JP4301549B2 - 音声出力システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気的手段によって例えば自然界や人などの各種音声を出力したり、音楽を演奏したりする音声出力システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、単体で音楽を演奏する演奏玩具は多く存在しているが、複数の演奏玩具を用いて、一つの音楽に含まれるそれぞれ異なる楽器パートをそれぞれの演奏玩具によってタイミングを合わせて演奏させることによって、オーケストラの演奏のような音楽を楽しむことができる演奏玩具が要望されている。
【0003】
この要望に答える演奏玩具が例えば特許文献1に開示されている。それぞれの演奏玩具に予め演奏曲の各楽器パートの演奏データを各々記憶させておき、何れか一つの演奏玩具において外部からの演奏指示信号が検知されると、他の演奏玩具にタイミング信号が転送されて、あたかもオーケストラを指揮しているかのように、タイミング良く音楽を演奏させることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−78982号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の演奏玩具には以下の(1)〜(3)のような問題があった。
【0006】
(1)演奏玩具の利用者は、演奏玩具に演奏をさせるために、常に指示信号を送り続ける必要があるため、自動演奏によりBGMとして音楽を楽しむことができない。
【0007】
(2)複数の演奏玩具の演奏タイミングを合わせるためにタイミング信号を発生させる演奏玩具が不特定であるため、例えば2台以上の演奏玩具に指示信号が受信されると、どの演奏玩具からタイミング信号が発信されるのかについて、明確にされていない。
【0008】
(3)複数の演奏玩具に、それぞれ楽曲データ(または楽譜データ)が内蔵されているため、後から新しい楽曲データを追加するためには、複数の演奏玩具全てに対してデータを追加する作業を行う必要があった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、ユーザが常に指示信号を送り続ける必要がなく、複数の演奏装置によって各演奏装置が担当するパート音声をタイミングを合わせて発生させることにより、ユーザは例えばオーケストラのような曲演奏などの音声を楽しむことができ、新しい楽曲データの追加も容易に行うことができる音声出力システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の音声出力システムは、音声データの出力タイミングを制御可能とするタイミング信号、および、該音声データの出力に使用される複数の各パート全てに対応しパート番号順に連続する音声データ部分からなる音声データを送信する音声データ送信装置と、 該音声データ送信装置から送信された音声データから、それぞれが担当するパートの音声データ部分を抽出し、抽出したパートの音声データ部分を、該タイミング信号に基づく所定のタイミングでそれぞれが音声出力する複数の音声出力装置とを有し、該複数の音声出力装置はそれぞれ、該音声データ送信装置から送信された音声データを受信する受信装置と、該受信装置で受信された音声データのうち、それぞれが担当する各パートの番号指定を操作入力可能とするパート選択装置と、該受信装置からのタイミング信号の検出時点から、該パート選択装置で指定されたパート番号分だけカウントしたカウント値の音声データ部分を指示するカウント信号を出力するカウント部と、該カウント信号したがって、該受信装置で受信した音声データの中から、該音声出力装置が担当するパート番号に対応した1回分毎の音声データ部分を抽出する音声データ抽出装置と、該音声データ抽出装置で抽出した1回分毎の音声データ部分を、該受信装置で受信されたタイミング信号に同期させて音声として出力する音声発生装置とを有して、該複数の音声出力装置が、あたかも該複数の音声出力装置がそれぞれ担当する複数種類の楽器の音声、人の歌声または自然界の音をそれぞれ発生するように設けられているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0011】
また、好ましくは、本発明の音声出力システムにおける音声データ送信装置は、少なくとも一つ以上の音声データの項目が記録されたメモリと、該音声データを内部で生成可能とする音声データ生成装置と、該音声データを外部から入力可能とする外部データ入力装置とのうち少なくとも何れかを有する。
【0012】
さらに、好ましくは、本発明の音声出力システムにおける前記音声データ送信装置は、前記音声データの出力タイミングを制御するタイミング信号を生成するタイミング生成装置と、該音声データを該タイミング信号と共に送信する発信装置と、1回分毎に音声データを、該タイミング生成装置から供給されるタイミング信号に同期させて該発信装置に供給するように制御する制御装置とを有する。
【0013】
さらに、好ましくは、本発明の音声出力システムにおける制御装置は、音声出力条件および音声出力開始指示を操作入力可能とし、入力された該音声出力条件および音声出力開始指示に基づいて1回分毎に音声データを送信するように開始制御する。
【0014】
さらに、好ましくは、本発明の音声出力システムにおける音声出力装置は、前記音声データ送信装置から送信された音声データを受信する受信装置と、該受信装置で受信された音声データのうち、それぞれが担当する各パートの識別情報に対応した1回分毎の音声データ部分を抽出する音声データ抽出装置と、該音声データ抽出装置で抽出した1回分毎の音声データ部分を、該受信装置で受信されたタイミング信号に同期させて音声として出力する音声発生装置とを有する。
【0015】
さらに、好ましくは、本発明の音声出力システムにおける音声出力装置は、前記演奏データ抽出装置で抽出した1回分毎の音声データ部分を次回分の音声データ受信時まで保持する音声データ記憶部を有し、音声データ記憶部に保持した1回分毎の音声データ部分を前記音声発生装置に所定のタイミングで出力する。
【0016】
さらに、好ましくは、本発明の音声出力システムにおける音声出力装置は、それぞれが担当する各パートの指定を操作入力可能とするパート選択装置を有し、前記音声データ抽出装置は、指定したパートの識別情報に対応した音声データ部分を抽出する。
【0017】
さらに、好ましくは、本発明の音声出力システムにおける音声データ送信装置と音声出力装置間の音声データの送受信は、無線通信技術および有線通信技術の何れかを利用して行われる。
【0018】
さらに、好ましくは、本発明の音声出力システムにおける音声データは楽曲データである。
【0019】
さらに、好ましくは、本発明の音声出力システムにおける音声データの各パートは、担当楽器による演奏パートである。
【0023】
上記構成により、以下に、本発明の作用について説明する。
【0024】
本発明にあっては、複数の音声出力装置に対して、指揮者の役割を担う音声データ送信装置(以下、指揮装置という)が設けられている。
【0025】
指揮装置は、複数のパート(演奏パートや楽器パートなど)の音声データ(例えば楽曲データ;音階、音程、強弱、長さなど)を、所定のタイミングにしたがってタイミング信号および、パート名を示すパート識別情報と共に無指向などで送信する。指揮装置は逐次音声データ、例えば音楽データ(楽譜のデータ)を送りながら、タイミング信号によって全体的な音声、例えば楽曲の進行も制御する。
【0026】
一つの指揮装置から発信される音階・音程・音の強弱・音の長さを含む楽曲データは、一つ以上の演奏装置によって受信されると、それぞれの演奏装置によって、各音声出力装置が担当する楽器の音声(または人の歌声や自然界の音など)を発生する。各音声出力装置、例えば各演奏装置は、例えばピアノ、トランペット、フルートなど、それぞれの楽器に対応していてもよく、指揮装置から発信された音声データとしての音楽データのうち、各演奏装置が担当するパートの演奏データのみが抽出されて、楽曲データと共に受信されたタイミング信号によって担当楽器の音色の音声として出力される。
【0027】
これによって、音声出力システム、例えば演奏システムは、あたかも指揮装置からの指揮を受けて複数種類の楽器により演奏が行われるオーケストラのように動作する。指揮装置から指示信号を兼ねたタイミング信号が発信され、各演奏装置では各々そのタイミング信号にしたがって音声を発生するため、ユーザは指揮装置に開始指示を操作入力するだけで、音声出力、例えば演奏を開始させることができ、従来技術のように各演奏装置に指示信号を送り続ける必要はない。また、各演奏装置によって、他の演奏装置と演奏タイミングを合わせるためのタイミング信号を発生させる必要もない。さらに、音声データ、例えば音楽データが指揮装置から送信されるため、各演奏装置に楽曲データを内蔵(記憶)させておく必要がなくなり、新たに楽曲を追加する場合には、指揮装置1台に対して楽曲データを追加するだけでよい。
【0028】
音声データ、例えば音楽データは、指揮装置のメモリ中に格納されているが、楽曲の種類によってはテンポの速いものもあれば、遅いものもある。このような音声出力方法、例えば演奏方法は、ユーザが指揮装置に対して予め設定することによって、自由に変更することができる。このように、ユーザが「指揮をする楽しみ」についても、指揮装置に操作指示を入力することによって実現可能である。さらに、ユーザは、音楽の場合には、演奏する曲目や自分の好みに合わせて、演奏装置の種類(演奏楽器の種類)や個数を選択することによって、フルオーケストラ・弦楽四重奏・ソロなど、様々な演奏形態で音楽を楽しむことができる。
【0029】
楽曲データについては、指揮装置のメモリに予め格納させておくことができるが、コンピュータネットワークに対する直接アクセス、またはコンピュータを介して間接的なアクセスにより供給される楽曲データを用いることもできる。また、有線/無線で接続された他の作曲装置から直接、または脱着可能な記憶媒体および情報再生部を介して間接的に供給される楽曲データを用いることもできる。さらに、指揮装置自体に作曲機能を設けて楽曲データを生成させることもできる。 音声データ送信装置−音声出力装置(例えば指揮装置−演奏装置)間の音声データ(例えば音楽データ)の送受信には、光による通信技術(赤外線通信・IrDAなど)および電波による通信技術(Bluetooth・IEEE802.11x規格など)などのような各種無線通信技術を利用することもできる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の音声出力システムの実施形態を、音楽を演奏する演奏システムに適用した場合について図面を参照しながら説明する。
【0031】
図1は、本発明の演奏システムの実施形態における基本構成例を説明するための模式図である。
【0032】
図1において、この演奏システム10は、音楽データ送信装置(または音声データ送信装置)としての一つの指揮装置1と、音声出力装置としての一つ以上の演奏装置2とを有している。
【0033】
指揮装置1は、所定のタイミングでタイミング信号が生成され、少なくとも1種類以上の各パート(演奏パートや楽器パート)を含む楽曲データを、所定のタイミングを示すタイミング信号および、後述するパート識別情報と共に音声データとしての音楽データ3として所定方位または全方位(無指向)に発信する。
【0034】
各演奏装置2はそれぞれ、予めユーザによって各演奏装置2に担当させるべきパートの音楽データ部分(または音声データ部分)、例えば演奏パートと楽器パートが指定されており、それぞれが音楽データ3を受信すると、その楽曲データの中から各演奏装置2が担当するパート識別情報(演奏パート識別情報)に対応した演奏データを抽出し、抽出した演奏パート(または楽器パート)を担当指定楽器の音色の音声4として、音楽データ3から抽出されたタイミング信号に同期させて出力する。複数の演奏装置2からは、同一のタイミング信号に同期して異なった音色、音程、強弱の音声4が発生して、それらが重なり合うことによって、オーケストラの演奏のように音楽を楽しむことができる。
【0035】
以下、指揮装置1および演奏装置2の具体例と、音楽データ3のデータ構成例について順次説明する。
【0036】
まず、指揮装置1の具体例について説明する。
【0037】
図2は、図1の指揮装置1の具体的構成を示すブロック図である。
【0038】
図2において、この指揮装置1は、音楽データ3の記憶手段としてのメモリ11と、タイミング生成装置12と、制御装置13と、発信装置14と、音楽データ3を外部から入力可能とする外部データ入力装置15とを有しており、タイミング生成装置12からのタイミング信号のタイミングで、メモリ11内の楽曲データおよびパート識別情報を音楽データ3として発信装置14から所定方位または全方位(無指向)に発信する。
【0039】
メモリ11は、少なくとも1種類以上の演奏パートの音階、音程、強弱、長さなどの演奏データを含む楽曲データが格納(記憶)されており、制御装置12によってデータが読み出される。この楽曲データは、脱着可能なCD(光ディスク)などの記憶媒体および情報再生部(図示せず)を介して外部の装置から供給されるものであってもよい。
【0040】
タイミング生成装置12は、音楽データ3を出力するタイミングを制御するタイミング信号を所定のタイミングで生成する。
【0041】
制御装置13は、内蔵されたタイミング生成装置12からタイミング信号が供給されると、そのタイミング信号に同期させて、メモリ11から1回分の演奏データを取り出し(読み出し)、これをタイミング信号と共に音楽データ3として発信するように、音楽データ3と共に発信装置14に対して指示信号を出力する。また、制御装置13には、ユーザによって、楽曲の曲目、演奏テンポ、演奏キーなどの演奏方法(音声出力方法)や演奏開始指示などが操作指令5として入力される。
【0042】
発信装置14は、制御装置13から1回分の演奏データが供給されると、その演奏データが音楽データ3として所定方位または全方位に対して発信する。このときの音楽データ3の発信(または送信)は、指揮装置1と接続された演奏装置2に対して有線によって行ってもよいが、光による通信技術(赤外線通信・IrDAなど)および電波による通信技術(Bluetooth・IEEE802.11x規格など)などのような無線通信技術を利用することもできる。
【0043】
外部入力データ装置15は、コンピュータネットワークに対する直接アクセス、またはコンピュータを介して間接的なアクセスなどにより、追加の楽曲データが外部データ6として外部から入力され、メモリ11に追加記録されるか、または音楽データ3として発信するべく制御装置13に供給される。また、有線/無線で接続された他の装置から直接、または脱着可能なCD(光ディスク)などの記憶媒体およびデータ再生部(図示せず)を介して間接的に楽曲データが供給されるようにしてもよい。
【0044】
なお、この外部入力データ装置15は、メモリ11に併設されていてもよい。また、メモリ11が設けられており、外部入力データ装置15が設けられていない構成であっても指揮装置1として音声データ取得可能であり、または、メモリ11の代りに外部データ入力装置15が設けられている構成であっても指揮装置1として音声データ取得可能である。さらに、指揮装置1の内部に作曲機能を設けて楽曲データを作成できる音楽データ生成装置(図示せず)を設けるようにしてもよい。音楽データ生成装置(図示せず)は、作曲機能だけではなく、音声全般を対象とした音声データを内部で生成可能とする音声データ生成装置であってもよい。要は、指揮装置1は、メモリ11、音声データ生成装置(図示せず)および外部データ入力装置15のうち少なくとも何れかを有していれば、音声データを取得することができる。
【0045】
次に、演奏装置2の具体例を説明する。
【0046】
図3は、図1の演奏装置2の具体的構成を示すブロック図である。
【0047】
図3において、この演奏装置2は、受信装置21と、パート選択装置22と、カウンタ部23と、音声データ抽出装置としての演奏データ抽出装置24と、音声データ記憶部としての演奏データバッファ25と、音声発生装置26とを有しており、パート選択装置22で指定された担当パート(演奏パートや楽器パート)の演奏データ部分を、受信装置21で受信した音楽データ3の楽曲データの中から抽出して、それを音声発生装置26から担当楽器の音色の音声4として出力する。
【0048】
受信装置21は、指揮装置1から発信されてきた音楽データ3を受信すると共に、受信した音楽データ3の中のタイミング信号と楽曲データを検出する。
【0049】
パート選択装置22は、ユーザによって各演奏装置2が担当する担当楽器による演奏パート(または楽器パート)を個別に選択するためのパート指定指令7が入力操作部(図示せず)から入力可能としている。これによって、ユーザは、演奏する曲目や自分の好みに合わせて、各演奏装置2の演奏の種類(演奏パートと担当楽器)や個数を個別にそれぞれ選択して指定(設定)することができる。
【0050】
カウンタ部23は、受信装置21からのタイミング信号の検出時点から、パート選択装置22で指定されたパート識別情報のパート番号分だけカウントしたカウント値の演奏データ部分を指示するカウント信号を演奏データ抽出装置24に出力する。
【0051】
演奏データ抽出装置24は、パート選択装置22で指定されたパート識別情報のパート番号に応じたカウント信号したがって、受信装置21で受信した音楽データ3の中から、各演奏装置2が担当するパート番号に対応した演奏データ部分だけを抽出する。
【0052】
演奏データバッファ25は、演奏データ抽出装置23で抽出された1回分の演奏データを、次回の音楽データ3の受信時まで記録保持する。
【0053】
音声発生装置26は、受信装置21で検出したタイミング信号に同期させて、前回の音楽データ3の受信時に演奏データバッファ24に記録された1回分の演奏データにしたがって、パート選択装置22で選択された担当指定楽器の音色(または歌声)による各演奏パート毎の音声4を出力する。
【0054】
次に、音楽データ3のデータ構成について説明する。
【0055】
図4は、図1の指揮装置1から発信される音楽データ3のデータ構成例を示す図である。
【0056】
図4に示すように、音楽データ3は、X(1≦m≦X;X,mは自然数)回分の演奏データによって構成されている。1回分(m回目)の演奏データは、所定のデータ送信時間(タイミング信号の1期間Ts)毎に発信されるタイミング信号HDから始まり、続いて、指揮装置1から発信される楽曲データの演奏に使用されるn種類の楽器(楽器パートおよび演奏パート)全てに対応する1番目(DT1)からn番目(DTn)までの演奏データが続いている。n(自然数)はパート識別情報としてのパート番号に相当する。
【0057】
1回分の演奏データは、タイミング信号の1期間Ts分の時間だけ演奏されるようになっており、音楽データ3は、演奏開始から終了まで、一定間隔で、X回分の演奏データが途切れることなく順次発信されて音声出力される。
【0058】
演奏装置2では、楽曲データを構成するm回目の演奏データ送信期間(1期間Ts)の始めにタイミング信号HDが受信され、次に、演奏データmが受信されている演奏データ準備期間にm回目の演奏データのうちの担当するパートの楽曲データ部分(例えばDT3;パート番号n=3)が抽出される。次のm+1回目の演奏データ送信期間の始めにタイミング信号HD受信されると、そのタイミング信号HDの始まりのタイミングで、m回目の演奏データが音声として出力されるようになっている。
【0059】
以下に、上記構成の演奏システム10の動作について説明する。
【0060】
まず、演奏システム10のユーザによって、複数の演奏装置2のそれぞれに対して、それぞれが担当するパート番号と楽器の種類とが設定される。
【0061】
実際のオーケストラでは、一般に、演奏される楽曲と担当する楽器の種類とによって、演奏パートも一意的に決定される。例えば、演奏される楽曲が5パートに分かれており、それぞれ例えばピアノ、バイオリン、チェロ、フルートおよびドラムの5種類の楽器が割り当てられている場合に、第1パートはピアノ、第2パートはバイオリン...第5パートはドラムのように一意的に決定される。
【0062】
しかし、本実施形態では、趣向を変えた楽しみ方にも対応することができるように、演奏パートと担当する楽器(楽器パート)を個別に指定することができるようにしている。これによって、演奏パートと楽器との組み合わせを任意に選択することができ、例えば上記5パートからなる楽曲の場合、本来は第2パートがバイオリン、第4パートがフルートによって演奏されるところを、バイオリンとフルートとでパートを交換して演奏させるというような楽しみ方も可能となる。
【0063】
この演奏パートと担当楽器(楽器パート)の選択は、各演奏装置2に内蔵されたパート選択装置22に対してユーザがパート指定指令7として操作入力して指定(設定)することで実現できる。
【0064】
パート指定指令7による演奏パート(または楽器パート)と担当楽器の入力指定が行われると、パート選択装置22によって、カウンタ部23を介して演奏データ抽出装置24に対して指定されたパート識別情報の演奏パート番号が指示される。これにより、以降、受信装置21によって1回分の演奏データが受信される度に、演奏データ抽出装置24によって指定された演奏パート番号に対応した演奏データ部分のみが抽出されて、演奏データバッファ25にデータ転送され、演奏データ部分のみが一旦、演奏データバッファ25にデータ保持される。
【0065】
また、ユーザによる操作入力部(図示せず)からパート選択装置22にパート指定指令7の入力が行われると、パート選択装置22によって、音声発生装置26に対して、選択されたパート識別情報としての楽器の番号が指示される。これにより、以降、音声発生装置26によって、演奏データバッファ25から供給される演奏データを、指定された担当楽器の音色(または歌声)によって各演奏装置2毎に音声4が出力される。
【0066】
ユーザによって、指揮装置1に対して音声出力方法(または音声出力条件)としての演奏方法(演奏条件)が指示される。これは、ユーザが操作入力部(図示せず)から操作指令5を制御装置13に入力することで実現し、例えば各演奏曲目(音声データの項目、例えば音楽データの項目)に対して、例えばリズム、テンポおよびキー情報(音程情報)などの各種演奏条件が設定される。
【0067】
特に、本実施形態では、指揮装置1に外部データ入力装置15が設けられているため、楽曲データの供給源として外部装置を選択することによって、内蔵されているメモリ11の容量に制限されることなく、また、各演奏装置2に対して楽曲データの追加操作を行うことなく、新しい曲目(音楽データの項目、例えば音楽データの項目)を演奏させることができるようになる。
【0068】
ユーザによって指揮装置1に対して演奏開始指示を入力する。これは、上記と同様に、ユーザが制御装置13に対して操作指令5を操作入力部(図示せず)から入力することによって実現する。これによって、本実施形態の演奏システム10による楽曲の演奏(音声出力)が開始される。
【0069】
以上により、本実施形態によれば、指揮装置1は、少なくとも1種類以上のパートの演奏データを含む楽曲データ(音声データ)を、所定のタイミングにしたがってタイミング信号HDおよびパート識別情報と共に音楽データ3として各演奏装置2に発信する。このようにして、指揮装置1から各演奏装置2に発信された楽曲データのうち、各演奏装置2が担当する指定演奏パートの演奏データのみをパート識別情報に基づいて抽出し、この抽出した担当演奏パートの演奏データ部分を、受信されたタイミング信号に同期させ、かつ、担当指定楽器(楽器パート)の音色の音声4として出力する。これによって、演奏システム10は、一つの指揮装置1に演奏開始指示を入力するだけで所望の演奏を開始でき、従来のようにユーザが常に指示信号を送り続けなくてもよい。また、各演奏装置2がそれぞれ担当する指定演奏パートを担当指定楽器(楽器パート)の各音色の音声4として、所定のタイミングに合わせて発生させてオーケストラのような演奏を楽しむことができ、このとき、タイミング信号は指揮装置1のみから送信され、演奏装置2側は従来のように他の演奏装置2へのタイミング信号を発生しないので、指揮機能が競合するおそれがない。さらに、新たに楽曲を追加する場合には、従来のように各演奏装置2にも楽曲データを追加する必要はなく、指揮装置1だけに対して楽曲データを追加すればよく、新しい楽曲データの追加を容易に行うことができる。
【0070】
なお、本実施形態では、音楽データをオーケストラのように演奏する演奏システム10について説明したが、これに限らず、本発明は、電気的手段によって例えば自然界の音声、例えば川のせせらぎや風の音、さらには鳥や動物の泣き声などのBGMや、人のトークおよび合唱など各種音声を出力する音声出力システムに適用できる。
【0071】
【発明の効果】
以上により、本発明によれば、演奏システムを利用するユーザは、最初に指揮装置に対して演奏開始の指示を与えるだけで、自動演奏によりBGMとして、各演奏装置が異なるパートを演奏するオーケストラのような音楽を楽しむことができる。
【0072】
また、新しい楽曲データを追加する場合には、指揮装置に対してのみ楽曲データの追加を行うだけで、全ての各演奏装置に対して新しい楽曲の演奏を行わせることができる。
【0073】
さらに、演奏される曲目やユーザの好みに合わせて演奏装置の種類や個数を選択して、様々な演奏形態で演奏させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の演奏システムの一実施形態における基本的構成を示す模式図である。
【図2】図1の指揮装置の具体的構成例を示すブロック図である。
【図3】図1の演奏装置の具体的構成例を示すブロック図である。
【図4】図1の音楽データのデータ構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 指揮装置
11 メモリ
12 タイミング生成装置
13 制御装置
14 発信装置
15 外部データ入力装置
2 演奏装置
21 受信装置
22 パート選択装置
23 カウンタ部
24 演奏データ抽出装置
25 演奏データバッファ
26 音声発生装置
3 音楽データ
4 音声
5 操作指令
6 外部データ
7 パート指定指令
10 演奏システム

Claims (8)

  1. 音声データの出力タイミングを制御可能とするタイミング信号、および、該音声データの出力に使用される複数の各パート全てに対応しパート番号順に連続する音声データ部分からなる音声データを送信する音声データ送信装置と、
    該音声データ送信装置から送信された音声データから、それぞれが担当するパートの音声データ部分を抽出し、抽出したパートの音声データ部分を、該タイミング信号に基づく所定のタイミングでそれぞれが音声出力する複数の音声出力装置とを有し、
    該複数の音声出力装置はそれぞれ、該音声データ送信装置から送信された音声データを受信する受信装置と、該受信装置で受信された音声データのうち、それぞれが担当する各パートの番号指定を操作入力可能とするパート選択装置と、該受信装置からのタイミング信号の検出時点から、該パート選択装置で指定されたパート番号分だけカウントしたカウント値の音声データ部分を指示するカウント信号を出力するカウント部と、該カウント信号したがって、該受信装置で受信した音声データの中から、該音声出力装置が担当するパート番号に対応した1回分毎の音声データ部分を抽出する音声データ抽出装置と、該音声データ抽出装置で抽出した1回分毎の音声データ部分を、該受信装置で受信されたタイミング信号に同期させて音声として出力する音声発生装置とを有して、該複数の音声出力装置が、あたかも該複数の音声出力装置がそれぞれ担当する複数種類の楽器の音声、人の歌声または自然界の音をそれぞれ発生するように設けられている音声出力システム。
  2. 前記音声データ送信装置は、少なくとも一つ以上の音声データの項目が記録されたメモリと、該音声データを内部で生成可能とする音声データ生成装置と、該音声データを外部から入力可能とする外部データ入力装置とのうち少なくとも何れかを有する請求項1に記載の音声出力システム。
  3. 前記音声データ送信装置は、前記音声データの出力タイミングを制御するタイミング信号を生成するタイミング生成装置と、該音声データを該タイミング信号と共に送信する発信装置と、1回分毎に音声データを、該タイミング生成装置から供給されるタイミング信号に同期させて該発信装置に供給するように制御する制御装置とを有する請求項1または2に記載の音声出力システム。
  4. 前記制御装置は、音声出力条件および音声出力開始指示を操作入力可能とし、入力された該音声出力条件および音声出力開始指示に基づいて1回分毎に音声データを送信するように開始制御する請求項3に記載の音声出力システム。
  5. 前記音声出力装置は、前記演奏データ抽出装置で抽出した1回分毎の音声データ部分を次回分の音声データ受信時まで保持する音声データ記憶部を有し、音声データ記憶部に保持した1回分毎の音声データ部分を前記音声発生装置に所定のタイミングで出力する請求項1に記載の音声出力システム。
  6. 前記音声データ送信装置と音声出力装置間の音声データの送受信は、無線通信技術および有線通信技術の何れかを利用して行われる請求項1〜5のいずれかに記載の音声出力システム。
  7. 前記音声データは楽曲データである請求項1〜6のいずれかに記載の音声出力システム。
  8. 前記音声データの各パートは、担当楽器による演奏パートである請求項7に記載の音声出力システム。
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