JP4305722B2 - 成形レンズの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形レンズ及び光ピックアップ装置に関し、特にプリフォームから形成されると好適な成形レンズ及び光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
成形レンズを加熱プレス成形により形成する場合、略球形状をした光学材料である一次加工品(プリフォーム)を加熱し、成形型の対向した光学転写面で、そのプリフォームを挟み込んで押圧し、その圧力によりプリフォーム表面を成形型の光学転写面に密着させて光学面形状を転写し、冷却固化した後に、対向した型を開いて成形したレンズを取り出す、という一連の工程を行っている。
【0003】
ここで、加熱プレス成形における成形条件のバラツキにより微細な揺らぎや偏りが発生するので、成形レンズの光学面形状は、必ずしも成形型の光学転写面の形状を厳密に転写できるとは言い難い。従って、成形型の光学転写面の形状が高精度に加工されていなければ、それを元に転写される光学面は、設計値に対して更にズレを生じることとなる。従って、成形型を極力精度良く形成する必要がある。しかるに、例えば凸面光学面を有する成形レンズを形成する成形型の光学転写面は凹面となるが、凸面光学面上の点における法線と光軸でなす最大の法線角が大きな成形レンズを形成するための成形型を製造する場合、その凹面光学転写面が深い形状となることで、成形型加工の際に大きな工具が入りにくくなり、従って小さな工具により加工せねばならず、その場合には工具の早期摩耗を招きやすく、工具形状が変わったり加工能力が変化して高精度に光学面形状を創成するのが難しいという実情がある。従って、設計的には、できるだけ最大法線角(詳細については後述)が大きくならないようにすることが、小型レンズを製造する上での一つの設計常識であったといえる。
【0004】
成形型の光学転写面の最大法線角を出来るだけ大きくならないようにするということは、成形レンズの光学面形状においては、凸光学面形状の最大法線角を小さくすることを意味し、すなわち光学面の屈折パワーを小さくすることに相当する。これは、換言すればレンズ材料の屈折率を高くしたりレンズの光学面間隔(肉厚)を薄くする、あるいはレンズ枚数を増やして光学面のパワー負担を低減する等の設計手法を用いてレンズを製作することであるといえる。かかる従来の設計に基づき、成形レンズを形成する成形型等については、例えば、以下の技術文献に開示されている。
【特許文献1】
特開2001−341134号公報
【特許文献2】
特願2002−055241号公報
【特許文献3】
特願2002−142709号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の設計手法により得られる最大法線角が小さな、すなわち傾斜が緩やかな(光軸に直交する面に対して比較的浅い角度を持つという意味)凸形状を有するレンズを加熱プレス成形により創成する場合、成形型の光学転写面の創成加工は比較的容易になるが、以下に述べる問題がある。
【0006】
図1は、従来の傾斜が緩やかな凸形状のレンズを得るために、光学材料をプレス成形する成形装置の概略断面図である。図1(a)には、下型2に対向する上型1が胴型3に沿って降下して、下型2の光学転写面2aに載置された略球形状の加熱されたプリフォームPFに、上型1の光学転写面1aが触れた状態を示している。図1(b)には、更にプレス成形が進行して、光学転写面1a、2aが転写されたレンズLが創成された状態を示している。
【0007】
図1(a)に示す上型1の位置から、図1(b)に示す上型1の位置までが、プレス成形のためのプレスストロークSであるが、この図から明らかなように、光学転写面の傾斜を緩やかにするためには、略球形状のプリフォームを大きく(薄くなるまで)変形させなければならず、すなわちプレスストロークSが大きくなる傾向がある。しかるに、この加熱プレス成形において、高精度に成形レンズの光学面を成形転写するには、まず、プリフォームPFがその中心までほぼ均一な粘度を有し十分に軟化している必要がある。言い換えれば、プリフォームPFの粘度は温度により急激に変動するので、かかる加熱プレス成形では、プリフォームPFの温度がその表面から中心まで精密に均一となるようにしなければならない。
【0008】
又、光学材料は、プラスチック或いはガラスでも熱伝導率が非常に低いので、全体を高精度に一定温度にするには、非常に長い時間にわたり加熱する必要がある。従って、プリフォームPFを成形型内に投入してから内部ヒータ等を用いて加熱すると、成形サイクルが極めて長くなり、すなわち光学材料が成形型を占有する時間が長くなるため、それに応じて生産性が落ちる。また、成形型が長時間高熱にさらされるのでその寿命も短くなり、成形型の交換費用の増加を招く。更に、プリフォームPFを成形型に投入する前に予め加熱を行うこともできるが、成形システムが複雑で高価になり、その結果としてシステムのトラブル率が増加し、更に生産性の低下を招く恐れもある。
【0009】
更に、加熱プレス工程においては、前述したようにプレスストロークSが長いので、再現性の高いプレスを行うには、プレス中に良くコントロールされた条件のもとに緩やかに光学材料を変形させる必要があるため、プレス時問も長くなる傾向がある。このため、光学材料が成形型を占有する時間がより長くなるので、生産性の更なる低下を招く。また、光学材料全体が均一な粘度であるということは、全体が均等に液体に近い状態であることを意味するので、全体が冷却固化するまでは流動変形するということである。特に、上型1の光学転写面1aに対してプレス圧力が流動によって抜けてしまう傾向が大きくなり、成形型の光学転写面1a、2aに光学材料が高圧で密着されにくいので、レンズLの光学面の転写性が悪くなる傾向がある。言い換えれば、プリフォームPFのプレス変形量が少ない場合に比較すると相対的にプレス条件のコントロールが難しく、成形バラツキが増加する可能性が高い。特に、レンズの光学面に回折光を発生させる回折溝などの微細構造を形成するために、成形型の光学転写面1a、2a側にそれに対応した微細形状を有する場合は、その影響が顕著に表れ、微細構造の谷部に光学材料が十分充填しなかったりして、最終的に形成されるレンズLの微細構造のエッジ部分がなまるという不具合が発生する恐れがある。つまり、従来の加熱プレス成形では、プレス条件を厳密に設定しない限り、高精度な成形は難しいといえる。
【0010】
また、冷却プロセスでは、光学材料全体が冷却固化するまでは、冷却収縮に伴いヒケなどの変形が発生するため、それを抑制するために、プレス後も成形型を保持する必要があり、そのため冷却時間が長くなるので、結局、光学材料が成形型を占有する時間が更に長くなって生産性を低下させる。
【0011】
このように、従来のごとく傾斜が緩やかな凸光学面形状のレンズを、加熱プレス成形により創成することは、それを構成する加熱、プレス、冷却の各プロセスにおいて問題があり、高精度高効率なレンズ創成を難しくしているという実情がある。特に、次世代のDVD等に対して高密度な情報の記録/再生を行うための光ピックアップ装置においては、より短波長の光源を用いる必要性があり、従ってその光ピックアップ装置に用いられるレンズ、特に対物レンズはより高精度な成形レンズであることが望まれるが、従来設計によるレンズでは精度向上が限界に近づいており、従来の設計手法とは異なる新たな思想で、レンズを作り込む必要性が生じてきた。
【0012】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、従来の設計手法とは異なる思想から、より高精度な形状が得られ、高い光学性能を低コストで実現し得る成形レンズ及びそれを用いた高性能な光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の成形レンズの製造方法は、光学転写面を有する上型と、それに対向する光学転写面を有する下型とを有する成形型を用い、前記上型及び下型の各光学転写面間で光学材料をプレス成形することで、前記成形型の各光学転写面を前記光学材料に転写して得られる成形レンズの製造方法であって、
アッベ数νdが60以上の、略球状のプリフォーム形状を有する光学材料を準備する段階と、
前記光学材料の表面近傍を変形可能に加熱軟化させる工程と、
前記成形型の上型と下型との間に配置された、加熱軟化した前記光学材料を、各光学転写面が転写されるようにプレスするプレス工程と、
前記プレス工程により各光学転写面が転写された2つの光学面を有する光学材料を冷却して前記成形型から取り出す取出工程と、を有し、
前記取出工程で取り出した光学材料の光学面のうち、少なくとも一方の光学面上の任意の点における法線と光軸とでなす法線角のうち最大の法線角は60度以上90度以下であって、最大の法線角になる法線が光軸と交わる位置は、前記少なくとも一方の光学面よりレンズ側となるように前記一方の光学面は凸状に成形されていることを特徴とする。
【0014】
本発明者らは、上述した問題点に鑑み、成形型加工の容易性のみによって、凸光学面形状の傾斜をできるだけ緩やかに設計するのが、高精度・高効率なレンズ生産を実現する上で真に得策なのかを、従来の常識にとらわれることなく大局的な視点で考察し、上述した従来の欠点を抜本的に回避できる成形レンズの製造方法を発明するに至ったのである。より具体的に、本発明の利点を説明する。
【0015】
請求項1に記載の製造方法により製造された成形レンズのように、最大法線角を大きくとった(最大法線角60度以上90度以下)軸対称の凸面光学面形状は、従来のレンズ形状に比べて半球形状に近づくために、プレス成形する際に一次加工品(プリフォーム)等の光学材料の形状からの変形量を少なくできる。そのため、加熱プレスする際にもプリフォーム等の光学材料の中心まで均一に加熱する必要が無く、またプレスストロークも小さいので、成形サイクルを極端に短くできる。また、プレスの際に、成形型の光学面転写面に対して早い時期から密着して光学材料を押しつける圧力を高く保つことができるので、光学面の形状転写性にも優れる。つまり、従来よりも高精度高速プレス成形を実現することが出来るのである。
【0016】
ところが、この最大法線角を大きくとる副作用として、入射光束が成形レンズの光軸と平行な平行光の場合、その入射光学面の法線角は即ち光束の入射角となることから、法線角が大きいほど入射角が大きくなり光学面に浅く入射するため、ふれ角が大きくなり、入射光束の波長による屈折角の差が大きくなるという問題が生じる。すなわち、一般的な従来の光学材料程度の分散であれば、それに応じた色ズレが大きく顕れることとなる。そこで、レンズの光学面の最大法線角を大きくすると同時に、そのレンズの光学材料に分散の小さな(アッベ数の大きな)光学材料を選択する。即ちアッベ数νdが60以上である光学材料を選択することにより、色収差の発生しにくい高い光学性能を有する高精度な成形レンズを生産することができた。
【0017】
ここで、本発明者らはまず、請求項1に記載したような最大法線角が大きい凸面光学面を有する成形レンズを成形するために必要となる、深い凹面光学転写面を有する高精度な成形型の製造容易性について検証した。成形型材料は、光学材料がプラスチックの場合は、無電解ニッケルメッキが用いられ、ダイアモンド工具と超精密旋盤による切削加工で光学転写面が創成されるのが一般的である。ダイアモンド工具の刃先精度は近年非常に向上し、真円度30nm以下のRバイトや刃先先端幅が1μm以下の剣先バイトなどが市販されており容易に入手できる。超精密旋盤も、軸分解能が1nmという高精度のものを利用できる。成形型材料である無電解ニッケルメッキにしても、本発明者らが既に特開2001−353729等に示す高被削性材料を開発し、実用化している。従って、プラスチックレンズに関する限り、最大法線角が大きい凸面光学面を有する成形レンズの成形型を創成することは、特に困難とはいえないし、そのためにレンズ光学面形状を浅く設計する必要も無いということが判明したのである。
【0018】
一方、光学材料にガラスを用いる場合であるが、一般にプレス温度が500〜600℃と高温であるために、従来、成形型材料としてセラミックや超硬などの難加工材料が一般的に用いられてきた。この成形型材料に凹面光学転写面を加工創成するには、ダイアモンド砥石と超精密旋盤による研削加工と、後加工として研磨加工を行うことが一般的である。ここで、最大法線角が大きい凸面光学面を転写する深い凹面光学転写面形状を成形型に創成するためには、従来では、砥石の寸法を小さくせねばならず、そのため研削比が低下して砥石の摩耗が早くなったり、あるいは切れ刃の状態が安定しない等の問題があった。しかしながら、現在では砥石軸を送り面内にレイアウトするパラレル研削などの手法により砥石の負担を軽減し、表面粗さや形状精度の良い光学転写面が比較的容易に創成できるようになったこと、ELID研削などのように電解を用いて砥石切れ刃を良い状態で安定する技術が実用化したこと、等の研削加工技術の進歩により、以前ほど光学転写面を創成する加工の難度が高いとは言えなくなった。また、ガラス材料も低Tg化が進み、プレス温度が300〜350℃という硝材も市販され、容易に入手可能となった。このような光学材料としては、例えば、住田光学株式会社から上市されているK−PG325を用いることができる。以上より、成形型材料に必ずしもセラミックや超硬といった難加工材料を使う必要は薄れてきたという実情がある。
【0019】
さらに、従来の成形手法では、最大法線角を大きくとった光学面を有するレンズを成形する場合、例えば、略球状のプリフォームの半径が、成形型の光学転写面の中心半径よりも大きくなることがあり、それにより光学面の中心部にガス溜まりができて成形性が悪くなる現象が発生することがあった。しかし現在では、プレス成形する際に、この成形キャビティを真空にする手法が実用化されており、ガス溜まりを生じさせることなく高精度な成形を実現することが可能となっている。
【0020】
また、最大法線角を大きくとった光学面を有するレンズは、一般に光学面の偏心(光軸のズレ)の許容度が低くなる傾向にあり、成形においては対向する型同士の偏心を極めて小さく抑える必要がある。従来の成形機構造では、この偏心を規制することは難しかったが、本発明者の一人により提案された特開2001‐341134、特願2002−055241、特願2002−142709等に開示されたような全く新しい成形機構造によって、型偏心を極めて高精度に抑え、また調整できるようになったため、かかる観点からも高精度なレンズの成形が容易になったといえる。
【0021】
これらの実状を鑑みると、「レンズ光学面の最大法線角は、型加工・成形の容易性から小さくすべきである」という従来の技術常識は、現在では、加工技術の向上、新規な光学材料の開発等により、覆されるに至ったということができる。すなわち、前述したような加熱プレス成形における従来の問題を抜本的に解決し、高精度・高効率なレンズの高い生産性を確保することは、従来の技術常識に反して、むしろ最大法線角を積極的に大きくすることで達成できることが立証されたのである。
【0022】
上述したように、最大法線角を大きくとることで、成形レンズの光学面形状が半球に近い形状となるため、例えば略球形状のプリフォームのプレス変形量が低減でき、プレスストロークも半減できる。また、プレス変形量が少ないので、プリフォーム等の光学材料全体を軟化する必要はなく、プリフォーム等の光学材料の表面近傍が最も高温で変形できる粘度になっていれば良いので、加熱時間が大幅に短縮でき、また、成形時にプリフォーム等の光学材料の中心付近は粘度が高く固体に近い状態にできるため、成形中の流動変形がほとんど生じずプレス圧力が高くなり、光学材料を成形型の光学転写面に大きな力で密着させることができるので、成形転写性が非常に良くなる。特に、光学面表面に回折溝や反射防止用の微細構造を有する場合は、その成形型の谷部にも光学材料が良好に充填され、レンズ光学面の微細構造のエッジ部などのダレも生じない。
【0023】
また、加熱・プレス・冷却を含めた成形時間を短くできるので、1回の成形で成形型が高温にさらされる場合でもその時間を短くでき、その結果、高温での光学転写面の酸化や光学材料との反応などによる成形型の損傷を受ける時間が短くなるので、従来よりも成形型寿命を延ばすことができる。従って、成形型のランニングコストが低減でき、成形型損傷による成形型の交換で成形が中断する頻度も減少するので、成形機の稼働率が向上して生産数量を高く維持できるため、成形コストを低減できる。
【0024】
さらに、従来は最大法線角が小さいレンズしか用いることができなかったので、大きなパワーを必要とする場合には、レンズの枚数を増やして各光学面が負担するパワーを分散させたりしていたが、この場合、例えば1枚のレンズを2枚にすれば、成形コストは1枚の場合の2倍となり、さらにその2枚を組み上げるための鏡枠部品が必要となり、組み付け誤差も増大し、更にその組付けの手間やコスト、加えて単玉での検査の他に組み上げた状態での検査も必要となるので、製造コストは2倍以上かかっていたものが、一挙に半分以下にできることになる。すなわち、本発明によれば、従来より高精度・高効率で高生産収率を確保しつつレンズを製造しながらも、コストは従来の半分以下という効果を生じ得るのである。
【0025】
ところで、プレスストロークと成形時間の関係については、本発明者の一人を含む共同研究の結果である、S.Hosoe and Y.Masaki ”High−speed glass−molding method to mass−produce precise optics”、SPIE Vol.2576pp115−120、1995において、基本的なデータが発表されている。図2に、その研究結果の一部であるグラフを示す。
【0026】
図2において、横軸に球形状プリフォームの直径、縦軸に成形型内で加熱・プレス・冷却を行ったときの成形時間を表し、プレス後の厚みがプリフォーム直径の何%かによって、4種類のグラフがプロットされている。例えば、プリフォーム径が6mmでプレス後の厚みが60%、つまりプレスストロークが40%の場合、この成形方式は約330秒の成形時間を要する。ところが、同じプリフォーム径であっても、プレス後の厚みが90%、つまりプレスストロークが10%であると、成形時間は180秒と半分近くまで短くなる。これは、成形工程に関するだけで、1種類のレンズの生産性が約2倍になることを示している。
【0027】
仮に、最大法線角を減少するためにパワーを分散化しレンズ枚数を1枚から2枚に増やし、且つそのときの最大法線角が75度から45度に低減したとすると、プレスストロークは略球形状フリフォームの直径の10%から30%に増大する。これを図2で見てみると、プリフォーム直径が3mmの時、最大法線角75度の単玉レンズの成形時間は約140秒、最大法線角45度の2枚玉レンズの1枚については約195秒となり、成形時間比は1:1.4となる。後者は2枚玉の場合であるからこれを考慮すると、成形時間比は1:2.8となり、実に3倍近い成形生産性の差となる。しかも、成形型も2倍必要となるので、成形型加工の負担は、2枚玉レンズにして最大法線角を小さくしたからといってもそれほど低減されず、前述した加工技術の発達によりむしろ増える可能性がある。
【0028】
本発明者らは、更に最大法線角をどこまで大きくすれば、その効果を顕著に得られるかという点についても、以下の検証を行った。
【0029】
まず最大法線角の上限値としては、光学面がほぼ半球形状に近くなる90度を越えると、成形型にアンダーカット部分が生じて、成形後に成形型から成形レンズを離すことが出来なくなる。従って、「最大法線角の上限は90度以下」ということができる。
【0030】
次に最大法線角の下限値であるが、例えば最もパワーの大きいレンズと思われる光ピックアップ装置用対物レンズを例にとると、像側開口数NA0.85で屈折率1.5前後の光学材料を用いて2枚玉の対物レンズを構成すると、図3のような断面形状になり、最大法線角は2番玉(同図上、右側のレンズ)の入射側光学面(光源側から数えて第3面)で37度となる。ほぼ同仕様を単玉レンズで光学設計したのが図4に示すもので、その最大法線角(図4でθ)は第1面で約72度となる。両者で35度の最大法線角差を生じるが、このときのプリフォーム径やプレスストロークなどをまとめたのが、表1である。
【表1】
【0031】
プレスストロークは2枚玉レンズの場合、前玉(1番玉)で0.87mm、後玉(2番玉)で0.7mmであり、単玉では0.4mm程である。プリフォーム形状を真球とした時の直径に対するプレスストロークを除いた成形レンズの厚み比率は、それぞれ74%と59%、84%になる。この数値が大きいほど、成形のつぶし量が少ないことを意味し、前述したプリフォーム温度の均一性やプレス時間、プレス圧力の増大による転写性の向上などの点で有利となる。この値をもとに図2のグラフを内外挿して成形時間を推定すると、2枚玉レンズの場合では前玉が190秒、後玉が230秒で、単玉レンズでは140秒となる。従って、2枚玉レンズの場合における総成形時間は420秒となるのに対して、最大法線角を70°以上とした単玉の140秒は、丁度3倍の成形生産効率となることがわかる。
【0032】
従って、最大法線角の下限値としては、70度で明らかな効果を期待できるが、3倍程ではなくとも2倍程度の生産効率でよいとするならば、これよりも10度少ない60度以上であれば、充分に効果が期待できるといえる。
【0033】
尚、本明細書中で用いる法線角とは、光学面(光束が通過する領域)上の任意の位置から法線を描いたとき、その法線が光軸と交差する角度をいう。光学面上で最もその法線角が最大となる値を、最大の法線角(最大法線角)と呼ぶ。一般的な成形レンズにおいては、光学面の中心から外周に向かうに従って、光学面上の位置における法線角は単調に増加する。従って、一般的な光学面形状の場合は、最大法線角が得られる位置は、有効光学面の最外周となる。しかし、本発明にとって法線角の増減の単調さは無関係であり、最大法線角位置は必ずしも光学面の最外周とするものではなく、任意の光学面上の位置であって良い。尚、回折構造など微細形状のある領域の場合、実際の光学面ではなく、母非球面などの母形状に対して法線を描くものとする。
【0034】
また、本明細書で用いる光学材料とは、光学用途に用いることが可能な一般的なプラスチック又はガラス等の材料すべてをいう。プレス成形される際に成形型に装填される光学材料としては、予めプリフォーム形成された光学材料であっても、液滴状に滴下されて成形型に装填される光学材料であっても、また、成形型に装填される際には外形形状を有さないような液体であってもよい。
【0035】
請求項2に記載の成形レンズの製造方法は、光学転写面を有する上型と、それに対向する光学転写面を有する下型とを有する成形型を用い、前記上型及び下型の各光学転写面間で光学材料をプレス成形することで、前記成形型の各光学転写面を前記光学材料に転写して得られる成形レンズの製造方法であって、
アッベ数νdが60以上の、略球状のプリフォーム形状を有する光学材料を準備する段階と、
前記光学材料の表面近傍を変形可能に加熱軟化させる工程と、
前記成形型の上型と下型との間に配置された、加熱軟化した前記光学材料を、各光学転写面が転写されるようにプレスするプレス工程と、
前記プレス工程により各光学転写面が転写された2つの光学面を有する光学材料を冷却して前記成形型から取り出す取出工程と、を有し、
前記取出工程で取り出した光学材料の光学面のうち少なくとも一方の光学面上の任意の点における法線を、光軸を含みその法線に平行である平面に対して投影して得られる直線と、光軸とでなす法線角のうち最大の法線角が、最大で60度以上90度以下であり、最大の法線角になる法線に対応する前記直線が光軸と交わる位置は、前記少なくとも一方の光学面よりレンズ側となるように前記一方の光学面は凸状に成形されていることを特徴とする。
【0036】
請求項1に記載の製造方法により製造された成形レンズは、基本的には光軸に関して回転対称な光学面を有するものであるが、光軸に対して非回転対称(非軸対称、自由曲面を含む)の光学面では、通常、その光学面上における法線は光軸とは交わらない。請求項2に記載の製造方法により製造された成形レンズは、このような非回転対称な光学面を有するものであり、かかる場合、光軸を含む平面のうち法線と平行となる平面を考え、法線をこの平面に投影(平面に垂直な方向に法線を平面に投影する)した時の平面上の直線と光軸の成す角を、法線角と呼ぶこととする。それ以外の点に関しては、請求項1に記載の製造方法により製造された成形レンズと作用効果は同じであるので説明を省略する。
【0037】
請求項2に記載の発明について、より具体的に説明する。成形レンズにおいて光学面が軸対称形状でない或いは自由曲面の場合は、光学面上の位置での法線が光軸と交わらない場合がある。例えば、図8に示す光学素子(誇張すればラグビーボールを半割した形状に類似する)は、光軸に対して互いに直交する子午面の断面形状が異なり、鞍型の形状をした光学面を有する例である。かかる光学素子は、半導体レーザーから出射される光束などを、その発光点の非点隔差を修正しつつ集光する対物レンズとして用いることができる。一般的な光ピックアップ装置においては、半導体レーザーから出射された光束は、コリメーターなどにより略平行光束とされ、対物レンズに入射するようになっているが、コリメーターを通過した時点では、まだその光束に非点隔差が残り光軸に直交する方向で光束の広がりが異なるので、完全な平行光束とはいえない状態である。しかるに、この光束を、位相を合わせた状態で請求項2に記載の成形レンズに入射させると、広がり角の大きい光束は曲率が強く焦点距離が短い方向の光学面で集光させることができ、広がり角の小さい方向の光束はそれと直交する曲率が弱く焦点距離が長い方向の光学面で集光させることができ、結果としていずれの方向の光束も同一点で集光するようになり、大きな光量で小さなスポット径を得ることができる。
【0038】
鞍型形状を有するこのような光学素子の光学面を光軸に垂直な面に投影し、そのときの光学面の変位を等高線で示したのが図9である。最も曲率の弱い方向aとこれに直交する最も曲率の強い方向bにおける光学面上の位置の法線は光軸と交わり、法線角も前述した定義を用いることができる。しかし、例えばa方同とb方向の中間の方向、すなわち図9においてそれぞれに45度をなす方向の光学面上の点Pを考えると、点Pを通る等高線は楕円であり、その最大勾配方向(等高線に垂直な方向)は、そこでの法線は光軸を通らない。つまリ、点Pにおける法線は光軸に対してねじれの位置となるので、請求項2において、一般的な定義に従い法線角を法線と光軸の成す角ととらえると、法線角が存在しないこととなって不合理となる。しかしながら、目的的には、光学面の光軸に対する傾きの急峻さを正確に規定できればよいわけであるから、図8,9に示す光学素子のように、このような法線が光軸に対してねじれの位置(関係)となる場合には、以下のように法線角を定義して、その角度範囲を、請求項2における法線角として用いることとする。
【0039】
より具体的には、光軸とねじれの位置にある法線に対して、これと平行で光軸を含む平面を考え、この平面に法線を垂直投影したときの平面上の投影線と光軸が成す角を法線角と定義することにする。かかる定義に従えば、光学面が光軸に対して急峻であればこの法線角も大きくなり、光軸に対して緩やかであれば小さくなるので、従来の定義による法線角と同様に扱うことができる。
【0040】
このような非軸対称な光学面においても、最大法線角は大きく軟化した光学材料の成形潰し量が小さいほど、そのプレス圧力を高め高圧で型に押し付けられるので成形転写性が向上し、所望の光学機能を高精度に満たすことができるようになる。請求項2に記載の成形レンズを、半導体レーザーの非点隔差を補正するために用いる場合、一般的には、光学面の最も曲率の強い方向と最も緩い方向での光学面形状の差(光軸方向変位量)は、最大でも150nm程度しかない。このようなわずかな光学面形状の差であっても、正確に成形転写するには、最大法線角が60°以上の光学面形状であることが、前述した理由により極めて有効といえる。
【0041】
尚、光学面の凹凸については、光軸と法線(または投影直線)との交点が、光軸上の光学面(通常の軸対称光学面形状では光学面中心)に対して、レンズ素材(光学材料)中に位置する場合を凸面、空気側に位置する場合を凹面と定義する。
【0042】
前記光学材料は、プレス成形される前にプリフォーム形成されていると好ましい。この場合、特に上述したようなプレスストロークを小さくでき、更に高い生産効率を達成することができる。
【0043】
本明細書中で用いるプリフォームとは、プレス成形前に形状化されたもの(固体或いは外形形状を備えた液体)をいう。勿論、プレス成形前の加工(一次加工)が施されて成形された固体を含むものである。
【0044】
請求項3に記載の成形レンズの製造方法は、前記プリフォームの形状が、前記プリフォームの体積と等しい球に対して、中心を同じくしたその半径が1/2倍の球面から2倍の球面の間の殻内に内包される形状であると好ましい。かかる範囲にある前記光学材料を、「略球形状」であるというものとする。すなわち、そのようなプリフォーム形状であれば、請求項1又は2の特徴を満たす最大法線角が大きな成形レンズをより高生産効率でより高精度に形成できる。
【0045】
請求項4に記載の成形レンズの製造方法は、前記上型又は下型の光学転写面には、成形レンズの光学面の微細形状に対応する形状を有すると好ましい。すなわち、光学面の表面に微細な形状を有していても、請求項1又は2の特徴を満たす製造方法で製造された成形レンズであれば、成形転写性が良いので、高精度に成形型から成形レンズへ、その微細形状を転写出来る。
【0046】
ここで、微細形状とは、レンズの設計上の母非球面等の母光学面に対して、更なる光学性能を付与するための凹凸形状をいい、単なる転写不良や成形型の表面粗さに起因するような、より微小な形状を意図するものではない。微細形状としては、例えば、回折光を発生する機能を付与するための回折溝や、反射防止機能を付与するための反射防止構造、等が挙げられる。このような微細形状のオーダーとしては、100nm〜1mmが一例として挙げられる。
【0047】
回折溝以外の具体例としては、SWS(Sub Wavelength Structure)と言われている、使用される光源の波長に比べサイズの小さな凹凸を有するものがある。これは、光学表面の屈折率を等価的に低減するMOTH EYEと呼ばれる反射防止構造であっても良いし、方向性を持った溝によって偏光光学面として光の位相に応じて選択的に透過または反射を行う微細構造であっても良いし、特定波長のみ透過または反射する狭帯域フィルター特性を与える微細構造であっても良い。これらの微細構造に関しては、既に公知技術として良く知られており、本発明者らの一人も、例えば特願2001−299711などでも述べているので、ここでは説明しない。特に、このような微細形状を光学表面に有する光学素子であるほど、その成形においては、軟化した光学材料を成形型の微細構造の奥まで入り込ませるような高精度な転写が必要といえ、それが困難であれば所望の光学機能を発揮させることができないといえる。このような高精度な転写を達成するにあたり、本発明の成形レンズにおいて、その母形状となる光学面形状が請求項1や2で示すように最大法線角が大きな光学面であると、プレス成形における光学材料の潰し量が少なくてすむので光学材料の圧力を高く維持して成形型に押し付けることができ、微細構造の転写性の向上を図ることができ、それによりその微細機能による高い光学特性を確保できることとなる。
【0048】
請求項5に記載の成形レンズの製造方法は、前記微細形状が回折溝であることが好ましい。光学面に回折溝を備えると、光の利用効率(回折効率)が極めて高く、低コストな成形レンズを得ることができる。
【0049】
請求項6に記載の成形レンズの製造方法は、前記光学材料のd線における屈折率が、1.61未満であると好ましい。屈折率が小さければ、光学設計上、レンズ光学面の最大法線角を大きくでき、高精度・高効率に安定して成形レンズを作ることができる。
【0050】
請求項7に記載の成形レンズの製造方法は、前記光学材料はガラスであると好ましい。
【0051】
請求項8に記載の成形レンズの製造方法は、前記光学材料はプラスチックであると好ましい。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して説明する。
図5は、高密度DVDに対して情報の記録/再生を行う、本実施の形態にかかる成形レンズを用いた光ピックアップ装置の概略構成図である。図5においては、光源としての半導体レーザ111(波長λ1=380nm〜450nm)から出射された光束は、1/4波長板113及びビームスプリッタ114を透過し、補正素子であるコリメータ115で平行光束に変換された後、さらに絞り17によって絞られ、集光光学素子としての対物レンズ16により光ディスク20の保護層21(厚さt1=0.1〜0.7mm)を介して情報記録面22に集光される。
【0055】
そして情報記録面22で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ16、絞り17を透過して、コリメータ115を通過し、ビームスプリッタ114に入射し、ここで反射され、シリンドリカルレンズ117で非点収差が与えられ、凹レンズ118を介して光検出器119上へ入射し、その出力信号を用いて、光ディスク20に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
【0056】
また、光検出器119上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータ(不図示)が半導体レーザ111からの光束を光ディスク20の記録面22上に結像するように対物レンズ16を移動させると共に、半導体レーザ111からの光束を所定のトラックに結像するように対物レンズ16を移動させる。
【0057】
(実施例)
図4は、図5の光ピックアップ装置において、半導体レーザ111である青紫色の半導体レーザーから出射された波長405nmの光束を、像側開口数NA0.85にて、光ディスク20の情報記録面22に集光させる対物レンズの断面図である。図3は、その比較例である2枚玉の対物レンズの断面図である。
【0058】
図4の対物レンズの第1面には図示しない回折溝が設けられており、その回折溝は、レンズの光軸方向からみて同心円状の輪帯形状をなし、回折溝の最小ピッチ8.8μm、輪帯数30で、断面形状は鋸歯状形状である。これと同等の回折溝を、比較参照するために図3に示す最大法線角37°の前玉の第1面に形成すべく、それらの成形型の光学転写面に対応した微細形状の回折溝を設けて、それぞれにおいて最適と思われる成形条件でプリフォーム形成された光学材料を加熱プレス成形し、その転写性を比較した。光学材料は、図3、4の対物レンズとも、アッベ数νd61.3、屈折率nd1.58913の同じ仕様の光学ガラス(HOYA製M−BaCD5)を用いた。
【0059】
その結果、回折溝の谷部(成形型では凸部)はどちらも良好な転写性を示したが、回折溝の山部では、図4の対物レンズで約0.7μmRのなまりが生じ、図3の対物レンズでは3.5μmRのなまりが生じた。このなまりの部分は回折効率を著しく落とし、図4の対物レンズでの周辺光量は理想値に対して約8%の低下、図3の対物レンズでは46%の低下となった。明らかに、光学面の微細構造である回折溝の転写性に大きな違いが見られ、特に回折溝のピッチが細かくなる周辺において、図4の対物レンズは使用可能範囲に確保されたが、図3の対物レンズでは光束は散乱して集光せず致命的な光量低下を招いた。
【0060】
更に、高密度な記録容量の光ディスクに対して記録及び/又は再生を達成するための光ピックアップ装置の対物レンズでは、NAが大きくなってしかも単玉レンズでは、更に球形状に近いレンズ形状となり色収差がより大きく発生するが、図4の対物レンズにおいては、色収差補正機能を有する回折溝としたことにより、色収差の発生を抑え良好な集光特性を得ることができ、その上、対物レンズを単玉レンズとしたことにより、レンズ後面(第2面)から光ディスク表面までのワーキングディスタンスを2枚玉レンズよりも2倍ほど大きく取れるので、焦点調節のために対物レンズを光軸方向に駆動する際に対物レンズと光ディスクが干渉する危険を防ぐことができ、非常に優れたレンズといえる。
【0061】
図4のレンズの光学面精度は50nm以下という高精度であり、偏心感度はティルトで20秒角以下、シフトで1ミクロン以下と非常に高いが、前述した最近の成形技術等により十分加熱プレス成形で実現できるようになっている。
【0062】
表1を参照して前述したように、2枚玉レンズの場合は、集光レンズとしての全体パワーを2枚のレンズに分担できるため、各レンズ単体のパワーはそれほど大きくする必要がなく、最大法線角も37°と大きくなく、アッベ数も56程度で充分な結像性能を得ることが出来る。これに対し、単玉レンズでは、2枚玉レンズと屈折率が同程度である屈折率材料を用いて、最大法線角を72°と大きくしてあるが、その分、屈折角が増大して波長の違いによるふれ角差が大きくなり、大きな色収差を発生するので、分散が小さい光学材料を用い、回折溝を光学面に施すことにより、その問題を回避している。この状態での、それぞれの球面収差特性を図6及び図7に示す。
【0063】
光源波長は、青紫色の半導体レーザーの波長405nmを中心として、そのモードホップや温度特性によって波長が±5nm変動したとして、各波長における球面収差をそれぞれ書き込んである。そのグラフが、中心波長(405nm)のグラフと大きな差を生じなければ、焦点移動が少ないと言えるし、グラフが、光軸から周辺まで横軸に対して垂直で直線的であれば軸上色収差が良好に補正されていると言える。
【0064】
図6の2枚玉レンズの球面収差特性を見ると、中心波長における横軸に対しての垂直に近い極めてフラットな球面収差特性に加え、光源波長がシフトしてもそのまま平行移動するだけでグラフの直線性が保たれており、軸上色収差は極めて艮好に補正されている。焦点移動については、±1.5μmとこれもかなり良好であり、波面収差換算では、後述する表2より1nm当たり86mλで、実用上問題ない。
【0065】
一方、図7は単玉レンズの球面収差特性であるが、2枚玉の図6に極めて似ており、ほぼ同等の球面収差特性と波長特性を、単玉レンズで実現していることがわかる。
【0066】
表2は、2枚玉レンズと単玉レンズのそれぞれの波長に依存する波面収差特性を主に示したもので、値が小さいほど収差特性に優れる。軸上波面収差は、前述したように球面収差図(図5,6)でグラフが光軸に対して垂線状(垂直)になっていれば良い値を示す。軸上色収差は、波長変動に対して球面収差のグラフが垂直で、中心波長のグラフに対してできるだけ近接していれば良い値となる。モードホップ特性は、焦点位置を固定したときに光源波長が変化したときの焦点移動に伴う収差の劣化具合を示し、球面収差図では中心波長のグラフに対して他の各波長のグラフが近接していると良い値となる。ここでは、光源となる半導体レーザーの波長がモードホップにより1nm変動したときの同一焦点位置での収差変動量を示してあるが、実際のモードホップ特性では波長が1nm変動するのに15℃程度の温度変化が必要なので、100mλ以下であれば実用上問題ない。温度特性は、温度変化に伴う光学材料の屈折率の変化により発生する収差変動量を表す。波長特性は、波長を中心波長より+5nmとしたときに焦点を合わせ、この時の残留収差を示し、球面収差図では各波長のグラフが垂直に近いほど良い値を示す。
【表2】
【0067】
光ピックアップ装置においては、波面収差の許容値は30mλ程度であるので、表2の値の対物レンズは概ね実用に供するといえる。また、2枚玉レンズと単玉レンズで、ほとんど波長特性が同じとなっており、単玉レンズが最大法線角を飛躍的に大きくしたにも関わらず、分散の小さい光学材料を用い且つ回折溝を形成することにより、2枚玉レンズとほとんど同等の波長特性を実現できることが明らかとなった。
【0068】
すなわち、単玉レンズは、最大法線角を飛躍的に大きくして、成形の安定性や高速性を高め、極めて高い生産性を確保すると同時に、光学的には分散の小さい材料をもちいることで、その欠点となる波長特性の劣化を押さえ、2枚玉レンズと同等の実用性能を実現できることが分かったのである。
【0069】
さらに、単玉レンズでは、図3や図4からわかるとおり、ワーキングディスタンスが2枚玉レンズの丁度2倍ほどあり、対物レンズが焦点調節などのためサーボ駆動される際に光ディスクと干渉する恐れを大幅に減少させおり、コンパクトな構成ながらもサーボ機能の高い信頼性を確保できた。
【0070】
以上の実施例に具体的に記載した効果を奏するような高精度で、高い光学性能を低コストで実現し得る成形レンズは、最大の法線角が60度以上90度以下の凸状の光学面を有するレンズをプレス成形により創成するに際し、光学材料のアッベ数が60以上であれば得られるものであった。
【0071】
また、表1に示したように、屈折率についてはほぼ同等でありながら、アッベ数が60以上の光学材料を用いたことによって、このような光学設計が可能になったのであり、このことからも本発明による効果を期待するには、分散の下限値としてそのアッベ数が60以上であることが好ましいといえる。
【0072】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。発明の成形レンズは、光ピックアップ装置用の対物レンズに限らず、コリメータ、シリンドリカルレンズ等にも用いることが可能である。また、光ピックアップ装置は、本実施の形態に記載した高密度DVDの記録及び/又は再生可能なものに限らず、種々の光ディスク等情報記録媒体に対して記録及び/又は再生可能なものであってもよい。更に、成形レンズとしては、光ピックアップ装置用途に限るものではない。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、従来の設計手法とは異なる思想から、より高精度な形状が得られ、高い光学性能を低コストで実現し得る成形レンズ及びそれを用いた高性能な光ピックアップ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の傾斜が緩やかな凸形状のレンズを得るために、光学材料をプレス成形する成形装置の概略断面図である。
【図2】横軸に球形状プリフォームの直径、縦軸に型内で加熱・プレス・冷却を行ったときの成形時間を表したグラフである。
【図3】光ピックアップ装置に用いる2枚玉の対物レンズの断面図である。
【図4】光ピックアップ装置に用いる単玉の対物レンズの断面図である。
【図5】光ピックアップ装置の概略構成図である。
【図6】2枚玉対物レンズの収差特性図である。
【図7】単玉対物レンズの収差特性図である。
【図8】光学面が軸対称形状でない或いは自由曲面の光学素子の一例を示す斜視図である。
【図9】図8のごとき光学素子の光学面を光軸に垂直な面に投影し、そのときの光学面の変位を等高線で示した図である。
【符号の説明】
1 上型
2 下型
3 胴型
16 対物レンズ
17 絞り
20 光ディスク
111,121 半導体レーザ
115,125 コリメータ
119,129 光検出器
Claims (8)
- 光学転写面を有する上型と、それに対向する光学転写面を有する下型とを有する成形型を用い、前記上型及び下型の各光学転写面間で光学材料をプレス成形することで、前記成形型の各光学転写面を前記光学材料に転写して得られる成形レンズの製造方法であって、
アッベ数νdが60以上の、略球状のプリフォーム形状を有する光学材料を準備する段階と、
前記光学材料の表面近傍を変形可能に加熱軟化させる工程と、
前記成形型の上型と下型との間に配置された、加熱軟化した前記光学材料を、各光学転写面が転写されるようにプレスするプレス工程と、
前記プレス工程により各光学転写面が転写された2つの光学面を有する光学材料を冷却して前記成形型から取り出す取出工程と、を有し、
前記取出工程で取り出した光学材料の光学面のうち、少なくとも一方の光学面上の任意の点における法線と光軸とでなす法線角のうち最大の法線角は60度以上90度以下であって、最大の法線角になる法線が光軸と交わる位置は、前記少なくとも一方の光学面よりレンズ側となるように前記一方の光学面は凸状に成形されていることを特徴とする成形レンズの製造方法。 - 光学転写面を有する上型と、それに対向する光学転写面を有する下型とを有する成形型を用い、前記上型及び下型の各光学転写面間で光学材料をプレス成形することで、前記成形型の各光学転写面を前記光学材料に転写して得られる成形レンズの製造方法であって、
アッベ数νdが60以上の、略球状のプリフォーム形状を有する光学材料を準備する段階と、
前記光学材料の表面近傍を変形可能に加熱軟化させる工程と、
前記成形型の上型と下型との間に配置された、加熱軟化した前記光学材料を、各光学転写面が転写されるようにプレスするプレス工程と、
前記プレス工程により各光学転写面が転写された2つの光学面を有する光学材料を冷却して前記成形型から取り出す取出工程と、を有し、
前記取出工程で取り出した光学材料の光学面のうち少なくとも一方の光学面上の任意の点における法線を、光軸を含みその法線に平行である平面に対して投影して得られる直線と、光軸とでなす法線角のうち最大の法線角が、最大で60度以上90度以下であり、最大の法線角になる法線に対応する前記直線が光軸と交わる位置は、前記少なくとも一方の光学面よりレンズ側となるように前記一方の光学面は凸状に成形されていることを特徴とする成形レンズの製造方法。 - 前記プリフォーム形状は、前記プリフォームの体積と等しい球に対して、中心を同じくしたその半径が1/2倍の球面から2倍の球面の間の殻内に内包される形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の成形レンズの製造方法。
- 前記上型又は下型の光学転写面には、成形レンズの光学面の微細形状に対応する形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形レンズの製造方法。
- 前記微細形状は回折溝であることを特徴とする請求項4記載の成形レンズの製造方法。
- 前記光学材料のd線における屈折率が、1.61未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形レンズの製造方法。
- 前記光学材料はガラスであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の成形レンズの製造方法。
- 前記光学材料はプラスチックであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の成形レンズの製造方法。
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