JP4301905B2 - 熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止した発光ダイオードおよび色変換型発光ダイオード - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止した発光ダイオードおよび色変換型発光ダイオード Download PDF

Info

Publication number
JP4301905B2
JP4301905B2 JP2003324544A JP2003324544A JP4301905B2 JP 4301905 B2 JP4301905 B2 JP 4301905B2 JP 2003324544 A JP2003324544 A JP 2003324544A JP 2003324544 A JP2003324544 A JP 2003324544A JP 4301905 B2 JP4301905 B2 JP 4301905B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light emitting
resin composition
light
thermosetting resin
emitting diode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003324544A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005089601A (ja
Inventor
弘明 杉野
康正 森田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Stanley Electric Co Ltd
Original Assignee
Stanley Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Stanley Electric Co Ltd filed Critical Stanley Electric Co Ltd
Priority to JP2003324544A priority Critical patent/JP4301905B2/ja
Publication of JP2005089601A publication Critical patent/JP2005089601A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4301905B2 publication Critical patent/JP4301905B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

本発明は、高い耐光耐熱耐久性を有する透光性の高い熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止した発光ダイオードおよび色変換型発光ダイオードに関するものである。
従来、発光ダイオードの発光素子の封止材あるいはモールド材としては、使用環境、用途等に合わせて、酸無水物系硬化剤を使った透明エポキシ樹脂、芳香族スルホニウム塩などのカチオン性硬化剤を使ったエポキシ樹脂、シリコーン系のゴム・エラストマー・ゲル等が用いられてきた(例えば、非特許文献1参照。)。
酸無水物系硬化剤を使った透明エポキシ樹脂は、接着性が高く力学的な耐久性を有している。
カチオン性硬化剤を使ったエポキシ樹脂は、揮発性が低く、酸無水物系硬化剤に比べれば速やかに硬化する。
シリコーン系のゴム・エラストマー・ゲル等は、耐光耐久性や耐熱耐久性が高い被覆材として使用されている。
ジー.ボグナー, エー.ドゥブレ アンド ケー.ヘーン、「ライト−エミッティング ダイオード: リサーチ マニュファクチュアリング アンド アプリケーションズ IV, プロシーディング オブ エスピーアイイー」、アメリカ、2000年、第3938号、p.249(G. Bogner, A. Debray & K.Hoehn, in Light-Emitting Diodes: Research, Manufacturing and Applications IV, Proc. SPIE, 3938, 249(2000))
しかしながら、いずれの組成物も一長一短があり、完全に満足のいくものではなかった。
酸無水物系硬化剤を使った透明エポキシ樹脂は、短波長の光に対する光線透過性が低いために耐光耐久性が低い、あるいは光劣化や熱劣化により着色するという欠点を有していた。これらの点を改善するためにエポキシ樹脂系での様々な改良が提案されているものの、近年開発された短波長LED(青色LEDや紫外LED、あるいはそれらと蛍光体を組み合わせた白色LEDなど)の封止材料に求められる特性を全て満たすものは得られていない。
また、酸無水物系硬化剤は揮発性・吸湿性が高くかつ硬化速度も遅いため、近年需要が伸びている封止樹脂を薄膜状に形成する表面実装型発光ダイオード(発光素子を基板表面に直接実装するタイプ)では、揮発や吸湿の影響で硬化物の特性が変動し、十分な封止効果が得られない場合があった。
また、カチオン性硬化剤を使ったエポキシ樹脂にも問題点があった。
カチオン性硬化剤は揮発性が低く、酸無水物系硬化剤に比べれば速やかな硬化を誘起することから表面実装型発光ダイオードに適するものの、芳香族環などの炭素−炭素二重結合を分子の基本骨格として有しているものが多いので、青色以下の短波長の光を吸収しやすく、熱的にも不安定である。
即ち、カチオン性硬化剤で得られる硬化物は、短波長の光の照射や高温下で黄変を起こしやすい。
また、カチオン性硬化剤によるエポキシ樹脂硬化物は可撓性に乏しく、このような樹脂を発光ダイオードの封止材とした場合、加熱や冷却時に発光素子と封止樹脂の間などで大きな応力が生じ、樹脂クラックの発生、基材からの封止樹脂の剥離、ボンディングワイヤー切れなどを誘発し、発光ダイオードの出力低下や不良の要因となる。
そして、シリコーン系のゴム・エラストマー・ゲル等にも問題点があった。
シリコーン系のゴム・エラストマー・ゲル等は、従来のインジケーターとしての用途以外の、発光素子により多くの電流を流すパワーLEDモジュールを光源として使用するトレンドに求められる高い耐熱性の透明樹脂として適している。
しかしながら、一般に軟質であり表面タック性を有しているため、実装する際に発光面に異物が付着したり、実装用器具により発光面が損傷を受けたりという問題点があった。
さらに、架橋度を高めたシリコーン樹脂は脆くかつ接着性に乏しい。これは、発光ダイオードの封止材としては大きな短所であった。
また、シリコーン系封止材は透湿性が高く、耐湿耐久性に関しても課題を有していた。
以上のように、いずれの組成物もいくつかの問題点を有していた。
本発明は、このような問題点に鑑みて成されたものであり、その目的とする処は、硬化性および接着性が良好で耐光耐熱耐久性を有し、かつ、実装する際に発光面に異物が付着したり、実装用器具により発光面が損傷を受けたりという問題が生じない熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止した発光ダイオードおよび色変換型発光ダイオードを提供することにある。
本発明は、下記の技術的構成により前記課題を達成できたものである。
)A);反応ユニット当たり二個あるいはそれ以上の反応性環状エーテル基を有するシルセスキオキサン誘導体、B);反応ユニット当たり二個あるいはそれ以上のA)とは異なる反応性環状エーテル基を有する有機シリコーン誘導体、C);炭素−炭素二重結合を持たない酸無水物またはカチオン性熱硬化剤、を必須成分として含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
)前記A)は反応性環状エーテル基としてオキセタン環を有するシルセスキオキサン誘導体、前記B)は反応性環状エーテル基としてオキシラン環を有するテトラメチルジシロキサン誘導体、であることを特徴とする前記()項記載の熱硬化性樹脂組成物。
)前記(1)項又は項記載の熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止したことを特徴とする発光ダイオード。
)前記発光素子は、主発光ピーク波長が550nm以下であることを特徴とする前記()項記載の発光ダイオード。
)主発光ピーク波長が550nm以下である発光素子から発光される光の少なくとも一部を吸収して蛍光を発光することが可能な蛍光物質を含有する前記(1)項又は項記載の熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止したことを特徴とする色変換型発光ダイオード。
本発明によれば、硬化性および接着性が良好で耐光耐熱耐久性を有し、かつ、実装する際に発光面に異物が付着したり、実装用器具により発光面が損傷を受けたりという問題が生じない熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止した発光ダイオードおよび色変換型発光ダイオードを提供することができる。
本発明者らは鋭意研究の結果、A);反応ユニット当たり二個あるいはそれ以上の反応性環伏エーテル基を有するシルセスキオキサン誘導体、B);反応ユニット当たり二個あるいはそれ以上の反応性環状エーテル基を有する有機シリコーン誘導体、C);炭素−炭素二重結合を持たない酸無水物またはカチオン重合を開始させるカチオン性熱硬化剤、を必須成分として含有する熱硬化樹脂組成物が優れた耐久性と良好な接着性を示すことを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、A);反応ユニット当たり二個あるいはそれ以上の反応性環状エーテル基を有するシルセスキオキサン誘導体、B);反応ユニット当たり二個あるいはそれ以上の反応性環状エーテル基を有する有機シリコーン誘導体、C);炭素−炭素二重結合を持たない酸無水物またはカチオン性熱硬化剤、を必須成分として含有する熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止した発光ダイオードおよび色変換型発光ダイオードである。
これには、熱硬化性透明樹脂組成物と該熱硬化性透明樹脂組成物を用いて発光素子が被覆された発光ダイオードも当然含まれる。
シルセスキオキサンはシリカと有機シリコーンの中間の性質を示すため、この成分を配合することにより高い耐光耐熱耐久性に加え、従来のシリコーン系封止材と比較して、耐湿耐久性の改善が見込まれる。また、反応性環状エーテルの開環重合により硬化が進行するので、エステル結合あるいはエーテル結合に富んだ機械的にも強固で表面タック性を示さない硬化物となり、従来のエポキシ樹脂から類推される接着性の向上も見込まれる。
ここでいう反応性環状エーテルとは、主にオキセタン環あるいはオキシラン環を指す。必須成分であるA)およびB)で反応性環状エーテルの種別は特に限定されないが、A)とB)とで異なることが望ましい。さらに好適には、A)とB)との反応性環状エーテルがオキセタン環とオキシラン環であって、オキセタン環がオキシラン環と同程度か、より富んだ比率で存在することが望ましい。
典型例として、A)が反応性環状エーテル基としてオキセタン環を有するシルセスキオキサン誘導体、B)が反応性環状エーテル基としてオキシラン環を有するテトラメチルジシロキサン誘導体、C)がカチオン性熱硬化剤、であることを特徴とする熱硬化性組成物を挙げることができる。
光潜在性触媒を用いたカチオン開環重合の際、反応性環状エーテルがオキシラン環の場合、開始反応は速やかに起こるが成長反応は比較的ゆっくり進むことが知られている。他方、オキセタン環の場合には、開始反応が律速段階であり成長反応は速やかに進行するものと考えられている。したがって、オキシラン環とオキセタン環が共存する系のカチオン開環重合では、それぞれが単独の場合と大きく異なり協奏的に重合反応が進行するので、硬化速度が著しく速いばかりでなく未反応ユニットの残存比が低く化学的に安定な硬化物が得られる。
同様な効果は、酸無水物系硬化剤による重合の際も認められる。
典型例として、A)が反応性環状エーテル基としてオキセタン環を有するシルセスキオキサン誘導体、B)が反応性環状エーテル基としてオキシラン環を有するテトラメチルジシロキサン誘導体、C)が炭素−炭素二重結合を持たない酸無水物、の場合にも速やかに安定な熱硬化性透明組成物が得られた。
異なる反応性エーテルを含む硬化組成物の速やかな硬化特性は酸無水物の重篤な揮発が起きる前に実用上十分な強度の硬化度を付与することから、表面実装型発光ダイオードの封止に際しても酸無水物系硬化剤の使用を気軽に選択できるようになる。
これらの硬化組成物を封止材とした発光ダイオードは良好な耐熱耐久性や耐光耐久性を示すので、特に短波長発光ダイオードや短波長発光素子と蛍光体を組み合わせた色変換式発光ダイオードで有効である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、詳細に説明する。
まず、本発明におけるA)成分について説明する。
シルセスキオキサンとは、RSiO1.5の組成式で表される化1(a)、(b)、化2(a)、(b)、(c)に示すようなネットワーク状ポリシロキサンの総称である。
Figure 0004301905
Figure 0004301905
構造的には無機シリカ(組成式;SiO)と有機シリコーン(組成式;RSiO)の中間に位置付けられ、特性も両者の中間であることが期待される。
本発明に用いるシルセスキオキサン誘導体は、種々の構造ユニットの混合物でも、特定の構造ユニットを単離精製したものでも良い。本発明に用いるシルセスキオキサン誘導体は、化2(a)のT8構造に換算した場合、8個の有機官能基の少なくとも2個が反応性環状エーテルを含む官能基であることを特徴とする。反応性環状エーテルを含む官能基の代表的な事例として、オキセタン環を有する例(化3(a))、オキシラン環(=エポキシ基)を有する例(化3(b)、(c))を示すが必ずしもこれらに限定されるわけではないし、オキセタン環とオキシラン環が単一の反応ユニットに共存することあるいはオキセタン環を有する反応ユニットとオキシラン環を有する反応ユニットが混在することを妨げるものではない。反応性環状エーテルを含む官能基のT8ユニット当たりの平均個数は、2個以上であれば特に限定はないが、2〜4個であることがより好適である。残りの有機官能基の種類も化学反応性が無いか低いものであれば特に限定されないが、耐久性の観点から炭素−炭素二重結合を含まないものが好適であり、合成の容易さからメチル基であることがさらに好適である。また、樹脂組成物の特性を改質する観点から、特定の化学反応性を有する少数の有機官能基を導入することを妨げるものではない。
A)成分は例えば、化3(a)で表されるオキセタン環の有機官能基を有する東亜合成化学株式会社のオキセタニルシルセスキオキサン(OX−SQ)を好適に用いることができる。
Figure 0004301905
次に、本発明におけるB)成分について説明する。
B)成分は、反応ユニット当たり二個あるいはそれ以上の反応性環状エーテル基を有する有機シリコーン誘導体である。
反応ユニット当たりのシロキサン結合の数は特に限定されないが、合成の容易さや合成物の取り扱い易さ(粘度など)を勘案すると、2〜8個であることが望ましく、ジシロキサン誘導体であることが最も好適である。反応性環状エーテルを含む官能基の代表的な事例を化3(a)〜(c)に示すが必ずしもこれらに限定されるわけではないし、オキセタン環とオキシラン環が単一の反応ユニットに共存することあるいはオキセタン環を有する反応ユニットとオキシラン環を有する反応ユニットが混在することを妨げるものではない。
A)成分が特定の反応性環状エーテルしか有さない場合には、B)成分の反応性環状エーテルは環の構成原子数がA)成分とは異なることが望ましい。
反応性環状エーテルを含む官能基の反応ユニット当たりの平均個数は、2個以上であれば特に限定はないが、2個であることが好適である。残りの有機官能基の種類も化学反応性が無いか低いものであれば特に限定されないが、耐久性の観点から炭素−炭素二重結合を含まないものが好適であり、合成の容易さからメチル基であることがさらに好適である。また、樹脂組成物の特性を改質する観点から、特定の化学反応性を有する少数の有機官能基を導入することを妨げるものではない。
B)成分は例えば、化3(a)で表されるオキセタン環の有機官能基を有する東亜合成化学株式会社のオキセタニルジシロキサン(OX−DS;化4)や、化3(c)で表される脂環式エポキシ基を有するジシロキサン誘導体(化5)を好適に用いることができる。後者は、J. Polymer Sci.: PartA: Polymer Chemistry, Vol.28, pp.479-503(1990)に記載された方法で合成できる。本発明では、例えばA)成分が前述のOX−SQの場合には、化5に示されるジシロキサン誘導体と組み合わせることがより好適である。
Figure 0004301905
Figure 0004301905
次に、本発明におけるC)成分について説明する。
まず、C)成分を酸無水物とする場合について説明する。
C)成分を酸無水物とする場合、炭素−炭素二重結合を含まないものから適宜選択して使用することができる。
好適な酸無水物を、化6(a)〜(c)に例示するが、本発明で使用できる酸無水物はこれらの限定されるわけではないし、これらを適宜混合して用いても構わない。また、耐久性を損なわない範囲において、少量の炭素−炭素二重結合を有する酸無水物を補うことを妨げない。
Figure 0004301905
通常、エポキシ樹脂の酸無水物による硬化には、硬化促進剤あるいは硬化開始剤が用いられる。しかし、これらの硬化促進剤や硬化開始剤は化学的に不安定で、得られる硬化物の紫外線や熱による黄変の主要な要因となっている。オキシラン環とオキセタン環が共存すると樹脂組成物の硬化が協奏的に進行することから、硬化促進剤あるいは硬化開始剤の使用量を標準使用量から大幅に低減させることができるので硬化物の紫外線や熱による黄変を抑制できる。使用する硬化促進剤あるいは硬化開始剤は、極力炭素−炭素二重結合を含まないように留意すれば特段の限定が加えられるわけではない。この場合、透明性の高い樹脂を得ようとするなら、リン系の促進剤あるいは硬化開始剤が好適に用いられる。具体的事例としては、日本化学工業株式会社製 ヒシコーリン(R)PX−4FBやPX−4ETを挙げることができる。その他の事例として、カチオン性熱潜在性触媒として使用される旭電化工業株式会社のアデカオプトロンCP−66やCP−77を、酸無水物硬化の硬化促進剤や開始剤の代替薬剤として転用することもできる。
次に、C)成分をカチオン性熱硬化剤とする場合について説明する。
C)成分をカチオン性熱硬化剤とする場合、通常、熱潜在性触媒と呼ばれる範疇のものから適宜選択して使用することができる。
カチオン性熱硬化剤として有機スルホニウム塩や有機ホスホニウム塩などの熱潜在性触媒が一般的であるものの、これらの多くは芳香族環などの二重結合に富んだ構造を含んでいるため、本発明には必ずしもふさわしいものではない。強いて挙げれば、二重結合が相対的に少ない旭電化工業株式会社のアデカオプトロンCP−66あるいはCP−77を好適に用いることができる。これらの熱潜在性触媒はプロピレンカーボネートの溶液として供給されるため、樹脂組成物に添加する際には耐熱性・耐光性を損なわないよう、触媒使用量を極力抑制することのみならず、溶媒の除去あるいは低減にも留意することが望ましい。オキシラン環とオキセタン環が共存すると樹脂組成物の硬化が協奏的に進行することから、触媒の使用量を標準使用量から大幅に低減させた場合でも速やかな硬化を誘起することができる。
なお、本発明では、硬化性および接着性が良好で耐光耐熱耐久性を有し、かつ、実装する際に発光面に異物が付着したり実装用器具により発光面が損傷を受けるという問題が生じない透明硬化組成物と該組成物を封止材とした発光ダイオードを提供することが好ましいので、その目的から逸脱しない範囲内で、樹脂組成物に色変換用蛍光体・無機フィラー・酸化防止剤・光安定化剤・樹脂改質剤・シランカップリング剤などの一部ないしは全部を含めることを妨げない。
以下、本発明の実施例について説明する。
なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されるものではない。
実施例および比較例では、樹脂組成物を厚さ2mmの板状プレートおよびリードフレーム上に配置された表面実装型発光ダイオードの封止材として硬化させ下記の各項目の評価を行った。
1.表面タック性評価(樹脂プレートサンプルを触診し表面タック性の有無を評価した。)
評価記号; ○:表面タック性なし、×:表面タック性あり
2.体積減少度評価(リードフレームサンプルに硬化前樹脂組成物を開口部が平面となるまで満たし、それを硬化させた時の体積減少に伴う樹脂表面の凹化の有無を目視で評価した。)
評価記号; ○:体積減少・凹化なし、×:体積減少・凹化あり
3.耐光性加速試験(ウシオ電機製・SP−V超高圧水銀ランプからの光をカットオフフィルターに通し350nm以下の紫外光成分を除去したものを樹脂プレートに集光照射し、目視により黄変が認められるまでの時間で評価した。サンプル照射面での光照度は5000mW/cm、スポット径は5mmとした。評価時の雰囲気温度は60℃に設定した。)
評価記号; ◎:>100時間、○:50〜100時間、△:5〜50時間、×:<5時間
4.耐熱性加速試験(150℃の電気乾燥炉内に樹脂プレートサンプルを48時間放置した後の黄変の程度を目視で評価した。)
評価記号; ◎:変化なし、○:わずかな着色、△:黄変、×:強い黄変(褐色変)
5.耐熱ショック試験(−40℃と120℃ 各30分暴露の熱ショックサイクルを繰り返し、リードフレームサンプルにおいて樹脂のクラックあるいは樹脂−基材間の剥離が初めて認められるサイクル数で評価した。)
評価記号; ◎:>150回、○:50〜150回、△:5〜50回、×:<5回
実施例1:東亜合成化学株式会社のオキセタニルシルセスキオキサン OX−SQ33重量部、脂環式エポキシ基を有するジシロキサン誘導体(化5) 33重量部、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物 34重量部、硬化促進剤として日本化学工業株式会社製ヒシコーリン(R)PX−4FB 0.01重量部をよく混合した後、真空脱泡処理を施して樹脂整形型およびリードフレーム型に注入した。150℃×2時間の硬化条件で、透明な硬化物を得た。
実施例2:酸無水物の揮発を抑制するため、硬化前樹脂溶液を分注したリードフレーム型は、自由空間の少ない密閉容器内に封入した。硬化に際し、この容器ごと硬化炉に入れたことを除けば、実施例1とまったく同じ手順で透明な硬化物を得た。
実施例3:東亜合成化学株式会社のオキセタニルシルセスキオキサン OX−SQ33重量部、脂環式エポキシ基を有するジシロキサン誘導体(化5) 33重量部、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物 34重量部、硬化促進剤として日本化学工業株式会社製ヒシコーリン(R)PX−4ET 0.1重量部、酸化防止剤としてBHT 0.5重量部をよく混合した後、真空脱泡処理を施して樹脂整形型およびリードフレーム型に注入した。100℃×1時間の一次硬化・150℃×1時間の二次硬化を施す条件で、透明な硬化物を得た。
実施例4:東亜合成化学株式会社のオキセタニルシルセスキオキサン OX−SQ33重量部、脂環式エポキシ基を有するジシロキサン誘導体(化5) 33重量部、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物 34重量部、硬化促進剤として旭電化工業株式会社のアデカオプトロンCP−66 0.1重量部、酸化防止剤としてBHT 0.5重量部をよく混合した後、真空脱泡処理を施して樹脂整形型およびリードフレーム型に注入した。100℃×1時間の一次硬化・150℃×1時間の二次硬化を施す条件で、透明な硬化物を得た。
実施例5:東亜合成化学株式会社のオキセタニルシルセスキオキサン OX−SQ50重量部、脂環式エポキシ基を有するジシロキサン誘導体(化5) 50重量部、熱硬化剤として旭電化工業株式会社のアデカオプトロンCP−66 0.1重量部をよく混合した後、真空脱泡処理を施して樹脂整形型およびリードフレーム型に注入した。100℃×1時間の一次硬化・150℃×1時間の二次硬化を施す条件で、透明な硬化物を得た。
比較例1:熱硬化剤としてCP−66の代わりに三新化学工業株式会社の芳香族環を有するホスホニウム塩(サンエイドSI−60L,0.1重量部)を使用したことを除けば実施例5とまったく同様の手順で、薄く着色した硬化物を得た。
実施例6:東亜合成化学株式会社のオキセタニルシルセスキオキサン OX−SQ50重量部、脂環式エポキシ基を有するジシロキサン誘導体(化5) 5O重量部、熱硬化剤として旭電化工業株式会社のアデカオプトロンCP−66 0.1重量部、酸化防止剤としてBHT 0.5重量部をよく混合した後、真空脱泡処理を施して樹脂整形型およびリードフレーム型に注入した。100℃×1時間の一次硬化・150℃×1時間の二次硬化を施す条件で、透明な硫化物を得た。
比較例2:LED封止に汎用的に用いられる2液型エポキシ樹脂組成物(ビスフェノールA型エポキシ樹脂を酸無水物系硬化剤で硬化させるもの)を処方どおりに混合し、真空脱泡処理を施して樹脂整形型およびリードフレーム型に注入した。150℃×8時間の熱処理を施す条件で、透明な硬化物を得た。
比較例3:LED封止に汎用的に用いられる2液型シリコーンゴム組成物を処方どおりに混合し、真空脱泡処理を施して樹脂整形型およびリードフレーム型に注入した。150℃×2時間の熱処理を施す条件で、透明な硫化物を得た。
実施例および比較例の評価結果を表1にまとめた。
Figure 0004301905
表面タック性評価において、実施例1〜6はいずれも比較例3より高い評価となっている。すなわち、実施例1〜6は、従来のシリコーン系のゴム・エラストマー・ゲル等より表面タック性が改善されている。
体積減少度評価において、実施例2〜6はいずれも比較例2より高い評価となっている。すなわち、実施例2〜6は、従来の酸無水物系硬化剤を使ったエポキシ樹脂より体積減少度が改善されている。
耐光性加速試験において、実施例1〜6はいずれも比較例2より高い評価となっている。すなわち、実施例1〜6は、従来の酸無水物系硬化剤を使ったエポキシ樹脂より耐光性が改善されている。
耐熱性加速試験において、実施例1、2、4、5、6はいずれも比較例1より高い評価となっている。すなわち、実施例1、2、4、5、6は、従来のカチオン性硬化剤を使ったエポキシ樹脂より耐熱性が改善されている。
耐熱ショック試験において、実施例1〜6はいずれも比較例3より高い評価となっている。すなわち、実施例1〜6は、従来のシリコーン系のゴム・エラストマー・ゲル等より耐熱ショック性が改善されている。
このように、実施例1〜6の評価を全体的に見ると、比較例1〜3の欠点が改善されていることがわかる。特に実施例2では、全ての評価において、比較例1〜3と同じかより高い評価となっており、発光素子の封止材として優れた性質を示している。
以上のように、本発明によれば、高い耐光耐熱耐久性を有する透光性の高い熱硬化性樹脂組成物と該熱硬化性樹脂組成物を封止材とした発光ダイオードを提供でき、産業上の利用価値は極めて高い。

Claims (5)

  1. A);反応ユニット当たり二個あるいはそれ以上の反応性環状エーテル基を有するシルセスキオキサン誘導体、B);反応ユニット当たり二個あるいはそれ以上のA)とは異なる反応性環状エーテル基を有する有機シリコーン誘導体、C);炭素−炭素二重結合を持たない酸無水物またはカチオン性熱硬化剤、を必須成分として含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記A)は反応性環状エーテル基としてオキセタン環を有するシルセスキオキサン誘導体、前記B)は反応性環状エーテル基としてオキシラン環を有するテトラメチルジシロキサン誘導体、であることを特徴とする請求項記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載の熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止したことを特徴とする発光ダイオード。
  4. 前記発光素子は、主発光ピーク波長が550nm以下であることを特徴とする請求項記載の発光ダイオード。
  5. 主発光ピーク波長が550nm以下である発光素子から発光される光の少なくとも一部を吸収して蛍光を発光することが可能な蛍光物質を含有する請求項1又は2記載の熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止したことを特徴とする色変換型発光ダイオード。
JP2003324544A 2003-09-17 2003-09-17 熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止した発光ダイオードおよび色変換型発光ダイオード Expired - Fee Related JP4301905B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003324544A JP4301905B2 (ja) 2003-09-17 2003-09-17 熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止した発光ダイオードおよび色変換型発光ダイオード

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003324544A JP4301905B2 (ja) 2003-09-17 2003-09-17 熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止した発光ダイオードおよび色変換型発光ダイオード

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005089601A JP2005089601A (ja) 2005-04-07
JP4301905B2 true JP4301905B2 (ja) 2009-07-22

Family

ID=34455270

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003324544A Expired - Fee Related JP4301905B2 (ja) 2003-09-17 2003-09-17 熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止した発光ダイオードおよび色変換型発光ダイオード

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4301905B2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4826160B2 (ja) * 2005-07-28 2011-11-30 ナガセケムテックス株式会社 光素子封止用樹脂組成物
CN101291973B (zh) 2005-10-18 2012-10-17 旭化成化学株式会社 热固性树脂组合物和光半导体密封材料
JP2007326988A (ja) * 2006-06-09 2007-12-20 Chisso Corp エポキシ樹脂組成物
KR101390087B1 (ko) * 2006-06-16 2014-04-28 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 에폭시ㆍ실리콘 혼성 수지 조성물 및 발광 반도체 장치
JP2008019422A (ja) * 2006-06-16 2008-01-31 Shin Etsu Chem Co Ltd エポキシ・シリコーン混成樹脂組成物及び発光半導体装置
JP2008179756A (ja) 2006-12-28 2008-08-07 Showa Denko Kk 発光素子封止用樹脂組成物およびランプ
JP2008163260A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Showa Denko Kk 発光素子封止用樹脂組成物およびランプ
WO2008081836A1 (ja) * 2006-12-28 2008-07-10 Showa Denko K.K. 発光素子封止用樹脂組成物およびランプ
JP2010180384A (ja) * 2009-02-09 2010-08-19 Showa Denko Kk 発光素子接着用樹脂組成物、発光素子の接着方法およびランプ
KR101601271B1 (ko) * 2009-07-20 2016-03-08 주식회사 엘지화학 발광소자 봉지용 조성물, 발광 다이오드 및 액정표시장치
JP2010171466A (ja) * 2010-05-11 2010-08-05 Toshiba Lighting & Technology Corp 発光装置
WO2012090961A1 (ja) * 2010-12-28 2012-07-05 コニカミノルタオプト株式会社 発光装置、発光装置の製造方法、及び、塗布液
WO2013061781A1 (ja) * 2011-10-24 2013-05-02 コニカミノルタIj株式会社 塗布組成物及び発光装置の製造方法
JP6606316B1 (ja) * 2018-03-28 2019-11-13 日本板硝子株式会社 樹脂組成物の硬化物、積層体、及び樹脂組成物
TW202142605A (zh) * 2020-03-23 2021-11-16 日商琳得科股份有限公司 硬化性組合物、硬化物及硬化性組合物的使用方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005089601A (ja) 2005-04-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4301905B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物で発光素子を封止した発光ダイオードおよび色変換型発光ダイオード
JP5549568B2 (ja) 光半導体素子封止用樹脂組成物及び当該組成物で封止した光半導体装置
JP4831992B2 (ja) 透光性樹脂組成物
JP4421192B2 (ja) 発光ダイオード用封止樹脂組成物及びそれを用いた表面実装型発光ダイオード
JPWO2013005633A1 (ja) イソシアヌル骨格、エポキシ基およびSiH基を有するオルガノポリシロキサンまたはシルセスキオキサン骨格を含む化合物および該化合物を密着付与材として含む熱硬化性樹脂組成物、硬化物、および光半導体用封止材
JP2010031149A (ja) 光半導体素子封止用樹脂組成物
JPWO2007046399A1 (ja) 熱硬化性樹脂組成物及び光半導体封止材
JP6323086B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いた物品
JP2008019422A (ja) エポキシ・シリコーン混成樹脂組成物及び発光半導体装置
JP4754240B2 (ja) エポキシ樹脂組成物および光半導体装置
WO2014077216A1 (ja) 熱硬化性樹脂組成物
JP5600869B2 (ja) 加熱硬化性光半導体封止用樹脂組成物およびこれを用いる光半導体封止体
JP5149126B2 (ja) 半導体封止用硬化性組成物
JP5251919B2 (ja) 光半導体素子封止用樹脂組成物
JP3876251B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物及び該組成物を封止剤とする発光ダイオード
JP2006299073A (ja) 光半導体封止用樹脂組成物
JP6272747B2 (ja) 加熱硬化型シリコーン組成物、該組成物からなるダイボンド材及び該ダイボンド材の硬化物を用いた光半導体装置
JP2007016073A (ja) エポキシ樹脂組成物及び光半導体装置
JP2012144590A (ja) 硬化性組成物、硬化膜及び半導体発光素子
JP2010180384A (ja) 発光素子接着用樹脂組成物、発光素子の接着方法およびランプ
JP2008255295A (ja) 熱硬化性組成物及び光半導体封止材
JP2007039521A (ja) 熱硬化性樹脂組成物、該組成物を熱硬化してなる透光性硬化物、該硬化物で封止された発光ダイオード
JP5407258B2 (ja) 接着性光半導体封止用シリコーン樹脂組成物およびこれを用いる光半導体封止体
JP2010006971A (ja) 発光素子封止用樹脂組成物、ランプおよびランプの製造方法
JP3969661B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物及び該組成物を封止剤とする発光ダイオード

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060714

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081118

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081211

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090324

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090421

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120501

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130501

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140501

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees