JP4298482B2 - 大型コンクリート型枠移動台車 - Google Patents

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この発明は、建築用又は土木用のコンクリート壁、柱、土台などの構築に際して用いられる大型コンクリート型枠を、所定の設置箇所に運搬するための大型コンクリート型枠移動台車に関するものである。
コンクリート型枠は、規格化された縦長の一対の型枠だけでなく、その型枠同士を繋ぐ金具、コンクリート型枠の外側に配設する横バタ材や縦バタ材、コンクリート型枠を垂直に支えるための支柱、筋交い、これらを繋ぐ金具などというように多くの構成部品からなるものである。
本発明は、かかるコンクリート型枠を、製作工場や施工現場において、型枠組立用架台の上にて、規格化された複数のコンクリート型枠を並列、或いは縦横に並べて、横バタ材、縦バタ材で繋いで大型のコンクリート型枠を予め形成し、こうして得られた大型コンクリート型枠を、所定の位置まで運搬するために用いられる移動台車であって、作業現場では床に並列させるレールとなる敷木上をローラが移動できるようにしたものである。
従来、上述のようにして得られた、大型コンクリート型枠は、これを所定の箇所に運ぶには、クレーンにて吊り上げておおよその位置決めをしてから支柱、筋交いあるいはこれらを繋ぐ金具にて垂直に立てることにしていた。
また、間仕切りパネルなどの小型のものでは、キャスタを備えたパネル搬送台車を利用する方法もあった(特許文献1参照)。
特開平9−2276号公報
勿論、通常の大きさのコンクリート型枠を基礎或いは階下の床面に並列させるにはキャスタを備えた台車にて運搬することができるが、複数のコンクリート型枠を組み合わせて大型にした大型コンクリート型枠の場合、形状が大きく重量も嵩むので、前記のキャスタ付移動台車では重量を支えられないために、寿命が短いという問題があり、また作業性も悪いという問題があった。
そこで、本発明の目的は、大型コンクリート型枠を水平方向に簡易に移動させることができる移動台車を提供することにある。
本発明は、従来技術が抱えている上述した問題を克服するために開発した大型コンクリート型枠移動台車であって、その要旨とするのは、矩形の主フレームのいずれか対向する二辺間に跨がって複数の主ローラを転動可能に取り付け、該主フレームの残りのいずれか一辺には、前記主ローラと並行に大型コンクリート型枠の下端面を乗せるテラスを一体に突設し、該主フレームの上部にはベース金具を固定し、このベース金具上には前記テラス側に後方に傾斜する背もたれ部及びこの背もたれ部を支える支持部を立設させ、主ローラを掛け渡した側の二辺の四隅には、前記主ローラの転動方向と直交する向きに転動する補助ローラを転動可能に配設し、この補助ローラを前記主ローラを転動させるときには、前記ベース金具上に退避させる一方、その補助ローラを転動使用するときは前記退避位置から繰り出して接地させることにより、前記主ローラの方を離陸状態とする構成としたことを特徴とする。
なお本発明は、前記補助ローラには、ローラカバーを取り付けると共に、このローラカバーを該主フレームに蝶番を介し回動可能に取り付けると共に、該補助ローラを接地させるときに用いられるストッパーを設けることが好ましい形態となる。
本発明は以上のような構成からなるもので、互いに回転する方向が直交する向きの主ローラと補助ローラを備えているので、縦横方向に自由に移動が可能で、大型コンクリート型枠を所定の箇所まで正確かつ容易に運ぶことができる。しかも、キャスタではなくローラを採用しているので、大型コンクリート型枠であっても動きが安定しており、キャスタのように荷重により簡単に破損するようなことはない。
また、本発明では、ローラカバーをフレームに蝶番にて回動自在に取付けると共に、補助ローラを接地させるときはストッパーを設けているので、主ローラと補助ローラを択一的に用いることができ、ひいては大型コンクリート型枠を直交する2方向に自在にかつ簡便に運搬することができる。
以下、図面に示す本発明の実施の一形態について説明する。
大型コンクリート型枠移動台車1は、大型コンクリート型枠Pを、ベース金具6に隣接して設けたテラス5上に載せかつ背もたれ部13に立て掛けた傾斜状態に保持し、そして主フレーム2の後方向に掛け渡して設けた前記主ローラ21及びこの主ローラ2に直交して設けた補助ローラ23とを有し、これら2種のローラの作用により、自在に移動可能させることができるのであって、金属にて構成される。
なお、前記主フレーム2は、長・短のアングル材3、3、4、4を、長辺面31、41と短辺面32、42として組み合わせて長方形をなすように構成し、ひとつの短辺をなすアングル材4の水平面42は広くして大型コンクリート型枠Pの下端面を乗せるテラス5が設けてある。
前記アングル材3、3、4、4の上面にはベース金具6、6、6を溶接するなどして一体に取り付ける。図示例ではテラス5側のベース金具6、6は隅角部を被い、他側のベース金具6は上面のほぼ三分の一を被うようにしてある。
ベース金具6、6は少なくとも四隅にあれば足りるので、上記実施例に限定されるものではなく、例えば、アングル材3、4の上面を総て覆うようにしてもよい。
前記ベース金具6、6には、角パイプなどからなる背もたれ部7および支持部8をハ字状に組み付けて傾斜立設すると同時に、これらは、運搬などの取り扱いの便宜から折り畳み、取り外し自在となるように形成する。
すなわち、主フレーム2の上面の四隅、すなわちベース金具6、6、6には取付金具9、9を対峙するように溶接し、この取付金具9、9に短尺角パイプ10、10、10、10の基部をボルト11、ナット12にて回転自在に取り付け、ベース金具6、6上に折り畳むことができるようにする。
そして、テラス5側には、上部を横棒13aで繋いで門型とした一対の角パイプ13、13の基部を短尺角パイプ10、10に挿入し、ボルト14、ナット15で繋げて背もたれ部7とする。
そして、この背もたれ部7を前記テラス5に隣接するベース金具6上に傾斜状態にして支持するために、それの後方に立設したパイプ好ましくは角パイプ16、16を設け、この角パイプ16、16を短尺の角パイプ10、10に挿入支持して内側に傾斜させ、該角パイプ10、10を前記背もたれ部7の角パイプ13、13と連結金具17にて連結するようにしてある。
この連結金具17は、支持部8上部の三方を囲う溝形をなし、予めボルトナットなどの締結手段18で固定しておき、前記背もたれ部7の角パイプ13、13の上部の両側に接するようにしてボルト19ナット20で所定の角度で起立させるようにする。
なお、背もたれ部7及び支持部8は図示例では、主として角パイプにて構成したが、丸パイプを使用してもよい。また、これら背もたれ部7と支持部8の構造は、図示例に限定されないが、組み立て自在或いは折り畳み自在にすることにより、使用しないときはコンパクトに折り畳めるようにすることが望ましい。
主フレーム2を構成する長尺のアングル材3、3の対峙する長辺面31、31には側端部を含めて複数の主ローラ21を掛け渡して長手方向に移動自在とするようにしてある。従って、テラス5と主ローラ21は並行することになる。
そして、この長辺面31、31のアングル材3、3の水平面32の端部には、ローラカバー22を備えた補助ローラ23を回動自在に設ける。上記ローラカバー22は、補助ローラ23が露出する二つの側面を備えた箱状をなし、アングル材3の水平面32の側縁にて回動自在となるよう蝶番24にて連結されている。
このような構成とすることで、主ローラ21と補助ローラ23は、いずれか一方が接地状態となり、しかもその回転する方向が互いに直交する方向となり、それ故に、この大型コンクリート型枠移動台車1は、前後進と左右に移動自在となるのである。
なお、ローラカバー22に穿った丸穴22aは、図示しない丸棒を差し込んでローラカバー22を回動させる際に用いるものである。
例えば、主ローラ21にて一方向に移動(前後進)させるときは、補助ローラ23は接地させず補助ローラ23を主フレーム2のアングル材3の水平面32上に退避させておくことになる。主ローラ21にて移動させた後に、それと、直交する方向に(左右方向)に移動させる必要が生じると、ローラカバー22を回動させて補助ローラ23を繰り出し接地状態にするのである。
このとき、該補助ローラ23が接地状態を維持できるように、ローラカバー22には先端を屈曲させてL型としたストッパー25を蝶番26で繋ぎ、このストッパー25の先端がアングル材3の垂直面31に沿うように圧接させてローラカバー22を保持し、蝶番24による回動を阻止できるようにしてある。
従って、この補助ローラ23を接地状態にすると前記主ローラ21は接地面から浮くようになる。
なお、この発明の他の実施形態としては、主ローラ21をフレーム2の対向するアングル材3、3間に掛け渡す例の他、補助ローラ23を繰り出したときに前記主ローラ21が離陸する他の構造でもよく、図示例のものに限定されるものではない。また、補助ローラーのストッパー25は蝶番26にて連結するような構成としてあるが、補助ローラ23が接地状態でローラカバー22の動きを阻止できるような構成であれば、他の構造であってもよい。
ここで、実際の使用方法について述べると次の通りである。
大型コンクリ−ト型枠組立用架台にて、予め複数のコンクリート型枠を縦横に横バタ材、縦バタ材で繋ぎ、必要に応じてセパレータを組み込んでおき、例えば縦4メートル、横8メートルの大型コンクリート型枠Pを形成する。これを、現場にて組立てるか、或いは工場にて組立ててもよいが、現場では大型クレーンで複数の大型コンクリート型枠移動台車2のテラス5上にそれの下端を、背もたれ部7に縦横のバタ材側を沿わせて全体が傾斜するように乗せる。
作業現場では床面に凹凸があったり、様々なゴミが散乱して平坦ではないので、床面の主ローラ21、補助ローラ23が移動する箇所にては敷木Wを敷いておくことが好ましい。そして、複数の作業員で、大型コンクリート型枠移動台車1を大型コンクリート型枠Pを所定の箇所まで近付けるよう押してから、テラス5から降ろして垂直に立てるようにするのである。
補助ローラ23は、大型コンクリート型枠Pを所定の位置まで近付けた後で進行方向と直交する方向にずらす必要が生じたときに用いるものである。
このときは、大型コンクリート型枠Pと直交し、主ローラ21のレールとなる敷木Wを外し、補助ローラ23のレールとなる敷木Wを配してから、補助ローラ23を回動させて敷木Wに接地するようにしてから大型コンクリート型枠移動台車1を正確に所定の箇所に動かすのである。
勿論、大型コンクリート移動台車1の補助ローラ23を接地させておいて最初に用いるようにすることを排除するものではない。
本発明にかかる大型コンクリート型枠移動台車はコンクリート建築物や土木構造物を構築するときに、大型コンクリート型枠を運搬するだけでなく、同種の他の大型〜小型板状体の運搬に利用することができる。
この発明に係る大型コンクリート型枠移動台の斜視図である。 この発明に係る大型コンクリート型枠移動台の使用状態の断面図である。 この発明に係る大型コンクリート型枠移動台の正面図である。 この発明に係る大型コンクリート型枠移動台の断面図である。 大型コンクリート型枠移動台の補助ロ−ラを示す要部斜視図である。 同じく大型コンクリート型枠移動台の補助ローラを示す要部斜視図である。
符号の説明
P 大型コンクリート型枠
1 大型コンクリート型枠移動台車
2 主フレーム
3、4 アングル材
5 テラス
6 ベース金具
7 背もたれ部
8 支持部
9 取付金具
10 角パイプ
11 ボルト
12 ナット
13 角パイプ
14 ボルト
15 ナット
16 角パイプ
17 連結金具
18 締結手段
19 ボルト
20 ナット
21 主ロ−ラ
22 ロ−ラカバ−
23 補助ロ−ラ
25 ストッパー

Claims (2)

  1. 矩形の主フレームのいずれか対向する二辺間に跨がって複数の主ローラを転動可能に取り付け、該主フレームの残りのいずれか一辺には、前記主ローラと並行に大型コンクリート型枠の下端面を乗せるテラスを一体に突設し、該主フレームの上部にはベース金具を固定し、このベース金具上には前記テラス側に後方に傾斜する背もたれ部及びこの背もたれ部を支える支持部を立設させ、主ローラを掛け渡した側の二辺の四隅には、前記主ローラの転動方向と直交する向きに転動する補助ローラを転動可能に配設し、この補助ローラを前記主ローラを転動させるときには、前記ベース金具上に退避させる一方、その補助ローラを転動使用するときは前記退避位置から繰り出して接地させることにより、前記主ローラの方を離陸状態とする構成としたことを特徴とする大型コンクリート型枠移動台車。
  2. 前記補助ローラには、ローラカバーを取り付けると共に、このローラカバーを該主フレームに蝶番を介し回動可能に取り付けると共に、該補助ローラを接地させるときに用いられるストッパーを設けることを特徴とする請求項1記載の大型コンクリート型枠移動台車。
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