JP2635558B2 - 架空送電線または架空地線用引留めクランプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、架空送電線または架空地線（以下、一方を
特定している場合以外は「電線」と略称する）を鉄塔に
引留めるための引留めクランプに係り、特に電線を切断
せずに引留められる引通しタイプの引留めクランプに関
するものである。

〔従来技術とその問題点〕

例えば光ファイバ入り架空地線を鉄塔に引留める場
合、引留めクランプ取付け部で架空地線を切断すると光
ファイバの取扱が面倒になるため、このような場合は引
通しタイプの引留めクランプを用いることが好ましい。

従来、引通しタイプの引留めクランプとしては、電線
をクランプ片で挟んでボルト・ナットで締め付ける構造
のものがあるが、圧縮型に比し、締付け力が弱いという
難点がある。

また最近、電線にらせん状の鋼クランプ片を巻き付け
て圧縮し、その上にらせん状のアルミクランプ片を巻き
付けて圧縮する引留めクランプも提案されている（特開
昭61−109412号公報）。しかしこの引留めクランプは、
電線に巻き付けたらせん状のクランプ片を圧縮するもの
であるから、圧縮力が有効に作用し難く、圧縮型引留め
クランプと同等の性能を持たせるためには極めて長大な
ものとなる欠点がある。

〔問題点の解決手段とその作用〕

本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決した
引留めクランプを提供するもので、その構成は、電線を
らせん状に巻き付けて装着するらせん溝を有する心金
と、この心金とそのらせん溝に装着された電線を外周か
ら締め付けるスリーブとを備え、上記心金またはスリー
ブの後端側に引留め部を設けてなるものである。

上記構成によると、電線は心金によりらせん状に成形
された状態で、外周からスリーブによる締付け力が加え
られるため、引留め力が大幅に向上する。

〔実施例〕

第１図は本発明の一実施例を示す。この引留めクラン
プは、棒状の心金１とスリーブ２から構成される。心金
１は鋼製で、外周に電線を装着するためのらせん溝３が
形成されている。らせん溝３の先端および後端は電線引
出しのため直線溝４、５につながっている。上記らせん
溝３の深さは電線外径より若干浅い程度とすることが望
ましい。つまり電線を装着したとき電線の一部が溝から
若干はみ出す程度とすることが望ましい。心金１の外径
は電線外径の２倍以上あることが望ましいが、それ以下
の太さでも溝がらせん状に形成でき、電線張力で変形し
ない程度の強度があれば差し支えない。らせん溝３のピ
ッチは電線外径の５倍以上あることが望ましい。またら
せん溝３のピッチは図示のように全長等ピッチでもよい
が、ピッチを徐々に変化させることも引留め力向上に効
果的である。またらせん溝３の内面を粗面化したり、内
面に軟質部材を張付けたりすることも引留め力向上に効
果がある。

心金１の後端には、この引留めクランプを鉄塔に引留
めるための引留め部６が一体に形成されている。

またスリーブ２はアルミ製の圧縮スリーブで、第１図
（ｃ）に示すように基体2aと蓋体2bの二部材からなり、
基体2aに鳩尾形溝を、蓋体2bに鳩尾形突条を形成して、
両者がスライド結合するようになっている。スリーブ２
の内径は心金１の外径より若干大きくしてある。

第２図は上述した引留めクランプで電線を引留めた状
態を示す。電線を引留めるには、まず電線７をらせん溝
３に沿って心金１に巻き付ける。次にその心金１にスリ
ーブ２の基体2aを装着し、さらにその基体2aに蓋体2bを
スライド結合させて、心金１の外周にスリーブ２を被せ
る。これにより電線７はらせん状に拘束される。最後に
スリーブ２を通常の圧縮ダイスを用いて圧縮し、心金１
と電線２を外周から締め付ければ、引留めクランプの取
付けが完了する。

上記のように引留めクランプの取付けには、従来の圧
縮型引留めクランプのように鋼クランプの圧縮は必要な
く、アルミ製スリーブの圧縮だけでよいので取付け作業
は極めて簡単である。またこの引留めクランプでは、ス
リーブ２が電線７を心金１に押し付ける力のほか、電線
７の張力で電線７が心金１を締め付ける力が発生するた
め、電線７と心金１の摩擦力は極めて大きなものとな
り、極めて大きな引留め力が得られる。

第３図は本発明の他の実施例を示す。この引留めクラ
ンプは、心金１の構造は前述の実施例と同じであるが、
短尺のアルミ製スリーブ８を複数個用い、心金１と電線
７を長手方向に間隔をおいて圧縮したものである。個々
のスリーブ８が二つ割でスライド式に結合するようにな
っていることは前述の実施例と同じである。なお心金１
の先端を圧縮するスリーブ８はその内側にゴム部材９を
嵌め込んで、電線７を保護している。比較的張力の低い
電線の場合はこのような引留めクランプで十分である。

第４図は本発明のさらに他の実施例を示す。この引留
めクランプは、心金１の外周面が先細のテーパー面とな
っている。心金１が電線７を装着するらせん溝３を有す
る点は前記実施例と同様である。またスリーブ２は内周
面が心金１の外周面と同じテーパー面となっており、こ
のスリーブ２の後端に鉄塔への引留め部６が取付けられ
ている。つまりこの引留めクランプでは電線７に張力が
かかると、テーパー面の作用で心金１がスリーブ２の先
端の方へもぐり込んでいくため、電線７にスリーブ２か
らの締付け力が加わることになる。スリーブ２は従来の
カムアロングの本体と同様のもので、中心軸線を通る平
面で二つ割になっており、その分割ラインの片側はヒン
ジ10で結合され、反対側はボルト・ナット11で結合され
ている。したがってボルト・ナット11を外せばヒンジ10
を軸として開閉可能である。スリーブ２の先端には電線
保護用のゴム部材９が嵌め込んである。

このような構造にするとスリーブの圧縮機が不要にな
り、引留めクランプの取付け作業がきわめて簡素化され
る。

なお上記各実施例ではスリーブとして二つ割型のもの
を用いたが、電線を挿通する長さが短い場合には、二つ
割型でない一体もののスリーブを用いてもよい。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明に係る引留めクランプは、
電線を心金にらせん巻きした状態で外側からスリーブで
締め付けるようにしたので、電線と心金およびスリーブ
との摩擦力がきわめて大きくなり、すぐれた耐荷重特性
が得られる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係る引留めクランプを示す
もので、（ａ）は心金の平面図、（ｂ）はスリーブの正
面図、（ｃ）はスリーブの右側面図、第２図は同引留め
クランプで電線を引留めた状態を示す部分切開正面図、
第３図および第４図はそれぞれ本発明の他の実施例に係
る引留めクランプの部分切開平面図である。 １〜心金、２〜スリーブ、３〜らせん溝、６〜引留め
部、７〜電線、８〜短尺スリーブ。

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】架空送電線または架空地線をらせん状に巻
   き付けて装着するらせん溝を有する心金と、この心金と
   そのらせん溝に装着された架空送電線または架空地線と
   を外周から締め付けるスリーブとを備え、上記心金また
   はスリーブの後端側に引留め部を設けてなる架空送電線
   または架空地線用引留めクランプ。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項記載の引留めクラン
   プであって、心金は鋼製であり、スリーブは二つ割の各
   部材がスライド結合されたアルミ製の圧縮スリーブであ
   り、心金に引留め部が設けられているもの。
3. 【請求項３】特許請求の範囲第２項記載の引留めクラン
   プであって、圧縮スリーブは複数個の短尺スリーブより
   なるもの。
4. 【請求項４】特許請求の範囲第１項記載の引留めクラン
   プであって、心金は外周面が先細のテーパー面となって
   おり、スリーブは内周面が上記心金と同じテーパー面と
   なっていて二つ割の各部材がヒンジ結合で開閉可能にな
   っており、スリーブに引留め部が設けられているもの。