JP4308642B2 - 織物製接着芯地及び仮撚加工糸の製造方法 - Google Patents

織物製接着芯地及び仮撚加工糸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、主に婦人用ブラウス、ドレス、コート、スーツなどに使用される織物製接着芯(しん)地に関する。
ここで、接着芯地とは、熱可塑性の接着剤が予め付与されている織物、編物及び不織布製のしん地をいう(接着しん地試験方法:JIS L 1086参照)。
従来、婦人ブラウス、ドレスなど軽衣服に使用される接着芯地は、ポリエステル系長繊維(ポリエステル系フィラメント)の仮撚加工糸から織成した織物(通常、平織)が主流であった。
しかし、薄地のガーメント織物の場合、該ガーメント織物に接着芯地、特に平織製の接着芯地を接着するとモアレ模様が表面に出やすかった。また、表生地の色に対応させて、接着芯地の色数は35〜60色程度の色が必要であり、在庫管理が大変であった。
本発明の発明性に影響を与えるものではないが、上記と同様な目的(課題)を解決するために、下記のような先行技術文献が存在する。
すなわち、特許文献1において、下記構成の接着芯地及びその製造方法が提案されている。
「ポリエステル原料に、酸化チタン等の艶消し剤をポリエステル原料の0.1重量%以下添加したポリエステルフィラメント糸からなる加工糸を使用した織編物地の表面に接着性樹脂層が形成されている透明性を有する接着芯地。」
「ポリエステル原料に、酸化チタン等の艶消し剤をポリエステル原料の0.1重量%以下添加したポリエステルフィラメント糸を一般式1
T=(14800〜21600)/√D・・・1
T:仮撚り数(回/m)、D:デニール
で現される仮撚り数とし、セット温度170〜200℃でセットして加工糸とし、その表面に熱接着性樹脂層を形成する透明性を有する接着芯地の製造方法。」
また、特許文献2において、下記構成の接着性芯地が提案されている。
「単糸デニールが3〜100、フィラメント数が1〜20本で10%伸張後の回復率が90%以上の弾性フィラメントを少なくとも一部に用いた布帛からなることを特徴とする透明性に優れた接着性芯地。」
1D(デニール)は約1.11dtex(デシテックス)である。
特開平8−74110号公報 特開2000−96380公報
本発明は、上記にかんがみて、様々な婦人用軽衣服に接着芯地とした場合でも、モアレ模様が出ず、かつ透明であるので接着芯地の色数が少なくても表生地に対応することが可能な接着芯地を提供することを目的とする。
本発明は、上記に目的を、下記構成により解決するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭気開発に努力をした結果、仮撚加工糸(以下、単に「加工糸」と称することがある。)として、所定繊度の単糸を使用した所定繊度のマルチフィラメントを原料とし、略未解撚に基づくウネリ状(波状)のセット形態(いわゆる粗いクリンプ)の加工糸を使用することにより、透明性(表地外観に対する非影響性)が格段に向上することを見出して、下記構成の織物製接着芯地に想到した。
ポリエステル系フィラメントの仮撚加工糸を経糸及び緯糸に使用して平織した織物製接着芯(しん)地において、
前記ポリエステル系フィラメントが、繊度:1.5〜3.3dtexの単糸複数本からなる繊度:7〜80dtexのマルチフィラメントであり、前記仮撚加工糸が、略未解撚に基づくウネリ状(波状)のセット形態を備えており、また、
式CF=糸密度(本/2.54cm)×√糸繊度(dtex)・・・(1)
で規定される前記経糸及び前記緯糸の各カバーファクター(CF)が、経糸:450〜730、緯糸:360〜630である、ことを特徴とする。
さらに、上記各構成において、ポリエステル系フィラメントのポリエステル原料として、0.15〜1.5(質量)%の酸化チタン(TiO2)を含有するものを使用することが、糸の白色性(無色性)が増大して、前記各構成と相乗して表地外観に対する非影響性がさらに増大する。
芯地は、経方向及び緯方向の一方又は双方において、荷重500cN/cmの負荷時の伸度が5〜20%を呈するものとすることが望ましい。表地(表生地)の伸縮に対する追従性が良好となるためである。
そして、ポリエステル系マルチフィラメントの原料ポリマーはポリエチレンテレフタレート(PET)とすることが望ましい。熱セット性が良好であり、本発明のウネリ状のセット形態を得やすい。
本発明の接着芯地に使用する上記加工糸は、下記加工糸の製造方法で行うことにより、確実に上記ウネリ形状を備えたものを容易に製造できる。
仮撚施撚方式を、スピンドル方式(又はピン方式ともいう。)とし、下記式で規定される仮撚撚係数を17000〜20000に設定して、2ヒータ型仮撚り機を使用して製造することを特徴とする。
仮撚撚係数=√繊度(dtex)×仮撚撚数/メートル
仮撚撚係数が小さすぎると、接着芯地として必要なストレッチ性を得難く好ましくない。逆に、仮撚撚係数が高過ぎると加工糸の巻縮数が多くなりすぎで接着芯地として使用したときにモアレ模様が発生しやすく好ましくない。
また、仮撚加工糸を、2ヒータ仮撚により加工するのは、1ヒータ仮撚加工糸の場合は捲縮が強すぎるので染色加工性が悪くなり、接着芯地の表面にシボが発生して好ましくないからである。
また、下記加工糸の製造方法で行うことにより、上記仮撚施撚方式をスピンドル方式と
した製造方法に比して、格段に生産性の向上が図れ、かつ、上記ウネリ形状を備えたもの
を製造できる。
仮撚施撚方式を、摩擦直撚方式又はエンドレスベルトニップ方式とし、2ヒータ型仮撚
り機を使用して製造することを特徴とする。
上記摩擦直撚方式又はエンドレスベルトニップ方式の場合は、直接糸を巻き付けて加撚するスピンドル方式に比して、高速(例えばエンドレスベルトニップ方式:300〜600m/min、スピンドル方式:100m/min前後)で糸送り可能なためである。
上記製造方法において、仮撚加工糸を、2ヒータ仮撚により加工するのは、前記と同様の理由からである。
そして、摩擦直撚方式を多軸外接円盤型としたときは、D(ディスク周速)/Y(糸速度):2.0〜3.5に設定して製造することが望ましい。D/Yをこの範囲とすることにより、上記ウネリ形状を備えたものをより確実に得ることができる。
本発明の効果をまとめると下記の如くになる。
本発明の接着芯地は、婦人用軽衣服(ブラウス、ドレス等)に接着芯地として使用するときに、表生地との干渉関連でモアレ現象が発生しないように工夫した全く新規な織物製接着芯地を提供するものである。また、透明度を良くすることにより、接着芯地の色数を少なくすることも可能である。
本発明の織物製接着芯地は、経糸と緯糸が楊柳状のウネリがあるので、婦人の軽衣服に接着芯地として、使用する場合、モアレ現象が発生し難い。
なお、楊柳状のウネリを得るには、1)織物染色整理の任意の工程で、エンボス加工を施すことによっても、2)融着未解撚仮撚加工糸を用いることによっても、可能である。
しかし、上記1)の場合は、本発明におけるような細繊度糸を使用した接着芯地の場合は、加熱エンボスロールによる接圧を受けて断糸し易く、芯地として安定した品質のものを得難い。他方、上記2)の場合は、風合いが粗硬なものとなり、ソフトな接着芯地を得難い。
また、本発明の織物製接着芯地は、透明性が良いので、芯地の色数を10色程度にしても、あらゆる表生地に対応することが可能である。
さらに、本発明の接着芯地は、500cN/cmの荷重を掛けた場合に5〜20%の伸度があるので、衣服の表生地の伸縮に追随出来る性質を有することができる。従って、着用時の衣服のフィット性は良好で、かつ形態安定性も良好である。
本発明の織物製接着芯地は、今迄のポリエステル系加工糸の接着芯地とは、全く異なる新規な外観を呈し、かつ、婦人軽量衣服の表生地と接着プレス加工を施したとき、モアレ現象が出ない。また、透明感があるので少ない色数で、いろんな表地に対応できる。さら
に、本発明の接着芯地は、適度の伸度があるので表地の伸縮に対応できる。
本発明の実施の形態について、更に詳細説明する。以下の説明で「%」は「質量%」を意味する。
まず、ポリエステル系マルチフィラメントの原料ポリマーとしては、芳香族ポリエステル及び脂肪族ポリエステルの一方若しくは双方からなる又は主体とするものを好適に使用できる。
芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等のポリアルキレンテレフタレート又はこれらの共重合物または誘導体を挙げることができる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリL−乳酸、ポリβ−ヒドロキシブチレート、ポリω−カプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等又はこれらの共重合物または誘導体を挙げることができる。特に、脂肪族ポリエステルは生分解性を有するものが多く望ましい。
そして、原料ポリマーには、適宜、酸化チタン(TiO2)を少量配合させる。透明性の見地からは酸化チタン含量が少ない方が望ましいが(特許文献1参照)、可紡性および仮撚り加工性の見地からは、通常、TiO2含量:0.15〜1.5%(望ましくは0.3〜1.2%)とする。TiO2含量が過少では、可紡性および仮撚り加工性が低下し、過多では、芯地に必要な透明性を確保し難い。
ここで、単糸複数本からなるマルチフィラメントを使用するのは、モノフィラメントでは、本発明のウネリ形状のセット形態を得難いためである。
そして、マルチフィラメントの繊度としては、通常、7〜80dtexの範囲が好ましく、
10〜55dtexの範囲がさらに好ましい。また、単糸の繊度としては、1.2〜3.3dt
exの範囲が好ましく、1.5〜2.5dtexの範囲がさらに好ましい。
マルチフィラメントの繊度が小さすぎると、仮撚り加工が困難となり、かつ、製織性も低下し、逆に大きすぎると、透明度に悪影響を与え易くなる。
また、上記波状セット形態(粗い巻縮、粗いクリンプ)の加工糸は、仮撚施撚方式として(a)スピンドル方式、(b)摩擦直撚方式、又は(c)エンドレスベルトニップ方式を採用し、かつ、2ヒータ型の仮撚り機を使用して製造することが望ましい。
<(a)スピンドル方式(図1参照)>
この方式は、糸をスピンドル(ピンと同義)に直接巻きつけ、スピンドルを回転させて施撚するものである。したがって、ピン方式ともいう。
この方式の場合は、仮撚撚係数が17000〜20000の範囲で2段ヒータ(2ヒータ)でセット(仮撚)を行うことにより容易に製造できる。図1に、スピンドル方式で2ヒータ型の仮撚り機における一例を示す構造モデル図を示す。
仮撚撚係数=√繊度(dtex)×仮撚撚数/メートル
1ヒータセット(仮撚)では、巻縮力が強すぎるため芯地織物が目荒れを起こしすぎるのと染色加工性が悪くなり芯地表面にシボが出来好ましくない。すなわち、2ヒータセットを行うことにより、仮撚捲縮形態の熱的堅牢性を向上させることができると共に、熱収縮特性のコントロール(制御)が可能となる。
仮撚撚係数が小さすぎると、接着芯地として必要なストレッチ性(伸縮性)を得難くなり、逆に大きすぎると加工糸の捲縮(クリンプ)数が多くなりすぎて、接着芯地として使用したとき、モアレ模様が発生しやすくなる。
なお、仮撚加工の条件として、第2ヒーター域の糸張力は糸切れを発生させない範囲で低い張力が好ましい。即ち、マルチフィラメントの全長(伸張状態の)から5〜20%(望ましくは10〜15%)緩めた(弛緩させた)状態で行うことが望ましい。
<(b)摩擦直撚方式(図2参照)>
摩擦直撚方式が多軸外接摩擦円板型であり、2ヒータ型の仮撚り機の構造モデル図の一例を図2に示す。この方式においては、高速で糸送りをするため、仮撚り施撚域において冷却域(クーリングプレート)を必要とする。クーリングプレート(伝熱性の良好な金属プレートからなる。)は、第一ヒータの加熱温度が高いため、糸を直接接触させて糸温度を下げるものである。
摩擦直撚方式には、内接シリンダ型や、多軸外接摩擦円盤型があるが、多軸外接摩擦円盤型(フリクションディスク型)が望ましい。外接摩擦円盤型が内接シリンダ型に比して、管理・保全(特に保全)が容易であり、かつ、糸通しも容易である。
摩擦直撚方式が多軸外接摩擦円板型である場合、D/Y比(ディスク周速/糸速度)を、2.0〜3.5、さらには2.2〜3.0の範囲とすることが望ましい。
D/Y比が過小では、T2/T1比(仮撚解撚域糸張力/仮撚施撚域糸張力)が大きくなり、走行状態が不安定化し易く、ウネリ状捲縮も得難くなる(仮撚り加工性が低下する。)。他方、D/Y比が過大では、施撚トルクが増大して、糸の接圧不安定化が生じ易く、仮撚捲縮形態が不均一かつ捲縮(クリンプ)数が多くなり過ぎて、目的とするウネリ状捲縮(波状捲縮)を得難くなる。
なお、摩擦施撚部の内接角Θは、15〜20°の範囲が、ウネリ状クリンプを得やすくて望ましい。
この多軸外接摩擦円板型における、仮撚施撚域糸張力(T1)および仮撚解撚域糸張力(T2)は、下記の如く設定することが望ましい。仮撚供給原糸が、部分配向糸(POY:Partial Oriented Yarn)又は延伸糸(FOY:Full Oriented Yarn)であるかに関係なく同じ条件とする。
T1は、0.10、〜0.20cN/dtex、さらには、0.10、〜0.15cN/dtexとすることが望ましい。また、T2は、T2/T1=1.5〜2.5、さらには1.7〜2.2となるようにすることが望ましい。
<(c)エンドレスベルトニップ方式(図3参照)>
エンドレスベルトニップ方式で2ヒータ型である仮撚り機の1モデル図を図3に示す。この方式においても、上記摩擦方式と同様、高速で糸送りをするため、仮撚り施撚域において冷却域を必要とする。
この方式では、ツイスター角度(摩擦ベルト同士のなす角度)Θ(図3参照)、ツイスター接圧、ツイスター速度及び糸速度を適宜調節することにより、仮撚り施撚を行う。このため、他の仮撚施撚方式では、困難であった、仮撚解撚域糸張力(T2)も略任意に設定可能である。
本発明の波状捲縮形態(粗いウネリ状クリンプ)は、いわゆる略未解撚形状であり、T2(仮撚解撚域糸張力)を低く抑えるように、コントロールすることによって、ウネリ状クリンプを比較的、安定して得ることが可能となる。
上記ツイスター角度・速度、糸速度及びT2の範囲は、通常、例えば、原糸として10〜80dtexのものを使用する場合、下記のような範囲とする。
ツイスター(撚りベルト)角度(Θ)=100〜110°、
糸速度:450〜700m/min
T2/T1:0.85〜1.15
ツイスター(撚りベルト)把持圧(プレッシャー値):80〜220gf(0.78〜2.2N)
第一ヒータ温度:195〜215℃、
第二ヒータ温度:160〜180℃、
T2張力:0.30〜0.55cN/dtex、
次に、上記の仮撚加工糸を経糸として使用し、織物製の接着芯地を製織(織成)する場合について説明をする。
上記の仮撚りを施した加工糸を経糸に使用するとき、組織を形成するに際して、フィラメント(繊維)の巻縮が粗く(荒く)弱いために繊維が絡合し難く、サイジングが必要である。
そして、織成する前段階の整経及びサイジング条件は、糸に対する負荷張力をできるだけ低くすることが肝要である。熱セット形態(ウネリ形状)を消失させないためである。
このときの負荷張力は、マルチフィラメントの糸の熱セット性により異なるが、通常、0.05〜0.25gf/dtex≒0.05〜0.25cN/dtex(望ましくは0.15〜0.20gf/dtex≒0.15〜0.2cN/dtex)の範囲から適宜選定をする。負荷張力が低すぎては、整経やサイジングに際して、フィラメント相互がローリング現象により干渉して、それらの処理が円滑に行なえないおそれがある。
逆に高すぎては、加工糸の仮捲縮により形成したウネリ形態が損なわれるおそれがある。
そして、織成する場合における、カバーファクター(CF)は、経糸:450〜730、緯糸:360〜630、の範囲が好ましく、経糸:500〜680、緯糸:400〜590の範囲がさらに好ましい。なお、平織の緯糸CFは、下記式1)で示され、通常、経糸CFの40〜80%とされている。
CF=糸密度(本/2.54cm)×√糸繊度(dtex)・・・1)
経糸、緯糸ともに、CFが低過ぎては芯地織物の目寄れ発生しやすくなり、逆に、CFが高すぎては糸の組織拘束力が大きくなり易く経糸又は緯糸のウネリが少なくなり、それぞれ芯地の透明性を低下させるおそれがある。
上記接着芯地(生機(キバタ):染色する前の生地)は、必要により、オープンソーパー(連続精錬リラックスマシン)などを使用して精練糊抜きリラックス加工を施した後、 乾燥後プレヒートセットして、液流染色加工(通常:淡色)を施した後、仕上げヒートセットする。
この場合の留意点としては、目寄れを起こさないことが必要である。
このようにして得られた芯地の基布方面に熱可塑性接着剤を使用して、芯地の片面に400P〜1300P/6.45cm2(1インチ四方)の塗布密度でドット状(散点状)に塗布して接着芯地とする。接着剤塗布を全面に行うと、芯地の柔軟性が阻害されるおそれがある。
ここで、使用する熱可塑性接着樹脂としては、粉末状のポリアミド(ナイロン)系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
以下、実施例に基づいて本発明の詳細を述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て本発明の技術範囲に包含される。
<実施例1>
(1)仮撚加工糸の製造(図1参照):
33dtex/9filamentのPETマルチフィラメント(POY糸;TiO2 0.2%含有物)
を原糸とし、スピンドル方式の2ヒータ型の仮撚り機(帝人精機社製)を使用して仮撚数4100T/mの撚数を付与した後、第一ヒータへの延伸比1.5倍、第二ヒータへのフィード比:15%、第一ヒータ温度:210℃、第二ヒータ温度:190℃、スピンドル回転数52万rpmの条件で仮撚加工を実施して、22dtex/9filamentの仮撚加工糸を得た。
ここで、「フィード比」とは、第一ヒータ又は第二ヒータにおける、下記式で示される値(%)をいう。
100×(糸送り側速度―引き取り側速度)/糸送り速度
(2)接着芯地の織成:
上記PETマルチ仮撚加工糸を経糸として、整経テンション0.25g/dtexの荷重で
整経ビームを作成した。
続いて、ビームtoビームのサイジングマシンでアクリル糊材で0.20g/dtexの糸
に対する荷重で糊付を実施した。
上記糊付後の経糸を使用して、ウォータージェットルームに仕掛けして、経糸115本/2.54cm、緯糸密度80本/2.54cmの生機密度で平織に織成した。なお、緯糸は経糸に使用した、22dtex/9filamentの仮撚加工糸を糊付を施さずに使用した。
該生機(キバタ)に対して、オープンソーパーを用いて、95℃の温度で精練剤を使用して糊抜き精練リラックスを実施した。その後、190℃でプレヒートセットを行なった。
プレヒートセット後の織物を、液流染色機用いて温度条件130℃として染色加工を実施した。
その後、160℃の仕上げヒートセットで芯地基布を仕上げた。
上記、芯地基布に低融点ポリエステル系樹脂(接着剤)をドット密度1000個/2.54cm2の条件で塗布(塗布量7g/m2)して接着芯地に仕上げ加工した。
<実施例2>
(1)仮撚加工糸の製造(図2参照):
実施例1と同じPETマルチフィラメント(POY糸)を原糸とし、多軸外接摩擦円盤
型で2ヒータ型の延伸仮撚り機(「IVF−334AD」石川製作所社製)を使用して、下記設定(条件)で仮撚加工を実施して、22dtex/9filamentの仮撚加工糸を得た。
D/Y比=2.8、
T1張力(仮撚施撚域張力):3.1cN、T2/T1:1.98
第一ヒータ温度:195℃、
第二ヒータ温度:160℃、
糸速度:350m/min
(2)上記で得られた仮撚加工糸を用いて、実施例1と同様にして織成した。ただし、ウォータージェットルームは、エアジエットルームとした。
<実施例3>
(1)仮撚加工糸の製造(図3参照):
実施例1と同じPETマルチフィラメント(POY糸)を原糸とし、エンドレスベルトニップ式で2ヒータ型の延伸仮撚り機(「No.33Hマッハクリンパー」村田機械社製)を使用して、下記設定(条件)で仮撚加工を実施して、22dtex/9filamentの仮撚加工糸を得た。
ツイスター(撚りベルト)角度Θ=102.5°、
T2/T1:1.05
ツイスター(撚りベルト)把持圧(プレッシャー値):100gf(0.98N)
第一ヒータ温度:200℃、
第二ヒータ温度:160℃、
糸速度:450m/min
T2張力:7.7cN
(2)上記で得られた仮撚加工糸を用いて、実施例1と同様にして織成した。
<比較例1>
1ヒータ仮撚加工糸(33dtex/24filment)を、経・緯糸に使用して、経糸密度:
75本/2.54cm、緯糸密度:50本/2.54cmで平織に織成した。
該生機を実施例1と同様にして、接着樹脂を塗布して接着芯地として仕上げた。
<評価試験>
上記実施例1・2及び3の各接着芯地について、芯地外観を目視観察するともに、ワンピース用生地(ファイユ:経糸56dtex×緯糸167dtex/平織)を表地とし、該表地に各接着芯地を接着加工して(プレス条件:130℃)、表地表面を目視観察した。
それらの結果を示す表1から、実施例1〜3の接着芯地は、経・緯糸ともに、略未解撚に基づくウネリ外観を呈し、モアレ現象が発生しなかったのに対し、比較例の接着芯地は、経・緯糸ともにウネリ外観を呈さず、モアレ現象が発生した。
Figure 0004308642
スピンドル方式で2ヒータ型である仮撚り機の構造の一例を示すモデル図である。 摩擦直撚方式で2ヒータ型である仮撚り機の構造の一例を示すモデル図である。 エンドレスベルトニップ方式で2ヒータ型である仮撚り機の構造の一例を示すモデル図である。

Claims (7)

  1. ポリエステル系フィラメントの仮撚加工糸を経糸及び緯糸に使用して平織した織物製接着芯(しん)地において、
    前記ポリエステル系フィラメントが、繊度:1.2〜3.3dtexの単糸複数本からなる繊度:7〜80dtexのマルチフィラメントであり、
    前記仮撚加工糸が略未解撚に基づくウネリ状(波状)のセット形態を備えており、また、
    式CF=糸密度(本/2.54cm)×√糸繊度(dtex)・・・(1)
    で規定される前記経糸及び前記緯糸の各カバーファクター(CF)が、経糸:450〜730、緯糸:360〜630である、
    ことを特徴とする織物製接着芯地。
  2. 前記ポリエステル系フィラメントのポリエステル原料が、0.15〜1.5(質量)%の酸化チタン(TiO2)を含有するものであることを特徴とする請求項1記載の織物製接着芯地。
  3. ポリエステル系長繊維の加工糸織物において、経方向及び緯方向の一方又は双方において、荷重500cN/cmの負荷時の伸度が5〜20%であることを特徴とする請求項1又は2記載の織物製接着芯地。
  4. 前記ポリエステル系マルチフィラメントの原料ポリマーがポリエチレンテレフタレート(PET)であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の織物製接着芯地。
  5. 請求項1〜4のいずれか一記載の織物製接着芯地に使用する仮撚加工糸の製造方法であって、
    仮撚施撚方式がスピンドル方式で、2ヒータ型の仮撚り機を使用して仮撚りをするに際して、
    下記式で規定される仮撚撚係数を17,000〜20,000に設定して行うことにより、前記略未解撚に基づくウネリ状(波状)のセット形態を備えた仮撚加工糸を製造することを特徴とする仮撚加工糸の製造方法。
    仮撚撚係数=√繊度(dtex)×仮撚撚数/メートル。
  6. 請求項1〜4のいずれか一記載の織物製接着芯地に使用する仮撚加工糸の製造方法であって、
    仮撚施撚方式が摩擦直撚方式で、2ヒータ型の仮撚り機を使用して仮撚りをするに際して、
    前記摩擦直撚方式を多軸外接円盤型とし、D(ディスク周速)/Y(糸速度):2.0
    〜3.5に設定して行なうことにより、前記略未解撚に基づくウネリ状(波状)のセット形態を備えた仮撚加工糸を製造することを特徴とする仮撚加工糸の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか一記載の織物製接着芯地に使用する仮撚加工糸の製造方法であって、
    仮撚施撚方式がエンドレスベルトニップ式で、2ヒータ型の仮撚り機を使用して仮撚りをするに際して、
    ツイスター角度(Θ)=100〜110°に設定して行なうことにより、前記略未解撚に基づくウネリ状(波状)のセット形態を備えた仮撚加工糸を製造することを特徴とする仮撚加工糸の製造方法。
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