JP4295407B2 - 太陽電池モジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はガラス製の基板に設けられた半導体層が封止部材によって封止される太陽電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池モジュールには単結晶シリコンや多結晶シリコンを用いた結晶タイプの他にアモルファスシリコンを用いた非晶質タイプがあり、いずれの場合であっても、シリコン自体が化学反応を起こし易く、また物理的な衝撃にも弱いということがある。
【0003】
そこで、上記シリコンの保護や半導体層の電気的絶縁などを目的として上記太陽電池モジュールの基板に形成された半導体層をエチレン酢酸ビニル―共重合体(以下、EVAと称す)やエチレン―酢酸ビニル―トリアリルイソシアヌレート3元重合架橋物(以下、EVATと称す)を主成分とする封止部材で封止する封止構造が採用されている。上記半導体層を封止部材で封止する場合、基板と、この基板に積層された封止部材とを加圧加熱して一体化するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、封止部材は加圧加熱されると収縮するため、その収縮分を見越して上記基板よりも大き目のサイズに切断して用いるようにしている。しかしながら、封止部材は加圧加熱されても、そのときの種々の条件に応じて収縮量に変動が生じるから、封止部材の外周縁が基板の外周面から外方へ突出した状態となっていることが多い。
【0005】
そのような状態で太陽電池モジュールを使用すると、封止部材には、基板の端面から突出した部分に不用意な外力が加わることがあり、そのようなことが繰り返されると、封止部材の周辺部が損傷したり、基板から剥離し、その剥離部分から半導体層へ雨水が浸入する虞がある。
【0006】
この発明は、半導体層を封止した封止部材が損傷したり、周辺部が基板から剥離するなどのことを防止できるようにした太陽電池モジュールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、基板の一方の板面に複数に分割された半導体層が設けられ、この半導体層が封止部材によって封止される太陽電池モジュールにおいて、
上記封止部材は、端面が上記基板の端面から突出しない状態で上記基板の一方の板面に設けられて第1の傾斜面に形成されていて、
上記基板の端面は、上記封止部材の第1の傾斜面と面一になる第2の傾斜面に形成されていることを特徴とする太陽電池モジュールにある。
【0010】
この発明によれば、封止部材の端面が基板の端面から突出していないため、封止部材の端部に不用意な外力が加わるのを防止できるから、封止部材の損傷や基板からの剥離を防止できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1はこの発明の第1の実施の形態の太陽電電池モジュールPを示す。同図中1はこの発明の基板をなすガラス基板である。このガラス基板1の外周面は裏面側と表面側との両方のエッジ部が面取り加工されて所定の傾斜角度の面取り面1a(第2の傾斜面)に形成されている。
【0013】
上記ガラス基板1の裏面にはSiO膜2を介して透明導電膜3が所定間隔で、かつガラス基板1の所定方向ほぼ全長に沿って形成されている。この実施の形態では、上記SiO膜2と透明導電膜3とが上記基板1の裏面側の面取り面1aにも設けられているが、面取り面1aには設けないようにしてもよい。
【0014】
上記透明導電膜3上には複数の帯状の半導体層4が所定間隔で形成されている。各半導体層4には裏面電極層5が積層形成されている。隣り合う各半導体層4は上記透明導電膜3と裏面電極層5とを介して電気的に直列に接続されている。
【0015】
ガラス基板1の所定方向と交差する方向の一端側と他端側とに位置する透明導電膜3にはそれぞれ出力取出し用の電極としてのバスバー6a,6bが半田7を介して設けられている。一方のバスバー6aは陽極となり、他方のバスバー6bは陰極となる。
【0016】
上記ガラス基板1の裏面側に形成された半導体層4は封止部材8によって被覆されている。この封止部材8はEVAやEVATなどの樹脂9と、この樹脂9を被覆した樹脂フィルム10からなる。そして、一対のバスバー6a,6bの長手方向一端部は、図示しないが上記樹脂9及び樹脂フィルム10を貫通して外部に導出されている。したがって、これらバスバー6a,6b間には太陽電池としての出力が得られるようになっている。
【0017】
上記封止部材8の外周面は所定の角度で傾斜した傾斜面8a(第1の傾斜面)に形成されている。この傾斜面8aの傾斜角度は上記ガラス基板1に形成された面取り面1aの傾斜角度と同じ角度に設定されている。そして、上記傾斜面8aと上記面取り面1aとは面一となっている。
【0018】
上記封止部材8は上記ガラス基板1の裏面に加圧加熱されて一体化される。その際、封止部材8は熱収縮して形状が変化するから、熱収縮した状態でガラス基板1よりも小さくなることのない大きさのものが用いられている。そして、封止部材8の傾斜面8aは、封止部材8をガラス基板1に取着した後、つまり形状変化した後で形成される。それによって、封止部材8の傾斜面8aを、ガラス基板1の面取り面1aに対して確実に面一の状態にすることができる。
【0019】
この発明の太陽電池モジュール1においては、上述したように封止部材8の外周面を、ガラス基板1の面取り面1aと同じ角度で傾斜させるとともに、この面取り面1aと面一となる傾斜面8aに形成した。
【0020】
そのため、封止部材8の周縁部は、上記ガラス基板1の周縁部から外方へ突出しないから、上記封止部材8の周縁部に不用意な外力が加わって損傷を招いたり、ガラス基板1から剥離して半導体層4への雨水の浸入を招くなどのことを防止できる。
【0021】
しかも、上記封止部材8は、周縁部がガラス基板1の周縁部から突出していないだけでなく、その外周面の傾斜面8aがガラス基板1の面取り面1aと面一に形成されている。
【0022】
そのため、上記面取り面1aと傾斜面8aとはほぼ連続し、これらの境界部分に段差が生じることがないから、そのことによっても封止部材8の周縁部に不用意な外力が加わって、その周辺部が損傷したり、ガラス基板1から剥離するのを確実に防止することが可能となる。
【0023】
図2はこの発明の第2の実施の形態の太陽電池モジュールPaを示す。この実施の形態の太陽電池モジュールPaは、ガラス基板1の外周縁は第1の実施の形態と同様、面取り加工されて面取り面1aに形成されている。
【0024】
上記封止部材8の外周面は傾斜面8aには形成されておらず、ガラス基板1の板面に対してほぼ垂直な垂直面8bに形成されている。この垂直面8bは、ガラス基板1の外周面から外方へ突出しないよう、ガラス基板1の裏面に位置している。この実施の形態では、上記垂直面8bは、一端をガラス基板1の面取り面1aの傾斜方向末端に一致させている。
【0025】
このような構成によると、封止部材8の垂直面8bは、ガラス基板1の面取り面1aと角度が異なるため、面取り面1aとは面一にならないが、ガラス基板1の外周から外方には突出していないから、第1の実施の形態と同様、封止部材8に不用意な外力が加わるのを防止することができる。
【0026】
しかも、垂直面8bは、一端を面取り面1aの傾斜方向末端に一致させている。そのため、垂直面8bがガラス基板1の外周面から外方へ突出しないものの、図2に鎖線で示す垂直面8cのように面取り面1aの末端から突出するということもないから、そのことによっても封止部材8の周縁部に不用意な外力が加わりにくいということがある。
【0027】
図3はこの発明の第3の実施の形態の太陽電池モジュールPbを示す。この実施の形態の太陽電池モジュールPbはガラス基板1のエッジ部は面取り加工されておらず、外周面は垂直面1bとなっている。封止部材8の外周面は所定の角度の傾斜面8aに形成され、この傾斜面8aはガラス基板1の垂直面1bから外方へ突出しないようになっている。この実施の形態では傾斜面8aの端部がガラス基板1の垂直面1bのエッジに一致している。
【0028】
このような構成によれば、封止部材8の周縁部がガラス基板1の外周面から突出していないため、封止部材8に不用意な外力が加わるのを防止でき、さらに封止部材8の外周面が傾斜面8aに形成されていることによっても、この封止部材8に外力が加わりにくくなっている。
【0029】
なお、この実施の形態において、封止部材8の傾斜面8aの末端をガラス基板1の垂直面1bよりも内方に位置させるようにしてもよい。
【0030】
図4はこの発明の第4の実施の形態の太陽電池モジュールPcである。この実施の形態の太陽電池モジュールPcは、ガラス基板1のエッジ部は面取り加工されておらずに垂直面1bとなっており、さらに封止部材8の外周面も面取り加工されておらずに垂直面8bとなっている。そして、封止部材8はその垂直面8bを、ガラス基板1の垂直面1bと面一にして設けられている。
【0031】
このような構成においても、封止部材8の周縁部がガラス基板1の周縁部から外方へ突出していないから、封止部材8に不用意な外力が加わりにくく、それによって損傷や剥離を招くのを防止することができる。
【0032】
この第4の実施の形態のいて、封止部材8の垂直面8bを、ガラス基板1の垂直面1bよりも内方に位置させるようにしても差し支えない。
【0033】
なお、封止部材8は、加圧加熱してガラス基板1に取着する際に熱収縮するから、上記第2乃至第4の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様、封止部材8の垂直面8bや傾斜面8aは、封止部材8をガラス基板1に加圧加熱して取着した後で形成する方がよい。
【0034】
【発明の効果】
この発明によれば、封止部材の端面を基板の端面から外方へ突出させないようにした。
【0035】
そのため、封止部材の端部に不用意な外力が加わるのを防止できるから、封止部材の損傷や基板からの剥離を防止することができる。
【0036】
とくに、封止部材の端面を第1の傾斜面に形成することで、傾斜面としない場合に比べて不用意な外力が加わりにくくなり、さらに、基板の端面を、封止部材の第1の傾斜面と面一となる第2の傾斜面に形成することで、第1の傾斜面と第2の傾斜面との境界部分に段差が生じないから、封止部材に不用意な外力がより一層、加わりにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す太陽電池モジュールの一部省略した断面図。
【図2】この発明の第2の実施の実施の形態を示す太陽電池モジュールの一部分を示す断面図。
【図3】この発明の第3の実施の形態を示す太陽電池モジュールの一部分を示す断面図。
【図4】この発明の第4の実施の形態を示す太陽電池モジュールの一部分を示す断面図。
【符号の説明】
1…ガラス基板
1a…面取り面(第2の傾斜面)
4…半導体層
8…封止部材
8a…傾斜面(第1の傾斜面)

Claims (1)

  1. 基板の一方の板面に複数に分割された半導体層が設けられ、この半導体層が封止部材によって封止される太陽電池モジュールにおいて、
    上記封止部材は、端面が上記基板の端面から突出しない状態で上記基板の一方の板面に設けられて第1の傾斜面に形成されていて、
    上記基板の端面は、上記封止部材の第1の傾斜面と面一になる第2の傾斜面に形成されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
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