JP4301587B2 - ヒレ付電線把持用アルミカラーおよびクランプ構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はヒレ付電線に用いる把持用アルミカラーに関し、特に、ヒレ付電線を緩みなくクランプするための構造に関する。
【0002】
【背景技術】
周知のように、架空送電線等においては、例えば特開昭60−5719号公報に示されているように、風騒音や風圧振動対策または難着雪対策として外周面にヒレ部を突出させた構造が提案されている。
【0003】
ところで、このような構造のヒレ付電線Xにおいては、鉄塔等の架線固定部に対する電線の引留やダンパーの付加、導体間スペーサの取付けの目的で、電線の一部にクランプ部材を固定したい場合があるけれども、このような場合、ヒレ付電線Xとクランプ部材との間に半円筒状のアルミカラー1,2を介装している。
【0004】
図5及び図6はヒレ付電線Xに付加された従来のトーショナルダンパー3及びアルミカラー1,2を示し、このトーショナルダンパー3はヒンジ軸4でヒンジ接手されたダンパー本体5及びクランプ片6を備えている。即ち、前記ダンパー本体5の先端部には抑止線7の中間部が固定され、この抑止線7の先端には一対の偏心重錘8,9が固定され、これらの偏心重錘8,9によりヒレ付電線Xにねじり方向の減衰質量が与えられる。
そして、円弧状に作られるダンパー本体5及びクランプ片6とヒレ付電線Xとの間には半円筒形の一対のアルミカラー1,2が介装され、これらのアルミカラー1,2を介して締付ボルト10及びナット11によりヒレ付電線Xにダンパー本体5が固定される。
【0005】
つまり、各アルミカラー1,2は長さ方向両端に抜止めフランジ1a,2aを一体成形されるもので、それらの内周面にはヒレ付電線Xのヒレ部yを受け入れるヒレ溝13,14が形成され、図7に拡大して示すように、各アルミカラー1,2の外周面の直径D1 はダンパー本体5及びクランプ片6の弧状部内径D0 よりも小さく、同アルミカラー1,2の内周面の直径d1 はヒレ付電線Xの外径d0 よりも僅かに大きな値に選ばれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、このようなトーショナルダンパー3において、締付ボルト10及びナット11によりダンパー本体5とクランプ片6との間を締め付けて、ヒレ付電線Xにダンパー本体5をクランプする場合、ヒレ付電線Xの外径d0がアルミカラー1,2の内周面の直径d1よりもかなり小さいと、アルミカラー1,2が効果的にヒレ付電線Xに固定されない問題がある。即ち、図7に示すように、締付ボルト10及びナット11を締め付けると、アルミカラー1,2の角度方向端部にクランプ片6の外力F0が作用する。この外力F0はヒンジ軸4を中心とするクランプ片6の締め付けモーメントによる外力でクランプ片6に直角な方向の力であるから、この外力F0によって、着力点Tとアルミカラー1,2及びヒレ付電線Xの中心Oを結ぶ方向の垂直分力F0yとこの垂直分力F0yに対して直角な水平分力F0xとが生じる。
【0007】
言い換えると、アルミカラー1,2に対しては水平分力F0xが作用するから、この水平分力F0xが両アルミカラー1,2とクランプ片6との摩擦力Fu よりも小さいと、アルミカラー1,2は直径d1を確保したまま、クランプと一体化されてしまい、アルミカラー1,2の内周面全体がヒレ付電線Xの外周面に密着することはなくなる。また、各アルミカラー1,2の角度方向両端部には垂直分力F0yにより曲げモーメントが働き、この曲げモーメントでアルミカラー1,2全体が変形されてしまい、クランプ片6から加わる外力F0はアルミカラー1,2の変形エネルギに消費され、効果的にヒレ付電線Xにアルミカラー1,2を密着できない。本発明の目的は、以上に述べたような従来のヒレ付電線把持用アルミカラーの問題に鑑み、クランプ部材による締付力により、アルミカラーが効果的にヒレ付電線に密着できるヒレ付電線把持用アルミカラーを得るにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、放射方向に突出するヒレ部を外周面に有するヒレ付電線とこのヒレ付電線をクランプする一対のクランプ部材との間に介在される半円筒形の一対のアルミカラーにおいて、これらのアルミカラーの突き合わせ端部の外周面に、前記突き合わせ端部の端面と垂直でかつ前記ヒレ付電線の中心軸に対して平行な直線的な削成面を形成して、同削成面と前記クランプ部材の内周面との間に空間を形成したヒレ付電線把持用アルミカラーを提案するものである。
【0009】
後述する本発明の好ましい実施例の説明においては、
1)前記クランプ部材は、前記ヒレ付電線の一部に固定されてヒレ付電線の微風振動を抑制するトーショナルダンパーのダンパー本体及びクランプ片である構造、2)前記クランプ部材は、前記ヒレ付電線の一部に固定されてヒレ付電線を架線固定部に引き止める引留クランプのクランプ本体及びクランプ片である構造、
3)前記クランプ部材は、互いに平行状態を保って架設される複数のヒレ付電線にそれぞれ固定されるクランプであり、これらのクランプ間を継なぐスペーサ部材で前記ヒレ付電線の間隔が維持される構造
が説明される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図1から図4について本発明の実施例の詳細を説明する。
図1から図3は本発明をヒレ付電線のトーショナルダンパーに施した第1実施例を示している。
【0011】
トーショナルダンパーを構成するダンパー本体5A及びクランプ片6Aとヒレ付電線Xとの間には、略半円筒形に作られる一対のアルミカラー1A,2Aが介装され、ヒンジ軸4Aでヒンジ接手されたこれらのアルミカラー1A,2Aを介してダンパー本体5A及びクランプ片6Aがヒレ付電線Xに固定される。
即ち、前記ダンパー本体5Aの先端部には抑止線7Aの中間部が固定され、この抑止線7Aの先端には一対の偏心重錘(図示せず)が固定され、これらの偏心重錘によりヒレ付電線Xにねじり方向の減衰質量が与えられる点では、従来と同様である。
【0012】
また、ダンパー本体5A及びクランプ片6Aとヒレ付電線Xとの間には半円筒形の一対のアルミカラー1A,2Aが介装され、これらのアルミカラー1A,2Aを介して締付ボルト10A及びナット11Aによりヒレ付電線Xにダンパー本体5Aが固定される。
つまり、各アルミカラー1A,2Aは長さ方向両端に抜止めフランジ1a,2aを一体成形されるもので、それらの内周面にはヒレ付電線Xのヒレ部yを受け入れるヒレ溝13A,14Aが形成され、図7に拡大して示すように、各アルミカラー1A,2Aの外周面の直径D1 はダンパー本体5A及びクランプ片6Aの弧状部内径D0 よりも小さく、同アルミカラー1A,2Aの内周面の直径d1 はヒレ付電線Xの外径d0 よりも僅かに大きな値に選ばれるのも従来と同様である。
【0013】
本発明によれば、前記各アルミカラー1A,2Aの突き合わせ端部の外周面には各アルミカラー1A,2Aの中間部を通る直径に対して平行な直線的な削成面15A,16Aが形成され、これらの削成面15A,16Aと前記ダンパー本体5A及びクランプ片6Aの内周面との間に三ケ月状空間17A,18Aが形成される。
【0014】
第1実施例によるトーショナルダンパーは、以上のような構成であるから、締付ボルト及びナットによりダンパー本体5Aとクランプ片6Aとの間を締め付ける場合、図3に示すように、各アルミカラー1A,2Aの両端部には、互いに近付く方向の力が与えられるから、変形を起こさなく共、各アルミカラー1A,2Aの内周面中央がヒレ付電線Xの外周面に自動的に密着されることになる。
このため、各アルミカラー1A,2Aは、アルミカラー1A,2Aの内周面の直径d1よりもヒレ付電線Xの外径d0が小さな場合でも、それらの内周面がヒレ付電線Xの外周面に自然に密着され、締付ボルト10A及びナット11Aの締め付けに伴ってヒレ付電線Xとアルミカラー1A,2Aが完全に一体化されるので、ヒレ付電線Xを緩みなく、クランプできる。
【0015】
図4はヒレ付電線X把持用のクランプに施した本発明の第2実施例を示し、半円筒断面に作られる一対のアルミカラー1B,2Bは、第1実施例の場合と同様に、長さ方向両端に抜止めフランジ1a,2aを一体成形されると共に、それらの内周面にはヒレ付電線Xのヒレ部yを受け入れるヒレ溝13B,14Bが形成される。そして、各アルミカラー1B,2Bの突き合わせ端部の外周面には各アルミカラー1B,2Bの中間部を通る直径に対して平行な直線的な削成面15B,16Bが形成され、これらの削成面15B,16Bと前記クランプ本体5B及びクランプ片6Bの内周面との間に三ケ月状空間17B,18Bが形成される。
【0016】
図4の実施例のクランプは、圧縮コイルスプリング20の力で付勢されるTボルト21を備え、このTボルト21はヒンジ軸4Bでクランプ本体5Bにヒンジ接手された前記クランプ片6Bに臨まされると共に、前記圧縮コイルスプリング20は押ボルト22により拘束されている。このため、クランプ本体5B及びクランプ片6Bとヒレ付電線Xとの間にアルミカラー1B,2Bを介在させた状態とし、押ボルト22を取り去って圧縮コイルスプリング20の拘束力を解くと、同圧縮コイルスプリング20の付勢によりヒレ付電線Xにこのクランプが完全に固定される。この場合、各アルミカラー1B,2Bの突き合わせ端部の外周面には直線的な削成面15B,16Bがそれぞれ形成され、これらの削成面15B,16Bと前記ダンパー本体5B及びクランプ片6Bの内周面との間に、三ケ月状の空間17B,18Bが形成されているので、第1実施例の場合と同様に、各アルミカラー1B,2Bの内周面がヒレ付電線Xの外周面に自然に密着され、緩みなく、ヒレ付電線Xにこのクランプを固定できる。
【0017】
なお、前述した第2実施例のクランプは、互いに平行状態を保って架設される複数のヒレ付電線Xに用いる導体間スペーサを構成するクランプとして用いられる場合がある。つまり、この導体間スペーサにおいては、各ヒレ付電線Xに固定されるクランプ間をつなぐスペーサ部材で前記ヒレ付電線Xの間隔が維持されることになる。
【0018】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、アルミカラーの突き合わせ端部に削成面をそれぞれ形成してクランプ部材とアルミカラーの間に三ケ月状空間を形成するだけの簡単な構造によって、クランプ部材の締め付け時にアルミカラーがヒレ付電線に自然に密着するから、緩みなく、ヒレ付電線の一部にクランプ部材を固定できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のヒレ付電線把持用のアルミカラーの全体斜視図である。
【図2】 同アルミカラーを用いたトーショナルダンパーの全体側面図である。
【図3】 同トーショナルダンパーの要部拡大側面図である。
【図4】 本発明のアルミカラーを用いたスペーサ用クランプの側面図である。
【図5】 ヒレ付電線の従来のトーショナルダンパーの全体斜視図である。
【図6】 同トーショナルダンパーの全体側面図である。
【図7】 同トーショナルダンパーの要部拡大側面図である。
【符号の説明】
X ヒレ付電線
y ヒレ部
1A,1B アルミカラー
2A,2B アルミカラー
5A ダンパー本体(クランプ部材)
5B クランプ本体(クランプ部材)
6A,6B クランプ片(クランプ部材)
15A,15B 削成面
16B,16B 削成面
17A,17B 三ケ月状空間
18A,18B 三ケ月状空間
Claims (4)
- 放射方向に突出するヒレ部を外周面に有するヒレ付電線とこのヒレ付電線をクランプする一対のクランプ部材との間に介在される半円筒形の一対のアルミカラーにおいて、
これらのアルミカラーの突き合わせ端部の外周面に、前記突き合わせ端部の端面と垂直でかつ前記ヒレ付電線の中心軸に対して平行な直線的な削成面を形成して、同削成面と前記クランプ部材の内周面との間に空間を形成したことを特徴とするヒレ付電線把持用アルミカラー。 - 請求項1に記載のヒレ付電線把持用アルミカラーを備えて、ヒレ付電線をクランプするためのクランプ構造であって、
前記クランプ部材は、前記ヒレ付電線の一部に固定されてヒレ付電線のねじり方向の振動を抑制するトーショナルダンパーのダンパー本体及びクランプ片であることを特徴とするクランプ構造。 - 請求項1に記載のヒレ付電線把持用アルミカラーを備えて、ヒレ付電線をクランプするためのクランプ構造であって、
前記クランプ部材は、前記ヒレ付電線の一部に固定されてヒレ付電線を架線固定部に引き留める引留クランプのクランプ本体及びクランプ片であることを特徴とするクランプ構造。 - 請求項1に記載のヒレ付電線把持用アルミカラーを備えて、ヒレ付電線をクランプするためのクランプ構造であって、
前記クランプ部材は、互いに平行状態を保って架設される複数のヒレ付電線にそれぞれ固定されるクランプであり、これらのクランプ間を継なぐスペーサ部材で前記ヒレ付電線の間隔が維持されることを特徴とするクランプ構造。
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1998
- 1998-03-13 JP JP08277898A patent/JP4301587B2/ja not_active Expired - Lifetime
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