JP4304048B2 - ハードコート用組成物の製造方法、及びハードコート用組成物 - Google Patents

ハードコート用組成物の製造方法、及びハードコート用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、耐衝撃性、耐擦傷性等の耐久性に優れたハードコート用組成物、及び該組成物によって処理されたプラスチック樹脂に関する。
従来、眼鏡レンズとしてプラスチック樹脂からなるレンズが用いられている。このプラスチックレンズは軽量であり、加工性に優れているが、硬度が弱いため傷がつき易いという欠点がある。このプラスチック樹脂を用いて製造されたレンズの欠点を補うために、耐衝撃性、耐擦傷性等を高めるためのコーティングをレンズ表面に施している。
このような耐衝撃性、耐擦傷性等を高めるためのコーティングを有したプラスチックレンズとしては、第1層として耐衝撃性を高めるためのプライマー層を形成し、さらにこのプライマー層上に耐擦傷性を高めるためのハードコート層を積層させることによって耐衝撃性、耐擦傷性を高めたものが知られている(特許文献1 参照)。
特開平7−84101号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるようなプラスチックレンズでは、プライマー層とハードコート層の2層を形成させなければ耐擦傷性、耐衝撃性を得ることができない。このためコート液はプライマー液とハードコート液の2液を必要とし、コストや作業効率等において非常に効率が悪いという問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、一液にて耐擦傷性、耐衝撃性にすぐれたハードコート用組成物及び該組成物によって処理されたプラスチック樹脂を提供することを技術課題とする。
本発明者らは、エポキシシラン加水分解物と金属アルコラートとの反応物、有機高分子及び金属酸化物を含有させることにより得られるハードコート用組成物が、一液にて耐擦傷性及び耐衝撃性に優れたものであることを見出した。
また、本発明のハードコート用組成物に用いるエポキシシランは、特に、
式1
Figure 0004304048
(式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜4のアルキレンであり、R3は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で示される3官能のエポキシシラン及び、
式2
Figure 0004304048
(式中、R1及びR4はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜4のアルキレンであり、R3は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で示される2官能のエポキシシランの少なくとも1種を用いることが好ましい。
式1で示されるエポキシシランとしては、例えば、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシシラン、グリシドキシメチルトリプロポキシシラン、グリシドキシメチルトリブトキシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシシラン、α−グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、α−グリシドキシエチルトリブトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシシラン、β−グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、β−グリシドキシエチルトリブトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、α−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン等であり、
式2で示されるエポキシシランとしては、例えば、グリシドキシメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルジエトキシシラン、グリシドキシメチルジプロポキシシラン、グリシドキシメチルジブトキシシラン、α−グリシドキシエチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルジプロポキシシラン、α−グリシドキシエチルジブトキシシラン、β−グリシドキシエチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルジプロポキシシラン、β−グリシドキシエチルジブトキシシラン、
α−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルジプロポキシシラン、α−グリシドキシプロピルジブトキシシラン、β−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルジプロポキシシラン、β−グリシドキシプロピルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジブトキシシラン等である。
また、本発明に用いる有機高分子は、エポキシシラン加水分解物と金属アルコラートとの反応物と水素結合可能なものであればよく、例えばポリエチレングリコール(以下、PEGと記す)、ポリオキサゾリン、ポリビニルピロリドン、ポリN,N−ジメチルアクリルアミドや、
式3
Figure 0004304048
(式中、l,m,nは正の整数である。)
で示されるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合物(以下、PEG-PPG-PEGと記す)等を用いることができる。また、この他にもポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合物としては、PPG-PEG-PPGやPEG-PPG等が挙げられる。
なお、PEG-PPG-PEGの平均分子量は1000以上20000以下であることが好ましく、さらに好ましくは平均分子量2000以上4500以下である。PEG-PPG-PEGの平均分子量が1000未満、又は20000を超えてしまう場合、所望する効果を有するハードコート用組成物が得られにくい。
また、金属アルコラートとしては、Zr(OR54、Ti(OR54、Al(OR53等、(ただしR5は炭素数1〜4のアルキル基)が好適に用いられる。具体的には、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ-n-プロポキシジルコニウム、テトラ-i-プロポキシジルコニウム、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ-n-プロポキシチタン、テトラ-i-プロポキシチタン、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ-n-プロポキシアルミニウム、トリ-i-プロポキシアルミニウム等が挙げられる。
また、上述した各材料を溶かすための溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコールや、芳香族炭化水素類、THF(テトラヒドロフラン)等のエーテル類、ケトン類、エステル類等を用いることが好ましい。また、ハードコート用組成物の白化防止のためにブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)、エチルセロソルブ(エチレングリコールモノエチルエーテル)等のセロソルブ系を添加することもできる。また、各材料を反応させるための溶液としては、酸性溶液、アルカリ溶液等を用いることができる。酸性溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、リン酸等の無機酸や酢酸等の有機酸を用いることができる。
また、本発明のハードコート用組成物は、そのインデックスを上げるために金属酸化物ゾルが使用される。この金属酸化物ゾルは、SiO2,Al23、SnO2,TiO2,ZrO2,Fe23,ZnO,In23,Sb23,Sb24,Sb25,NbO,NbO2,Nb25等から選ばれる1成分以上の金属酸化物(複合金属酸化物)を水、アルコール等の溶媒にコロイド状に分散させたものである。なお、これらの金属酸化物ゾルはシランカップリング剤等で表面修飾されたものを用いることが好ましい。また、これらの金属酸化物ゾルは、例えばプラスチックレンズの屈折率に応じて複数の金属酸化物を配合し、適宜決定することができる。
また、耐擦傷性をさらに向上させるために、テトラエトキシシラン(TEOS)を配合することもできる。
なお、本発明におけるハードコート用組成物は、必要があれば上記成分の他に従来公知の硬化触媒、シリコーン系等の界面活性剤、エポキシ樹脂、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料、染料等を若干量添加することにより、ハードコート用組成物の塗布性や液性、塗膜性質(耐擦傷性、密着性、耐候性)等を改良することができる。
このような材料を溶液中にて反応させて得られるハードコート用組成物をプラスチック樹脂に塗布して硬化させることにより、プラスチック樹脂の耐擦傷性、耐衝撃性を向上させることができる。特に眼鏡レンズ等に用いるプラスチックレンズに好適に用いることができる。なお、ハードコートの塗膜を基材(プラスチック樹脂)に形成させる方法としては、刷毛塗り、浸漬法、スプレー塗装、スピンコート等、公知の方法が用いられる。
また、本発明のハードコート用組成物をプラスチック樹脂に塗布し、ハードコート層を形成後、無機物質系の反射防止膜層をハードコート層の上に積層することが好ましい。反射防止膜層の形成に用いられる無機物質としては、SiO2,TiO2,ZrO2,Al23等の金属酸化物や、フッ化マグネシウム等の金属フッ化物等の従来反射防止膜に使用される公知の材料を用いることができる。なお、反射防止膜層をハードコート層付きの基材上に形成させる方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の公知の方法が用いられる。
また、本発明のハードコート用組成物を塗布するための基材としてはPMMA等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリチオウレタン樹脂等の一般的なプラスチック樹脂からなる光学基材を用いることができる。また、ガラス等からなる光学基材を用いてもよい。
本発明のハードコート用組成物によれば、一液にて耐擦傷性、耐衝撃性に優れた光学基材を得ることができる。
以下に、本発明のハードコート用組成物を得るための実施の形態を挙げ、説明する。
アルコール溶媒にエポキシシラン及び有機高分子を加え、所定時間攪拌する。次に、この混合物にアルコール溶媒及び酸性水溶液を加えて攪拌し反応させることにより、エポキシシランの反応物(加水分解物)を得る。なお、このときに耐擦傷性の性能を向上させる目的でテトラエトキシシラン(TEOS)を加えておき、攪拌、反応させても良い。
また、このときの酸性水溶液中の水のモル量は、前記エポキシシラン1molに対して0.5mol以上2mol以下の範囲内であることが好ましい。また、酸性水溶液の濃度は7.0×10-4mol/(mol-水)以上4.5×10-2 mol/(mol-水)以下であることが好ましい。また、有機高分子の添加量は、好ましくは、後述する金属アルコラート1molに対して2.5×10-2mol以下であり、物理的な量(例えば1.0×10-5mol程度)が添加されていればよい。さらに好ましくは、2.5×10-4mol以上2.5×10-2mol以下である。有機高分子の添加量が、金属アルコラート1molに対して2.5×10-2molを超えてしまうと、所望する耐擦傷性の性能が得られ難くなる。また、テトラエトキシシランを添加する場合には、金属アルコラート、エポキシシラン、テトラエトキシシランの全モル量に対するモル比が、0.25以下であることが好ましい。金属アルコラート、エポキシシラン、テトラエトキシシランの全モル量に対するテトラエトキシシランのモル比が、0.25を超えてしまうと、所望する特性を有するハードコート用組成物を得られ難くなる。
反応後、この反応溶液中に金属アルコラートを適量入れて所定時間攪拌し、その後、さらにアルコール溶媒及び酸性水溶液を加えて攪拌し反応させることにより、金属アルコラートの反応物(加水分解物)を得るとともに、有機高分子とエポキシ基を一部又は全部開環されたエポキシシラン反応物と金属アルコラート反応物とを結合させる。金属アルコラートの添加量は、エポキシシラン1molに対して1/6mol以上1mol以下、言い換えると金属アルコラート1molに対してエポキシシランが1mol以上6mol以下であることが好ましい。
以上の製造プロセスまでは、攪拌時における温度は室温よりも低い温度(例えば0℃以上15℃以下程度)で行うことが好ましい。さらに好ましい攪拌時の温度は0℃以上10℃以下である。また、攪拌時間は温度によっても異なるが、反応を完了させるのに十分な時間であればよく、1時間以上48時間以下程度である。
反応後、この反応溶液中にさらにシランカップリング剤等で表面修飾された金属酸化物ゾルを適量加えて攪拌し反応させることによって、インデックスの調整を行う。このような反応により、エポキシシラン加水分解物と金属アルコラートとの反応物、有機高分子及び金属酸化物が含有されたハードコート用組成物を得る。
なお、金属酸化物ゾルを反応溶液中に加えてから反応溶液を攪拌する場合、室温よりも低く、所望する耐擦傷性の効果(例えば、#0000のスチールウールを用いて塗膜表面を荷重500gにて10往復させた後の傷が10本未満となる性能)が得られるような温度にて所定時間攪拌を行い、反応溶液に所望する耐擦傷性の効果を持たせておく。次に前述の攪拌温度よりも高く、所望する耐衝撃性の効果(例えば、64.8gの鋼球を127cmの高さからレンズの中心部に向かって自然落下させ、レンズが割れないだけの性能)が得られるような温度にて所定時間攪拌を行うことにより、得られたハードコート用組成物が一液にて十分な耐擦傷性と耐衝撃性の両効果を有することとなる。
さらに具体的に述べると、金属酸化物ゾルを反応溶液中に加えてから反応溶液を攪拌する際に、初めの攪拌時には、好ましくは0℃以上15℃以下、さらに好ましくは0℃以上10以下程度の低温で、攪拌を30時間以上60時間以下程度で行う。このような攪拌条件により、得られるハードコート用組成物が耐擦傷性の効果を持つこととなる。また、次の攪拌時は、好ましくは25℃以上60℃以下、さらに好ましくは30℃以上60℃以下の温度で、攪拌を1時間以上48時間以下程度で行う。このような攪拌条件により、得られるハードコート用組成物が耐衝撃性の効果を持つこととなる。このように、金属酸化物ゾルを反応溶液中に加えてから反応溶液を攪拌する際の温度を、初めは耐擦傷性の効果を持たせることができる温度として所定時間攪拌しておき、次に耐衝撃性の効果を持たせることができる温度にて所定時間攪拌することにより、一液にて耐擦傷性と耐衝撃性とを有するハードコート用組成物を得ることができる。
なお、本実施の形態ではエポキシシランと有機高分子と酸性水溶液とを混合し、反応させるものとしているが、これに限るものではなく、有機高分子の添加のタイミングは、ハードコート用組成物の製造過程であれば、どの段階であっても良い。例えば、有機高分子の添加は、エポキシシランと酸性水溶液とを反応させた後、その反応溶液中に金属アルコラートを添加する際であってもよい。また、エポキシシランと酸性水溶液とを反応させた反応溶液中に、金属アルコラートを添加して反応物を生成し、その後に有機高分子を添加してもよい。或いは金属酸化物ゾルの添加後に有機高分子の添加を行っても良い。
得られたハードコート用組成物をプラスチックレンズ等のプラスチック樹脂に塗布し、60℃〜150℃程度の温度にて30分〜10時間程度、乾燥させることにより、ハードコート層が形成されたプラスチック樹脂を得ることができる。また、このハードコート付きのプラスチック樹脂上に屈折率の異なる金属酸化物等の無機材料を順次積層させ、ハードコート層上に反射防止膜層を形成させる。なお、アルコール溶媒は、エポキシシランと金属アルコラートの反応物を1molとしたときに2mol以上50mol以下であればよい。また、有機高分子は金属アルコラートを1molとしたときに2.5×10-2mol以下であり、物理的な量(例えば1.0×10-5mol程度)が添加されていればよい。
次に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
エポキシシランとしてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.1mol、有機高分子としてPEG-PPG-PEG(平均分子量4500)を2.4×10-5mol、溶媒としてエタノール2.78×10-1molを入れた混合溶液を温度10℃で1時間攪拌した後、水8.67×10-2mol、硝酸(60.5%濃度のもの、以下同じ)2.17×10-4mol、エタノール2.78×10-1molを入れ、温度10℃で1時間攪拌した。攪拌後、反応溶液中に金属アルコラートとしてテトラ-n-プロポキシジルコニウム(純度75%、残り25%はn-フ゜ロハ゜ノール、以下同じ)を3.75×10-2mol添加し、さらに温度10℃で1時間攪拌した。攪拌後、水5.8×10-1mol、硝酸1.45×10-3mol、エタノール2.78×10-1molを入れ、温度10℃で24時間攪拌した。その後、この溶液に金属酸化物ゾルとしてオプトレイク1130Z(S-7,G)(触媒化成工業(株)製)79.6gを添加し、温度10℃で48時間、さらにその後、温度35℃で36時間攪拌してハードコート用組成物を得た。
このようにして得られたハードコート用組成物を屈折率1.67のポリチオウレタン系プラスチックレンズに浸漬法にて塗布した。プラスチックレンズは事前にアルカリ洗浄又はプラズマ処理を行った表面処理済のレンズを使用した。
浸漬法ではプラスチックレンズをハードコート用組成物内に浸漬し、引き上げ速度600mm/分にて塗膜を行った。塗膜後のプラスチックレンズは、80℃、5分にて仮乾燥を、120℃、1時間で本乾燥を行うことにより、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理により得られたレンズに対して下記の方法で試験を行い、その評価試験の結果を表1に示す。
(1) 衝撃性試験:64.8g(FDAにおける眼鏡レンズ耐衝撃性試験の約4倍の重量)の鋼球を127cmの高さからレンズの中心部に向かって自然落下させ、レンズが割れるか否かの判定を行った。レンズが割れない場合には○、割れた場合には×とした。
(2) 擦傷性試験:擦傷性試験は、#0000のスチールウールを用いて塗膜表面を荷重500gにて10往復させた後の被膜の状態を肉眼にて観察し、判定を行った。判定は◎:傷が5本未満、○:5本〜10本未満、△:10本〜20本未満、×:20本以上、とした。
(3) 外観検査:肉眼観察により透明度、着色、表面状態を調べた。
(実施例2)
有機高分子PEG-PPG-PEG(平均分子量4500)の添加量を9.6×10-5molとした以外はすべて実施例1と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理により得られたレンズに対して実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表1に示す。
(実施例3)
有機高分子PEG-PPG-PEG(平均分子量4500)の添加量を9.3×10-4molとした以外はすべて実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理により得られたレンズに対して実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表1に示す。
(実施例4)
エポキシシランを加水分解させるステップにおいて、テトラエトキシシラン(TEOS)を1.67×10-2mol加えた以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表1に示す。
(実施例5)
エポキシシランを加水分解させるステップにおいて、テトラエトキシシラン(TEOS)を2.73×10-2mol加えた以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表1に示す。
(実施例6)
エポキシシランとしてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.1mol、有機高分子としてPEG-PPG-PEG(平均分子量4500)を9.6×10-5mol、溶媒としてエタノール2.78×10-1mol、ブチルセロソルブ1.67×10-1mol、テトラエトキシシラン(TEOS)1.67×10-2mol、を入れた混合溶液を温度10℃で1時間攪拌した後、水8.67×10-2mol、硝酸2.17×10-4mol、エタノール2.78×10-1molを入れ、温度10℃で1時間攪拌した。攪拌後、反応溶液中に金属アルコラートとしてテトラ-n-プロポキシジルコニウムを3.75×10-2mol添加し、さらに温度10℃で1時間攪拌した。攪拌後、水5.8×10-1mol、硝酸1.45×10-3mol、エタノール2.78×10-1molを入れ、温度10℃で24時間攪拌した。その後、この溶液に金属酸化物ゾルとしてオプトレイク1130Zを79.6g添加し、温度10℃で48時間、さらにその後、温度35℃で36時間攪拌した。攪拌後、さらにこの溶液にシリコーン系界面活性剤(L-7604 日本ユニカー(株)製)を0.60g、エポキシ樹脂(デナコールEX-321 ナガセケムテック(株)製)を3.19g入れ、温度10℃で1時間攪拌し、ハードコート用組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表1に示す。
Figure 0004304048
(結果)
表1に示すように、実施例1〜6にて得られたハードコート付プラスチックレンズは、耐衝撃性、耐擦傷性、密着性、外観のいずれも極めて優れたものであった。
(比較例1)
有機高分子PEG-PPG-PEG(平均分子量4500)を添加しない以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理により得られたレンズに対して実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
(比較例2)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.1mol、有機高分子としてPEG-PPG-PEG(平均分子量4500)を8.34×10-4mol添加し、エタノール2.38×10-1molを入れた混合溶液を温度10℃で1時間攪拌した後、水1.0×10-1mol、硝酸1.5×10-4mol、エタノール2.38×10-1molを入れ、温度10℃で1時間攪拌した。攪拌後、反応溶液中に金属アルコラートとしてテトラ-n-プロポキシジルコニウムを3.2×10-2mol添加し、さらに温度10℃で1時間攪拌した。攪拌後、水4.7×10-1mol、硝酸7.0×10-4mol、エタノール2.38×10-1molを入れ、温度10℃で24時間攪拌した。その後、この溶液に金属酸化物ゾルとしてオプトレイク1130Z(S-7,G)(触媒化成工業(株)製)81gを添加し、温度10℃で48時間攪拌してハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理により得られたレンズに対して実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
(比較例3)
最終の攪拌条件を温度10℃、攪拌時間48時間とした以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。また、実施例1と同条件にて反射防止膜を形成した。
以上の処理により得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
(比較例4)
エポキシシランを加水分解させるステップにおいて、テトラエトキシシラン(TEOS)を3.0×10-2mol加えた以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
(比較例5)
金属酸化物ゾルを添加した後、温度20℃で48時間、さらにその後、温度35℃で36時間攪拌した以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート用組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
(比較例6)
金属酸化物ゾルを添加した後、温度35℃で48時間攪拌した以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート用組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
(比較例7)
金属酸化物ゾルを添加した後、温度10℃で48時間、その後温度20℃で36時間攪拌した以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート用組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
(比較例8)
金属酸化物ゾルを添加した後、温度10℃で24時間、その後温度35℃で36時間攪拌した以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート用組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
(比較例9)
ハードコート用組成物を得るために用いた攪拌作業における温度をすべて25℃とした以外は、実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。また、実施例1と同条件にて反射防止膜を形成した。
以上の処理により得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
(比較例10)
ハードコート用組成物を得るために用いた攪拌作業における温度をすべて35℃とした以外は、実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。また、実施例1と同条件にて反射防止膜を形成した。
以上の処理により得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
Figure 0004304048
(結果)
表2に示すように、有機高分子が添加されない場合では、耐衝撃性が得られなかった。また、有機高分子が過剰に添加されている場合には耐衝撃性は得られるものの、耐擦傷性が得られなかった。また、テトラエトキシシランが過剰に添加されている場合、ハードコート付きレンズのコーティング膜にクラックが生じてしまった。また、金属酸化物ゾルの添加後における攪拌作業において、適正な攪拌条件が得られない場合には、耐衝撃性、耐擦傷性の効果に影響を及ぼす結果となった。


Claims (3)

  1. エポキシシランを酸性水溶液中にて反応させる第1ステップと、該第1ステップにて得られた反応溶液中に金属アルコラートおよび酸性水溶液を添加し,前記金属アルコラートを反応させる第2ステップと、該第2ステップにて得られる反応溶液中に金属酸化物を加え,該金属酸化物が加えられた反応溶液を攪拌させる第3ステップと、前記第1ステップ乃至第3ステップ終了後までに前記金属アルコラート1molに対して2.5×10 -2 mol以下の量の有機高分子を添加するステップと、を有し、
    前記第3ステップでは2段階の攪拌作業を有し,初めの攪拌作業では耐擦傷性の性能を得るために前記反応溶液の温度を0℃以上15℃以下で攪拌作業を所定時間行い,次の攪拌作業では耐衝撃性の性能を得るために前記反応溶液の温度を25℃以上60℃以下で攪拌作業を所定時間行うことを特徴とするハードコート用組成物の製造方法。
  2. 請求項1のハードコート用組成物の製造方法において、前記第3ステップでの前記初めの攪拌作業における攪拌時間を30時間以上60時間以下とし、前記次の攪拌作業における攪拌時間を1時間以上48時間以下とすることを特徴とするハードコート用組成物の製造方法。
  3. 請求項1に記載の製造方法により得られるハードコート用組成物。
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