JP4306323B2 - スライドドアのスライドガイド構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばワンボックスカー等の自動車のスライドドアの上部に車体側に突出するブラケットを取り付けて、このブラケットにスライドドアのスライドに用いるガイドローラを保持させるようにしたスライドドアのスライドガイド構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から例えば図3に示したようなワンボックスカー等の自動車においては、車体1の側部の後部側に図4に示したような後部乗降口2を設け、この後部乗降口2を前後にスライドするスライドドア3により開閉可能に設けたものが知られている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。図3において、1aは、車体1の後部乗降口2の後方に位置する後側壁である。
【0003】
また、スライドドア3を前後にスライドさせるためのガイド機構としては、例えば図5に示したような上部ガイド機構4,下部ガイド機構5,後部ガイド機構6を用いたものが知られている。
【0004】
この上部ガイド機構4は、図に示した如く前後に延び且つ上壁7a及び側壁7b,7cから断面形状が逆U字状の上部ガイドレール7と、この上部ガイドレール7側に向けてスライドドア3の上部に取り付けた上部ブラケット8と、ブラケット8に回転自在に保持され且つ上部ガイドレール7内のガイド溝7dに図9の如く係合するガイドローラ9を有する。
【0005】
尚、上部ガイドレール7は図3の後部乗降口2の上縁部に取り付けられている。また、図9において7eは、側壁7bの下部を側壁7c側に向けて突出させた後、折り返すことにより形成した抜け規制突部である。
【0006】
更に、下部ガイド機構5は、前後に延び且つ断面形状が逆U字状の下部ガイドレール10と、この下部ガイドレール10側に向けてスライドドア3の下部に取り付けた下部ブラケット11と、下部ブラケット11に回転自在に保持され且つ下部ガイドレール10内のガイド溝(図示略)に係合するガイドローラ12を有する。尚、下部ガイドレール10は図3の後部乗降口2の下縁部に取り付けられている。
【0007】
また、後部ガイド機構6は、前後に向けて図2の後側壁1aの外面に設けられた後部ガイドレール13と、後部ガイドレール13側に向けてスライドドア3の後縁部に取り付けた後部ブラケット14と、後部ブラケット14に回転自在に保持され且つ後部ガイドレール12に係合するガイドローラ15を有する。
【0008】
この構成では、ガイドレール7,10,13に沿ってガイドローラ9,12,15が前後に案内されることで、スライドドア3が前後にスライドして、後部乗降口2がスライドドア3により開閉される。
【0009】
【特許文献1】
特開2003−2060号公報
【特許文献2】
特開2002−274179号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような上部スライド機構4では、ガイドローラ9が上部ガイドレール7の上壁7a又は抜け規制突部7eに接触していると、スライドドア3の開閉時に騒音の原因となる。
【0011】
従って、ガイドローラ9と上部ガイドレール7の上壁7aとの間のクリアランスをa、ガイドローラ9と抜け規制突部7eとの間のクリアランスをb、及び上部ブラケット8とガイドレール7の下端との間のクリアランスをcとすると、ガイドローラ9がガイドレール7の上壁7a及び抜け規制突部7eに接触しないようにクリアランスa,b,cを設定する必要がある。
【0012】
しかしながら、車体1の寸法精度や、上部ブラケット8及びガイドローラ9の組付精度、ガイド機構5,6の組付精度等を考慮する必要があるため、クリアランスa,b,cが大きくなり、この結果として上部ガイドレール7の上下方向の寸法が大きくなるという問題があった。
【0013】
また、上述した上部スライド機構4の構造では、ガイドローラ9が上部ガイドレール7の上壁7a又は抜け規制突部7eに干渉して、スライドドア3の開閉時に騒音が発生するような場合、ガイドローラ9の上下方向の位置を修正する必要がある。しかし、ガイドローラ9は上部ブラケット8に回転自在に取り付けられているだけであるので、このガイドローラ9の上下方向への位置調整はできないものであった。
【0014】
そこで、この発明は、ガイドローラの上下方向の位置調整ができるスライドドアのスライドガイド構造を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1の発明のスライドドアのスライドガイド構造は、前後に延び且つ断面逆U字状の上部ガイドレールが車体側部の乗降口の上縁部に設けられ、前記乗降口を開閉するスライドドアの上部に前記上部ガイドレール側に突出する上部ブラケットが取り付けられていると共に、前記上部ブラケットに保持させた上部ガイドローラを前記上部ガイドレールのガイド溝内に下方から係合させることにより、前記スライドドアの上部が前後に移動可能に車体側部に支持されている。しかも、前記上部ブラケットは前記スライドドアに固定された固定ブラケット及び前記固定ブラケットに上下調整可能に取り付けられ且つ前記上部ガイドローラが保持された可動ブラケットを備えている。また、前記可動ブラケットは前記固定ブラケットと前記可動ブラケットとの間に介装した上下位置調整手段により上下位置が調整可能に設けられていると共に前記固定ブラケットに上下回動可能に取り付けられ、前記固定ブラケットと可動ブラケットとの間には前記可動ブラケットを下方に回動付勢して前記上下位置調整手段に前記可動ブラケットを固定する付勢手段が介装されている。
【0016】
この構成によれば、可動ブラケットを上下方向に位置調整することで、可動ブラケットに保持させたガイドローラの上下方向への位置調整ができるので、従来必要とされていたガイドローラと上部ガイドレールの上壁との間のクリアランスや、上部ブラケットとガイドレールの下端との間のクリアランス等を小さくすることができる。これにより、上部ガイドレールの上下方向の寸法も小さくできる。
【0018】
また、請求項1の構成によれば、上下位置調整手段により簡易且つ迅速に可動ブラケットの上下位置を調整して、ガイドローラの上下方向への位置調整を行うことができる。
【0020】
更に、請求項1の構成によれば、簡単な構成でガイドローラの上下方向への位置調整ができると共に、ガイドローラが走行時の振動によりガイドレール内で振動するのを防止できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図1,図2に基づいて説明する。尚、図1,図2において、図3〜図9に示した部材と同じ部分又は類似する部分には図3〜図9に付した符号と同じ符号を付して説明する。
[構成]
この発明の実施の形態でも、スライドドア3を前後にスライドガイドさせる図4,図5に示した下部ガイド機構5及び後部ガイド機構6が設けられている。
【0022】
しかも、この発明は、上述した上部ガイド機構4に変わる上部ガイド機構20を有する。尚、この上部ガイド機構20においても、上部ガイド機構4のガイドレール7及びガイドローラ9を用いている。この上部ガイド機構20において、上部ガイド機構4と異なる構成は、上部ブラケット8を上部ブラケット21に変えると共に、この上部ブラケット21に保持されるガイドローラ9の上下位置調整機構22を設けた点である。
【0023】
従って、上部ガイド機構20は、上述した上部ガイド機構4と同様に、前後に延び且つ上壁7a及び側壁7b,7cから断面形状が逆U字状の上部ガイドレール7を有する。
【0024】
尚、上部ガイドレール7は図3の後部乗降口2の上縁部に取り付けられている。また、図1(a)において7eは、側壁7bの下部を側壁7c側に向けて突出させた後、折り返すことにより形成した抜け規制突部である。また、図1(a)において、aはガイドローラ9と上部ガイドレール7の上壁7aとの間のクリアランス、bはガイドローラ9と抜け規制突部7eとの間のクリアランスを、cは上部ブラケット8とガイドレール7の下端との間のクリアランスである。
【0025】
また、上部ブラケット21は、スライドドア3のインナーパネル3aの上部に固定された固定ブラケット23と、上下位置調整機構22の一部としての可動ブラケット24を有する。
【0026】
この固定ブラケット23の突出方向の中間両側部には上方に突出する支持片25,25が一体に形成され、この固定ブラケット23の先端部には図1(a)に示したように貫通孔26が形成されている。25aは支持片25に形成した取付穴である。
【0027】
しかも、固定ブラケット23の先端部の上面には、中心を貫通孔26の中心に一致させたウエルドナット27が溶接固定により一体に設けられている。図1(a),図2において、28は固定ブラケット23の基部側に形成したバネ係止孔である。
【0028】
更に、可動ブラケット24の基端部側の両側部には下方に向けて突出するフランジ29,29が形成され、可動ブラケット24の中間部にはバネ係止孔30が形成されている。29aはフランジ29に形成した挿通孔である。この可動ブラケット24の先端部には上方に向けた支持軸31が固定され、この支持軸31には上述したガイドローラ9が回転自在に保持されている。
【0029】
また、この可動ブラケット24のフランジ29,29は固定ブラケット23の支持片25,25間に配設されている。この可動ブラケット24は、フランジ29,29の挿通孔29a,29aを貫通する支持軸(支持ピン)32に回転自在に支持されている。しかも、この支持軸32の両端部は支持片25,25の取付穴25a,25aに嵌着固定されている。
【0030】
更に、この固定ブラケット23と可動ブラケット24との間には、支持軸32に捲回された回動付勢手段(付勢手段)としての撚りコイルバネ33が介装されている。この撚りコイルバネ33は、一端部33aがバネ係止孔28に挿入係止され、他端部33bがバネ係止孔30に挿入係止されて、可動ブラケット24を下方に回動付勢している。
【0031】
また、上下位置調整機構22は、上述した可動ブラケット24と、ウエルドナット27に下方から螺着された上下位置調整ボルト(上下位置調整手段)34を有する。この上下位置調整ボルト34の上端には可動ブラケット24が撚りコイルバネ33により圧接させられている。34aは上下位置調整ボルト34の頭部、34bは頭部34aに設けられた六角穴である。
[作用]
次に、この様な構成のスライドドアのスライドガイド構造の作用を説明する。
【0032】
この構成では、ガイドレール7,10,13に沿ってガイドローラ9,12,15が前後に案内されることで、スライドドア3が前後にスライドして、後部乗降口2がスライドドア3により開閉される。
【0033】
ところで、ガイドレール7とガイドローラ9とのクリアランスa,b及び可動ブラケット24とガイドレール7とのクリアランスcが適切でないために、スライドドア3の前後へのスライド動作時に、騒音が発生するような状態が生ずることが考えられる。
【0034】
この場合には、頭部34aの六角穴34bに六角棒レンチ35の先端部を挿入して、上下位置調整ボルト34を回転させることにより、上下位置調整ボルト34を上下動させて、上下位置調整ボルト34の上端の位置調整を行う。
【0035】
これにより、可動ブラケット24が支持軸32を中心に上下に回動させられて、可動ブラケット24の先端部側がガイドローラ9と一体に上下動調整される。この様な操作により上述したクリアランスa,b,cを適切に調整することで、スライドドア3の前後へのスライド動作時に、騒音が発生しないように設定できる。
【0036】
また、可動ブラケット24は、撚りコイルバネ33により上下位置調整ボルト34の上端に強く押し付けられているので、ガイドローラ9が走行時の振動によりガイドレール7内で振動するのを防止できる。
【0037】
以上説明したように、この発明の実施の形態のスライドドアのスライドガイド構造では、前後に延び且つ断面逆U字状の上部ガイドレール7が車体側部の乗降口(後部乗降口2)の上縁部に設けられ、前記乗降口(後部乗降口2)を開閉するスライドドア3の上部に前記上部ガイドレール7側に突出する上部ブラケット21が取り付けられている。また、前記上部ブラケット21に保持させた上部ガイドローラ9を前記上部ガイドレール7のガイド溝7d内に下方から係合させることにより、前記スライドドア3の上部が前後に移動可能に車体側部に支持される。また、スライドドアのスライドガイド構造の前記上部ブラケット21は、前記スライドドアに固定された固定ブラケット23、及び前記固定ブラケット23に上下調整可能に取り付けられた可動ブラケット24を備えている。そして、前記可動ブラケット24に前記上部ガイドローラ9が保持されている。
【0038】
この構成によれば、可動ブラケット24を上下方向に位置調整することで、可動ブラケット24に保持させたガイドローラ9の上下方向への位置調整ができるので、従来必要とされていたガイドローラ9と上部ガイドレール7の上壁7aとの間のクリアランスaや、上部ブラケット21とガイドレール7の下端との間のクリアランスc等を小さくすることができる。これにより、上部ガイドレール7の上下方向の寸法も小さくできる。
【0039】
また、この発明の実施の形態のスライドドアのスライドガイド構造では、前記可動ブラケット24は前記固定ブラケット23と前記可動ブラケット24との間に介装した上下位置調整手段(上下位置調整ボルト34)により上下位置が調整可能に設けられている。
【0040】
この構成によれば、上下位置調整手段(上下位置調整ボルト34)により簡易且つ迅速に可動ブラケット24の上下位置を調整して、ガイドローラ9の上下方向への位置調整を行うことができる。
【0041】
更に、この発明の実施の形態のスライドドアのスライドガイド構造では、前記可動ブラケット24は前記固定ブラケット23に上下回動可能に取り付けられていると共に、前記固定ブラケット23と可動ブラケット24との間には前記可動ブラケット24を下方に回動付勢して前記上下位置調整手段(上下位置調整ボルト34)に前記可動ブラケット24を固定する付勢手段(撚りコイルバネ33)が介装されている。
【0042】
この構成によれば、簡単な構成でガイドローラ9の上下方向への位置調整ができると共に、ガイドローラ9が走行時の振動によりガイドレール内で振動するのを防止できる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明した請求項1の発明によれば、可動ブラケットを上下方向に位置調整することで、可動ブラケットに保持させたガイドローラの上下方向への位置調整ができるので、従来必要とされていたガイドローラと上部ガイドレールの上壁との間のクリアランスや、上部ブラケットとガイドレールの下端との間のクリアランス等を小さくすることができる。これにより、上部ガイドレールの上下方向の寸法も小さくできる。
【0044】
しかも、請求項1の発明によれば、上下位置調整機構により簡易且つ迅速に可動ブラケットの上下位置を調整して、ガイドローラの上下方向への位置調整を行うことができる。
【0045】
更に、請求項1の発明によれば、簡単な構成でガイドローラの上下方向への位置調整ができると共に、ガイドローラが走行時の振動によりガイドレール内で振動するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明に係るスライドドアのスライドガイド構造の断面図、(b)は(a)のブラケットの斜視図である。
【図2】図1(a)のブラケットの分解斜視図である。
【図3】スライドドアを有する自動車の斜視図である。
【図4】図3のスライドドアを開いた状態の部分拡大斜視図である。
【図5】図4のスライドドアと従来のフライドガイド構造の概略説明図である。
【図6】図4の従来の上部ガイド機構を矢印A1方向から見た拡大斜視図である。
【図7】図6のA2−A2線に沿う断面図である。
【図8】図5,図6の上部ブラケットの斜視図である。
【図9】図7のA3−A3線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1…車体
2…側部乗降口(乗降口)
3…スライドドア
7…上部ガイドレール
7d…ガイド溝
9…上部ガイドローラ
21…上部ブラケット
23…固定ブラケット
24…可動ブラケット
33…撚りコイルバネ(付勢手段)
34…上下位置調整ボルト(上下位置調整手段)
Claims (1)
- 前後に延び且つ断面逆U字状の上部ガイドレールが車体側部の乗降口の上縁部に設けられ、前記乗降口を開閉するスライドドアの上部に前記上部ガイドレール側に突出する上部ブラケットが取り付けられていると共に、前記上部ブラケットに保持させた上部ガイドローラを前記上部ガイドレールのガイド溝内に下方から係合させることにより、前記スライドドアの上部が前後に移動可能に車体側部に支持されるスライドドアのスライドガイド構造であって、
前記上部ブラケットは前記スライドドアに固定された固定ブラケット及び前記固定ブラケットに上下調整可能に取り付けられ且つ前記上部ガイドローラが保持された可動ブラケットを備え、
前記可動ブラケットは前記固定ブラケットと前記可動ブラケットとの間に介装した上下位置調整手段により上下位置が調整可能に設けられていると共に前記固定ブラケットに上下回動可能に取り付けられ、
前記固定ブラケットと可動ブラケットとの間には前記可動ブラケットを下方に回動付勢して前記上下位置調整手段に前記可動ブラケットを固定する付勢手段が介装されていることを特徴とするスライドドアのスライドガイド構造。
Priority Applications (1)
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Country Status (1)
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2003
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