JP4304388B2 - 電動機の回転子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家電製品(空気調和機)等に用いる電動機の回転子に係り、特に詳しくは、マグネットの保持構造に特徴を有する電動機の回転子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動機の回転子は、例えば図4(図5のA−AA線断面図)および図5(図4の左側面図)に示すように、回転中心となるシャフト1に固定したコア2と、外周部を構成する円筒状のマグネット3との間に緩衝部材(ゴム)4,5を挿入し、シャフト1の軸方向から鉄板6,7を添えるとともに、ピン8を鉄板6,7およびゴム4,5に貫通してストッパ9で止めるようにしている。これによれば、鉄板6,7がゴム4,5を内部に押し込み、ゴム4,5を左右(図4で上下)に膨らませることから、マグネット3がコア2に保持されるとともに、ゴム4,5によってマグネット3の両端部(図4で左右)が抑え込まれる。
【0003】
これにより、ゴム4,5によってマグネット3をコア2に保持することができるばかりか、マグネット3の回転による振動は、ゴム4,5によって吸収されるため、コア2およびシャクト1には伝わらず、防振効果や偏心防止効果を発揮することができる。
【0004】
具体的には、例えば特開平9ー149571の公報を参照されたいが、この先行例においては、ゴム4,5の緩衝部材をシャフト1の軸方向から挿入するために、同緩衝部材を2分割し、同緩衝部材の挿入を容易にするとともに、2分割した緩衝部材の形状によって、同緩衝部材とマグネット3との接触部、同緩衝部材とコア2との接触部のずれによる回転子の偏心、傾きを防止するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成においては、マグネット3を保持し、また回転子の防心、偏心や傾きを防止するために、2枚の鉄板6,7、ピン8およびストッパ9という多くの部品を必要とし、コスト高になってしまうという課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回転子の振動防止、偏心防止や傾き防止を図ることができるとともに、少ない部品数で実現することで低コスト化を図ることができるようにした電動機の回転子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、回転磁界を発生する固定子の内側に配置される電動機の回転子であって、外周部が円筒状のマグネットにより構成されているとともに、回転軸としてのシャフトにコアが固定されており、前記マグネットが緩衝部材を介して前記コアに保持されている電動機の回転子において、前記マグネットの内周面側に前記シャフト側に向けて径方向に延びる凸部からなる第1受け部が円周方向に沿って所定の間隔で複数個形成され、前記コアの外周面側には前記マグネット側に向けて径方向に延びる凸部からなる複数の第2受け部が同一円周上において前記各第1受け部に対して交互に配置されるように形成され、前記第1および第2受け部の両側に円盤状をなす左右一対の緩衝部材が配置されているとともに、前記緩衝部材の両外側面側に端板がそれぞれ添設され、前記端板同士が前記緩衝部材内を貫通する連結手段により前記緩衝部材を圧縮するように連結されており、前記連結手段が、前記第2受け部から前記シャフトの軸線と平行に前記緩衝部材内を貫通して延びる左右一対の係合爪と、前記端板側に穿設された係合孔とからなることを特徴としている。
【0009】
また、前記コア側の第2受け部がプラスチック樹脂により同コアと一体に形成されていることが好ましく、これによれば、マグネット保持機構の製造の容易性、軽量化、低コスト化を実現することができる。
【0010】
また、前記係合爪の軸線と前記係合孔の軸線とが、嵌合に支障をきさない程度にずらされていることが好ましく、これによれば、マグネット保持機構の強度、耐久性を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図3を参照して詳しく説明する。なお、図中、図4と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、図1は図2に示すB−BB線の概略的断面図である。
【0012】
図1および図2において、本発明の電動機の回転子は、外周部を構成する円筒状のマグネット10の内周に、シャフト1に向けた所定厚さの凸部を第1受け部11として当該円周方向で等間隔に複数個(例えば4個)設ける。
【0013】
これに対して、シャフト1に固定したコア12の外周にそれら第1受け部11の間でマグネット10に向けた所定厚さの凸部の第2受け部13を複数個(例えば4個)設ける。
【0014】
そして、これら受け部11,13をシャフト1の軸方向から挟持するように一対の緩衝部材(ゴム)14,15を受け部11,13に介在させ、このゴム14,15の端面にそれぞれ端板16,17を添え、この端板16,17と受け部13とを連結してゴム14,15を内部に押し込み、ゴム14,15をマグネット10の内周面およびコア12の外周面に押し付けて同マグネット10を同コア12に保持するようにしている。
【0015】
コア12側の第2受け部13は、その先端部にシャフト1に平行な係合爪としての棒状部分13aを有し、断面をT字形状としている。この場合、これら棒状部分13aの両先端には、受け部13と端板16,17とを連結するために、同棒状部分13aに対して垂直方向の爪部13b,13cが設けられている。
【0016】
なお、棒状部分13aおよび爪部13b,13cを有する受け部13は、コア12と一体的に形成するとよく、棒状部分13aは円柱形状になっているが、角柱形状であってもよく、また、爪部13b、13cの先端形状は矩形であるが、楕円形状(舌形状)であってもよい。
【0017】
各ゴム14,15は、受け部11,13を挟持するだけなく、マグネット10の内周面およびコア12の外周面に接する中空の円形で、シャフト1に垂直な軸に対して断面対称の形で、マグネット10とコア12の間に嵌合する形状である。このため、ゴム14,15は、マグネット10の内周面、コア12の外周面に当接し、受け部11,13の間を埋めることになる。また、各ゴム14,15は、コア12側の棒状部分13aを貫通する孔14a,15aを有している。
【0018】
各ゴム14,15のそれぞれの端面に添える端板16,17は、少なくともコア12の径より大きい径の孔を有する円形であり、この端板16,17は爪部13b,13cに対向する位置に孔16a,17aを有している。
【0019】
各ゴム14,15に形成する孔14a,15aの形状は、爪部13b,13cより多少小さい孔であってもよく、端板16,17に形成する孔16a,17aの形状は、爪部13b,13cより半径方向に短く、爪部13b,13cが端板16,17に確実に係止する大きさにする必要がある。なお、図1および図2から明かなように、回転子は、シャフト1に垂直な軸に対して対称の構造である。
【0020】
上記構造とした回転子によると、図3に示すように、まずマグネット10とコア12を固定したシャフト1とを所定位置関係に配置し、ゴム14,15をシャフト1の軸の左右方向からその内部に装着しする。このため、ゴム14,15の孔14,15aを、それぞれ受け部13の棒状部分13aおよび爪部13b,13cに通し、ゴム14,15を、マグネット10の内部中心へ挿入してマグネット10の受け部11およびコア12の受け部13である凸部を挟持する。なお、図3は図1に対応している。
【0021】
したがって、ゴム14,15の外周側面は、マグネット10の内周面に当接し、その内周側面はコア12の外周面に当接する。またこの場合、孔14a,15aの形状が爪部13b,13cの形状より多少小さくとも、ゴム14,15の柔軟性によって、孔14a,15aへは棒状部分13aおよび爪部13b,13cを容易に通すことができる。
【0022】
続いて、コア12側の受け部13と端板16,17とを連結するために、端板16をゴム14の端面に添えて押し付け、また、端板17をゴム15の端面に添えて押し付ける。
【0023】
これにより、孔16aは、棒状部分13aの先端の爪部13bに押し込まれ、爪部13bが端板16に係止する。これと同時に、孔17aは、棒状部分13aの他先端の爪部13cに押し込まれ、爪部13cが端板17に係止する。
【0024】
この場合、爪部13b,13cの頭辺が斜めであることから、端板16,17の孔16a,17aを爪部13b,13cに容易にはめることできるとともに、各爪部13b,13cを端板16,17に同時に係止させることも可能となっている。
【0025】
なお、コア12はシャフト1と一体的に成形し、その材料としてプラスチック樹脂を用いる。また、受け部13、棒状部分13aおよび爪部13b,13cの材質としては、ブラスチック樹脂を用い、端板16,17の材質としては同じブラスチック樹脂あるいは金属を用いると、製造の容易性、回転子の軽量化、低コスト化が図れる。
【0026】
さらに、棒状部分13a、爪部13b,13cを含む受け部13および端板16,17を同じ金属材料で構成することも可能である。この場合、端板16,17の孔16a,17aは爪部13b,13cに合った形状とし、その孔16a,17aの中心を爪部13b,13cの中心より少しずらせば、その分、爪部13b,13cを端板16の面に係止させることができる。
【0027】
受け部13の棒状部分13aの長さは、ゴム14,15の厚さ(シャフト1の軸方向の長さ)と端板16,17の厚さを考慮して決定する。またこのとき、端板16,17をゴム14,15の端部に添えたときに爪部13b,13cを確認することができる程度とする。
【0028】
これにより、ゴム14,15によってマグネット10をコア12に確実に保持させることができるとともに、爪部13bと端板16の孔16aとの位置合わせ、爪部13cと端板17の孔17aとの位置合わせを容易に行うことができる。
【0029】
このように、コア12側の受け部13と端板16,17とを連結し、端板16,17をゴム14,15側に押え込むことから、ゴム14,15は、受け部11,13を強固に押え込むだけなく、マグネット10およびコア12側に膨らむため、マグネット10をコア12に保持できる。しかも、その保持部品としてはゴム14,15および端板16,17だけでよく、少ない部品点数で済む。
【0030】
さらに、上記回転子の構造がシャフト1に垂直な軸に対して対称になっていることから、回転子のバランスが良好であり、また、ゴム14,15や端板16,17の形状がそれぞれ同じでよいことから、製造コストの低下が期待できる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、以下に述べる効果を奏する。すなわち、本発明は、マグネット側の受け部およびコア側の受け部を一対の緩衝部材(ゴム)で挟持し、これら緩衝部材の端部に端板を添えるとともに、コア側の受け部に設けた棒状部材の先端爪部をそれら端板に係止して緩衝部材を回転子の内部に押圧し、マグネット側の受け部とコア側の受け部とを押え込んで連結し、しかもその緩衝部材がマグネットの内周およびコアの外周に当接し、押圧していることから、マグネットをコアに確実に保持させることができるという効果がある。このとき、その保持は、緩衝部材を介して行われていることから、回転子の回転時の振動防止、偏心防止や傾き防止を図ることができるという効果がある。
【0032】
さらに、少なくともコア側の受け部、棒状部分および爪部を一体形成し、また、マグネット側の受け部についても一体形成することにより、マグネット保持のためには、緩衝部材、端板を用いるだけよいことから、部品点数を削減することができ、電動機のコストダウンを図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電動機の回転子を示す概略的断面図(図2のB−BB線断面図)。
【図2】図1に示す回転子の左側面図。
【図3】図1に示す回転子の分解断面図。
【図4】従来の電動機の回転子を示す概略的断面図(図5のA−AA線断面図)。
【図5】図4に示す回転子の左側面図。
Claims (3)
- 回転磁界を発生する固定子の内側に配置される電動機の回転子であって、外周部が円筒状のマグネットにより構成されているとともに、回転軸としてのシャフトにコアが固定されており、前記マグネットが緩衝部材を介して前記コアに保持されている電動機の回転子において、
前記マグネットの内周面側に前記シャフト側に向けて径方向に延びる凸部からなる第1受け部が円周方向に沿って所定の間隔で複数個形成され、前記コアの外周面側には前記マグネット側に向けて径方向に延びる凸部からなる複数の第2受け部が同一円周上において前記各第1受け部に対して交互に配置されるように形成され、
前記第1および第2受け部の両側に円盤状をなす左右一対の緩衝部材が配置されているとともに、前記緩衝部材の両外側面側に端板がそれぞれ添設され、前記端板同士が前記緩衝部材内を貫通する連結手段により前記緩衝部材を圧縮するように連結されており、
前記連結手段が、前記第2受け部から前記シャフトの軸線と平行に前記緩衝部材内を貫通して延びる左右一対の係合爪と、前記端板側に穿設された係合孔とからなることを特徴とする電動機の回転子。 - 前記コア側の第2受け部が、プラスチック樹脂により同コアと一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動機の回転子。
- 前記係合爪の軸線と前記係合孔の軸線とが、嵌合に支障をきさない程度にずらされていることを特徴とする請求項1または2に記載の電動機の回転子。
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