JP4573495B2 - チップ型電子部品収納台紙用紙基材及びそれを用いた台紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はチップ型電子部品収納台紙用紙基材及びそれを用いる台紙に関するものであり、さらに詳しく述べるならば、本発明は、少なくともトップテープ及び/又はボトムテープに対して優れた接着性を有し、トップテープの剥離による毛羽立ちのない表面を有する、チップ型電子部品収納台紙用紙基材及びそれから得られる台紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チップ型電子部品を収納した台紙は、チップ型電子部品の担持材料(キャリア)として使用されるものであって、一般に下記の加工処理により製造され出荷され使用されるものである。
【0003】
(1)紙基材を所定の幅にスリットする。
(2)所定デザインに従って、角穴と丸穴を形成して台紙を形成する。角穴はチップ型電子部品収納用スペースであり、丸穴は、チップ充填機内において、台紙を搬送するために用いられる。角穴及び丸穴はパンチング法又はエンギス法により形成される。パンチング法により紙基材の表裏面を貫通する透孔が形成され、エンボス法により紙基材の表面側に開口するくぼみ(凹部)が形成される。
(3)上記台紙の裏面(ボトム側)にボトムテープを接着する。なお、台紙にボトムテープを接着する方法としては、一般に台紙上にボトムテープを重ね、ボトムテープにその上から熱と圧力を加えて熱圧着する所謂ヒートシール法が用いられる。
(4)前記台紙の角穴中にチップ型電子部品を充填する。
(5)台紙の表面(トップ側)にトップテープを接着する。
(6)得られたチップ型電子部品を収納した台紙を、カセットリールに巻き付け、巻き上げロールの形状で出荷され目的地に搬送される。
(7)最終ユーザーでチップ型電子部品を収納したロール状台紙を巻き戻し、そのトップテープを剥がし、台紙の角穴に収納されていたチップ型電子部品を取り出して使用する。
【0004】
上記の製造、搬送、使用方法に鑑み、台紙の重要品質項目として、紙基材表面と、トップテープとの接着性が良好なことが必要であり、この接着が不十分であると、トップテープが剥れ、角穴内に収納されているチップ型電子部品が脱落する危険性があり、収納台紙の目的機能であるチップ型電子部品の保護が達成できなくなってしまう。また角穴が紙基材の表裏面を貫通する透孔である場合、紙基材とボトムテープとの接着強度が不十分であると、トップテープの場合と同様に、チップ型電子部品の保護を達成ができないことがある。
【0005】
ボトムテープは、台紙の裏面の全面上に貼着され、それが剥離されることはない。しかし、トップテープは、チップ型電子部品を取り出すために、台紙表面から剥離されるので、台紙の表面の全面に貼着されることはなく、チップ型電子部品を収納している角穴の列上のみを被覆するように貼着される。従って、トップテープの貼着面積は、ボトムテープの貼着面積よりも小さい。このため、トップテープと台紙表面との間の、単位面積当りの接着強さは、ボトムテープと台紙裏面との間の単位面積当りの接着強さよりも高いことが好ましい。
【0006】
また、近年電子製品のコストダウンを図るため、収納台紙に対するチップ型電子部品の充填封止速度の向上が求められてきている。しかし、トップシート及び/又はボトムテープの貼着工程における加熱温度及び圧力値は、従来とほゞ同等であることも求められている。従って、テープ貼着(封止)工程において、加熱温度及び加圧圧力を変更せずにその時間だけを短縮しなければならないという、接着に関しては、きわめて厳しいヒートシール条件が求められているのである。
【0007】
従来、収納台紙用紙基材表裏面の、トップテープ及びボトムテープに対する接着性を向上させるために、紙基材表裏面の平滑性を向上させるという手段が行われてきた。この従来手段は、紙基材の表裏面とトップテープ及びボトムテープとの実効接触面積を増大させることにより、両者の接着強さを向上させようとするものである。しかしながら、チップ型電子部品の充填速度の著るしい増大のため、平滑度向上のみでは、所望の接着強さの向上を達成することは困難である。このため、所望の接着強さの向上を達成させるための新規手段の開発が強く求められている。
【0008】
また、電子部品を収納してカセットリールに巻き付けられた収納台紙は、電子部品の使用の際に、チップマウンタにセットされ、台紙からトップテープが剥がされ、チップマウンタのヘッドが台紙に収納されている電子部品を取り出し、これを所望電子部材、例えばプリント基板に装填する。この工程において、トップテープを台紙から剥がす際、台紙の、トップテープに接合しているパルプ繊維が、トップテープに引っ張られるため毛羽立ちを生じ、脱落して収納台紙の角穴上を覆うことがある。この場合、チップマウンタのヘッドが、台紙より電子部品を取り出すことが不可能になる。この場合には、電子部品の、所望電子部材、例えばプリント基板上への装着成績、すなわち実装率が低下する。
【0009】
台紙表面におけるパルプ繊維の毛羽立ち及び脱落を防止するための従来の手段としては、(1)紙基材に高強度パルプを配合する方法。(2)紙基材用パルプの叩解度を高くし、フリーネスを下げ、パルプの絡み合いを増進する方法。(3)紙基材のトップテープを貼着する表面側層に、紙力向上剤を内添する方法。(4)紙基材のトップテープを貼着する表面に表面強度向上剤を塗工する方法などが知られている。
【0010】
しかし、近年台紙用紙基材表面の接着性の要求レベルが著しく高くなったため前記方法(1)及び(2)はこの要求に十分応ずることができないものであり、方法(1)と(2)とを併用しても、前記要求に十分応ずることができない。前記方法(3)については、紙力向上剤の主成分が水溶性高分子材料であり、この水溶性高分子材料のSP値が高く、一般的には15以上であり、20以上のものが多い。そのためカバーテープのSP値と、台紙用紙基材表面のSP値との差が大きくなるため、両者の親和性が低下して接着性が悪くなるという欠点がある。
更に方法(4)についても、同様の理由で、毛羽立ち及び毛羽の脱落を抑制することができても、トップテープと、台紙用紙基材表面との接着性が悪化し、このため実用に供し得ない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、チップ型電子部品収納台紙に形成され、この台紙に、トップテープ及び/又はボトムテープが加熱加圧下に接着されたとき、高い剥離強さ(接着強さ)を示す、チップ型電子部品収納台紙用紙基材及びそれから形成された台紙を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のチップ型電子部品収納台紙用紙基材は、チップ型電子部品を収納する台紙製造用紙基材であって、前記紙基材の表裏面の少なくとも1面に、6.5〜14.0の溶解パラメータ(Solubility parameter、以下これをSP値と記す)を有する接着性調節剤が分布していることを特徴とするものである。
本発明の紙基材において、前記接着性調節剤の前記紙基材表面又は裏面における分布量が、0.005〜2.0g/m2 であることが好ましい。
本発明の紙基材において、前記紙基材が、紙基体と、その表裏面の少なくとも1面上に形成された塗工層とを含み、前記塗工層中に、前記接着性調節剤が含まれているものであってもよい。
本発明の紙基材において、前記塗工層が、水溶性高分子バインダーをさらに含んでいてもよい。
本発明の紙基材において、前記紙基体と前記塗工層との間に、水溶性高分子バインダーを含む下塗り層がさらに形成されていてもよい。
本発明の紙基材において、前記紙基体が、水溶性高分子バインダーを含んでいてもよい。
本発明の紙基材において、前記接着性調節剤が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアクリルエステル系樹脂、ロジン系化合物、スチレン−アクリル系共重合体、ワックス系化合物、スチレン−ブタジエン共重合体及びポリエチレンイミン系化合物から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の紙基材において、前記水溶性高分子バインダーが、澱粉、変性澱粉、カゼイン、大豆蛋白、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、変性水溶性ポリビニルアルコール系樹脂及びポリピロリドン系樹脂から選ばれた少なくとも1種からなるものであることが好ましい。
本発明の紙基材において、前記水溶性高分子バインダー及び前記接着性調節剤含有塗工層の塗工量が0.05〜5.0g/m2 であることが好ましい。
本発明の紙基材において、前記紙基材の表面又は裏面に、それに幅8mmのホットメルト性カバーテープ、の両縁端から0.5mm内側の、幅0.4mmの2縞状部分を、温度155℃、圧力196kPa(2.0kgf /cm2)、接着速度3.0m/分(A条件)又は5.0m/分(B条件)の条件下において加熱加圧接着したとき、前記紙基材の表面又は裏面と、トップテープ又はボトムテープとの間の、JIS C 0806に準拠して測定された剥離強さが、前記接着速度がA条件の場合においては、100mN以上であり、かつ、前記接着速度がB条件の場合においては、70mN以上であることが好ましい。
本発明のチップ型電子部品収納用台紙は、本発明の前記紙基材に、その表面側において開口している複数個の凹部、又は紙基材の表裏両面に貫通する複数個の透孔が形成されているものである。
【0013】
本発明において、溶解パラメータ(Solubility parameter)(SP値)とは、2成分系正則溶液(Regular solution)の凝集エネルギー密度の平方根(単位(Cal:cm-3)1/2)を云う。
溶解パラメータ(SP値)は、「最新 紙加工便覧」(昭和63年8月20日、テックタイムス発行)の第523〜524行に記載の方法等により算出することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のチップ型電子部品収納台紙用紙基材(以下紙基材と記す)は、具体的には前記紙基材の、ホットメルト性カバーテープと加熱加圧接着する表裏面の少なくとも1面に、8.0〜12.0の溶解パラメータ(Solubility parameter、以下SP値と記す)を有するスチレン−アクリル系共重合体である接着性調節剤、及び澱粉、変性澱粉、ポリアクリルアミド樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂から選ばれる少なくとも1種である水溶性バインダーからなる塗工層が形成されており、
前記塗工層中の接着性調節剤の分布量が0.005〜2.0g/m2の範囲内にあり、
前記接着性調節剤と、前記水溶性バインダーとの含有質量比が、1:99〜80:20であり、
前記接着性調節剤及び水溶性バインダーの合計塗工量が0.05〜5.0g/m 2 の範囲内にあるものである。
本発明の紙基材から製造されるチップ型電子部材収納台紙(以下台紙と記す)の表面に貼着されるトップテープ及び台紙裏面に貼着されるボトムテープは、一般にポリエチレンを主成分として含むホットメルト性ポリオレフィン樹脂から形成され、その融点は90〜130℃の範囲内にあることが好ましく、105〜115℃の範囲内にあることがより好ましい。このようなホットメルトテープに対する紙基材の接着性を向上させるために、その少なくとも片方の接合面にコロナ放電処理又は薬品処理(例えばアクリル酸エステル、又は四級アンモニウム塩による処理)が施されている。一般に、台紙用ホットメルトテープのSP値は、一般に8〜12程度である。また、2種の物質の接着性はそれぞれのSP値が近似している程高くなるから、紙基材のテープ接着面に8〜12.0の範囲内のSP値を有する物質が接着性調節剤として分布していることが好ましい。
本発明に用いられる接着性調節剤のSP値が、8.0未満、又は12.0をこえると、トップテープ及び/又はボトムテープに対する加熱加圧下の接着性が不十分になる。
【0015】
本発明の紙基材に用いられる接着性調節剤としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアクリルエステル系樹脂、ロジン系化合物、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレンイミン系化合物、及びワックス系化合物から選ぶことができ、これらの中でもロジン系化合物、スチレン−アクリル系共重合物、ワックス系化合物、スチレン−ブタジエン共重合体及びポリエチレンイミン系化合物が用いられるが、より具体的にはスチレン−アクリル系重合体である。
【0016】
前記接着性調節剤の紙基材表面又は裏面における分布量が、0.005〜2.0g/m2 であることが好ましく、0.01〜1.0g/m2 であることが好ましい。接着性調節剤の分布量が0.005g/m2 未満であると、得られる接着面における接着強さが不十分になることがあり、また、それが2g/m2 を越えると、接着強さが飽和し、経済的に不利になることがある。紙基材の表面(トップテープが貼着される面)における接着性調節剤の分布量は0.005〜2.0g/m2 であることが好ましい。
【0017】
本発明の一態様において、接着性調節剤が、紙基材中に分布されていて、その一部分が紙基材の表面及び/又は裏面に露出している。このような態様の紙基体は、その製紙工程において、パルプスラリー中に接着性調節剤を分散させて(内添法)もよく、又は外添法により所望面部に含浸させてもよい。或は、紙基材を、少なくとも2層の紙層を積層させて製造し、その表面紙層及び/又は裏面紙層の製紙工程において、そのパルプスラリー中に接着性調節剤を分散させて(内添法)もよく、又は、外添法により所望面部に含浸させてもよい。
【0018】
本発明の他の態様において、紙基材は、紙基体と、その表裏面の少なくとも1面上に形成された塗工層とを含み、前記塗工層中に、前記接着性調節剤が含まれている。この態様においては、紙基体の所望面上に、接着性調節剤液が塗布(ロールコーティング法、スプレー法、ブラッシュコーティング法など)され乾燥される。
【0019】
上記塗工層を形成する態様においては、この塗工層に水溶性高分子バインダーが含まれていてもよい。特に、紙基体の表面(トップテープ貼着面)に形成される塗工層に水溶性高分子バインダーが含まれていると、トップテープの剥離の際に、この剥離面において、パルプ繊維の毛羽立ち及び離脱を防止することができる。その理由は下記のように推測される。
水溶性高分子バインダーは水に溶解することから理解されるように、極性が高い物質であって、その分子構造中に多数の水素結合を形成する官能基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、スルホン酸基など)を含んでいる。そのため、水溶性高分子バインダーを使用すると前記官能基が、紙基材中のセルロース分子の水酸基と水素結合を形成し、パルプ繊維間の結合点が増加し、それにより繊維間の結合力が増大する。さらに、水溶性高分子バインダーの分子相互間においても水素結合を形成し、フィルム形成能力を発揮する。このため、水溶性高分子バインダーを紙基材表面に塗工すると、紙基材自体の表面強度が強化され、その結果パルプ繊維の毛羽立ち及び離脱が抑制される。
【0020】
本発明の上記態様において、前記紙基体と前記塗工層との間に、水溶性高分子バインダーを含む下塗り層がさらに形成されていてもよく、或は、前記紙基体が、水溶性高分子バインダーを含んでいてもよい。
紙基体中に水溶性高分子バインダーを含有させるには、パルプスラリー中に、水溶性高分子スラリーを添加混合する内添法を用いてもよく、或はコーター等により塗工する外添法を用いてもよい。一般に、塗工による外添法のほうが、添加量をコントロールし易いため有利である。外添法を用いる場合、シングル塗工、ダブル塗工、及び3段以上の多段塗工のいずれでもよい。更に、内添法と塗工法を併用してもよい。
【0021】
本発明の紙基材に用いられる水溶性高分子バインダーとして、例えば、澱粉、カチオン化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、酢酸エステル澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの変性澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂及びシリル変性ポリビニルアルコール樹脂、カルボキシ変性ポリビニルアルコール樹脂などの変性ポリビニルアルコール樹脂及びポリピロリドン系樹脂を用いることができるが、より具体的には、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコール系樹脂、及びポリアクリルアミド系樹脂が用いられ、これらは単独で用いてもよく、或はそれらの2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
本発明の紙基材において、紙基体上に接着性調節剤及び/又は水溶性高分子バインダー液を塗工するには、バーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロッドコーター、ゲートロールコーターやサイズプレス用のロールコーター、ビルブレードコーター、ベルバパコーターなどを用いることができる。
【0023】
前記水溶性高分子バインダー及び接着性調節剤含有塗工層の塗工量は0.1〜5.0g/m2 であることが、所望の機能を有し、かつ経済的に合理的な塗工層を形成するために好ましく、1.0〜2.5g/m2 であることがより好ましい。
また、本発明の紙基材中に含まれる接着性調節剤と、水溶性高分子バインダーとの質量比は、1:99〜80:20であることが好ましく、1:20〜50:50であることがより好ましい。上記質量比が、1/99未満であると、トップテープ及びボトムテープに対する接着性向上効果が不十分になることがあり、80/20をこえると、カバーテープの剥離面におけるパルプ繊維の毛羽立ち及び離脱量が増大することがある。
さらに、紙基体上に塗工された水溶性高分子バインダーと接着性調節剤との合計量は0.05〜5.0g/m2 の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは、1.0〜2.5g/m2 である。合計量が0.1g/m2 未満では接着性調節効果及び毛羽防止効果の少なくとも一方が不十分になることがあり、それが5.0g/m2 をこえると、効果が飽和し、経済的に不利になることがある。
【0024】
本発明の紙基材又は紙基体を構成するパルプには、格別の制限はなく、例えば、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ、非木材繊維パルプ、合成パルプ等を使用することができる。これらのパルプは単独で使用されてもよく、或はその二種以上を混合して使用してもよい。
また、上記パルプには、必要に応じて各種添加剤、例えば、ロジン、スチレン・マレイン酸、アルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、ポリアクリルアミド系、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉等の澱粉類、ポリビニルアルコール、グアーガム等の紙力増強剤、ポリアマイド等の濾水歩留り向上剤、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等の耐水化剤、消泡剤、タルク等の填料、及び染料等の1種以上が添加されていてもよい。
上記添加剤の中でも、紙力増強剤は紙基材表裏面の毛羽立ちを抑制するのに効果があり、特にカバーテープ(トップテープ又はボトムテープ)が接着される紙層に0.5〜10kg/パルプトンの添加量に添加されることにより、得られる紙基材の表面強度が向上し、毛羽立ちが抑えられる。その添加量が0.5kg/パルプトン未満では、十分な効果が得られないことがあり、またそれが10kg/パルプトンを超えて添加しても効果が飽和し抄紙系を汚すなどの問題を生ずることがある。
【0025】
本発明の紙基材の坪量は、一般に200〜1000g/m2 程度であることが好ましい。このような坪量範囲の紙基材(又は紙基体)を製造するには、抄造方法として、2層以上の多層抄きを用いることが一般的であるが、勿論単層抄きであってもよい。
抄紙後、プレス、ドライヤー処理をして乾燥するが、ドライヤー処理後、カレンダー処理を併用すると、紙基材又は紙基体の表面の平滑度が高くなるので、前述した理由により、接着強さを強くするのに効果的である。
【0026】
本発明の紙基材は、その表面又は裏面(カバーテープ(トップテープ又はボトムテープ)の貼着面)に、幅8mmのホットメルト性カバーテープ(トップテープ又はボトムテープ)の両縁端から0.5mm内側の幅0.4mmの2縞状部分を、温度155℃、圧力196kPa(2.0kgf /cm2)、接着速度3.0m/分(A条件)又は5.0m/分(B条件)の条件下において加熱加圧接着したとき、前記紙基材表面と、カバーテープ(トップテープ又はボトムテープ)との間の、JISC 0806に準拠して測定された剥離強さが、前記接着速度がA条件の場合100mN以上であり、かつ、前記接着速度がB条件の場合70mN以上であることが好ましい。
上記剥離強さは測定値の最大値と最小値の平均値である。この平均数値を下回ると、最小値の部分でカバーテープ(トップテープ又はボトムテープ)の接合に不十分な個所が出てくる。また、加熱加圧接着速度に応じて、最低限必要な剥離強さが異なっている理由は、下記のように考えられる。即ち、接着速度が下がると、カバーテープ(トップテープ又はボトムテープ)と紙基材間の加圧時間が長くなるため、これらの間の接触点の数は増加し、そのため同一剥離強さにおいて比較すると、接着速度の低い方が、接触点1個当りのカバーテープ(トップテープ又はボトムテープ)と収納台紙間の接着強さは低くなる。従って、同一剥離強さでは、接着速度の遅い方が、微視的に見ると接着強さの弱い部分が発生し易くなる。このため、十分な接着強さを確保するには、平均の剥離強さの平均値を高くしておく必要があると考えられる。上記理由により、紙基材から製造された収納台紙が安全にチップ型部品を収納保護し、担持するためには、接着速度A条件の場合には、剥離強さを100mN以上であり、B条件の場合には、70mN以上であることが必要であると考えられる。また接着速度Aが条件の場合の剥離強さが1500mNをこえるとき、及び接着速度B条件の場合の剥離強さが1050mNをこえるときは、紙基材の接着面部分が、その下の部分から層間剥離を生ずることがある。
【0027】
本発明の紙基材から、チップ型電子部品収納台紙が製造される。収納台紙を製造するには、紙基材に、その長手方向に沿ってチップ型電子部品を収納するための、表面(トップテープ貼着面)に開口している所望寸法の多数のくぼみ(角穴、凹部)又は、表裏面に貫通する所望寸法の多数の貫通孔を、所定間隔をあけて形成し、台紙を搬送するための所望寸法の多数の丸穴を所望間隔をあけて、形成する。
【0028】
本発明の収納台紙に貼着されるトップテープ及びボトムテープは、一般に、基材と接着層とからなり、接着層は、ポリエチレン樹脂などの、好ましくは融点90〜130℃、より好ましくは105〜115℃のポリオレフィン樹脂から形成され、ヒートシール法により、紙基材に接着することができる。紙基材の表面側に貼着されるカバーテープ(トップテープ)の基材は、ポリエステルテープ(厚さ20〜30μm)が一般に用いられ、またボトムテープの基材としては、薄葉紙(米坪量:約15g/m2 )が用いられる。ボトムテープの基材として薄葉紙を用いると、収納台紙から、比較的大きなチップ型電子部品をバキュームを用いて取り出すとき、ボトムテープを介して、電子部品を下から針で突き上げることにより、電子部品を浮かせて、バキューム吸出しを容易にすることができる。
トップテープ及び/又はボトムテープのヒートシールにはヒートシール機が用いられる。
【0029】
【実施例】
本発明を下記実施例により詳細に説明する。但し、本発明はこれにより限定されるものではない。配合比及び濃度等を示す数値は、乾燥固形分または有効成分の質量による。尚、実施例1〜7,11,12,14〜20、及び22〜24は参考例である。
【0030】
実施例1
トップテープが貼着される表側紙層用パルプとしてNBKP/LBKP=60/40の配合率のものを用い、その坪量を160g/m2 に調整し、中間紙層用パルプとしてNBKP/LBKP/脱墨新聞古紙=40/40/20の配合率のものを用い、その坪量を310g/m2 に調整し、裏側紙層用パルプとしてNBKP/LBKP/BCTMP=40/40/20の配合率のものを用い、坪量を80g/m2 に調整して、それぞれの紙層を抄紙し、積層し、プレスし、ドライヤーで脱水乾燥処理して、表/中間/裏3紙層構造を有する紙基体を作製した。
この紙基体の表紙層上に、バーコーターを用いて、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)を0.2g/m2 の塗工量で、塗工し、これにドライヤー乾燥とカレンダー処理とを施し、坪量約550g/m2 のチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。
【0031】
実施例2
実施例1と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)の塗工量を0.01g/m2 に変更した。
【0032】
実施例3
実施例1と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)の塗工量を0.8g/m2 に変更した。
【0033】
実施例4
実施例1と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)を、SP値が7.5のワックス系化合物(商標;サイズパインW−116H、荒川化学工業社製)に変更し、かつ、その塗工量を0.2g/m2 にした。
【0034】
実施例5
実施例1と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)を、SP値が8.5のロジン系化合物(商標;RFサイズ880L−50、ミサワセラミック社製)に変更し、かつその塗工量を0.2g/m2 にした。
【0035】
実施例6
実施例1と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、表紙層用パルプに、SP値が9.3のロジン系化合物(商標;サイズパインE−50、荒川化学工業社製)5kg/パルプトン、及び硫酸アルミニウム3kg/パルプトンを添加した。
【0036】
実施例7
実施例6と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、ポリスチレン−アクリル系共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)を塗工しなかった。
【0037】
比較例1
実施例1の紙基体(塗工前のもの)と同一の紙基体をチップ型電子部品収納台紙用紙基材とした。
【0038】
比較例2
実施例1と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)の代りに、SP値が6.2のフッ素化合物(商標;アサヒガードAG−550、明成化学工業社製)を用い、その塗工量を0.2g/m2 とした。
【0039】
比較例3
実施例1と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)の代りに、SP値が23.4のポリビニルアルコール系樹脂(商標;クラレポバールPVA−117、クラレ社製)を用い、その塗工量を0.2g/m2 とした。
【0040】
比較例4
実施例1と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)の代りに、SP値が15.4のポリアクリロニトリル重合物(アクリロニトリル100部、蒸留水180部、及び石鹸フレーク4.5部を重合容器に仕込み混合し、これに過酸化水素0.35部、第一硫酸鉄0.02部、ステアリン酸0.6部、ピロリン酸ナトリウム0.1部、及び塩化カリウム0.3部をさらに加え、この混合液を30℃に加温し、攪拌しながら24時間重合して得られたポリアクリロニトリル水分散重合物。)を0.2g/m2 の塗工量で塗工した。
【0041】
実施例1〜7及び比較例1〜4で得られたチップ型電子部品収納台紙用紙基体の剥離強さを表1に示す。その測定方法は下記のとおり。
(剥離強さ測定法)
供試紙基材を、その長手方向に、幅8mmのテープ状にカットした。
この紙基体テープ上にトップテープ(商標;318H−14A、日東電工社製)の両縁端から0.5mm内側の、幅0.4mmの2縞状部分をヒートシール機(モデル:TST−1200、日東電工社製)を用いてヒートシールした。ヒートシール条件は、ヒートシール温度:155℃で、ヒートシール速度:3.0m/分(A条件)、及びヒートシール速度:5.0m/分(B条件)であった。このヒートシールされた紙基材からトップカバーテープを、ピール強度測定機(モデル:NPT−100、日本ガーター社製)を用いて剥がし、剥離強さを測定した。
測定値の最大値と最小値の平均値をもってヒートシール強さ=(剥離強さ)とした。テスト結果を表1に記す。なお、剥離強さの測定は、JIS C 0806に準拠して行った。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例8
トップテープが貼着される表側紙層用パルプとして、NBKP/LBKP=60/40の配合率のものを用い、これに水溶性高分子紙力剤ポリアクリルアミド系樹脂(商標;ポリストロン1233、荒川化学工業社製)5kg/パルプトンと、硫酸バンド2kg/パルプトンとを添加し、表側紙層の坪量を160g/m2 に調整し、中間紙層用パルプとしてNBKP/LBKP/脱墨新聞古紙=40/40/20の配合率のものを用い、これを水溶性高分子紙力剤ポリアクリルアミド系樹脂(商標;ポリストロン1233、荒川化学工業社製)2kg/パルプトンと、硫酸バンド2kg/パルプトンとを添加し、中間紙層の坪量を310g/m2 に調整し、裏側紙層用パルプとしてNBKP/LBKP/BCTMP=40/40/20の配合率のものを用い、これに水溶性高分子紙力剤ポリアクリルアミド系樹脂(商標;ポリストロン1233、荒川化学工業社製)2kg/パルプトンと、硫酸バンド2kg/パルプトンとを添加し、裏側紙層の坪量を80g/m2 に調整して、それぞれを抄紙し、積層し、プレスし、ドライヤーで脱水乾燥処理して、表/中間/裏層からなる紙基体を作製した。
【0044】
その紙基体に、バーコーターを用いて、水溶性高分子ポリアクリルアミド系樹脂(商標;Xコート130、星光化学工業社製)を1.5g/m2 塗工量で下塗り塗工し、さらにその上にバーコータを用いて、ポリアクリルアミド系樹脂(商標;Xコート130、星光化学工業社製)と、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)とを95/5の配合比で含む塗料を、0.5g/m2 塗工量で塗工し、ドライヤー乾燥し、カレンダー処理を施して、坪量約550g/m2 のチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。
【0045】
実施例9
実施例8と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、下塗り塗工における水溶性高分子ポリアクリルアミド系樹脂(商標;Xコート130、星光化学工業社製)の代りに、酵素変性澱粉(商標;ソルダインCS−50、大和化学工業社製)0.3g/m2 を用い、これをバーコータで下塗り塗工し、その上にバーコータを用いて、酸化澱粉(商標;エースA、王子コンスターチ社製)及びSP値が10.5のポリスチレン−アクリル系共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)を、15/85の配合比で含む塗料を、1.5g/m2 の塗工量で塗工した。
【0046】
実施例10
実施例8と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、表側紙層に内添する水溶性高分子紙力剤ポリアクリルアミド系樹脂(商標;ポリストロン1233、荒川化学工業社製)5kg/パルプトンの代りに、カチオン化澱粉(商標;マーメイドC−50、敷島スターチ製)8kg/パルプトンを使用し、かつ塗工層形成に用いられた、ポリアクリルアミド系樹脂(商標;Xコート130、星光化学工業社製)と、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)との配合比を9/1に変更し、その塗工量を1.2g/m2 に変更して紙基体の裏側紙層上に塗工した。
【0047】
実施例11
実施例8と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、下塗り塗工用の水溶性高分子ポリアクリルアミド系樹脂(商標;Xコート130、星光化学工業社製)からなる塗料の代りに、水溶性高分子ポリアクリルアミド系樹脂(商標;Xコート130、星光化学工業社製)と、ポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)との配合比75/25の配合塗料を、1.5g/m2 の塗工量で塗工し、その上にポリアクリルアミド系樹脂(商標;ポリストロン1233、荒川化学工業社製)と、SP値が7.5のワックス系化合物(商標;サイズパインW−116H、荒川化学工業社製)との配合比2/8の配合塗液を、0.5g/m2 の塗工量で塗工した。
【0048】
実施例12
トップテープが貼着される表側紙層用パルプとしてNBKP/LBKP=60/40の配合率のものを用い、これに硫酸バンド2kg/パルプトンを添加し、坪量を160g/m2 に調整し、中間紙層用パルプとしてNBKP/LBKP/脱墨新聞古紙=40/40/20の配合率のものを用い、これに水溶性高分子紙力剤ポリアクリルアミド系樹脂(商標;ポリストロン388、荒川化学工業社製)2kg/パルプトン、及び硫酸バンド2kg/パルプトンとを添加し、坪量を310g/m2 に調整し、裏側紙層用パルプとしてNBKP/LBKP/BCTMP=40/40/20の配合率のものを用い、これに水溶性高分子紙力剤ポリアクリルアミド系樹脂(商標;ポリストロン388、荒川化学工業社製)2kg/パルプトン、及び硫酸バンド2kg/パルプトンを添加し、その坪量を80g/m2 に調整して、それぞれを抄紙し、積層し、プレスし、ドライヤーで脱水乾燥処理して、表/中間/裏3層積層紙基体を作製した。
【0049】
この紙基体の表側紙層上に、水溶性高分子ポリビニルアルコール系樹脂(商標;デンカポバールK−17C、電気化学工業社製)を、バーコーターを用いて3.5g/m2 の塗工量で下塗り塗工し、その上にバーコータを用いて水溶性高分子ポリビニルアルコール系樹脂(商標;デンカポバールK−17C、電気化学工業社製)と、SP値が8.5のロジン系化合物(商標;RFサイズ880L−50、ミサワセラミックス社製)との配合比:3/7の塗料を、1.0g/m2 の塗工量で塗工して塗工層を形成し、ドライヤー乾燥し、カレンダー処理を施し、坪量約550g/m2 のチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。
【0050】
実施例13
実施例12と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を製造した。但し、下塗り用水溶性高分子ポリビニルアルコール系樹脂(商標;デンカポバールK−17C、電気化学工業社製)の代りに、酵素変性澱粉(商標;ソルダインCS−50、大和化学工業社製)と、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)との配合比6/4の配合塗料を2.5g/m2 の塗工量でバーコータで塗工し、その上に更にポリアクリルアミド系樹脂(商標;Xコート130、星光化学工業社製)を、バーコータで、0.5g/m2 の塗工量で塗工した。
【0051】
実施例14
実施例12と同様に、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を製造した。但し、紙基体の裏側紙層上に水溶性高分子ポリビニルアルコール系樹脂(商標;デンカポバールK−17C、電気化学工業社製)と、SP値が7.5のワックス系化合物(商標;サイズパインW−116H、荒川化学工業社製)との配合比7/3の配合塗液を0.5g/m2 の塗工量で塗工した。
【0052】
比較例5
実施例8の紙基体をそのまゝ台紙用紙基材として用いた。
【0053】
比較例6
実施例12の紙基体の表側紙層上に、酸化澱粉(商標;エースA、王子コンスターチ社製)をバーコータを用いて塗工量2.0g/m2 で塗工してチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。
【0054】
比較例7
実施例9と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、下塗り塗工用酵素変性澱粉(商標;ソルダインCS−50、大和化学工業社製)の塗工量を2.0g/m2 に増加変更し、上塗り塗工用酸化澱粉(商標;エースA、王子コーンスターチ社製)とポリスチレン−アクリル系共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)との混合塗液の代りに、ポリビニルアルコール系樹脂(商標;デンカポバールK−17C、電気化学工業社製)塗液を、0.5g/m2 の塗工量で塗工した。
【0055】
比較例8
実施例12と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、下塗り塗工層及び上塗り塗工層を塗工しなかった。
【0056】
実施例8〜14及び比較例5〜8の各々で得られたチップ型電子部品収納台紙用紙基材の剥離強さと毛羽立ち防止性について評価した結果を表2に示す。テスト方法を下記に示す。
(毛羽立ち防止性)
剥離強さ測定A条件下で測定されたチップ型電子部品収納台紙用紙基材の剥離面の毛羽立ちを目視で評価した。
○:まったく毛羽立ちがない。
△:部分的に毛羽立ちがある。
×:全面に毛羽立ちがある。
【0057】
【表2】
【0058】
実施例15
表側紙層用パルプとしてNBKP/LBKP=60/40の配合率のものを用い、その坪量を160g/m2 に調整し、中間紙層用パルプとしてNBKP/LBKP/脱墨新聞古紙=40/40/20の配合率のものを用い、その坪量を310g/m2 に調整し、裏側紙層用パルプとしてNBKP/LBKP/BCTMP=40/40/20の配合率のものを用い、その坪量を80g/m2 に調整し、それぞれを抄紙し、積層し、プレスし、ドライヤーにより脱水乾燥処理して、表/中間/裏3層紙基体を作製した。この紙基体の裏側紙層上に、バーコーターを用いて、SP値が10.0のスチレン−アクリル系共重合物(商標;ポリマロン1301S、荒川化学工業社製)を、0.1g/m2 の塗工量で塗工し、ドライヤー乾燥し、カレンダー処理を施して、坪量約550g/m2 のチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。
【0059】
実施例16,17,18,19,20及び21
実施例16〜21の各々において、実施例15と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、内添薬品の種類、そのSP値、塗工層用成分化合物、そのSP値、及び塗工量を表3に示すように変更した。
【0060】
実施例22
実施例15と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、内添薬品として、裏側紙層用パルプに、SP値が9.3のロジン系化合物(商標;サイズパインE−50、荒川化学工業社製)5kg/パルプトン、及び硫酸アルミニウム3kg/パルプトンを添加し、また塗工層用ポリマロン1301S(商標)の塗工量を0.05g/m2 に変更した。
【0061】
実施例23
実施例15と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、内添薬品として、裏側紙層用パルプに、SP値が9.7のポリエチレンイミン系樹脂(商標;ポリミンSN、ビーエーエスエフジャパン製)10kg/パルプトンを添加し、またスチレン−アクリル系共重合物による塗工層を塗工しなかった。
【0062】
比較例9
実施例15と同様にしてチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、スチレン−アクリル系共重合物の塗工層を塗工しなかった。
【0063】
比較例10,11及び12
比較例10〜12の各々において、実施例1と同様にして、チップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。但し、塗工層を、表3に示す組成に変更した。
【0064】
実施例15〜23及び比較例9〜12の各々で得られたチップ型電子部品収納台紙用紙基材の裏面の剥離強さを下記の方法で測定した。結果を表3に示す。
(剥離強さ測定法)
供試紙基材を、その長手方向に、幅8mmのテープ状にカットした。この供試テープの裏面に、ボトムテープ(商標;CP6−18000、日本マタイ社製)の両縁端から0.5mm内側の、幅0.4mmの2縞状部分を、ヒートシール機(モデル:TST−1200、日東化学社製)を用いて貼着し、ヒートシールを行った。その時のヒートシール条件は、加熱温度が155℃で、かつ接着速度が3.0m/分であるA条件と、接着速度が5.0m/分のB条件の2条件で行った。得られたボトムテープ貼着テープから、ボトムテープを剥離強さ測定機(モデル:NPT−100、日本ガーター社製)で剥がし、剥離強さを測定した。その測定値の最大値と最小値の平均値をもってヒートシール強さ(剥離強さ)とした。結果を表1に示す。なお、剥離強さの測定条件は、JIS C 0806に準拠した。
【0065】
【表3】
【0066】
実施例24
トップテープが貼着される表側紙層用パルプとしてNBKP/LBKP=60/40の配合率のものを用い、その坪量を160g/m2 調整し、中間紙層用パルプとしてNBKP/LBKP/脱墨新聞古紙=40/40/20の配合率のものを用い、その坪量を310g/m2 に調整し、裏側紙層用パルプとしてNBKP/LBKP/BCTMP=40/40/20の配合率のものを用い、坪量を80g/m2 に調整してそれぞれの紙層を抄紙し、積層し、プレスし、ドライヤーで乾燥して、表/中間/裏の3層構造を有する紙基体を作製した。この紙基本の表側紙層上に、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)を0.2g/m2 、裏側紙層にSP値が10.0のスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1301S、荒川化学工業社製)を1.0g/m2 の塗工量でバーコーターを用いて塗工し、ドライヤー乾燥し、カレンダー処理を行い坪量約550g/m2 のチップ型電子部品収納台紙用紙基材を作製した。
【0067】
実施例25
トップテープが貼着される表側紙層用パルプとしてNBKP/LBKP=60/40の配合率のものを用い、これを水溶性高分子紙力剤ポリアクリルアミド系樹脂(商標;ポリストロン1233、荒川化学工業社製)5kg/パルプトンと硫酸バンド2kg/パルプトンを添加し、その坪量を160g/m2 に調整し、中間紙層用パルプとしてNBKP/LBKP/脱墨新聞古紙=40/40/20の配合率のものを用い、これを水溶性高分子紙力剤ポリアクリルアミド系樹脂(商標;ポリストロン1233、荒川化学工業社製)2kg/パルプトンと、硫酸バンド2kg/パルプトンとを添加し、その坪量を310g/m2 に調整し、裏側紙層用パルプとしてNBKP/LBKP/BCTMP=40/40/20の配合のものを用い、これに水溶性高分子紙力剤ポリアクリルアミド系樹脂(商標;ポリストロン1233、荒川化学工業社製)2kg/パルプトンと、硫酸バンド2kg/パルプトンとを添加しその坪量を80g/m2 に調整して、それぞれを抄紙し、積層し、プレスし、ドライヤーで脱水乾燥処理して、表/中間/裏の3層からなる紙基体を作製した。
【0068】
実施例24及び25の紙基体表面に、水溶性高分子ポリアクリルアミド系樹脂(商標;Xコート130、星光化学工業社製)をバーコーターで塗工量1.5g/m2 下塗り塗工し、更にその上に、ポリアクリルアミド系樹脂(商標;Xコート130、星光化学工業社製)と、SP値が10.5のポリスチレン−アクリル共重合物(商標;ポリマロン1308S、荒川化学工業社製)とを5/5の配合比で含む塗料を塗工量0.5g/m2 で、バーコーターを用いて塗工し、また紙基材の裏面にスチレン−アクリル系共重合物(商標;ポリマリン1301S、荒川化学工業社製)とポリビニルアルコール系樹脂(商標;クラレポバールPVA−117)とを1/2の配合比で含む塗料を、塗工量0.3g/m2 でバーコーターを用いて塗工し、ドライヤー乾燥し、これにカレンダー処理を施して、坪量約550g/m2 のチップ型電子部品収納用台紙紙基材を作製し、表面と裏面の剥離強さを測定した。測定方法は実施例1〜23及び比較例1〜12に用いられた方法と同じであった。結果を表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】
【発明の効果】
実施例と比較例との対比から明らかなように、本発明の要件を満たす紙基材は、トップテープ及びボトムテープに対する剥離強さが高く、ヒートシール(接着)速度が高くなってもトップテープ又はボトムテープとの接着強さに優れ、さらに毛羽立ちがないことを示している。
Claims (2)
- チップ型電子部品を収納する台紙製造用紙基材であって、前記紙基材の、ホットメルト性カバーテープと加熱加圧接着する表裏面の少なくとも1面に、8.0〜12.0の溶解パラメータ(Solubility parameter、以下SP値と記す)を有するスチレン−アクリル系共重合体である接着性調節剤、及び、澱粉、変性澱粉、ポリアクリルアミド樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂から選ばれる少なくとも1種である水溶性バインダーからなる塗工層が形成されており、
前記塗工層中の接着性調節剤の分布量が0.005〜2.0g/m2の範囲内にあり、
前記接着性調節剤と、前記水溶性バインダーとの含有質量比が、1:99〜80:20であり
前記接着性調節剤及び水溶性バインダーの合計塗工量が0.05〜5.0g/m 2 の範囲内にある
ことを特徴とするチップ型電子部品を収納する台紙製造用紙基材。 - 請求項1に記載の紙基材に、その表面側において開口している複数個の凹部又は紙基材の表裏両面に貫通する複数個の透孔が形成されている、チップ型電子部品収納用台紙。
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