JP4305324B2 - インクセット及びそれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
また、顔料を凝集させる、又は、顔料を含むインクを増粘させる反応剤を含む反応液を記録媒体上に付与し、その後、顔料を含むインクを付与して画像を形成する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
一方、インクに着目すると、インクをノズルから吐出させる際、ノズル先端のメニスカス部分において顔料等の色材の濃度が局所的に上昇して、ノズル詰まりが発生するという問題をも有していた。
すなわち、本発明は、ビヒクル成分の記録媒体への浸透・拡散を制御し、滲みを抑制することで、高品質の画像を得ることができると共に、ノズル詰まりを防止することの可能なインクセット、及び該インクセットを用いたインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
<1> 表面にアニオン性の親水性官能基を有する自己分散型顔料、又はアニオン性の樹脂により分散された顔料であるアニオン性色材と、後記一般式(1)、又は後記一般式(3)で表される構造を有する低分子有機アニオン性物質と、を含むインク、及び、該アニオン性色材と反応する反応剤を含む反応液からなることを特徴とするインクセットである。
<インクセット>
本発明のインクセットは、表面にアニオン性の親水性官能基を有する自己分散型顔料、又はアニオン性の樹脂により分散された顔料であるアニオン性色材と、後記一般式(1)、又は後記一般式(3)で表される構造を有する低分子有機アニオン性物質と、を含むインク、及び、該アニオン性色材と反応する反応剤を含む反応液からなることを特徴とする。
以下、本発明のインクセットを構成するインク及び反応液について説明する。
本発明に係るインクは、アニオン性色材と低分子有機アニオン性物質とを含んでいればよく、その他、水及び水溶性有機溶媒を基本成分として含有する。また、必要に応じて、種々の添加剤を含んでいてもよい。以下、本発明に係るインクを構成する各成分について説明する。
本発明において、「アニオン性色材」とは、少なくとも表面がアニオン性を示す色材、アニオン性の樹脂により分散されている色材、又は、表面にアニオン性の樹脂が結合している色材を指し、これらの色材について以下に示すが、本発明では、表面にアニオン性の親水性官能基を有する自己分散型顔料、又はアニオン性の樹脂により分散された顔料を用いることを要する。
本発明におけるアニオン性色材の1つである、少なくとも表面がアニオン性を示す色材としては、表面にアニオン性の親水性官能基を有する自己分散型顔料が挙げられる。
ここで、自己分散型顔料とは、表面に親水性官能基を有し、所謂高分子分散剤を用いることなく、自身で溶媒中に分散可能な顔料である。本発明において、顔料が「自己分散性」を有するか否かは、以下の試験により確認することができる。
この時、顔料濃度の測定方法は、特に限定されず、サンプルを乾燥させて固形分を測定する方法や、適当な濃度に希釈して透過率から求める方法等いずれでもよく、他に顔料濃度を正確に求める方法があれば、もちろんその方法によってもよい。
黒色と、シアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。顔料として特に好ましいものはカーボンブラックである。
また、本発明におけるアニオン性色材の1つである、アニオン性の樹脂により分散されている色材としては、アニオン性の樹脂により分散された顔料が挙げられる。
これに用いられる顔料は、前記「自己分散型顔料」の記載中に列挙した、親水性官能基を導入する以前の顔料と同一である。
また、インク中における樹脂(分散剤)の含有量は、0.1〜3質量%の範囲内であることが好ましい。添加量が3質量%を超える場合には、インク粘度が高くなり、インクの噴射特性が不安定となる場合がある。一方、添加量が0.1質量%未満の場合には、顔料の分散安定性が低下する場合がある。更に、0.15〜2.5質量%の範囲がより好ましく、0.2〜2質量%の範囲が特に好ましい。
本発明におけるアニオン性色材の1つである、表面にアニオン性の樹脂が結合している色材としては、表面にアニオン性の樹脂が結合している顔料が挙げられる。かかる顔料は、顔料表面と、アニオン性の樹脂と、が化学結合しているもので、主として、化学結合しているものが挙げられる。
なお、ここで、用いられる顔料は、前記「自己分散型顔料」の記載中に列挙した、親水性官能基を導入する以前の顔料と同一である。
また、この顔料の表面に結合する顔料は、前記「アニオン性の樹脂により分散された顔料」にて分散剤として記載したアニオン性の水溶性樹脂を用いることができる。
本発明におけるアニオン性色材の1つである、少なくとも表面がアニオン性を示す色材として染料を用いる場合は、公知のもの、或いは新規に合成したものを用いることができ、又前記顔料と併用することもできる。中でも、鮮やかな色彩の得られる、直接染料或いは酸性染料が好ましい。具体的には次のようなものが挙げられる
特に好ましい染料は、C.I.フードブラック−2、C.I.ダイレクトブラック−154、−168、−195である。
本発明における低分子有機アニオン性物質は、有機物質であることに起因する疎水性と、アニオン性を示す構造に起因する親水性と、を有する低分子化合物である。つまり、低分子有機アニオン性物質は、界面活性能を有する。このため、低分子有機アニオン性物質を含むインクを吐出すると、低分子有機アニオン性物質がインク液滴の最表面に配向することになる。その結果、このインク液滴の最表面に存在する低分子有機アニオン性物質と反応液とが優位に反応することになるため、ビヒクル成分の記録媒体への浸透・拡散の速度が低下し、滲みの発生が抑制されることになり、高品質の画像を得ることができる。また、同時に、インク中のアニオン性色材が反応液と反応するため、色材を記録媒体上に留める作用と固着させる作用とが発現し、画像の高濃度化及び高定着性が得られる。
更に、低分子有機アニオン性物質を含むインクを用いて画像形成する際、ノズル先端のメニスカス部分では、低分子有機アニオン性物質成分の濃度が上昇する。これにより、低分子有機アニオン性物質と、色材や樹脂のアニオン性基と、反発が発生し、メニスカス部分での色材や樹脂の濃度が低減されることから、ノズル詰まりを防止することができる。
また、低分子有機アニオン性物質のHLBは、インク中の安定性の観点から、20〜40であることが好ましく、20〜30であることがより好ましい。
本発明における低分子有機アニオン性物質は、構造中にカルボキシル基を少なくとも1つ有することが好ましい。
本発明においては、低分子有機アニオン性物質は、下記一般式(1)で表わされる構造を有することを要する。
また、このアルキル基は更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、メチル基やエチル基等のアルキル基が挙げられる。
Ar1で表わされる芳香族基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等が挙げられる。その中でも、ベンゼン、ナフタレンが好ましい。
なお、この芳香族基は更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、−OH(水酸基)等が挙げられる。
また、nは1〜3の整数を表わし、mは0〜2の整数を表わす。但し、nが2又は3である場合は、X1の少なくとも1つがCO2 −であり、その他がSO3 −、又はPO3 2−であってもよい。
つまり、一般式(1)で表わされる低分子有機アニオン性物質は、その構造内に、少なくとも1つのカルボキシル基又はその塩を有する。
即ち、2−ブチルナフタレンカルボン酸ナトリウム、2−エチルナフタレンカルボン酸ナトリウム、2−ヘキシルナフタレンカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
即ち、コハク酸、コハク酸ナトリウム、デセニルコハク酸、デセニルコハク酸ナトリウム、デセニルコハク酸カリウム、ドデセニルコハク酸、ドデセニルコハク酸ナトリウム、ドデセニルコハク酸カリウム、オクテニルコハク酸、オクテニルコハク酸ナトリウム、オクテニルコハク酸カリウム、ドデシルコハク酸、ドデシルコハク酸ナトリウム、ドデシルコハク酸カリウム等のアルケニルコハク酸、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
また、低分子有機アニオン性物質は、インク全質量に対して、0.5〜3質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは、0.6〜2質量%の範囲であり、更に好ましくは、0.7〜1.5質量%の範囲である。低分子有機アニオン性物質の添加量が0.5質量%未満では、反応性が十分ではなく滲みの抑制が不十分となり、3質量%を超えると、浸透作用が強く媒体上での光学濃度が低くなる。
本発明におけるインクを構成する水溶性有機溶媒としては、一般的にインクジェット記録用インクに使用されているものはいずれも使用でき、特に、多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。これら水溶性有機溶媒をインクに含有すると、インクの保湿性及び色材の溶解性が更に良好になり、目詰まりや、インクの吐出安定性を維持し、更に長期の保存に対しても色材の凝集・析出を防ぐことができる。特に、記録媒体(紙)への浸透性の観点からは、水溶性有機溶媒としてグリコールエーテルを含むことが好ましい。
本発明におけるインクを構成する水は、特に、不純物が混入することを防止するため、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することが好ましい。
本発明におけるインクの表面張力は、20〜60mN/mの範囲内に調整することが好ましく、より好ましくは20〜45mN/mの範囲内であり、更に好ましくは、25〜35mN/mの範囲内である。インクの表面張力が20mN/m未満では、ノズル面にインクが溢れ出し、正常に印字できない場合がある。また、60mN/mを超えると、記録媒体へのインク浸透性が遅くなるため、乾燥性が悪化し、高速印字に対応できなくなり生産性が低下することがある。
なお、上記表面張力(後述するものを含む)は、ウイルヘルミー型表面張力計を用いて、23℃、55%RHの環境下で測定した。
なお、上記粘度(後述するものを含む)の測定は、回転粘度計レオマット115(Contraves社製)を用い、23℃でせん断速度を1400s-1として行った。
以下にインクの調製方法の一例を示す。
本発明におけるインクが、アニオン性色材として、アニオン性の樹脂によって分散された顔料を用いた場合は、例えば、アニオン性の樹脂(分散剤)を所定量含む水溶液に所定量の顔料を添加し、十分に撹拌した後、分散機を用いて分散を行い、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、所定の水溶性有機溶媒、その他の成分等を加えて撹拌混合し、次いで、濾過を行って得ることができる。この際、予め顔料の濃厚分散体を作製し、インク調製時に希釈する方法も使用できる。また、分散工程の前に顔料の粉砕工程を設けてもよい。或いは、所定の水溶性有機溶媒、水、分散剤を混合後、顔料を添加して、分散機を用いて分散させてもよい。
本発明に係る反応液は、アニオン性色材と反応する反応剤を含有していればよく、その他、水及び水溶性有機溶媒を基本成分として含有する。また、必要に応じて、種々の添加剤を含んでいてもよい。以下、本発明に係る反応液を構成する各成分について説明する。
本発明におけるアニオン性色材と反応する反応剤としては、多価金属塩、PCA(ピロリドンカルボン酸)等の酸、カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子、が挙げられる。
反応剤の1つである多価金属塩とは、水に溶解した際に金属元素由来の2価以上の陽イオン(多価金属イオン)を生じる塩である。この多価金属イオンとしては、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等が挙げられる。
本発明における反応液を構成する水溶性有機溶媒には、上記インクで用いたものを用いることができる。
水溶性有機溶媒は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても構わない。水溶性溶媒の含有量としては、3〜40質量%の範囲が好ましく、より好ましくは、10〜35質量%の範囲である。反応液中の水溶性有機溶媒量が3質量%よりも少ない場合には、反応液が乾燥、析出しやすくなり、ノズル目詰まり等の吐出不良を起こしやすく、逆に、40質量%よりも多い場合には、反応液の紙への定着性が悪くなり、また液体の粘度が大きくなり、液体の噴射特性が不安定になる場合がある。
本発明における反応液には、通常、水が用いられるが、該水は、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水等を用いることができる。
本発明における反応液は、無色透明液として使用しても、色彩を有するカラーインクとして使用してもよく、この場合、反応液には上記の成分に加え色材を含有させる。この場合、反応液に含まれる色材としては、後述するインクの場合と同様の顔料や染料を用いることができる。
上記反応液に色材が含まれる場合には、該色材は反応液の全質量に対し10〜20質量%の範囲で含まれることが好ましく、3〜10質量%の範囲で含まれることがより好ましい。
本発明における反応液の表面張力は、画像乾燥時間及び画質の観点から、35mN/m以下であることが好ましく、25〜33mN/mの範囲であることがより好ましく、28〜31mN/mの範囲であることが更に好ましい。
また、本発明におけるインク及び反応液には、必要に応じて、例えば、表面張力調整剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤等を添加することができる。なお、添加剤の種類によっては、該添加剤を所定量添加することによって、本発明におけるインク及び反応液は、上記に示す好ましい物性を得ることができる。
また、反応液に場合は、従来公知の界面活性剤(アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤)や、多価アルコール類及び一価アルコール類を表面張力調整剤としても用いることができる。
これらの表面張力調整剤の含有量は、インクや反応液の全質量に対し、0.01〜3.0質量%の範囲であることが好ましく、0.03〜2.0質量%の範囲であることがより好ましく、0.05〜1.5質量%の範囲であることが更に好ましい。
これら添加剤としては、従来公知のものが制限なく使用することができる。
即ち、例えば、ブチルナフタレンカルボン酸誘導体(低分子有機アニオン性物質)と硝酸マグネシウム(反応剤)との組み合わせである。
本発明においては、上記混合液中に存在する粒径が5μm以上の粗粒数は、500個/μL以上であることが好ましく、より好ましくは500〜10,000個/μLの範囲であり、更に好ましくは500〜3,000個/μLの範囲である。混合液中に存在する粒径が5μm以上粗粒数が、500個/μL未満の場合には、形成される画像の光学濃度が低下する場合がある。
次に、本発明のインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、アニオン性色材と低分子有機アニオン性物質とを含むインク、及び、該アニオン性色材と反応する反応剤を含む反応液からなるインクセットを用い、前記インクと前記反応液とが互いに接触するように記録媒体上に付与して、画像を形成することを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、通常のインクジェット記録方式の記録装置により用いられる。この場合、一般的にはインク及び反応液は共に、各々1ドロップ当たりの液体質量は、0.0005〜0.1ngの範囲であることが好ましく、0.001〜0.04ngの範囲であることがより好ましい。1ドロップ当たりの液体質量が0.001〜0.04ngの範囲であると、特に普通紙における画質・乾燥性の両立が実現されやすい。
なお、一つのノズルから複数の体積のドロップを噴射することが可能であるインクジェット方式の記録装置において、上記ドロップ量とは、印字可能な最小ドロップのドロップ量を指すこととする。
インク付与量に対する反応液付与量の質量比が1/30未満である場合、凝集が不充分となり、光学濃度の低下、滲みの悪化、色間滲みの悪化が生じる場合がある。一方、インク付与量に対する反応液付与量の質量比が1/1を超える場合には、記録媒体のカール及びカクルが悪化する場合がある。
但し、記録媒体の種類により、インクや反応液の反応性や浸透性が変動するため、その種類に応じて、インク及び反応液の付与量を調整することが好ましい。
<インク及び反応液の作製>
下記の所定の組成となるように、各成分を混合、攪拌し、混合液を調製した。得られた液体を、5μmフィルターを通過させることにより、所望の各液体を得た。
・黒色顔料 (顔料分)5質量%
(商品名:Cab−O−Jet300、キャボット社製)
・グリセリン 20質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体 1質量%
(酸価108、重量平均分子量8500、100%Na中和)
・低分子有機アニオン性物質(下記化合物a) 1質量%
・水 残部
上記インク1aの組成中、低分子有機アニオン性物質を化合物aから化合物b又は化合物cに代えたものをインク1b、インク1cとした。
・黒色顔料(商品名:MA7、三菱化学社製) 5質量%
・グリセリン 20質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体 1質量%
(酸価200、重量平均分子量8500、100%Na中和)
・低分子有機アニオン性物質(下記化合物a) 1質量%
・水 残部
上記インク2aの組成中、低分子有機アニオン性物質を化合物aから化合物b又は化合物cに代えたものをインク2b、インク2cとした。
・黒色顔料 (顔料分)5質量%
(商品名:Cab−O−Jet300、キャボット社製)
・グリセリン 20質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体 1質量%
(酸価108、重量平均分子量8500、100%Na中和)
・低分子有機アニオン性物質(下記化合物a) 0.5質量%
・オルフィンE1010(日信化学社製) 0.5質量%
・水 残部
上記インク3aの組成中、低分子有機アニオン性物質を化合物aから化合物b又は化合物cに代えたものをインク3b、インク3cとした。
・黒色顔料 (顔料分)5質量%
(商品名:Cab−O−Jet300、キャボット社製)
・グリセリン 20質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・スチレン−アクリル酸共重合体 1質量%
(酸価108、重量平均分子量8500、100%Na中和)
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1質量%
・水 残部
(化合物a)
前記一般式(1)で表わされる低分子有機アニオン性物質(R1:n−ブチル基、Q:単結合、Ar1:ナフタレン、X1:CO2 -、M1:Na+、n=1、m=0)
(化合物b)
前記一般式(2)で表わされる低分子有機アニオン性物質(R1:n−ブチル基、Ar1:ベンゼン、X1:CO2 -、M1:Na+、n=3)
(化合物c)
前記一般式(3)で表わされる低分子有機アニオン性物質(R1:n−ブチル基、X1:CO2 -、M1:Na+)
−反応液A−
・グリセリン 20質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・硝酸マグネシウム 1質量%
・水 残部
結果を表1にまとめて示す。
まず、インク1a〜3c、4の10種類、及び反応液Aについて、表1に示した組み合わせにおいて、インクジェット方式による文字とベタ部の印字を行い、滲み及び耐擦性の評価を行った。印字は、試作した解像度360dpiのインクジェットプリントヘッドを3個並べたマルチパス印字の評価用サーマルインクジェットプリンター吐出量:約30pl、インク打ち込み量:約6ml/m2、印字は片側一括印字、ヘッドスキャンスピード:約40cm/秒)を使用し、1個のヘッドはインク用、残りの2個のヘッドは反応液用として行った。記録媒体としては、4024紙(ゼロックス社製)等を用いた。なお、印字順はインクを印字する前に画像形成部分に反応液を印字し、画素形成のための反応液とインクとの質量比(反応液/インク)は1/2とした。また、印字は20℃、50%RHで行った。
得られた印字物の文字部について、目視により以下の判断基準により評価を行った。
A:文字の滲みは認められなかった
B:文字の滲みが若干認められたが実用上問題ない
C:文字の滲みが著しかった
得られた印字物のベタ部を、指で擦った後、ベタ部について目視により以下の判断基準で評価を行った。
A:ベタ部周辺の擦り方向に色材汚れがない
B:ベタ部周辺の擦り方向に色材汚れが若干認められたが実用上問題ない
C:ベタ部周辺の擦り方向に色材汚れが著しかった
滲み、耐擦性評価に用いた画像(文字とベタ部)を100枚連続印字し、目視により以下の判断基準で評価を行った。
A:インクの吐出不良は認められなかった
B:インクの着弾位置ズレが若干認められたが実用上問題ない
C:インク滴が吐出しない抜けが著しかった(ノズル詰まりが発生した)
以上の評価結果をまとめて表1に示す。
また、この本発明のインクセットを用いた実施例1〜9のインクジェット記録方法(本発明のインクジェット記録方法)は、比較例1のインクジェット記録方法と比較して、滲みが効果的に抑制され、耐擦性に優れた高品質の画像が得られることが判明した。
Claims (2)
- 表面にアニオン性の親水性官能基を有する自己分散型顔料、又はアニオン性の樹脂により分散された顔料であるアニオン性色材と、下記一般式(1)、又は下記一般式(3)で表される構造を有する低分子有機アニオン性物質と、を含むインク、及び、該アニオン性色材と反応する反応剤を含む反応液からなることを特徴とするインクセット。
〔一般式(1)中、R 1 は炭素数1〜12のアルキル基を表わし、Qは単結合又は−OCO−からなる2価の連結基を表わし、Ar 1 は芳香族基を表わす。(X 1 M 1 )及び(X 2 M 1 )はいずれもアニオン性の親水性基を表わし、X 1 はCO 2 − を表わし、X 2 はSO 3 − 、又はPO 3 2− を表わし、M 1 はH + 、Na + 、K + 、NH 4 + 、又は有機アミン類を表わす。nは1〜3の整数を表わし、mは0〜2の整数を表わす。但し、nが2又は3である場合は、X 1 の少なくとも1つがCO 2 − であり、その他がSO 3 − 、又はPO 3 2− であってもよい。〕
〔一般式(3)中、R 1 は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表わす。また、(X 1 M 1 )はアニオン性の親水性基を表わし、X 1 はCO 2 − を表わし、M 1 はH + 、Na + 、K + 、NH 4 + 、又は有機アミン類を表わす。〕 - 表面にアニオン性の親水性官能基を有する自己分散型顔料、又はアニオン性の樹脂により分散された顔料であるアニオン性色材と、下記一般式(1)、又は下記一般式(3)で表される構造を有する低分子有機アニオン性物質と、を含むインク、及び、該アニオン性色材と反応する反応剤を含む反応液からなるインクセットを用い、前記インクと前記反応液とが互いに接触するように記録媒体上に付与して、画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
〔一般式(1)中、R 1 は炭素数1〜12のアルキル基を表わし、Qは単結合又は−OCO−からなる2価の連結基を表わし、Ar 1 は芳香族基を表わす。(X 1 M 1 )及び(X 2 M 1 )はいずれもアニオン性の親水性基を表わし、X 1 はCO 2 − を表わし、X 2 はSO 3 − 、又はPO 3 2− を表わし、M 1 はH + 、Na + 、K + 、NH 4 + 、又は有機アミン類を表わす。nは1〜3の整数を表わし、mは0〜2の整数を表わす。但し、nが2又は3である場合は、X 1 の少なくとも1つがCO 2 − であり、その他がSO 3 − 、又はPO 3 2− であってもよい。〕
〔一般式(3)中、R 1 は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表わす。また、(X 1 M 1 )はアニオン性の親水性基を表わし、X 1 はCO 2 − を表わし、M 1 はH + 、Na + 、K + 、NH 4 + 、又は有機アミン類を表わす。〕
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