JP4304048B2 - ハードコート用組成物の製造方法、及びハードコート用組成物 - Google Patents
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Description
また、本発明のハードコート用組成物に用いるエポキシシランは、特に、
式1
式2で示されるエポキシシランとしては、例えば、グリシドキシメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルジエトキシシラン、グリシドキシメチルジプロポキシシラン、グリシドキシメチルジブトキシシラン、α−グリシドキシエチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルジプロポキシシラン、α−グリシドキシエチルジブトキシシラン、β−グリシドキシエチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルジプロポキシシラン、β−グリシドキシエチルジブトキシシラン、
α−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルジプロポキシシラン、α−グリシドキシプロピルジブトキシシラン、β−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルジプロポキシシラン、β−グリシドキシプロピルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジブトキシシラン等である。
式3
で示されるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合物(以下、PEG-PPG-PEGと記す)等を用いることができる。また、この他にもポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合物としては、PPG-PEG-PPGやPEG-PPG等が挙げられる。
また、耐擦傷性をさらに向上させるために、テトラエトキシシラン(TEOS)を配合することもできる。
また、本発明のハードコート用組成物を塗布するための基材としてはPMMA等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリチオウレタン樹脂等の一般的なプラスチック樹脂からなる光学基材を用いることができる。また、ガラス等からなる光学基材を用いてもよい。
アルコール溶媒にエポキシシラン及び有機高分子を加え、所定時間攪拌する。次に、この混合物にアルコール溶媒及び酸性水溶液を加えて攪拌し反応させることにより、エポキシシランの反応物(加水分解物)を得る。なお、このときに耐擦傷性の性能を向上させる目的でテトラエトキシシラン(TEOS)を加えておき、攪拌、反応させても良い。
次に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
エポキシシランとしてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.1mol、有機高分子としてPEG-PPG-PEG(平均分子量4500)を2.4×10-5mol、溶媒としてエタノール2.78×10-1molを入れた混合溶液を温度10℃で1時間攪拌した後、水8.67×10-2mol、硝酸(60.5%濃度のもの、以下同じ)2.17×10-4mol、エタノール2.78×10-1molを入れ、温度10℃で1時間攪拌した。攪拌後、反応溶液中に金属アルコラートとしてテトラ-n-プロポキシジルコニウム(純度75%、残り25%はn-フ゜ロハ゜ノール、以下同じ)を3.75×10-2mol添加し、さらに温度10℃で1時間攪拌した。攪拌後、水5.8×10-1mol、硝酸1.45×10-3mol、エタノール2.78×10-1molを入れ、温度10℃で24時間攪拌した。その後、この溶液に金属酸化物ゾルとしてオプトレイク1130Z(S-7,G)(触媒化成工業(株)製)79.6gを添加し、温度10℃で48時間、さらにその後、温度35℃で36時間攪拌してハードコート用組成物を得た。
浸漬法ではプラスチックレンズをハードコート用組成物内に浸漬し、引き上げ速度600mm/分にて塗膜を行った。塗膜後のプラスチックレンズは、80℃、5分にて仮乾燥を、120℃、1時間で本乾燥を行うことにより、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
(1) 衝撃性試験:64.8g(FDAにおける眼鏡レンズ耐衝撃性試験の約4倍の重量)の鋼球を127cmの高さからレンズの中心部に向かって自然落下させ、レンズが割れるか否かの判定を行った。レンズが割れない場合には○、割れた場合には×とした。
(2) 擦傷性試験:擦傷性試験は、#0000のスチールウールを用いて塗膜表面を荷重500gにて10往復させた後の被膜の状態を肉眼にて観察し、判定を行った。判定は◎:傷が5本未満、○:5本〜10本未満、△:10本〜20本未満、×:20本以上、とした。
(3) 外観検査:肉眼観察により透明度、着色、表面状態を調べた。
有機高分子PEG-PPG-PEG(平均分子量4500)の添加量を9.6×10-5molとした以外はすべて実施例1と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理により得られたレンズに対して実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表1に示す。
有機高分子PEG-PPG-PEG(平均分子量4500)の添加量を9.3×10-4molとした以外はすべて実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理により得られたレンズに対して実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表1に示す。
エポキシシランを加水分解させるステップにおいて、テトラエトキシシラン(TEOS)を1.67×10-2mol加えた以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表1に示す。
エポキシシランを加水分解させるステップにおいて、テトラエトキシシラン(TEOS)を2.73×10-2mol加えた以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表1に示す。
エポキシシランとしてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.1mol、有機高分子としてPEG-PPG-PEG(平均分子量4500)を9.6×10-5mol、溶媒としてエタノール2.78×10-1mol、ブチルセロソルブ1.67×10-1mol、テトラエトキシシラン(TEOS)1.67×10-2mol、を入れた混合溶液を温度10℃で1時間攪拌した後、水8.67×10-2mol、硝酸2.17×10-4mol、エタノール2.78×10-1molを入れ、温度10℃で1時間攪拌した。攪拌後、反応溶液中に金属アルコラートとしてテトラ-n-プロポキシジルコニウムを3.75×10-2mol添加し、さらに温度10℃で1時間攪拌した。攪拌後、水5.8×10-1mol、硝酸1.45×10-3mol、エタノール2.78×10-1molを入れ、温度10℃で24時間攪拌した。その後、この溶液に金属酸化物ゾルとしてオプトレイク1130Zを79.6g添加し、温度10℃で48時間、さらにその後、温度35℃で36時間攪拌した。攪拌後、さらにこの溶液にシリコーン系界面活性剤(L-7604 日本ユニカー(株)製)を0.60g、エポキシ樹脂(デナコールEX-321 ナガセケムテック(株)製)を3.19g入れ、温度10℃で1時間攪拌し、ハードコート用組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜6にて得られたハードコート付プラスチックレンズは、耐衝撃性、耐擦傷性、密着性、外観のいずれも極めて優れたものであった。
有機高分子PEG-PPG-PEG(平均分子量4500)を添加しない以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理により得られたレンズに対して実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.1mol、有機高分子としてPEG-PPG-PEG(平均分子量4500)を8.34×10-4mol添加し、エタノール2.38×10-1molを入れた混合溶液を温度10℃で1時間攪拌した後、水1.0×10-1mol、硝酸1.5×10-4mol、エタノール2.38×10-1molを入れ、温度10℃で1時間攪拌した。攪拌後、反応溶液中に金属アルコラートとしてテトラ-n-プロポキシジルコニウムを3.2×10-2mol添加し、さらに温度10℃で1時間攪拌した。攪拌後、水4.7×10-1mol、硝酸7.0×10-4mol、エタノール2.38×10-1molを入れ、温度10℃で24時間攪拌した。その後、この溶液に金属酸化物ゾルとしてオプトレイク1130Z(S-7,G)(触媒化成工業(株)製)81gを添加し、温度10℃で48時間攪拌してハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理により得られたレンズに対して実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
最終の攪拌条件を温度10℃、攪拌時間48時間とした以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。また、実施例1と同条件にて反射防止膜を形成した。
以上の処理により得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
エポキシシランを加水分解させるステップにおいて、テトラエトキシシラン(TEOS)を3.0×10-2mol加えた以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
金属酸化物ゾルを添加した後、温度20℃で48時間、さらにその後、温度35℃で36時間攪拌した以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート用組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
金属酸化物ゾルを添加した後、温度35℃で48時間攪拌した以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート用組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
金属酸化物ゾルを添加した後、温度10℃で48時間、その後温度20℃で36時間攪拌した以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート用組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
金属酸化物ゾルを添加した後、温度10℃で24時間、その後温度35℃で36時間攪拌した以外は、すべて実施例2と同じ条件としてハードコート用組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。
以上の処理によって得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
ハードコート用組成物を得るために用いた攪拌作業における温度をすべて25℃とした以外は、実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。また、実施例1と同条件にて反射防止膜を形成した。
以上の処理により得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
ハードコート用組成物を得るために用いた攪拌作業における温度をすべて35℃とした以外は、実施例2と同じ条件としてハードコート組成物を得た。また、得られたハードコート用組成物を実施例1と同条件にてプラスチックレンズに塗布し、ハードコート付のプラスチックレンズを得た。また、実施例1と同条件にて反射防止膜を形成した。
以上の処理により得られたレンズに対して、実施例1と同様の方法で試験を行った。その評価試験の結果を表2に示す。
表2に示すように、有機高分子が添加されない場合では、耐衝撃性が得られなかった。また、有機高分子が過剰に添加されている場合には耐衝撃性は得られるものの、耐擦傷性が得られなかった。また、テトラエトキシシランが過剰に添加されている場合、ハードコート付きレンズのコーティング膜にクラックが生じてしまった。また、金属酸化物ゾルの添加後における攪拌作業において、適正な攪拌条件が得られない場合には、耐衝撃性、耐擦傷性の効果に影響を及ぼす結果となった。
Claims (3)
- エポキシシランを酸性水溶液中にて反応させる第1ステップと、該第1ステップにて得られた反応溶液中に金属アルコラートおよび酸性水溶液を添加し,前記金属アルコラートを反応させる第2ステップと、該第2ステップにて得られる反応溶液中に金属酸化物を加え,該金属酸化物が加えられた反応溶液を攪拌させる第3ステップと、前記第1ステップ乃至第3ステップ終了後までに前記金属アルコラート1molに対して2.5×10 -2 mol以下の量の有機高分子を添加するステップと、を有し、
前記第3ステップでは2段階の攪拌作業を有し,初めの攪拌作業では耐擦傷性の性能を得るために前記反応溶液の温度を0℃以上15℃以下で攪拌作業を所定時間行い,次の攪拌作業では耐衝撃性の性能を得るために前記反応溶液の温度を25℃以上60℃以下で攪拌作業を所定時間行うことを特徴とするハードコート用組成物の製造方法。 - 請求項1のハードコート用組成物の製造方法において、前記第3ステップでの前記初めの攪拌作業における攪拌時間を30時間以上60時間以下とし、前記次の攪拌作業における攪拌時間を1時間以上48時間以下とすることを特徴とするハードコート用組成物の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法により得られるハードコート用組成物。
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