JP4306137B2 - ミシン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は糸の張力を調整する糸調子機構を有するミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、2個1組の糸調子皿と一方の糸調子皿を他方の糸調子皿に付勢するバネ力を発揮させる糸調子バネとをもつ糸調子機構を有するミシンが提供されている(特許出願公告昭和60−27310号公報)。この糸調子機構は、図12に示すように、2個1組の糸調子皿101、102と、一方の糸調子皿101を他方の糸調子皿102に付勢するバネ力を発揮させるコイル状の糸調子バネ200と有する。ミシンの内部において、斜面カム301をもつ筒体300と糸調子バネ200とはかなりの距離離間している。このため、斜面カム301をもつ筒体300をこれの軸長方向に移動させることにより、筒体300の斜面カム301で断面円形状の長尺ロッド400の一端部400aを押圧し、長尺ロッド400をこれの長さ方向(矢印X1、X2方向)に沿って移動させ、長尺ロッド400の他端部400cでコイル状の糸調子バネ200を押圧することにより糸調子バネ200のバネ力を調整し、以て2個1組の糸調子皿101、102で糸を把持する力を調整し、縫製の際における糸の張力を調整することにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
糸調子機構においては、糸の張力を精度よく調整するためには、コイル状の糸調子バネ200のバネ力の強弱を精度よく調整できることが好ましい。しかしながら上記した公報に係る糸調子機構によれば、筒体300の斜面カム301で長尺ロッド400をこれの長さ方向(矢印X1、X2方向)に移動させてコイル状の糸調子バネ200のバネ力の強弱を調整することにしている。図12に示すように筒体300の斜面カム301と糸調子バネ200とはかなりの距離離間している。このため斜面カム301の作動力を糸調子バネ200に伝達させるにあたり、長さが長い長尺ロッド400を用いる必要がある。この場合には、軽量化のために長尺ロッド400の径を細くすると、長尺ロッド400の撓みが生じることがあった。殊に、筒体300の斜面カム301が下方に移動させて長尺ロッド400を押圧すると、長尺ロッド400の一端部401aには、長尺ロッド400の軸直角方向に向かう力が作用するため、長尺ロッド400の撓みが生じ易かった。上記したように斜面カム301と糸調子バネ200とがかなりの距離離間していると、斜面カム301の作動力をコイル状の糸調子バネ200に精度よく伝達するには必ずしも充分ではなかった。このため糸調子バネ200のバネ力の強弱を精度よく調整するには限界があり、ひいては、糸の張力の微調整を精度よく行うには限界があった。長尺ロッド400の撓みを抑えるためには、長尺ロッド400の径を太くすれば良いが、重量が増加する不具合がある。
【0004】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、斜面カムと糸調子バネとをできるだけ近づけることにより、長尺ロッドの使用を廃止でき、糸調子バネのバネ力の強弱を精度よく調整するのに有利であり、ひいては糸の張力を精度よく調整するのに有利な糸調子機構を有するミシンを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るミシンは、2個1組の糸調子皿と一方の糸調子皿を他方の糸調子皿に付勢するバネ力を発揮させる糸調子バネとをもつ糸調子機構を有するミシンにおいて、糸調子機構は、
基部と、糸調子バネのバネ力を強弱とする方向に沿って基部に移動可能に設けられた作動部と、糸調子バネに背向する位置で作動部に設けられた斜面カムと、糸調子バネのバネ力の方向と交差する方向に沿って斜面カムに対して挿入方向及び退避方向に移動可能に設けられたカム押圧部を有するカムリンクと、カムリンクを直接的または間接的に作動させる操作部とを具備しており、
斜面カムに対するカムリンクのカム押圧部の挿入方向及び退避方向のうちの一方の移動に伴い、糸調子バネのバネ力を強める方向に作動部を斜面カムと共に移動させ、斜面カムに対するカムリンクのカム押圧部の挿入方向及び退避方向のうちの他方の移動に伴い、糸調子バネのバネ力を弱める方向に作動部を斜面カムと共に移動させることを特徴とするものである。
【0006】
本発明に係るミシンによれば、斜面カムに対してカムリンクのカム押圧部を挿入させたり退避させたりすることにより、糸調子バネのバネ力の強弱が調整される。本発明に係るミシンによれば、糸調子バネに背向する位置となるように作動部に斜面カムが設けられているため、斜面カムと糸調子バネとが近づけられており、前記した従来技術とは異なり長さが長くて撓み易い長尺ロッドを用いずとも良い。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係るミシンによれば、次の少なくとも一つの形態を採用することができる。
【0008】
・糸調子機構は、糸調子バネのバネ力を相対的に粗く調整する粗調整操作部と、糸調子バネのバネ力を粗調整操作部よりも相対的に細かく調整する細調整操作部とをもち、操作部は細調整操作部である形態を採用することができる。この場合、糸調子バネのバネ力を微細なレベルで調整するのに有利である。
【0009】
・基部は、斜面カムに対面する位置にカム規制部を備えており、カム規制部と斜面カムとの間の空間に対してカムリンクの押圧部が挿入及び退避される形態を採用することができる。斜面カムに対面するようにカム規制部が設けられているため、カム規制部と斜面カムとの間の空間に対して、カムリンクの押圧部を挿入及び退避するのに有利となる。カムリンクは鉛直方向に沿って移動することが好ましい。この場合、糸調子バネのバネ力を強めるにあたり、カムリンクを鉛直方向に沿って下から上に向けて移動する形態を採用できる。
【0010】
・斜面カムは糸調子バネに背向する位置に設けられている。背向とは背中合わせの方向に向いているという意味である。この場合、斜面カムは糸調子バネに直接的に背向していても良い。あるいは斜面カムは糸調子バネとで別部品を挟むように糸調子バネに背向していても良い。
【0011】
・糸調子機構の操作部は、1針の縫い目の長さを調整する送り調整部を兼用しており、1針の縫い目の長さの調整に応じて糸調子バネのバネ力を調整させる形態を採用することができる。この場合には、1針の縫い目の長さに応じて糸調子バネのバネ力を調整させることができる。例えば、1針の縫い目の長さが長いときには糸調子バネのバネ力を相対的に大きくし、1針の縫い目の長さが短いときには糸調子バネのバネ力を相対的に小さくするように調整できる。場合によっては、1針の縫い目の長さが長いときには糸調子バネのバネ力を相対的に小さくし、1針の縫い目の長さが短いときには糸調子バネのバネ力を相対的に大きくするように調整することもできる。
【0012】
・操作部とカムリンクとの間には、操作部の操作をカムリンクに伝達する揺動リンク機構が設けられている形態を採用することができる。この場合、ミシンの内部構造に応じて操作部の位置を設定するのに有利である。揺動リンク機構は、操作部の操作により揺動される第1リンクと、第1リンクとカムリンクとをつなぐ揺動可能な第2リンクとを有し、カムリンクは鉛直方向に沿って移動する形態を採用することができる。なおカムリンク、第1リンク、第2リンクは、断面円形状の長尺ロッドと異なり、板材から形成されているため、剛性を確保しつつ軽量化を図るのに有利となる。
【0013】
・揺動リンク機構は、第1リンクの揺動中心域の高さ調整を可能とする調整部を有しており、調整部による揺動中心域の高さ調整に伴い、斜面カムに対するカムリンクのカム押圧部の挿入方向及び退避方向の移動量を調整する形態を採用することができる。このように調整部によって第1リンクの揺動中心域の高さを調整すれば、後述するように斜面カムに対するカムリンクのカム押圧部の挿入方向及び退避方向の移動量を調整することができ、糸調子バネのバネ力を調整でき、糸の張力を調整できる。
【0014】
・揺動リンク機構の調整部は、固定ブラケットの取付孔に回動可能に取り付けられた第1軸と、第1軸に連設され第1軸の第1中心軸芯に対して偏芯した第2中心軸芯をもち第1リンクの通孔に回動可能に取り付けられた第2軸とをもち、第1軸の第1中心軸芯に対する第2軸の回動変位により、第1リンクの揺動中心域の高さ調整を可能とする形態を採用することができる。このように第1リンクの揺動中心域の高さを調整すれば、斜面カムに対するカムリンクのカム押圧部の挿入方向及び退避方向の移動量を調整するのに有利である。従って糸調子バネの調整に有利であり、糸の張力を調整できる。
【0015】
【実施例】
本発明に係るミシンの実施例を図1〜図11に基づいて説明する。図1は糸調子機構付近の正面図、図2は糸調子機構付近の平面図、図3は外観パネルを装着した状態の糸調子機構付近の正面図、図4は糸調子機構付近の要部の分解図を示す。図1に示すように、ミシンに装備された固定部として機能する糸調子ブラケット1には、糸(上糸)の張力を調整するための糸調子機構2が設けられている。糸調子機構2は、糸を挟持する2個1組の糸調子皿3a、3bと、一方の糸調子皿3aを矢印A1方向に沿って他方の糸調子皿3bに付勢するバネ力を発揮させる糸調子バネ4とを有する。図1に示すように、糸調子機構2は、固定部としての糸調子ブラケット1に保持された基部5と、基部5に保持された作動部6と、作動部6に設けられた斜面カム7と、カムリンク8と、カムリンク8を作動させる揺動リンク機構9とを備えている。糸調子バネ4のバネ力が大きくなると、糸の張力は強くなる。糸調子バネ4のバネ力が小さくなると、糸の張力は弱くなる。
【0016】
図1に示すように、基部5は、糸調子バネ4のバネ力を強弱とする方向(矢印A1、A2方向)に沿って移動可能に糸調子ブラケット1に保持されている。基部5は、斜面カム7に対面する位置に突起状のカム規制部10と、カムピン25とを有する。作動部6は基部5に嵌合されており、糸調子バネ4のバネ力を強弱とする方向(矢印A1、A2方向)に沿って基部5に対して移動可能に設けられている。一方の糸調子皿3aは、糸調子軸12の先端部に固定されている。他方の糸調子皿3bは、一方の糸調子皿3aに対面するように、糸調子ブラケット1の固定プレート部1xに固定されている。糸調子軸12の外周側には、コイル状の糸調子バネ4がアジャストネジ13を介して保持されている。図4から理解できるように、基部5には、糸調子バネ4のバネ力の方向に沿ったスライド溝5eが形成されており、作動部6の突部6eがスライド可能に嵌合している。これにより作動部6は基部5に対して糸調子バネ4のバネ力の方向(矢印A1、A2方向)に沿って移動できる。斜面カム7は作動部6に2個設けられている。斜面カム7のカム面7aは下方に向かうにつれて基部5から離れる方向に直状に傾斜している。
【0017】
図4に示すように、カム押圧部14は、2個互いに対向するようにカムリンク8に並設されており、各斜面カム7にそれぞれ係合するようにされている。カムリンク8は金属や硬質樹脂などの硬質材料で形成された板材から構成されており、カムリンク8の厚み方向つまり矢印TA方向は糸調子バネ4のバネ力の方向(矢印A1、A2方向)と交差している。またカムリンク8の表面に沿った方向つまり矢印TB方向は糸調子バネ4のバネ力の方向(矢印A1、A2方向)に沿っている。カムリンク8は、これの厚みが薄くないときであっても、カムリンク8の表面に沿った方向つまり矢印TB方向における外力に対して剛性が高い。後述する第1リンク28、第2リンク29に対しても同様である。
【0018】
図4に示すように、アジャストネジ13の雄螺子13aは、作動部6の雌螺子6aに螺進退可能に螺合している。このようなアジャストネジ13の螺進退によって、糸調子バネ4のバネ力を調整できるが、ミシンの通常の使用状態においてはアジャストネジ13は外観パネル18によって隠蔽されているため、一旦調整したら、日常的なミシンの使用時にはあまり調整するものではない。日常的なミシンの使用時には、後述するように糸調子ダイヤル19及び送り調整ダイヤル20によって糸調子バネ4のバネ力を調整する。
【0019】
図1に示すように、斜面カム7は、別部品としてのアジャストネジ13を介して糸調子バネ4に背向する位置に設けられている。糸調子バネ4が糸調子皿3a、3bと斜面カム7との間において装着されている状態において、糸調子バネ4の最大バネ長さをLとすると、糸調子バネ4の一端部4aから(4×L)以内に斜面カム7、カムリンク8の中心線PMが位置している。
【0020】
図1に示すようにカムリンク8は鉛直線に沿って配置されており、鉛直線に沿って移動可能とされている。カムリンク8の上端部である先端部には、カム押圧部14が設けられている。カム押圧部14は、斜面カム7及びカム規制部10との摩擦抵抗を低減すべく円弧突面14aを有しており、糸調子バネ4のバネ力の方向(矢印A1、A2方向)と交差する方向(矢印Y1、Y2方向)に沿って移動可能である。これによりカムリンク8は、カム押圧部14と共に斜面カム7に対して挿入方向(上方向つまり矢印Y1方向)及び退避方向(下方向つまり矢印Y2方向)に移動可能に設けられている。基部5に設けられたカム規制部10と斜面カム7との間の空間に対して、カムリンク8のカム押圧部14が挿入(上方向つまり矢印Y1方向)及び退避(下方向つまり矢印Y2方向)される。
【0021】
図1に示すように、糸調子機構2は、糸調子バネ4のバネ力を相対的に粗く調整する粗調整操作部として機能する回動可能な糸調子ダイヤル19と、糸調子バネ4のバネ力を粗調整操作部である糸調子ダイヤル19よりも相対的に細かく調整する細調整操作部として機能する送り調整ダイヤル20とをもつ。糸調子ダイヤル19は、ダイヤル軸23を介して矢印B1、B2方向に回動可能に糸調子ブラケット1に設けられており、円弧に沿って曲走された渦巻き型の第1カム溝24を糸調子ダイヤル19の裏面に有する。糸調子ダイヤル19が矢印B1方向に回動操作されると、糸調子ダイヤル19と共に第1カム溝24が同方向に回動するため、糸調子ダイヤル19の第1カム溝24が同方向に基部5のカムピン25に対して相対的に移動し、基部5のカムピン25が第1カム溝24のカム位置24rに相対的に到達する。このように基部5のカムピン25が第1カム溝24のカム位置24rに相対的に到達すれば、カムピン25と共に基部5は作動部6及び斜面カム7と共に固定ブラケット40に対して糸調子バネ4に向かう方向につまり矢印A1方向に移動し、糸調子バネ4のバネ力が強くなるように調整される。これに対して糸調子ダイヤル19が逆方向である矢印B2方向に回動操作されると、糸調子ダイヤル19と共に第1カム溝24が回動するため、糸調子ダイヤル19の第1カム溝24が同方向に基部5のカムピン25に対して相対的に移動し、基部5のカムピン25が第1カム溝24のカム位置24sに相対的に到達する。このようにカムピン25が第1カム溝24のカム位置24sに相対的に到達すれば、カムピン25と共に基部5は作動部6及び斜面カム7と共に固定ブラケット40に対して矢印A2方向に移動し、糸調子バネ4のバネ力が弱くなるように調整される。このように糸調子ダイヤル19の回動操作によりカムピン25と共に基部5が矢印A1、A2方向に沿って移動すれば、基部5に保持されている作動部6及び斜面カム7が同方向に移動するため、糸調子バネ4のバネ力の強弱を相対的に粗く調整することができ、ひいては糸の張力を粗く調整することができる。更に図1に示すようにミシン内に固定された固定ブラケット40には軸47xを介して幅出し調整ダイヤル47が回動可能に保持されている。幅出し調整ダイヤル47はジグザグ縫いの幅を調整するものである。固定ブラケット40はミシンに固定されている。
【0022】
送り調整ダイヤル20は軸20xを介して回動可能に固定ブラケット40に保持されている。送り調整ダイヤル20は、縫製の際における1針当たりの布の送り量を調整する調整部であり、換言すれば、縫製の際における1針の縫い目の長さを調整する送り調整部である。従って、送り調整ダイヤル20は1針の縫い目の長さを調整する他に、糸の張力の微調整を図る操作部として機能する。
【0023】
図1に示すように、送り調整ダイヤル20とカムリンク8との間には、動力伝達機構として機能する揺動リンク機構9が設けられている。揺動リンク機構9は、操作部としての送り調整ダイヤル20の操作をカムリンク8に伝達するためのものである。図1に示すように、揺動リンク機構9は、送り調整ダイヤル20の回動操作により揺動される第1リンク28と、第1リンク28とカムリンク8とをつなぐ揺動可能な第2リンク29とを有する。第1リンク28の他端部28cと第2リンク29の一端部29aとは中介ピン44を介して上下方向に沿って揺動可能に連結されている。第2リンク29の中間部はピン29mを介して上下方向に沿って揺動可能に糸調子ブラケット1に保持されている。第2リンク29の他端部29cとカムリンク8の他端部8cである下端部はピン29eを介して上下方向に沿って揺動可能に連結されている。
【0024】
図1に示すように、揺動リンク機構9の第1リンク28の中間部には揺動ブラケット部30が設けられている。揺動ブラケット部30は第1リンク28が揺動する際の揺動中心域となる。第1リンク28の揺動ブラケット部30は、調整部として機能する調整軸35により上下方向に揺動可能に固定ブラケット40に保持されている。この調整軸35は、分解図である図5に示すように、固定ブラケット40の取付孔40mに回動可能にかしめにより取り付けられた径小の第1軸36と、第1軸36に連設され第1軸36の第1中心軸芯81に対して偏芯した第2中心軸芯82をもち第1リンク28の揺動ブラケット部30の通孔30xに回動可能に取り付けられた径大の第2軸37と、調整軸35を任意の回動位相に変更して保持する回動操作部38とを有する。調整軸35の第1軸36は固定ブラケット40の取付孔40mに嵌合されているため、第1軸36の第1中心軸芯81が固定ブラケット40に対して移動することは防止されている。調整軸35の第2軸37は第1軸36に偏芯して連設されているため、第1軸36の第1中心軸芯81に対して第2軸37の第2中心軸芯82は偏芯しており、この結果、第2軸37は第1軸36の第1中心軸芯81及び固定ブラケット40に対して移動することができる。調整軸35の回動操作部38の溝にドライバーなどの工具などを嵌めて回動操作すれば、調整軸35の回動位相を固定ブラケット40に対して矢印E1、E2方向に変更でき、変更した位置に保持することができる。即ち、図7に示すように、第1軸36の第1中心軸芯81に対する第2軸37の第2中心軸芯82の回動変位により、偏芯相当ぶん第2軸37を上下方向に変位させることができ、この結果、第1リンク28のうち第2軸37が嵌合している通孔30xを有する揺動ブラケット部30(揺動中心域)の高さ調整を上下方向つまり矢印D1、D2方向に調整することができる。なお図3に示すように、回動操作部38は固定ブラケット40及び外観パネル18よりも外方に露出しており、使用者による回動操作されるようになっている。
【0025】
図1に示すように、送り調整ダイヤル20は円弧に沿った第2カム溝42を有する。送り調整ダイヤル20の回動中心Kと第2カム溝42の一端との距離をN1とし、送り調整ダイヤル20の回動中心Kと第2カム溝42の一端との距離をN2とすると、距離N1は距離N2よりも小さく設定されている(N1<N2)。第2カム溝42の長さ方向の中間は溝部分42mとされている。第1リンク28の一端部28aに設けられている係合ピン48は、送り調整ダイヤル20の第2カム溝42に相対的に移動可能に係合されている。距離N1及び距離N2を利用して、第2カム溝42に嵌合する係合ピン48の高さ位置、つまり第1リンク28の一端部28aの高さ位置を上下に調整することができる。第2カム溝42の長さ方向の中間位置に係合ピン48が位置するとき、係合ピン48の高さ位置が調整軸35の第1軸36の第1中心軸芯81の高さ位置と同じ程度となるように設定されている。
【0026】
即ち、図1において、送り調整ダイヤル20が矢印S1方向に回動操作されると、係合ピン48は送り調整ダイヤル20の第2カム溝42に沿って相対的に移動し、第2カム溝42のうち距離N1の溝部分42sに移動する。これにより第1リンク28の一端部28aの高さ位置が矢印P1方向(上方向)に相対的に調整される。すると第1リンク28が調整軸35の第1軸36の第1中心軸芯81を中心として揺動し、故に第1リンク28の他端部28c及び第2リンク29の一端部29aが共に矢印R1方向(下方向)に揺動し、ひいては第2リンク29がピン29mの回りで回動するため、第2リンク29の他端部29cが矢印Y1方向(上方向)に揺動し、鉛直方向に沿ったカムリンク8がカム押圧部14と共に矢印Y1方向(上方向)に移動する。この結果、カムリンク8がカム押圧部14が斜面カム7に対して挿入方向(矢印Y1方向、上方向)に移動し、ひいては作動部6が基部5に対して矢印A1方向に移動して糸調子皿3a、3bに接近して糸調子バネ4を矢印A1方向に弾性変形させ、糸調子バネ4のバネ力が強くなる。この結果、一方の糸調子皿3aが他方の糸調子皿3bを付勢するバネ力が強くなり、糸調子皿3a、3bで挟持される糸の張力が強くなる。
【0027】
なお、図1に示すように、第1リンク28において、他端部28cの長さは一他端部28aの長さよりも長いため、係合ピン48の上下方向の変位は増幅されて他端部28cに伝達される。即ち、第1リンク28は、係合ピン48の上下方向の変位を増幅させる変位増幅機構をもつ。
【0028】
前述と逆に、図1において送り調整ダイヤル20が矢印S2方向に回動操作されると、係合ピン48は送り調整ダイヤル20の第2カム溝42に沿って相対的に移動し、第2カム溝42のうち距離N2(N2>N1)の溝部分42rに移動する。これにより第1リンク28の一端部28aの高さ位置が矢印P2方向(下方向)に相対的に調整される。すると第1リンク28が調整軸35の第1軸36の第1中心軸芯81を中心として揺動するため、第1リンク28の他端部28cと第2リンク29の一端部29aとが共に矢印R2方向(上方向)に揺動し、ひいては第2リンク29がピン29mの回りで回動するため、第2リンク29の他端部29cが矢印Y2方向(下方向)に揺動し、カムリンク8がカム押圧部14と共に矢印Y2方向(下方向)に移動する。この結果、カムリンク8がカム押圧部14が斜面カム7に対して退避方向(下方向、矢印Y2方向)に移動し、作動部6が糸調子皿3a、3bから離れるように矢印A2方向に移動して糸調子バネ4を矢印A2方向に弾性変形させ、従って糸調子バネ4のバネ力が弱くなり、一方の糸調子皿3aが他方の糸調子皿3bを付勢するバネ力が弱くなり、糸の張力が弱くなる。
【0029】
図9(A)〜(C)は、調整軸35の第2軸37の第2中心軸芯82が第1軸36の第1中心軸芯81と同じ高さに設定されている場合(以下、第1リンク中立位置ともいう)を示す。図9(A)は送り調整ダイヤル20の目盛がバネ力弱の状態、つまり目盛が0の状態を示す。図9(C)は送り調整ダイヤル20の目盛がバネ力強の状態、つまり目盛が4の状態を示す。図9(A)に示すように、送り調整ダイヤル20の目盛が0のときには、係合ピン48は第2カム溝42のうち溝部分42rに係合している。この状態のときには図9(A)に示すように第1リンク28の一端部28aは係合ピン48に向かうにつれて下降傾斜している。このため前述の記載から理解できるようにカムリンク8のカム押圧部14は相対的に下側に位置しており、前述したように、カムリンク8のカム押圧部14が斜面カム7を矢印A1方向に押圧する量は小さめである。従って糸調子バネ4のバネ力は弱めであり、一方の糸調子皿3aが他方の糸調子皿3bを付勢するバネ力は弱めである。
【0030】
図9(C)は前記したように送り調整ダイヤル20の目盛が4のときを示す。図9(C)に示すように、送り調整ダイヤル20の目盛が4のときには、係合ピン48は第2カム溝42のうち溝部分42sに係合している。この状態のときには、図9(C)に示すように第1リンク28の一端部28aは係合ピン48に向かうにつれて上昇傾斜している。このためカムリンク8のカム押圧部14は相対的に上側に挿入されており、斜面カム7を矢印A1方向に押圧する量は大きめである。故に糸調子バネ4の弾性変形量は強めであり、糸調子バネ4のバネ力は強めであり、一方の糸調子皿3aが他方の糸調子皿3bを付勢するバネ力は強めである。
【0031】
図9(B)は、送り調整ダイヤル20の目盛がバネ力中間の状態、つまり目盛が1.5の状態を示す。図9(B)に示すように、送り調整ダイヤル20の目盛が1.5のときには、係合ピン48は第2カム溝42のうち中間の溝部分42mに係合している。この状態のときには、図9(B)に示すように第1カムリンク28の一端部28aは略水平となる。このため前述の記載から理解できるようにカムリンク8のカム押圧部14は相対的に中間側に位置しており、斜面カム7を矢印A1方向に押圧する量は中間である。故に糸調子バネ4の弾性変形量は中間であり、従って糸調子バネ4のバネ力は中間であり、一方の糸調子皿3aが他方の糸調子皿3bを付勢するバネ力は中間である。
【0032】
次に、図10(A)〜(C)は調整軸35の第2軸37の第2中心軸芯82が第1軸36の第1中心軸芯81よりも上側に移行するように、調整軸35が回動操作された場合(以下、第1リンク上変位位置ともいう)を示す。図10(A)は送り調整ダイヤル20の目盛がバネ力弱の状態、つまり目盛が0の状態を示す。図10(C)は送り調整ダイヤル20の目盛がバネ力強の状態、つまり目盛が4の状態を示す。図10(B)は、送り調整ダイヤル20の目盛がバネ力中間の状態、つまり目盛が1.5の状態を示す。
【0033】
調整軸35によって第1リンク上変位位置とされた図10(A)〜(C)に示す場合には、第1リンク中立位置である前述の図9(A)〜(C)に示す場合よりも、第1リンク28の揺動中心域に相当する揺動ブラケット部30は上方に変位している。従って、第1リンク28の揺動中心域に相当する揺動ブラケット部30は上方に変位しており、このため第1リンク28の他端部28cは上向き(矢印R2方向)に変位しており、第1リンク28の他端部28cと連結している第2リンク29の一端部29aも上向き(矢印R2方向)に変位している。このため第2リンク29の他端部29cは下方(矢印Y2方向)に変位しており、カムリンク8、カム押圧部14は下方(矢印Y2方向)に変位している。換言すれば、送り調整ダイヤル20の目盛が同一であっても、第1リンク上変位位置である図10(A)〜(C)に示す場合には、第1リンク中立位置である図9(A)〜(C)に示す場合よりも、カム押圧部14が下方に変位するぶん糸調子バネ4のバネ力は弱めに補正される。従って調整軸35で調整された第1リンク上変位位置は、糸調子バネ4のバネ力を弱めに補正する位置に相当する。
【0034】
次に、図11(A)〜(C)は調整軸35の第2軸37の第2中心軸芯82が第1軸36の第1中心軸芯81よりも下側に移行するように、調整軸35が回動操作された場合(以下、第1リンク下変位位置ともいう)を示す。図11(A)は送り調整ダイヤル20の目盛がバネ力弱の状態、つまり目盛が0の状態を示す。図11(C)は送り調整ダイヤル20の目盛がバネ力強の状態、つまり目盛が4の状態を示す。図11(B)は、送り調整ダイヤル20の目盛がバネ力中間の状態、つまり目盛が1.5の状態を示す。
【0035】
第1リンク下変位位置である図11(A)〜(C)に示す場合には、第1リンク中立位置である図9(A)〜(C)に示す場合よりも、調整軸35により、第1リンク28の揺動中心域に相当する揺動ブラケット部30は下方に変位している。従って第1リンク28の他端部28cは下向き(矢印R1方向)に変位しており、第1リンク28の他端部28cと連結している第2リンク29の一端部29aも下向き(矢印R1方向)に変位している。このため第2リンク29の他端部29cは上方に変位しており、カムリンク8、カム押圧部14は上方(矢印Y1方向)に変位している。換言すれば、送り調整ダイヤル20の目盛が同一であっても、第1リンク下変位位置である図11(A)〜(C)に示す場合には、第1リンク中立位置である図9(A)〜(C)に示す場合よりも、カム押圧部14が上方に変位するぶん糸調子バネ4のバネ力は強めに補正される。従って調整軸35で調整された第1リンク下変位位置は、糸調子バネ4のバネ力を強めに補正する位置に相当する。
【0036】
即ち、図9(A)、図10(A)、図11(A)は送り調整ダイヤル20の目盛が0であり、互いに対応する。図9(A)、図10(A)、図11(A)において、カムリンク8のカム押圧部14の高さを比較すると、送り調整ダイヤル20の目盛が0と同じであるにもかかわらず、図10(A)<図9(A)<図11(A)の順となる。従って糸調子バネ4のバネ力及び糸の張力は、図10(A)<図9(A)<図11(A)の順となる。
【0037】
図9(B)、図10(B)、図11(B)は送り調整ダイヤル20の目盛が1.5であり、互いに対応する。図9(B)、図10(B)、図11(B)において、カムリンク8のカム押圧部14の高さを比較すると、送り調整ダイヤル20の目盛が1.5と同じであるにもかかわらず、図10(B)<図9(B)<図11(B)の順となる。従って糸調子バネ4のバネ力及び糸の張力は、図10(B)<図9(B)<図11(B)の順となる。
【0038】
図9(C)、図10(C)、図11(C)は送り調整ダイヤル20の目盛が4であり、互いに対応する。図9(C)、図10(C)、図11(C)において、カムリンク8のカム押圧部14の高さを比較すると、送り調整ダイヤル20の目盛が4と同じであるにもかかわらず、図10(C)<図9(C)<図11(C)の順となる。従って糸調子バネ4のバネ力及び糸の張力は、図10(C)<図9(C)<図11(C)の順となる。
【0039】
上記したように使用状況に応じて調整軸35を回動操作することにより調整軸35の位相を変更すれば、第1リンク28の揺動中心域である揺動ブラケット部30の高さ位置を上下に補正でき、送り調整ダイヤル20の目盛が同じときであっても、カムリンク8のカム押圧部14の高さを補正することができ、ひいては糸調子バネ4のバネ力の大きさを補正することができ、この結果、糸調子皿3a、3bが糸を把持する把持力、即ち糸の張力を補正することができる。なお図3に示すように、ミシンの正面の右から、送り調整ダイヤル20、幅出し調整ダイヤル47、糸調子ダイヤル19が並設されている。
【0040】
本実施例によれば、カムリンク8はリンクであるため、図1及び図2に示すように板材で形成されており、軽量でありながらも、その表面に沿った方向の外力に対する剛性は高いものである。第1リンク28及び第2リンク29も同様である。一方、横断面円形状のロッドの場合には、剛性を増加して撓み性を抑えるためには、径を大きくする必要があり、ロッドの重量は飛躍的に増加する不具合がある。
【0041】
以上説明したように本実施例によれば、斜面カム7に対するカムリンク8のカム押圧部14の挿入方向及び退避方向のうちの一方の移動に伴い、糸調子バネ4のバネ力を強める方向に作動部6を斜面カム7と共に移動させる。また、斜面カム7に対するカムリンク8のカム押圧部14の挿入方向及び退避方向のうちの他方の移動に伴い、糸調子バネ4のバネ力を弱める方向に作動部6を斜面カム7と共に移動させる。このため図12に示す従来技術とは異なり、径をかなり太くしない限り撓みが避けられない長い長尺ロッドを用いずとも良く、糸調子バネ4のバネ力の調整を精度よく行うことができる。
【0042】
更に本実施例によれば、糸調子機構2は、糸調子バネ4のバネ力を相対的に粗く調整する粗調整操作部として機能する糸調子ダイヤル19と、糸調子バネ4のバネ力を粗調整操作部よりも相対的に細かく調整する細調整操作部として機能する送り調整ダイヤル20をもち、糸調子ダイヤル19の操作によって糸調子バネ4のバネ力の強弱を粗く調整できるほかに、送り調整ダイヤル20の操作によって糸調子バネ4のバネ力の強弱を細かく微調整できるため、糸の張力の調整に有効である。一般的には、縫製対象物である布地の厚みをかなり変更したとき、布地を複数枚重ねて縫製するとき等には、その布地の厚みの変動に対応するように、糸調子粗調整用の糸調子ダイヤル19の回動操作によって糸調子バネ4のバネ力の強弱を粗く調整する。また、縫製対象物である布地を同種のものから同種のものへと代えたとき、布地が薄物であるとき等には、布地の厚みの変動はあまりないため、粗調整用の糸調子ダイヤル19ではなく、糸調子微調整用の送り調整ダイヤル20の回動操作によって糸調子バネ4のバネ力の強弱を微調整する。
【0043】
また本実施例によれば前記したように、送り調整ダイヤル20の操作によって糸調子バネ4のバネ力の強弱を細かく微調整できるものであるが、送り調整ダイヤル20は1針の縫い目の長さを調整する送り調整部を兼用しているため、1針の縫い目の長さの調整に応じて糸調子バネ4のバネ力を微調整することができる利点が得られる。従って、1針の縫い目が長くなるほど、糸調子バネ4の弾性変形量を大きくできて糸の張力を強くすることができると共に、1針の縫い目が短くなるほど、糸調子バネ4の弾性変形量を小さくできて糸の張力を弱くすることができ、縫製処理に有利である。
【0044】
図3及び図8に示すように、糸調子ダイヤル19、幅出し調整ダイヤル47、送り調整ダイヤル20を回動操作できるように、これらは部分的に外観パネル18の上面から露出している。前記したように糸調子ダイヤル19、送り調整ダイヤル20を回動操作すれば、カムリンク8のカム押圧部14の高さを調整することができ、ひいては糸調子バネ4のバネ力の大きさを調整することができ、この結果、糸の張力を調整することができるため、外観パネル18を外さなくても良い。
【0045】
前記したように糸調子ダイヤル19、幅出し調整ダイヤル47、送り調整ダイヤル20を回動操作できるように、これらは部分的に外観パネル18の上面18uから露出している。このためミシンの内部構造において糸調子ダイヤル19、幅出し調整ダイヤル47、送り調整ダイヤル20を設置したダイヤル配置スペースには揺動リンク機構9等の機構部品を配置するには制約がある。この点本実施例によれば、斜面カム7を作動させるカムリンク8は、図1に示すように鉛直方向に沿って配置されており、上端部にカム押圧部14を有しており、下方向から上方に向けて移動するものである。また糸調子ダイヤル19、幅出し調整ダイヤル47、送り調整ダイヤル20の下方に揺動リンク機構9が設けられており、揺動リンク機構9の先端である第2リンク29の他端部29cがカムリンク8の下端部である他端部8cに連結されており、カムリンク8、第2リンク29、第1リンク28の全体はほぼLの字形状とされている。このため上記したダイヤル配置スペースにカムリンク8、第2リンク29、第1リンク28が干渉することを抑制できる。
【0046】
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。実施例に記載の語句は、一部であっても各請求項に記載できるものである。
【0047】
【発明の効果】
本発明に係るミシンによれば、糸調子機構は、基部と、糸調子バネのバネ力を強弱とする方向に沿って基部に移動可能に設けられた作動部と、糸調子バネに背向する位置で作動部に設けられた斜面カムと、糸調子バネのバネ力の方向と交差する方向に沿って斜面カムに対して挿入方向及び退避方向に移動可能に設けられたカム押圧部を有するカムリンクと、カムリンクを直接的または間接的に作動させる操作部とを具備している。このような本発明に係るミシンによれば、斜面カムに対するカムリンクのカム押圧部の挿入方向及び斜面カムに対してカムリンクのカム押圧部を挿入させたり退避させたりすることにより、糸調子バネのバネ力の強弱を調整することができる。
【0048】
殊に本発明に係るミシンによれば、糸調子バネに背向する位置で斜面カムが設けられているため、斜面カムを糸調子バネにできるだけ近づけるのに有利となる。故に、斜面カムと糸調子バネとが遠く離間している前記した従来技術とは異なり、斜面カムの作動力を糸調子バネに伝達するにあたり、長さが長い長尺ロッドを採用せずとも良い。故に、長さが長いが撓み量が大きいため糸調子バネのバネ力の調整の精度に限界がある長尺ロッドの不具合を解消することができる。従って糸調子バネのバネ力の強弱を精度よく調整するのに有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内部構造を示す正面図である。
【図2】内部構造を示す平面図である。
【図3】ミシンの外観パネル付近の正面図である。
【図4】糸調子機構の要部を示す分解斜視図である。
【図5】揺動リンク機構の第1リンクの揺動部分の分解斜視図である。
【図6】図1のW6−W6に沿った断面図である。
【図7】調整軸の作動を示す作動説明図である。
【図8】ミシンの全体を示す正面図である。
【図9】調整軸の第1軸の第1軸芯と第2軸の第2軸芯との高さ位置が同じのときにおける作動説明図である。
【図10】調整軸の第1軸の第1軸芯よりも第2軸の第2軸芯が高い位置のときにおける作動説明図である。
【図11】調整軸の第1軸の第1軸芯よりも第2軸の第2軸芯が低い位置のときにおける作動説明図である。
【図12】従来技術に係る構成図である。
【符号の説明】
図中、2は糸調子機構、3a、3bは糸調子皿、4は糸調子バネ、5は基部、6は作動部、7は斜面カム、8はカムリンク、9は揺動リンク、10はカム規制部、14はカム押圧部、15はカムリンク、18は外観パネル、19は糸調子ダイヤル(粗調整操作部)、20は送り調整ダイヤル(操作部、細調整操作部)、27は揺動リンク機構、35は調整軸(調整部)を示す。
Claims (6)
- 2個1組の糸調子皿と一方の糸調子皿を他方の糸調子皿に付勢するバネ力を発揮させる糸調子バネとをもつ糸調子機構を有するミシンにおいて、前記糸調子機構は、
基部と、前記糸調子バネのバネ力を強弱とする方向に沿って前記基部に移動可能に設けられた作動部と、前記糸調子バネに背向する位置で前記作動部に設けられた斜面カムと、前記糸調子バネのバネ力の方向と交差する方向に沿って前記斜面カムに対して挿入方向及び退避方向に移動可能に設けられたカム押圧部を有するカムリンクと、前記カムリンクを直接的または間接的に作動させる操作部とを具備しており、
前記斜面カムに対する前記カムリンクの前記カム押圧部の挿入方向及び退避方向のうちの一方の移動に伴い、前記糸調子バネのバネ力を強める方向に前記作動部を前記斜面カムと共に移動させ、前記斜面カムに対する前記カムリンクの前記カム押圧部の挿入方向及び退避方向のうちの他方の移動に伴い、前記糸調子バネのバネ力を弱める方向に前記作動部を前記斜面カムと共に移動させることを特徴とするミシン。 - 請求項1において、前記糸調子機構は、前記糸調子バネのバネ力を相対的に粗く調整する粗調整操作部と、前記糸調子バネのバネ力を前記粗調整操作部よりも相対的に細かく調整する細調整操作部とをもち、請求項1に記載の前記操作部は前記細調整操作部であることを特徴とするミシン。
- 請求項1または2において、請求項1に記載の操作部は、1針の縫い目の長さを調整する送り調整部を兼用しており、1針の縫い目の長さの調整に応じて前記糸調子バネのバネ力を調整させることを特徴とするミシン。
- 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記操作部と前記カムリンクとの間には、前記操作部の操作を前記カムリンクに伝達する揺動リンク機構が設けられており、前記揺動リンク機構は、前記操作部の操作により揺動される第1リンクと、前記第1リンクと前記カムリンクとをつなぐ揺動可能な第2リンクとを有し、前記カムリンクは鉛直方向に沿って移動することを特徴とするミシン。
- 請求項4において、前記揺動リンク機構は、前記第1リンクの揺動中心域の高さ調整を可能とする調整部を有しており、前記調整部による前記第1リンクの揺動中心域の高さ調整に伴い、前記斜面カムに対する前記カムリンクの前記カム押圧部の挿入方向及び退避方向の移動量を調整するようにしていることを特徴とするミシン。
- 請求項5において、前記揺動リンク機構の調整部は、ミシンに固定された固定ブラケットの取付孔に回動可能に取り付けられた第1軸と、前記第1軸に連設され前記第1軸の第1中心軸芯に対して偏芯した第2中心軸芯をもち前記第1リンクの通孔に回動可能に取り付けられた第2軸とをもち、前記第1軸の第1中心軸芯に対する前記第2軸の回動変位により、前記第1リンクの揺動中心域の高さ調整を可能とすることを特徴とするミシン。
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