JP4306895B2 - 電子部品試験装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICチップなどの電子部品を所定の温度で試験する電子部品試験装置に関し、特に電子部品の自己発熱を測定して正確な温度で試験を行うことができる電子部品試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置などの製造課程においては、最終的に製造されたICチップなどの電子部品を試験する試験装置が必要となる。このような試験装置の一種として、常温または常温よりも高い温度条件もしくは低い温度条件で、ICチップを試験するための装置が知られている。ICチップの特性として、常温または高温もしくは低温でも良好に動作することの保証が必要とされるからである。
【0003】
この種の電子部品試験装置においては、テストヘッドの上部をチャンバで覆って内部をほぼ密閉空間とし、このチャンバの内部を常温、高温または低温といった一定温度環境にしたうえで、ICチップをテストヘッドの上に搬送し、そこでICチップをテストヘッドに押圧して電気的に接続することで試験を行う。このような試験により、ICチップは良好に試験され、少なくとも良品と不良品とに分類される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年におけるICチップの高速化および高集積化に伴い、動作時の自己発熱量が増加する傾向となり、試験中においてもこうした自己発熱量は増加傾向にある。たとえば、ICチップの種類によっては30ワットもの自己発熱を生じるものがある。
【0005】
このため、たとえば125℃前後の高温試験を行うと、この熱量に加えて自己発熱による熱量がICチップに印加され、これによりICチップの温度がその許容限界を超えてしまうおそれがある。また、常温試験や低温試験においても、たとえチャンバ内部を一定温度に維持したとしても、ICチップの自己発熱量が生じるため、目的とする試験温度で試験することが困難となる。
【0006】
このため、ICチップを保持する吸着ヘッドに温度センサを装着し、テスト中のICチップの温度を測定しつつ適正な温度に維持するために冷風を吹き付けるようにすることが検討されている。この場合、冷風は吸着ヘッドの吸着通路を利用して、ICチップに吹き付けることも検討されている。
【0007】
しかしながら、吸着ヘッドが移動するものにおいて、吸着ヘッドに温度センサを装着すると、温度センサのケーブルが、移動体である吸着ヘッドと温度センサからの出力信号を取り込むコントローラとの間に引き渡されるため、断線するおそれがある。また、吸着ヘッドの吸着通路を利用してここからICチップへ冷風を吹き付ける構成では、充分な量の冷風をICチップに吹き付けることができず、自己発熱量が大きい場合に対処することができないといった問題があった。
【0008】
本発明は、電子部品の自己発熱を測定して正確な温度で試験を行うことができる電子部品試験装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明によれば、電子部品を保持または押圧してテストヘッドのコンタクト部へ接近および離反移動させるヘッドを備えた電子部品試験装置であって、前記ヘッドに設けられた温度センサと、前記ヘッドに設けられた前記温度センサの第1端子と、前記コンタクト部側に設けられ、前記ヘッドの移動にともない前記第1端子に接触又は非接触となる第2端子と、前記ヘッドに保持された電子部品が前記コンタクト部へ押し付けられた状態で、前記電子部品に冷却風を吹き付けるエアーブローユニットと、を備え、前記エアーブローユニットは、前記コンタクト部の周囲に配置されており、前記第2端子は、前記エアーブローユニットの上面に設けられている電子部品試験装置が提供される。
【0010】
また、電子部品を保持または押圧してテストヘッドのコンタクト部へ接近および離反移動させる電子部品試験装置用ヘッドであって、前記ヘッドに設けられた温度センサと、前記コンタクト部の周囲に配置されたエアーブローユニットの上面に設けられた前記温度センサの第2端子に対して、前記ヘッドの移動にともなって接触または非接触となる前記温度センサの第1端子と、を備えた電子部品試験装置用ヘッドが提供される。
【0011】
また、テストヘッドのコンタクト部へ押し付けられた電子部品に対して冷却風を吹き付ける電子部品試験装置用エアーブローユニットであって、前記電子部品を前記コンタクト部へ接近および離反移動させるヘッドに設けられた温度センサの第1端子に対して、前記ヘッドの移動にともなって接触または非接触となる前記温度センサの第2端子を備え、前記エアーブローユニットは、前記コンタクト部の周囲に設けられており、前記第2端子は、前記エアーブローユニットの上面に設けられている電子部品試験装置用エアーブローユニットが提供される。
【0012】
本発明では、少なくとも温度センサによる温度検出が必要なときは第1端子と第2端子とが接触するので、それ以外のときはケーブル等にて接続する必要がなくなり、温度センサのケーブルがヘッドの移動にともなって断線したりするおそれがなくなる。
【0013】
また、本発明では、コンタクト部の周囲にエアーブローユニットを配置し、電子部品に対してほぼ水平に冷却風を吹き付けるので、充分な量の冷却風を提供することができる。このため、電子部品の全体に冷却風が万遍なく吹き付けられるので、電子部品に対する冷却効果が高まり、電子部品の自己発熱による昇温の抑制効果がより顕著となる。さらに、抑制効果が高まることにより、少量の流体で、または短時間の流体の吹き付けで冷却することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電子部品試験装置の実施形態を示す斜視図、図2は、同電子部品試験装置における被試験ICの取り廻し方法を示す概念図、図3は、同電子部品試験装置に設けられた各種の移送装置を模式的に示す平面図、図12は、同電子部品試験装置のテストチャンバにおける被試験ICの取り廻し方法を説明するための断面図(図3の XII-XII線相当)、図13は、同電子部品試験装置のアンローダ部における被試験ICの取り廻し方法を説明するための断面図(図3の XIII-XIII線相当)である。
【0021】
なお、図2および図3は、本実施形態の電子部品試験装置における被試験ICの取り廻し方法および搬送装置の動作範囲を理解するための図であって、実際には上下方向に並んで配置されている部材を平面的に示した部分もある。したがって、その機械的(三次元的)構造は図1を参照して説明する。
【0022】
本実施形態の電子部品試験装置1は、被試験ICに、たとえば常温、または125℃程度の高温、もしくはたとえば−30℃程度の低温の温度ストレスを与えた状態でICが適切に動作するかどうかを試験(検査)し、当該試験結果に応じてICを分類する装置であって、こうした温度ストレスを与えた状態での動作テストは、試験対象となる被試験ICが多数搭載されたトレイ(図示は省略するが、以下、カスタマトレイKTともいう。)から当該電子部品試験装置1内を搬送されるICキャリアCR(図5参照)に被試験ICを載せ替えて実施される。
【0023】
このため、本実施形態の電子部品試験装置1は、図1および図2に示すように、これから試験を行なう被試験ICを格納し、また試験済のICを分類して格納するIC格納部100と、このIC格納部100から送られる被試験ICをチャンバ部300に送り込むローダ部200と、テストヘッドを含むチャンバ部300と、チャンバ部300で試験が行なわれた試験済のICを分類して取り出すアンローダ部400とから構成されている。
【0024】
IC格納部100
IC格納部100には、試験前の被試験ICを格納する試験前ICストッカ101と、試験の結果に応じて分類された被試験ICを格納する試験済ICストッカ102とが設けられている。
【0025】
これらの試験前ICストッカ101及び試験済ICストッカ102は、枠状のトレイ支持枠と、このトレイ支持枠の下部から侵入して上部に向って昇降可能とするエレベータとから構成されている。トレイ支持枠には、カスタマトレイKTが複数積み重ねられて支持され、この積み重ねられたカスタマトレイKTのみがエレベータによって上下に移動される。
【0026】
そして、試験前ICストッカ101には、これから試験が行われる被試験ICが格納されたカスタマトレイKTが積層されて保持される一方で、試験済ICストッカ102には、試験を終えた被試験ICが適宜に分類されたカスタマトレイKTが積層されて保持されている。
【0027】
なお、これら試験前ICストッカ101と試験済ICストッカ102とは同じ構造とされているので、試験前ICストッカ101と試験済ICストッカ102とのそれぞれの数を必要に応じて適宜数に設定することができる。
【0028】
図1及び図2に示す例では、試験前ストッカ101に1個のストッカLDが割り当てられ、またその隣にアンローダ部400へ送られる空ストッカEMPが1個割り当てられるとともに、試験済ICストッカ102として5個のストッカUL1,UL2,…,UL5が割り当てられて試験結果に応じて最大5つの分類に仕分けして格納できるように構成されている。つまり、良品と不良品の別の外に、良品の中でも動作速度が高速のもの、中速のもの、低速のもの、あるいは不良の中でも再試験が必要なもの等に仕分けされる。
【0029】
ローダ部200
上述したカスタマトレイKTは、IC格納部100と装置基板201との間に設けられたトレイ移送アーム(図示省略)によってローダ部200の窓部202に装置基板201の下側から運ばれる。そして、このローダ部200において、カスタマトレイKTに積み込まれた被試験ICを第1の移送装置204によって一旦ピッチコンバーションステージ203に移送し、ここで被試験ICの相互の位置を修正するとともにそのピッチを変更したのち、さらにこのピッチコンバーションステージ203に移送された被試験ICを第2の移送装置205を用いて、チャンバ部300内の位置CR1(図4参照)に停止しているICキャリアCRに積み替える。
【0030】
窓部202とチャンバ部300との間の装置基板201上に設けられたピッチコンバーションステージ203は、比較的深い凹部を有し、この凹部の周縁が傾斜面で囲まれた形状とされたICの位置修正およびピッチ変更手段であり、この凹部に第1の移送装置204に吸着された被試験ICを落し込むと、傾斜面で被試験ICの落下位置が修正されることになる。これにより、たとえば4個の被試験ICの相互の位置が正確に定まるとともに、カスタマトレイKTとICキャリアCRとの搭載ピッチが相違しても、位置修正およびピッチ変更された被試験ICを第2の移送装置205で吸着してICキャリアCRに積み替えることで、ICキャリアCRに形成されたIC収容部14に精度良く被試験ICを積み替えることができる。
【0031】
カスタマトレイKTからピッチコンバーションステージ203へ被試験ICを積み替える第1の移送装置204は、図3に示すように、装置基板201の上部に架設されたレール204aと、このレール204aによってカスタマトレイKTとピッチコンバーションステージ203との間を往復する(この方向をY方向とする)ことができる可動アーム204bと、この可動アーム204bによって支持され、可動アーム204bに沿ってX方向に移動できる可動ヘッド204cとを備えている。
【0032】
この第1の移送装置204の可動ヘッド204cには、吸着ヘッド204dが下向きに装着されており、この吸着ヘッド204dが空気を吸引しながら移動することで、カスタマトレイKTから被試験ICを吸着し、その被試験ICをピッチコンバーションステージ203に落とし込む。こうした吸着ヘッド204dは、可動ヘッド204cに対して例えば4本程度装着されており、一度に4個の被試験ICをピッチコンバーションステージ203に落とし込むことができる。
【0033】
一方、ピッチコンバーションステージ203からチャンバ部300内のICキャリアCR1へ被試験ICを積み替える第2の移送装置205も同様の構成であり、図1および図3に示すように、装置基板201およびテストチャンバ301の上部に架設されたレール205aと、このレール205aによってピッチコンバーションステージ203とICキャリアCR1との間を往復することができる可動アーム205bと、この可動アーム205bによって支持され、可動アーム205bに沿ってX方向に移動できる可動ヘッド205cとを備えている。
【0034】
この第2の移送装置205の可動ヘッド205cには、吸着ヘッド205dが下向に装着されており、この吸着ヘッド205dが空気を吸引しながら移動することで、ピッチコンバーションステージ203から被試験ICを吸着し、テストチャンバ301の天井に開設された入口303を介して、その被試験ICをICキャリアCR1に積み替える。こうした吸着ヘッド205dは、可動ヘッド205cに対して例えば4本程度装着されており、一度に4個の被試験ICをICキャリアCR1へ積み替えることができる。
【0035】
チャンバ部300
本実施形態に係るチャンバ部300は、ICキャリアCRに積み込まれた被試験ICに目的とする高温又は低温の温度ストレスを与える恒温機能を備えており、熱ストレスが与えられた状態にある被試験ICを恒温状態でテストヘッド302のコンタクト部302aに接触させ、図外のテスタにテストを行わせる。
【0036】
ちなみに、本実施形態の電子部品試験装置1では、被試験ICに低温の温度ストレスを与えた場合には後述するホットプレート401で除熱することで被試験ICへの結露を防止するが、被試験ICに高温の温度ストレスを与えた場合には、自然放熱によって除熱する。ただし、別途の除熱槽または除熱ゾーンを設けて、高温を印加した場合は被試験ICを送風により冷却して室温に戻し、また低温を印加した場合は被試験ICを温風またはヒータ等で加熱して結露が生じない程度の温度まで戻すように構成しても良い。
【0037】
コンタクト部302aを有するテストヘッド302は、テストチャンバ301の中央下側に設けられており、このテストヘッド302の両側にICキャリアCRの静止位置CR5が設けられている。そして、この位置CR5に搬送されてきたICキャリアCRに載せられた被試験ICを第3の移送装置304によってテストヘッド302上に直接的に運び、被試験ICをコンタクト部302aに電気的に接触させることにより試験が行われる。
【0038】
また、試験を終了した被試験ICは、ICキャリアCRには戻されずに、テストヘッド102の両側の位置CR5に出没移動するイグジットキャリアEXTに載せ替えられ、チャンバ部300の外に搬出される。高温の温度ストレスを印加した場合には、このチャンバ部300から搬出されてから自然に除熱される。
【0039】
図4は本実施形態におけるICキャリアの搬送経路を説明するための要部斜視図、図5はICキャリアの実施形態を示す斜視図、図6は図5の VI-VI線に沿う断面図(シャッタ閉)、図7は図5の VII-VII線に沿う断面図(シャッタ開)、図8はチャンバ部300における被試験ICのテスト順序を説明するための平面図である。
【0040】
まず、本実施形態のICキャリアCRは、チャンバ部300内を循環して搬送される。この取り廻しの様子を図4に示すが、本実施形態では、まずチャンバ部300の手前と奥とのそれぞれに、ローダ部200から送られてきた被試験ICが積み込まれるICキャリアCR1が位置し、この位置CR1のICキャリアCRは、図外の水平搬送装置によって水平方向の位置CR2に搬送される。
【0041】
なお、第2の移送装置205から被試験ICを受け取る位置は、厳密にいえば同図に示す位置CR1より僅かに上部とされている(この位置を図4に二点鎖線で示す)。これは、テストチャンバ301の天井に開設された入口303にICキャリアCRを下方から臨ませて、当該入口303をICキャリアCRで遮蔽し、チャンバ部300内の熱放出を防止するためであり、このためにICキャリアCRは、被試験ICを受け取る際に位置CR1から少しだけ上昇する。
【0042】
位置CR2に搬送されたICキャリアCRは、図4に示すエレベータ311によって鉛直方向の下に向かって幾段にも積み重ねられた状態で搬送され、位置CR5のICキャリアが空くまで待機したのち、最下段の位置CR3からテストヘッド302とほぼ同一レベル位置CR4へ図外の水平搬送装置によって搬送される。主としてこの搬送中に、被試験ICに高温または低温の温度ストレスが与えられる。
【0043】
さらに、図外の水平搬送装置によって、位置CR4からテストヘッド302側へ向かって水平方向の位置CR5に搬送され、ここで被試験ICのみがテストヘッド302のコンタクト部302aへ送られる。被試験ICがコンタクト部302aへ送られたあとのICキャリアCRは、図外の水平搬送装置によってその位置CR5から水平方向の位置CR6へ搬送されたのち、エレベータ314によって鉛直方向の上に向かって搬送され、元の位置CR1に戻る。
【0044】
このように、ICキャリアCRは、チャンバ部300内のみを循環して搬送されるので、一旦昇温または降温してしまえば、ICキャリア自体の温度はそのまま維持され、その結果、チャンバ部300における熱効率が向上することになる。
【0045】
図5は本実施形態のICキャリアCRの構造を示す斜視図であり、短冊状のプレート11の上面に8つの凹部12が形成され、この凹部12のそれぞれに被試験ICを載せるためのIC収容部14が2つずつ形成されている。
【0046】
本実施形態のIC収容部14は、凹部12にブロック13を取り付けることによりプレート11の長手方向に沿って16個形成され、プレート11の長手方向における被試験ICの搭載ピッチP1 (図8参照)が等間隔に設定されている。
【0047】
ちなみに、本実施形態のIC収容部14には、プレート11の凹部12とブロック13,13との間にガイド孔(図6参照)171が形成されたガイド用プレート17が挟持されている。被試験ICがチップサイズパッケージのBGA型ICのようにパッケージモールドの外周によっては位置決め精度が確保できない場合等においては、ガイド用プレート17のガイド孔171の周縁によって被試験ICの半田ボール端子HBを位置決めし、これによりコンタクトピンへの接触精度を高めることができる。
【0048】
図5に示すように、ICキャリアCRには、当該ICキャリアCRのIC収容部14に収納された被試験ICの位置ずれや飛び出し防止のため、その上面の開口面を開閉するためのシャッタ15が設けられている。
【0049】
このシャッタ15は、スプリング16によってプレート11に対して開閉自在とされており、被試験ICをIC収容部14に収容する際、またはIC収容部14から取り出す際に、シャッタ開閉機構182を用いて図7のように当該シャッタ15を開くことで、被試験ICの収容または取り出しが行われる。一方、シャッタ開閉機構182を解除すると、当該シャッタ15はスプリング16の弾性力により元の状態に戻り、図6に示すようにプレート11のIC収容部14の開口面はシャッタ15によって蓋をされ、これにより当該IC収容部14に収容された被試験ICは、高速搬送中においても位置ズレや飛び出しが生じることなく保持されることになる。
【0050】
本実施形態のシャッタ15は、図5に示すように、プレート11の上面に設けられた3つの滑車112により支持されており、中央の滑車112がシャッタ15に形成された長孔152に係合し、両端に設けられた2つの滑車112,112はシャッタ15の両端縁をそれぞれ保持する。
【0051】
ただし、中央の滑車112とシャッタ15の長孔152との係合は、プレート11の長手方向に対して殆どガタツキがない程度とされており、これに対して両端の滑車112とシャッタ15の両端縁との間には僅かな隙間が設けられている。こうすることで、チャンバ部300内においてICキャリアCRに熱ストレスが作用しても、それによる膨張または収縮は中央の滑車112を中心にして両端へ振り分けられ、両端に設けられた隙間によって適宜吸収される。したがって、シャッタ15の長手方向全体の膨張または収縮量は、最も膨張または収縮する両端でも半分の量となり、これによりプレート11の膨張または収縮量との格差を小さくすることができる。
【0052】
本実施形態のシャッタの開閉機構は以下のように構成されている。
まず、図4に示すICキャリアCRの取り廻し経路において、シャッタ15を開く必要がある位置は、第2の移送装置205から被試験ICを受け取る位置CR1(厳密にはその僅かに上部の窓部303)と、この被試験ICを第3の移送装置304によってテストヘッド302のコンタクト部302aへ受け渡す位置CR5の2ヶ所である。
【0053】
本実施形態では、位置CR1においては図4および図6,7に示すように、シャッタの開閉機構として、シャッタ15の上面に設けられた開閉用ブロック181を引っかけて開閉する流体圧シリンダ182が採用されている。この流体圧シリンダ182はテストチャンバ301側に取り付けられている。そして、図6および図7に示すように、停止状態にあるICキャリアCRに対して流体圧シリンダ182のロッドを後退させることで、シャッタ15に設けられた開閉用ブロック181を引っかけながら当該シャッタ15を開く。また、被試験ICの搭載が終了したら、流体圧シリンダ182のロッドを前進させることで当該シャッタ15を閉じる。
【0054】
これに対して、テストヘッド302の近傍位置CR5においては、ICキャリアCR自体が図外の水平搬送装置によって移動するので、これを利用してシャッタ15を開閉する。たとえば、ICキャリアCRは位置CR4から位置CR5へ向かって水平に搬送されるが、この途中にシャッタ15を開閉するためのストッパを、テストチャンバ301側であって、ICキャリアCRが位置CR4から位置CR5へ移動する際にシャッタ15の開閉用ブロック181に当接する位置に設ける。また、このストッパを設ける位置は、ICキャリアCRが位置CR5で停止したときにちょうどシャッタ15が全開する位置でもある。本例ではシャッタ15に2つの開閉用ブロック181が設けられているので、ストッパも2つ設ける。これによりICキャリアCRの水平搬送にともなってシャッタ15も全開することとなる。
【0055】
ICキャリアCRをこの位置CR5からCR6へ搬送する際に、シャッタ15を閉じる必要がある。このため、たとえば上述したストッパにカム面を形成しておき、ICキャリアCRが位置CR5から位置CR6へ向かって搬送される際に、シャッタ15の開閉用ブロック181の後端部が当該カム面に当接し続けることによりシャッタ15は徐々に閉塞することになる。
【0056】
ちなみに、第2の移送装置205や第3の移送装置304の可動ヘッド205c,304bには、被試験ICの受け渡しの際にICキャリアCRとの位置合わせを行うための位置決め用ピンが設けられている。代表例として図6に第2の移送装置205の可動ヘッド205cを示すが、第3の移送装置304の可動ヘッド304bについても同様の構成とされている。
【0057】
同図に示すように、可動ヘッド205cには、位置決め用ピン205e,205eが一つの被試験ICを跨いで2つ設けられている。このため、ICキャリアCRのプレート11側には、この位置決め用ピン205e,205eがそれぞれ係合する位置決め用孔113,113が形成されている。特に限定されないが、本例では、一方の位置決め用孔113(図6においては右側)を真円孔とし、他方の位置決め用孔(同図においては左側)を幅方向に長い長円孔とし、これにより主として一方の位置決め孔113にて位置合わせを行うとともに他方の位置決め用孔113で位置決め用ピン205eとの位置誤差を吸収することとしている。また、それぞれの位置決め用孔113の上面には位置決め用ピン205eを呼び込むためのテーパ面が形成されている。
【0058】
なお、図7に示す符号「153」は、シャッタ15を開いたときに、位置決め用ピン205eが位置決め用孔113に係合できるための開口部である。
【0059】
また、本実施形態の電子部品試験装置1では、テストヘッド302の近傍位置CR5において第3の移送装置304によって全ての被試験ICがテストヘッド302へ移送されると、ICキャリアCRは当該位置CR5から位置CR6へ戻されるが、このときそのICキャリアCRのIC収容部14の何れにも被試験ICが残留していないことを確認するために、残留検出装置が設けられている。
【0060】
この残留検出装置は、図4に示す位置CR5からCR6の途中に設けられた光電センサを有し、図6に示すICキャリアCRの中心線CLに沿ってZ軸方向に検出光を照射しこれを受光する。この検出光を通過させるために、プレート11のIC収容部14の底面にはそれぞれ貫通孔111が設けられ、シャッタ15にもそれぞれのIC収容部14に対応する位置に貫通孔154が設けられている。これにより、ICキャリアCRが被試験ICの受け渡しを終えて位置CR5からCR6へ移動するときに、その水平搬送装置のエンコーダから移動パルス信号を受け取り、これによりICキャリアCRのIC収容部14の位置タイミングを確認するとともに、そのタイミングにおける光電センサの受光状況を確認する。ここで、もしIC収容部14に被試験ICが残っていたら、光電センサによる受光は確認されないので、たとえば警報を発して異常である旨を喚起する。
【0061】
本実施形態のテストヘッド302には、8個のコンタクト部302aが一定のピッチP2 で設けられており、図8に示されるように、コンタクトアームの吸着ヘッド304cも同一ピッチP2 で設けられている。また、ICキャリアCRには、ピッチP1 で16個の被試験ICが収容され、このとき、P2 =2・P1 の関係とされている。
【0062】
テストヘッド302に対して一度に接続される被試験ICは、同図に示すように1行×16列に配列された被試験ICに対して、1列おきの被試験IC(斜線で示す部分)が同時に試験される。
【0063】
つまり、1回目の試験では、1,3,5,7,9,11,13,15列に配置された8個の被試験ICをテストヘッド302のコンタクト部302aに接続して試験し、2回目の試験では、ICキャリアCRを1列ピッチ分P1 だけ移動させて、2,4,6,8,10,12,14,16列に配置された被試験ICを同様に試験する。このため、テストヘッド302の両側の位置CR5に搬送されてきたICキャリアCRは、図外の水平搬送装置によってその長手方向にピッチP1 だけ移動する。
【0064】
ちなみに、この試験の結果は、ICキャリアCRに付された例えば識別番号と、当該ICキャリアCRの内部で割り当てられた被試験ICの番号で決まるアドレスに記憶される。
【0065】
本実施形態の電子部品試験装置1において、テストヘッド302のコンタクト部302aへ被試験ICを移送してテストを行うために、第3の移送装置304がテストヘッド302の近傍に設けられている。
【0066】
図9は吸着装置の実施形態を示す正面図(図3のIX矢視図)、図10および図11は同吸着装置の要部断面図(図9のX−X線相当)であり、図10は吸着ヘッドが上昇した状態、図11は吸着ヘッドが下降した状態を示す。
【0067】
図12に示す第3の移送装置304は、ICキャリアCRの静止位置CR5およびテストヘッド302の延在方向(Y方向)に沿って設けられたレール304aと、このレール304aによってテストヘッド302とICキャリアCRの静止位置CR5との間を往復することができる可動ヘッド304bと、この可動ヘッド304bに下向きに設けられた吸着ヘッド304cとを備えている。
【0068】
吸着ヘッド304cは、図示しない駆動装置(たとえば流体圧シリンダや電動モータ)によって上下方向にも移動できるように構成されている。この吸着ヘッド304cの上下移動により、被試験ICを吸着できるとともに、コンタクト部302aに被試験ICを押し付けることができる。
【0069】
本実施形態の吸着ヘッド304cをさらに詳細に説明する。
図9乃至図11に示すように、吸着ヘッド304cは、図外のZ軸方向駆動装置に取り付けられている。この吸着ヘッド304cは、コンタクト部302aに対して昇降するプッシャベース304c1と、このプッシャベース304c1に対してフローティング機構304c6を介して取り付けられた可動ベース304c3とからなり、可動ベース304c3に被試験ICを吸着するための吸着パッド304c2を有する吸着ヘッド本体304c10が固定されている。
【0070】
この様子を図10および図11に示すが、可動ベース304c3(図10および図11では省略する。)に固定された吸着ヘッド本体304c10は、内部に真空引きを行うための通孔304c11が形成されている。また、ゴムなどの弾性体からなる吸着パッド304c2は、吸着ヘッド本体304c10内に固定されており、真空引きしたときの吸着力はこの吸着パッド304c2の先端に付与される。
【0071】
特に本実施形態の吸着ヘッド本体304c10には、吸着パッド304c2の近傍に温度センサ304c12が埋設されており、ケーブル304c14を介してその出力側の端子304c13(以下、第1端子という。)が吸着ヘッド本体304c10から下方に向かって露出して設けられている。この第1端子304c13は、内部に設けられたスプリング等の弾性体によって出没自在に構成されており、後述する第2端子302b1に接近して当接しても破損しないようになっている。
【0072】
テストヘッド302のコンタクト部302aの周囲には、金属製ブロックからなるエアーブローユニット302bが設けられている。このエアーブローユニット302bは、その内部に冷却風が案内される冷却風通路302b2が形成されており、冷却風通路の出口から吹き出された冷却風は、図11に示すように、テスト中にある被試験ICに向かってほぼ真横から流れることになる。
【0073】
なお、エアーブローユニット302bとテストヘッド302との間には、高さ調整ブロック302b3が介装され、コンタクト部302aの形状が相違することにより被試験ICの高さ位置が相違しても、この高さ調整ブロック302b3の厚さを選択すれば、常に冷却風を被試験ICの真横から吹き出すことができる。これにより、被試験ICのテスト時に生じる自己発熱を放熱させることができる。
【0074】
また、エアーブローユニット302bの上面には、上述した第1端子304c13に対応する位置に第2端子302b1が設けられており、温度センサ304c12からの出力信号は、ケーブル304c14、第1端子304c13および第2端子302b1を介して図外のコントローラへ送られる。
【0075】
図9に戻り、プッシャベース304c1と可動ベース304c3との間に介装されるフローティング機構304c6は、以下のように構成されている。まず、後述する一方のガイド手段であるガイドブッシュ302a2に係合するガイドピン304c5は、その中央部にて可動ベース304c3に固定されており、その基端はプッシャベース304c1に固定された小径のピン304c7に挿通されている。これにより、可動ベース304c3は、プッシャベース304c1に対して、XY平面においてガイドピン304c5と小径ピン304c7との空隙ぶんだけ移動可能となる。
【0076】
また、可動ベース304c3は、プッシャベース304c1に対して、Z軸方向の上方向に移動可能となるが、これらプッシャベース304c1と可動ベース304c3との間に介装されたスプリング304c8によって、可動ベース304c3はプッシャベース304c1から離間する方向に付勢されている。したがって、外力が作用しないときは、図9に示す状態を維持するが、ガイドピン304c5とガイドブッシュ302a2とが係合する際にX方向またはY方向に外力が作用すると、可動ベース304c3はプッシャベース304c1に対してXY平面内で移動することとなる。また、後述する流体圧シリンダ304c4が押圧ブロック304c9を介して可動ベース304c3を押圧したときに可動ベース304c3のXY平面が傾いていると、スプリング304c8の弾性力に抗して可動ベース304c3がプッシャベース304c1に対してその姿勢を変えることになる。
【0077】
本実施形態の吸着ヘッド304cでは、プッシャベース304c1が装着されるベース304b1に流体圧シリンダ304c4が固定され、また可動ベース304c3には押圧ブロック304c9が取り付けられており、当該流体圧シリンダ304c4のロッド先端は、押圧ブロック304c9の上面に当接してここを押圧し、これを介して可動ベース304c3が押圧される。
【0078】
本実施形態の吸着ヘッド304cは、1枚の共通したプッシャベース304c1に対して、8個の可動ベース304c3が互いに独立してフローティングするように設けられており、上述した流体圧シリンダ304c4も各可動ベース304c3に対してそれぞれ独立した位置(ベース304b1)に設けられている。
【0079】
なお、可動ベース304c3には、先端にテーパ面を有するガイドピン304c5が固定され、コンタクト部302aにはガイドブッシュ302a2が固定されている。これらガイドピン304c5およびガイドブッシュ302a2が本発明のガイド手段を構成するが、吸着ヘッド304cがコンタクト部302aに向かって下降したときに、ガイドピン304c5がテーパ面からガイドブッシュ302a2に係合することで、可動ベース304c3がコンタクト部302aに対して位置合わせされることになる。
【0080】
また、被試験ICの種類が変わってコンタクト部302aの品種交換を行う場合には、吸着ヘッド304cについても品種交換が行われるが、本実施形態では図11に示すプッシャベース304c1から下の部品をチェンジキットとして交換し、ベース304b1や流体圧シリンダ304c4はそのまま汎用する。これにより、チェンジキットの構成部品が最小となってコストダウンを図ることができるとともにチェンジキットの重量も最小となって交換作業性が向上する。
【0081】
図12に示すように、本実施形態の第3の移送装置304では、一つのレール304aに2つの可動ヘッド304bが設けられており、その間隔が、テストヘッド302とICキャリアCRの静止位置CR5との間隔に等しく設定されている。そして、これら2つの可動ヘッド304bは、一つの駆動源(たとえばボールネジ装置)によって同時にY方向に移動する一方で、それぞれの吸着ヘッド304cは、それぞれ独立の駆動装置によって上下方向に移動する。
【0082】
既述したように、それぞれの吸着ヘッド304cは、一度に8個の被試験ICを吸着して保持することができ、その間隔はコンタクト部302aの間隔と等しく設定されている。
【0083】
アンローダ部400
アンローダ部400には、上述した試験済ICをチャンバ部300から払い出すためのイグジットキャリアEXTが設けられている。このイグジットキャリアEXTは、図3および図12に示すように、テストヘッド302の両側それぞれの位置EXT1と、アンローダ部400の位置EXT2との間をX方向に往復移動できるように構成されている。テストヘッド302の両側の位置EXT1では、図12に示すように、ICキャリアCRとの干渉を避けるために、ICキャリアの静止位置CR5のやや上側であって第3の移送装置304の吸着ヘッド304cのやや下側に重なるように出没する。
【0084】
イグジットキャリアEXTの具体的構造は特に限定されないが、図5に示すICキャリアCRのように、被試験ICを収容できる凹部が複数(ここでは8個)形成されたプレートで構成することができる。
【0085】
このイグジットキャリアEXTは、テストヘッド302の両側のそれぞれに都合2機設けられており、一方がテストチャンバ301の位置EXT1へ移動している間は、他方はアンローダ部400の位置EXT2へ移動するというように、ほぼ対称的な動作を行う。
【0086】
図3に戻り、本実施形態の電子部品試験装置1では、イグジットキャリアEXTの位置EXT2に近接して、ホットプレート401が設けられている。このホットプレート401は、被試験ICに低温の温度ストレスを与えた場合に、結露が生じない程度の温度まで加熱するためのものであり、したがって高温の温度ストレスを印加した場合には当該ホットプレート401は使用する必要はない。
【0087】
本実施形態のホットプレート401は、後述する第4の移送装置404の吸着ヘッド404dが一度に8個の被試験ICを保持できることに対応して、2列×16行、都合32個の被試験ICを収容できるようにされている。そして、第4の移送装置404の吸着ヘッド404dに対応して、ホットプレート401を4つの領域に分け、イグジットキャリアEXT2から吸着保持した8個の試験済ICをそれらの領域に順番に置き、最も長く加熱された8個の被試験ICをその吸着ヘッド404dでそのまま吸着して、バッファ部402へ移送する。
【0088】
ホットプレート401の近傍には、それぞれ昇降テーブル405を有する2つのバッファ部402が設けられている。図13は図3の XIII-XIII線に沿う断面図であり、各バッファ部402の昇降テーブル405は、イグジットキャリアEXT2およびホットプレート401と同じレベル位置(Z方向)と、それより上側のレベル位置、具体的には装置基板201のレベル位置との間をZ方向に移動する。このバッファ部402の具体的構造は特に限定されないが、たとえばICキャリアCRやイグジットキャリアEXTと同じように、被試験ICを収容できる凹部が複数(ここでは8個)形成されたプレートで構成することができる。
【0089】
また、これら一対の昇降テーブル405は、一方が上昇位置で静止している間は、他方が下降位置で静止するといった、ほぼ対称的な動作を行う。
【0090】
以上説明したイグジットキャリアEXT2からバッファ部402に至る範囲のアンローダ部400には、第4の移送装置404が設けられている。この第4の移送装置404は、図3および図13に示すように、装置基板201の上部に架設されたレール404aと、このレール404aによってイグジットキャリアEXT2とバッファ部402との間をY方向に移動できる可動アーム404bと、この可動アーム404bによって支持され、可動アーム404bに対してZ方向に上下移動できる吸着ヘッド404cとを備え、この吸着ヘッド404cが空気を吸引しながらZ方向およびY方向へ移動することで、イグジットキャリアEXTから被試験ICを吸着し、その被試験ICをホットプレート401に落とし込むとともに、ホットプレート401から被試験ICを吸着してその被試験ICをバッファ部402へ落とし込む。本実施形態の吸着ヘッド404cは、可動アーム404bに8本装着されており、一度に8個の被試験ICを移送することができる。
【0091】
ちなみに、図13に示すように、可動アーム404bおよび吸着ヘッド404cは、バッファ部402の昇降テーブル405の上昇位置と下降位置との間のレベル位置を通過できる位置に設定されており、これによって一方の昇降テーブル405が上昇位置にあっても、干渉することなく他方の昇降テーブル405に被試験ICを移送することができる。
【0092】
さらに、アンローダ部400には、第5の移送装置406および第6の移送装置407が設けられ、これら第3および第6の移送装置406,407によって、バッファ部402に運び出された試験済の被試験ICがカスタマトレイKTに積み替えられる。
【0093】
このため、装置基板201には、IC格納部100の空ストッカEMPから運ばれてきた空のカスタマトレイKTを装置基板201の上面に臨むように配置するための窓部403が都合4つ開設されている。
【0094】
第5の移送装置406は、図1,3および13に示すように、装置基板201の上部に架設されたレール406aと、このレール406aによってバッファ部402と窓部403との間をY方向に移動できる可動アーム406bと、この可動アーム406bによって支持され、可動アーム406bに対してX方向へ移動できる可動ヘッド406cと、この可動ヘッド406cに下向きに取り付けられZ方向に上下移動できる吸着ヘッド406dとを備えている。そして、この吸着ヘッド406dが空気を吸引しながらX、YおよびZ方向へ移動することで、バッファ部402から被試験ICを吸着し、その被試験ICを対応するカテゴリのカスタマトレイKTへ移送する。本実施形態の吸着ヘッド406dは、可動ヘッド406cに2本装着されており、一度に2個の被試験ICを移送することができる。
【0095】
なお、本実施形態の第5の移送装置406は、右端の2つの窓部403にセットされたカスタマトレイKTにのみ被試験ICを移送するように、可動アーム406bが短く形成されており、これら右端の2つの窓部403には、発生頻度の高いカテゴリのカスタマトレイKTをセットすると効果的である。
【0096】
これに対して、第6の移送装置406は、図1,3および13に示すように、装置基板201の上部に架設された2本のレール407a,407aと、このレール407a,407aによってバッファ部402と窓部403との間をY方向に移動できる可動アーム407bと、この可動アーム407bによって支持され、可動アーム407bに対してX方向へ移動できる可動ヘッド407cと、この可動ヘッド407cに下向きに取り付けられZ方向に上下移動できる吸着ヘッド407dとを備えている。そして、この吸着ヘッド407dが空気を吸引しながらX、YおよびZ方向へ移動することで、バッファ部402から被試験ICを吸着し、その被試験ICを対応するカテゴリのカスタマトレイKTへ移送する。本実施形態の吸着ヘッド407dは、可動ヘッド407cに2本装着されており、一度に2個の被試験ICを移送することができる。
【0097】
上述した第5の移送装置406が、右端の2つの窓部403にセットされたカスタマトレイKTにのみ被試験ICを移送するのに対し、第6の移送装置407は、全ての窓部403にセットされたカスタマトレイKTに対して被試験ICを移送することができる。したがって、発生頻度の高いカテゴリの被試験ICは、第5の移送装置406と第6の移送装置407とを用いて分類するとともに、発生頻度の低いカテゴリの被試験ICは第6の移送装置407のみによって分類することができる。
【0098】
こうした、2つの移送装置406,407の吸着ヘッド406d,407dが互いに干渉しないように、図1および図13に示すように、これらのレール406a,407aは異なる高さに設けられ、2つの吸着ヘッド406d,407dが同時に動作してもほとんど干渉しないように構成されている。本実施形態では、第5の移送装置406を第6の移送装置407よりも低い位置に設けている。
【0099】
ちなみに、図示は省略するが、それぞれの窓部403の装置基板201の下側には、カスタマトレイKTを昇降させるための昇降テーブルが設けられており、試験済の被試験ICが積み替えられて満杯になったカスタマトレイKTを載せて下降し、この満杯トレイをトレイ移送アームに受け渡し、このトレイ移送アームによってIC格納部100の該当するストッカUL1〜UL5へ運ばれる。また、カスタマトレイKTが払い出されて空となった窓部403には、トレイ移送アームによって空ストッカEMPから空のカスタマトレイKTが運ばれ、昇降テーブルに載せ替えられて窓部403にセットされる。
【0100】
本実施形態の一つのバッファ部402には、16個の被試験ICが格納でき、またバッファ部402の各IC格納位置に格納された被試験ICのカテゴリをそれぞれ記憶するメモリが設けられている。
【0101】
そして、バッファ部402に預けられた被試験ICのカテゴリと位置とを各被試験IC毎に記憶しておき、バッファ部402に預けられている被試験ICが属するカテゴリのカスタマトレイKTをIC格納部100(UL1〜UL5)から呼び出して、上述した第3および第6の移送装置406,407で対応するカスタマトレイKTに試験済ICを収納する。
【0102】
次に動作を説明する。
IC格納部100のストッカLDには、試験前のICが搭載されたカスタマトレイKTが収納されており、このカスタマトレイKTをローダ部200の窓部202にセットする。装置基板201の上面に臨んだこのカスタマトレイKTから、第1の移送装置204を用いて、一度にたとえば4個の被試験ICを吸着し、これを一旦ピッチコンバーションステージ203に落とし込んで被試験ICの位置修正とピッチ変更とを行う。
【0103】
次に、第2の移送装置205を用いて、ピッチコンバーションステージ203に落とし込まれた被試験ICを一度にたとえば4個ずつ吸着し、入口303からテストチャンバ301内へ運び込んで、位置CR1に静止しているICキャリアCRに載せる。テストチャンバ301内には、位置CR1が2箇所に設けられているので、第2の移送装置205は、これら2箇所のICキャリアCRに対して交互に被試験ICを運ぶ。このとき、ICキャリアCRのシャッタ15は流体圧シリンダ182(図4参照)によって開閉することになる。
【0104】
それぞれの位置CR1で被試験ICが16個載せられると、ICキャリアCRは、図4に示す順序CR1→CR2→…→CR4でテストチャンバ301内を搬送され、この間に、被試験ICに対して高温又は低温の温度ストレスが与えられる。
【0105】
試験前ICが搭載されたICキャリアCRが、テストヘッド302の両側の位置CR5まで運ばれると、図外のストッパによってICキャリア15のシャッタ15が開き、図12(A)に示すように第3の移送装置304の一方の吸着ヘッド(ここでは左側)304cが下降して被試験ICを1つおきに吸着し(図8参照)、再び上昇してここで待機する。これと同時に、他方の吸着ヘッド(ここでは右側)304cは、吸着した8個の被試験ICをテストヘッド302のコンタクト部302aに押し付けてテストを実行する。
【0106】
このとき、左側のICキャリアCR5の上側にはイグジットキャリアEXT(二点鎖線で示す。)は存在せず、テストチャンバ301の外の位置EXT2に移動している。また、右側のICキャリアCR5の上側のうちEXT1にはイグジットキャリアEXTが存在し、右側の吸着ヘッド304cに吸着された被試験ICのテストが終了するのを待機する。
【0107】
図9に示すように、8個の被試験ICを吸着パッド304c2に吸着した吸着ヘッド304cは、図外のZ軸駆動装置によってその全体が下降し、このときガイドピン304c5がガイドブッシュ302a2に係合することで、可動ベース304c3がコンタクト部302aに対して適正な位置にフローティングする。
【0108】
被試験ICの半田ボール端子HBがコンタクト部302aのコンタクトピン302a1に接触する前後において、流体圧シリンダ304c4を作動させてロッド先端を前進させることで押圧ブロック304c9を介して可動ベース304c3の上面を押圧する。この押圧作用により、吸着ヘッド304cのプッシャベース304c1の全体が熱ストレスあるいは加工不良によって変形していても、これを吸収することができ、被試験ICのそれぞれの半田ボール端子HBが各コンタクトピン302a1に押し付けられる力がほぼ均等になる。
【0109】
また、図11に示すように被試験ICがコンタクト部302aに押し付けられると、第1端子304c13が第2端子302b1に接触するので、温度センサ304c12を用いて被試験ICの温度を検出し、図外のコントローラへ送出する。この温度データを受けたコントローラでは、被試験ICの温度が目的とする温度からどれくらい外れているかを判断し、高温となっているときは図11に示すように冷却風通路302b2から冷却風を吹き出し、被試験ICを冷却する。これにより、被試験ICが自己発熱してもこれを冷却することができる。
【0110】
こうして右側の吸着ヘッド304cに吸着された8個の被試験ICのテストが終了すると、図12(B)に示すように、これらの可動ヘッド304b,304bを右側へ移動させ、左側の吸着ヘッド304cに吸着した8個の被試験ICをテストヘッド302のコンタクト部302aに押し付けてテストを行う。
【0111】
一方、右側の吸着ヘッド304cに吸着された8個の試験済ICは、待機していたイグジットキャリアEXTに載せられ、次いで、この試験済ICが載せられたイグジットキャリアEXTは、テストチャンバ301内の位置EXT1からテストチャンバ301外の位置EXT2へ移動する。
【0112】
こうして、イグジットキャリアEXTがテストチャンバ301外へ移動すると、右側の吸着ヘッド304cは、右側の位置CR5にあるICキャリアCRに向かって下降し、残りの8個の被試験ICを吸着して再び上昇し、左側の吸着ヘッド304cに吸着された被試験ICのテストが終了するのを待機する。この吸着ヘッド304cが吸着する前に、ICキャリアCRは、残りの被試験ICを吸着ヘッド304cで吸着できるように、ピッチP1 だけ移動する(図8参照)。
【0113】
これと相前後して、左側のイグジットキャリアEXTがテストチャンバ301内へ移動し、左側の吸着ヘッド304cに吸着された被試験ICのテストが終了するのをこの位置EXT1で待機する。
【0114】
こうして、左側の吸着ヘッド304cに吸着された被試験ICのテストが終了すると、これらの可動ヘッド304b,304bを左側へ移動させ、右側の吸着ヘッド304cに吸着した残りの8個の被試験ICをテストヘッド302のコンタクト部302aに押し付けてテストを行う。
【0115】
一方、左側の吸着ヘッド304cに吸着された8個の試験済ICは、待機していたイグジットキャリアEXTに載せられ、次いで、この試験済ICが載せられたイグジットキャリアEXTは、テストチャンバ301内の位置EXT1からテストチャンバ301外の位置EXT2へ移動する。
【0116】
以下この動作を繰り返すが、一つのコンタクト部302aに対して、こうした2つの吸着ヘッド304cを交互にアクセスさせ、一方が他方のテストが終了するのを待機するので、一方の吸着ヘッド304cに被試験ICを吸着する時間が他方のテスト時間に吸収されることになり、その分だけインデックスタイムを短縮することができる。
【0117】
一方、上述したテストヘッド302でのテストを終了した被試験ICは、8個ずつ、2つのイグジットキャリアEXTによって交互にテストチャンバ301外の位置EXT2へ払い出される。
【0118】
図13に示すように、イグジットキャリアEXTによって右側の位置EXT2に払い出された8個の試験済ICは、第4の移送装置404の吸着ヘッド404cに一括して吸着され、ホットプレート401の4つの領域のうちの一つの領域に載せられる。なお、以下の本実施形態では低温の熱ストレスを印加した場合を想定して説明するが、高温の熱ストレスを印加した場合には、イグジットキャリアEXTから直接バッファ部402へ運ばれる。
【0119】
ホットプレート401の一つの領域に試験済ICを運んできた第4の移送装置404の吸着ヘッド404cは、原位置に戻ることなく、それまでホットプレート401に載せた試験済ICの中で最も時間が経過した8個のICをその位置で吸着し、下降位置にある方のバッファ部402の昇降テーブル405(ここでは右側)にその加熱された試験済ICを載せ替える。
【0120】
図13に示すように、第4の移送装置404のその前の動作によって8個の試験済ICが載せられた左側の昇降テーブル405は、上昇位置まで移動するとともに、これにともなって右側の昇降テーブル405は下降位置まで移動する。上昇位置に移動した左側の昇降テーブル405には、8個の試験済ICが搭載されており、これらの試験済ICは、第5および第6の移送装置406,407により、テスト結果の記憶内容にしたがって該当するカテゴリのカスタマトレイKTに移送される。図13は、第5の移送装置406により試験済ICをカスタマトレイKTに載せ替える例を示している。
【0121】
以下こうした動作を繰り返して、試験済ICを該当するカテゴリのカスタマトレイKTへ載せ替えるが、アンローダ部400において、第4の移送装置404と第5又は第6の移送装置406,407とを異なるレベル位置に配置することで、第4の移送装置404と第5および第6の移送装置406,407とを同時に動作させることができ、これによってスループットを高めることができる。
【0122】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0123】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、温度センサを吸着ヘッドに設けても、吸着ヘッドの移動により温度センサのケーブルが断線することはなく、その結果、テスト中に生じる自己発熱をそのまま正確に測定することができる。
【0124】
またこれに加えて、測定された被試験ICの温度に基づいて充分な量の冷却風を吹き付けることができ、その結果、特に高温テストなどで問題とされる過熱による電子部品の破壊または損傷を防止することができる。また、高温テストに限らず、流体を吹き付けることにより自己発熱による昇温が抑制されるので、目的とする正確な温度でテストを行うことができ、テスト結果の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子部品試験装置の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の電子部品試験装置における被試験ICの取り廻し方法を示す概念図である。
【図3】図1の電子部品試験装置に設けられた各種の移送装置を模式的に示す平面図である。
【図4】図1の電子部品試験装置に適用されたICキャリアの搬送経路を説明するための要部斜視図である。
【図5】図1の電子部品試験装置に適用されたICキャリアの実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図(シャッタ閉)である。
【図7】図5のVII−VII線に沿う断面図(シャッタ開)である。
【図8】図1の電子部品試験装置のテストチャンバにおける被試験ICのテスト順序を説明するための平面図である。
【図9】本発明に係る吸着装置の実施形態を示す正面図(図3のIX矢視図)である。
【図10】本発明に係る吸着装置の要部断面図(図9のX−X線断面図)である。
【図11】図10に示す吸着ヘッドが下降した状態を示す要部断面図である。
【図12】図1の電子部品試験装置のテストチャンバにおける被試験ICの取り廻し方法を説明するための断面図(図3のXII−XII線相当)である。
【図13】図1の電子部品試験装置のアンローダ部における被試験ICの取り廻し方法を説明するための断面図(図3のXIII−XIII線相当)である。
【符号の説明】
1…電子部品試験装置
100…IC格納部
200…ローダ部
300…チャンバ部
301…テストチャンバ
302…テストヘッド
302a…コンタクト部
302b…エアーブローユニット
302b1…第2端子
302b2…冷却風通路
302b3…高さ調整ブロック(高さ調節機構)
304…第3の移送装置
304c…吸着ヘッド(ヘッド)
304c10…吸着ヘッド本体
304c11…通孔
304c12…温度センサ
304c13…第1端子
400…アンローダ部
CR…ICキャリア
EXT…イグジットキャリア
IC…電子部品
HB…半田ボール端子
Claims (9)
- 電子部品を保持または押圧してテストヘッドのコンタクト部へ接近および離反移動させるヘッドを備えた電子部品試験装置であって、
前記ヘッドに設けられた温度センサと、
前記ヘッドに設けられた前記温度センサの第1端子と、
前記コンタクト部側に設けられ、前記ヘッドの移動にともない前記第1端子に接触又は非接触となる第2端子と、
前記ヘッドに保持された電子部品が前記コンタクト部へ押し付けられた状態で、前記電子部品に冷却風を吹き付けるエアーブローユニットと、を備え、
前記エアーブローユニットは、前記コンタクト部の周囲に配置されており、
前記第2端子は、前記エアーブローユニットの上面に設けられている電子部品試験装置。 - 前記第1端子又は前記第2端子の少なくとも一方が、前記ヘッドの移動方向に移動可能に設けられている請求項1記載の電子部品試験装置。
- 前記エアーブローユニットは、前記コンタクト部へ押し付けられた電子部品に対してほぼ水平に冷却風が吹き出す冷却風通路を有する請求項1又は2記載の電子部品試験装置。
- 前記エアーブローユニットの冷却風通路の高さを調節する機構をさらに備えた請求項3記載の電子部品試験装置。
- 電子部品を保持または押圧してテストヘッドのコンタクト部へ接近および離反移動させる電子部品試験装置用ヘッドであって、
前記ヘッドに設けられた温度センサと、
前記コンタクト部の周囲に配置されたエアーブローユニットの上面に設けられた前記温度センサの第2端子に対して、前記ヘッドの移動にともなって接触または非接触となる前記温度センサの第1端子と、を備えた電子部品試験装置用ヘッド。 - 前記第1端子又は第2端子の少なくとも一方が、前記ヘッドの移動方向に移動可能に設けられている請求項5記載の電子部品試験装置用ヘッド。
- テストヘッドのコンタクト部へ押し付けられた電子部品に対して冷却風を吹き付ける電子部品試験装置用エアーブローユニットであって、
前記電子部品を前記コンタクト部へ接近および離反移動させるヘッドに設けられた温度センサの第1端子に対して、前記ヘッドの移動にともなって接触または非接触となる前記温度センサの第2端子を備え、
前記エアーブローユニットは、前記コンタクト部の周囲に設けられており、
前記第2端子は、前記エアーブローユニットの上面に設けられている電子部品試験装置用エアーブローユニット。 - 前記コンタクト部へ押し付けられた電子部品に対してほぼ水平に冷却風が吹き出す冷却風通路を有する請求項7記載の電子部品試験装置用エアーブローユニット。
- 前記冷却風通路の高さを調節する機構をさらに備えた請求項8記載の電子部品試験装置用エアーブローユニット。
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