JP4301778B2 - アルカリ二次電池用焼結式ニッケル正極の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ二次電池用焼結式ニッケル正極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電動工具や電気自動車用電池として高出力・長寿命のアルカリ二次電池への需要が高まっている。また、高温充電効率・低温放電特性の改善や自己放電量の低減といった特性面の改良も望まれている。
【0003】
従来より、アルカリ二次電池用焼結式ニッケル正極は、以下のような方法で製造されている。
まず、ニッケル粉末、増粘剤、および水を混合したスラリーを、芯材に塗着し、還元雰囲気中で焼結することで、ニッケル焼結基板を作製する。この焼結基板を、硝酸ニッケルを溶解した硝酸溶液(以下、酸性ニッケル塩水溶液という。)中に浸漬して、硝酸ニッケルを焼結基板中に含浸させ、乾燥後、アルカリ溶液に浸漬する。これにより、硝酸ニッケルが、活物質としての水酸化物に変化する。この操作を繰り返すことにより、所定量の活物質がニッケル焼結基板に充填される。
【0004】
ニッケル焼結基板を酸性ニッケル塩水溶液に浸漬する工程では、ニッケル焼結基板の表面が、酸性ニッケル塩水溶液の腐蝕作用により腐蝕するため、ニッケル焼結基板の強度が低下するという問題点がある。ここで、電池が寿命を迎えるモードの1つに、正極板の膨潤に伴う電解液の偏在化により、電池の内部抵抗が増加することが挙げられる。正極板が膨潤する要因として、活物質の主成分であるβ-Ni(OH)2が、過充電により、密度の低いγ-NiOOHへと変化することが挙げられる。前述のようにニッケル焼結基板の強度が低下すると、極板の膨潤は、さらに加速され、サイクル寿命が短くなる。
【0005】
この問題に対して、特開平4−75257号公報において、ニッケル焼結基板の表面に酸化コバルトを生成させることで、基板の腐蝕を抑制することが提案されている。この場合、ニッケル焼結基板を、まず、コバルト塩水溶液に浸漬し、90〜100℃の温度で乾燥した後、アルカリ溶液で処理して水酸化コバルトを基板表面に生成させる。そして、この水酸化コバルトを酸化した後、基板を酸性ニッケル塩水溶液に浸漬する工程を行う。すなわち、ここでは水酸化コバルトの酸化は、酸性ニッケル塩水溶液による基板の腐蝕を抑制する目的で行われる。しかし、この提案によれば、活物質含浸時のニッケル焼結基板の腐蝕は抑制されるものの、ニッケル焼結基板付近の活物質が充電時にγ−NiOOHへと変化しやすく、却ってサイクル特性が低下するという問題がある。
【0006】
一方、特開平11−102700号公報において、ニッケル焼結基板の細孔内にコバルトとマグネシウムの共沈水酸化物を生成させた後、酸性ニッケル塩水溶液へ浸漬することにより、活物質の充填を行うことが提案されている。この提案は、基板を酸性ニッケル塩水溶液へ浸漬する時に、コバルトとマグネシウムの共沈水酸化物と水酸化ニッケルからなる活物質との固相界面において、固溶体層を生じさせることにより、電池の作動電圧を高めるものであると考えられる。固溶体層を生じると、電池の作動電圧は上昇するものの、充電状態で活物質の分解が進行しやすくなり、自己放電が進行し、高温雰囲気での充電効率も低下するという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アルカリ二次電池において、耐自己放電特性などの特性を犠牲にすることなく、長寿命化を達成することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)ニッケル焼結基板を、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンと、コバルトイオンとを含む硝酸溶液中に浸漬し、乾燥することにより、マグネシウム塩またはマンガン塩と、コバルト塩とを含む金属塩付着基板Aを得る工程、(2)前記基板Aを、アルカリ溶液中に浸漬し、前記マグネシウム塩またはマンガン塩と前記コバルト塩とをアルカリと反応させて、マグネシウム水酸化物またはマンガン水酸化物と、コバルト水酸化物とを、前記基板Aの細孔内に析出させることにより、水酸化物付着基板Bを得る工程、(3)前記コバルト水酸化物を、酸化して、コバルトの平均価数が2価をこえるコバルト酸化物を生成させることにより、酸化物付着基板Cを得る工程、および(4)前記基板Cを、硝酸ニッケルを溶解した溶液中に浸漬し、乾燥し、次いでアルカリ溶液中に浸漬して、水酸化ニッケルからなる活物質を前記基板Cに充填する操作を複数回繰り返すことにより、活物質付着基板Dを得る工程、を有することを特徴とするアルカリ二次電池用焼結式ニッケル正極の製造方法に関する。
【0009】
前記工程(3)は、アルカリが付着した前記水酸化物付着基板Bを、100℃以上150℃以下の空気雰囲気に曝すことにより、前記コバルト水酸化物を酸化して、コバルト酸化物を生成させる工程からなることが好ましい。
あるいは、前記工程(3)は、前記水酸化物付着基板Bを、アルカリ溶液中で電気化学的に酸化することにより、前記コバルト水酸化物を酸化して、コバルト酸化物を生成させる工程からなることが好ましい。
前記工程(2)で用いる前記アルカリ溶液は、水酸化ナトリウムを溶解した水溶液であることが好ましい。
【0010】
前記工程(1)で用いる前記酸性溶液において、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンと、コバルトイオンとの合計の濃度は、1.2モル/リットル以上2.0モル/リットル以下であり、前記合計に占めるコバルトの割合は、30モル%以上70モル%以下であることが好ましい。
【0011】
本発明の方法は、前記工程(4)に続いて、さらに前記活物質付着基板Dを、イットリウムイオン、イッテルビウムイオンおよびカルシウムイオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む硝酸溶液中に浸漬し、乾燥し、次いでアルカリ溶液中に浸漬して、イットリウム水酸化物、イッテルビウム水酸化物およびカルシウム水酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を前記基板Dに充填することにより、添加剤含有活物質付着基板Eを得る工程(5)を有することが好ましい。
【0012】
前記基板Eにおいて、前記活物質に含まれるニッケル量に対して、イットリウム、イッテルビウムおよびカルシウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の合計量の割合は、0.2〜2モル%であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明により製造される焼結式ニッケル正極においては、ニッケル焼結基板の表面が、コバルトの平均価数が2価をこえるコバルト酸化物と、マグネシウム水酸化物またはマンガン水酸化物と、からなる混合層で被覆されている。この混合層の外側は、水酸化ニッケルからなる活物質が取り囲んでいる。しかし、コバルト酸化物に含まれるコバルトの平均価数が2価をこえるため、マグネシウムまたはマンガンが水酸化ニッケルと固溶体を生成する反応は抑制される。そのため、充電状態での活物質の分解は抑制され、自己放電の進行も抑制される。
ニッケル焼結基板上のコバルトは、3価をこえるまで酸化することが好ましい。マグネシウムもしくはマンガンの酸化物または水酸化物は、導電性に乏しいが、コバルトを3価をこえるまで酸化する場合には、混合層に非常に良好な導電性が付与される。その結果、水酸化ニッケルからなる活物質とニッケル焼結基板との間に良好な電気的接合が得られるようになる。これにより、活物質の利用率が向上し、電池の内部抵抗の低減も図られる。
【0014】
本発明の焼結式ニッケル正極の製造方法の一例を以下に詳述する。
工程(1)
工程(1)では、ニッケル焼結基板を、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンと、コバルトイオンとを含む液温20〜40℃の酸性溶液中に、例えば3〜20分間浸漬し、80〜120℃で乾燥することにより、金属塩付着基板Aを調製する。
前記ニッケル焼結基板には、従来から公知のものを特に限定なく用いることができる。ニッケル焼結基板の厚さは0.3〜0.8mm、空隙率は60〜85%であることが好ましい。
【0015】
前記酸性溶液のpHは、硝酸などの酸により、3以下にしておくことが好ましい。前記酸性溶液は、水にマグネシウム塩またはマンガン塩を溶解し、pHを整えることにより、調製される。
【0016】
マグネシウム塩には、硝酸マグネシウムなどが用いられる。また、マンガン塩には、硝酸マンガンなどが用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの元素をニッケル焼結基板の近傍に存在させることにより、充放電によるγ−NiOOHの生成を抑制する効果、ニッケル焼結基板の酸化を抑制する効果が得られ、極板の膨潤を抑制することができる。
【0017】
前記酸性溶液において、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンと、コバルトイオンとの合計の濃度は、1.2〜2.0モル/リットル、さらには1.4〜1.7モル/リットルであることが好ましい。合計濃度が1.2モル/リットル未満では、基板に析出する水酸化物の量が少なくなり、活物質含浸時や充放電サイクル時において、基板を防蝕する効果が得られない。一方、合計濃度が2.0モル/リットルをこえると、基板に析出する水酸化物の量が多くなりすぎて、活物質の充填量が減少し、正極容量が減少する。
【0018】
前記酸性溶液において、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンと、コバルトイオンとの合計に占めるコバルトイオンの割合は、30〜70モル%、さらには50〜65モル%であることが好ましい。コバルトイオンの割合が30モル%未満では、基板に析出する水酸化コバルト割合が少なくなり、導電性に乏しい元素の水酸化物の割合が多くなって、電池の内部抵抗が上昇してしまう。一方、コバルトイオンの割合が70モル%をこえると、基板近傍のコバルトの割合が大きくなりすぎて、活物質が充電時にγ−NiOOHへと変化しやすくなり、サイクル寿命が低下する。
【0019】
工程(2)
工程(2)では、前記基板Aを、アルカリ溶液中に、例えば10〜30分間浸漬し、基板Aに付着したマグネシウム塩またはマンガン塩と、コバルト塩とをアルカリと反応させて、マグネシウム水酸化物またはマンガン水酸化物と、コバルト水酸化物とを、前記基板Aの表面に析出させることにより、水酸化物付着基板Bを調製する。
前記アルカリ溶液には、液温20〜90℃、比重1.2〜1.4の水酸化ナトリウム水溶液を用いることが好ましい。
【0020】
工程(3)
工程(3)では、前記コバルト水酸化物を、酸化して、コバルトの平均価数が2価をこえるコバルト酸化物を生成させることにより、酸化物付着基板Cを調製する。コバルトの平均価数は2価をこえればよいが、3価以上にすることが好ましい。コバルトの平均価数が2価以下では、次の工程(4)でコバルトイオンが硝酸ニッケルを溶解した溶液に溶出しやすく、水酸化ニッケルとコバルト等との固溶体が生成しやすくなる。固溶体が生成すると、充電状態での活物質の分解が促進されたり、自己放電が進行したりしてしまう。
【0021】
コバルト水酸化物を酸化するには、工程(2)で用いたアルカリ溶液を含んだ状態の基板Bを、100℃以上150℃以下の空気雰囲気に曝すことが有効である。このとき温度が100℃未満では、コバルト水酸化物の酸化が充分に進行しない。一方、150℃をこえると、ニッケル焼結基板までが酸化されてしまい、活物質利用率が低下する。
【0022】
基板Bを、工程(2)で用いたアルカリ溶液中に浸漬したままの状態で、電気化学的に酸化することもできる。このとき、基板Bの見かけ表面積あたりの電流密度は0.2〜1.0mAh/cm2であることが好ましい。
【0023】
コバルトの酸化後は、基板を水洗して、アルカリ成分をある程度まで除去しておく。ただし、コバルト酸化物中に含まれる微量のアルカリ成分は、固溶体の生成を抑制する作用を有するため、水洗に用いた排水のpHが10.5未満になるまで洗浄を行った時点で洗浄を終了することが好ましい。
【0024】
工程(4)
工程(4)では、基板Cを、硝酸ニッケルを溶解した溶液中に3〜20分間浸漬し、80〜120℃で乾燥し、次いでアルカリ溶液中に10〜30分間浸漬して、水酸化ニッケルからなる活物質を基板Cに充填することにより、活物質付着基板D(焼結式ニッケル正極)を完成する。通常、この工程は、複数回繰り返して行われる。
【0025】
硝酸ニッケルを溶解した溶液には、液温70〜90℃、比重1.65〜1.80、pH1.0以下の酸性の硝酸ニッケル水溶液を用いることが好ましい。
また、次に用いるアルカリ溶液には、液温60〜90℃、比重1.2〜1.4の水酸化ナトリウム水溶液を用いることが好ましい。
【0026】
硝酸ニッケルを溶解した溶液に、コバルトの平均価数が2価をこえるコバルト酸化物が付着した基板Cを浸漬しても、コバルトの平均価数が2価をこえるコバルト酸化物は、硝酸水溶液への溶解度が小さいため、Co等を含む水酸化ニッケルの固溶体の生成は大きく抑制される。さらに、コバルト酸化物中に含まれる微量のアルカリ成分にも、固溶体の生成を抑制する効果がある。このため、充電状態の活物質の分解が促進されるようなことはなく、耐自己放電特性が劣化することはない。また、コバルト酸化物が防蝕被膜の役割を果たすため、硝酸ニッケルを溶解した溶液によるニッケル焼結基板の腐蝕は起こらず、強い基板強度を維持できる。
【0027】
一般に、焼結式ニッケル正極を用いたアルカリ二次電池では、充電末期になると、充電反応(1)と酸素発生反応(2)とニッケル焼結基板が酸化される反応(3)とが競合する。
【0028】
Ni(OH)2 +OH- → NiOOH + H2O + e- (1)
4OH- → O2 + 2H2O + 4e- (2)
Ni + 2OH- → Ni(OH)2 + 2e- (3)
【0029】
特に、高温雰囲気下、正極の充電効率を高めるイットリウムやイッテルビウムを正極活物質表面に付与した場合、(2)の反応が抑制され、(3)のニッケル焼結基板の酸化が促進される。ニッケル焼結基板が酸化されると、基板強度が弱くなるとともに、金属ニッケルが水酸化ニッケルへと変化して嵩高くなるため、極板の膨潤がおこり、電解液の偏在化が促進されて、電池寿命が短くなる。
【0030】
マグネシウムまたはマンガンからなる化合物を正極に添加すると、充電効率が低下することが一般に知られている(例えばP. D. Bennett, T. Sakai, Hydrogen and Metal Hydride Batteries, The Electrochemical Society, Inc., New Jersey, 1994, pp. 296-302.)。これらの化合物をニッケル焼結基板の近傍に配することにより、ニッケル焼結基板の近傍の充電効率を低下させ、(3)の反応よりも(2)の反応を促進させることができる。これにより、ニッケル焼結基板の酸化が抑制され、電池の長寿命化を図ることができる。また、ニッケル焼結基板の表面積に比べて、正極活物質全体の表面積の方が桁違いに大きいため、ニッケル焼結基板の近傍の充電効率が低下しても、電池全体としては充電効率はほとんど変化しない。
以上の効果により、自己放電特性や高温充電効率などの特性を犠牲にすることなく、長寿命のアルカリ二次電池を提供することが可能となる。
【0031】
上記のように、水酸化ニッケルからなる活物質を基板に含浸した後、さらにイットリウム、イッテルビウムおよびカルシウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種を基板に添加することで、電池の充電効率を向上させることが可能である。このとき、活物質に含まれるニッケル量に対して、イットリウム、イッテルビウムおよびカルシウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の合計量の割合は、0.2〜2モル%であることが好ましい。この割合が0.2モル%未満では、充電効率を充分に向上させることができない。一方、2モル%をこえても、充電効率の改善効果は大きく変化しない。
【0032】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
以下に述べる全ての実施例および比較例では、厚さ約0.54mm、空隙率約80%のニッケル焼結基板を用いた。このニッケル焼結基板は、ニッケルメッキを施した鉄製のパンチングシートからなる芯材の両面に、ニッケル粉末の焼結体を形成することにより調製した。
【0033】
《実施例1》
工程(1)
硝酸コバルトおよび硝酸マグネシウムを、それぞれ0.75モル/リットルずつ溶解した硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。ニッケル焼結基板を、前記硝酸水溶液(液温30℃)中に5分間浸漬し、次いで100℃雰囲気中で20分間乾燥することにより、基板A1を得た。
【0034】
工程(2)
前記基板A1を、液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、水酸化コバルトと水酸化マグネシウムの混合物を、基板A1の表面に析出させることにより、基板B1を得た。
【0035】
工程(3)
前記基板B1を、水酸化ナトリウム水溶液から引き上げ、アルカリ液を含んだ状態のまま130℃の空気雰囲気中に30分間保持して、水酸化コバルトをコバルトの平均価数が3.2になるまで酸化させることにより、基板C1を得た。前記基板C1を水洗して、余剰のアルカリを排水のpHが10.5未満になるまで除去し、100℃雰囲気中で20分間乾燥させた。
【0036】
工程(4)
硝酸ニッケルを溶解した硝酸水溶液(pH0.5、液温80℃、比重1.75)を調製した。前記基板C1を、前記硝酸水溶液中に15分間浸漬し、基板C1の細孔内に硝酸ニッケルを含浸させた後、100℃雰囲気中で20分間乾燥させた。この後、硝酸ニッケルを含む基板を、液温80℃で、25℃での比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液に30分間浸漬して、硝酸ニッケルを水酸化ニッケルへと変化させた。その後、基板を水洗・乾燥した。同じ一連の操作を6回繰り返すことにより、基板D1(焼結式ニッケル正極)を得た。こうして作製した極板を正極aとする。
【0037】
参考
硝酸マグネシウムの代わりに硝酸鉄(III)を用いたこと以外は実施例1と同様に、以下の操作を行った。
工程(1)
硝酸コバルトおよび硝酸鉄を、それぞれ0.75モル/リットルずつ溶解した硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。ニッケル焼結基板を、前記硝酸水溶液(液温30℃)中に5分間浸漬し、次いで100℃雰囲気中で20分間乾燥することにより、基板A2を得た。
【0038】
工程(2)
前記基板A2を、液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、水酸化コバルトと水酸化鉄の混合物を、基板A2の表面に析出させることにより、基板B2を得た。
【0039】
工程(3)
前記基板B2を、水酸化ナトリウム水溶液から引き上げ、アルカリ液を含んだ状態のまま130℃の空気雰囲気中に30分間保持して、水酸化コバルトをコバルトの平均価数が3.2になるまで酸化させることにより、基板C2を得た。前記基板C2を水洗して、余剰のアルカリを排水のpHが10.5未満になるまで除去し、100℃雰囲気中で20分間乾燥させた。
【0040】
工程(4)
硝酸ニッケルを溶解した硝酸水溶液(pH0.5、液温80℃、比重1.75)を調製した。前記基板C2を、前記硝酸水溶液中に15分間浸漬し、基板C2の細孔内に硝酸ニッケルを含浸させた後、100℃雰囲気中で20分間乾燥させた。この後、硝酸ニッケルを含む基板を、液温80℃で、25℃での比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液に30分間浸漬して、硝酸ニッケルを水酸化ニッケルへと変化させた。その後、基板を水洗・乾燥した。同じ一連の操作を6回繰り返すことにより、基板D2(焼結式ニッケル正極)を得た。こうして作製した極板を正極bとする。
【0041】
《実施例
硝酸マグネシウムの代わりに硝酸マンガンを用いたこと以外は実施例1と同様に、以下の操作を行った。
工程(1)
硝酸コバルトおよび硝酸マンガンを、それぞれ0.75モル/リットルずつ溶解した硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。ニッケル焼結基板を、前記硝酸水溶液(液温30℃)中に5分間浸漬し、次いで100℃雰囲気中で20分間乾燥することにより、基板A3を得た。
【0042】
工程(2)
前記基板A3を、液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、水酸化コバルトと水酸化マンガンの混合物を、基板A3の表面に析出させることにより、基板B3を得た。
【0043】
工程(3)
前記基板B3を、水酸化ナトリウム水溶液から引き上げ、アルカリ液を含んだ状態のまま130℃の空気雰囲気中に30分間保持して、水酸化コバルトをコバルトの平均価数が3.2になるまで酸化させることにより、基板C3を得た。前記基板C3を水洗して、余剰のアルカリを排水のpHが10.5未満になるまで除去し、100℃雰囲気中で20分間乾燥させた。
【0044】
工程(4)
硝酸ニッケルを溶解した硝酸水溶液(pH0.5、液温80℃、比重1.75)を調製した。前記基板C3を、前記硝酸水溶液中に15分間浸漬し、基板の細孔内に硝酸ニッケルを含浸させた後、100℃雰囲気中で20分間乾燥させた。この後、硝酸ニッケルを含む基板を、液温80℃で、25℃での比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液に30分間浸漬して、硝酸ニッケルを水酸化ニッケルへと変化させた。その後、基板を水洗・乾燥した。同じ一連の操作を6回繰り返すことにより、基板D3(焼結式ニッケル正極)を得た。こうして作製した極板を正極cとする。
【0045】
《実施例
コバルトの酸化を電気化学的に行ったこと以外、実施例1と同様の操作を行った。すなわち、工程(3)において、アルカリ液を含んだ状態のままの前記基板B1を130℃の空気雰囲気中に30分間保持して水酸化コバルトを酸化させる代わりに、液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中で、電気化学的に水酸化コバルトをコバルトの平均価数が2.9になるまで酸化させたこと以外、実施例1と同様の操作を行った。こうして作製した基板D4(焼結式ニッケル正極)を正極dとする。なお、水酸化コバルトの電気化学的な酸化工程では、基板の見かけ表面積あたりの電流密度を0.5mAh/cm2に設定した。
【0046】
《比較例1》
工程(1)〜(3)を行わずに、工程(4)のみを行った。すなわち、ニッケル焼結基板を、そのまま硝酸ニッケルを溶解した硝酸水溶液(pH0.5、液温80℃、比重1.75)中に15分間浸漬し、基板の細孔内に硝酸ニッケルを含浸させた後、100℃雰囲気中で20分間乾燥させた。この後、硝酸ニッケルを含む基板を、液温80℃で、25℃での比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液に30分間浸漬して、硝酸ニッケルを水酸化ニッケルへと変化させた。その後、基板を水洗・乾燥した。同じ一連の操作を6回繰り返すことにより、基板DR1(焼結式ニッケル正極)を得た。こうして作製した極板を正極eとする。
【0047】
《比較例2》
工程(1)において、硝酸マグネシウムを用いなかったこと以外は実施例1と同様に、以下の操作を行った。
工程(1)
硝酸コバルトを0.75モル/リットル溶解した硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。ニッケル焼結基板を、前記硝酸水溶液(液温30℃)中に5分間浸漬し、次いで100℃雰囲気中で20分間乾燥することにより、基板AR2を得た。
【0048】
工程(2)
前記基板AR2を、液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、水酸化コバルトを、基板AR2の表面に析出させることにより、基板BR2を得た。
【0049】
工程(3)
前記基板BR2を、水酸化ナトリウム水溶液から引き上げ、アルカリ液を含んだ状態のまま130℃の空気雰囲気中に30分間保持して、水酸化コバルトをコバルトの平均価数が3.2になるまで酸化させることにより、基板CR2を得た。前記基板CR2を水洗して、余剰のアルカリを排水のpHが10.5未満になるまで除去し、100℃雰囲気中で20分間乾燥させた。
【0050】
工程(4)
硝酸ニッケルを溶解した硝酸水溶液(pH0.5、液温80℃、比重1.75)を調製した。前記基板CR2を、前記硝酸水溶液中に15分間浸漬し、基板の細孔内に硝酸ニッケルを含浸させた後、100℃雰囲気中で20分間乾燥させた。この後、硝酸ニッケルを含む基板を、液温80℃で、25℃での比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液に30分間浸漬して、硝酸ニッケルを水酸化ニッケルへと変化させた。その後、基板を水洗・乾燥した。同じ一連の操作を6回繰り返すことにより、基板DR2(焼結式ニッケル正極)を得た。こうして作製した極板を正極fとする。
【0051】
《比較例3》
工程(2)の後に、水酸化コバルトをコバルトの平均価数が2価をこえるまで酸化する工程(3)を行わなかったこと以外、実施例1と同様の操作を行った。すなわち、実施例1と同様に工程(1)および(2)を行った後、基板を水酸化ナトリウム水溶液から引き上げ、水洗して、余剰のアルカリを排水のpHが10.5未満になるまで除去し、100℃雰囲気中で20分間乾燥させ、次いで工程(4)を行うことにより、基板DR3(焼結式ニッケル正極)を得た。こうして作製した極板を正極gとする。
【0052】
以上のようにして作製した正極aからgは、幅35mm、長さ280mmに切り出した。そして、所定の正極と、厚さ0.27mm、長さ330mmのペースト式水素吸蔵合金負極とを、セパレータ(厚さ0.18mm)を間に介在させ、直径4.5mmの巻芯を用いて渦巻状に巻回し、直径22mm、高さ42.5mmのF−SCサイズのニッケル水素電池を作製した。
正極aを用いて作製した電池を電池A、以下同様に、正極b、c、d、e、fおよびgを用いて作製した電池を、それぞれ電池B、C、D、E、FおよびGとする。
【0053】
作製した電池A〜Gを400mAで6時間充電し、1時間の休止の後、400mAで電池電圧が1.0Vになるまで放電し、1時間休止する、というパターンで10サイクル充放電を行い、電池を活性化させた。
活性化の終了した電池A〜Gに対して、充電効率、保存特性およびサイクル寿命をそれぞれ調べた。各試験方法を以下に示す。
【0054】
[充電効率]
25℃または45℃の雰囲気で、SOC(state of charge)が0%の電池を、400mAで6時間充電し、次いで25℃雰囲気に3時間放置し、次いで400mAで電池電圧が1.0Vになるまで放電することにより、25℃充電および45℃充電を行った場合の放電容量をそれぞれ求めた。次いで、25℃充電を行った場合の放電容量に対する45℃充電を行った場合の放電容量の割合を、充電効率として百分率で求めた。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0004301778
【0056】
[保存特性]
25℃雰囲気で、SOCが0%の電池を、400mAで6時間充電し、次いで25℃雰囲気に3時間または14日間放置し、次いで400mAで電池電圧が1.0Vになるまで放電することにより、3時間放置後および14日放置後の放電容量をそれぞれ求めた。次いで、3時間放置後の放電容量に対する14日放置後の放電容量の割合を、容量維持率として百分率で求めた。結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
Figure 0004301778
【0058】
[サイクル寿命]
25℃雰囲気で、電池を1000mAで2時間12分間充電し、次いで速やかに1000mAで電池電圧が1.0Vになるまで放電する、というパターンで充放電サイクルを繰り返し、充放電サイクル数(回)と電池容量(mAh)との関係を求めた。結果を図1に示す。
【0059】
表1、2および図1から、電池A〜Dは、充電効率が82〜83%程度、25℃で14日間放置後の容量維持率は90%前後であり、サイクル寿命が優れていることがわかる。
一方、電池Eは、充電効率と容量維持率は電池A〜Dに比べて遜色がないが、初期の放電容量が低く、サイクル寿命も劣っている。電池Fは、初期の放電容量が大きく、かつ、充電効率と容量維持率は電池A〜Dに比べて遜色がないが、サイクル寿命が劣っている。電池Gは、サイクル寿命特性は電池A〜Dに比べて遜色がないが、充電効率と容量維持率は電池A〜Dと比較して劣っている。
【0060】
以上の結果から、ニッケル焼結基板に活物質を充填する前に、工程(1)〜(2)により、コバルト水酸化物と、マグネシウム水酸化物またはマンガン水酸化物をニッケル焼結基板に析出させ、次いで、基板に析出しているコバルト水酸化物を酸化させることにより、初期放電容量、充電効率、容量維持率およびサイクル寿命などの観点から総合的に優れた電池を与える正極が得られることが示された。
【0061】
《実施例
次に、ニッケル焼結基板の細孔内に析出させるコバルト水酸化物と、マグネシウム水酸化物またはマンガン水酸化物の量について検討した。ここでは、コバルトイオンとマグネシウムイオンとをモル比1:1で含み、濃度がそれぞれ異なる各種溶液を調製し、上記の検討を行った。
【0062】
硝酸コバルトと硝酸マグネシウムとをモル比1:1で含み、コバルトイオンとマグネシウムイオンとの合計濃度が、それぞれ1.0モル/リットル(M)、1.2M、1.5M、1.8M、2.0Mおよび2.5Mである硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。
【0063】
工程(1)において、これらの硝酸水溶液(液温30℃)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、焼結式ニッケル正極を作製した。コバルトイオンとマグネシウムイオンとの合計濃度が1.0M、1.2M、1.5M、1.8M、2.0Mおよび2.5Mである硝酸水溶液を用いて得られた正極を、それぞれa(1.0)、a(1.2)、a(1.5)、a(1.8)、a(2.0)およびa(2.5)とする。また、前記正極を用いて、実施例1と同様に作製したF−SCサイズのニッケル水素蓄電池を、それぞれ電池A(1.0)、A(1.2)、A(1.5)、A(1.8)、A(2.0)およびA(2.5)とする。
【0064】
作製した電池A(1.0)〜A(2.5)を、先述と同様に活性化させた後、充電効率およびサイクル寿命をそれぞれ求めた。結果を表3および図2に示す。
【0065】
【表3】
Figure 0004301778
【0066】
表3より、硝酸水溶液の金属イオン濃度が変化しても、充電効率には大きな差が生じないことがわかる。ただし、25℃で電池の充電を行った場合の容量を比較すると、コバルトイオンとマグネシウムイオンとの合計濃度が、2.5Mのときに、容量の低下がみられる。これは、基板の細孔内でのコバルト水酸化物およびマグネシウム水酸化物の析出量が多くなりすぎて、活物質の充填量が減少し、正極容量が減少したものと考えられる。
【0067】
図2では、電池A(1.2)〜A(2.0)のサイクル寿命には大きな差が見られないが、電池A(1.0)は、サイクル寿命が他の電池に比べて劣っている。これは、ニッケル焼結基板の細孔内へのコバルト水酸化物およびマグネシウム水酸化物の析出量が少なく、サイクル寿命を向上させる効果が現れなかったものと考えられる。一方、電池A(2.5)は、サイクル寿命は電池A(1.2)〜A(2.0)に比べて遜色はないが、放電容量が全体的に小さくなっている。
【0068】
以上の結果から、ニッケル焼結基板の細孔内に水酸化物を析出させるために用いる硝酸水溶液において、コバルトイオンと、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンとの合計濃度は、1.2M以上2.0M以下であることが望ましいと言える。
【0069】
《実施例
次に、ニッケル焼結基板の細孔内に析出させるコバルト水酸化物と、マグネシウム水酸化物またはマンガン水酸化物とのモル比について検討した。ここでは、コバルトイオンとマグネシウムイオンとの合計濃度が1.5モル/リットル(M)であり、コバルトイオンとマグネシウムイオンとのモル比がそれぞれ異なる各種溶液を調製し、上記の検討を行った。
【0070】
硝酸コバルトと硝酸マグネシウムとの合計モル量に占める硝酸コバルトの割合が10モル%、30モル%、50モル%、70モル%および90モル%であり、コバルトイオンとマグネシウムイオンとの合計濃度が1.5Mである硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。
【0071】
工程(1)において、これらの硝酸水溶液(液温30℃)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、焼結式ニッケル正極を作製した。硝酸コバルトと硝酸マグネシウムとの合計モル量に占める硝酸コバルトの割合が10モル%、30モル%、50モル%、70モル%および90モル%である硝酸水溶液を用いて得られた正極を、それぞれa(10)、a(30)、a(50)、a(70)およびa(90)とする。また、前記正極を用いて、実施例1と同様に作製したF−SCサイズのニッケル水素蓄電池を、それぞれ電池A(10)、A(30)、A(50)、A(70)およびA(90)とする。
【0072】
作製した電池A(10)〜A(90)を、先述と同様に活性化させた後、充電効率およびサイクル寿命をそれぞれ求めた。結果を表4および図3に示す。
【0073】
【表4】
Figure 0004301778
【0074】
表4では、コバルトの割合が最も小さい電池A(10)は、充電効率が他の電池に比べ低くなっている。これは、コバルト量が少ないため、コバルト酸化物中に含まれる微量のアルカリ成分による水酸化ニッケルとコバルト(およびマグネシウム)との固溶体生成を防止する効果が失われ、また、コバルト酸化物の防蝕被膜としての効果が小さくなったため、水酸化ニッケルの一部がマグネシウムと固溶体を形成して、充電効率が低下したものと考えられる。
【0075】
図3では、コバルトの割合が最も大きい電池A(90)のサイクル寿命が他の電池と比較して大幅に劣っている。これは、ニッケル焼結基板の近傍のコバルトの割合が大きくなり、活物質が充電時にγ−NiOOHへと変化しやすくなったことが原因と考えられる。
【0076】
以上の結果から、ニッケル焼結基板の細孔内に水酸化物を析出させるために用いる硝酸水溶液において、コバルトイオンと、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンとの合計モル量に占めるコバルトの割合は、30モル%以上70モル%以下であることが望ましいと言える。
【0077】
《実施例
硝酸イットリウムを、0.1モル/リットル溶解した硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。この酸性水溶液に、実施例1で作製した正極aを5分間浸漬し、次いで100℃雰囲気で20分間乾燥させ、次いで液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して、水酸化イットリウムを極板表面に析出させた。この操作を1回行うことにより、イットリウムが、活物質である水酸化ニッケルに対して0.1モル%添加された極板を作製した。このようにして作製した極板を正極hとする。
【0078】
《実施例
実施例と同じ操作を2回繰り返すことにより、イットリウムが、活物質である水酸化ニッケルに対して0.2モル%添加された極板を作製した。このようにして作製した極板を正極iとする。
【0079】
《実施例
硝酸イットリウムを、1.0モル/リットル溶解した硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。この酸性水溶液に、実施例1で作製した正極aと同じ正極を5分間浸漬し、次いで100℃雰囲気で20分間乾燥させ、次いで液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して、水酸化イットリウムを極板表面に析出させた。この操作を2回行うことにより、イットリウムが、活物質である水酸化ニッケルに対して1.0モル%添加された極板を作製した。このようにして作製した極板を正極jとする。
【0080】
《実施例
硝酸イットリウムを、1.5モル/リットル溶解した硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。この酸性水溶液に、実施例1で作製した正極aと同じ正極を5分間浸漬し、次いで100℃雰囲気で20分間乾燥させ、次いで液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して、水酸化イットリウムを極板表面に析出させた。この操作を3回行うことにより、イットリウムが、活物質である水酸化ニッケルに対して2.0モル%添加された極板を作製した。このようにして作製した極板を正極kとする。
【0081】
《実施例10
硝酸イットリウムを、2.0モル/リットル溶解した硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。この酸性水溶液に、実施例1で作製した正極aと同じ正極を5分間浸漬し、次いで100℃雰囲気で20分間乾燥させ、次いで液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して、水酸化イットリウムを極板表面に析出させた。この操作を4回行うことにより、イットリウムが、活物質である水酸化ニッケルに対して3.0モル%添加された極板を作製した。このようにして作製した極板を正極lとする。
【0082】
《比較例4》
硝酸イットリウムを、2.0モル/リットル溶解した硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。この酸性水溶液に、比較例3で作製した正極aと同じ正極を5分間浸漬し、次いで100℃雰囲気で20分間乾燥させ、次いで液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して、水酸化イットリウムを極板表面に析出させた。この操作を2回行うことにより、イットリウムが、活物質である水酸化ニッケルに対して1.0モル%添加された極板を作製した。このようにして作製した極板を正極mとする。
【0083】
正極h、i、j、k、lおよびmを用いて、実施例1と同様に作製したF−SCサイズのニッケル水素蓄電池を、それぞれ電池H、I、J、K、LおよびMとする。
【0084】
作製した電池H〜Mを、先述と同様に活性化させた後、充電効率およびサイクル寿命をそれぞれ求めた。結果を実施例1の電池Aおよび比較例3の電池Gのデータとともに表5および図4に示す。
【0085】
【表5】
Figure 0004301778
【0086】
表5において、活物質である水酸化ニッケルに対するYの割合が0.2〜3.0モル%では、充電効率が90%前後であり、電池Aと比較して大きな改善が見られるが、Yの割合が0.1モル%の電池Hでは、充電効率の改善は小さいものである。このことから、Yの割合は、0.2モル%以上が望ましいと言える。また、Yの割合が2.0モル%の電池Kと3.0モル%の電池Lとを比較すると、Yの割合が1.5倍になっているにもかかわらず、充電効率の改善は0.2%にとどまっている。一方、Yの割合を3.0モル%にするために、実施例10では、正極を硝酸イットリウムを含む硝酸水溶液へ含浸する操作を4回も行っており、実施例の3回と比較して工程数は増加している。このようにYの割合を3.0モル%にする場合、工程数が増加するにもかかわらず、充電効率の改善はあまり見られないことから、Yの割合は2.0モル%以下が適当であると言える。また、活物質の含浸の前に、予め、ニッケル焼結基板の表面に析出させた水酸化コバルトの酸化処理を行わなかった電池Gと電池Mとを比較すると、Yの添加により、充電効率は78.0%から82.4%へと改善されているものの、電池Aの83.0%と比較して低い値となっている。
【0087】
図4に示したサイクル寿命特性を見ると、電池G、LおよびMは、他の電池に比べて、容量低下が激しい。電池Lのサイクル寿命が他の電池H〜Kに比べて短い理由は、正極に添加したYの量が多すぎて、水酸化ニッケルの充電時におけるγ−NiOOHの生成が増加したためと考えられる。
【0088】
以上の結果より、水酸化ニッケルが充填された正極を、イットリウムイオンを含む硝酸水溶液中に浸漬し、乾燥させた後、アルカリ水溶液に浸漬することによって添加されるYの割合は、活物質である水酸化ニッケルに対して0.2〜2.0モル%が最適であると言える。
【0089】
《実施例11
硝酸コバルトおよび硝酸イットリウムを、それぞれ2.0モル/リットルおよび1.0モル/リットルずつ溶解した硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。この硝酸水溶液に、実施例1で作製した正極aを5分間浸漬し、次いで100℃雰囲気で20分間乾燥させ、次いで液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して、水酸化コバルトと水酸化イットリウムからなる混合物を極板表面に析出させた。この操作を2回繰り返すことにより、イットリウムが、活物質である水酸化ニッケルに対して1.0モル%添加され、水酸化コバルトが活物質の空隙に添加された極板を作製した。このようにして作製した極板を正極nとする。
【0090】
《実施例12
硝酸コバルトおよび硝酸イッテルビウムを、それぞれ2.0モル/リットルおよび1.0モル/リットルずつ溶解した硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。この硝酸水溶液に、実施例1で作製した正極aを5分間浸漬し、次いで100℃雰囲気で20分間乾燥させ、次いで液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して、水酸化コバルトと水酸化イッテルビウムからなる混合物を極板表面に析出させた。この操作を2回繰り返すことにより、イッテルビウムが、活物質である水酸化ニッケルに対して1.0モル%添加され、水酸化コバルトが活物質の空隙に添加された極板を作製した。このようにして作製した極板を正極oとする。
【0091】
《実施例13
硝酸コバルトおよび硝酸カルシウムを、それぞれ2.0モル/リットルおよび1.0モル/リットルずつ溶解した硝酸水溶液(pH1.5)を調製した。この硝酸水溶液に、実施例1で作製した正極aを5分間浸漬し、次いで100℃雰囲気で20分間乾燥させ、次いで液温25℃、比重1.25の水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して、水酸化コバルトと水酸化カルシウムからなる混合物を極板表面に析出させた。この操作を2回繰り返すことにより、カルシウムが、活物質である水酸化ニッケルに対して1.0モル%添加され、水酸化コバルトが活物質の空隙に添加された極板を作製した。このようにして作製した極板を正極pとする。
【0092】
正極n、oおよびpを用いて、実施例1と同様に作製したF−SCサイズのニッケル水素蓄電池を、それぞれ電池N、OおよびPとする。
【0093】
作製した電池N〜Pを、先述と同様に活性化させた後、充電効率およびサイクル寿命をそれぞれ求めた。結果を実施例の電池Jのデータとともに表6および図5に示す。
【0094】
【表6】
Figure 0004301778
【0095】
表6において、正極jにさらにコバルトを添加した正極nを用いた電池Nは、正極jを用いた電池Jに比べて初期容量が高く、充電効率は同等である。また、イットリウムの代わりに、イッテルビウムおよびカルシウムをそれぞれ正極に添加した電池Oおよび電池Pも、電池Nと同様に、電池Jに比べて初期容量が高く、充電効率は同等である。
また、図5から、電池N〜Pは、電池Jと同様、長いサイクル寿命を有することがわかる。
【0096】
以上の結果より、活物質を充填した正極に対して、さらにイットリウム、イッテルビウムおよびカルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種の水酸化物とコバルト水酸化物とを添加することにより、初期容量および充電効率が高く、長いサイクル寿命を有する電池が得られることがわかる。
【0097】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、耐自己放電特性や高温での充電効率などの特性を犠牲にすることなく、長いサイクル寿命を有するアルカリ二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電池A〜Gの充放電サイクル数と放電容量との関係を示す図である。
【図2】電池A(1.0)〜A(2.5)の充放電サイクル数と放電容量との関係を示す図である。
【図3】電池A(10)〜A(90)の充放電サイクル数と放電容量との関係を示す図である。
【図4】電池H〜Mの充放電サイクル数と放電容量との関係を、電池A、Gのデータとともに示す図である。
【図5】電池N〜Pの充放電サイクル数と放電容量との関係を、電池Jのデータとともに示す図である。

Claims (7)

  1. (1)ニッケル焼結基板を、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンと、コバルトイオンとを含む酸性溶液中に浸漬し、乾燥することにより、マグネシウム塩またはマンガン塩と、コバルト塩とを含む金属塩付着基板Aを得る工程、
    (2)前記基板Aを、アルカリ溶液中に浸漬し、前記マグネシウム塩またはマンガン塩と前記コバルト塩とをアルカリと反応させて、マグネシウム水酸化物またはマンガン水酸化物と、コバルト水酸化物とを、前記基板Aの細孔内に析出させることにより、水酸化物付着基板Bを得る工程、
    (3)前記コバルト水酸化物を、酸化して、コバルトの平均価数が2価をこえるコバルト酸化物を生成させることにより、酸化物付着基板Cを得る工程、および
    (4)前記基板Cを、硝酸ニッケルを溶解した溶液中に浸漬し、乾燥し、次いでアルカリ溶液中に浸漬して、水酸化ニッケルからなる活物質を前記基板Cに充填する操作を複数回繰り返すことにより、活物質付着基板Dを得る工程
    有することを特徴とするアルカリ二次電池用焼結式ニッケル正極の製造方法。
  2. 前記工程(3)が、アルカリが付着した前記基板Bを、100℃以上150℃以下の空気雰囲気に曝すことにより、前記コバルト水酸化物を酸化して、コバルト酸化物を生成させる工程からなる請求項1記載のアルカリ二次電池用焼結式ニッケル正極の製造方法。
  3. 前記工程(3)が、前記基板Bを、アルカリ溶液中で電気化学的に酸化することにより、前記コバルト水酸化物を酸化して、コバルト酸化物を生成させる工程からなる請求項1記載のアルカリ二次電池用焼結式ニッケル正極の製造方法。
  4. 前記工程(2)で用いる前記アルカリ溶液が、水酸化ナトリウムを溶解した水溶液である請求項1記載のアルカリ二次電池用焼結式ニッケル正極の製造方法。
  5. 前記工程(1)で用いる前記酸性溶液において、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンと、コバルトイオンとの合計の濃度が、1.2モル/リットル以上2.0モル/リットル以下であり、前記合計に占めるコバルトの割合が、30モル%以上70モル%以下である請求項1記載のアルカリ二次電池用焼結式ニッケル正極の製造方法。
  6. 前記工程(4)に続いて、さらに前記基板Dを、イットリウムイオン、イッテルビウムイオンおよびカルシウムイオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む酸性溶液中に浸漬し、乾燥し、次いでアルカリ溶液中に浸漬して、イットリウム水酸化物、イッテルビウム水酸化物およびカルシウム水酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を前記基板Dに充填することにより、添加剤含有活物質付着基板Eを得る工程(5)、を有する請求項1記載のアルカリ二次電池用焼結式ニッケル正極の製造方法。
  7. 前記基板Eにおいて、前記活物質に含まれるニッケル量に対して、イットリウム、イッテルビウムおよびカルシウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の合計量の割合が、0.2〜2モル%である請求項6記載のアルカリ二次電池用焼結式ニッケル正極の製造方法。
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