JP4305028B2 - チップ型電子部品収納台紙用紙基材及びそれを用いた台紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はチップ型電子部品収納台紙用紙基材及びそれを用いるチップ型電子部品収納台紙に関するものであり、さらに詳しくは、錆などのチップ型電子部品への悪影響がなく、ボトムテープとの接着性が良好であるチップ型電子部品収納台紙用紙基材及びそれを用いたチップ型電子部品収納台紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チップ型電子部品収納台紙用紙基材は、通常次のように加工処理をして、チップ型電子部品収納台紙として、電子部品のキャリアとして使用される。
(1)所定の幅にスリットする。
(2)所定大きさの角穴と丸穴を開ける。角穴はチップ型電子部品収納用で、丸穴は充填機内送り用である。
(3)台紙の裏面にボトムテープを接着する。なお、台紙とボトムテープを接着する方法は、台紙とボトムテープを重ね、ボトムテープ上から熱と圧力を加えて接着する所謂ヒートシール法で行われる。
(4)チップ型電子部品を充填する。
(5)台紙の表面(トップ側)にカバーテープを接着する。なお、台紙とカバーテープを接着する方法は、台紙とカバーテープを重ね、カバーテープ上から熱と圧力を加えて接着する所謂ヒートシール法で行われる。
(6)所定の大きさのカセットリールに巻き付け、チップ型電子部品と共に出荷する。
(7)最終ユーザーでトップ側カバーテープを剥がし、チップ型電子部品を取り出す。
【0003】
上記のように使用されることから、台紙の重要品質項目として、錆などチップ型電子部品への悪影響のないこと、ボトムテープ、カバーテープとの接着性の良好なことが挙げられていた。とくにボトムテープは使用する工程で剥離されることはなく、高度な接着性が望まれている。ボトムテープとの接着性が弱いと、チップ型電子部品を収納した台紙がボトムテープ面を内側にしてカセットリールなどに巻きつけられた場合に、ボトムテープが剥離してしまい、収納されていたチップ型電子部品が脱落してしまう問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば実開昭56−2300号公報(特許文献1)では常温では粘着性を有さない接着剤層を設けてボトムテープとの接着性向上を図ったり、また特開平7−137767号公報(特許文献2)ではボトムテープと接触する表面の表面粗さ(Rmax)を特定値以下にすることでボトムテープの接着性向上を図っている。
しかし、これらの技術ではまだ十分に満足できるボトムテープとの接着性を得ることはできていなかった。
【0005】
【特許文献1】
実開昭56−2300号公報
【特許文献2】
特開平7−137767号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はチップ型電子部品収納台紙用紙基材及びそれを用いるチップ型電子部品収納台紙において、ボトムテープの接着性不良によるチップ型電子部品の脱落を防ぎ、安定したチップ型電子部品供給ができるチップ型電子部品収納台紙用紙基材及びそれを用いたチップ型電子部品収納台紙を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の発明を包含する。
(1)チップ型電子部品を収納するチップ型電子部品収納台紙用紙基材のヒートシール性ボトムテープを熱圧着する裏面にエチレンイミン誘導体を塗布量で0.01〜2.0g/m2の範囲で含有し、該エチレンイミン誘導体は、ポリビニルアルコール、デンプンおよびポリアクリルアミドから選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子と混合して塗布されていることを特徴とするチップ型電子部品収納台紙用紙基材。
(2)前記エチレンイミン誘導体がポリエチレンイミンであることを特徴とする(1)のチップ型電子部品収納台紙用紙基材。
(3)(1)又は(2)に記載のチップ型電子部品収納台紙用紙基材に、その表裏面に貫通する複数個の透孔が形成されているチップ型電子部品収納台紙。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、従来技術のチップ型電子部品収納台紙のボトムテープとの接着性が不十分で、ボトムテープが使用する工程で不用意に剥離してしまい、チップ型電了部品が脱落してしまう問題について改善を検討した結果、チップ型電子部品収納台紙用紙基材の裏面(ボトムテープを貼る面)にエチレンイミン誘導体を含有させることによって、問題を解決できることが分かり、発明を完成させた。
【0009】
本発明者らは、チップ型電子部品収納台紙の裏面にボトムテープを貼る際にヒートシール技術が使用され、そのヒートシールの接着性向上にはエチレンイミン誘導体やエチレン−アクリル酸共重合体塩などが裏面に存在していることが有効であることを見出した。さらに検討を進め、エチレン−アクリル酸共重合体塩などはチップ型電子部品を錆させる可能性が高く不適当であることも見出したのである。
【0010】
また、エチレンイミン誘導体を裏面に含有させるには単独で含有させるより他の水溶性高分子、特にポリビニルアルコール、デンプン、ポリアクリルアミドから選ばれる少なくとも1種類と共に存在することにより更に効果的に、接着性向上効果が発現されることも見出した,エチレンイミン誘導体と他の水溶性高分子は共に混合して塗布する事により、裏面に含有させる事が好ましい。これはエチレンイミン誘導体が紙層中しみ込まず、水溶性高分子と共に裏面表面に留まることにより、ボトムテープとの接着性と共に、紙表面強度が同時に強化されるためと思われる。
【0011】
本発明において、エチレンイミンの塗布量はチップ型電子部品収納台紙用紙基材の表面平滑度などによって適宜調整できるが、0.01〜2.0g/m2が好ましい。0.01g/m2未満では接着性向上の効果が不十分であり、2.0g/m2以上塗布しても紙中への浸透分が多くなり、効果の向上は期待できず不経済である。
【0012】
本発明のエチレンイミン誘導体としては、モノエタノールアミンを出発物質として製造されるエチレンイミンを開環重合したものや、アミノエチル化したものや、アジリジニル化したものなどが使用できるが、開環重合したポリエチレンイミンが最も効果が大きい。
【0013】
エチレンイミン誘導体の中で最も効果の大きいポリエチレンイミンとしては、分子量250〜100,000程度のものがあるが、分子量50,000以上ののものがより効果的である。
【0014】
本発明のチップ型電子部品収納台紙用紙基材に使用する原料パルプは各種のものが使用でき、例えば、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ、非木材繊維パルプ、合成パルプ等がある。これらのパルプは単独でも、二種以上混合使用しても良い。中でもチップの錆の原因となる還元性硫黄、硫酸イオン、塩素イオンなどの不純物の少ないものが好ましい
【0015】
本発明のチップ型電子部品収納台紙用紙基材で使用される内添薬品はサイズ剤としては、ロジン系サイズ剤、スチレン・マレイン酸、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸など、天然および合成の製紙用の内添サイズ剤が使用できる。またサイズ剤以外にも必要に応じて種々の薬品を使用できる。例えば、各種紙力増強剤、濾水歩留り向上剤、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等の耐水化剤、消泡剤、タルク等の填料、染料等を使用することができる。これらもパルプ同様、チップの錆の原因となる硫酸イオン、塩素イオンを含まないものが好ましい。
【0016】
本発明のチップ型電子部品収納台紙用紙基材は単層抄きでも多層抄きでもよいが、中に収納するチップ型電子部品の大きさにより決ってくるが、一般に300〜1000g/m2程度の坪量の大きいものになるため、地合いのとりやすい多層抄きのほうが好ましい。
【0017】
本発明のチップ型電子部品収納台用紙基材の表面(カバーテープを貼る面)には必要に応じて、ポリビニルアルコール、デンプン、ポリアクリルアミドなどの薬品を塗布することができる。
【0018】
本発明において、チップ型電子部品収納台用紙基材の裏面にエチレンイミン誘導体やその他水溶性高分子を塗布する手段としては、例えばバーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロッドコーター、ゲートロールコーターやサイズプレスやキャレンダーコーター等のロールコーター、ビルブレードコーター、ベルバパコーター等が使用できる。
【0019】
本発明のチップ型電子部品収納台紙用紙基材からチップ型電子部品収納台用紙が製造される。収納台紙を製造するには紙基材に、その長手方向にそってチップ型電子部品を収納するための、表面(トップテープ貼着面)に開口している所望寸法の多数の窪み(角孔)となる表裏面に貫通する所望寸法の貫通孔を所定間隔あけて形成し、台紙を搬送するための所望寸法の丸孔を所望間隔あけて形成する。
【0020】
本発明のチップ型電子部品収納台紙に貼着されるボトムテープは一般に基材と接着剤層からなり、接着剤層はポリエチレン樹脂などの好ましくは融点90〜130℃、より好ましくは105〜115℃のポリオレフィン樹脂から形成され、ヒートシール法により紙基材に接着することができる。ボトムテープの基材としては薄葉紙(坪量10〜20g/m2)が用いられる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、配合、濃度等を示す数値は、固型分又は有効成分の質量基準の数値である。また、実施例、比較例で抄造した紙はJIS P8111に準じて前処理を行った後、ボトムテープ接着テスト、発錆テストなどを行った。
【0022】
<ボトムテープ接着テスト法>
チップ型電子部品を収納する台紙を8mm幅のテープ状にカットし、ボトムテープのヒートシール機として、東京ウェルズ(株)製の「TWA6600」機を用い、ボトムテープとして日本マタイ(株)製のボトムテープ「チップボトムテープSPタイプ」を使用して、ヒートシール温度150℃でボトムテープをヒートシールした。
ヒートシール直後、試料のボトムテープ面を内側にして、直径10cmの円管に試料を巻き付けて、試料に歪みを与え、その歪みによるボトムテーブの剥離状況を目視で官能評価した、評価基準は下記の通りである。
【0023】
ボトムテープ剥離状況評価基準
○ :まったく剥離していない。
○〜△:接着面積の0%を越えて5%までの面積で剥離が生じた。
△ :接着面積の5%を越えて10%までの面積で剥離が生じた。
× :接着面積の10%を越えて剥離が生じた。
【0024】
<発錆テスト法>
チップ型電子部品を収納する台紙を8mm幅のテープ状にカットし、さらに長さ25cmにカットしたもの8枚を測定試料とする。
容量100mlの蓋付ガラス製秤量瓶に測定試料8枚を入れ、さらに錆のない銀製の1mm×1mm×1.5mmの金属片を20個入れ、蓋をして150℃の恒温器に1時間入れる。
20℃で30分放冷後、金属片だけをポリエチレン製の袋に入れて、錆の発生状況を目視で評価する。評価基準は下記の通りである。
【0025】
○ :テスト前と同様で変化無し。
○〜△;変色した金属片が1〜3個。
△ :変色した金属片が4〜6個。
× :変色した金属片が7個以上。
【0026】
参考例1
表層、中層、裏層でパルプを使い分け、表層用にはNBKP30%、LBKP70%を混合叩解し、CSF(カナダスタンダードフリーネス)400mlのパルプを調製し、中層用にはNBKP20%、LBKP20%、上質20%、新聞古紙40%の配合でCSF350mlのパルプを調製し、裏層用にはNBKP25%、LBKP25%、新聞古紙50%の配合でCSF400mlのパルプを調製した。それぞれのパルプスラリーに硫酸バンドを添加してPH6.0に調整した。以上の条件のバルプスラリーを円網3層抄合わせ抄造機で、それぞれ表層100g/m2、中層200g/m2、裏層50g/m2、で抄き合わせ、坪量350g/mlの原紙を抄造し、キャレンダーコーターで裏層表面に日本触媒(株)製「エポミンP−1000」(ポリエチレンイミン、分子量70,000)を水で濃度4質量%に希釈して、乾燥塗布量として0.5g/m2になるように塗布し、厚さ、0.42mmのチップ型電子部品収納台紙用紙基材を製造した。
【0027】
実施例1
キャレンダーコーターでの塗布薬品として、日本触媒(株)製「エポミンP−1000」(ポリエチレンイミン、分子量70,000、樹脂分30質量%)を水で濃度4質量%に希釈して、クラレ(株)製「PVA−117」(ポリビニルアルコール重合度1700)の4質量%水溶液を乾燥質量比で10:90となるように混合し、合計の乾燥塗布量が0.5g/m2になるように塗布した以外は参考例1と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を製造した。
【0028】
実施例2
キャレンダーコーターでの塗布薬品として、日本触媒(株)製「エポミンP−1000」(ポリエチレンイミン、分子量70,000)を水で濃度6質量%に希釈して、日本PMC(株)製「ST183H」(ポリアクリルアミド、分子量450000)の6質量%水溶液を乾燥質量比で30:70となるように混合し、合計の乾燥塗布量が1.0g/m2になるように塗布した以外は参考例1と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を製造した。
【0029】
実施例3
キャレンダーコーターでの塗布薬品として、日本触媒(株)製「エポミンP−1000」(ポリエチレンイミン、分子量70,000)と王子コーンスターチ(株)製「エースA」(酸化デンプン)の6質量%水溶液を乾燥質量比で30:70となるように混合し、合計の乾燥塗布量が1.0g/m2になるように塗布した以外は参考例1と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を製造した。
【0030】
実施例4
キャレンダーコーターでの塗布薬品として、日本触媒(株)製「エポミンP−1000」(ポリエチレンイミン、分子量70,000)を水で濃度2質量%に希釈して、クラレ(株)製「PVA−117」(ポリビニルアルコール重合度1700)の4質量%水溶液を乾燥質量比で5:95となるように混合し、合計の乾燥塗布量が0.3g/m2になるように塗布した以外は参考例1と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を製造した。
【0031】
参考例2
キャレンダーコーターでの塗布の替わりにオフマシンのバーコーターで、日本触媒(株)「ポリメントSK−1000」(アミノエチル化エチレンイミン エマルジョン)を水で希釈して濃度15質量%にして、乾燥塗布量として1.8g/m2になるように塗布した以外は参考例1と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を製造した。
【0032】
実施例5
キャレンダーコーターでの塗布薬品として、日本触媒(株)製「エポミンP−1000」(ポリエチレンイミン、分子量70,000)を水で濃度3質量%に希釈して、クラレ(株)製「PVA−117」(ポリビニルアルコール重合度1700)の3.5質量%水溶液を乾燥質量比で2:98となるように混合し、合計の乾燥塗布量が0.4g/m2になるように塗布した以外は参考例1と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を製造した。
【0033】
比較例1
キャレンダーコーターでの塗布は行わず、その他の条件は参考例1と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を製造した。
【0034】
比較例2
キャレンダーコーターでの塗布薬品として、クラレ(株)製「PVA−117」(ポリビニルアルコール重合度:1700)の4質量%水溶液を乾燥塗布量が0.5g/m2になるように塗布した以外は参考例1と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を製造した。
【0035】
【0036】
比較例3
キャレンダーコーターでの塗布薬品として、製鉄化学(株)製「ザイクセンN」(エチレン・アクリル酸共重合体ナトリウム塩)の10質量%水溶液を乾燥塗布量が0.5g/m2になるように塗布した以外は参考例1と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を製造した。
【0037】
以上の参考例、実施例、比較例のボトムテープ接着テスト結果および発錆テスト結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
実施例と比較例の対比から明らかなように、本発明の要件を満たすチップ型電子部品収納台紙用紙基材はボトムテープの接着性が向上し、かつ錆を発生させることがなく、チップ型電子部品収納台紙としての適性が優れている。
Claims (3)
- チップ型電子部品を収納するチップ型電子部品収納台紙用紙基材のヒートシール性ボトムテープを熱圧着する裏面にエチレンイミン誘導体を塗布量で0.01〜2.0g/m2の範囲で含有し、該エチレンイミン誘導体は、ポリビニルアルコール、デンプンおよびポリアクリルアミドから選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子と混合して塗布されていることを特徴とするチップ型電子部品収納台紙用紙基材。
- 前記エチレンイミン誘導体がポリエチレンイミンであることを特徴とする請求項1記載のチップ型電子部品収納台紙用紙基材。
- 請求項1又は2に記載のチップ型電子部品収納台紙用紙基材に、その表裏面に貫通する複数個の透孔が形成されているチップ型電子部品収納台紙。
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