数である。
式(II)の円盤状コア(D)の例は、LP(またはPL)をLR(またはRL)に変更する以外は、前記の重合性ディスコティック液晶分子の例と同様である。
また、二価の連結基(L)の例も、前記の重合性ディスコティック液晶分子の例と同様である。
Rのアルキル基は、炭素原子数が1乃至40であることが好ましく、1乃至30であることがさらに好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも直鎖状アルキル基の方が好ましい。Rは、水素原子または炭素原子数が1乃至30の直鎖状アルキル基であることが特に好ましい。
【0028】
本発明では、さらにフッ素置換アルキル基と親水性基とを有するフッ素化合物を光学異方性層に添加する。
フッ素化合物は、含フッ素界面活性剤、またはフッ素置換アルキル基を側鎖に有する繰り返し単位と、親水性基を側鎖に有する繰り返し単位とからなるコポリマーであることが好ましい。
含フッ素界面活性剤は、フッ素置換アルキル基からなる疎水性基、ノニオン性、アニオン性、カチオン性あるいは両性の親水性基および任意に設けられる連結基からなる。一つの疎水性基と一つの親水性基からなる含フッ素界面活性剤は、下記式(III)で表わされる。
【0029】
(III) Rf−L3 −Hy
式中、Rfは、フッ素置換アルキル基であり;L3 は、単結合または二価の連結基であり;そして、Hyは、親水性基である。
式(III)のRfは、界面活性剤の疎水性基として機能する。フッ素置換アルキル基の炭素原子数は3乃至30であることが好ましい。
アルキル基に含まれる水素原子の一部または全部は、フッ素原子で置換されている。フッ素原子で、アルキル基に含まれる水素原子の50%以上を置換することが好ましく、60%以上を置換することがより好ましく、80%以上を置換することがさらに好ましく、90%以上を置換することがさらにまた好ましく、100%を置換することが最も好ましい。
残りの水素原子は、さらに他のハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子)で置換されていてもよい。
Rfの例を以下に示す。
【0030】
Rf1:n−C817
Rf2:n−C613
Rf3:Cl−(CF2 −CFCl)3 −CF2
Rf4:H−(CF28
Rf5:H−(CF210
Rf6:n−C919
Rf7::n−C715
Rf8:Cl−(CF2 −CFCl)2 −CF2
Rf9:H−(CF24
Rf10:H−(CF26
Rf11:Cl−(CF26
Rf12:C37
【0031】
式(III)において、L3 の二価の連結基は、アルキレン基、アリーレン基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−NR−(Rは炭素原子数が1乃至5のアルキル基または水素原子)、−O−、−SO2 −およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。
式(III)のL3 の例を以下に示す。左側がフッ素置換アルキル基(Rf)に結合し、右側が親水性基(Hy)に結合する。ALはアルキレン基、ARはアリーレン基、Hcは二価のヘテロ環残基を意味する。なお、アルキレン基、アリーレン基および二価のヘテロ環残基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
【0032】
L0:単結合
L31:−SO2 −NR−
L32:−AL−O−
L33:−CO−NR−
L34:−AR−O−
L35:−SO2 −NR−AL−CO−O−
L36:−CO−O−
L37:−SO2 −NR−AL−O−
L38:−SO2 −NR−AL−
L39:−CO−NR−AL−
L40:−AL1 −O−AL2
L41:−Hc−AL−
L42:−SO2 −NR−AL1 −O−AL2
L43:−AR−
L44:−O−AR−SO2 −NR−AL−
L45:−O−AR−SO2 −NR−
L46:−O−AR−O−
【0033】
式(III)のHyは、ノニオン性親水性基、アニオン性親水性基、カチオン性親水性基あるいはそれらの組み合わせ(両性親水性基)のいずれかである。ノニオン性親水性基が特に好ましい。
式(III)のHyの例を以下に示す。
【0034】
Hy1:−(CH2 CH2 O)n −H(nは5乃至30の整数)
Hy2:−(CH2 CH2 O)n −R1
(nは5乃至30の整数、R1 は炭素原子数が1乃至6のアルキル基)Hy3:−(CH2 CHOHCH2n −H(nは5乃至30の整数)
Hy4:−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属原子または解離状態)
Hy5:−SO3 M(Mは水素原子、アルカリ金属原子または解離状態)
Hy6:−(CH2 CH2 O)n −CH2 CH2 CH2 −SO3
(nは5乃至30の整数、Mは水素原子またはアルカリ金属原子)
Hy7:−OPO(OH)2
Hy8:−N+ (CH33 ・X- (Xはハロゲン原子)
Hy9:−COONH4
【0035】
ノニオン性親水性基(Hy1、Hy2、Hy3)が好ましく、ポリエチレンオキサイドからなる親水性基(Hy1)が最も好ましい。
式(III)で表わされる含フッ素界面活性剤の具体例を、以上のRf、L3 およびHyの例を引用して示す。
【0036】
FS−1:Rf1−L31(R=C37 )−Hy1(n=6)
FS−2:Rf1−L31(R=C37 )−Hy1(n=11)
FS−3:Rf1−L31(R=C37 )−Hy1(n=16)
FS−4:Rf1−L31(R=C37 )−Hy1(n=21)
FS−5:Rf1−L31(R=C25 )−Hy1(n=6)
FS−6:Rf1−L31(R=C25 )−Hy1(n=11)
FS−7:Rf1−L31(R=C25 )−Hy1(n=16)
FS−8:Rf1−L31(R=C27 )−Hy1(n=21)
FS−9:Rf2−L31(R=C37 )−Hy1(n=6)
FS−10:Rf2−L31(R=C37 )−Hy1(n=11)
FS−11:Rf2−L31(R=C37 )−Hy1(n=16)
FS−12:Rf2−L31(R=C37 )−Hy1(n=21)
【0037】
FS−13:Rf3−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=5)
FS−14:Rf3−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=10)
FS−15:Rf3−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=15)
FS−16:Rf3−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=20)
FS−17:Rf4−L33(R=C37 )−Hy1(n=7)
FS−18:Rf4−L33(R=C37 )−Hy1(n=13)
FS−19:Rf4−L33(R=C37 )−Hy1(n=19)
FS−20:Rf4−L33(R=C37 )−Hy1(n=25)
FS−21:Rf5−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=11)
FS−22:Rf5−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=15)
FS−23:Rf5−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=20)
FS−24:Rf5−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=30)
【0038】
FS−25:Rf6−L34(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=11)
FS−26:Rf6−L34(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=17)
FS−27:Rf6−L34(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=23)
FS−28:Rf6−L34(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=29)
FS−29:Rf1−L35(R=C37 、AL=CH2 )−Hy1(n=20)
FS−30:Rf1−L35(R=C37 、AL=CH2 )−Hy1(n=30)
FS−31:Rf1−L35(R=C37 、AL=CH2 )−Hy1(n=40)
FS−32:Rf1−L36−Hy1(n=5)
FS−33:Rf1−L36−Hy1(n=10)
FS−34:Rf1−L36−Hy1(n=15)
FS−35:Rf1−L36−Hy1(n=20)
【0039】
FS−36:Rf1−L0−Hy1(n=6)
FS−37:Rf1−L0−Hy1(n=11)
FS−38:Rf1−L0−Hy1(n=16)
FS−39:Rf1−L0−Hy1(n=21)
FS−40:Rf1−L31(R=C37 )−Hy2(n=7、R1 =C25
FS−41:Rf1−L31(R=C37 )−Hy2(n=13、R1 =C25
FS−42:Rf1−L31(R=C37 )−Hy2(n=20、R1 =C25
FS−43:Rf1−L31(R=C37 )−Hy2(n=28、R1 =C25
FS−44:Rf7−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=5)
FS−45:Rf7−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=10)
FS−46:Rf7−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=15)
FS−47:Rf7−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=20)
【0040】
FS−48:Rf1−L37(R=C37 、AL=CH2CH2)−Hy3(n=5)
FS−49:Rf1−L37(R=C37 、AL=CH2CH2)−Hy3(n=7)
FS−50:Rf1−L37(R=C37 、AL=CH2CH2)−Hy3(n=9)
FS−51:Rf1−L37(R=C37 、AL=CH2CH2)−Hy3(n=12)
FS−52:Rf8−L0−Hy4(M=H)
FS−53:Rf3−L0−Hy4(M=H)
FS−54:Rf1−L38(R=C37 、AL=CH2 )−Hy4(M=K)
FS−55:Rf4−L39(R=C37 、AL=CH2 )−Hy4(M=Na)
FS−56:Rf1−L0−Hy5(M=K)
FS−57:Rf9−L40(AL1 =CH2 、AL2 =CH2CH2)−Hy5(M=Na)
FS−58:Rf10−L40(AL1 =CH2 、AL2 =CH2CH2)−Hy5(M=Na)
FS−59:Rf5−L40(AL1 =CH2 、AL2 =CH2CH2)−Hy5(M=Na)
【0041】
FS−60:Rf1−L38(R=C3H7、AL=CH2CH2CH2 )−Hy5(M=Na)
FS−61:Rf1−L31(R=C37 )−Hy6(n=5、M=Na)
FS−62:Rf1−L31(R=C37 )−Hy6(n=10、M=Na)
FS−63:Rf1−L31(R=C37 )−Hy6(n=15、M=Na)
FS−64:Rf1−L31(R=C37 )−Hy6(n=20、M=Na)
FS−65:Rf1−L38(R=C25 、AL=CH2 CH2 )−Hy7
FS−66:Rf1−L38(R=H、AL=CH2CH2CH2 )−Hy8(X=I)
FS−67:Rf10−L41(下記Hc、AL=CH2CH2CH2 )−Hy6(Mは解離)
【0042】
【化9】
Figure 0004309022
【0043】
FS−68:Rf1−L42(R=C3H7、AL1=CH2CH2、AL2=CH2CH2CH2)−Hy6(M=Na)
FS−69:Rf11−L0−Hy5(M=Na)
FS−70:Rf12−L43(AR=o-フェニレン)−Hy6(M=K)
FS−71:Rf12−L43(AR=m-フェニレン)−Hy6(M=K)
FS−72:Rf12−L43(AR=p-フェニレン)−Hy6(M=K)
FS−73:Rf6−L44(R=C2H5、AL=CH2CH2)−Hy5(M=H)
FS−74:Rf6−L45(AR=p-フェニレン、R=C2H5)−Hy1(n=9)
FS−75:Rf6−L45(AR=p-フェニレン、R=C2H5)−Hy1(n=14)
FS−76:Rf6−L45(AR=p-フェニレン、R=C2H5)−Hy1(n=19)
FS−77:Rf6−L45(AR=p-フェニレン、R=C2H5)−Hy1(n=28)
FS−78:Rf6−L46(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=5)
FS−79:Rf6−L46(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=10)
FS−80:Rf6−L46(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=15)
FS−81:Rf6−L46(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=20)
【0044】
フッ素置換アルキル基(疎水性基)または親水性基を二以上有する含フッ素界面活性剤を用いてもよい。二以上の疎水性基または親水性基を有する含フッ素界面活性剤の例を以下に示す。
【0045】
【化10】
Figure 0004309022
【0046】
FS−82:n1+n2=12、FS−83:n1+n2=18、FS−84:n1+n2=24
【0047】
【化11】
Figure 0004309022
【0048】
FS−85:n1+n2=20、FS−86:n1+n2=30、FS−87:n1+n2=40
【0049】
【化12】
Figure 0004309022
【0050】
FS−88:n=5、FS−89:n=10、FS−90:n=15、FS−91:n=20
【0051】
【化13】
Figure 0004309022
【0052】
界面活性剤については、様々な文献(例、堀口弘著「新界面活性剤」三共出版(1975)、M.J. Schick, Nonionic Surfactants, Marcell Dekker Inc., New York, (1967)、特開平7−13293号公報)に記載がある。
【0053】
フッ素置換アルキル基を側鎖に有する繰り返し単位と、親水性基を側鎖に有する繰り返し単位とからなるコポリマーは、炭化水素主鎖を有することが好ましく、エチレン性不飽和モノマーの重合で得られる主鎖を有することがさらに好ましい。
好ましいコポリマーを、下記式(IV)で表す。
【0054】
【化14】
Figure 0004309022
【0055】
式中、Rは、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であり;Rfは、フッ素置換アルキル基であり;L31およびL32は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基であり;Hyは、親水性基であり;nは、1乃至99(モル%)であり;そして、mは、1乃至99(モル%)である。。
式(IV)において、Rは、水素原子またはメチルであることが好ましい。
Rfは、式(III)におけるRfと同様である。
31およびL32は、式(III)におけるL3 と同様である。
Hyは、式(III)におけるHyと同様である。
【0056】
二種類以上のフッ素化合物を併用してもよい。
フッ素化合物は、光学異方性層に1乃至35mg/m2 の量で添加することが好ましい。
【0057】
光学異方性層は、ディスコティック液晶性分子、フッ素化合物、あるいは下記の重合性開始剤や任意の添加剤(例、可塑剤、モノマー、界面活性剤、セルロースエステル、1,3,5−トリアジン化合物、カイラル剤)を含むディスコティック液晶組成物(塗布液)を、配向膜の上に塗布することで形成する。
ディスコティック液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
ディスコティック液晶組成物の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0058】
ディスコティック液晶性分子は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性分子が固定されていることが最も好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20重量%であることが好ましく、0.5乃至5重量%であることがさらに好ましい。
ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2 乃至50J/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至20μmであることが好ましく、0.5乃至15μmであることがさらに好ましく、1乃至10μmであることが最も好ましい。
【0059】
[透明支持体]
光学補償シートの透明支持体として、一般には、光学的等方性のポリマーフイルムが用いられる。支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。光学的等方性とは、具体的には、面内レターデーション(Re)が10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。また、厚み方向のレターデーション(Rth)は、40nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。透明支持体の面内レターデーション(Re)と厚み方向のレターデーション(Rth)は、それぞれ下記式で定義される。
Re=(nx−ny)×d
Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×d
式中、nxおよびnyは、透明支持体の面内屈折率であり、nzは透明支持体の厚み方向の屈折率であり、そしてdは透明支持体の厚さである。
【0060】
液晶表示モードの種類によっては、透明支持体として光学的異方性のポリマーフイルムが用いられる場合もある。すなわち、光学異方性層の光学的異方性に透明支持体の光学的異方性も加えて、液晶セルの光学的異方性に対応する(光学的に補償する)場合もある。そのような目的で光学的異方性透明支持体を使用する場合、透明支持体の面内レターデーション(Re)は、20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがさらに好ましい。また、厚み方向のレターデーション(Rth)は、80nm以上であることが好ましく、120nm以上であることがさらに好ましい。
【0061】
透明支持体を形成する材料は、光学的等方性支持体とするか、光学的異方性支持体とするかに応じて決定する。光学的等方性支持体の場合は、一般にガラスまたはセルロースエステルが用いられる。光学的異方性支持体の場合は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂)が用いられる。合成ポリマーフイルムを延伸することによって、光学的異方性を得る。ただし、欧州特許0911656A2号明細書に記載されている(1)レターデーション上昇剤の使用、(2)セルロースアセテートの酢化度の低下、あるいは(3)冷却溶解法によるフイルムの製造により、レターデーションが高い(光学的異方性の)セルロースエステルフイルムを製造することもできる。
セルロースエステルまたは合成ポリマーのフイルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
透明支持体の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。
透明支持体とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
【0062】
[配向膜]
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。
配向膜に使用するポリマーの種類については、前述した様々な表示モードに対応するディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートについての文献に記載がある。
配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて、光学異方性層のディスコティック液晶性分子を配向させてから、光学異方性層を透明支持体上に転写してもよい。配向状態で固定されたディスコティック液晶性分子は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。
【0063】
[偏光膜]
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
【0064】
[透明保護膜]
保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフイルム、好ましくはトリアセチルセルロースフイルムが用いられる。セルロースエステルフイルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
透明保護膜の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。
【0065】
[液晶表示装置]
本発明は、様々な表示モードの液晶セルに適用できる。前述したように、ディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードの液晶セルに対応するものが既に提案されている。本発明は、TN(Twisted Nematic)モードの液晶表示装置において特に効果がある。
【0066】
【実施例】
[実施例1]
(透明支持体の作製)
下記の成分をミキシングタンクに投入し、加熱攪拌して、セルロースアセテート溶液(ドープ)を調製した。
【0067】
────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液組成
────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100重量部
トリフェニルホスフェート 6.5重量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 5.2重量部
下記のレターデーション上昇剤(1) 0.1重量部
下記のレターデーション上昇剤(2) 0.2重量部
メチレンクロライド 310.25重量部
メタノール 54.75重量部
1−ブタノール 10.95重量部
────────────────────────────────────
【0068】
【化15】
Figure 0004309022
【0069】
【化16】
Figure 0004309022
【0070】
得られたドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70重量%の状態で剥ぎ取り、フイルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、溶媒含有率が3乃至5重量%の領域で、幅方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、ガラス転移温度が120℃を越える領域で機械方向の延伸率が実質0%、(剥ぎ取り時に機械方向に4%延伸することを考慮して)幅方向の延伸率と機械方向の延伸率との比が0.75となるように調整して、厚さ100μmのセルロースアセテートフイルムを作製した。
作製したフイルムのレターデーションを波長632.8nmで測定したところ、厚み方向のレターデーションが40nm、面内のレターデーションが4nmであった。
作製したセルロースアセテートフイルムを透明支持体として用いた。
【0071】
(第1下塗り層の形成)
透明支持体の上に、下記の組成の塗布液を28ml/m2 塗布し、乾燥して、第1下塗り層を形成した。
【0072】
────────────────────────────────────
第1下塗り層塗布液組成
────────────────────────────────────
ゼラチン 5.42重量部
ホルムアルデヒド 1.36重量部
サリチル酸 1.60重量部
アセトン 391重量部
メタノール 158重量部
メチレンクロライド 406重量部
水 12重量部
────────────────────────────────────
【0073】
(第2下塗り層の形成)
第1下塗り層の上に、下記の組成の塗布液を7ml/m2 塗布し、乾燥して、第2下塗り層を形成した。
【0074】
────────────────────────────────────
第2下塗り層塗布液組成
────────────────────────────────────
下記のアニオン性ポリマー 0.79重量部
クエン酸モノエチルエステル 10.1重量部
アセトン 200重量部
メタノール 877重量部
水 40.5重量部
────────────────────────────────────
【0075】
【化17】
Figure 0004309022
【0076】
(バック層の形成)
透明支持体の反対側の面に、下記の組成の塗布液を25ml/m2 塗布し、乾燥して、バック層を形成した。
【0077】
────────────────────────────────────
バック層塗布液組成
────────────────────────────────────
酢化度55%のセルロースジアセテート 6.56重量部
シリカ系マット剤(平均粒径:1μm) 0.65重量部
アセトン 679重量部
メタノール 104重量部
────────────────────────────────────
【0078】
(配向膜の形成)
第2下塗り層の上に、長鎖アルキル変性ポリビニルアルコールの水溶液を塗布し、60℃の温風で90秒間乾燥した後、ラビング処理を行い配向膜を形成した。配向膜のラビング方向は、透明支持体の流延方向と平行であった。
【0079】
(光学異方性層の形成)
配向膜の上に、以下の組成の塗布液を、#4のワイヤーバーを用いて塗布した。なお、含フッ素化合物の塗布量は、25.8mg/m2 であった。
【0080】
Figure 0004309022
【0081】
【化18】
Figure 0004309022
【0082】
【化19】
Figure 0004309022
【0083】
【化20】
Figure 0004309022
【0084】
塗布層を130℃の恒温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。その後、120W/cmの高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線を照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、配向状態を固定した。室温まで放冷して、光学補償シートを作製した。
作製した光学補償シートについて、ディスコティック液晶性分子の最小傾斜角と最大傾斜角とを測定した。ディスコティック液晶性分子は、傾斜角がディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化しており、配向膜近傍で最小、空気界面近傍で最大の値であった。また、光学補償シート全体の平均傾斜角(β)を測定した。さらに、光学補償シートの厚み方向のレターデーション(Rth)を測定した。
結果は第1表に示す。
【0085】
(液晶表示装置の作製)
ITO透明電極が設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設け、ラビング処理を行った。5μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向き合うように重ねた。二枚の基板は、配向膜のラビング方向が直交するように配置した。基板の間隙に、棒状液晶性分子(ZL4792、メルク社製)を注入し、棒状液晶層を形成した。棒状液晶性分子のΔnは0.0969であった。
以上のように作製したTN液晶セルの両側に、作製した光学補償シート二枚を光学異方性層が液晶セルの基板と対面するように貼り付けた。さらにそれらの外側に、偏光板二枚を貼り付けて型液晶表示装置を作製した。光学補償シートの配向膜のラビング方向と、それに隣接する液晶セルの配向膜のラビング方向とは、反平行になるように配置した。また、偏光板の吸収軸と、液晶セルのラビング方向とは平行になるように配置した。
液晶表示装置の液晶セルに電圧を印加し、白表示2V、黒表示5Vにおける白表示と黒表示との透過率をコントラスト比として、上下左右でコントラスト比10、かつ階調反転のない領域を視野角として測定した。
結果は第1表に示す。
【0086】
[実施例2]
光学異方性層塗布液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして光学補償シートおよび液晶表示装置を作製した評価した。結果は第1表に示す。
なお、含フッ素化合物の塗布量は、8.7mg/m2 であった。
【0087】
Figure 0004309022
【0088】
【化21】
Figure 0004309022
【0089】
[比較例1]
含フッ素化合物を光学異方性層塗布液に添加しなかった以外は、実施例1と同様にして光学補償シートおよび液晶表示装置を作製した評価した。結果を第1表に示す。
【0090】
【表1】
Figure 0004309022
【0091】
[実施例3]
(透明支持体の作製)
下記の成分をミキシングタンクに投入し、加熱攪拌して、セルロースアセテート溶液を調製した。
【0092】
────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液組成
────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100重量部
トリフェニルホスフェート 7.8重量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 3.9重量部
メチレンクロライド 300重量部
メタノール 54重量部
1−ブタノール 11重量部
────────────────────────────────────
【0093】
別のミキシングタンクに、下記の成分を投入し、加熱攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
【0094】
────────────────────────────────────
レターデーション上昇剤溶液組成
────────────────────────────────────
2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン 12重量部
2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン 4重量部
メチレンクロライド 80重量部
メタノール 20重量部
────────────────────────────────────
【0095】
セルロースアセテート溶液474重量部に、レターデーション上昇剤溶液22重量部を添加し、充分に攪拌してドープを調製した。セルロースアセテート100重量部に対するレターデーション上昇剤の量は、3重量部である。
得られたドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70重量%の状態で剥ぎ取り、フイルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、溶媒含有率が3乃至5重量%の領域で、幅方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、ガラス転移温度が120℃を越える領域で機械方向の延伸率が実質0%、(剥ぎ取り時に機械方向に4%延伸することを考慮して)幅方向の延伸率と機械方向の延伸率との比が0.75となるように調整して、厚さ107μmのセルロースアセテートフイルムを作製した。
作製したフイルムのレターデーションを波長632.8nmで測定したところ、厚み方向のレターデーションが80nm、面内のレターデーションが11nmであった。
作製したセルロースアセテートフイルムを透明支持体として用いた。
【0096】
(第1下塗り層の形成)
透明支持体の上に、下記の組成の塗布液を28ml/m2 塗布し、乾燥して、第1下塗り層を形成した。
【0097】
────────────────────────────────────
第1下塗り層塗布液組成
────────────────────────────────────
ゼラチン 5.42重量部
ホルムアルデヒド 1.36重量部
サリチル酸 1.60重量部
アセトン 391重量部
メタノール 158重量部
メチレンクロライド 406重量部
水 12重量部
────────────────────────────────────
【0098】
(第2下塗り層の形成)
第1下塗り層の上に、下記の組成の塗布液を7ml/m2 塗布し、乾燥して、第2下塗り層を形成した。
【0099】
────────────────────────────────────
第2下塗り層塗布液組成
────────────────────────────────────
実施例1で用いたアニオン性ポリマー 0.79重量部
クエン酸モノエチルエステル 10.1重量部
アセトン 200重量部
メタノール 877重量部
水 40.5重量部
────────────────────────────────────
【0100】
(バック層の形成)
透明支持体の反対側の面に、下記の組成の塗布液を25ml/m2 塗布し、乾燥して、バック層を形成した。
【0101】
────────────────────────────────────
バック層塗布液組成
────────────────────────────────────
酢化度55%のセルロースジアセテート 6.56重量部
シリカ系マット剤(平均粒径:1μm) 0.65重量部
アセトン 679重量部
メタノール 104重量部
────────────────────────────────────
【0102】
(配向膜の形成)
第2下塗り層の上に、長鎖アルキル変性ポリビニルアルコールの水溶液を塗布し、60℃の温風で90秒間乾燥した後、ラビング処理を行い配向膜を形成した。配向膜のラビング方向は、透明支持体の流延方向と平行であった。
【0103】
(光学異方性層の形成)
配向膜の上に、実施例1で用いた光学異方性層塗布液を、#4のワイヤーバーを用いて塗布した。なお、含フッ素化合物の塗布量は、25.8mg/m2 であった。
塗布層を130℃の恒温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。その後、120W/cmの高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線を照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、配向状態を固定した。室温まで放冷して、光学補償シートを作製した。
作製した光学補償シートについて、ディスコティック液晶性分子の最小傾斜角と最大傾斜角とを測定した。ディスコティック液晶性分子は、傾斜角がディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化しており、配向膜近傍で最小、空気界面近傍で最大の値であった。また、光学補償シート全体の平均傾斜角(β)を測定した。さらに、光学補償シートの厚み方向のレターデーション(Rth)を測定した。
結果は第2表に示す。
【0104】
(楕円偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて、偏光膜を作製した。
偏光膜の片面と、作製した光学補償シートの透明支持体面とを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付けた。偏光膜の透過軸と光学補償シートの遅相軸とは平行になるように配置した。
偏光膜の反対側の面に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて透明保護膜を貼り付けた。このようにして、楕円偏光板を作製した。
【0105】
(液晶表示装置の作製)
ITO透明電極が設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設け、ラビング処理を行った。5μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向き合うように重ねた。二枚の基板は、配向膜のラビング方向が直交するように配置した。基板の間隙に、棒状液晶性分子(ZL4792、メルク社製)を注入し、棒状液晶層を形成した。棒状液晶性分子のΔnは0.0969であった。
以上のように作製したTN液晶セルの両側に、作製した楕円偏光板二枚を光学異方性層が液晶セルの基板と対面するように貼り付けた。光学補償シートの遅相軸と、液晶セルの配向膜のラビング方向とは、直交するように配置した。
液晶表示装置の液晶セルに電圧を印加し、白表示2V、黒表示5Vにおける白表示と黒表示との透過率をコントラスト比として、上下左右でコントラスト比10、かつ階調反転のない領域を視野角として測定した。
結果は第2表に示す。
【0106】
[実施例4]
光学異方性層塗布液を実施例2で用いた組成に変更した以外は、実施例3と同様にして楕円偏光板および液晶表示装置を作製した評価した。結果は第2表に示す。
なお、含フッ素化合物の塗布量は、8.7mg/m2 であった。
【0107】
[比較例2]
含フッ素化合物を光学異方性層塗布液に添加しなかった以外は、実施例3と同様にして楕円偏光板および液晶表示装置を作製した評価した。結果を第2表に示す。
【0108】
【表2】
Figure 0004309022

Claims (8)

  1. ディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層および透明支持体を有する光学補償シートであって、ディスコティック液晶性分子が、ベンゼン環とそれに共役する二重結合とを含む側鎖が円盤状核に結合し、さらにエチレン性不飽和重合性基を含む分子構造を有し、ディスコティック液晶性分子の傾斜角が、ディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化しており、光学異方性層が、さらにフッ素置換アルキル基と親水性基とを有するフッ素化合物を含み、ディスコティック液晶性分子の配向状態がエチレン性不飽和重合性基の重合反応により固定されていることを特徴とする光学補償シート。
  2. 光学異方性層が、フッ素化合物を1乃至35mg/mの量で含む請求項1に記載の光学補償シート。
  3. フッ素化合物が、含フッ素界面活性剤である請求項1に記載の光学補償シート。
  4. フッ素化合物が、フッ素置換アルキル基を側鎖に有する繰り返し単位と、親水性基を側鎖に有する繰り返し単位とからなるコポリマーである請求項1に記載の光学補償シート。
  5. ディスコティック液晶性分子が、下記式で表される請求項1に記載の光学補償シート
    (I) D(−O−CO−AL −AR−O−AL −O−CO−Q)
    式中、Dは円盤状コアであり;AL はアルケニレン基であって、その二重結合がARのベンゼン環と共役しており;ARはベンゼン環であり;AL はアルキレン基またはアルケニレン基であり;Qはエチレン性不飽和重合性基であり;そして、nは4乃至12の整数である
  6. TNモードの液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる透過型液晶表示装置であって、偏光板の少なくとも一方と液晶セルとの間に、ディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層および透明支持体を有する光学補償シートが配置され、ディスコティック液晶性分子が、ベンゼン環とそれに共役する二重結合とを含む側鎖が円盤状核に結合し、さらにエチレン性不飽和重合性基を含む分子構造を有し、ディスコティック液晶性分子の傾斜角が、ディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化しており、光学異方性層が、さらにフッ素置換アルキル基と親水性基とを有するフッ素化合物を含み、ディスコティック液晶性分子の配向状態がエチレン性不飽和重合性基の重合反応により固定されていることを特徴とする液晶表示装置。
  7. ディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層、透明支持体、偏光膜および透明保護膜がこの順に積層している楕円偏光板であって、ディスコティック液晶性分子が、ベンゼン環とそれに共役する二重結合とを含む側鎖が円盤状核に結合し、さらにエチレン性不飽和重合性基を含む分子構造を有し、ディスコティック液晶性分子の傾斜角が、ディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化しており、光学異方性層が、さらにフッ素置換アルキル基と親水性基とを有するフッ素化合物を含み、ディスコティック液晶性分子の配向状態がエチレン性不飽和重合性基の重合反応により固定されていることを特徴とする楕円偏光板。
  8. TNモードの液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる透過型液晶表示装置であって、偏光板の少なくとも一方が、ディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層、透明支持体、偏光膜および透明保護膜がこの順に積層している楕円偏光板であり、ディスコティック液晶性分子が、ベンゼン環とそれに共役する二重結合とを含む側鎖が円盤状核に結合し、さらにエチレン性不飽和重合性基を含む分子構造を有し、ディスコティック液晶性分子の傾斜角が、ディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化しており、光学異方性層が、さらにフッ素置換アルキル基と親水性基とを有するフッ素化合物を含み、ディスコティック液晶性分子の配向状態がエチレン性不飽和重合性基の重合反応により固定されていることを特徴とする液晶表示装置。
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