JP4306917B2 - アニオン捕捉剤及び排水中から無機アニオン体を回収する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アニオン捕捉剤に関し、特に排水中などに含まれる硝酸イオンや亜硝酸イオンを捕捉吸着し、これらの硝酸イオンの低減あるいは除去することができる硝酸イオン捕捉剤、これを用いて排水中の硝酸イオンを除去する方法及び排水中から無機アニオン体を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、排水中の硝酸イオンなどのアニオンを除去する方法としては、イオン交換法、逆浸透膜法、電気透析法、微生物還元法、捕捉吸着法等が知られている。しかし、イオン交換法によるアニオンの処理方法は、アニオン交換樹脂が高価で且つその効果が長続きせず、更に、イオン交換樹脂の再生廃液には高濃度の硝酸イオンが含まれ、新たな廃液処理が必要になるという問題がある。逆浸透膜法や電気透析法は、高濃度の硝酸イオンを処理できないという問題がある。また、微生物還元法は、処理時間が長く、低濃度の硝酸イオンを含有する水の処理に対しては、BOD源の投入を過剰に行なう必要があり、また、大量の水を処理するには、生物反応槽、沈殿池などの設備が非常に大きなものとなるという問題がある。
【0003】
近年、新たな試みとして、例えば、硝酸イオン及びアンモニウムイオンを含む排水を、モリブデンイオンもしくは水溶性モリブデン化合物の存在下、260〜370℃の温度で、還元処理して窒素に分解する方法(特開平10−34165号公報)、ホーランダイド型結晶相からなる硝酸イオン分解用光触媒を還元剤の存在下に光を照射して硝酸イオンを還元処理して窒素に分解する方法(特開平11−151445号公報)等も提案されている。しかし、加熱源の設置や光触媒の使用など工業的にはコスト負担となる煩雑な操作が必要である。
【0004】
排水中の硝酸イオンを除去する方法の中、吸着法は、実に簡便な操作方法で処理できることから、吸着された硝酸イオンの後処理を有利に行うことができれば工業的にもっとも利用価値が高い。このような硝酸イオン吸着剤としては、例えば、二級アミン及び三級アミン型置換基を有する架橋ポリマーからなる吸着剤を用いる方法(特開平05−15776号公報)、黒鉛−硝酸層間化合物を用いる方法(特公昭60−18605号公報)等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、めっき排水の処理を中心として、環境浄化に力点をおくものだけでなく、有価物の再利用の観点から研究が進められている。しかしながら、硝酸イオンを含有する排水については、こうした有価物の再利用の観点にたった処理方法は、ほとんど提案されていないのが現状である。有価物の再利用の観点に立った硝酸イオンの処理を難しくしている一つの理由として、硝酸塩は例外なく水に対する溶解度が大きいため、溶液中から硝酸塩を晶析して固体として回収することが困難であることが挙げられる。ハイドロカルマイトやハイドロタルサイトで代表される無機アニオン交換体は、近年、防錆剤、樹脂添加剤としての用途が注目され、水処理剤としても、例えば、ハイドロカルマイトを用いた遊離塩素の分解剤(特開平06−191854号公報)や亜塩素酸イオンの除去剤(特開平09−225476号公報)等が提案されている。しかしながら、硝酸イオンを処理対象としたものではなく、また、本発明のように、排水中で反応を行って水酸基型無機アニオン交換体を生成させると同時に所望のアニオンを捕捉吸着させるといったものではない。
【0006】
従って、本発明の目的は、排水中のアニオン、特に排水中の硝酸イオンを選択的に捕捉吸着することができ、優れた吸着能を有するアニオン捕捉剤、これを用いた硝酸イオンを難不溶性の化合物として固液分離することで排水中の硝酸イオンを除去する方法及び特定構造の無機アニオン交換体を排水から回収する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、Al2 3 成分を含む化合物又は混合物と、2価金属の酸化物又は水酸化物を排水中に添加すると、排水中でAl2 3 と2価金属の水酸化物の反応が進行して水酸基型無機アニオン交換体が生成すると共に、この水酸基型無機アニオン交換体にアニオン、特に硝酸イオンが選択的に捕捉吸着されて、難不溶性の化合物として排水中から容易に固液分離して回収できることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、アルミナセメントと、2価金属の酸化物又は水酸化物を含有し、該アルミナセメントの配合比率が、該2価金属の酸化物又は水酸化物の1モルに対して、0.05〜0.95モルのAl2 3 となる比率であり、且つ、水酸基型アニオン交換体を生成させるための反応原料成分であることを特徴とするアニオン捕捉剤を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、アルミナセメントの配合比率が、2価金属の酸化物又は水酸化物の1モルに対して、0.05〜0.95モルのAl2 3 となる比率のアルミナセメントと、2価金属の酸化物又は水酸化物と、排水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとを接触させて難不溶性の無機アニオン交換体を形成し、該無機アニオン交換体を固液分離することにより排水中の硝酸イオンを除去する方法を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、アルミナセメントの配合比率が、2価金属の酸化物又は水酸化物の1モルに対して、0.05〜0.95モルのAl 2 3 となる比率であるアルミナセメントと、2価金属の酸化物又は水酸化物と、排水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとを接触させ、次いで、固液分離することにより下記一般式(1);m(M1 )O・Al2 3 ・(M2 )X2 ・nH2 O (1)(式中、M1 及びM2 は同種又は異種の2価金属イオンを示し、Xは硝酸イオン又は亜硝酸イオンを示し、mは2〜4の数を示し、nは20以下の数を示す。)で表される難不溶性の無機アニオン交換体を排水から回収する方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアニオン捕捉剤は、Al2 3 成分を含む化合物又は混合物と、2価金属の酸化物又は水酸化物を含有するところに特徴があり、これらの化合物同士又は混合物と化合物同士は、排水中で反応し、ハイドロカルマイトやハイドロタルサイトで代表される水酸基型無機アニオン交換体を生成し、この生成した水酸基型無機アニオン交換体がアニオン、特にNO2 - で表される亜硝酸イオン、NO3 - で表される硝酸イオンを選択的に捕捉吸着する。換言すれば、本発明のアニオン捕捉剤、例えば硝酸イオン捕捉剤おいて、これらのAl2 3 成分を含む化合物又は混合物及び2価金属の酸化物又は水酸化物は、水酸型無機アニオン交換体を生成するための反応原料となる成分であるということができる。
【0012】
Al2 3 成分を含む化合物又は混合物としては、例えば、アルミナ、アルミン酸ソーダ、アルミン酸カルシウム、Ca−Al2 3 系化合物を含む混合物が挙げられ、Ca−Al2 3 系化合物を含む混合物としては、例えば、CaO・Al2 3 、5CaO・3Al2 3 、2CaO・Al2 3 、3CaO・5Al2 3 、12CaO・7Al2 3 、3CaO・Al2 3 等の鉱物組成を含む微粉末状混合物が挙げられる。本発明において、これらのアルミニウム化合物又は混合物の中、CaO・Al2 3 、5CaO・3Al2 3 、2CaO・Al2 3 等の鉱物組成を有するアルミナセメントが好ましく用いられる。また、Al2 3 成分を含む化合物又は混合物は、これらの化合物及び混合物から選ばれる1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0013】
2価金属の酸化物又は水酸化物としては、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化バリウム、水酸化バリウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化鉄が挙げられ、この中、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムが好ましく用いられ、特に水酸化カルシウム、酸化カルシウムが好ましい。2価金属の酸化物又は水酸化物は、これらの酸化物及び水酸化物から選ばれる1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】
本発明の硝酸イオン捕捉剤などのアニオン捕捉剤において、前記Al2 3 成分を含む化合物又は混合物の配合比率は、2価金属の酸化物又は水酸化物の1モルに対して、0.05〜0.95モルのAl2 3 となる比率である。後述するように、接触前の排水のpHが1未満の場合、pH調整することが好ましく、この場合、2価金属の酸化物又は水酸化物の配合を多めにしてもよく、例えば、Al2 3 成分を含む化合物又は混合物の配合比率が、0.05〜0.35モルのAl2 3 となる比率にしてもよい。また、接触前の排水のpHが1以上である場合、pH調整の必要はなく、過剰の2価金属の酸化物又は水酸化物の添加は必要がないから、当該Al2 3 成分を含む化合物又は混合物の配合比率は、0.05〜0.95モル、好ましくは0.33〜0.45モルのAl2 3 となる比率でよい。pH調整の必要がない場合、Al2 3 が0.05モル未満であると、未反応の2価金属の酸化物又は水酸化物が排水中に残存し、一方、Al2 3 として0.95モルを越えると、未反応のアルミニウム化合物が排水中に残存することとなって好ましくない。また、pH調整が必要であっても、当該Al2 3 成分を含む化合物又は混合物の配合比率は、0.05〜0.95モルのAl2 3 となる比率とし、別途にアルカリ剤を添加するようにしてもよい。このように、Al2 3 成分を含む化合物又は混合物と、2価金属の酸化物又は水酸化物の配合割合は、排水中に添加した場合、水酸基型ハイドロカルマイトが生成するような割合であればよい。
【0015】
本発明の捕捉剤には、他の成分として、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム等の炭酸アルカリ;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等の苛性アルカリが配合されていてもよい。また、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリルアミド又はメタアクリルアミドとアクリル酸ナトリウム又はメタアクリル酸ナトリウムとの共重合体、ポリアクリルアミド又はポリメタアクリルアミドの部分加水分解物、アクリルアミド又はメタクリルとアクリル酸ナトリウム又はメタアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの三元共重合体及びアルギン酸ナトリウム等の通常用いられる水処理剤と併用することができる。
【0016】
次いで、本発明の排水中の硝酸イオンを除去する方法並びに硝酸イオンが捕捉された特定構造で示される難不溶性の無機アニオン交換体を排水から回収する方法について説明する。
【0017】
本発明の排水中の硝酸イオンを除去する方法は、Al2 3 成分を含む化合物又は混合物と、2価金属の酸化物又は水酸化物と、排水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとを接触させて難不溶性の無機アニオン交換体を形成し、該無機アニオン交換体を固液分離することにより行われる。すなわち、排水中に添加されるものは、前述の硝酸イオン捕捉剤であっても、あるいは、Al2 3 成分を含む化合物又は混合物、又は2価金属の酸化物若しくは水酸化物をそれぞれ、単独で同時に添加するものであってもよい。
【0018】
Al2 3 成分を含む化合物又は混合物、あるいは2価金属の酸化物又は水酸化物としては、前記と同様のものが例示される。また、Al2 3 成分を含む化合物又は混合物と、2価金属の酸化物又は水酸化物との配合比率も前記と同様であり、それぞれ単独で排水中に添加する場合も、Al2 3 成分を含む化合物又は混合物の配合比率は、2価金属の酸化物又は水酸化物の1モルに対して、0.05〜0.95モル、好ましくは0.05〜0.35モルのAl2 3 となる比率で用いればよい。
【0019】
本発明の硝酸イオン捕捉剤が対象とする硝酸イオン含有排水としては、特に制限されないが、例えば、硝酸をプリント基盤の洗浄剤として使用する洗浄排水に好適に用いることができる。また、排水中の硝酸イオン濃度としては、通常1〜5万ppm、好ましくは、1〜20ppmのものである。
【0020】
また、前記硝酸イオン捕捉剤の排水に対する添加量、あるいは前記Al2 3 成分を含む化合物又は混合物と、2価金属の酸化物又は水酸化物の合計添加量は、共に、排水100mlに対して、通常5〜100g、好ましくは5〜15gである。
【0021】
接触時間は、通常10分〜24時間、好ましくは30分〜3時間であり、接触温度は、通常、5〜60℃であり、好ましくは15℃以上50℃未満である。
【0022】
接触時のpHは、後述する無機アニオン交換体の生成反応が通常pH7を越えるアルカリ領域で行われることから、接触後のpHが7を越えるアルカリ領域となる範囲であれば、特に制限されないが、接触前の排水のpHが1未満の場合には、予め、アルカリ剤を加えて排水のpHを1以上に調製しておくことが好ましい。この場合、前記硝酸イオン捕捉剤としての添加の場合、該捕捉剤中の2価金属の酸化物及び水酸化物の配合比率を高めたものが使用でき、また、Al2 3 成分を含む化合物又は混合物と、2価金属の酸化物及び水酸化物のそれぞれ単独添加の場合は、2価金属の酸化物及び水酸化物の添加比率を前記配合比率の範囲内で高めてやればよい。また、前記硝酸イオン捕捉剤としての添加の場合、アルカリ剤を別途に添加してpH調整をしてもよい。
【0023】
前記硝酸イオン捕捉剤としての添加の場合、pH調整剤として別途に添加されるアルカリ剤としては、特に限定はなく、水酸化アルカリ、炭酸アルカリなどの通常のアルカリ剤を用いることができるが、本発明においては、2価の金属の酸化物や水酸化物が好ましく用いられる。2価の金属の酸化物や水酸化物としては、前記硝酸イオン捕捉剤中に配合されるものと同様のものが挙げられる。また、特に、水酸化カルシウムが好ましい。
【0024】
本発明の排水中の硝酸イオンの除去方法は、例えば、前記硝酸イオン捕捉剤と、排水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとを前記条件で接触させることにより、
次式;m(M1 )O・Al2 3 ・(M2 )X2 ・nH2 O (1)
(式中、M1 及びM2 は同種又は異種の2価金属イオンを示し、Xは硝酸イオン又は亜硝酸イオンを示し、mは2〜4の数を示し、nは20以下の数を示す。)で表される難不溶性の無機アニオン交換体を形成し、更に該無機アニオン交換体を固液分離するものである。
【0025】
前記一般式(1)で表される無機アニオン交換体の式中、Xは、本発明の硝酸イオン捕捉剤により捕捉吸着された排水中に含まれるNO2 - やNO3 - の硝酸イオンを示すが、当該式(1)の化合物はハイドロカルマイトやハイドロタルサイトで代表される無機アニオン交換体であることから、その性質上、アニオンXが全て1種で占めることはなく、多くの場合、複合アニオンで構成される。このため、硝酸イオンに限らず、例えば、SO4 2- 、SO3 - 、S2 3 - 、MO4 2- 、CrO4 2- 、WO4 2- 、Cl- 、B- 、Br- 、I- 、ClO2 - 、SnO4 2-、MnO4 2- 、CoO4 2- 、NiO4 2- 、H2 PO2 - 、HPO3 2- 、HPO4 2- 、HBO3 - 、C6 4 (OH)CO2 - 、CH3 COO- 、CN- 等の重金属含有イオンや他のアニオンも捕捉吸着できる。
【0026】
本発明の硝酸イオン捕捉剤の硝酸イオン捕捉吸着機構は、例えば、アルミナセメントと水酸化カルシウムを含有する捕捉剤を用いた場合を例にとると、排水中でアルミナセメント中のAl2 3 と水酸化カルシウムの反応により、次式;
(2〜3)CaO・Al2 3 ・Ca(OH)2 ・nH2
(式中、nは20以下の数)で表される水酸基型ハイドロカルマイトが生成し、次いで、OH- とNO2 - 、NO3 - とがアニオン交換してNO2 - 、NO3 - がハイドロカルマイトに捕捉吸着される。なお、予め調製した水酸基型無機アニオン交換体を排水中に添加しても、硝酸イオンの吸着量が小さく、本発明のような効果は得られない。
【0027】
本発明の硝酸イオン捕捉剤により、排水中の硝酸イオンは、捕捉吸着されるが、本発明では、排水中の硝酸イオン濃度が所望の濃度となるまで、上記操作を繰り返し行うことができる。
【0028】
上記操作により、排水中の硝酸イオンは、本発明の硝酸イオン捕捉剤により捕捉吸着され、前記一般式(1)で表される難不溶性の無機アニオン交換体として沈澱し、この沈澱物を処理水から公知の固液分離手段、例えば脱水機、濾過器等により容易に固液分離することができる。ここで用いる脱水機の種類としては、特に限定はなく、フィルタープレス、ベルトプレス、スクリュープレス等の固形物と液体を分離できる機器であればよいが、脱水率の高いものが特に望ましい。
【0029】
また、本発明は、処理水を上記方法で固液分離した後、固形物である前記一般式(1)で表される難不溶性の無機アニオン交換体を排水から回収する。回収された当該無機アニオン交換体は、ハイドロタルサイトやハイドロカルマイトで代表される層間化合物としての特性も合わせ持つことから、例えば、コンクリートの着色剤、樹脂添加剤、コンクリート又は塗料等の防錆剤、抗菌剤、触媒等の機能性材料等として再利用することができ、更に回収された当該無機アニオン交換体を加圧下又は減圧下で結晶化処理することにより、より高性能な機能性材料として再利用することもできる。
【0030】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
実施例1
(硝酸イオン捕捉剤の調製)
Al2 3 成分52.39重量%、CaO成分36.4重量%を含有するアルミナセメント1000gに消石灰674gを配合し、均一組成となるように充分に攪拌下に混合し、捕捉剤Aを調製した。
(模擬排水の調製)
NaNO3 を水に溶かし、NO3 - 濃度が約1000mg/lの模擬排水を調製した。
(模擬排水から硝酸イオンを除去する方法)
前記で調製した模擬排水100mlに、消石灰を加えてpHを1〜3に調製し、更に、前記で調製した捕捉剤Aを5g添加した。次いで、室温下に2時間攪拌し、ブフナーにより処理液を固液分離し、ろ液と濾過物(固形物)を得た。
(ろ液及び濾過物の分析)
ろ液中のNO3 - 濃度をイオンクロマトグラフィー法により測定した。更に、濾過により回収された固形物をX線回析した。その結果を表1に示す。また、固形物のX線回析の結果から、次式(2);
(2〜4)CaO・Al2 3 ・Ca(NO3 2 ・nH2 O (2)
であることを確認した。
【0031】
実施例2
模擬排水から硝酸イオンを除去する方法において、捕捉剤Aの添加量5gを10gとした以外は、実施例1と同様の方法及び評価を行った。結果を表1に示す。また、濾過により回収された固形物のX線回析結果から、前記(2)式であることを確認した。
【0032】
実施例3
模擬排水から硝酸イオンを除去する方法において、捕捉剤Aの添加量5gを15gとした以外は、実施例1と同様の方法及び評価を行った。結果を表1に示す。また、濾過により回収された固形物のX線回析結果から、前記(2)式であることを確認した。
【0033】
比較例1
捕捉剤を模擬排水に添加しない以外は、実施例1と同様の方法及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0034】
比較例2
予め、下記一般式(3);
(2〜3)CaO・Al2 3 ・Ca(OH)2・nH2 O (3)
で表される水酸基型ハイドロカルマイトを調製(捕捉剤B)し、実施例1で調製した模擬排水に5g添加した以外は、実施例1〜3と同様な方法及び評価を行った。その結果を表1に示した。
【0035】
【表1】
Figure 0004306917
【0036】
実施例4〜6及び比較例3
(硝酸イオン捕捉剤の調製)
実施例1と同様の方法により、捕捉剤Aを調製した。
(模擬排水の調製)
NaNO3 を水に溶かし、NO3 - 濃度が200mg/lの模擬排水を調製した。
(模擬排水から硝酸イオンを除去する方法)
前記で調製した模擬排水100mlに、消石灰を加えてpHを1〜3に調製し、更に、前記で調製した捕捉剤Aを5g(実施例4)、10g(実施例5)及び15g(実施例6)を添加した。また、捕捉剤Aを添加しないものも調製した(比較例3)。次いで、室温下に2時間攪拌し、ブフナーにより処理液を固液分離し、ろ液と濾過物(固形物)をそれぞれ得た。
(ろ液及び濾過物の分析)
ろ液中のNO3 - 濃度をイオンクロマトグラフィー法により測定した。その結果を表2に示す。
【0037】
比較例4
比較例2と同様に予め、前記一般式(3)で表される水酸基型ハイドロカルマイトを調製(捕捉剤B)し、実施例4〜6で調製した模擬排水に5g添加した以外は、実施例4〜6と同様な方法及び評価を行った。その結果を表2に示した。
【0038】
【表2】
Figure 0004306917
【0039】
実施例7〜9及び比較例5
(硝酸イオン捕捉剤の調製)
実施例1と同様の方法により、捕捉剤Aを調製した。
(模擬排水の調製)
NaNO3 を水に溶かし、NO3 - 濃度が100,000mg/l の模擬排水を調製した。
(模擬排水から硝酸イオンを除去する方法)
前記で調製した模擬排水100mlに、消石灰を加えてpHを1〜3に調製し、更に、前記で調製した捕捉剤Aを5g(実施例7)、10g(実施例8)及び15g(実施例9)を添加した。また、捕捉剤Aを添加しないものも調製した(比較例5)。次いで、室温下に2時間攪拌し、ブフナーにより処理液を固液分離し、ろ液と濾過物(固形物)をそれぞれ得た。
(ろ液及び濾過物の分析)
ろ液中のNO3 - 濃度をイオンクロマトグラフィー法により測定した。その結果を表3に示す。
【0040】
比較例6
比較例2と同様に予め、前記一般式(3)で表される水酸基型ハイドロカルマイトを調製(捕捉剤B)し、実施例7〜9で調製した模擬排水に5g添加した以外は、実施例7〜9と同様な方法及び評価を行った。その結果を表3に示した。
【0041】
【表3】
Figure 0004306917
【0042】
表1〜表3の結果より、予め調製された水酸基型ハイドロカルマイトを模擬排水中に添加して処理したもの(比較例2、4及び6)より、捕捉剤Aを加えて、水酸基型ハイドロカルマイトの生成反応を行いながら、硝酸イオンを捕捉吸着させたものの方(実施例1、4及び7)が、硝酸イオンの吸着量がかなり高いことが解る。
【0043】
実施例10
(硝酸イオン捕捉剤の調製)
実施例1と同様の方法により、捕捉剤Aを調製した。
(排水)
プリント基板の洗浄に用いられた下記に示した組成の排水を用いた。
・硝酸イオン(NO3 - )濃度;10.6%
・亜硝酸イオン(NO2 - )濃度;40ppm
・塩素イオン(Cl- )濃度;930ppm
・pH;1以下
(排水から硝酸イオンを除去する方法)
前記排水100mlに、消石灰を加えてpHを1〜2に調製し、更に、捕捉剤Aを5g添加した。次いで、40℃で4時間攪拌し、ブフナーにより処理液を固液分離し、第1回目のろ液と濾過物(固形物)を得た。ろ液は下記の分析に供した。次いで、前記ろ液に更に捕捉剤Aを5g添加し40℃で4時間攪拌し、ブフナーにより処理液を固液分離し、第2回目のろ液と濾過物(固形物)を得た。
(ろ液及び濾過物の分析)
第1回目及び第2回目のろ液中の上記成分濃度をイオンクロマトグラフィー法により測定した。その結果を表4に示す。
【0044】
【表4】
Figure 0004306917
【0045】
【発明の効果】
本発明のアニオン捕捉剤、特に硝酸イオン捕捉剤は優れた硝酸イオン吸着能を有する。また、一つの原料組成物の投入でアニオンの除去が行えるため、流通過程における管理がし易く、且つハンドリングが容易となる。また、該捕捉剤を用いた排水中の硝酸イオンの除去方法は、硝酸イオンを室温近辺の温度で処理が可能なため、簡易な操作で難不溶性の無機アニオン交換体を形成し、これを固液分離できるため工業的に極めて有利である。更に、回収された当該無機アニオン交換体は、層間化合物としての特性も合わせ持つことから、例えば、コンクリートの着色剤、樹脂添加剤、コンクリート又は塗料等の防錆剤、抗菌剤、触媒等の機能性材料等として再利用することができる。

Claims (6)

  1. アルミナセメントと、2価金属の酸化物又は水酸化物を含有し、該アルミナセメントの配合比率が、該2価金属の酸化物又は水酸化物の1モルに対して、0.05〜0.95モルのAl2 3 となる比率であり、且つ、水酸基型無機アニオン交換体を生成させるための反応原料成分であることを特徴とするアニオン捕捉剤。
  2. 前記アニオン捕捉剤が、硝酸イオン捕捉剤であることを特徴とする請求項1記載のアニオン捕捉剤。
  3. 前記アルミナセメントは、CaO・Al 、5CaO・3Al 又は2CaO・Al の鉱物組成を有する請求項1又は2のいずれか1項記載のアニオン捕捉剤。
  4. 前記2価金属の酸化物及び水酸化物は、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載のアニオン捕捉剤。
  5. アルミナセメントの配合比率が、2価金属の酸化物又は水酸化物の1モルに対して、0.05〜0.95モルのAl2 3 となる比率であるアルミナセメントと、2価金属の酸化物又は水酸化物と、排水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとを接触させて難不溶性の無機アニオン交換体を形成し、該無機アニオン交換体を固液分離することにより排水中の硝酸イオンを除去する方法。
  6. アルミナセメントの配合比率が、2価金属の酸化物又は水酸化物の1モルに対して、0.05〜0.95モルのAl 2 3 となる比率であるアルミナセメントと、2価金属の酸化物又は水酸化物と、排水中の硝酸イオン又は亜硝酸イオンとを接触させ、次いで、固液分離することにより下記一般式(1);
    m(M1 )O・Al2 3 ・(M2 )X2 ・nH2 O (1)
    (式中、M1 及びM2 は同種又は異種の2価金属イオンを示し、Xは硝酸イオン又は亜硝酸イオンを示し、mは2〜4の数を示し、nは20以下の数を示す。)で表される難不溶性の無機アニオン交換体を排水から回収する方法。
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